JP3982035B2 - 動力農機の前輪駆動装置 - Google Patents

動力農機の前輪駆動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトラクタや田植機、芝刈機等の動力農機の前輪駆動装置に関するものであり、特に、走行系のギヤ式変速装置から動力を分岐して前輪へ伝達するとともに、これとは別に油圧式変速装置からの動力を伝達して前輪を駆動するように構成された動力農機の前輪駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラクタや田植機、芝刈機等の動力農機に於いて、エンジンの動力をギヤ式変速装置を介して後輪に伝達するとともに、該ギヤ式変速装置から動力を分岐して前輪を駆動可能にした構成が知られている。斯かる構成の場合、4WDクラッチにより前輪への動力伝達を入切りし、四輪駆動の切り換えを行っている。
【0003】
また、前記ギヤ式変速装置とは別に前輪への動力伝達軸に変速ギヤを設け、車体の旋回時には該変速ギヤによって前輪の回転を増速し、前輪の周速度を後輪より高くして車体の旋回時間を短縮する、所謂前輪増速旋回制御を行う動力農機も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の前輪増速旋回制御では、車体の旋回時に後輪の周速度に対して予め設定した増速比率(例えば後輪の2倍)で前輪を高速回転で駆動する。しかし、変速ギヤの組合せを変更しないかぎりこの増速比率は一定であるため、前輪の周速度を更に増速して車体の旋回時間をより短くすることはできない。また、これとは反対に、地盤の固さや作業状況によっては前輪が高速回転で駆動され過ぎ、土が掻き寄せられたり或いは草を傷つけたりすることがあった。
【0005】
そこで、車体の旋回時に前輪を高速回転で駆動することにより旋回時間を短縮するとともに、地盤の固さや作業状況により前輪の増速比率を変化できるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、エンジン(11)の動力をギヤ式変速装置(22)を介して後輪(18)に伝達するとともに、該ギヤ式変速装置(22)から動力を分岐して前輪(20)を駆動可能に構成した動力農機であって、前記ギヤ式変速装置(22)から前輪(20)を駆動する経路とは別に、可変式油圧ポンプ(32)を有する油圧式変速装置(31)の動力を伝達して前輪(20)を駆動する経路と、車体の旋回操作を検出する手段(60)とを設け、車体の旋回時には前輪(20)の駆動を前記ギヤ式変速装置(22)の経路から油圧式変速装置(31)の経路へ切り換える切換装置(29)を設けた動力農機の前輪駆動装置(27)に於いて、
上記切換装置(29)には、車輪(20)の旋回時に油圧式変速装置(31)からの動力を優先して伝達するワンウェイクラッチ(34)を設けると共に、上記油圧式変速装置(31)による前輪(20)の駆動量を任意に設定する操作手段を備え、且つ、車体の旋回量が大きくなるのに伴って、前記油圧式変速装置(31)による前輪(20)の駆動量を増大するように構成し、更に、車体の傾斜度が増加したときは、前記油圧式変速装置(31)の油圧モータ(33)の回転速度を遅くして前輪(20)の駆動量を低下させるように構成した動力農機の前輪駆動装置を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳述する。図1は動力農機の一例としてトラクタ10を示し、車体の前部にエンジン11が載置されてフード12で被蔽されている。キャビン13の内部にはシート14を装着してあり、ステアリングハンドル15や変速レバー16及び各種操作スイッチ等が設けられている。エンジン11の動力はミッションケース17内に収められたギヤ式変速装置を介して後輪18に伝達されるとともに、ギヤ式変速装置から分岐された動力を前輪動力伝達軸19から前輪20に伝達できるように構成されている。尚、前輪20の駆動部近傍には後述する油圧ポンプ32が設けられており、エンジン11の動力で該油圧ポンプ32が駆動され、油圧モータ33へ作動油が供給される。
【0008】
