JPH11166550A - 密封ころがり軸受 - Google Patents

密封ころがり軸受

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JPH11166550A
JPH11166550A JP35021797A JP35021797A JPH11166550A JP H11166550 A JPH11166550 A JP H11166550A JP 35021797 A JP35021797 A JP 35021797A JP 35021797 A JP35021797 A JP 35021797A JP H11166550 A JPH11166550 A JP H11166550A
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JP
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bearing
pressure
bearing space
seal
seal member
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JP35021797A
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English (en)
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Seiji Ijuin
誠司 伊集院
Sadayuki Tanaka
貞幸 田中
Yukio Sato
幸夫 佐藤
Yoshio Shoda
義雄 正田
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/22Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings
    • F16C19/34Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings for both radial and axial load
    • F16C19/38Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings for both radial and axial load with two or more rows of rollers
    • F16C19/383Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings for both radial and axial load with two or more rows of rollers with tapered rollers, i.e. rollers having essentially the shape of a truncated cone
    • F16C19/388Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings for both radial and axial load with two or more rows of rollers with tapered rollers, i.e. rollers having essentially the shape of a truncated cone with four rows, i.e. four row tapered roller bearings
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/72Sealings
    • F16C33/76Sealings of ball or roller bearings
    • F16C33/78Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members
    • F16C33/7803Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members suited for particular types of rolling bearings
    • F16C33/7813Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members suited for particular types of rolling bearings for tapered roller bearings

