JPH1119514A - リーン排ガス浄化用触媒 - Google Patents

リーン排ガス浄化用触媒

Info

Publication number
JPH1119514A
JPH1119514A JP9171784A JP17178497A JPH1119514A JP H1119514 A JPH1119514 A JP H1119514A JP 9171784 A JP9171784 A JP 9171784A JP 17178497 A JP17178497 A JP 17178497A JP H1119514 A JPH1119514 A JP H1119514A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide
solid solution
zirconium
cerium
ceria
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9171784A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3861385B2 (ja
Inventor
Akihiko Suda
明彦 須田
Hirobumi Shinjo
博文 新庄
Toshio Kamitori
利男 神取
Naohiro Terao
直洋 寺尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP17178497A priority Critical patent/JP3861385B2/ja
Publication of JPH1119514A publication Critical patent/JPH1119514A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3861385B2 publication Critical patent/JP3861385B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】リーン排ガス中におけるセリア・ジルコニア固
溶体の硫黄被毒を抑制し、耐久性を向上させる。 【解決手段】セリア・ジルコニア固溶体中の酸化セリウ
ムに対する酸化ジルコニウムの固溶度が50%以上であ
り、かつ結晶子の平均径が10nm以下であり、さらに
ジルコニウムの比率がモル比で0.55≦Zr/(Ce
+Zr)≦0.90の範囲にある酸化物固溶体粒子と、
触媒貴金属と、耐火性の多孔質体と、よりなる構成とし
た。硫酸塩を作りやすいセリウムの量が相対的に少な
く、かつ固溶体相が熱力学的に安定となって硫酸塩を作
りにくくなるため、硫黄被毒が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ンからの排ガスなど、被酸化性成分を酸化するのに必要
な量よりも過剰の酸素を含むリーン排ガス中の有害物質
を効率よく除去できるリーン排ガス浄化用触媒に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ガソリンエンジンについては、排ガスの
厳しい規制とそれに対処できる技術の進歩により、排ガ
ス中の有害物質は確実に減少している。しかしディーゼ
ルエンジンについては、有害成分が主としてパティキュ
レートとして排出されるという特異な事情から、規制も
技術の開発もガソリンエンジンに比べて遅れており、有
害物質を確実に浄化できる排ガス浄化触媒の開発が望ま
れている。
【0003】現在までに開発されているディーゼルエン
ジン排ガス浄化用触媒としては、大きく分けてトラップ
触媒と、オープン型SOF(Soluble Organic Fractio
n)分解触媒とが知られている。このうちトラップ触媒
は、ディーゼルパティキュレートを捕捉してその排出を
規制するものであり、特にドライスーツの比率の高い排
ガスに有効である。しかしながらトラップ触媒では、捕
捉されたディーゼルパティキュレートを焼却するための
再生処理装置が必要となり、再生時の触媒構造体の割
れ、アッシュによる閉塞あるいはシステムが複雑になる
など、実用上多くの課題を残している。
【0004】一方オープン型SOF分解触媒は、例えば
特開平3−38255号公報に示されるように、ガソリ
ンエンジンと同様に活性アルミナなどの担持層に白金族
金属などの触媒貴金属を担持した触媒が利用され、CO
(一酸化炭素)やHC(炭化水素)とともにSOFを酸
化分解して浄化している。このオープン型SOF分解触
媒は、ドライスーツの除去率が低いという欠点がある
が、ドライスーツの量はディーゼルエンジンや燃料自体
の改良によって低減することが可能であり、かつ再生処
理装置が不要という大きなメリットがあるため、今後の
一段の技術の向上が期待されている。
【0005】ところがオープン型SOF分解触媒は、高
温下ではSOFを効率良く分解可能であるが、低温条件
では触媒貴金属の触媒作用が低いためにSOFの浄化性
能が低いという欠点がある。また未燃のSOFによって
触媒貴金属が覆われるために、触媒貴金属の活性が低下
するというSOF被毒が生じることも多い。そのためエ
ンジン始動時やアイドリング運転時などには、排ガスの
温度が低く、未分解のSOFが排出されるという不具合
があった。また排出されないまでも煤となってハニカム
通路内に堆積する現象が起こる。そして堆積した煤によ
り触媒に目詰まりが生じ、触媒性能が低下するという不
具合があった。
【0006】そこで従来より、助触媒として酸化セリウ
ムを併用することが行われている。酸化セリウムは酸素
ストアレージ能を有し、酸化セリウムから放出される酸
素は低温活性が高い。したがってエンジン始動時やアイ
ドリング運転時などにおいても、酸化セリウムが触媒貴
金属に活性な酸素を与えるため、触媒貴金属を失活させ
ているSOFが燃焼しやすくなり触媒活性が復活する。
【0007】なお、排ガス浄化用触媒は高温で使用され
るので、高温における浄化活性が高いことが必要であ
る。そのため酸化セリウムには、高温での使用時に比表
面積の低下が生じないこと、つまり耐熱性に優れている
ことが要求されている。そこで従来より、酸化セリウム
に酸化ジルコニウムやセリウムを除く希土類元素の酸化
物を固溶させて安定化することが行われている。
【0008】例えば特開平4−55315号公報には、
セリウムの水溶性塩とジルコニウムの水溶性塩の混合水
溶液から酸化セリウムと酸化ジルコニウムとを共沈さ
せ、それを熱処理する酸化セリウム微粉体の製造方法が
開示されている。この製造方法によれば、共沈物を熱処
理することによりセリウムとジルコニウムは複合酸化物
となり、互いに固溶したセリア・ジルコニア固溶体が生
成する。
【0009】また特開平4−284847号公報には、
含浸法又は共沈法により、酸化ジルコニウム又は希土類
元素の酸化物と酸化セリウムとが固溶した粉末を製造す
ることが示されている。このように酸化セリウムに酸化
ジルコニウムを固溶させることにより、セリア・ジルコ
ニア固溶体における高熱による比表面積の低下が抑制さ
れ、酸化セリウムの酸素ストアレージ能の低下を防止す
ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが本発明者らの
