JPH11158550A - 歪取り焼鈍後の磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

歪取り焼鈍後の磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH11158550A
JPH11158550A JP9327638A JP32763897A JPH11158550A JP H11158550 A JPH11158550 A JP H11158550A JP 9327638 A JP9327638 A JP 9327638A JP 32763897 A JP32763897 A JP 32763897A JP H11158550 A JPH11158550 A JP H11158550A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造過程での鋼中Ti量の変動に伴う、歪取り焼
鈍後における磁気特性のばらつきを防止して、磁気特性
に優れた無方向性電磁鋼板を安定して得る。 【解決手段】Al:0.6 〜2.0 wt%を含み、かつ不純物と
してTi:0.0015〜0.0070wt%の混入を許容した鋼スラブ
から、無方向性電磁鋼板を製造するに当たり、REM:0.0
002〜0.020 wt%を含有させると共に、S, OおよびN
の鋼中への混入をそれぞれ、S:50 ppm以下、O:40 p
pm以下、N:60 ppm以下に抑制し、さらに、仕上げ熱間
圧延後、最終冷間圧延前までの間に少なくとも1回、 7
00〜900 ℃の温度範囲において30分〜10時間加熱した
後、少なくとも 500℃までを50℃/min以下の冷却速度で
冷却する焼鈍処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、歪取り焼鈍後の
磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板およびその製造方法
に関し、特に製造過程において有害元素であるTiが鋼中
に混入してきた場合であっても、歪取り焼鈍後に特性の
ばらつきが生じることのない優れた磁気特性を安定して
得ようとするものである。
【0002】
【従来の技術】無方向性電磁鋼板は、主に回転機器や変
圧器等の鉄心として使用され、これら装置のエネルギー
効率を高めるためには、鉄心素材である無方向性電磁鋼
板の鉄損を低下させることが重要である。近年、回転機
器等に対する高効率化の要求が高まってきたことに伴っ
て、無方向性電磁鋼板においても、磁気特性の向上とく
に高磁束密度・低鉄損化への要求が高まり、特に鉄損特
性についてはW15/50 で 3.5 W/kg 以下の素材が求めら
れている。
【0003】従来、上記のような低鉄損の材料は、歪取
り焼鈍工程をさほど考慮せず、鋼板メーカーにおいて 9
00℃を超えるような高温域で焼鈍し、所定の粒径すなわ
ち鉄損を得るように制御して、モーターメーカーに供給
していた。
【0004】これに対し、最近では、高特性の電磁鋼板
の利用形態として、製品鋼板をモーターメーカー等で所
定の形状に打ち抜いたのち、 750℃, 2hの歪取り焼鈍
を施してモーター部品として使用する方法が一般的とな
りつつある。歪取り焼鈍を施す本来の目的は、剪断時の
歪みに起因した磁性の劣化( 0.1〜2.0 W/kg程度)を回
復させるためであった。しかしながら、現在では、剪断
時の打ち抜き精度を確保するために製品段階では粒径を
20〜30μm 程度とする一方、その後の歪取り焼鈍で結晶
粒を成長させることによって特性の向上を図ろうという
考え方が一般化しつつある。
【0005】上記の考えに立脚した磁気特性改善技術と
して、発明者らは先に、特開平8−3699号公報や特開平
8−325678号公報等において、不純物元素であるTi, Zr
