JPH11189055A - 動力農機の前輪駆動装置 - Google Patents

動力農機の前輪駆動装置

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JPH11189055A
JPH11189055A JP36094797A JP36094797A JPH11189055A JP H11189055 A JPH11189055 A JP H11189055A JP 36094797 A JP36094797 A JP 36094797A JP 36094797 A JP36094797 A JP 36094797A JP H11189055 A JPH11189055 A JP H11189055A
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忠男 西原
Naohiko Ishii
尚彦 石井
Ryota Nagano
良太 永野
Atsushi Tokuzumi
敦 徳住
Koji Furukawa
浩二 古川
Toshinori Okazaki
俊憲 岡崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車体の旋回時に前輪を高速回転で駆動するこ
とにより旋回時間を短縮するとともに、地盤の固さや作
業状況により前輪の増速比率を変化できるようにする。 【解決手段】 トラクタ等の動力農機に於いて、エンジ
ン11の動力をギヤ式変速装置22から分岐して前輪2
0を駆動する経路と、油圧式変速装置31の動力を伝達
して前輪20を駆動する経路とを設ける。車体の旋回時
には切換装置29の作動により、ギヤ式変速装置22の
経路から油圧式変速装置31の経路に切り換えるように
構成する。油圧式変速装置31は可変式油圧ポンプ32
を有するため、該油圧ポンプ32の傾転角を変更するこ
とによって油圧式変速装置31による前輪20の駆動量
を任意に設定することができ、最適の増速比率で前輪を
駆動できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトラクタや田植機、
芝刈機等の動力農機の前輪駆動装置に関するものであ
り、特に、走行系のギヤ式変速装置から動力を分岐して
前輪へ伝達するとともに、これとは別に油圧式変速装置
からの動力を伝達して前輪を駆動するように構成された
動力農機の前輪駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トラクタや田植機、芝刈機等の動力農機
に於いて、エンジンの動力をギヤ式変速装置を介して後
輪に伝達するとともに、該ギヤ式変速装置から動力を分
岐して前輪を駆動可能にした構成が知られている。斯か
る構成の場合、4WDクラッチにより前輪への動力伝達
を入切りし、四輪駆動の切り換えを行っている。
【0003】また、前記ギヤ式変速装置とは別に前輪へ
の動力伝達軸に変速ギヤを設け、車体の旋回時には該変
速ギヤによって前輪の回転を増速し、前輪の周速度を後
輪より高くして車体の旋回時間を短縮する、所謂前輪増
速旋回制御を行う動力農機も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の前輪増速旋回制
御では、車体の旋回時に後輪の周速度に対して予め設定
した増速比率(例えば後輪の2倍)で前輪を高速回転で
駆動する。しかし、変速ギヤの組合せを変更しないかぎ
りこの増速比率は一定であるため、前輪の周速度を更に
増速して車体の旋回時間をより短くすることはできな
い。また、これとは反対に、地盤の固さや作業状況によ
っては前輪が高速回転で駆動され過ぎ、土が掻き寄せら
れたり或いは草を傷つけたりすることがあった。
【0005】そこで、車体の旋回時に前輪を高速回転で
駆動することにより旋回時間を短縮するとともに、地盤
の固さや作業状況により前輪の増速比率を変化できるよ
うにするために解決すべき技術的課題が生じてくるので
あり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために提案されたものであり、エンジンの動力をギ