研究によれば、比表面積の低下が抑制されているにもか
かわらず、耐久試験後にはセリア・ジルコニア固溶体の
酸素ストアレージ能が約1/10にまで低下することが
明らかとなった。この原因は、排ガス中に含まれる硫黄
酸化物とセリア・ジルコニア固溶体とが反応し、硫酸塩
となることによって酸素ストアレージ能が失活するとい
う硫黄被毒が生じるためである。特にリーン雰囲気の排
ガスでは、硫酸塩の還元が困難であり酸素ストアレージ
能の復活は困難である。
【0011】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、リーン排ガス中におけるセリア・ジルコニ
ア固溶体の硫黄被毒を抑制し、耐久性に優れた排ガス浄
化用触媒とすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1記載のリーン排ガス浄化用触媒の特徴は、酸化セリ
ウムに酸化ジルコニウムが固溶したセリア・ジルコニア
固溶体を含み、セリア・ジルコニア固溶体中の酸化セリ
ウムに対する酸化ジルコニウムの固溶度が50%以上で
あり、かつ結晶子の平均径が10nm以下であり、さら
にセリア・ジルコニア固溶体中のジルコニウムの比率が
モル比で0.55≦Zr/(Ce+Zr)≦0.90の
範囲にある酸化物固溶体粒子と、触媒貴金属と、耐火性
の多孔質体と、よりなることにある。
【0013】
【発明の実施の形態】固溶度とは次式(1)によって定
義される値をいう。 固溶度(%)= 100×(酸化セリウムの総量に固溶した酸化ジルコニウムの量)/酸化 ジルコニウムの総量 … (1) ここで、セリア・ジルコニア固溶体(固溶度100%)
のジルコニア濃度x(mol%)と格子定数a(オング
ストローム)の間には式(2)の関係がある。
【0014】 x=(5.423−a)/0.003 …(2) これは次のように導出された。各酸化セリウム、酸化ジ
ルコニウムの配合比において界面活性剤の量を増加させ
ながら後述の実施例1と同様の調製を行い格子定数を測
定すると、その格子定数の値はある一定の値に漸近す
る。酸化セリウム/酸化ジルコニウム=5/5の組成の
例を図2に示す。これを各組成で行い、界面活性剤の多
い領域で得られる格子定数を、酸化ジルコニウム濃度に
対してプロットすると図3となる。この値を最小二乗法
によって整理したものが式(2)である。
【0015】図3中で酸化ジルコニウム濃度0%及び1
00%の時のプロットは、JCPDSカードに示されて
いる値である。図3の各プロットはベガード(Vegard)
の法則に従っており、式(2)は固溶度100%の際の
酸化ジルコニウム濃度と格子定数の関係を示しているこ
とが判断できる。式(1)と式(2)を基に、セリア・
ジルコニア固溶体の固溶度S(%)は式(3)によって
示される。
【0016】 S=100×(x/C)×〔(100−C)/(100−x)〕 …(3) ここでxは式(2)によって求められる。試料中の酸化
ジルコニウム含有率Cは、セリウムとジルコニウムの配
合比から求められる。請求項1に記載の本発明の排ガス
浄化用触媒では、セリア・ジルコニア固溶体中の酸化セ
リウムに対する酸化ジルコニウムの固溶度が50%以上
である。固溶度が50%以上であれば、酸素吸蔵容量
(OSC)は250〜800μmolO 2 /g以上とな
り、酸素ストアレージ能にきわめて優れる。
【0017】また本発明にいう酸化物固溶体粒子では、
セリア・ジルコニア固溶体の結晶子の平均径が10nm
以下である。この結晶子の大きさは、X線回折ピークの
半値幅より、次式のシェラーの式を用いて算出される。 D=kλ/(βcosθ) ここでk:定数0.9、λ:X線波長(Å)、β:試料
の回折線幅−標準試料の回折線幅(ラジアン)、θ:回
折角(度)である。
【0018】結晶子の平均径が10nm以下であれば、
結晶子が緻密な充填になっておらず、結晶子間に細孔を
もった固溶体粒子となっている。平均粒子径が10nm
を超えると、細孔容積及び比表面積が低下し耐熱性も低
下するようになる。なお本発明にいう酸化物固溶体粒子
の比表面積は1m2 /g以上、さらには20m2 /g以
上、より好ましくは50m2 /g以上であることが望ま
しい。
【0019】本発明にいうセリア・ジルコニア固溶体で
は、酸化第2セリウムの蛍石構造を保ったままセリウム
の位置の一部をジルコニウムが置換して固溶体となり、
ジルコニアが十分固溶している。その固溶体中では、ジ
ルコニウムイオンはセリウムイオンよりも15%程度小
さい。したがって、その固溶体が多くの酸素を排出し、
それに伴ってセリウムイオンが4価から3価に変化して
15%程度体積膨張を起こしても、ジルコニウムイオン
の存在が結晶格子の歪みを緩和できるために、酸素の脱
離が容易となると考えられる。また正方晶や単斜晶など
に比べて立方晶は酸素イオンの移動が容易であるため、
より高いOSCを示す。
【0020】また結晶子の平均径が10nm以下と小さ
ければ、結晶子間の粒界が大きくなり、粒界を移動する
酸素イオンが移動しやすくなるため、酸素の吸蔵・放出
速度が十分大きくなり、酸素ストアレージ能が一層向上
する。そして酸素の吸蔵・放出は表面で行われるから、
比表面積が20m2 /g以上と大きければ、酸素の吸蔵
・放出速度が十分大きくなり、高いOSCと相まって優
れた酸素ストアレージ能を示す。比表面積が50m2
gであればさらに好ましい。
【0021】セリア・ジルコニア固溶体中のセリウムと
ジルコニウムは、モル比で0.55≦Zr/(Ce+Z
r)≦0.90の範囲である。ジルコニウムの含有率が
55モル%以下になると、固溶体の結晶中でジルコニウ
ムの骨格を形成する作用が弱まり、酸素の脱離により蛍
石構造の立方晶を維持することが困難となるため、酸素
が脱離できなくなりOSCが低下する。そして硫酸塩を
作りやすいセリウムの量が相対的に多くなるため、ある
いは固溶体相が熱力学的に不安定となって硫酸塩を作り
やすくなるため、硫黄被毒が生じやすくなり耐久後のO
SCが低下する。
【0022】また酸素の吸蔵・放出能はセリウムの3価
と4価の価数変化によるため、ジルコニウムの含有率が
90モル%以上になると、セリウムの絶対量が不足する
ことによりOSCが低下する。すなわち本発明の排ガス
浄化用触媒では、酸化物固溶体粒子中に含まれるセリア
・ジルコニア固溶体において、モル比で0.55≦Zr
/(Ce+Zr)≦0.90としたことにより、硫酸塩
を作りにくいジルコニウムの方が硫酸塩を作りやすいセ
リウムより相対的に多くなり、かつジルコニウムが多い
方が固溶体相が熱力学的に安定となって硫酸塩を作りに
くくなるため、硫黄被毒が防止され耐久性が向上する。
【0023】本発明にいう酸化物固溶体粒子は、セリア
・ジルコニア固溶体粒子のみから構成してもよいし、後
述するように、アルカリ土類金属酸化物が混合した構
成、あるいは少なくとも一部がセリア・ジルコニア固溶
体に固溶した構成とすることもできる。また特性に悪影
響を与えない範囲で、他の金属の酸化物を混合あるいは
固溶してもよい。
【0024】上記酸化物固溶体粒子を製造するには、例
えば、3価のセリウムを含む化合物及びジルコニウムを
含む化合物が溶解した水溶液に、過酸化水素と界面活性
剤及びアルカリ性物質を添加することによりアルカリ溶
液中に沈殿物を形成する第1工程と、沈殿物を含むアル
カリ溶液を蒸発乾固させ乾燥物を得る第2工程と、乾燥
