JPH09263908A - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JPH09263908A
JPH09263908A JP6976196A JP6976196A JPH09263908A JP H09263908 A JPH09263908 A JP H09263908A JP 6976196 A JP6976196 A JP 6976196A JP 6976196 A JP6976196 A JP 6976196A JP H09263908 A JPH09263908 A JP H09263908A
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steel sheet
steel
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hot
annealing
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JP6976196A
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Mitsuyo Doi
光代 土居
Hiroyoshi Yashiki
裕義 屋鋪
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気特性のすぐれた、低Si含有量の無方向性
電磁鋼板およびその製造方法の提供。 【解決手段】重量%で、C:0.01%以下、Si:0.05〜
1.0%、Mn:0.05〜 1.0%、P:0.15%以下、S:
0.005%以下、O(酸素): 0.008〜0.02%、sol.A
l: 0.002%未満、およびCa: 0.003〜 0.018%で、
残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴と
する磁気特性にすぐれた無方向性電磁鋼板。その磁気特
性をさらに向上させる製造方法として、鋼スラブを熱間
圧延、冷間圧延、焼鈍等をおこなって最終製品とする製
造工程において、熱間圧延の巻取温度を 650℃以上とす
るか、または熱間圧延の巻取温度を 650℃未満とし、冷
間圧延前の熱延板焼鈍を、 650〜1000℃にておこなうこ
とを特徴とする上記の無方向性電磁鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器の鉄心と
して広く用いられる磁気特性にすぐれた無方向性電磁鋼
板およびその製造方法に関する。無方向性電磁鋼板に
は、鋼板の製造業者側で冷間圧延後の仕上焼鈍をおこな
い使用者側ではとくに焼鈍をおこなわず鉄心に使用する
フルプロセス材と、使用者側で打抜き加工後焼鈍するこ
とを前提に製造されるセミプロセス材とがあるが、本発
明はこれらいずれの場合にも適用される。
【0002】
【従来の技術】電気機器の鉄心に使用される電磁鋼板に
は、無方向性電磁鋼板と方向性電磁鋼板とがある。方向
性電磁鋼板は主として電力用の変圧器に用いられるに対
し、無方向性電磁鋼板は汎用モーターや小形モーターあ
るいは小形変圧器などに広く使用される。電気機器に
は、たとえば発電機のように回転エネルギーを電気エネ
ルギーに変えるものもあり、変圧器のように電圧を昇降
して使用しやすい形に変るもの、あるいはモーターなど
電気エネルギーを回転その他の機械的エネルギーに変え
るものがある。このようなエネルギー変換をおこなう機
器においては、発熱などエネルギーの無駄な損失をでき
るだけ低く抑える必要があり、それに使用される鉄心は
損失が少なく高効率、すなわち低鉄損で高磁束密度であ
ることが要求される。
【0003】電磁鋼板の鉄損は、渦電流損とヒシテリシ
ス損とに分けられる。渦電流損は電気抵抗を増せば低下
することから、鉄損の低い無方向性電磁鋼板を得るため
には、通常、電気抵抗を増す効果のあるSiを多く含有
させる。しかしながら、Siの添加は磁束密度を低下さ