ヤ式変速装置を介して後輪に伝達するとともに、該ギヤ
式変速装置から動力を分岐して前輪を駆動可能に構成し
た動力農機に於いて、前記ギヤ式変速装置から前輪を駆
動する経路とは別に、可変式油圧ポンプを有する油圧式
変速装置の動力を伝達して前輪を駆動する経路と、車体
の旋回操作を検出する手段とを設け、車体の旋回時には
前輪の駆動を前記ギヤ式変速装置の経路から油圧式変速
装置の経路へ切り換える切換装置を設けた動力農機の前
輪駆動装置、及び、前記切換装置には、車体の旋回時に
油圧式変速装置からの動力を優先して伝達するワンウェ
イクラッチを設けた動力農機の前輪駆動装置、及び、前
記油圧式変速装置による前輪の駆動量を任意に設定する
操作手段を備えた動力農機の前輪駆動装置、及び、車体
の旋回量が大きくなるのに伴って、前記油圧式変速装置
による前輪の駆動量を増大するように構成した動力農機
の前輪駆動装置、並びに、車体の走行状態の変化によ
り、前記油圧式変速装置による前輪の駆動量を減少若し
くは停止するように構成した動力農機の前輪駆動装置を
提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に従って詳述する。図1は動力農機の一例としてトラク
タ10を示し、車体の前部にエンジン11が載置されて
フード12で被蔽されている。キャビン13の内部には
シート14を装着してあり、ステアリングハンドル15
や変速レバー16及び各種操作スイッチ等が設けられて
いる。エンジン11の動力はミッションケース17内に
収められたギヤ式変速装置を介して後輪18に伝達され
るとともに、ギヤ式変速装置から分岐された動力を前輪
動力伝達軸19から前輪20に伝達できるように構成さ
れている。尚、前輪20の駆動部近傍には後述する油圧
ポンプ32が設けられており、エンジン11の動力で該
油圧ポンプ32が駆動され、油圧モータ33へ作動油が
供給される。
【0008】図2は走行系の動力伝達ブロック図であ
り、エンジン11の動力は主クラッチ21により入切り
され、ギヤ式変速装置22である前後進切換機23、主
変速機24、副変速機25により順次変向或いは変速さ
れた後に、差動装置26を経て左右の後輪18へ伝達さ
れる。左右の後輪18には夫々ブレーキ装置65,66
が設けられており、左右のブレーキペダル(図示せず)
により独立してブレーキ操作ができるように構成されて
いる。
【0009】また、前記ギヤ式変速装置22から動力を
分岐し、前輪駆動装置27を経て前輪20を駆動できる
ように形成されている。前記ギヤ式変速装置22から分
岐された動力は、後述するコントローラ70の指令によ
って4WDクラッチ28で入切りされ、前輪動力伝達軸
19に接続した切換装置29へ入力される。そして、こ
の動力は切換装置29から差動装置30を介して前輪2
0へ伝達される。
【0010】一方、前輪駆動装置27には、前記ギヤ式
変速装置22からの動力で前輪20を駆動する経路とは
別に、油圧式変速装置31の動力で前輪20を駆動する
経路が設けられている。該油圧式変速装置31は可変式
油圧ポンプ32を有し、この油圧ポンプ32によって駆
動される油圧モータ33の回転を前記切換装置29へ入
力するように構成されている。
【0011】ここで、前記切換装置29は、ギヤ式変速
装置22から分岐された動力の経路と、油圧式変速装置
31の動力の経路の何れか一方を選択し、該選択された
経路の動力を差動装置30を経て前輪20へ伝達するも
のである。前記切換装置29には、車体の旋回時に油圧
式変速装置31からの動力を優先して伝達する手段が設
けられおり、該優先伝達手段としては、例えばワンウェ
イクラッチを使用する。
【0012】図3はワンウェイクラッチ34を示し、前
輪動力伝達軸19に接続されたフルタイム駆動輪35に
は、台形状の数個のカム36,36…を前面に設けた回
転壁37が前後方向中間部から外方へ延設されており、
更に、フルタイム駆動輪35を遊転保持するクラッチ軸
38の後位置には、多数の小爪39,39…を後面に設
けた従動輪40がスプライン等を介して取り付けられ
る。
【0013】このフルタイム駆動輪35と従動輪40は
互いに独立した状態となっており、この両者間にクラッ
チ部41が取り付けられている。該クラッチ部41の後
面には前記カム36,36…に係合する従動カム42,
42…が設けられ、且つ、該クラッチ部41の前面には
前記小爪39,39…に噛み合う駆動小爪43,43…
が突設されている。
【0014】44は押圧バネであり、前記クラッチ部4
1をフルタイム駆動輪35のカム36側へ押圧するよう
に付勢している。また、45は収納ケースであって、フ
ルタイム駆動輪35と一体に回転するとともに、機枠側
に当接するブレーキ具46,46…により、その回転に
抵抗を与えている。これらフルタイム駆動輪35とクラ
ッチ部41と従動輪40とにより、ワンウェイクラッチ
34が構成される。
【0015】いま、前記ギヤ式変速装置22から分岐さ
れた動力が、前輪動力伝達軸19からワンウェイクラッ
チ34に入力されると、フルタイム駆動輪35が回転し
て回転壁37のカム36によりクラッチ部41の従動カ
ム42にスラスト力が作用し、クラッチ部41が前方
(同図中左方向)へ押圧される。従って、図4に示すよ
うに、クラッチ部41の駆動小爪43が従動輪40の小
爪39に噛み合って、フルタイム駆動輪35の回転がク
ラッチ部41を介して従動輪40へ伝わる。斯くして、
従動輪40にスプライン嵌合したクラッチ軸38が駆動
され、前輪の差動装置30へギヤ式変速装置22からの
動力が伝達されて、前輪20が後輪18と同じ周速度で
駆動される。
【0016】ここで、ギヤ式変速装置の動力で前輪20
が駆動されている場合は、図4に示すように、ワンウェ
イクラッチ34が入り状態となってフルタイム駆動輪3
5と従動輪40が等速で回転するが、このとき、前記油
圧式変速装置31からの動力が切換装置29に入力され
た場合は、油圧モータ33の回転によりクラッチ軸38
が駆動される。そして、従動輪40の回転がフルタイム
駆動輪35より高くなると、小爪39が駆動小爪43よ
り速く回転してクラッチ部41を高速で回転させ、次
に、押圧バネ44の作用によってクラッチ部41全体が
後方へ移動し、図3に示したように、従動輪40とクラ
ッチ部41が離間する。
【0017】従って、ギヤ式変速装置22の動力で前輪
20が駆動されている場合であっても、油圧式変速装置
31からの動力が切換装置29に入力されたときは、前
記ワンウェイクラッチ34が切り状態となって従動輪4
0が空転する。即ち、油圧式変速装置31からの動力が
優先して前輪20へ伝達され、前輪20が油圧モータ3
3の回転速度に応じた周速度で駆動される。
【0018】尚、前記優先伝達手段としては、前述した
ワンウェイクラッチ34のほか、図示は省略するが、ギ
ヤ式変速装置22の動力の経路と油圧式変速装置31の
動力の経路に夫々クラッチを設けておき、コントローラ
70によっていずれかのクラッチを択一的に入切りする
ように構成することもできる。
【0019】図5は制御系のブロック図であり、ポテン
ショメータ51によりポジションレバーの操作位置を検
出し、ポテンショメータ52により変速レバーのシフト
位置を検出する。また、ポテンショメータ53によりリ
フトアームの回動角即ち後部作業機の高さを検出し、ポ
テンショメータ54,55により夫々左右のブレーキペ
ダルの踏み込み位置を検出する。
【0020】一方、後進検出スイッチ56は前後進切換
機23を後進位置に切り換えたときにオンとなり、クラ
ッチペダルスイッチ57は主クラッチ21を切るために
クラッチペダルを踏み込んだときにオンになる。更に、
車体の旋回時に油圧式変速装置31の動力により前輪増
速旋回制御する場合は、予め制御入切スイッチ58をオ
ンにするとともに、後輪の周速度に対する前輪の周速
度、即ち増速比率を作業モードダイヤル59により任意
に設定し、前記油圧式変速装置31の動力による前輪2
0の駆動量を調整する。
【0021】ここで、ステアリングハンドル15の操舵
に伴う前輪20の旋回量を検出する手段として前輪切れ
角センサ60を設け、エンジン11の回転数を検出する
手段としてエンジン回転センサ61を設ける。尚、車体