物を加熱することで、酸化セリウムに酸化ジルコニウム
が固溶したセリア・ジルコニア固溶体を含み、セリア・
ジルコニア固溶体中の酸化セリウムに対する酸化ジルコ
ニウムの固溶度が50%以上かつ結晶子の平均径が10
nm以下であり、さらにセリア・ジルコニア固溶体中の
ジルコニウムの比率がモル比で0.55≦Zr/(Ce
+Zr)≦0.90の範囲にあるセリア・ジルコニア固
溶体粒子よりなる酸化物固溶体粒子を得る第3工程と、
よりなる製造方法を採用することができる。
【0025】上記した製造方法では、先ず第1工程にお
いて、3価のセリウムを含む化合物及びジルコニウムを
含む化合物が溶解した水溶液に、過酸化水素と界面活性
剤及びアルカリ性物質を添加することにより沈殿物を得
る。この第1工程では、先ず3価のセリウムが過酸化水
素と錯体を作り酸化されて4価のセリウムとなるため、
酸化セリウムが酸化ジルコニウムと容易に固溶されやす
くなる。
【0026】過酸化水素の添加量は、セリウムイオンの
1/4以上であることが望ましい。過酸化水素の添加量
がセリウムイオンの1/4未満であると、酸化セリウム
と酸化ジルコニウムの固溶が不十分となる。過酸化水素
の過剰の添加は特に悪影響を及ぼさないが、経済的な面
で不利となるのみでメリットはなく、セリウムイオンの
1/2〜2倍の範囲にあることがより望ましい。
【0027】なお、過酸化水素の添加時期は特に制限さ
れず、アルカリ性物質及び界面活性剤の添加前でもよい
し、これらと同時あるいはそれより後に添加することも
できる。過酸化水素は後処理が不要となるので特に望ま
しい酸化剤である。そしてアルカリ性物質の添加によ
り、系がアルカリ性となり、セリウム及びジルコニウム
が不溶性の水酸化物あるいは酸化物となって沈殿する。
【0028】ここで界面活性剤の作用は明らかではない
が、以下のように推察される。つまり、アルカリ性物質
で中和したばかりの状態では、セリウム及びジルコニウ
ムは数nm以下の粒径の非常に微細な水酸化物又は酸化
物の状態で沈殿する。そして界面活性剤の添加により界
面活性剤のミセルの中に複数種の沈殿粒子が均一に取り
込まれ、ミセル中で中和、凝集及び熟成が進行すること
によって、複数成分が均一に含まれ濃縮された小さな空
間の中で固溶体粒子の生成が進行する。さらに、界面活
性剤の分散効果により沈殿微粒子の分散性が向上し、偏
析が小さくなって接触度合いが高まる。これらにより固
溶度が高くなるとともに、結晶子の平均径を小さくする
ことができる。
【0029】界面活性剤の添加時期は、アルカリ性物質
の先に添加してもよいし、アルカリ性物質と同時でもよ
く、またアルカリ性物質より後に添加することもでき
る。しかし界面活性剤の添加時期があまり遅くなると偏
析が生じてしまうので、アルカリ物質の添加と同時もし
くはそれより前に添加することが望ましい。第2工程で
は、沈殿物を含むアルカリ溶液を蒸発乾固させ、第3工
程でその乾燥物を加熱することにより、セリア・ジルコ
ニア固溶体粒子からなる酸化物固溶体粒子が生成する。
【0030】なお第3工程における加熱温度は、300
〜1000℃の範囲とすることが望ましい。300℃よ
り低いとセリア・ジルコニア固溶体粒子の生成が不十分
となり、耐熱性が低下する。また1000℃より高くな
ると、比表面積の低下によりOSCが低下する。3価の
セリウムを含む化合物としては、硝酸セリウム(III
)、塩化セリウム(III )、硫酸セリウム(III )な
どが例示される。またジルコニウムを含む化合物として
は、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム
などが例示される。アルカリ土類金属としては、カルシ
ウム、ストロンチウム、バリウムなどが用いられる。
【0031】さらにアルカリ性物質としては、水溶液と
してアルカリ性を示すものであれば用いることができ
る。加熱時に容易に分離できるアンモニアが特に望まし
い。しかしアルカリ金属の水酸化物などの他のアルカリ
性物質であっても、水洗によって容易に除去することが
できるので用いることができる。界面活性剤としては、
陰イオン系、陽イオン系及び非イオン系のいずれも用い
ることができるが、その中でも形成するミセルが内部に
狭い空間を形成しうる形状、例えば球状ミセルを形成し
易い界面活性剤が望ましい。またアルカリによる沈殿形
成条件の下で臨界ミセル濃度(cmc)が0.1mol
/リットル以下のもの、より望ましくは、0.01mo
l/リットル以下の界面活性剤が望ましい。また界面活
性剤が形成するミセルの形状は、球状など内部に狭い空
間ができるものが望ましい。
【0032】これらの界面活性剤を例示すると、アルキ
ルベンゼンスルホン酸、及びその塩、αオレフィンスル
ホン酸、及びその塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキ
ルエーテル硫酸エステル塩、フェニルエーテル硫酸エス
テル塩、メチルタウリン酸塩、スルホコハク酸塩、エー
テル硫酸塩、アルキル硫酸塩、エーテルスルホン酸塩、
飽和脂肪酸、及びその塩、オレイン酸等の不飽和脂肪
酸、及びその塩、その他のカルボン酸、スルホン酸、硫
酸、リン酸、フェノールの誘導体等の陰イオン性界面活
性剤、ポリオキシエチレンポリプロレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ポリオキシポリプロピレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレングリコール、多価アル
コール;グリコール;グリセリン;ソルビトール;マン
ニトール;ペンタエリトリトール;ショ糖;など多価ア
ルコールの脂肪酸部分エステル、多価アルコール;グリ
コール;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;ペ
ンタエリトリトール;ショ糖;など多価アルコールのポ
リオキシエチレン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチ
レン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、
ポリグリセン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミ
ド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノー
ルアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキ
サイド等の非イオン性界面活性剤、第一脂肪アミン塩、
第二脂肪アミン塩、第三脂肪アミン塩、テトラアルキル
アンモニウム塩;トリアルキルベンジルアンモニウム
塩;アルキルピロジニウム塩;2−アルキル−1−アル
キル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩;N,
N−ジアルキルモルホリニウム塩;ポリエチレンポリア
ミン脂肪酸アミド塩;等の第四級アンモニウム塩、等の
陽イオン性界面活性剤、ベタイン化合物等の両イオン性
界面活性剤から選ばれる少なくとも一種である。
【0033】なお、上記臨界ミセル濃度(cmc)と
は、ある界面活性剤がミセルを形成する最低の濃度のこ