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密封ころがり軸受において、軸受空間内が負
圧になることに起因する水分の引込みによる潤滑油の劣
化を防止し、これにより、軸受性能の低下、早期損傷、
及び早期剥離等を防止する。 【解決手段】 外輪11、11、12と内輪13、13
との間の、ころ15が配置される軸受空間Sを、左右の
シールホルダ17、17によって支持されたシール部材
20、20によって密封する。各シール部材20は、シ
ールホルダ17の摺動面によって軸方向(左右方向)移
動可能に支持する。温度変化によって軸受空間S内の内
圧Psが外圧(大気圧)Poよりも低くなり、その圧力差
が大きくなると、シール部材20が内側に平行移動し、
その分、内圧Psが高まり、圧力差が小さくなる。これ
により、軸受空間S内の負圧に起因する水分の引込みを
防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水等が外部から軸
受空間に侵入することを防止するようにした密封ころが
り軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】水等の流体が大量にかかり、しかも温度
変化が激しい環境下で使用される軸受、例えば、鉄鋼設
備の圧延機に使用されるロールネック軸受としては、一
般に、密封装置を備えた密封ころがり軸受が使用され
る。このような密封ころがり軸受は、例えば、特公昭6
0−14933号公報、特公昭61−12130号公報
で提案されている。
【0003】図5に密封装置を備えた密封ころがり軸受
の一例として、密封4列円錐ころがり軸受を示す。同図
に示す密封4列円錐ころ軸受(以下「密封ころがり軸
受」という)は、外輪1、1、2と内輪3、3との間の
軸受空間Sに、4列の保持器4、4…によって回動自在
に支持された多数のころ5、5…を配設して、外輪1、
1、2と内輪3、3との間の円滑な相対回転を可能にし
ている。さらに、外輪1、1の軸方向両端部にシールホ
ルダ6、6を配設して弾性体シール7、7を保持し、こ
の弾性体シール7、7のリップ7a、7aを内輪3、3
の軸方向両端部における外周面3aに当接させている。
これにより、軸受空間S内の潤滑を良好に行うととも
に、外部から軸受空間S内に水等の流体が侵入するのを
防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術の密封ころがり軸受では、温度変化が激しい環
境下においては、水等の侵入の防止が十分ではないとい
った問題があった。
【0005】例えば、鉄鋼設備の圧延機のロールネック
軸受として使用される場合、ロールの回転数が頻繁に変
化するため、すなわち、低回転から高回転に上げられ、
最高回転に達した後、低回転に減速されるといったよう
にロールの回転数の変化が激しいため、回転数の変化に
伴う密封ころがり軸受の温度変化が大きくなる。このた
め、軸受空間S内の空気の膨張、収縮が繰り返される。
【0006】ところで、軸受空間S内の空気が膨張した
場合には、弾性体シール7の構造上の理由で、この空気
はリップ7aと外周面3aとの間から容易に外部に排出
されるものの、反対に、収縮した場合には、同じく弾性
体シール7の構造上に理由で、外部の空気はリップ7a
を介して軸受空間S内には簡単には入り込めない。この
場合には、軸受空間S内には外部の大気圧に対して大き
な負圧が発生する。
【0007】この負圧値は、高回転にあったロールの回
転が低くなる程(回転差が大きい程)、したがって、高
温にあった軸受空間S内が低温になる程(温度差が大き
い程)、大きく、また長い時間持続する。その様子を図
6(a)、(b)、(c)に示す。これらの図は、この
順に、時間(横軸)に対する、それぞれロールの回転
数、軸受温度(軸受空間S内の温度)、軸受内部圧力
(軸受空間S内の圧力)を示している。
【0008】ここで、上述のように、軸受空間S内に大
きな負圧が生じると、その負圧が大きい程、外部にある
水等の流体が弾性体シール7のリップ部7aを介して侵
入しやすくなることが確認されている。すなわち、図7
を見ると明らかなように、大気圧(0)に対して、負圧
が大きい程(同図の横軸の左方に向かう程)、密封ころ
がり軸受内へ水分を引き込みやすくなり、水分混入量が
増加することになる。また、水分を引き込みやすいとい
うことは、シール性の低下をも意味する。そして、水分
の引込みとシール性の低下とにより、軸受空間S内の潤
滑油の劣化が助長されて軸受性能が低下し、早期損傷や
早期剥離といった問題が発生するおそれがある。
【0009】そこで、本発明は、軸受空間内の負圧に起
因する水分の引込みによる潤滑剤の劣化を防止し、これ
により、軸受性能の低下、早期損傷、及び早期剥離等を
防止するようにした密封ころがり軸受を提供することを
目的にするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの、請求項1に係る本発明は、外輪と内輪との間に形
成された軸受空間にころを配置して前記外輪と前記内輪
とを相対回転させるとともに、前記軸受空間の軸方向両
端部にシールホルダに保持されたシール部材を配置する
ことにより前記軸受空間を密封してなる密封ころがり軸
受において、前記シールホルダに前記シール部材を軸方
向摺動可能に支持する摺動面を設け、前記軸受空間内の
空気の圧力と大気圧との圧力差が摺動抵抗を超えたとき
に前記シール部材の軸方向の移動を許容する、ことを特
徴とする。
【0011】この請求項1の発明によると、軸受空間内
の空気の圧力と大気圧との圧力差が、摺動抵抗を超えた
ときに、その圧力差に応じてシール部材が軸方向に移動
する。これにより、軸受空間Sの体積が変化して、軸受
空間内の空気の圧力と大気圧との圧力差が小さくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実
施の形態について説明する。
【0013】〈実施の形態1〉図1に、本発明にかかる
密封ころがり軸受の一例として、密封4列円錐ころがり
軸受を示す。なお、同図は、軸を含む縦断面図の一部を
示す図である。また、以下の説明中の前後左右は、図面
中での前後左右をいうものとする。
【0014】同図に示す密封4列円錐ころ軸受(以下
「密封ころがり軸受」という)10は、外輪11、1
1、12と、内輪13、13と、保持器14、14…に
よって回動自在に支持された多数のころ15、15…
と、外輪12と外輪11との間に配設された外輪間座1
6、16と、外輪11、11の左右両端部に配置された
左右のシールホルダ17、17と、左右のシールホルダ
17、17の外側に配置された左右の軸受押え蓋18、
18と、左右のシールホルダ17、17によって支持さ
れた左右のシール部材20、20とを備えている。
【0015】外輪全体は、軸方向(図1の左右方向をい
う。以下同じ。)の左右両端部に配置された単列の外輪
11、11と、これらの間に配置され、単列の外輪を2
個連結した形状の複列の外輪12とによって構成されて
いる。各外輪11、12の内周側にはテーパ面11a、
12aが形成されている。
【0016】内輪全体は、軸方向に並べた2個の複列の
内輪13、13によって構成されている。内輪13、1
3の外周側は、上述の外輪11、12のテーパ面11
a、12aに対応しており、これらテーパ面11a、1
2aとの間に軸受空間S(なお、図1中では、複数の個
所にSを付しているが、これらはすべて連通されてい
る。)を構成している。内輪13、13の内周側は、軸
部材(不図示)の外周面に嵌合されている。内輪13、
13の軸方向の左右両端部は、外輪11、11のそれよ
りも長く延設されており、この延設部には、後述の左右
のシール部材20、20のリップ20b、20bが接触
するリップ摺動面13a、13aが形成されている。
【0017】保持器14、14…は、図1に示すもので
は、環状に形成された4個のものが上述の軸受空間Sに
配設されており、各保持器14ごとに、周方向に多数の
ころ15、15…を回動自在に支持している。
【0018】ころ15、15…は、上述の軸受空間Sに
配設されており、外輪11、12のテーパ面11a、1
2a及び内輪13、13の外周面に接触する。各ころ1
5は、軸部材(不図示)の回転に伴って内輪13、13
が回転すると、所定の方向に回転し、これにより、外輪
11、12に対して内輪13、13が円滑に回転するよ
うにしている。
【0019】外輪間座16、16は、環状に形成された
部材であり、複列の外輪12とその左右の単列の外輪1
1、11との間に、それぞれ介装されている。
【0020】左右シールホルダ17、17は、2個の外
輪11、11のうちの左の外輪11の左側面11bと、
右の外輪11の右側面11bにそれぞれ配置されてお
り、内周面17a、17aにおいて後述のシール部材2
0、20を軸方向摺動可能に支持している。
【0021】左右の軸受押え蓋18、18は、左右のシ
ールホルダ17、17のそれぞれ外側に配設された環状
の部材である。左右の軸受押え蓋18、18の内径部1
8a、18aは、上述の左右のシールホルダ17、17
の内周面17a、17aよりも小径に形成されており、
これにより、左右のシール部材20、20の脱落を防止
するとともに、後述のように、左右のシール部材20、
20の移動範囲を規制しいている。
【0022】左右のシール部材20、20は、それぞれ
左右のシールホルダ17、17によって軸方向移動可能
に保持されている。なお、図1については、右のシール
部材20を説明するが、左にシール部材20も同様の構
成・作用であるためその説明は省略する。
