JPH11138238A - B含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方法 - Google Patents
B含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方法Info
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- JPH11138238A JPH11138238A JP9300768A JP30076897A JPH11138238A JP H11138238 A JPH11138238 A JP H11138238A JP 9300768 A JP9300768 A JP 9300768A JP 30076897 A JP30076897 A JP 30076897A JP H11138238 A JPH11138238 A JP H11138238A
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Abstract
鋳造で製造する際に問題となる共晶の粗大化および空孔
・局部的な割れの発生を抑制し、熱間加工性・冷間加工
性の低下を防止する。 【解決手段】 B含有オーステナイト系ステンレス鋼を
連続鋳造により製造する際に、熱間加工性の低下を防止
する手段は、 (1)等軸晶率=10〜50%にすること。 (2)等軸晶率=10〜50%にする方法は、鋳片厚さ
=130〜270mm、タンディッシュ内の溶鋼過熱度
=20〜80℃の範囲に制御すること。熱間加工性の低
下を防止することに加えて、冷間加工性の低下を防止す
る手段は、 (3)最終凝固位置から上流側に、0.1%以上のテー
パー量を1m以上の長さ付与すること。 (4)固相率が1未満となる部分が厚み方向に5mm以
上残る段階において、圧下ロールにより未凝固部圧下率
を0.5以上実施すること。
Description
加工性に優れたB含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳
片の連続鋳造による製造方法に関する。
系ステンレス鋼は中性子吸収能が大きいため、使用済み
核燃料の容器などに使用されている。
度を発現する温度が通常のステンレス鋼、炭素鋼と比較
して低く、凝固シェルの強度不足からブレークアウトが
起きるために連続鋳造化が困難であった。
9391号公報に鋳造速度、サポートロール間隔、及び
2次冷却帯の最終位置における固相率を制御する方法を
提案した。
れた方法であるが、鋼中に共晶((Fe,Cr)Bなど
のボライドとγ鉄の共晶)を含み母材と比較して共晶組
織部分が脆弱であり、熱間・冷間加工時に割れが発生す
る問題に関する対策を明らかにしていない。
前にソーキング処理を実施する、あるいは鋼中にCa,
Y,La+Ceの一種又は2種以上添加して熱間加工性
を改善する方法が提案されている。
系ステンレス鋼に特有の共晶に起因する熱間・冷間加工
時に割れが発生する問題に関し、何ら対策を施していな
い。
ステナイト系ステンレス鋼鋳片を連続鋳造で製造する際
に問題となる共晶に起因する欠陥を抑制し、熱間加工性
の良好な鋳片を製造する方法を提供すること、さらに、
熱間・冷間加工性の良好な鋳片を製造する方法を提供す
ることにある。
知見を得た。 (A)図1(a)〜(c)のマクロ組織の概念図に示す
ように、等軸晶が生成せず柱状晶が厚み中央部まで成長
している場合(等軸晶率0%の例、図1(a)参照)
に、中心部分の共晶組織に沿って割れが発生している。
この鋳片中心部における板状の共晶が熱間加工後の板厚
中心部に発生する線状の連続的な割れの原因であり、鋳
片の中心部を等軸晶化(等軸晶率30%の例、図1
(b)参照)することにより、この割れの発生原因であ
る板状の共晶の生成を防止できる。
例、図1(c)参照)すると、中心部に粗大な粒状の等
軸晶が生成し、この部分に粗大な粒状の共晶が生成し、
不連続な微小な割れが発生することが認められた。
の例についてミクロ観察をしたところ、粒状の共晶の部
分に空孔が存在し、等軸晶の粒間に局部的な割れが発生
していることが、さらに認められた。
間に存在する局部的な割れが冷間加工性を悪化させる原
因であることも判明した。
ナイト系ステンレス鋼鋳片の等軸晶率と熱間圧延時の割
れ発生率には相関があり、下記で定義する等軸晶率を1
0〜50%に、好ましくは20〜40%にすることによ
り、割れ発生率を低減できる。
晶部分の厚さ)/(鋳片の厚さ)]×100(%)であ
る。
含有オーステナイト系ステンレスにおいて、鋳片厚さ、
タンディッシュ内における溶鋼過熱度を適正化すること
により、適当な等軸晶率が得られることを見出し、下記
(2)で制御できることを見出した。
続鋳造時に、タンディッシュ内における溶鋼過熱度を2
0〜80℃として、等軸晶率を10〜50%に制御でき
る。