とである。界面活性剤の添加量としては、製造するセリ
ア・ジルコニア固溶体粒子100重量部に対して1〜5
0重量部となる範囲が望ましい。1重量部以上とするこ
とにより、より固溶度が向上する。50重量部を超える
と、界面活性剤が効果的にミセルを形成しにくくなるお
それがある。
【0034】また、前述した製造方法において、得られ
たセリア・ジルコニア固溶体粒子に以下に示す後処理を
施すことが望ましい。すなわち、還元雰囲気(例えば、
一酸化炭素、水素、炭化水素等の気体が含まれる状態)
において、800〜1300℃で熱処理を行えば、固溶
が促進されセリア中にジルコニアの骨格を確実に形成さ
せOSCを高めることができるので、好ましい。このよ
うに、還元雰囲気における熱処理の際には、得られた固
溶体中の酸素の一部が欠落し、陽イオン(セリウム)の
一部が低い価数(3価)に還元された状態となってい
る。しかし、その後空気中で約300℃以上に加熱され
れば容易に元の状態に復帰する。よって、熱処理後の冷
却過程で、約600℃以下で空気と接触させ、元の価数
に復帰させる処理をあわせて行ってもよい。
【0035】沈殿物の加熱の際に、噴霧乾燥により加熱
した場合には、粉末状のもの(乾燥物)として複合酸化
物が得られる。また、その他の加熱方法による場合に
は、得られる複合酸化物は塊状であるため、ハンマーミ
ル、ボールミル、振動ミルなどで乾式粉砕することによ
り粉末が得られる。ところでセリア・ジルコニア固溶体
は、熱力学的な安定相ではないため、酸化雰囲気での使
用において固溶度が低下する場合がある。そこで、セリ
ア・ジルコニア固溶体にアルカリ土類金属又はセリウム
以外の希土類酸化物の少なくとも一部を固溶させること
が望ましい。これにより固溶体相を一層安定化させるこ
とができる。この目的で用いるものは、セリウム、ジル
コニウムとイオン半径が近いカルシウム、イットリウム
などが適している。
【0036】共存するアルカリ土類金属の範囲は、セリ
ア・ジルコニア固溶体粒子に対してアルカリ土類金属の
酸化物の少なくとも一つ(M)がモル比で0<M/(C
e+Zr+M)≦0.15の範囲が望ましい。そして、
その酸化物粒子の結晶子の平均径は10nm以下が望ま
しく、比表面積が20m2 /g以上であることが望まし
い。50m2 /gであればさらに望ましい。
【0037】セリア・ジルコニア固溶体に対するアルカ
リ土類金属酸化物の共存は、900℃以上の酸化雰囲気
においてセリア・ジルコニア固溶体相の安定度を高める
効果をもつ。つまりセリア・ジルコニア固溶体の固溶度
が50%以上でセリウムが理想的に働く環境下におい
て、アルカリ土類金属酸化物はセリア・ジルコニア固溶
体と平衡状態にあり、アルカリ土類金属酸化物はセリア
・ジルコニア固溶体粒子の間に位置し、焼結の進行を妨
げるようになる。このためセリア・ジルコニア固溶体粒
子の凝集が抑制され、比表面積の低下が防止される。こ
の目的には、バリウムなどのセリウムよりイオン半径が
大きく固溶しにくいアルカリ土類元素が適している。
【0038】セリア・ジルコニア固溶体のOSCを高め
るという意味では、アルカリ土類金属酸化物の共存はほ
とんど効果が明確ではない。ただ高温の酸化雰囲気にお
いて長時間使用する場合においては、セリア・ジルコニ
ア固溶体では固溶体相が徐々に2相に分離し、OSCが
低下する傾向がある。そのような条件下で使用する場
合、アルカリ土類金属酸化物が共存すれば、固溶体相が
相対的に安定となるため、使用後のOSCの低下がほと
んど生じない。
【0039】なお、セリア・ジルコニア固溶体に対して
アルカリ土類金属の少なくとも一つ(M)がモル比で0
<M/(Ce+Zr+M)≦0.15の範囲より多くな
ると、OSCがかえって小さくなる。また、成分が増え
コスト的に不利となる。またアルカリ土類金属酸化物の
結晶子の平均径が10nmより大きい、又は比表面積が
20m2 /g未満であると、酸素の吸放出速度が小さく
なるため、急激に酸素分圧が変化する雰囲気で用いた場
合、実質的なOSCが小さくなる場合がある。
【0040】上記複合酸化物を製造するには、前述した
製造方法において、例えば第1工程でアルカリ土類金属
の少なくとも1種を含む化合物と、3価のセリウムを含
む化合物及びジルコニウムを含む化合物が溶解した水溶
液を用いる。すると、アルカリ性物質の添加によりセリ
ウム及びジルコニウムが不溶性の水酸化物あるいは酸化
物となって沈殿すると、アルカリ土類金属を含む化合物
は溶液中に溶解した状態を維持する。
【0041】そして第2工程で沈殿物を含むアルカリ溶
液を蒸発乾固させて乾燥物とすると、この乾燥物にはア
ルカリ土類金属を含む化合物も析出している。そして第
3工程で乾燥物を加熱することにより、セリア・ジルコ
ニア固溶体粒子が生成するとともに、アルカリ土類金属
酸化物と酸化ジルコニウムとの複合酸化物からなる酸化
物粒子が生成する。アルカリ土類金属酸化物と酸化ジル
コニウムとの複合酸化物が生成する理由は、アルカリ土
類金属のイオン半径がCe,Zrと異なるためCeO2
とZrO2 の固溶体中に固溶しにくいこと、ジルコニウ
ムがアルカリ土類金属との複合酸化物を作りやすいこと
の二つが考えられる。
【0042】また上記複合酸化物の他の製造方法とし
て、3価のセリウムを含む化合物とジルコニウムを含む
化合物とが溶解した水溶液に過酸化水素と界面活性剤及
びアルカリ性物質を添加することにより沈殿物を含む第
1溶液を形成する第1工程と、アルカリ土類金属の少な
くとも1種の化合物が溶解した水溶液にアルカリ土類金
属との塩が不溶性である酸を添加することにより沈殿物
を含む第2溶液を形成する第2工程と、第1溶液及び第
2溶液を混合し、蒸発乾固後加熱して、酸化セリウムに
酸化ジルコニウムが固溶したセリア・ジルコニア固溶体
を含み、セリア・ジルコニア固溶体中の酸化セリウムに
対する酸化ジルコニウムの固溶度が50%以上かつ結晶
子の平均径が10nm以下であり、さらにセリア・ジル
コニア固溶体中のジルコニウムの比率がモル比で0.5
5≦Zr/(Ce+Zr)≦0.90の範囲にあるセリ
ア・ジルコニア固溶体粒子と、アルカリ土類金属酸化物
と酸化ジルコニウムとの複合酸化物からなる酸化物粒子
とよりなり、セリア・ジルコニア固溶体粒子と酸化物粒
子とがそれぞれ50nm以下の粒径で互いに混合されて
なる複合酸化物を得る第3工程と、よりなる製造方法を
採用することもできる。
【0043】この製造方法では先ず第1工程において、
3価のセリウムを含む化合物とジルコニウムを含む化合
物とが溶解した水溶液に過酸化水素と界面活性剤及びア
ルカリ性物質を添加することにより沈殿物を含む第1溶
液が形成される。この第1工程では、前述の製造方法の
第1工程と同様の作用により、セリウム及びジルコニウ
ムの化合物が不溶性となって沈殿する。
【0044】そして第2工程では、アルカリ土類金属の
少なくとも1種の化合物が溶解した水溶液にアルカリ土
類金属との塩が不溶性である酸を添加することにより沈
殿物を含む第2溶液が形成される。この第2工程では、
不溶性のアルカリ土類金属塩が沈殿する。なお、添加さ
れる酸は、酸であってもよいし、アルカリ土類金属の化
合物と反応すれば塩の形で用いることもできる。
【0045】さらに第3工程では、第1溶液及び第2溶
液が混合され、蒸発乾固後加熱される。これによりセリ