【0023】右のシール部材20は、金属製の環状の芯
金21と、芯金21によって支持された弾性部材22と
を備えている。芯金21は、円板状の芯金本体21a
と、その外周縁と内周縁とを後方に向けて折り曲げた屈
曲部21b、21cを有する。弾性部材22は、芯金2
1の外側の屈曲部21bによって支持された摺動部22
aと、内側の屈曲部21cによって支持されたリップ2
2bとを有する。摺動部22aは、前述のシールホルダ
17の内周面17aに密着するようにして弾性的に嵌合
されている。また、リップ22bは、上述の芯金21の
内側の屈曲部21cの先端縁近傍に設定された基端側の
揺動中心22cを中心として揺動可能に構成されてお
り、先端側の当接部22dを前述の内輪13のリップ摺
動面13aに外側から弾性的に当接させている。
【0024】ここで、内輪13のリップ摺動面13aの
直径をD1 、また、シールホルダ17の内周面17a
の直径をd2とすると、装着前のシール部材20単体と
しての自然状態での外径、つまり摺動部22aの外径
は、シールホルダ17の内周面17aの直径d2よりも
少し大きく、かつ、同じく単体としての自然状態での内
径、つまりリップ22bの当接部22dの内径は、リッ
プ摺動面13aの直径D1よりも少し小さく設定されて
いる。このため、シールホルダ17の内周面17aと内
輪13のリップ摺動面13aとの間にシール部材20を
装着すると、前述のように、シールホルダ17の内周面
17aに摺動部22aが弾性的に当接し、かつ、内輪1
3のリップ摺動面13aにリップ22bの当接部22d
が弾性的に当接される。
【0025】上述の、シールホルダ17の内周面17a
に対する摺動部22aの当接、及びリップ摺動面13a
に対する当接部22dの当接は、いずれもシール部材2
0全体の軸方向の移動を許容する程度の大きさに設定さ
れている。したがって、シール部材20は、図1に示す
姿勢を保持したままで、軸方向に平行移動することが可
能である。この平行移動は、後述のように、密封ころが
り軸受10内部の軸受空間Sの圧力(以下「内圧」とい
う)と外部の大気圧(以下「外圧」という)との圧力差
が所定値(後述の摺動抵抗)を超えると行われる。この
平行移動の範囲は、図1に示す実施の形態1において
は、外輪11と軸受押え蓋18によって規制される。図
1に示す右のシール部材20の内側への移動限は、弾性
部材22の摺動部22aの内側面(左方を向いた面)
が、右の外輪11の右側面(右側を向いた面)11bに
当接することにより規制される。このときの右のシール
部材20の位置を位置M1という(図1の点線で図
示)。一方、外側への移動限は、弾性部材22の摺動部
22aの外側面(右方を向いた面)が、右の軸受押え蓋
18の左側面(左側を向いた面)18bに当接すること
により規制される。このときのシール部材20の位置を
位置M2という(図1の実線で図示)。
【0026】さらに、装着状態における右のシール部材
20のリップ22bは、揺動中心22cの軸方向の位置
が当接部22dのそれよりも内側に設定されており、か
つ揺動中心22cの径方向の位置が当接部22dのそれ
よりも外側に配置されている。このため、リップ22b
は、軸受空間Sの内圧が外圧よりも大きくなって軸受空
間S内から大気中に移動しようとする空気に対しては比
較的容易に揺動してこれを許容する反面、逆に、外圧が
内圧よりも大きくなって大気中から軸受空間S内に移動
しようとする空気に対してはリップ摺動面13aに対す
る当接力を高めてその移動を阻止するように作用する。
なお、この作用は、図5に示す従来の密封ころがり軸受
でも同様に行っている。
【0027】次に、上述構成の密封ころがり軸受10の
動作について説明する。
【0028】密封ころがり軸受10において、内輪1
3、13の回転数が高くなると、軸受空間S内の空気が
昇温して膨張するため、軸受空間S内に、外部の大気圧
に対して正の圧力が発生する。このとき、軸受空間Sの
内圧をPs、外圧(大気圧)をPoとすると、 Ps>Po となる。
【0029】さらに、右のシール部材20を外側(右
方)から見たときの面積をAとすると、軸受空間S内の
空気がシール部材20を外側に押す力Fpは、上述の内
圧Psと外圧Poとの圧力差と、面積Aとの積、つまり、 Fp=(Ps−Po)×A …(1) となる。
【0030】また、シール部材20の移動に際しては、
シールホルダ17の内周面17aと摺動部22aとの
間、及び内輪13のリップ摺動面13aとリップ22b
の当接部22dとの間に摺動抵抗Ffが移動方向と反対
方向に作用する。したがって、シール部材20を外側に
移動させる力Fsは、 Fs=Fp−Ff …(2) となる。シール部材20は、この移動させる力FsがFs
>0となるとき、すなわち、内圧Psと外圧Poとの圧力
差Fpが摺動抵抗Ffを超えたときに、軸受空間Sの密閉