せる傾向にあり、添加により、コスト上昇ばかりでな
く、鋼を硬くし、圧延の変形抵抗を増すなどの問題も生
じてくる。
【0004】一方、ヒシテリシス損は、無方向性電磁鋼
板の場合、Siなどの化学組成が同じであれば、鋼板の
結晶粒径が大きくなるにつれて減少する。ただし、結晶
粒が大きくなると渦電流損は増加する傾向にあるので、
鉄損が最小値を示す最適結晶粒径があるとされている。
しかし、その最適結晶粒径は、数十%以上の冷間圧延と
その後の焼鈍による一般的な製造方法で得られるものよ
りは、かなり大きいところにある。したがって、通常の
無方向性電磁鋼板においては、鉄損低減のために焼鈍後
の結晶粒径ができるだけ大きくなるよう、経済性を配慮
しながら種々の工夫がなされている。
【0005】Si含有量レベルの低い無方向性電磁鋼板
では、このように焼鈍時の結晶粒成長をできるだけ容易
にするために、粒成長を阻害する微細な析出物の低減が
計られる。例えば特開昭 63-195217号公報に提示された
発明のように、sol.Al(酸可溶Al)を 0.001〜 0.0
05%(重量%:以下%の記述は「重量」を省略)に限定
して微細なAlNの生成量を低減させている。
【0006】SもMnSのような硫化物系析出物となっ
て粒成長を阻害する。この微細に析出するMnSを、そ
の形態を変えて無害化するるため、例えば特開昭 63-10
3023号公報には、低Siの無方向性電磁鋼板にてCaと
Sの含有量の比(Ca/S)を 0.3〜 2.0となるよう、
Caを添加する方法の発明が示されている。この場合、
微細なAlNの析出による害を避けるためsol.Alを
0.002%以下に抑えている。また、特開平 3-126845 号
公報の発明では、Alを十分に添加してもCaを0.001
〜 0.005%の範囲で、かつ、Ca/Sを 0.1〜 1.5とな
るよう含有させると、MnSの微細析出を抑制し、でき
たCaSを核にしてAlNが析出、凝集させ、その上、
Al2 3 のB系介在物をC系介在物に変え磁気特性を
改善することができるとしている。
【0007】窒化物や硫化物の微細析出物の他に、酸化
物系の介在物も結晶粒の成長を阻害する。軟化温度の低
い酸化物系介在物が存在していると、これが圧延中に伸
ばされて分散し、焼鈍時の結晶粒成長を妨げるようにな
るためといわれている。これに対して、例えば特開平7-
150248号公報には、鋼中の介在物SiO2 、MnO、A
2 3 の3種の総重量に対するMnOの重量の割合が
15%以下、SiO2 の重量の割合を75%以上に規制すれ
ば介在物は球状になり、そうなると結晶粒成長を抑制す
る作用は小さいので、粒成長性は改善されるとする発明
が提示されている。
【0008】このようなN、SあるいはO(酸素)によ
る析出物または介在物は、微細に分散して粒成長を阻害
するばかりでなく、そのものの存在も磁化の際の磁壁移
動を阻害してヒシテリシス損を大きくし、磁気特性を悪
くする。したがって、これらの不純物元素はその混入を
できる限り低く抑えなければならない。
【0009】Sは溶銑または溶鋼の処理により低減で
き、Nは溶鋼の真空処理により脱Nされた後、大気から
の混入を極力阻止することにより低下できる。しかしな
がら酸素については、とくに磁気特性を悪くするもう一
つの元素のCを溶鋼の真空処理により気体のCOとして
脱炭させるので、ある程度残存することは避け難い。健
全な鋳塊を得るために、この酸素はsol.AlやSiなど
の脱酸剤を添加して安定化、すなわち脱酸され、酸化物
系介在物となる。脱酸剤の種類、添加時期、あるいは処
理方法等により鋼中に残存するOの形態は異ってくる
が、鋼中の合計の酸素量は真空処理の後は大きくは変ら
ない。また酸化物系介在物のSiO2 、MnOおよびA
2 3 の組成比が結晶粒の成長に大きく影響するとし
ても、AlやSiの含有量など鋼組成が限定されると、
これら介在物の組成を好ましい状態にすることが困難な
場合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鋼中の酸化
物系介在物の形態が磁気特性向上に影響していることに
着目し、その形態を変えることにより磁気特性を改善し
た、Si含有量の低い無方向性電磁鋼板、およびその製
造方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、製鋼段階
にて脱炭してC含有量を0.01%以下とし、Si 1.0%以
下、Sを 0.005%以下、sol.Alを 0.002%以下とした
純鉄系の無方向性電磁鋼板において、磁気特性の劣るも
のがしばしば出現することに遭遇した。sol.Al含有量
を低く抑えてAlNの微細析出を抑止し、さらに硫化物
系析出物の影響を小さくしており、結晶粒成長阻害は低
減できたと考えられるものである。それにもかかわらず
磁気特性が悪く結晶粒の成長がよくないのは、前述の酸
化物系介在物の形態によると推定された。
【0012】しかしながら、Si含有量を低くしsol.A
l量を抑制して、しかもMnをやや多めに含有させる鋼
では、安定して酸化物系介在物の形態を制御することは
容易ではない。そこで、このような鋼の化学組成の制約
の中で、製鋼条件を含め添加元素や熱処理の効果を種々
検討した結果、Caの添加が効果的であることを見出し
たのである。
【0013】このCaの添加の効果とその限界を明確に
するため、C:0.002〜0.005%、Si: 0.2〜 0.3%、
Mn: 0.2〜 0.3%、P:0.07〜0.08%、S: 0.003%
以下、Al: 0.002%以下の含有をベースとし、酸素は
その含有量を高、中、低の3水準を狙いにして、Ca量
を変えた鋼を実験室的に溶製し、工場における製造を模
擬した製造工程および条件にて 0.5mm厚の電磁鋼板を試
作した。これらの鋼板により、所定の試験片を鋼板から
切出した後 700℃にて 2hの歪み取り焼鈍を施し、JIS-
C-2550に準じたエプスタイン枠を用いた試験法にて磁気
特性の測定をおこなった。
【0014】図1にCa含有量と磁気特性の鉄損との関
係をプロットした試験結果を示す。これから明らかなよ
うに、Caの添加は酸素量が高すぎる場合や低くすぎる
場合は磁気特性の改善効果がないかあってもわずかであ
るが、特定の範囲の酸素量の場合においては、Caの0.
01%前後の含有にて著しく低鉄損化されることがわか
る。
【0015】Caの鋼への添加は、通常は鋼中のMnS
など硫化物系の介在物の存在形態制御の目的でおこなわ
れる。電磁鋼板においても、特公昭58-17249号公報や、
前出の特公昭 63-103023号公報または特開平 3-126845
号公報にてCaを添加する発明が提示されているが、い
ずれもCa/Sの範囲を規制しており、硫化物の形態制
御を目的としている。これに対し、硫化物ではなく、酸
化物の形態を変える目的で添加した結果、低Siの無方
向性電磁鋼板の磁気特性を安定して向上させ得ることを
見出したのである。酸素とCaが適量存在するこれらの
鋼板は、焼鈍後の結晶粒が十分成長しており、磁気特性
の向上は結晶粒成長性の改善によるものであることが明
らかであった。
【0016】このような組成を有する鋼により電磁鋼板
を製造する場合、従来の熱間圧延、冷間圧延、焼鈍等の
条件を採用しても良好な磁気特性の最終製品が得られる
が、熱間圧延の際の巻取温度を高めに設定することによ
り、さらに磁気特性を向上させることができる。また、
熱間圧延の巻取温度を低く抑え、その後、冷間圧延前に
熱延板を焼鈍することによっても、最終製品の磁気特性
をより一層向上させることができることも確かめられ
た。
【0017】本発明は以上のような知見に基づいて完成
されたものであり、その要旨は次のとおりである。
【0018】(1) 重量%にて、C:0.01%以下、Si:
0.05〜 1.0%、Mn:0.05〜 1.0%、P:0.15%以下、
S: 0.005%以下、O(酸素): 0.008〜0.02%、sol.
Al: 0.002%未満、およびCa: 0.003〜 0.018%
で、残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特
徴とする磁気特性にすぐれた無方向性電磁鋼板。
【0019】(2) 鋼スラブに熱間圧延、冷間圧延、焼鈍
を施して最終製品とする製造工程において、熱間圧延の
巻取温度を 650℃以上とすることを特徴とする上記(1)
の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0020】(3) 鋼スラブを熱間圧延、熱延板焼鈍、冷
間圧延、焼鈍を施して最終製品とする製造工程におい
て、熱間圧延の巻取温度を 650℃未満とし、冷間圧延前
の熱延板焼鈍を 650〜1000℃にておこなうことを特徴と
する上記(1) の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施に際し、各要因や条
件を限定した理由を以下に述べる。
【0022】(1) C Cは磁気特性を大きく劣化させる元素なので、製品の鋼
板においては少ないほどよく、その顕著な悪影響が現わ
れない限界として、 0.010%以下に限定する。溶鋼の真
空処理による脱炭ないしは脱酸素の段階においては、到
達真空度にもよるが溶鋼中のCが低下しすぎると、酸素
量を0.02%以下に低減できなくなるので多少の残存が望
ましい。しかし、鋳片を最終の電磁鋼板にする製造途中
の工程において、たとえば焼鈍工程などで雰囲気による
脱炭が生じて低減することがあるので、電磁鋼板の化学
組成としてC量の下限はとくには規制しない。
【0023】(2) Si Siは含有量が増すほど鋼の電気抵抗が高くなり、鉄損
低減に有効である。しかし一方では、含有量が増すと磁
束密度の低下を来すので、十分な磁束密度を確保するた
め、その含有量の上限を 1.0%とする。また、sol.Al
が 0.002%未満でMnOの量を多くしないようにするに
は、Siの脱酸効果が重要であり、そのためには少なく
とも0.05%以上の含有が必要である。したがって、Si
の含有範囲を0.05〜 1.0%とする。
【0024】(3) Mn 本発明の場合、MnはSの存在による熱間圧延時の割れ
すなわち熱間脆性の抑止と、結晶粒成長阻害の低減を主
目的にその含有量を調整する。この効果を得るために
は、少なくともMnを0.05%以上含有していることが必
要である。Mnの含有は電気抵抗を増すので鉄損の低減
にも有意であるが、その効果はSiに比較して小さく、
上記のSの害の抑止効果は含有量を増しても飽和してし
まい、多く含有させるとコスト上昇を来すので、上限を
0.75%とする。
【0025】(4) P Pは鋼に不可避的に混入してくる不純物の一つである
が、低Siの無方向性電磁鋼板の場合、電気抵抗を増
し、硬さを高くして打抜き性を向上させる効果があるの
で、積極的に添加する。ただし鋼を脆化させる傾向があ
るため、その含有量は多くても0.15%までとする。下限
はとくには規制しないが、硬さ向上の目的に望ましい含
有量は0.02%以上である。
【0026】(5) S Sは、微細な硫化物系の析出物の形成による結晶粒成長
阻害や、介在物の形成により磁気特性を劣化させるの
で、その含有量は少なければ少ないほどよい。磁気特性
への影響がそれほど大きくならない限界として、多くて
も 0.005%までとする。
【0027】(6) sol.Al(酸可溶Al) Alは健全な鋳片を得るための脱酸剤として溶鋼に添加
する。添加により脱酸生成物の一部は浮上するが、残余
は酸化物系介在物を形成し、さらに過剰のAlはsol.A
lとして鋼中に残存する。sol.AlはAlNの微細析出
物を形成しやすく、その量が増すと結晶粒成長や磁壁移
動の障害になるので、できるだけ少なくするべきで、そ
の上限を0.0020%未満とする。
【0028】なお、sol.Al量を低く限定することによ
り、Nが多く含有されてもAlNの生成は抑制できる
が、SiとMnの存在により有害なSi−Mn−N系の
微細析出物が発生してくる。したがって、不純物として
混入してくるNはできるだけ少なくすべきで、 0.005%
以下とするのが望ましい。
【0029】(7) 酸素 鋼中の酸素量を 0.008〜0.02%とする。0.02%を超える
ようになると、酸化物系介在物の量が多くなりすぎ、そ
の形態を如何に変えても磁気特性におよぼす悪影響を抑
止できなくなる。また、耐火物やノズルの溶損などの製
造状の問題も多発してくるので0.02%以下に限定する。
一方、低くなりすぎると、図1に見られるようにCa添
加による改善効果が小さくなる。この理由は明らかでは
ないが、結晶粒径が大きくならないことから、Ca添加
による酸化物の粗大化ないしは無害化が不十分になった
ためと推測される。したがって、酸素含有量の下限値を
0.008%とする。
【0030】酸素を 0.008〜0.02%とするには、溶鋼真
空処理の際の減圧下でのCO発生による脱酸を活用し、
到達真空度および処理時間を制御して、望ましくは溶鋼
中のC量を 0.002〜 0.005%になるようにする。到達真
空度は0.01気圧程度が望ましいが、0.05気圧程度でも処
理時間を長くすることにより所要の酸素量範囲に低下で
きる。その後Alを添加し、次いでSiおよびMnを添
加して鋼成分を調整するのがよい。溶鋼の真空処理前、
ないしは真空処理中の脱酸昇熱を目的とするAlの添加
は極力避ける。これは、Alを真空処理による脱酸が終
了する前に添加すると酸素量が目標範囲に入らなくな
り、Caの添加による改善効果が得られなくなるためで
ある。
【0031】(8) Ca 適量の酸素の存在下にて添加すると、磁気特性が向上す
る。その最適な含有量の範囲は、図1に示されるように
0.003〜 0.018%である。 0.018%を超えると効果がな
くなるのは、CaはFeにはほとんど固溶しないため、
過剰に存在すると介在物のような形で存在し、結晶粒の
成長を阻害して磁気特性に悪影響をおよぼすためと思わ
れる。また、 0.003を下回るとよくないのは、酸化物系
介在物の形態制御の効果が低下するためと考えられる。
なお、図1から分るように鉄損の改善効果から、より望
ましい範囲は 0.006〜0.017%である。
【0032】(9) 熱間圧延の巻取温度 一般に、熱間圧延、冷間圧延、および焼鈍をおこなって
最終製品とする通常の無方向性電磁鋼板の製造工程にお
いて、熱間圧延の巻取温度を高くすると磁気特性の向上
効果がえられる。低Si含有にてsol.Alを低減させ、
これにCaを添加して結晶粒成長性を向上させた本発明
の鋼において、この巻取温度を高くすることは、とくに
その効果が顕著である。そこで、本発明鋼にてより一層
磁気特性を向上させる方法として巻取温度を 650℃以上
とする。
【0033】巻取温度は高くなれば磁気特性はより改善
されるので、上限はとくには定めないが、仕上げ温度や
コイルの変形、酸化によるスケールの多発により自ずか
ら限界がある。巻取温度を高くすることによりにより磁
気特性が改善されるのは、Ca添加により変化した酸化
物系介在物を核にして、硫化物や窒化物の析出が促進さ
れ、その無害化がさらに進んだためと考えられる。 650
℃未満では改善効果が小さいのは無害化が不十分なため
であろう。
【0034】(10) 熱延板焼鈍 熱間圧延の後、冷間圧延前にて焼鈍をおこなうと最終製
品の磁気特性がさらに向上する。その場合、熱間圧延の
巻取温度を 650℃未満とし、焼鈍温度を 650〜1000℃と
する。巻取温度を 650℃未満とするのは、焼鈍の効果が
より一層顕著になるからである。これは低温巻取にした
時の析出物などの分散状態が、焼鈍時の変化を加速させ
たものと思われる。焼鈍温度を限定するのは 650℃未満
では効果が不十分であり、1000℃を超えると結晶粒が粗
大化し、冷間圧延時に割れを発生することがあるためで
ある。なお、焼鈍は材料温度が上記範囲に到達すればよ
く、とくに焼鈍方法や加熱の時間は定めないが、望まし
いのは箱焼鈍法の場合 650〜 800℃にて30 min〜10h程
度の加熱、連続焼鈍法では 750〜10000℃にて10s〜 5
min 程度の加熱である。このように冷間圧延前の焼鈍
が、本発明鋼において磁気特性向上にとくに効果的なの
は、前述のように有害な窒化物や硫化物が、Caの添加
によって形態変化した酸化物のために析出が促進された
ためと考えられる。
【0035】
【実施例】
〔実施例1〕表1に示す化学組成の鋼を用い、いずれの
場合も1200℃に加熱し熱間圧延して1.8mm厚に仕上げ、
約 670℃にて巻取った。脱スケール後、 0.5mm厚まで冷
間圧延し、 850℃にて 1 minの焼鈍をおこなって電磁鋼
板とした。これからJIS-C-2550に示された方法に基づ
き、幅30mm、長さ 280mmの試験片を打抜き加工により採
取し、エプスタイン枠を用いて磁気特性を調査した。こ
れらの鋼板の周波数50Hz、最大磁束密度 1.5Tの時の
鉄損W15/50 (W/kg)、および磁化力5000A/m にお
ける磁束密度B50(T)の測定結果を併せて表1に示
す。
【0036】
【表1】
【0037】試験No.6はSiが高いので鉄損は低いが、
磁束密度が大きくならない。試験No.7、No.8、No.9およ
び No.10は、それぞれMn、Ca、Alおよび酸素が本
発明で定める範囲を超えており、いずれも焼鈍後の結晶
粒成長がよくない。鉄損が大きく、磁束密度が低いのは
このためと思われる。酸素の高い鋼による試験 No.10で
はノズル閉塞を生じて製品の表面疵が多くなり、出荷で
きる製品は得られなかった。試験 No.11および No.12は
酸素またはCaの含有量が本発明の定める範囲よりも低
く、酸化物系介在物が粒成長を阻害していた。P含有量
が高すぎる試験No.13は冷間圧延途中で割れが発生した
ため、製品化を中止した。試験No.14 はSが高すぎ磁気
特性が向上しなかったものと思われる。これらに比し、
各化学組成が本発明に定める範囲を満足する試験No.1〜
No.5の鋼板は優れた磁気特性を示すことがわかる。
【0038】〔実施例2〕表1に化学組成を示した鋼
C、鋼Kおよび鋼Lのスラブを用い、熱間圧延の際の巻
取温度を変え、得られた熱延鋼板を脱スケール後冷間圧
延して 0.5mm厚とし、 700℃で30sの焼鈍をおこない電
磁鋼板とした。これらの鋼板から幅30mm、長さ 280mmの
試験片を切出し、 750℃にて2時間の歪み取り焼鈍をお
こなった後、JIS-C-2550に基づくエプスタイン試験によ
り磁気特性を調査した。各試験片の熱間圧延時の巻取温
度、および磁気特性の結果をまとめて表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】発明の鋼Cは、熱間圧延の巻取温度を 650
℃より高くすることによってさらに鉄損が改善されるこ
とがわかる。しかしながら、化学組成が本発明の定める
範囲を外れる鋼Kまたは鋼Lの場合は、巻取温度を高め
ることにより多少の改善効果は認められるが、鋼Cに比
し得られた特性ははるかに劣ったものである。
【0041】〔実施例3〕表1に化学組成を示した鋼C
および鋼Kのスラブを用い、熱間圧延の際の巻取温度を
550〜 560℃とし、得られた熱延鋼板を脱スケールして
から種々の温度で焼鈍した後、 0.5mm厚まで冷間圧延
し、 850℃にて 1 minの焼鈍をおこなって電磁鋼板とし
た。得られた鋼板は実施例1と同様にして磁気特性を測
定した。これらの結果を併せて表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】本発明で定める化学組成の鋼では、低めの
巻取温度と 650℃以上の熱延板焼鈍によって、得られた
電磁鋼板の磁気特性が大きく向上している。ただし1000
℃を超える温度で焼鈍しても効果は飽和し、エネルギー
コストの増大や表面疵の多発など無意味な損失を増すだ
けである。
【0044】
【発明の効果】本発明は、酸素量の管理とCa添加で鋼
中の酸化物系介在物の形態を変えることにより、高価な
合金元素や特殊な製造工程を用いることなく、低鉄損で
高磁束密度の磁気特性が安定して得られる低Si系の無
方向性電磁鋼板とその製造方法を提供するものであり、
実用上きわめて有意義である。
【図面の簡単な説明】
【図1】低Si系電磁鋼板の鋼中のCa量および合計酸
素量と磁気特性の鉄損との関係を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%にて、C:0.01%以下、Si:0.05
    〜 1.0%、Mn:0.05〜 1.0%、P:0.15%以下、S:
    0.005%以下、O(酸素): 0.008〜0.02%、sol.A
    l: 0.002%未満、およびCa: 0.003〜 0.018%で、
    残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴と
    する磁気特性にすぐれた無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】鋼スラブに熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を施
    して最終製品とする製造工程において、熱間圧延の巻取
    温度を 650℃以上とすることを特徴とする請求項1の無
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】鋼スラブを熱間圧延、熱延板焼鈍、冷間圧
    延、焼鈍を施して最終製品とする製造工程において、熱
    間圧延の巻取温度を 650℃未満とし、冷間圧延前の熱延
    板焼鈍を 650〜1000℃にておこなうことを特徴とする請
    求項1の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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