ア・ジルコニア固溶体粒子が生成するとともに、アルカ
リ土類金属酸化物と酸化ジルコニウムとの複合酸化物か
らなる酸化物粒子が生成する。アルカリ土類金属酸化物
と酸化ジルコニウムとの複合酸化物が生成する理由は、
アルカリ土類金属のイオン半径がCe,Zrと異なるた
めCeO2 とZrO2の固溶体中に固溶しにくいこと、
ジルコニウムがアルカリ土類金属との複合酸化物を作り
やすいことの二つが考えられる。さらに、セリア・ジル
コニア固溶体と、アルカリ土類金属酸化物と酸化ジルコ
ニウムとの複合酸化物とを別々に調製することにより、
それぞれがより生成しやすくなると考えられる。
【0046】なお、上記した二つの製造方法において
は、得られた酸化物固溶体粒子にはアルカリ土類金属の
塩が含まれている。したがって希硫酸などの酸で洗浄す
ることも好ましい。触媒貴金属としては、Pt、Rh、
Pd、Irなどが例示され、耐火性の多孔質体として
は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカ
−アルミナ、ゼオライトなどが例示される。触媒貴金属
は一般にこの多孔質体に担持されるが、上記酸化物固溶
体粒子に担持させてもよい。
【0047】触媒貴金属の担持量は、貴金属種によって
も異なるが、一般に排ガス浄化用触媒の体積1リットル
当たり0.1〜2gである。酸化物固溶体粒子は、排ガ
ス浄化用触媒の体積1リットル当たりに0.1〜1モル
(陽イオンのモル数)含有することが望ましい。酸化物
固溶体粒子が0.1モル/リットルより少ないと低温時
の浄化性能が低下し、1モル/リットルより多くなると
多孔質粒子が相対的に少なくなり吸着能の低下により浄
化性能が低下する。
【0048】また本発明の排ガス浄化用触媒は、粉末形
状からペレット形状やハニカム形状に成形して用いても
よいし、予め形成されたハニカム担体基材にコートして
用いることもできる。
【0049】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定され
るものではない。 (実施例1)硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコ
ニウムを、モル比でCe/Zr=45/55{Zr/
(Ce+Zr)=0.55}となるように混合した水溶
液を調製し、攪拌しながらアンモニア水を滴下して中和
し沈殿を生成させた。続いてこの混合水溶液に含まれる
セリウムイオンと等モル数の過酸化水素を含む過酸化水
素水と、得られる酸化物の重量の10%のアルキルベン
ゼンスルホン酸を含む水溶液を添加し、混合攪拌した。
【0050】得られたスラリーを120℃で24時間乾
燥させて水分を除去した後、300℃で5時間加熱して
副生成物の硝酸アンモニウムを除去し、結晶子の径が1
0nm以下の酸化物固溶体粒子を調製した。この酸化物
固溶体粒子について、X線回折による格子定数と出発原
料の配合比から式(3)により算出された酸化ジルコニ
ウムの固溶度は90%であった。また、結晶子の平均径
をX線回折パターンの(311)ピークからシェラーの
式を用いて算出したところ、平均径は7nmであった。
さらにBET法により測定された酸化物固溶体粒子の比
表面積は80m2 /gであった。
【0051】得られた酸化物固溶体粒子40gと、γ−
アルミナ粉末60gとを、1リットルの水とともにボー
ルミルを用いて2時間混合した。得られたスラリー全量
に1gのPtを含むジニトロジアンミン白金硝酸塩溶液
を加え、攪拌後蒸発乾固してPtを担持して実施例1の
触媒粉末を調製した。 (実施例2)硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコ
ニウムを、モル比でCe/Zr=40/60{Zr/
(Ce+Zr)=0.6}となるように混合して溶解し
た水溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にして、
酸化物固溶体粒子を調製した。
【0052】この酸化物固溶体粒子について、固溶度を
X線回折による格子定数と出発原料の配合比から式
(3)により算出したところ、酸化ジルコニウムの固溶
度は90%であった。また結晶子の平均径をX線回折パ
ターンの(311)ピークからシェラーの式を用いて算
出したところ、平均径は7nmであった。さらにBET
法により測定された複合酸化物粒子の比表面積は75m
2 /gであった。
【0053】そして実施例1と同様にして、実施例2の
触媒粉末を調製した。 (実施例3)硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコ
ニウムを、モル比でCe/Zr=30/70{Zr/
(Ce+Zr)=0.7}となるように混合して溶解し
た水溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にして、
酸化物固溶体粒子を調製した。
【0054】この酸化物固溶体粒子について、固溶度を
X線回折による格子定数と出発原料の配合比から式
(3)により算出したところ、酸化ジルコニウムの固溶
度は95%であった。また結晶子の平均径をX線回折パ
ターンの(311)ピークからシェラーの式を用いて算
出したところ、平均径は6nmであった。さらにBET
法により測定された複合酸化物粒子の比表面積は83m
2 /gであった。
【0055】そして実施例1と同様にして、実施例3の
触媒粉末を調製した。 (実施例4)硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコ
ニウムを、モル比でCe/Zr=20/80{Zr/
(Ce+Zr)=0.8}となるように混合して溶解し
た水溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にして、
酸化物固溶体粒子を調製した。
【0056】この酸化物固溶体粒子について、固溶度を
X線回折による格子定数と出発原料の配合比から式
(3)により算出したところ、酸化ジルコニウムの固溶
度は100%であった。また結晶子の平均径をX線回折
パターンの(311)ピークからシェラーの式を用いて
算出したところ、平均径は8nmであった。さらにBE
T法により測定された複合酸化物粒子の比表面積は68
2 /gであった。
【0057】そして実施例1と同様にして、実施例4の
触媒粉末を調製した。 (実施例5)硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコ
ニウムを、モル比でCe/Zr=10/90{Zr/
(Ce+Zr)=0.9}となるように混合して溶解し
た水溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にして、
酸化物固溶体粒子を調製した。
【0058】この酸化物固溶体粒子について、X線回折
による格子定数と出発原料の配合比から式(3)により
算出された酸化ジルコニウムの固溶度は100%であっ
た。また結晶子の平均径をX線回折パターンの(31
1)ピークからシェラーの式を用いて算出したところ、
平均径は6nmであった。さらにBET法により測定さ
れた複合酸化物粒子の比表面積は72m2 /gであっ
た。
【0059】そして実施例1と同様にして、実施例5の
