JPH11187869A - 新規な4−ハロアセト酢酸エステル還元酵素、該酵素の製造方法、及び該酵素を利用したアルコールの製造方法 - Google Patents

新規な4−ハロアセト酢酸エステル還元酵素、該酵素の製造方法、及び該酵素を利用したアルコールの製造方法

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JPH11187869A
JPH11187869A JP9357969A JP35796997A JPH11187869A JP H11187869 A JPH11187869 A JP H11187869A JP 9357969 A JP9357969 A JP 9357969A JP 35796997 A JP35796997 A JP 35796997A JP H11187869 A JPH11187869 A JP H11187869A
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halo
hydroxybutyrate
ester
reductase
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JP9357969A
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Kunihiro Kimoto
訓弘 木本
Hiroaki Yamamoto
浩明 山本
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Daicel Chemical Industries Ltd
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    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/0004Oxidoreductases (1.)
    • C12N9/0006Oxidoreductases (1.) acting on CH-OH groups as donors (1.1)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 4-ハロアセト酢酸エステルを還元して高い光
学純度の(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルを生成
しうる新規な酵素を提供することを課題とする。さら
に、該酵素を利用して高い光学純度の(S)-4-ハロ-3-ヒ
ドロキシ酪酸エステルを製造する方法を提供することを
課題とする。 【解決手段】 種々の精製操作を駆使することにより、
クライベロマイセス属に属する微生物から4-ハロアセト
酢酸エステルを還元して光学活性4-ハロ-3-ヒドロキシ
酪酸エステルを生成する酵素を単離することに成功し
た。さらに、単離した酵素を4-ハロアセト酢酸エチルに
作用させることにより、高い光学純度で(S)-4-ハロ-3-
ヒドロキシ酪酸エチルが生成させることに成功した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なケトン還元
酵素、該酵素の製造方法、並びに該酵素を用いたアルコ
ール、特に (S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】(s)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステル
は、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤やD-カルニチンなど医
農薬合成の中間体として重要である。従来、光学活性-4
-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルの製造方法としては、
3α-ヒドロキシステロイド脱水素酵素を用いた不斉還元
法(特開平1-277494号公報)、パン酵母など微生物を用い
た不斉還元法(J. Am. Chem. Soc., 105, 5925-5926 (19
83)、特開平61-146191号公報等)などが知られている。
【0003】また、4-ハロアセト酢酸エステルを還元し
て4-ハロ-ヒドロキシ酢酸エステルを生成する方法とし
ては、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cer
evisiae)由来のD-enzyme-1, D-enzyme-2 (J. Org. Che
m. 56, 4778-4783 (1991))、L-enzyme-1, L-enzyme-2 (
Biosci.Biotech.Biochem. 58, 2236-2240 (1994))、スポ
ロボロマイセス・サルモニカラー由来のアルデヒド還元
酵素(Sporobolomyces salmonicolor:Biochim. Biophys.
Acta 1122, 57-62 (1992))、スポロボロマイセス・エス
ピー由来のアルデヒド還元酵素(Sporobolomyces sp.:Bi
osci. Biotech.Biochem. 57, 303-307 (1993))、キャン
ディダ・アルビカンス由来のアルデヒド還元酵素(Candid
a albicans:Biosci. Biotech. Biochem. 57, 303-307
(1993)、トリコスポロン・ファーメンタンス由来のアルデ
ヒド還元酵素(Trichosporon fermentans:特開平 08-126
487号公報 (960521)、ハンセヌラ・ムラッキー由来のアル
デヒド還元酵素(Hansenula mrakii:特開平 08-126486号
公報 (960521))、キャンディダ・マセドニエンシス由来の
ケトパントテン酸エチルエステル還元酵素(Candida mac
edoniensis:Arch. Biochem. Biophys. 294, 469-474 (1
992))、ゲオトリカム・キャンディダム由来の4-クロロア
セト酢酸エチルエステル還元酵素(Geotrichum candidu
m:Enzyme Microb. Technol. 14, 731-738 (1992))など
の酵素を用いる方法が報告されている。このうちキャン
ディダ・マセドニエンシス由来の酵素ケトパントテン酸
エチルエステル還元酵素、サッカロマイセス・セレビジア
エ由来のD-enzyme-1, D-enzyme-2、ゲオトリカム・キャン
ディダム由来の4-クロロアセト酢酸エチルエステル還元
酵素を用いる方法は(S)体の4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エ
ステルを製造する方法である。しかしながら、これら
(S)体の4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルを製造する方
法には、光学純度が低い、蓄積濃度が低いなどの問題点
があった。
【0004】一方、本発明者らは、クライベロマイセス
属をはじめとする微生物が4-ハロアセト酢酸エステルを
還元し、光学活性4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルを生
成することを見いだし、特許出願している(特開平6-209
782号公報)。しかしながら、これらの微生物の作用の機構
については全く解明されていない。また、これら微生物
を用いて(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルを製造
する方法においても、生成物の光学純度や蓄積濃度は満
足のいくものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、4-ハロアセ
ト酢酸エステルを還元して高い光学純度の(S)-4-ハロ-3
-ヒドロキシ酪酸エステルを生成しうる新規な酵素を提
供することを課題とする。さらに、本発明は、該酵素を
利用して高い光学純度の(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸
エステルを製造する方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、クライベ
ロマイセス属をはじめとする微生物が4-ハロアセト酢酸
エステルを還元し、光学活性4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エ
ステルを生成することに着目し、該微生物からこのよう
な作用を有する酵素を単離すべく鋭意研究を行った結
果、種々の精製操作を駆使することにより、遂に所期の
酵素を単離することに成功した。さらに、本発明者等は
単離した酵素を4-ハロアセト酢酸エチルに作用させるこ
とにより、高い光学純度で(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪
酸エチルを生成させることに成功した。
【0007】即ち、本発明は、4-ハロアセト酢酸エステ
ルを還元し、(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルを生
成する新規な酵素、および該酵素を利用して高い光学純
度で(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エチルを製造する方
法に関し、より具体的には、(1) 下記の理化学的性
質を有する酵素、 (1)作用 β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下
NADPHと略す)を電子供与体として、4-ハロアセト酢酸エ
ステルを還元し、(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステル
を生成する。 (2)基質特異性 4-クロロアセト酢酸エステルに高い還元活性を有し、ア
セト酢酸エステルには作用しない。また、 (S)-4-ハロ-3-
ヒドロキシ酪酸エステルに対する脱水素酵素活性を有し
ない。電子受容体としてNADPHを利用する。 (3)分子量 ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル
電気泳動により測定した場合、約19万ダルトンである。
(2) クライベロマイセス(Kluyveromyces)属に属
する微生物に由来する、(1)に記載の酵素、(3)
クライベロマイセス属に属する微生物がクライベロマイ
セス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)である、
(2)に記載の酵素、(4) (1)乃至(3)のいず
れかに記載の酵素を有する微生物を培養し、その培養物
から精製することを特徴とする、(1)乃至(3)のい
ずれかに記載の酵素の製造方法、(5) (1)乃至
(3)のいずれかに記載の酵素を4-ハロアセト酢酸エス
テルに作用させて、(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エス
テルを生成させることを特徴とする、(S)-4-ハロ-3-ヒ
ドロキシ酪酸エステルの製造方法、(6) 4-ハロアセ
ト酢酸エステルが4-クロロアセト酢酸エステルであり、
(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルが(S)-4-クロロ-
3-ヒドロキシ酪酸エステルである、(5)に記載の方
法、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、4-ハロアセト酢酸エス
テルを還元し、(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルを
生成する新規な酵素に関する。
【0009】本発明の酵素は、(1)β-ニコチンアミド
アデニンジヌクレオチドリン酸(以下「NADPH」と略す)
を電子供与体として、4-ハロアセト酢酸エステルを還元
し、(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルを生成する、
(2)4-クロロアセト酢酸エステルに高い還元活性を有し、
アセト酢酸エステルには作用せず、(S)-4-ハロ-3-ヒド
ロキシ酪酸エステルに対する脱水素酵素活性を有しな
い、(3)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動により測定した場合、分子量が約19万
ダルトンである、という特徴を有する。本発明者等が単
離したクライベロマイセス・ラクティス由来の酵素は、
上記の基本的な特徴の他に、(1)至適pHが6.5である、
(2)pH6〜8の範囲で比較的安定である、(3)至適温度
は45℃である、(4)37℃まで比較的安定である、(5)
SH試薬であるパラクロロ水銀安息香酸(PCMB:p-chloro
mercuribenzoic acid)により完全に阻害される。塩化
水銀、硫酸銅、硫酸亜鉛などの重金属により阻害され、
N-エチルマレイミド、メチルビニルケトンによって阻害
される、などの諸性質を有する。
【0010】本発明の酵素は、該酵素を有する微生物を
培養し、その培養物から精製することにより調製するこ
とができる。本発明の酵素の調製に用いる微生物は、好
ましくは、クライベロマイセス(Kluyveromyces)属に
属する微生物であり、さらに好ましくは、クライベロマ
イセス・ラクティス 、クライベロマイセス・マルキシ
アンス、クライベロマイセス・ポリスポラス、クライベ
ロマイセス・アエツアリー、クライベロマイセス・ヤロ
ウィー種に属する微生物である。これら種に属する微生
物としては、例えば、クライベロマイセス・ラクティス
NRIC 1329、クライベロマイセス・ラクティス IFO 167
3、クライベロマイセス・ラクティスCBS743、クライベ
ロマイセス・マルキシアンスDSM 70801(Kluyveromyces
marxianus)、クライベロマイセス・ポリスポラスDSM
70294(Kluyveromyces polysporus)、クライベロマイ
セス・アエツアリー IFO 10597(Kluyveromyces aestua
rii)、クライベロマイセス・ヤロウィー IFO 10314(K
luyveromyces yarrowii)が挙げられるが、これらに制
限されない。微生物の培養は、通常使用される培地成分
を適当に組み合わせた培地中で、10〜40℃、好ましくは
20〜30℃において、静置あるいは振とう撹拌することに
より行うことができる。例えば、グルコース20g/L、酵
母エキス、麦芽エキスを含むYM培地などが好適に利用さ
れる。
【0011】培養した微生物からの本発明の酵素の精製
は、当業者に公知の方法、例えば、蛋白質の溶解度によ
る分画(有機溶媒による沈澱や硫安などによる塩析な
ど)や陽イオン交換、陰イオン交換、ゲルろ過、疎水性
クロマトグラフィーや、キレート、色素、抗体などを用
いたアフィニティークロマトグラフィーなどを適当に組
み合わせることにより行うことができる。例えば、酵母
菌体を破砕後、プロタミン硫酸処理、プロタミン硫酸沈
殿物から高塩濃度液による抽出、硫安沈殿、 ブチル−
トヨパール疎水クロマトグラフィー、TSKG3000SWゲルろ
過を行うことによりポリアクリルアミドゲル電気泳動的
にほぼ単一バンドにまで精製することができる。
【0012】なお、一旦精製した酵素が取得できれば、
当業者であれば公知の方法により、該酵素をコードする
DNAを取得することができる。例えば、精製した酵素を
直接、プロテインシーケンサーにより解析し、そのN末
端アミノ酸配列を決定する。さらに、精製酵素をリジル
エンドペプチターゼ、V8プロテアーゼなどタンパク質を
限定分解するプロテアーゼにより精製酵素を限定分解
し、得られたペプチド断片を逆相液体クロマトグラフィ
ーなどにより精製後、プロテインシーケンサーによりそ
れらペプチド断片のN末端アミノ酸配列を解析すること
により酵素の内部配列を決定することができる。得られ
たアミノ酸配列からプライマーDNAを合成し、該酵素生
産菌より単離したmRNAから調製したcDNAもしくは染色体
DNAを鋳型としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により酵素
をコードするDNAを増幅することができる。得られたDNA
断片をプローブとして、該酵素生産菌より調製したcDNA
ライブラリーもしくは染色体DNAライブラリーをスクリ
ーニングし、該酵素をコードする遺伝子の全長を取得す
ることができる。
【0013】また、本発明は、本発明の酵素を利用して
(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エチルを製造する方法に
関する。本発明の製造方法は、本発明の酵素を4-ハロア
セト酢酸エステルに作用させて、(S)-4-ハロ-3-ヒドロ
キシ酪酸エステルを生成させることを特徴とする。本発
明の製造方法に用いる酵素には、精製した天然の酵素の
他、本発明の酵素を発現するように形質転換された微生
物由来の酵素も含まれる。反応に用いる酵素量は、通
常、0.001〜1000U/mL程度である。反応に用いる4-ハロ
アセト酢酸エチルの量は、通常、反応液に対し重量で0.
01〜50%である。添加するNADPH量は、通常、0.001〜10
mMである。反応は、通常、0〜80℃、好ましくは15〜40
℃で、0.1〜100時間、好ましくは1〜20時間行う。これ
により生成した(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エチル
は、酢酸エチル、メチルイソブルケトン、トルエンなど
の溶媒を用いた抽出や蒸留などを組み合わせることによ
り容易に精製することができる。
【0014】なお、還元反応に付随してNADPHから生成
するNADP+の、NADPHへの再生は、微生物の持つNADP+
元能(解糖系など)を用いて行うことができる。これら
NADP+還元能は、反応系にグルコースやエタノールを添
加することにより増強することが可能である。また、NA
DP+からNADHを生成する能力を有する微生物やその処理
物、酵素を反応系に添加することによっても行うことが
できる。例えば、グルコース脱水素酵素、リンゴ酸脱水
素酵素を含む微生物、その処理物、ならびに精製酵素を
用いてNADPHの再生を行うことができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例における、本発明の酵素による4-ハロ
アセト酢酸エステル還元活性の測定は、50mM リン酸カ
リウム緩衝液(pH 6.5)、0.2mM NADPH、20mM 4-クロロ
アセト酢酸エチル、及び酵素を合む反応液中30℃で反応
させ、NADPHの減少にともなう340nmの吸光度の減少を測
定することにより行った。1Uは、1分間に1μmolのNADPH
の減少を触媒する酵素量とした。また、タンパク質の定
量は、バイオラッド製タンパク質アッセイキットを用い
た色素結合法により行った。
【0016】[実施例1] 4-ハロアセト酢酸エステル
還元酵素の精製 クライベロマイセス・ラクティス NRIC 1329株をYM培地
(グルコース24g、酵母エキス3g、麦芽エキス3g、バク
トペプトン5g/L、pH 6.0)で培養し、遠心分離により菌
体を調製した。得られた湿菌体を超高圧細胞破砕装置
(ミニラボ) により破砕後、遠心分離機により菌体残渣
を除去し、無細胞抽出液を得た。この無細胞抽出液にプ
ロタミン硫酸を添加後、遠心分離により沈殿物を得た。
その沈殿物を抽出液(50mMリン酸カリウム緩衝液 pH=8.
0、0.01% 2-メルカプトエタノール、1M塩化ナトリウ
ム)でけん濁し、遠心分離により上清を得た。その上清
に硫安を添加して30%〜70%飽和において沈殿した画分
を回収した。脱塩した後、遠心分離により得られた沈殿物
に抽出液(50mM リン酸カリウム緩衝液 pH=8.0,0.01% 2
-メルカプトエタノール,1M塩化ナトリウム)をけん濁さ
せ、遠心分離により上清を得た。 さらに、ブチル-トヨパ
ールを用いた疎水クロマトグラフィーを行い、30%硫安
飽和〜0%までの濃度勾配溶出を行い、NADPH依存性4-ク
ロロ-アセト酢酸エチル還元活性を有するピークを回収
した。この画分を更にTSKゲルG3000SWを用いたゲルろ過
により精製した。
【0017】得られたNADPH依存性4-クロロアセト酢酸
エチル還元酵素標品は、未変性条件下でのポリアクリル
アミドゲル電気泳動及びドデシル硫酸ナトリウム−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動においてほぼ単一のバンド
を生成した。精製の要約を表1に示す。精製酵素の比活
性は、60.5 U/mg-タンパク質であった。
【0018】
【表1】 [実施例2] 4-クロロアセト酢酸エチル還元酵素の分
子量測定 実施例1で得られた酵素の分子量をSDS-ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動より求めた結果、約19万ダルトンであ
った(図1)。また、TSKゲルG3000SWXLのゲルろ過カラムを
用いて分子量を測定したところ素通り画分に溶出し、排
除限界である50万ダルトン以上と予想された。また、スー
パーデックス200(Superdex 200)を用いたゲル濾過に於
いても素通り画分に溶出し、その分子量は60万ダルトン
以上と予想された。
【0019】[実施例3] 4-クロロアセト酢酸エチル
還元酵素の至適pH リン酸カリウム緩衝液、酢酸緩衝液を用いてpHを変化さ
せて、実施例1で得られた酵素の4-クロロアセト酢酸エチ
ル還元活性を測定した。最大活性を100とした相対活性で
表し、図2に示した。反応の至適pHは6.5であった。
【0020】[実施例4] 4-クロロアセト酢酸エチル
還元酵素の作用至適温度 実施例1で得られた酵素を標準反応条件のうち温度だけ
を変化させて4-クロロアセト酢酸エチル還元活性を測定
し、最大活性を100とした相対活性で表し、図3に示した。
その結果、至適温度は45℃であった。
【0021】[実施例5] 4-クロロアセト酢酸エチル
還元酵素のpH安定性 実施例1で得られた酵素を、リン酸カリウム緩衝液pH5.5
〜8.0、トリス-塩酸緩衝液pH8.0〜9.0中で30℃で30分間
処理を行った後、4-クロロアセト酢酸エチル還元活性を
測定し、標準条件での活性を100とした残存活性で表し、
図4に示した。その結果、pH 6.0〜8.0において最も安定
であった。
【0022】[実施例6] 4-クロロアセト酢酸エチル
還元酵素の温度安定性 実施例1で得られた酵素をpH7.0で30℃、37℃、45℃、50℃、
55℃の温度で10分間放置した後、4-クロロアセト酢酸エ
チルの還元活性を測定し、標準条件での活性を100とした
残存活性で表し、図5に示した。その結果、37℃まで75%以
上の残存活性を示した。
【0023】[実施例7] 4-クロロアセト酢酸エチル
還元酵素の基質特異性 実施例1で得られた酵素を種々のケトン、アルデヒドと反
応させ、その還元活性を測定し、4-クロロアセト酢酸エチ
ルの還元活性を100とした相対活性で表し、表2に示し
た。
【0024】
【表2】 その結果、4-クロロアセト酢酸メチル、2,3-ペンタンジ
オンで高い還元活性が得られた。
【0025】[実施例8] 4-クロロアセト酢酸エチル
還元酵素の阻害剤に対する挙動 実施例1で得られた酵素を種々の試薬中で30℃、10分間処
理した後、4-クロロアセト酢酸エチル還元活性を測定し、
標準条件での活性を100とした相対活性で表し、表3に示
した。
【0026】
【表3】 その結果、パラクロロ水銀安息香酸、塩化水銀、硫酸銅
によって顕著に阻害され、硫酸亜鉛、N-エチルマレイミ
ド、メチルビニルケトンにも阻害された。
【0027】[実施例9] 4-クロロアセト酢酸エチル
還元酵素による(S)-4-クロロ-3-ヒドロキシ酪酸エチル
の合成 リン酸カリウム緩衝液(0.1M、pH=7.0)1.5mLに実施例1で
得られた酵素1.8U、21.8mM NADPH、18.2mM 4-クロロアセ