図2は走行系の動力伝達ブロック図であり、エンジン11の動力は主クラッチ21により入切りされ、ギヤ式変速装置22である前後進切換機23、主変速機24、副変速機25により順次変向或いは変速された後に、差動装置26を経て左右の後輪18へ伝達される。左右の後輪18には夫々ブレーキ装置65,66が設けられており、左右のブレーキペダル(図示せず)により独立してブレーキ操作ができるように構成されている。
【0009】
また、前記ギヤ式変速装置22から動力を分岐し、前輪駆動装置27を経て前輪20を駆動できるように形成されている。前記ギヤ式変速装置22から分岐された動力は、後述するコントローラ70の指令によって4WDクラッチ28で入切りされ、前輪動力伝達軸19に接続した切換装置29へ入力される。そして、この動力は切換装置29から差動装置30を介して前輪20へ伝達される。
【0010】
一方、前輪駆動装置27には、前記ギヤ式変速装置22からの動力で前輪20を駆動する経路とは別に、油圧式変速装置31の動力で前輪20を駆動する経路が設けられている。該油圧式変速装置31は可変式油圧ポンプ32を有し、この油圧ポンプ32によって駆動される油圧モータ33の回転を前記切換装置29へ入力するように構成されている。
【0011】
ここで、前記切換装置29は、ギヤ式変速装置22から分岐された動力の経路と、油圧式変速装置31の動力の経路の何れか一方を選択し、該選択された経路の動力を差動装置30を経て前輪20へ伝達するものである。前記切換装置29には、車体の旋回時に油圧式変速装置31からの動力を優先して伝達する手段が設けられおり、該優先伝達手段としては、例えばワンウェイクラッチを使用する。
【0012】
図3はワンウェイクラッチ34を示し、前輪動力伝達軸19に接続されたフルタイム駆動輪35には、台形状の数個のカム36,36…を前面に設けた回転壁37が前後方向中間部から外方へ延設されており、更に、フルタイム駆動輪35を遊転保持するクラッチ軸38の後位置には、多数の小爪39,39…を後面に設けた従動輪40がスプライン等を介して取り付けられる。
【0013】
このフルタイム駆動輪35と従動輪40は互いに独立した状態となっており、この両者間にクラッチ部41が取り付けられている。該クラッチ部41の後面には前記カム36,36…に係合する従動カム42,42…が設けられ、且つ、該クラッチ部41の前面には前記小爪39,39…に噛み合う駆動小爪43,43…が突設されている。
【0014】
44は押圧バネであり、前記クラッチ部41をフルタイム駆動輪35のカム36側へ押圧するように付勢している。また、45は収納ケースであって、フルタイム駆動輪35と一体に回転するとともに、機枠側に当接するブレーキ具46,46…により、その回転に抵抗を与えている。これらフルタイム駆動輪35とクラッチ部41と従動輪40とにより、ワンウェイクラッチ34が構成される。
【0015】
いま、前記ギヤ式変速装置22から分岐された動力が、前輪動力伝達軸19からワンウェイクラッチ34に入力されると、フルタイム駆動輪35が回転して回転壁37のカム36によりクラッチ部41の従動カム42にスラスト力が作用し、クラッチ部41が前方(同図中左方向)へ押圧される。従って、図4に示すように、クラッチ部41の駆動小爪43が従動輪40の小爪39に噛み合って、フルタイム駆動輪35の回転がクラッチ部41を介して従動輪40へ伝わる。斯くして、従動輪40にスプライン嵌合したクラッチ軸38が駆動され、前輪の差動装置30へギヤ式変速装置22からの動力が伝達されて、前輪20が後輪18と同じ周速度で駆動される。
【0016】
ここで、ギヤ式変速装置の動力で前輪20が駆動されている場合は、図4に示すように、ワンウェイクラッチ34が入り状態となってフルタイム駆動輪35と従動輪40が等速で回転するが、このとき、前記油圧式変速装置31からの動力が切換装置29に入力された場合は、油圧モータ33の回転によりクラッチ軸38が駆動される。そして、従動輪40の回転がフルタイム駆動輪35より高くなると、小爪39が駆動小爪43より速く回転してクラッチ部41を高速で回転させ、次に、押圧バネ44の作用によってクラッチ部41全体が後方へ移動し、図3に示したように、従動輪40とクラッチ部41が離間する。
【0017】