触媒粉末を調製した。 (比較例1)硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコ
ニウムを、モル比でCe/Zr=70/30{Zr/
(Ce+Zr)=0.3}となるように混合して溶解し
た水溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にして、
酸化物固溶体粒子を調製した。
【0060】この酸化物固溶体粒子について、固溶度を
X線回折による格子定数と出発原料の配合比から式
(3)により算出したところ、酸化ジルコニウムの固溶
度は90%であった。また結晶子の平均径をX線回折パ
ターンの(311)ピークからシェラーの式を用いて算
出したところ、平均径は7nmであった。さらにBET
法により測定された複合酸化物粒子の比表面積は73m
2 /gであった。
【0061】そして実施例1と同様にして、比較例1の
触媒粉末を調製した。 (比較例2)硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコ
ニウムを、モル比でCe/Zr=60/40{Zr/
(Ce+Zr)=0.4}となるように混合して溶解し
た水溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にして、
酸化物固溶体粒子を調製した。
【0062】この酸化物固溶体粒子について、固溶度を
X線回折による格子定数と出発原料の配合比から式
(3)により算出したところ、酸化ジルコニウムの固溶
度は90%であった。また結晶子の平均径をX線回折パ
ターンの(311)ピークからシェラーの式を用いて算
出したところ、平均径は7nmであった。さらにBET
法により測定された複合酸化物粒子の比表面積は90m
2 /gであった。
【0063】そして実施例1と同様にして、比較例2の
触媒粉末を調製した。 (比較例3)硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコ
ニウムを、モル比でCe/Zr=50/50{Zr/
(Ce+Zr)=0.5}となるように混合して溶解し
た水溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にして、
酸化物固溶体粒子を調製した。
【0064】この酸化物固溶体粒子について、固溶度を
X線回折による格子定数と出発原料の配合比から式
(3)により算出したところ、酸化ジルコニウムの固溶
度は90%であった。また結晶子の平均径をX線回折パ
ターンの(311)ピークからシェラーの式を用いて算
出したところ、平均径は8nmであった。さらにBET
法により測定された複合酸化物粒子の比表面積は84m
2 /gであった。
【0065】そして実施例1と同様にして、比較例3の
触媒粉末を調製した。 (比較例4)硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコ
ニウムを、モル比でCe/Zr=5/95{Zr/(C
e+Zr)=0.95}となるように混合して溶解した
水溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にして、酸
化物固溶体粒子を調製した。
【0066】この酸化物固溶体粒子について、X線回折
による格子定数と出発原料の配合比から式(3)により
算出された酸化ジルコニウムの固溶度は100%であっ
た。また結晶子の平均径をX線回折パターンの(31
1)ピークからシェラーの式を用いて算出したところ、
平均径は7nmであった。さらにBET法により測定さ
れた複合酸化物粒子の比表面積は75m2 /gであっ
た。
【0067】そして実施例1と同様にして、比較例4の
触媒粉末を調製した。 <耐熱性評価>各実施例及び比較例の触媒粉末を、それ
ぞれ0.5gずつ内径10mmの石英管に詰め、600
℃で2時間SO2 を含むガスを流通させて耐久試験を行
った。ガスの組成は、2%SO2 ガスを20cc/mi
n、酸素を33cc/min、窒素を280cc/mi
n、水蒸気を10cc/minである。それぞれの触媒
粉末について耐久前後のOSCを以下に示す昇温COパ
ルス試験によって測定した。
【0068】昇温COパルス試験は、固定床流通反応装
置を用い、反応管内に充填した触媒粉末を予め600℃
で十分に酸化処理した後、Heガス中、COパルス注入
下で、室温から600℃まで昇温する際に生成するCO
2 を測定したものである。COパルスサイズは7.72
μmol、昇温速度10℃/minの条件下で測定を行
った。OSC値は、室温から300℃までに生成したC
2 量とした。
【0069】耐久前の比較例3のOSC値は、CO2
として5μmolであり、この値を基準値、すなわち1
として、各触媒の耐久後OSCを図1に示した。図1よ
り、各比較例の触媒では耐久後にOSCが約1/10以
下まで低下しているのに対し、各実施例の触媒は耐久後
にも高いOSCが維持されていることが明らかである。
【0070】
【発明の効果】すなわち本発明のリーン排ガス浄化用触
媒によれば、耐久時のOSCの低下が抑制されているの
で、始動時やアイドリング時など低温域の排ガス中のS
OFの高い浄化能が長期間維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】Zr/(Ce+Zr)比と耐久後のOSC(耐
久前の値に対する比)との関係を示すグラフである。
【図2】アルキルベンゼンスルホン酸の添加率と形成さ
れた酸化物固溶体粒子の結晶の格子定数との関係を示す
グラフである。
【図3】セリア・ジルコニア固溶体粒子中のジルコニア
濃度と格子定数との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神取 利男 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 寺尾 直洋 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化セリウムに酸化ジルコニウムが固溶
    したセリア・ジルコニア固溶体を含み、該セリア・ジル
    コニア固溶体中の酸化セリウムに対する酸化ジルコニウ
    ムの固溶度が50%以上であり、かつ結晶子の平均径が
    10nm以下であり、さらに該セリア・ジルコニア固溶
    体中のジルコニウムの比率がモル比で0.55≦Zr/
    (Ce+Zr)≦0.90の範囲にある酸化物固溶体粒
    子と、 触媒貴金属と、耐火性の多孔質体と、よりなることを特
    徴とするリーン排ガス浄化用触媒。
JP17178497A 1997-06-27 1997-06-27 リーン排ガス浄化用触媒 Expired - Fee Related JP3861385B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17178497A JP3861385B2 (ja) 1997-06-27 1997-06-27 リーン排ガス浄化用触媒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17178497A JP3861385B2 (ja) 1997-06-27 1997-06-27 リーン排ガス浄化用触媒