の低減と REM添加による介在物制御を骨子とした製造技
術を提案し、歪取り焼鈍後に優れた磁気特性を有する無
方向性電磁鋼板の製造が可能であることを示した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
製造技術に従って無方向性電磁鋼板を製造する際、時と
して、鋼中Ti量が大きく変動し、それに伴って目標特性
を達成できない場合が散見された。このような特性の変
動は、製品歩留りの低下を招くだけでなく、製品の安定
供給を脅かすものとして問題となる。
【0007】そこで、発明者らは、上記の問題を解決す
べく、特にTiの挙動に注目して解析を進めた結果、Alを
比較的多量に含有する鋼では、溶鋼精錬時にスラグ中の
TiがAlにより還元されて鋼中に復Tiし、Ti濃度が上昇す
ること、このようにしてTi濃度が上昇した場合には 750
℃, 2hの歪取り焼鈍後に磁性劣化を生じるため、製品
の磁気特性がばらつき易くなることの知見を得た。この
ようなTiの復Tiは、Al含有量が多い場合、現在の精錬冶
金では避け難い現象であるので、Tiのばらつきに起因し
た特性劣化を極力抑制するためには、副原料やフラック
スおよびスラグ中に含まれるTiの厳密な精錬管理が必要
となり、それによるコストアップ、さらには歩留りの低
下による生産性の劣化が避けられない。
【0008】この発明は、上記の問題を有利に解決する
もので、Tiをある程度含有する場合においても、歪取り
焼鈍後に磁性劣化を生じることなく、優れた磁気特性を
安定して得ることができる無方向性電磁鋼板を、その有
利な製造方法と共に提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】以下、この発明の解明経
緯について説明する。表1に、鋼中のAl量と磁性劣化コ
イルの割合(歪取り焼鈍後の鉄損が目標鉄損より 0.5 W
/kg 以上劣化したもの)との関係を、鋼中Ti量の増加
(Ti≧15 ppm)との関連で調査した結果を示す。なお、
Al以外の成分は一定とした。
【0010】
【表1】
【0011】表1に示したとおり、Alの増加に伴って、
磁性劣化コイルの割合が増加した。特に、Alが 0.6wt%
を超える材料ではTiの増加に起因して焼鈍後の磁性改善
効果が低下した。高Al成分系において、Tiが増加するの
は、副原料やスラグ中のTi酸化物がAlで還元されて鋼中
に復Tiすることによるものと考えられ、高Al材ではTiの
増加が本質的な問題であることが判明した。
【0012】このような現象は、前述したとおり、現在
の精錬冶金工程では避け難く、Tiのばらつきによる特性
劣化を極力抑制するためには、副原料やフラックスおよ
びスラグ中を含まれるTiの厳密な精錬管理が必要となる
が、それとても現在の技術では限界があり、従ってTiの
ばらつきによる歩留りの低下および特性の不安定化とい
う問題は避けられない。従って、製品の安定製造を実現
するためには、Tiをある程度含有する鋼においても、歪
取り焼鈍後に優れた磁気特性を安定して得ることが不可
欠なわけである。
【0013】発明者らは、上記のような背景の下で、Ti
量と低温粒成長性との関係について鋭意研究を重ねた結
果、従来は粒成長性に極めて有害とされたTiについても
その含有量が0.0070wt%までの範囲であれば、 REM添加
による脱硫に加え、O,S,Nを所定のレベル以下に低
減させた上で、熱間圧延以降の工程を最適化すれば、75
0 ℃,2時間の歪取り焼鈍において粒成長性を確保する
ことができ、ひいては特性の安定化が実現されることの
知見を得た。この発明は、上記の知見に立脚するもので
ある。
【0014】すなわち、この発明は、C:0.005 wt%以
下、Si:0.1 〜3.5 wt%、Mn:0.1 〜1.5 wt%、Al:0.