従って、ギヤ式変速装置22の動力で前輪20が駆動されている場合であっても、油圧式変速装置31からの動力が切換装置29に入力されたときは、前記ワンウェイクラッチ34が切り状態となって従動輪40が空転する。即ち、油圧式変速装置31からの動力が優先して前輪20へ伝達され、前輪20が油圧モータ33の回転速度に応じた周速度で駆動される。
【0018】
尚、前記優先伝達手段としては、前述したワンウェイクラッチ34のほか、図示は省略するが、ギヤ式変速装置22の動力の経路と油圧式変速装置31の動力の経路に夫々クラッチを設けておき、コントローラ70によっていずれかのクラッチを択一的に入切りするように構成することもできる。
【0019】
図5は制御系のブロック図であり、ポテンショメータ51によりポジションレバーの操作位置を検出し、ポテンショメータ52により変速レバーのシフト位置を検出する。また、ポテンショメータ53によりリフトアームの回動角即ち後部作業機の高さを検出し、ポテンショメータ54,55により夫々左右のブレーキペダルの踏み込み位置を検出する。
【0020】
一方、後進検出スイッチ56は前後進切換機23を後進位置に切り換えたときにオンとなり、クラッチペダルスイッチ57は主クラッチ21を切るためにクラッチペダルを踏み込んだときにオンになる。更に、車体の旋回時に油圧式変速装置31の動力により前輪増速旋回制御する場合は、予め制御入切スイッチ58をオンにするとともに、後輪の周速度に対する前輪の周速度、即ち増速比率を作業モードダイヤル59により任意に設定し、前記油圧式変速装置31の動力による前輪20の駆動量を調整する。
【0021】
ここで、ステアリングハンドル15の操舵に伴う前輪20の旋回量を検出する手段として前輪切れ角センサ60を設け、エンジン11の回転数を検出する手段としてエンジン回転センサ61を設ける。尚、車体の旋回操作を検出する手段としては、前記前輪切れ角センサ60によって前輪20の操舵角を直接的に検出する他に、ステアリングハンドル15の回転角度やステアリングハンドル15の操作速度を測定したり、パワーステアリング装置の油圧シリンダのピストン伸縮量を検出する方法などもある。
【0022】
また、タイヤのスリップを検出する手段として前輪回転センサ62及び後輪回転センサ63を設け、該前輪回転センサ62及び後輪回転センサ63によって前輪20と後輪18の回転数を検出し、この回転差をコントローラ70へ入力してタイヤのスリップ率を演算する。更に、車体の傾斜を検出する手段として傾斜センサ64を設け、該傾斜センサ64によって車体のローリング角を検出する。
【0023】
前記各検出信号はコントローラ70へ入力され、例えばポテンショメータ51の検出信号に基づいてポジョンレバーの操作位置を判別し、作業機昇降用のリフトシリンダを作動すべく、電磁制御弁の作業機上昇用ソレノイド81または作業機下降用ソレノイド82へ指令信号を出力する。或いは、例えばポテンショメータ54,55の検出信号に基づいて左右のブレーキペダルの踏み込み位置を判別し、その操作力の大小に応じて後輪のブレーキシリンダを作動すべく、電磁制御弁の左ブレーキ用ソレノイド83または右ブレーキ用ソレノイド84へ指令信号を出力する。
【0024】
更に、後述する制御手順に従って、油圧ポンプ32の吐出量を変更するアクチュエータである電動モータ85へ制御信号を出力し、該油圧ポンプ32の吐出量を増減することによって油圧モータ33の回転速度を変化させる。従って、油圧式変速装置31による前輪20の駆動量が変化し、作業モードダイヤル59によって設定した増速比率、若しくは制御目標の増速比率となるように前輪20の周速度を制御する。
【0025】
図6は油圧回路を示し、前記油圧式変速装置31には可変式の油圧ポンプ32が設けられている。該油圧ポンプ32から吐出される作動油は電磁制御弁90によって制御され、前述した制御入切スイッチ58がオフのときは、該電磁制御弁90がノーマル位置(イ)にあって油圧モータ33は駆動されない。そして、制御入切スイッチ58をオンにしたときは、該電磁制御弁90がオフセット位置(ロ)に切り換わり、油圧ポンプ32の吐出油が油圧モータ33へ導出される。
【0026】
ここで、電動モータ85を駆動してトラニオン軸を回転すれば、油圧ポンプ32の斜板若しくは斜軸の角度即ち傾転角が変化し、該油圧ポンプ32の吐出量が増減する。従って、油圧モータ33の流量が変わり、該油圧モータ33の回転速度を任意に調整できる。尚、図示は省略するが可変式の油圧モータを使用し、電動モータによって該油圧モータの傾転角を変化させることにより、油圧モータの流量を変更して回転速度を任意に調整するように構成してもよい。
【0027】
前述したように、たとえ4WDクラッチ28が作動してギヤ式変速装置22から分岐された動力が前輪動力伝達軸19へ伝達されている場合であっても、油圧式変速装置31の動力が切換装置29に入力されたときは、該油圧式変速装置31からの動力が優先して前輪20へ伝達される。
【0028】
尚、同図に於いて符号95a,95bは他の油圧ポンプであり、油圧ポンプ95aから吐出される作動油は電磁制御弁96によって制御され、前記コントローラ70から作業機上昇用ソレノイド81または作業機下降用ソレノイド82へ指令信号が出力されたときに、油圧ポンプ95aの作動油がリフトシリンダ97へ供給されて作業機が昇降する。一方、油圧ポンプ95bから吐出される作動油は、減圧弁98を介してパワーステアリング回路99へ供給され、ステアリングシリンダ100が駆動されて前輪20が回向する。
【0029】
また、減圧弁98から分岐した作動油は、電磁制御弁101,102を介して左右のブレーキシリンダ103,104に導出されるとともに、その他の油圧回路へ供給される。前記コントローラ70から左ブレーキ用ソレノイド83または右ブレーキ用ソレノイド84へ指令信号が出力されたときは、該指令信号の大きさに応じて電磁制御弁101または102が開放し、ブレーキシリンダ103,104が駆動されて左または右のブレーキ装置65,66が作動し、後輪18,18が夫々独立して制動される。
【0030】
図7は前記油圧式変速装置31による前輪20の駆動量を任意に設定する操作手段の一例として作業モードダイヤル59を示し、該作業モードダイヤル59は前記キャビン13内の操作しやすい場所に設けられている。該作業モードダイヤル59を時計回りへ回動すれば、油圧式変速装置31の動力によって前輪20を駆動したときの前輪の増速比率(以下、単に「増速比率」という)が高く設定され、反時計回りへ回動すれば増速比率が低く設定される。
【0031】
本実施の形態では、図8の破線で示すように、該作業モードダイヤル59によって、増速比率を「1」から「3」(後輪の周速度に対して前輪の周速度が1倍〜3倍)の範囲で設定することが可能である。尚、前輪の切れ角が所定値α未満の場合は車体が直進運転中であるとみなし、前輪増速旋回制御に入らず油圧モータ33を駆動しない。また、前輪の駆動量を設定する操作手段は前記作業モードダイヤル59に限定されず、図示は省略するが、ボリューム式に代えてレバー式の作業モード切換具等を設置してもよい。
【0032】
いま、前記作業モードダイヤル59を例えば「2.2」の位置に設定した場合は、図8の実線Aで示すように、前輪の切れ角が所定値α未満では油圧モータ33が駆動されないので増速比率は「0」であり、前輪の切れ角が増加して所定値α以上になったときに油圧モータ33が駆動される。このとき、コントローラ70から前記電動モータ85へ制御信号を出力して油圧ポンプ32の吐出量が調整され、前輪20の周速度が後輪18の周速度の約2.2倍となるように油圧モータ33の回転数が制御される。そして、車体の旋回量が大きくなって前輪の切れ角が更に増加しても、作業モードダイヤル59にて設定された増速比率「2.2」を維持すべく、コントローラ70が前記電動モータ55を制御する。
【0033】
この増速比率は、土質や作物の種類、或いは作業の状況などにより最適な比率に調整するのが好ましい。例えば乾田のように固い地盤では車輪のグリップ力が高いため、増速比率を大きく設定して車体の旋回時間をより短くすることができる。これに対して、草地や代掻き作業では、増速比率が大き過ぎすぎると前輪が必要以上に高速で駆動され、草を傷つけたり土がかき寄せられる虞がある。斯かる場合は、増速比率をやや低く設定することにより、草の傷つきや圃場の荒れを防止しつつ旋回時間を短くできる。
【0034】