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1119514A true JPH1119514A (ja) 1999-01-26
JP3861385B2 JP3861385B2 (ja) 2006-12-20

Family

ID=15929629

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17178497A Expired - Fee Related JP3861385B2 (ja) 1997-06-27 1997-06-27 リーン排ガス浄化用触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3861385B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003097232A1 (fr) * 2002-05-15 2003-11-27 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Matiere d'oxydation de particules et catalyseur d'oxydation
WO2005046865A1 (ja) * 2003-11-14 2005-05-26 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 排ガス浄化用触媒およびその製法
JP2007216200A (ja) * 2006-01-20 2007-08-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 排ガス浄化触媒
US7691778B2 (en) 2005-11-22 2010-04-06 Toda Kogyo Corporation Exhaust gas purification catalyst
US7696127B2 (en) 2006-01-13 2010-04-13 Toda Kogyo Corporation Exhaust gas purifying catalyst
US9592498B2 (en) 2010-11-16 2017-03-14 Rhodia Operations Porous inorganic composite oxide

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63116741A (ja) * 1986-11-04 1988-05-21 Toyota Motor Corp 排気ガス浄化用触媒
JPH0243951A (ja) * 1988-04-14 1990-02-14 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd 排ガス浄化用触媒およびその製造方法
JPH06279027A (ja) * 1993-02-10 1994-10-04 Rhone Poulenc Chim ジルコニウム及びセリウムの混合酸化物を基とする組成物、その合成方法並びに使用方法
JPH07300315A (ja) * 1994-04-28 1995-11-14 Nissan Motor Co Ltd 複合体、その複合体を用いた触媒体及びそれらの製造方法
JPH08215569A (ja) * 1995-02-10 1996-08-27 Toyota Motor Corp 排気ガス浄化用触媒及び排気ガス浄化用触媒を備えた排気ガス浄化装置
JPH08229394A (ja) * 1994-12-28 1996-09-10 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 酸化物担持触媒担体の製造方法
JPH09131530A (ja) * 1995-11-09 1997-05-20 Ict:Kk 内燃機関排ガス浄化用触媒
JPH09155192A (ja) * 1995-12-07 1997-06-17 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 排ガス浄化用触媒
JPH09225266A (ja) * 1996-02-28 1997-09-02 Toyota Motor Corp 排気浄化装置
JPH10512191A (ja) * 1995-07-03 1998-11-24 ローヌプーラン シミ 酸化ジルコニウムと酸化セリウムを基材とした組成物、その製造法及び用途