より、鋳片の熱間加工性を良好にでき、さらに過酷な冷
間加工性をも良好にするために、該鋳片の空孔・局部的
な割れの発生を抑えることが有効であり、熱間・冷間加
工性の良好な鋳片を製造する方法として下記(3)、
(4)を実施することが効果的であることを見出した。
て鋳片の固相率が1となる最終凝固位置とそこから上流
側において、鋳片の厚さに対して0.1%以上のテーパ
ー量(%)を1m以上のテーパー部長さ(m)を付与す
る。
(%)=ΔD/L×100(%)である。ただし、Lは
テーパー部の長さ(m)、ΔDはΔD=Do(上流側の
鋳片厚さ)−D(下流側の鋳片厚さ)、各鋳片厚みの単
位は(m)である。
が鋳片の厚み方向の中心部に5mm以上残る段階で、ピ
ンチロールあるいはローラーエプロンに設置した圧下ロ
ールにより(圧下量mm)/(未凝固厚さmm)で定義
される未凝固部圧下率が0.5以上の圧下をする。
下の(1)〜(4)に示す。 (1)B含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片を連続
鋳造により製造する際に、等軸晶率を10〜50%とす
ることを特徴とする熱間加工性に優れたB含有オーステ
ナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方法。
鋼鋳片を連続鋳造により製造する際に、鋳片厚みを13
0〜270mmに、連続鋳造時のタンディッシュ内にお
ける溶鋼過熱度を20〜80℃として、等軸晶率を10
〜50%に制御することを特徴とする熱間加工性に優れ
たB含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方
法。
固相率が1となる最終凝固位置とそこから上流側におい
て、鋳片の厚さに対して0.1%以上のテーパー量を1
m以上の長さにわたって付与することを特徴とする上記
(1)および(2)記載の熱間加工性および冷間加工性
に優れたB含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製
造方法。
が厚さ方向に5mm以上残る段階において、未凝固部圧
下率を0.5以上とすることを特徴とする上記(1)〜
(3)のいずれかに記載の熱間加工性および冷間加工性
に優れたB含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製
造方法。
イト系ステンレス鋼」とは、Bが0.5〜3.0重量%
含有するオーステナイト系ステンレス鋼である。
する元素であり、その性能を確保するために0.5重量
%以上の添加が必要であり、過剰になると、共晶の生成
量が増加し、中心偏析部以外の部分も脆化するため、上
限は3重量%以下が好ましい。
るため、鋳造条件と等軸晶率の関係を調査した。
続鋳造設備を使用し、鋳片の厚さを100〜300m
m、鋳片幅を400〜600mm、鋳造速度を0.4〜
0.8m/min に範囲を変えて鋳造を行った。
を調査した。溶鋼過熱度は、タンディシュ内で測定した
が、その測定位置は取鍋からの受湯口と鋳型への給湯口
の間の側壁部であり、熱電対により溶鋼温度を測定し
た。
mmでは、安定して10%以上の等軸晶を安定して生成
させることができない。鋳片厚さ130〜270mmの
範囲では、溶鋼過熱度が80℃を超えると等軸晶率が低
下する。溶鋼過熱度を20℃未満とすると等軸晶率が急
に増加する。これはタンディッシュ内で溶鋼過熱度が2
0℃以下になると鋳型内では過熱度は0℃以下となり、
急速に等軸晶の生成が始まるためと考えられる。また、
溶鋼過熱度を過度に低下させるとノズル閉塞の危険もあ
り、安定した連続鋳造操業が困難となる。
率を50%以下にすることが困難となる。鋳造速度によ
る等軸晶率の変化は小さかった。これらの実験結果か
ら、等軸晶率を10〜50%に制御する好ましい鋳造条
件は、鋳片の厚さが130〜270mmであり、溶鋼過
熱度が20〜80℃である。
℃〜60℃である。等軸晶率を上げる手段として電磁攪
拌を行う方法が広く知られているが、本発明にも適用可
能であることは言うまでもない。
きいものは2〜3mm程度の直径がある。このように粗
大な共晶および共晶中に空孔や局部的な割れが存在する
と、熱間加工性には影響を与えないものの、曲げ加工な
どの、過酷な冷間加工によりコーナー部割れの原因とな
る。
片の中心部が凝固する際に、凝固収縮に応じた溶鋼の供
給がないためと考えられる。
の厚さを減少すれば、空孔と局部的な割れを圧着できる
ことに着眼して、鋲打ち測定と伝熱凝固解析により確認
した鋳片の最終凝固位置を基準に、前記図5に示す試験
連続鋳造設備のローラーエプロンに種々のテーパー量を
設定して得られた鋳片の空孔や局部的な割れの発生状況
を調査した。
観察し、空孔や局部的な割れの数を調査した。図6に示
すように、テーパー量を0.1%以上でテーパー部長さ
を1m以上とすれば空孔や局部的な割れは減少し、0.
3%以上でテーパー部長さを1m以上とすれば空孔およ
び局部的な割れがなくなることがわかった。
ール反力が増加するため、高い剛性を有する設備が必要
であり、設備費が過大となり適当ではない。また、1%
以上のテーパー量は、凝固収縮の補償分を上回る過剰テ
ーパー量であり、1%未満が望ましい。
ると5m以下が望ましい。最終凝固直前における空孔や
局部的な割れの生成を防止するためにローラーエプロン
のロール間に適正なテーパー量を付与することが必要な
のであり、鋳造速度の変更などに対応できるように、こ
のテーパーゾーンを上流側あるいは下流側に変えても差
し支えない。
で等軸晶化し、ローラーエプロンに適正なテーパー量を
付与することにより、鋳片中心部分の空孔の発生および
局部的な割れを防止することができる。
以上の共晶が依然として残る場合がある。この場合、さ
らに厳しい加工条件を加えると、前記の粗大な共晶が割
れの原因となることがある。
未凝固部圧下を加えることにより共晶を生じる基液であ
る最終凝固付近の濃化溶鋼を水平方向に押し流して、濃
化溶鋼厚さを減少させることにより、共晶粒径の低下が
できることに着眼して、未凝固部の圧下量を変えて試験
を行った。
残る時点でピンチロールによる圧下後の鋳片中心部にお
ける共晶粒径の最大粒径を指標として調査した結果、
[圧下量(mm)/未凝固部厚さ(mm)]で定義され
る未凝固部圧下率を0.5以上とすることにより、好ま
しくは0.8以上とすることにより粗大共晶の粒径を減
少(2mm未満)できる。
エプロンに設置した圧下ロールにより実施しても同じ結
果が得られた。
る理由は、未凝固部溶鋼厚さが5mm未満となると、局
所的なブリッジングが生じ、上述の共晶を生成する最終
凝固付近の濃化溶鋼を水平方向に押し流しが十分に行わ
れない可能性があるからである。
り、50mmを超えると圧下しても共晶粒径を低下する
効果は期待できない。未凝固部溶鋼厚さは、鋲打ち測定
と伝熱凝固解析などで前述の最終凝固位置と同様に測定
できる。
圧下は、鋳片中心部の正偏析を軽減あるいは解消するこ
とを目的に行われている。B含有オーステナイト系ステ
ンレス鋼の場合には、鋳片中心部の正偏析をそのまま
に、未凝固部圧下率を適正に設定することにより、鋳片
中心部の共晶粒径を制御し、加工条件の厳しい冷間加工
性を向上できるという効果が得られるのである。なお、
上記圧下処理に伴う内部割れなどの問題は、認められな
かった。
連続鋳造機を使用して、表1示す成分のB含有オーステ
ナイト系ステンレス鋼を、表2に示す条件にて連続鋳造
し、その後に熱間圧延により3.5〜6mm厚さまで圧
延した。4.5mm熱延板を使用して冷間プレスによる
曲げ加工を施し、冷間ドローイング法により225mm
角の角管に成形して安定化熱処理を実施した。
厚さを変えて、熱間圧延後の板断面における割れの発生
状況を調査した。割れの評価は板横断面試料を採取し、
板幅に対する割れ長さの比率で評価した。
ように、本発明例1および2では、厚さ150および2
00mmの鋳片を、それぞれ溶鋼過熱度48および38
℃の条件で製造すると、等軸晶率が29〜33%とな
り、熱間圧延後の割れも皆無あるいは軽微であった。
晶が全く生成せず、熱間圧延後の割れ長さの比率は85
%となった。溶鋼過熱度を下げて等軸晶率を68%に上
げると、板厚の中心部に粗大な共晶が認められ、割れ長
さの比率は40%となった。
量は連続鋳造機のメニスカスから3.7〜7.1mの位
置にあるセグメントのロール間隔を調節することにより
行った。
5mm厚さの熱延板を使用して、225mm角の角管に
成形して安定化熱処理をしたものについてコーナー部割
れの調査をした。
表6に示すように、本発明例3〜4の0.15%あるい
は0.38%のテーパー量を1m以上付与した場合で
は、いずれも曲げ部の割れは1mm未満であり許容範囲
内であった。比較例3の0.08%のテーパー量ではコ
ーナー部に割れが発生した。比較例4のテーパー量を
0.25%としてもその長さが0.6mの場合に割れが
発生した。
チロールで圧下する試験を行った。得られた鋳片を実施
例2の同様に、熱間圧延し、得られた4.5mm厚さの
熱延板を使用して、225mm角の角管に成形して安定
化熱処理をしたものについてコーナー部割れの調査をし
た。
同じである。表7に示すように、比較例5の未凝固部圧
下率が0.2では、中心部の共晶の粒径が2mm以上で
あり、空孔も残っており、曲げ部で大きな割れが発生し
た。
ると空孔は圧着されるが、中心部の共晶の粒径は2mm
以上であり、コーナー部には微細な割れが発生した。未
凝固部圧下率を本発明例5〜7の0.6以上とすると中
心部の共晶の粒径は2mm未満に減少し、コーナー部の
割れを防止できた。比較例7の未凝固部厚さ3mmで
は、未凝固部圧下率を0.9としても共晶粒径が2.5
と粗大化し、コーナー部の割れ長さは1mm以上となっ
た。
イト系ステンレス鋼の連続鋳造時における共晶の粗大化
および空孔・局部的な割れの発生を抑制でき、熱間加工
性・冷間加工性の低下を防止することができる。
ロ組織の概念図である。
す概念図である。
関係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
ー部長さ(m)を示す概念図である。
さと鋳片の局部的な割れ・空孔の発生との関係を示すグ
ラフである。
すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 B含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳
片を連続鋳造により製造する際に、該鋳片の等軸晶率を
10〜50%とすることを特徴とする熱間加工性に優れ
たB含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方
法。 - 【請求項2】 B含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳
片を連続鋳造により製造する際に、該鋳片厚さを130
〜270mmに、連続鋳造時のタンディッシュ内におけ
る溶鋼過熱度を20〜80℃として、等軸晶率を10〜
50%に制御することを特徴とする熱間加工性に優れた
B含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方法。 - 【請求項3】 連続鋳造法により製造される鋳片の固相
率が1となる最終凝固位置とそこから上流側において、
鋳片の厚さに対して0.1%以上のテーパー量を1m以
上の長さにわたって付与することを特徴とする請求項1
または請求項2記載の熱間加工性および冷間加工性に優
れたB含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方
法。 - 【請求項4】 鋳片内に固相率が1未満となる部分が厚
さ方向に5mm以上残る段階において、未凝固部圧下率
を0.5以上とすることを特徴とする請求項1〜3のい
ずれかに記載の熱間加工性および冷間加工性に優れたB
含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方法。
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JP30076897A JP3199001B2 (ja) | 1997-10-31 | 1997-10-31 | B含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方法 |
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JP30076897A JP3199001B2 (ja) | 1997-10-31 | 1997-10-31 | B含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方法 |
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Cited By (6)
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US6307994B1 (en) | 1998-06-24 | 2001-10-23 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Multi-cladding optical fiber, long-period optical fiber grating written therein and writing method thereof |
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-
1997
- 1997-10-31 JP JP30076897A patent/JP3199001B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US9751126B2 (en) | 2013-02-27 | 2017-09-05 | Hyundai Steel Company | Method for controlling surface quality of ultra-low carbon steel slab |
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JP3199001B2 (ja) | 2001-08-13 |
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