尚、図9の実線Bで示すように、前輪の切れ角が大きくなるのに伴って、増速比率が漸増するように制御してもよい。増速比率の変動ラインは、車体の転倒防止などの安全性を考慮して予め設定される。そして、先ず前輪の切れ角が所定値α以上になったときは、作業モードダイヤル59にて設定された増速比率(例えば「1.4」)となるように油圧ポンプ32の吐出量を調整し、前輪の切れ角が増加するのに伴い、油圧ポンプ32の吐出量を増大して油圧モータ33の回転速度を徐々に速くし、前輪の増速比率を漸増していく。
【0035】
或いは、図10の破線で示すように、前輪の切れ角が大きくなるのに伴って、増速比率を漸増するように変動ラインを定めておき、車体の旋回中に何らかの状況変化があって、左右のブレーキペダルが同時に踏み込まれたり、クラッチペダルが踏み込まれたときは、同図の実線Cで示すように、その時点での増速比率(例えば「1.4」)に固定して、それ以上増速比率を増加させないように制御してもよい。左右のブレーキペダルの踏み込みは前記ポテンショメータ54,55の検出値から判定し、クラッチペダルの踏み込みは前記クラッチペダルスイッチ57の検出値から判定することができる。
【0036】
ここで、図11のフロチャートに従って、前輪駆動装置27の制御手順について説明する。先ず、各種センサやダイヤルの状態をコントローラ70へ読み込む(ステップ1)。次に、作業モードダイヤル59の設定位置に応じた前輪の増速比率をセットする(ステップ2)。増速比率の変動ラインは、図8乃至図10に示したラインの何れかを予めセットしておく。
【0037】
いま、ステアリングハンドル15の操舵に伴って前輪の切れ角が所定値α以上になったときは、コントローラ70では車体が旋回状態に入ったとみなし(ステップ3)、このとき傾斜センサ64の検出値から車体の傾斜角度が所定値β以下であれば、前輪を増速しても安全であると判定する(ステップ4)。更に、前輪回転センサ62及び後輪回転センサ63によって前輪20と後輪18の回転数を検出し、この回転差が所定値γ以下のときはタイヤのスリップが僅少であると判定してステップ6へ進む。
【0038】
ステップ6では、前記作業モードダイヤル59の設定位置、若しくは予め設定された増速比率の変動ラインに基づき、前輪の切れ角に応じた制御目標の増速比率となるように、コントローラ70から前記電動モータ85へ制御信号を出力する。従って、前輪の切れ角に応じて油圧ポンプ32の吐出量が調整され、前輪20の周速度が制御目標の増速比率となるように油圧モータ33の回転数が制御される。前述したように、前輪駆動装置27の切換装置29にギヤ式変速装置22からの動力と油圧式変速装置31からの動力が同時に入力された場合は、油圧式変速装置31からの動力が優先して前輪20へ伝達されるため、前輪の切れ角に応じて最適の増速比率で前輪20が駆動される。斯くして、車体の旋回時間を短縮することができる。
【0039】
そして、車体の旋回が終了して前輪の切れ角が所定値α未満に復帰したときは(ステップ7)、油圧式変速装置31の動力による前輪増速旋回制御を中止する。然るときは、油圧モータ33の回転が停止して、前記ギヤ式変速装置22から分岐された動力が切換装置29から差動装置30へ伝達され、前輪20は前記ギヤ式変速装置22からの動力により後輪18と同じ周速度で駆動される。
【0040】
ここで、ステップ3に於いて前輪の切れ角が所定値αに至らないときは車体が直進状態であるので、油圧式変速装置31の駆動による前輪増速旋回制御には入らない。また、ステップ4に於いて車体の傾斜角度が所定値βを超えたときは、急速旋回すれば転倒の危険が大きくなるため、油圧式変速装置31の駆動による前輪増速旋回制御には入らない。更に、ステップ5に於いて前後輪の回転差が所定値γを超えたときは、前輪20を増速してもタイヤのスリップが大きくて地面を掘り返すことになるので、油圧式変速装置31の駆動による前輪増速旋回制御には入らない。
【0041】
尚、上述したように、車体の傾斜角度の増加やタイヤのスリップ率の増大、或いは車速の急変等、車体の旋回中に走行状態が悪化した場合は、図12の実線Dで示すように、増速比率が漸減するように制御することもできる。斯くして、前輪を増速させながら車体を旋回させている場合に走行状態が悪化したときは、油圧モータ33の回転速度を遅くして前輪20の駆動量が低下するため、車体の転倒事故や地面の荒れ等を防止することができる。
【0042】