性を維持したまま内側から外側に向かって移動する。そ
して、このシール部材20の移動によって、軸受空間S
が拡大され、内圧Psが低下し、内圧Psと外圧Poとの
圧力差により発生する力Fpも減少する。シール部材2
0は、Fp=Ffとなった時点、すなわち、 Fs=Fp−Ff=0 …(3) となった時点で移動を終了する。このときの軸受空間S
の内圧Psは、(1)、(3)式より、 Ps=(Ff/A)+Po …(4) となる。内圧Psは完全に外圧Poと同じにはならないも
のの、外圧Poとの圧力差は緩和される。
【0031】次に、密封ころがり軸受10の回転数が低
くなると、軸受空間S内の空気の温度が低下し、上述の
昇温の場合とは逆に、内圧Psが外圧Poに対して負の圧
力となり、その圧力差は温度の低下とともに大きくな
る。このとき、シール部材20は、上述の内圧Psが正
の圧力の場合とは逆向きに、上述と同様の原理に基づい
て、外側から内側に向かって移動し、内圧Psと外圧Po
との圧力差を少なくすることができる。
【0032】上述の説明は、シール部材20の移動範囲
に制約がない場合であるが、実際には、前述のように、
シール部材20の移動範囲は制約される。すなわち、図
1における位置M1と位置M2との間の距離L1内で移
動することになる。シール部材20がL1だけ移動した
ときの体積変化ΔVは、 ΔV={(d 2 2−D 2 1)×π/4}×L1×2 となる。
【0033】具体的に、D1=360mm、d2=435
mm、L1=7.5mmの場合で計算すると、 ΔV=702mm3 となり、軸受空間S内の空間容積に占める体積変化ΔV
の割合は、約20%となり、従来例のようにシール部材
が固定されている場合の密封ころがり軸受の内圧で計算
すると、約±0.17atgまで内圧Psと外圧Poとの
圧力差をなくすことができる。つまり、図6に示す、シ
ール部材が固定されている場合の実験データにおける圧
力差0.12atgは、十分に緩和可能な量であること
が分かる。
【0034】このように、内圧Psと外圧Poとの圧力差
が緩和されるので、軸受空間Sに対する外部からの水等
の侵入を有効に防止することができる。
【0035】すなわち、本発明に係る密封ころがり軸受
10においては、図2(a)に示すように、軸部材の回
転の遅速に基づく温度変化によって、軸受空間S内の空
気が膨張・収縮のサイクルを繰り返した場合において
も、図2(b)に示すように、軸受空間S内の内圧Ps
は外圧(大気圧)Poとほぼ同じに保たれるので、シー
ル部材20は本来のシール性能を十分に発揮することが
でき、また、オイルシール20を介して外部の水分が引
込まれることもない。このため、軸受空間S内の負圧に
起因する水分の引込みによる潤滑油の劣化を有効に防止
することができ、また、これにより、密封ころがり軸受
10の軸受性能の低下、早期損傷、及び早期剥離等のお
それを防止することができる。
【0036】〈実施の形態2〉図3に実施の形態2の密
封ころがり軸受10Aを示す。なお、同図は、左のシー
ル部材20A近傍の縦断面図である。同図に示す密封こ
ろがり軸受10Aは、シール部材20Aの弾性部材22
における摺動部22aとリップ22bとにそれぞれ含油
ポリマーm1、m2を配置するものである。これら含油ポ
リマーm1、m2は、いずれもシール部材20Aが摺擦さ
れる、シールホルダ17の内周面17a及び内輪13の
リップ摺動面13a近傍に配置されており、これにより
摺動抵抗Ffを減らすようにしている。このようにして
摺動抵抗Ffを低減すると、(4)式から明らかなよう
に、内圧Psをさらに外圧Poに近づけることが可能とな
る。
【0037】なお、内圧Psを外圧Poに近づける方法と
して、内輪13のリップ摺動面13aの直径D1を小さ
くしたり、シールホルダ17の内周面17aの直径d2
を大きくしたりして、面積Aを増加させるようにしても
よい。このことも(4)式から明らかである。
【0038】〈実施の形態3〉図4に実施の形態3の密
封ころがり軸受10Bを示す。なお、同図は、左のシー
ル部材20B近傍の縦断面図である。同図に示す密封こ
ろがり軸受10Bは、上述の実施の形態2で述べた含油
ポリマーm1、m2を配置するに加えて、シール部材20
Bの剛性を高めるべく、芯金21Bの軸方向の厚さを厚
くして、内圧Psと外圧Poとの圧力差、軸受押さえ蓋1
8からの反力等の、シール部材20Bに加わるカに対し
て、シール部材20Bの変形を小さくするものである。
上述のように、芯金21Bを軸方向に厚く形成し、シー
ル部材20Bが外側の移動限(同図に実線)に位置した
ときに、芯金21Bに設けた外側当接面21dが軸受押
え蓋18の右側面18bに、また、内側の移動限(同図
の点線)に位置したときに、内側当接面21eが左の外
輪11の左側面11bに当接するようにした。これによ
り、シール部材20Bに内圧Ps等が作用したときの変
形を小さくして、シール部材20Bの軸方向の平行移動
を円滑に行わせることが可能となる。
【0039】以上説明した、実施の形態1、2、3の密
封ころがり軸受10、10A、10Bは、例えば、冷
間、熱間圧延機において好適に使用される。これら冷
間、熱間圧延機は、水蒸気や大量の圧延水の中で使用さ
れるため、密封ころがり軸受においては、軸受空間S内
の潤滑油の劣化を防止すべく外部からの軸受空間S内へ
の水分の侵入を防止することが必要になる。この点につ
いて、前述の密封ころがり軸受10、10A、10B
は、それぞれシール部材20、20A、20Bが軸方向
に移動することにより、外部からの水の侵入の原因とな
る圧力差を小さくすることができるので、冷間、熱間圧
延機に使用された場合においても、その性能を十分に発
揮して水分の侵入を有効に防止することができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
軸受空間内の圧力と大気圧との間の圧力差が大きくなっ
た場合に、シール部材が軸方向に平行移動して圧力差を
小さくするので、軸受空間内の圧力は大気圧に近づけら
れ、水分を引込む程の大きな負圧となることはない。し
たがって、軸受空間内の負圧に起因する水分の引込みに
よる潤滑油の劣化を防止し、これにより、軸受性能の低
下、早期損傷、及び早期剥離等を防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の密封ころがり軸受の構成を示す
縦断面図である。
【図2】(a)は実施の形態1における時間と軸受温度
との関係を示す図である。(b)は実施の形態1におけ
る時間と軸受内部(軸受空間内)圧力との関係を示す図
である。
【図3】実施の形態2の密封ころがり軸受における左の
シール部材近傍の構成を示す縦断面図である。
【図4】実施の形態3の密封ころがり軸受における左の
シール部材近傍の構成を示す縦断面図である。
【図5】従来の密封ころがり軸受の構成を示す縦断面図
である。
【図6】(a)は従来例における時間と回転数との関係
を示す図である。(b)は従来例における時間と軸受温
度との関係を示す図である。(c)は従来例における時
間と軸受内部(軸受空間内)圧力との関係を示す図であ
る。
【図7】大気圧(外力)を基準とした、軸受内部の圧力
(内圧)と水分混入量との関係を示す図である。
【符号の説明】
10、10A、10B密封ころがり軸受 11、12 外輪 13 内輪 14 保持器 15 ころ 17 シールホルダ 17a 摺動面 20、20A、20Bシール部材 Ff 摺動抵抗 Ps 軸受空間内の圧力(内圧) Po 大気圧(外圧) S 軸受空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 正田 義雄 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株 式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外輪と内輪との間に形成された軸受空間
    にころを配置して前記外輪と前記内輪とを相対回転させ
    るとともに、前記軸受空間の軸方向両端部にシールホル
    ダに保持されたシール部材を配置することにより前記軸
    受空間を密封してなる密封ころがり軸受において、 前記シールホルダに前記シール部材を軸方向摺動可能に
    支持する摺動面を設け、 前記軸受空間内の空気の圧力と大気圧との圧力差が摺動
    抵抗を超えたときに前記シール部材の軸方向の移動を許
    容する、 ことを特徴とする密封ころがり軸受。
JP35021797A 1997-12-05 1997-12-05 密封ころがり軸受 Withdrawn JPH11166550A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6345914B1 (en) 1999-07-16 2002-02-12 Nsk Ltd. Sealed rolling bearing with centrifugal feature
KR20230052597A (ko) * 2021-10-13 2023-04-20 현대트랜시스 주식회사 리어액슬 구조

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6345914B1 (en) 1999-07-16 2002-02-12 Nsk Ltd. Sealed rolling bearing with centrifugal feature
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