ト酢酸エチルを加え、30℃で2時間反応させた。生成した4
-クロロ-3-ヒドロキシ酪酸エチルの光学純度は、99%ee以
上のS体であった。
【0028】なお、光学純度の分析は反応液1.0mLから酢
酸エチルにて抽出した後、抽出液を脱溶媒し、残渣に高速
液体クロマトグラフィーの移動相0.5mLに溶解させてChi
ralpak AS(ダイセル化学製)を用いる高速液体クロマト
グラフィーにより行った(カラム:Chiralpak AS、移動
相:ヘキサン/エタノール/イソプロピルアルコール/
シクロヘキサノール[92:2.5:1.25:0.25]、流速:1.0m
l/min、温度:氷冷、検出:UV 220 nm)。
【0029】
【発明の効果】高い立体選択性を有する4-ハロアセト酢
酸エステル還元酵素が提供された。本酵素を利用するこ
とにより、光学純度の高い(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸
エステルを効率的に生産することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動における
パターンを示す図である。レーン1は分子量マーカー、レ
ーン2は実施例1で得られた酵素を示す。
【図2】実施例1で得られた酵素の4-クロロアセト酢酸
エチル還元活性のpH依存性を示す図である。
【図3】実施例1で得られた酵素の4-クロロアセト酢酸
エチル還元活性の温度依存性を示す図である。
【図4】実施例1で得られた酵素を各pHにおいて30℃、
30分間処理した後の4-クロロアセト酢酸エチル還元活性
の残存活性を示す図である。
【図5】実施例1で得られた酵素の4-クロロアセト酢酸
エチル還元活性を各温度で10分間処理した後の4-クロロ
-アセト酢酸エチル還元活性の残存活性を示す図であ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有する酵素。 (1)作用 β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を電
    子供与体として、4-ハロアセト酢酸エステルを還元し、
    (S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルを生成する。 (2)基質特異性 4-クロロアセト酢酸エステルに高い還元活性を有し、ア
    セト酢酸エステルには作用しない。また、 (S)-4-ハロ-3-
    ヒドロキシ酪酸エステルに対する脱水素酵素活性を有し
    ない。 (3)分子量 ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル
    電気泳動により測定した場合、約19万ダルトンである。
  2. 【請求項2】 クライベロマイセス属に属する微生物に
    由来する、請求項1に記載の酵素。
  3. 【請求項3】 クライベロマイセス属に属する微生物が
    クライベロマイセス・ラクティスである、請求項2に記
    載の酵素。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の酵素
    を有する微生物を培養し、その培養物から精製すること
    を特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の酵素
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載の酵素
    を4-ハロアセト酢酸エステルに作用させて、(S)-4-ハロ
    -3-ヒドロキシ酪酸エステルを生成させることを特徴と
    する、(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪酸エステルの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 4-ハロアセト酢酸エステルが4-クロロア
    セト酢酸エステルであり、(S)-4-ハロ-3-ヒドロキシ酪
    酸エステルが(S)-4-クロロ-3-ヒドロキシ酪酸エステル
    である、請求項5に記載の方法。
JP9357969A 1997-12-25 1997-12-25 新規な4−ハロアセト酢酸エステル還元酵素、該酵素の製造方法、及び該酵素を利用したアルコールの製造方法 Pending JPH11187869A (ja)

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