而して、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明ではエンジンの動力をギヤ式変速装置から分岐して前輪へ伝達する経路と、油圧式変速装置からの動力を前輪へ伝達する経路を設け、車体の旋回時には切換装置を作動させて油圧式変速装置の動力により前輪を駆動するため、前輪の駆動量を無段階で変更することができるとともに、前記切換装置にワンウェイクラッチを設けたので、車体の旋回時に油圧式変速装置からの動力が優先して前輪へ伝達されるため、ギヤ式変速装置から分岐される一定の回転数に関係なく、油圧式変速装置からの動力の回転数に応じた周速度で前輪を駆動することができる。
【0044】
そして、上記油圧式変速装置による前輪の駆動量を、任意に設定する操作手段を備え、且つ、車体の旋回量が大きくなるのに伴って、前記油圧式変速装置による前輪の駆動量を増大するように構成したので、地盤の固さや作業状況により前輪の周速度を任意に設定することができ、前輪が必要以上に駆動されて、土がかき寄せられたり草を傷つけたりすることを防止でき、最適の増速比率で前輪が駆動される。
【0045】
また、車体の旋回量が大きくなるに伴って、油圧式変速装置による前輪の駆動量を増大させるので、車体が急旋回した場合であっても旋回時間を最小に抑えることができ、旋回性能の向上が図られる。
【0046】
一方、車体の旋回中に車体の傾斜角度の増加による車体の走行状態の悪化があったときは、油圧式変速装置による前輪の駆動量を減少するように制御するので、車体の転倒事故や地面の荒れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の実施の形態を示すものである。
【図1】トラクタの側面図。
【図2】走行系の動力伝達ブロック図。
【図3】ワンウェイクラッチが切り状態の縦断面図。
【図4】ワンウェイクラッチが入り状態の縦断面図。
【図5】制御系のブロック図。
【図6】油圧回路図。
【図7】作業モードダイヤルの正面図。
【図8】前輪の切れ角と増速比率の関係の一例を示すグラフ。
【図9】前輪の切れ角の変化に対する増速比率の変動の一例を示すグラフ。
【図10】前輪の切れ角の変化に対する増速比率の変動の他の一例を示すグラフ。
【図11】前輪駆動装置の制御手順を示すフローチャート。
【図12】車体の走行状態の変化に対する増速比率の変動の一例を示すグラフ。
【符号の説明】
10 トラクタ
11 エンジン
18 後輪
20 前輪
22 ギヤ式変速装置
27 前輪駆動装置
29 切換装置
31 油圧式変速装置
32 油圧ポンプ
33 油圧モータ
34 ワンウェイクラッチ
58 制御入切スイッチ
59 作業モードダイヤル
60 前輪切れ角センサ
61 エンジン回転センサ
62 前輪回転センサ
63 後輪回転センサ
64 傾斜センサ
70 コントローラ
85 電動モータ

Claims (1)

  1. エンジン(11)の動力をギヤ式変速装置(22)を介して後輪(18)に伝達するとともに、該ギヤ式変速装置(22)から動力を分岐して前輪(20)を駆動可能に構成した動力農機であって、前記ギヤ式変速装置(22)から前輪(20)を駆動する経路とは別に、可変式油圧ポンプ(32)を有する油圧式変速装置(31)の動力を伝達して前輪(20)を駆動する経路と、車体の旋回操作を検出する手段(60)とを設け、車体の旋回時には前輪(20)の駆動を前記ギヤ式変速装置(22)の経路から油圧式変速装置(31)の経路へ切り換える切換装置(29)を設けた動力農機の前輪駆動装置(27)に於いて、
    上記切換装置(29)には、車輪(20)の旋回時に油圧式変速装置(31)からの動力を優先して伝達するワンウェイクラッチ(34)を設けると共に、上記油圧式変速装置(31)による前輪(20)の駆動量を任意に設定する操作手段を備え、且つ、車体の旋回量が大きくなるのに伴って、前記油圧式変速装置(31)による前輪(20)の駆動量を増大するように構成し、更に、車体の傾斜度が増加したときは、前記油圧式変速装置(31)の油圧モータ(33)の回転速度を遅くして前輪(20)の駆動量を低下させるように構成したことを特徴とする動力農機の前輪駆動装置。
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