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63116741A (ja) * 1986-11-04 1988-05-21 Toyota Motor Corp 排気ガス浄化用触媒
JPH0243951A (ja) * 1988-04-14 1990-02-14 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd 排ガス浄化用触媒およびその製造方法
JPH06279027A (ja) * 1993-02-10 1994-10-04 Rhone Poulenc Chim ジルコニウム及びセリウムの混合酸化物を基とする組成物、その合成方法並びに使用方法
JPH07300315A (ja) * 1994-04-28 1995-11-14 Nissan Motor Co Ltd 複合体、その複合体を用いた触媒体及びそれらの製造方法
JPH08229394A (ja) * 1994-12-28 1996-09-10 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 酸化物担持触媒担体の製造方法
JPH08215569A (ja) * 1995-02-10 1996-08-27 Toyota Motor Corp 排気ガス浄化用触媒及び排気ガス浄化用触媒を備えた排気ガス浄化装置
JPH10512191A (ja) * 1995-07-03 1998-11-24 ローヌプーラン シミ 酸化ジルコニウムと酸化セリウムを基材とした組成物、その製造法及び用途
JPH09131530A (ja) * 1995-11-09 1997-05-20 Ict:Kk 内燃機関排ガス浄化用触媒
JPH09155192A (ja) * 1995-12-07 1997-06-17 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 排ガス浄化用触媒
JPH09225266A (ja) * 1996-02-28 1997-09-02 Toyota Motor Corp 排気浄化装置

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003097232A1 (fr) * 2002-05-15 2003-11-27 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Matiere d'oxydation de particules et catalyseur d'oxydation
CN1317073C (zh) * 2002-05-15 2007-05-23 丰田自动车株式会社 颗粒物质-氧化材料和氧化催化剂
US7393808B2 (en) 2002-05-15 2008-07-01 Toyota Jisdosha Kabushiki Kaisha Particulate matter-oxidizing material and oxidizing catalyst
WO2005046865A1 (ja) * 2003-11-14 2005-05-26 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 排ガス浄化用触媒およびその製法
JP2005144334A (ja) * 2003-11-14 2005-06-09 Toyota Motor Corp 排ガス浄化用触媒およびその製法
US7867943B2 (en) 2003-11-14 2011-01-11 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Exhaust gas purifying catalyst, and method for producing the same
US7691778B2 (en) 2005-11-22 2010-04-06 Toda Kogyo Corporation Exhaust gas purification catalyst
US7696127B2 (en) 2006-01-13 2010-04-13 Toda Kogyo Corporation Exhaust gas purifying catalyst
JP2007216200A (ja) * 2006-01-20 2007-08-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 排ガス浄化触媒
US9592498B2 (en) 2010-11-16 2017-03-14 Rhodia Operations Porous inorganic composite oxide

Also Published As

Publication number Publication date
JP3861385B2 (ja) 2006-12-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6165934A (en) Material and system for catalytic reduction of nitrogen oxide in an exhaust stream of a combustion process
JP5541920B2 (ja) 担体上のナノメートル酸化セリウムで作製された高い被還元性を有する組成物、調製方法および触媒としての使用
JP3528839B2 (ja) パティキュレート酸化材及び酸化触媒
JP3341973B2 (ja) 酸化物固溶体粒子及びその製造方法
CN109963648B (zh) 基于铈和锆的混合氧化物
JP3664182B2 (ja) 高耐熱性排ガス浄化用触媒とその製造方法
KR101431919B1 (ko) 비다공도를 갖는, 산화세륨 및 산화지르코늄을 포함하는 조성물, 그의 제조 방법 및 촉매작용에서의 그의 용도
JP6474353B2 (ja) 酸化ジルコニウムおよび酸化セリウムをベースとする沈殿およびか焼組成物
KR101570565B1 (ko) 세륨, 지르코늄 및 텅스텐 기재 조성물, 제조 방법 및 촉매작용에서의 용도
KR20080066920A (ko) 산화 지르코늄 및 산화 프라세오디뮴 기재의 조성물을 질소산화물(nox) 트랩으로서 사용하는, 질소 산화물 함유가스의 처리 방법
JP3345426B2 (ja) 窒素酸化物の放出を制御する目的で、酸化セリウム及び(又は)酸化ジルコニウムを含む触媒組成物を使用して高酸素含有量のガスを処理するための方法
KR20010040270A (ko) 산화 세륨, 산화 지르코늄 및 스칸듐 또는 희토류 금속산화물 기재의 지지체 조성물 및 배기 가스 처리를 위한용도
US8796171B2 (en) Denitration catalyst composition and method of denitration using same
JP2000176282A (ja) リーン排ガス浄化用触媒
JP3238316B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
KR20010108495A (ko) 망간 및 알칼리 금속 또는 알칼리 토금속 기재의 NOx트랩용 조성물 및 배기 가스의 처리에 있어서의 그의 용도
KR100420909B1 (ko) 망간 및 알칼리 토금속 또는 희토류 금속 기재의 NOx트랩용 조성물 및 배기 가스 처리에 있어서의 그의 용도
JP3861385B2 (ja) リーン排ガス浄化用触媒
JP2004043226A (ja) CeO2−ZrO2複合酸化物の製造方法及び排気ガス浄化用触媒
JP3707641B2 (ja) 複合酸化物助触媒
JPH08229394A (ja) 酸化物担持触媒担体の製造方法
JP2004160433A (ja) 金属複合体及び排ガス浄化用触媒と排ガス浄化方法
JP2004167354A (ja) 触媒用担体とno酸化触媒及びno酸化方法
JP2007203160A (ja) 排ガス浄化用触媒担体、それを用いた排ガス浄化用触媒及び排ガス浄化方法
JP4123644B2 (ja) 排ガス浄化触媒

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040622

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050926

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060905

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060918

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091006

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101006

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111006

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111006

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131006

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees