JP4599843B2 - 無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。特に、本発明は、電気自動車、エアコン、発電機等の鉄心用材料として好適な無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
地球温暖化ガスを削減する必要性から、自動車、家電製品等の分野では消費エネルギーの少ない新製品開発が重要である。例えば、自動車分野においては、ガソリンエンジンとモータとを組合わせたハイブリッド駆動自動車(HEV)、モータ駆動の電気自動車等の低燃費自動車がある。家電製品分野においては、年間電気消費量の少ない高効率エアコン、冷蔵庫等がある。これらの共通した技術はモータであり、モータの高効率化が重要な技術となっている。このモータ高効率化を支える技術の一つとして、鉄心となる無方向性電磁鋼板の低鉄損化が知られている。
無方向性電磁鋼板の鉄損を低減する方法については、従来から様々な方法が提案されている。その方法は大きく第1〜第3の3つの方法に分けられる。第1の方法は、Si,Al等の成分を増やして鋼板の比抵抗を高めて渦電流損失を低減する方法である。第2の方法は、鋼中のC,N,S,Ti等の不純物成分をできる限り低減しかつ鋼の結晶粒径を大きくして、ヒステリシス損失成分を低減する方法である。第3の方法は、鋼に熱延板焼鈍を行って冷延前の結晶粒径を大きくすることにより磁気特性に有利な集合組織を制御する方法である。
しかしながら、第1の方法のようにSi,Al量を増加させ、かつ、第2の方法のように上記不純物成分をできるだけ低減して純度を高めた熱延鋼板は、第3の方法のように熱延板焼鈍することにより結晶粒径が大きくなることから、熱延鋼板の靱性が著しく低下する。そのため、冷間圧延時に破断して鋼板の歩留まりが著しく低下する問題があった。また、これを回避する技術としては、300℃〜600℃での温間圧延技術があるが、特別の設備が必要であり、製造コストが上昇する問題があった。
また、特許文献1には、無方向性電磁鋼板の製造にあたり連続鋳造スラブの等軸晶率を高める技術について示されている。この、特許文献1に記載されている発明においては、熱延板焼鈍工程が省略されていることから冷間圧延時の破断が抑制される。しかしながら、磁気特性が十分に改善されていない。
特公平7−33544号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、冷間圧延性が良好で且つ磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを主目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、質量%で、C:0.004%以下、Si:1.5%〜4%、Mn:0.1%〜2%、P:0.2%以下、S:0.002%以下、Al:0.1%〜3%、N:0.003%以下、O:0.003%以下、B:0.0050%以下、Ti:0.003%以下、Ca:0.005%以下を含有し、さらに鋼中のSn,Sb,SiおよびAlが下記式(1)および式(2)を満足し、残部が実質的にFe及び不純物からなる鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す工程と、上記熱間圧延により得られる熱延鋼板に熱延板焼鈍を施す工程と、上記熱延板焼鈍を施した熱延鋼板に一回または中間焼鈍をはさんだ二回以上の冷間圧延を施す工程と、上記冷間圧延により得られる冷延鋼板に焼鈍を施す工程とを備える無方向性電磁鋼板の製造方法であって、上記鋼塊または鋼片の等軸晶率を30%以上とし、上記熱延鋼板の厚さを2.5mm以下とし、さらに上記熱延板焼鈍の焼鈍温度を750℃以上1100℃以下とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
Sn+Sb≦0.1% (1)
Si+Al≧2% (2)
(式(1)中および式(2)中において、Sn,Sb,SiおよびAlは、それぞれの元素の含有量を質量%で表した数値である。)
本発明に係る無方向性電磁鋼板の製造方法においては、スラブの等軸晶率を増加させ、熱延鋼板の板厚を低減することにより、冷間圧延時に破断することなく磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を製造することができる。
本発明によれば、冷間圧延時に破断することなく磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を製造することができる。
以下、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法について詳細に説明する。
なお、鋼中の各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである。さらに、鋼塊または鋼片をスラブということもある。また、スラブから製造した熱延鋼板に熱延板焼鈍を施した鋼板を熱延焼鈍板という。