6 〜2.0 wt%、REM:0.0002〜0.020 wt%を含み、かつ
不純物としてTi:0.0015〜0.0070wt%の混入を許容する
と共に、S, OおよびNについてはそれらの混入をそれ
ぞれS:50 ppm以下、O:40 ppm以下、N:60 ppm以下
に抑制し、残部は実質的にFeの組成になる鋼スラブを、
熱間圧延し、ついで冷間圧延したのち、仕上げ焼鈍を施
して無方向性電磁鋼板を製造するに当たり、仕上げ熱間
圧延後、最終冷間圧延前までの間に少なくとも1回、 7
00〜900 ℃の温度範囲において30分〜10時間加熱した
後、少なくとも 500℃までを50℃/min以下の冷却速度で
冷却する焼鈍処理を施すことにより、歪取り焼鈍前の結
晶粒径が35μm 以下で、かつ 750℃, 2hの歪取り焼鈍
後の結晶粒径が65μm 以上となる鋼組織とすることを特
徴とする歪取り焼鈍後の磁気特性に優れる無方向性電磁
鋼板の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の基礎となった実
験結果について説明する。Si:0.6 wt%、Al:1.5 wt
%、Mn:0.6 wt%、P:0.02wt%、C:15〜20 ppm、
S:35 ppm、O:16 ppm、N:45 ppmおよび REM:0.00
5 wt%を含有し、Tiを5ppm から90 ppmまで変化させた
鋼塊を作製し、熱間圧延後、 A:810 ℃で 2.5h加熱後、500 ℃まで 20 ℃/minで冷
却 B:810 ℃で 2.5h加熱後、500 ℃まで100 ℃/minで冷
却 C:950 ℃で 30 s加熱後、500 ℃まで100 ℃/minで冷
却 する焼鈍処理を行ったのち、 0.5mm厚に冷延し、ついで
850℃, 10sの焼鈍を施して製品とした。この時、得ら
れた製品板の粒径は23〜25μm であった。その後、 750
℃, 2hの歪取り焼鈍を行ったのち、磁気測定を行い、
Ti量が粒成長性に及ぼす影響について調査した。
【0016】図1に、Ti量と歪取り焼鈍後の鉄損との関
係を示す。なお、同図には、比較のため REMの添加がな
い場合についての調査結果も併せて示す。B, Cの条件
では、焼鈍後の磁性はTiを15 ppm以上含有する範囲では
改善されないのに対し、Aの条件では、Tiの含有量が70
ppmまでであれば磁性が改善されることが判る。また、
REMを添加することによって、磁性が一層改善されるこ
とが判る。このことから、Al添加鋼において、Tiによる
粒成長性阻害を安定して改善するためには、冷延前の熱
処理の温度と冷却速度が重要であること、また REM添加
が有効に寄与することが判明した。この現象は、冷延前
の焼鈍により、Ti系の析出物が粗大化し、無害化された
結果、750 ℃での粒成長性が改善されたものと考えら
れ、また REM添加はTi系の析出物の形態等を変化させた
ものと考えられる。
【0017】熱延板焼鈍を実施すると、低温短時間での
焼鈍以上に鉄損が低減することは、従来から低Ti材につ
いては良く知られた現象であったが、ある範囲のTi含有
鋼について、冷却速度を規制した熱延板焼鈍によってTi
の悪影響を払拭でき、さらにREM を添加によってその悪
影響を一層軽減できることは、この発明で初めて知見さ
れた事実であり、これによって高Al材について従来のよ
うなTiの低減努力が必要でなくなり、多少の工程追加は
あるものの、操業のばらつきなしに安定して低鉄損の無
方向性電磁鋼板が得られるようになったのである。
【0018】さらに、発明者らの研究によれば、上記の
熱延板焼鈍効果を確実なものにするためには、S,O,
Nの低減が重要であることも究明された。表2に、Si:
1.1 wt%、Al:1.5 wt%、Mn:0.6 wt%、P:0.02wt
%、Ti:25〜30 ppmおよび REM:0.001 〜0.002 wt%を
含有し、S,O,N量を種々に変化させた鋼塊を、前記
Aの条件で歪取り焼鈍まで実施し、得られた焼鈍板につ
いて磁気測定を行った結果を示す。
【0019】
【表2】
【0020】同表から明らかなように、S,O,Nを全
て低減しないと、この効果が得られないことが判る。従
って、歪取り焼鈍の磁性劣化現象を効果的に改善するた
めには、S,O,Nの低減も重要な要素である。
【0021】次に、この発明において、鋼板の成分組成
を前記の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.005 wt%以下 Cは、炭化物の析出により磁気特性を劣化させるので、
0.0050wt%以下に制限した。 Si:0.1 〜3.5 wt% Siは、電磁鋼板の主要元素であり、固有抵抗を高めるこ
とによって鉄損を効果的に低減させるが、含有量が 0.1
wt%に満たないとその効果が十分でなく、一方3.5 wt%
を超えると冷間加工性が劣化するので、Siは 0.1〜3.5
wt%の範囲に限定した。 Mn:0.1 〜1.5 wt% Mnは、Sを粗大MnSとして固定する働きがあり、そのた
めには0.1 wt%以上含有させる必要がある。一方、Mn添
加量の増加は磁束密度を劣化させるので、その上限は1.
5 wt%とした。 Al:0.6 〜2.0 wt% Alは、Siと同様、固有抵抗を高めることによって鉄損の
低減に有効に寄与し、しかもSiほど高さの上昇を招くこ
とのない有用元素である。このAl量が 0.6wt%未満で
は、前述したようなTiの増加は生ぜず、従って特にこの
発明のような熱延板焼鈍処理は必要としないので、Al量
の下限は 0.6wt%に定めた。しかしながら、 2.0wt%を
超えると磁束密度の低下が大きくなるので、上限は 2.0
wt%とした。
【0022】REM : 0.0002〜0.020 wt% REMは、脱硫剤として有効に寄与し、MnS等の形成を抑
制して粒成長性に悪影響を及ぼさない粗大析出物を形成
する。しかしながら、含有量が0.0002wt%に満たないと
その添加効果に乏しく、一方 0.020wt%を超えると磁壁
移動の障害となり磁気特性が劣化するので、0.0002〜0.
020 wt%の範囲で含有させるものとした。なお、REM 添
加により、Tiの粒成長性阻害程度が緩和される理由は、
明らかではないが、REM 添加によりTiの析出物形態に何
らかの変化が生じ、熱延板焼鈍時のTi変化に影響を及ぼ
すことによるものと考えられる。
【0023】S:50 ppm以下、O:40 ppm以下、N:60
ppm以下 S, OおよびNはいずれも、不純物元素として鋼中に混
入するもので、極力低減することが望ましい。特に、S
>50 ppm, O>40 ppm, N>60 ppmになると、硫化物や
酸化物、窒化物によって磁壁移動や粒成長が阻害され、
磁性特性を改善が望み難くなるので、それぞれ上記の範
囲に制限した。
【0024】Ti:0.0015〜0.0070wt% Tiは、炭化物、窒化物、硫化物を形成し、歪取り焼鈍時
における粒成長性を大きく左右する成分である。従来
は、極力低減する必要があったが、前述したとおり、高
Al含有鋼においては、安定して低減することは難しい。
ここに、Ti量が、0.0015wt%未満では、製品歩留りの低
下やコスト高は伴うとはいえ、この発明のような熱延板
焼鈍を施さなくても、特にTiによる弊害は生じない。そ
こで、この発明ではTi量の下限を0.0015wt%に定めた。
一方、Ti量が0.0070wt%を超えるとTi析出物によって磁
壁移動や粒成長が阻害され、磁気特性の劣化を招くの
で、Ti量の上限は0.0070wt%とした。
【0025】その他の成分については、特に限定される
ことはないが、硫化物や酸化物、窒化物等を形成する元
素であるZr, Mo, V,Cu, NbおよびB等は極力低減する
ことが望ましい。また、従来知られているSbやSn, Caを
添加した場合においても、得られる効果に影響はない。
とくにSbは、焼鈍時における窒化抑制効果が良く知られ
ており、0.005 〜0.10wt%程度の範囲でこの材料にも有
利に適用することができる。
【0026】次に、製造工程について説明する。転炉−
脱ガス法など、常法に従う製鋼法により溶製し、連続鋳
造あるいは造塊−分塊法にてスラブとする。ついで、ス
ラブを熱間圧延するが、スラブを再加熱した後熱間圧延
する方法、スラブ加熱を行わずに連続鋳造後、直接熱間
圧延する方法いずれもが適合する。なお、溶製時にREM
にて脱硫する必要があり、これはフラックスを共通する
ことでも可能である。
【0027】さて、熱間圧延後の熱延板の熱処理がこの
発明のポイントであり、熱間圧延終了後、冷延圧延開始
までの間に少なくとも1回、以下に述べるような焼鈍処
理を施す。加熱条件については、 700℃から 900℃まで
の温度で、30分以上、10h以下の時間とする。というの
は、加熱温度が 700℃に満たないと粒成長性の改善効果
が見られず、一方 900℃を超えるとスケール等の発達に
より後工程での処理が増大し、生産性に問題が生じるか
らである。また、処理時間が30分未満では磁性改善効果
が得られず、一方10hを超えるとやはり生産性の劣化を
招く。
【0028】ついで、冷却するわけであるが、この発明
では、この冷却処理が特に重要であり、少なくとも 500
℃まで冷却速度:50℃/min 以下でゆっくりと冷却する
必要がある。かかる冷却処理において、冷却速度を50℃
/min以下に制限したのは、Tiに起因した粒成長阻害を改
善するためで,50℃/minを超える冷却速度では粒成長性
の改善効果が見られないからである これらの焼鈍条件の範囲は、Ti析出物の成長に関係して
いるものと考えられ、比較的多量のTiが含有されていて
も、上記した適切な条件で焼鈍することにより、Tiの悪
影響を解消することができるのである。
【0029】上記したような熱延板焼鈍は、熱延巻取り
直後に保熱処理として行っても良いし、まだ熱延板を10
00℃程度の高温で短時間(10s)焼鈍を実施して冷延前
の結晶粒径を制御した後に実施しても良く、さらには通
常の箱焼鈍炉を利用して行っても良い。このような熱延
板焼鈍は、工程増による多少のコストアップを招くけれ
ども、製鋼のTiはずれによる歩留り低下や生産性の劣化
に比較すると低コストであるので、トータルコストとし
て多大のメリットがある。
【0030】その後、冷間圧延ついで仕上げ焼鈍を施
す。これらの処理は、1回の冷間圧延により製品厚みと
したのち仕上げ焼鈍する方法、また中間焼鈍を含む2回
以上の冷間圧延を施して製品厚みとしたのち仕上げ焼鈍
する方法いづれであっても良い。なお、仕上げ焼鈍の際
には、粒径を35μm 以下にすることが必要である。これ
は、製品の打ち抜き精度を得るために不可欠で、これ以
上の粒径となると打ち抜き精度が劣化する。かかる粒径
を得るためには、仕上げ焼鈍温度を適切に選択すること
が重要で、700〜900 ℃範囲での焼鈍が適当である。と
いうのは、仕上げ焼鈍温度が 900℃を超えると粒成長が
著しくなって、打ち抜き精度に問題が生じるだけでな
く、仕上げ焼鈍時に粒が成長しすぎ、その後の 750℃の
低温歪取り焼鈍で粒成長が全く生じない製品となり、従
来から知られた低鉄損のフルプロセス材となんら変わら
なくなるからである。なお、その後に公知の方法にて鋼
板表面に絶縁皮膜を形成しても良いのはいうまでもな
い。
【0031】さらに、この発明では、750 ℃,2hの歪
取り焼鈍後に、結晶粒径が65μm 以上となる必要があ
る。これは、所定の鉄損を得るための最低限必要な粒径
で、65μm 以上でなければW15/50 =3.5 W/kg以下の鉄
損を安定して得ることはできない。かような粒成長を生
じる鋼組織は、上記したような冷却速度を加味した焼鈍
処理によって形成することができる。従来、高Ti含有鋼
では、仕上げ焼鈍後の粒径を35μm 以下とし、750 ℃の
歪取り焼鈍で粒径を65μm 以上とすることは極めて難し
かったが、この発明法に従えば、Ti量が多い場合であっ
ても所定の粒径が得られるのである。
【0032】
【実施例】実施例1 転炉精錬−脱ガス処理により、表3に示す成分組成にな
った溶鋼を、連続鋳造し、得られた連鋳スラブを、再加
熱後、熱延圧延したのち、表4に示す条件で熱延板焼鈍
を施した。ついで、1回の冷間圧延で 0.5mm厚の冷延板
としたのち、800 ℃で12sの仕上げ焼鈍を施し、さらに
絶縁皮膜を被成して、製品とした。なお、得られた製品
の粒径はいずれも35μm 以下であった。その後、所定の
大きさに剪断後、窒素雰囲気中で 750℃、2hの歪取り
焼鈍を施したのち、結晶粒径を測定すると共に、25cmエ
プスタイン法による磁気測定を実施した。得られた結果
を、表4に併記する。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】No.1は、低Al材において、Ti量を低減した
ものであるが、かようなTiを低減するには、前述したと
おりTiの厳密な精錬管理が必要であるため、操業が極め
て困難であった。しかも、Ti量を低減したとはいえ、許
容上限である15 ppmを超えて含有されているため、歪取
り焼鈍によっても十分な磁性改善効果は得られなかっ
た。No.3は、熱延板焼鈍温度が低すぎたため、またNo.6
は 500℃までの冷却速度が速すぎたため、やはり歪取り
焼鈍によって十分な磁性改善効果を得ることはできなか
った。No.10は、熱延板焼鈍時間が長すぎた例、また N
o.12は熱延板焼鈍温度が高すぎた例であるが、これらは
鉄損特性は良好であったものの、スケールの発達が著し
かったことから、酸洗が極めて困難であった。No.13は
高温・短時間の熱延板焼鈍処理を施した例、また No.14
はさらに高速で冷却した例であるが、いずれも良好な鉄
損特性を得ることはできなかった。
【0036】これに対し、この発明に従い得られたもの
(No.2, 4〜5,7〜9,11, 15〜17)はいずれも、Ti
が20〜30 ppmと比較的多量に含有されていたにも拘ら
ず、良好な粒成長の下で、優れた鉄損特性を得ることが
できた。このことからも、Alを比較的多量に含有し、そ
れ故Tiの増加が避けられない鋼材について、歪取り焼鈍
によって磁気特性を改善するには、この発明に従い、RE
M の添加による介在物制御を行うと共に、焼鈍温度:70
0 〜900 ℃、焼鈍時間:0.5 〜10hで加熱したのち、50
℃/min 以下の冷却速度で徐冷する焼鈍処理を施すこと
が極めて有効であることが判る。
【0037】実施例2 実施例1と同様にして製造した、表5に示す成分組成に
なる連鋳スラブを、熱間圧延したのち、表6に示す条件
で熱延板焼鈍を施し、ついで、1回の冷間圧延で 0.5mm
厚の冷延板としたのち、800 ℃, 12sの仕上げ焼鈍を施
し、さらに絶縁皮膜を被成して、製品とした。なお、得
られた製品の粒径はいずれも35μm 以下であった。その
後、所定の大きさに剪断後、窒素雰囲気中で 750℃、2
hの歪取り焼鈍を施したのち、結晶粒径を測定すると共
に、25cmエプスタイン法による磁気測定を実施した。得
られた結果を、表6に併記する。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】表6に示したとおり、 REMを添加しなかっ
た場合(No.3)および REMの添加量が多すぎた場合(N
o.5)、さらには鋼中のS,O,N量がそれぞれ、許容
上限を超えた場合(No.6, 8, 10)はいずれも、良好な鉄
損特性は得られなかったが、この発明に従い、適正量の
REMを添加し、かつS,O,N量をそれぞれ所定のレベ
ルまで抑制したものはいずれも、良好な鉄損特性を得る
ことができた。
【0041】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、Alを多量
添加に伴う、Ti混入量の増大に起因した、歪取り焼鈍時
における粒成長性の劣化を効果的に解消して、特性のば
らつきなしに、優れた磁気特性の無方向性電磁鋼板を安
定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼中Ti量が歪取り焼鈍後の鉄損特性に及ぼす影
響を、熱延板焼鈍条件をパラメータとして示したグラフ
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.005 wt%以下、 Si:0.1 〜3.5 wt%、 Mn:0.1 〜1.5 wt%、 Al:0.6 〜2.0 wt%、 REM:0.0002〜0.020 wt% を含み、かつ不純物として Ti:0.0015〜0.0070wt% の混入を許容すると共に、S, OおよびNについてはそ
    れらの混入をそれぞれ S:50 ppm以下、 O:40 ppm以下、 N:60 ppm以下 に抑制し、残部は実質的にFeの組成になる鋼スラブを、
    熱間圧延し、ついで冷間圧延したのち、仕上げ焼鈍を施
    して無方向性電磁鋼板を製造するに当たり、 仕上げ熱間圧延後、最終冷間圧延前までの間に少なくと
    も1回、 700〜900 ℃の温度範囲において30分〜10時間
    加熱した後、少なくとも 500℃までを50℃/min以下の冷
    却速度で冷却する焼鈍処理を施すことにより、歪取り焼
    鈍前の結晶粒径が35μm 以下で、かつ 750℃, 2hの歪
    取り焼鈍後の結晶粒径が65μm 以上となる鋼組織とする
    ことを特徴とする歪取り焼鈍後の磁気特性に優れる無方
    向性電磁鋼板の製造方法。
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