の旋回操作を検出する手段としては、前記前輪切れ角セ
ンサ60によって前輪20の操舵角を直接的に検出する
他に、ステアリングハンドル15の回転角度やステアリ
ングハンドル15の操作速度を測定したり、パワーステ
アリング装置の油圧シリンダのピストン伸縮量を検出す
る方法などもある。
【0022】また、タイヤのスリップを検出する手段と
して前輪回転センサ62及び後輪回転センサ63を設
け、該前輪回転センサ62及び後輪回転センサ63によ
って前輪20と後輪18の回転数を検出し、この回転差
をコントローラ70へ入力してタイヤのスリップ率を演
算する。更に、車体の傾斜を検出する手段として傾斜セ
ンサ64を設け、該傾斜センサ64によって車体のロー
リング角を検出する。
【0023】前記各検出信号はコントローラ70へ入力
され、例えばポテンショメータ51の検出信号に基づい
てポジョンレバーの操作位置を判別し、作業機昇降用の
リフトシリンダを作動すべく、電磁制御弁の作業機上昇
用ソレノイド81または作業機下降用ソレノイド82へ
指令信号を出力する。或いは、例えばポテンショメータ
54,55の検出信号に基づいて左右のブレーキペダル
の踏み込み位置を判別し、その操作力の大小に応じて後
輪のブレーキシリンダを作動すべく、電磁制御弁の左ブ
レーキ用ソレノイド83または右ブレーキ用ソレノイド
84へ指令信号を出力する。
【0024】更に、後述する制御手順に従って、油圧ポ
ンプ32の吐出量を変更するアクチュエータである電動
モータ85へ制御信号を出力し、該油圧ポンプ32の吐
出量を増減することによって油圧モータ33の回転速度
を変化させる。従って、油圧式変速装置31による前輪
20の駆動量が変化し、作業モードダイヤル59によっ
て設定した増速比率、若しくは制御目標の増速比率とな
るように前輪20の周速度を制御する。
【0025】図6は油圧回路を示し、前記油圧式変速装
置31には可変式の油圧ポンプ32が設けられている。
該油圧ポンプ32から吐出される作動油は電磁制御弁9
0によって制御され、前述した制御入切スイッチ58が
オフのときは、該電磁制御弁90がノーマル位置(イ)
にあって油圧モータ33は駆動されない。そして、制御
入切スイッチ58をオンにしたときは、該電磁制御弁9
0がオフセット位置(ロ)に切り換わり、油圧ポンプ3
2の吐出油が油圧モータ33へ導出される。
【0026】ここで、電動モータ85を駆動してトラニ
オン軸を回転すれば、油圧ポンプ32の斜板若しくは斜
軸の角度即ち傾転角が変化し、該油圧ポンプ32の吐出
量が増減する。従って、油圧モータ33の流量が変わ
り、該油圧モータ33の回転速度を任意に調整できる。
尚、図示は省略するが可変式の油圧モータを使用し、電
動モータによって該油圧モータの傾転角を変化させるこ
とにより、油圧モータの流量を変更して回転速度を任意
に調整するように構成してもよい。
【0027】前述したように、たとえ4WDクラッチ2
8が作動してギヤ式変速装置22から分岐された動力が
前輪動力伝達軸19へ伝達されている場合であっても、
油圧式変速装置31の動力が切換装置29に入力された
ときは、該油圧式変速装置31からの動力が優先して前
輪20へ伝達される。
【0028】尚、同図に於いて符号95a,95bは他
の油圧ポンプであり、油圧ポンプ95aから吐出される
作動油は電磁制御弁96によって制御され、前記コント
ローラ70から作業機上昇用ソレノイド81または作業
機下降用ソレノイド82へ指令信号が出力されたとき
に、油圧ポンプ95aの作動油がリフトシリンダ97へ
供給されて作業機が昇降する。一方、油圧ポンプ95b
から吐出される作動油は、減圧弁98を介してパワース
テアリング回路99へ供給され、ステアリングシリンダ
100が駆動されて前輪20が回向する。
【0029】また、減圧弁98から分岐した作動油は、
電磁制御弁101,102を介して左右のブレーキシリ
ンダ103,104に導出されるとともに、その他の油
圧回路へ供給される。前記コントローラ70から左ブレ
ーキ用ソレノイド83または右ブレーキ用ソレノイド8
4へ指令信号が出力されたときは、該指令信号の大きさ
に応じて電磁制御弁101または102が開放し、ブレ
ーキシリンダ103,104が駆動されて左または右の
ブレーキ装置65,66が作動し、後輪18,18が夫
々独立して制動される。
【0030】図7は前記油圧式変速装置31による前輪
20の駆動量を任意に設定する操作手段の一例として作
業モードダイヤル59を示し、該作業モードダイヤル5
9は前記キャビン13内の操作しやすい場所に設けられ
ている。該作業モードダイヤル59を時計回りへ回動す
れば、油圧式変速装置31の動力によって前輪20を駆
動したときの前輪の増速比率(以下、単に「増速比率」
という)が高く設定され、反時計回りへ回動すれば増速
比率が低く設定される。
【0031】本実施の形態では、図8の破線で示すよう
に、該作業モードダイヤル59によって、増速比率を
「1」から「3」(後輪の周速度に対して前輪の周速度
が1倍〜3倍)の範囲で設定することが可能である。
尚、前輪の切れ角が所定値α未満の場合は車体が直進運
転中であるとみなし、前輪増速旋回制御に入らず油圧モ
ータ33を駆動しない。また、前輪の駆動量を設定する
操作手段は前記作業モードダイヤル59に限定されず、
図示は省略するが、ボリューム式に代えてレバー式の作
業モード切換具等を設置してもよい。
【0032】いま、前記作業モードダイヤル59を例え
ば「2.2」の位置に設定した場合は、図8の実線Aで
示すように、前輪の切れ角が所定値α未満では油圧モー
タ33が駆動されないので増速比率は「0」であり、前
輪の切れ角が増加して所定値α以上になったときに油圧
モータ33が駆動される。このとき、コントローラ70
から前記電動モータ85へ制御信号を出力して油圧ポン
プ32の吐出量が調整され、前輪20の周速度が後輪1
8の周速度の約2.2倍となるように油圧モータ33の
回転数が制御される。そして、車体の旋回量が大きくな
って前輪の切れ角が更に増加しても、作業モードダイヤ
ル59にて設定された増速比率「2.2」を維持すべ
く、コントローラ70が前記電動モータ55を制御す
る。
【0033】この増速比率は、土質や作物の種類、或い
は作業の状況などにより最適な比率に調整するのが好ま
しい。例えば乾田のように固い地盤では車輪のグリップ
力が高いため、増速比率を大きく設定して車体の旋回時
間をより短くすることができる。これに対して、草地や
代掻き作業では、増速比率が大き過ぎすぎると前輪が必
要以上に高速で駆動され、草を傷つけたり土がかき寄せ
られる虞がある。斯かる場合は、増速比率をやや低く設
定することにより、草の傷つきや圃場の荒れを防止しつ
つ旋回時間を短くできる。
【0034】尚、図9の実線Bで示すように、前輪の切
れ角が大きくなるのに伴って、増速比率が漸増するよう
に制御してもよい。増速比率の変動ラインは、車体の転
倒防止などの安全性を考慮して予め設定される。そし
て、先ず前輪の切れ角が所定値α以上になったときは、
作業モードダイヤル59にて設定された増速比率(例え
ば「1.4」)となるように油圧ポンプ32の吐出量を
調整し、前輪の切れ角が増加するのに伴い、油圧ポンプ
32の吐出量を増大して油圧モータ33の回転速度を徐
々に速くし、前輪の増速比率を漸増していく。
【0035】或いは、図10の破線で示すように、前輪
の切れ角が大きくなるのに伴って、増速比率を漸増する
ように変動ラインを定めておき、車体の旋回中に何らか
の状況変化があって、左右のブレーキペダルが同時に踏
み込まれたり、クラッチペダルが踏み込まれたときは、
同図の実線Cで示すように、その時点での増速比率(例
えば「1.4」)に固定して、それ以上増速比率を増加
させないように制御してもよい。左右のブレーキペダル
の踏み込みは前記ポテンショメータ54,55の検出値
から判定し、クラッチペダルの踏み込みは前記クラッチ
ペダルスイッチ57の検出値から判定することができ
る。
【0036】ここで、図11のフロチャートに従って、
前輪駆動装置27の制御手順について説明する。先ず、
各種センサやダイヤルの状態をコントローラ70へ読み
込む(ステップ1)。次に、作業モードダイヤル59の
設定位置に応じた前輪の増速比率をセットする(ステッ
プ2)。増速比率の変動ラインは、図8乃至図10に示
したラインの何れかを予めセットしておく。
【0037】いま、ステアリングハンドル15の操舵に
伴って前輪の切れ角が所定値α以上になったときは、コ
ントローラ70では車体が旋回状態に入ったとみなし
(ステップ3)、このとき傾斜センサ64の検出値から
車体の傾斜角度が所定値β以下であれば、前輪を増速し
ても安全であると判定する(ステップ4)。更に、前輪
回転センサ62及び後輪回転センサ63によって前輪2
0と後輪18の回転数を検出し、この回転差が所定値γ
以下のときはタイヤのスリップが僅少であると判定して
ステップ6へ進む。
【0038】ステップ6では、前記作業モードダイヤル
59の設定位置、若しくは予め設定された増速比率の変
動ラインに基づき、前輪の切れ角に応じた制御目標の増
速比率となるように、コントローラ70から前記電動モ
ータ85へ制御信号を出力する。従って、前輪の切れ角
に応じて油圧ポンプ32の吐出量が調整され、前輪20
の周速度が制御目標の増速比率となるように油圧モータ
33の回転数が制御される。前述したように、前輪駆動
装置27の切換装置29にギヤ式変速装置22からの動
力と油圧式変速装置31からの動力が同時に入力された
場合は、油圧式変速装置31からの動力が優先して前輪
20へ伝達されるため、前輪の切れ角に応じて最適の増
速比率で前輪20が駆動される。斯くして、車体の旋回
時間を短縮することができる。
【0039】そして、車体の旋回が終了して前輪の切れ
角が所定値α未満に復帰したときは(ステップ7)、油
圧式変速装置31の動力による前輪増速旋回制御を中止
する。然るときは、油圧モータ33の回転が停止して、
前記ギヤ式変速装置22から分岐された動力が切換装置
29から差動装置30へ伝達され、前輪20は前記ギヤ
式変速装置22からの動力により後輪18と同じ周速度
で駆動される。
【0040】ここで、ステップ3に於いて前輪の切れ角
が所定値αに至らないときは車体が直進状態であるの
で、油圧式変速装置31の駆動による前輪増速旋回制御
には入らない。また、ステップ4に於いて車体の傾斜角
度が所定値βを超えたときは、急速旋回すれば転倒の危
険が大きくなるため、油圧式変速装置31の駆動による
前輪増速旋回制御には入らない。更に、ステップ5に於
いて前後輪の回転差が所定値γを超えたときは、前輪2
0を増速してもタイヤのスリップが大きくて地面を掘り
返すことになるので、油圧式変速装置31の駆動による
前輪増速旋回制御には入らない。
【0041】尚、上述したように、車体の傾斜角度の増
加やタイヤのスリップ率の増大、或いは車速の急変等、
車体の旋回中に走行状態が悪化した場合は、図12の実
線Dで示すように、増速比率が漸減するように制御する
こともできる。斯くして、前輪を増速させながら車体を
旋回させている場合に走行状態が悪化したときは、油圧
モータ33の回転速度を遅くして前輪20の駆動量が低
下するため、車体の転倒事故や地面の荒れ等を防止する
ことができる。
【0042】而して、本発明は、本発明の精神を逸脱し
ない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明
が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明ではエンジ
ンの動力をギヤ式変速装置から分岐して前輪へ伝達する
経路と、油圧式変速装置からの動力を前輪へ伝達する経
路を設け、車体の旋回時には切換装置を作動させて油圧
式変速装置の動力により前輪を駆動するため、前輪の駆
動量を無段階で変更できる。
【0044】前記切換装置にワンウェイクラッチを設け
た場合は、車体の旋回時に油圧式変速装置からの動力が
優先して前輪へ伝達されるため、ギヤ式変速装置から分
岐される一定の回転数に関係なく、油圧式変速装置から
の動力の回転数に応じた周速度で前輪を駆動できる。
【0045】また、操作手段により油圧式変速装置によ
る前輪の駆動量を変更すれば、地盤の固さや作業状況に
より前輪の周速度を任意に設定することができ、前輪が
必要以上に高速で駆動されて、土がかき寄せられたり草
を傷つけたりすることを防止でき、最適の増速比率で前
輪が駆動される。
【0046】更に、車体の旋回量が大きくなるのに伴っ
て、油圧式変速装置による前輪の駆動量を増大させれ
ば、車体が急旋回した場合であっても旋回時間を最小に
抑えることができ、旋回性能の向上が図られる。
【0047】一方、車体の旋回中に走行状態が変化した
場合、例えば車体の傾斜角度の増加やタイヤのスリップ
率の増大、或いは車速の急変等、車体の走行状態が悪化
したときに、油圧式変速装置による前輪の駆動量を減少
若しくは駆動停止するように制御すれば、車体の転倒事
故や地面の荒れ等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の実施の形態を示すものである。
【図1】トラクタの側面図。
【図2】走行系の動力伝達ブロック図。
【図3】ワンウェイクラッチが切り状態の縦断面図。
【図4】ワンウェイクラッチが入り状態の縦断面図。
【図5】制御系のブロック図。
【図6】油圧回路図。
【図7】作業モードダイヤルの正面図。
【図8】前輪の切れ角と増速比率の関係の一例を示すグ
ラフ。
【図9】前輪の切れ角の変化に対する増速比率の変動の
一例を示すグラフ。
【図10】前輪の切れ角の変化に対する増速比率の変動
の他の一例を示すグラフ。
【図11】前輪駆動装置の制御手順を示すフローチャー
ト。
【図12】車体の走行状態の変化に対する増速比率の変
動の一例を示すグラフ。
【符号の説明】
10 トラクタ 11 エンジン 18 後輪 20 前輪 22 ギヤ式変速装置 27 前輪駆動装置 29 切換装置 31 油圧式変速装置 32 油圧ポンプ 33 油圧モータ 34 ワンウェイクラッチ 58 制御入切スイッチ 59 作業モードダイヤル 60 前輪切れ角センサ 61 エンジン回転センサ 62 前輪回転センサ 63 後輪回転センサ 64 傾斜センサ 70 コントローラ 85 電動モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳住 敦 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 古川 浩二 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 岡崎 俊憲 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの動力をギヤ式変速装置を介し
    て後輪に伝達するとともに、該ギヤ式変速装置から動力
    を分岐して前輪を駆動可能に構成した動力農機に於い
    て、前記ギヤ式変速装置から前輪を駆動する経路とは別
    に、可変式油圧ポンプを有する油圧式変速装置の動力を
    伝達して前輪を駆動する経路と、車体の旋回操作を検出
    する手段とを設け、車体の旋回時には前輪の駆動を前記
    ギヤ式変速装置の経路から油圧式変速装置の経路へ切り
    換える切換装置を設けたことを特徴とする動力農機の前
    輪駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記切換装置には、車体の旋回時に油圧
    式変速装置からの動力を優先して伝達するワンウェイク
    ラッチを設けた請求項1記載の動力農機の前輪駆動装
    置。
  3. 【請求項3】 前記油圧式変速装置による前輪の駆動量
    を任意に設定する操作手段を備えた請求項1または2記
    載の動力農機の前輪駆動装置。
  4. 【請求項4】 車体の旋回量が大きくなるのに伴って、
    前記油圧式変速装置による前輪の駆動量を増大するよう
    に構成した請求項1,2または3記載の動力農機の前輪
    駆動装置。
  5. 【請求項5】 車体の走行状態の変化により、前記油圧
    式変速装置による前輪の駆動量を減少若しくは停止する
    ように構成した請求項1,2または3記載の動力農機の
    前輪駆動装置。
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