本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.004%以下、Si:1.5%〜4%、Mn:0.1%〜2%、P:0.2%以下、S:0.002%以下、Al:0.1%〜3%、N:0.003%以下、O:0.003%以下、B:0.0050%以下、Ti:0.003%以下、Ca:0.005%以下を含有し、さらに鋼中のSn、Sb、SiおよびAlが下記式(1)および式(2)を満足し、残部が実質的にFe及び不純物からなる鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す工程と、上記熱間圧延により得られる熱延鋼板に熱延板焼鈍を施す工程と、上記熱延板焼鈍を施した熱延鋼板に一回または中間焼鈍をはさんだ二回以上の冷間圧延を施す工程と、上記冷間圧延により得られる冷延鋼板に焼鈍を施す工程とを備える無方向性電磁鋼板の製造方法であって、上記鋼塊または鋼片の等軸晶率を30%以上とし、上記熱延鋼板の厚さを2.5mm以下とし、さらに上記熱延板焼鈍の焼鈍温度を750℃以上1100℃以下とすることを特徴とするものである。
Sn+Sb≦0.1% (1)
Si+Al≧2% (2)
なお、上記式(1)および式(2)において、Sn,Sb,SiおよびAlは、それぞれの元素の含有量を質量%で表した数値である。
本発明者らは、磁気特性の良好な高い比抵抗を有し、不純物成分の少ない無方向性電磁鋼板用の熱延鋼板を冷間圧延する際に起きる破断を抑制する方法がないかとの観点から鋭意研究を積み重ねてきた。その結果、特定の不純物成分を低減し、鋼塊または鋼片の等軸晶率を高め、熱延鋼板の板厚を低減することにより、冷間圧延性が良好で且つ磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板が得られることを見いだした。以下、この発明をなすに至った知見及びそれに至る実験結果について説明する。
転炉−RH−連続鋳造の工程にて、主要成分がC:0.002%、Si:3.0%、Mn:0.2%、P:0.01%、S:0.0006%、Al:0.7%、N:0.002%、O:0.002%、B:<0.0003%、Ti:0.002%、Ca:<0.0003%、Sn:0.001%、Sb:<0.001%で、等軸晶率が0%から60%である厚さ250mmのスラブを1150℃に加熱した後に850℃仕上げ条件にて厚さ2.0mm、2.4mm、2.6mmまで熱間圧延を行った。これらの鋼板を酸洗後、800℃10hの焼鈍を行い、冷間圧延を施した。図1にこれらの結果を示す。
図1は、スラブの等軸晶率および熱延鋼板の厚さと冷間圧延破断の有無との関係を示すグラフである。図1の横軸はスラブの等軸晶率を示し、図1の縦軸は熱延鋼板の厚さを示す。また、図1中の「○」印は冷間圧延時に破断しなかったことを示し、「×」印は冷間圧延時に破断したことを示す。図1に示すように、等軸晶率30%未満のスラブから製造した熱延焼鈍板は冷間圧延時に破断することが判明した。また、厚さが2.5mmを超える熱延鋼板に焼鈍を施した熱延板焼鈍板も冷間圧延時に破断することが判明した。一方、等軸晶率30%以上のスラブを厚さが2.5mm以下になるまで熱間圧延して製造した熱延板焼鈍板は、冷間圧延時に破断しないことが判明した。なお、スラブの等軸晶率は鋳造方向に対し垂直なスラブ断面でかつスラブ幅中央部で観察される等軸晶部分の面積率から求めた。
スラブの等軸晶率を増加させることによる冷間圧延の破断低減効果については必ずしも明らかでないが、本発明者らは次のように推察する。Si,Al量の高い鋼の結晶構造は、凝固から室温にいたるまで体心立方構造であり、途中温度での相変態がない。したがって、連続鋳造により製造したスラブは非常に粗大な柱状晶凝固組織を有する。また、この柱状晶は熱間圧延時に再結晶しづらい(100)面方位を有していることから、熱間圧延後も粗大な組織が残留する。
上記のような熱延鋼板を焼鈍すると、不均一な組織となり粗大な結晶粒が散在する。この傾向は、鉄損低減のためS,Ti等の不純物成分を低減した鋼板でより顕著となる。熱延鋼板の靱性は結晶粒径が大きいほど劣化することから、冷間圧延においては粗大な結晶粒が存在する鋼板で破断しやすくなると考えられる。本発明においては、スラブの等軸晶率を高めていることから、熱間圧延中の再結晶が生じやすく、熱延鋼板の組織が均質となり、冷延破断が生じにくいと推察される。また、熱延鋼板の厚さが厚くなると塑性変形が強く拘束されて脆性割れの亀裂進展エネルギーが小さくなることから、冷間圧延時に割れ易くなると考えられる。
本発明においては、鋼塊または鋼片の等軸晶率を増加させることにより冷間圧延の破断を低減させるものであるが、その効果を有効に引き出しかつ電磁鋼板として必要な他の特性を満足させるためには、後述するように鋼成分、鋼塊または鋼片の等軸晶率、熱延鋼板厚さおよび熱延板焼鈍温度を限定する必要がある。以下、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法における鋼成分、鋼塊または鋼片の等軸晶率、熱延鋼板厚さおよび熱延板焼鈍温度について説明する。
1.鋼成分
・C
鋼中のCは、200℃程度の低温時効により炭化物(セメンタイト、εカーバイド)を鋼中に形成し、鋼の磁気特性劣化の原因となることから、なるべく低減することが重要である。鋼中C含有量が0.004%を超えると、時効による鋼の磁気特性劣化が生じる。したがって、鋼中C含有量は、0.004%以下に限定する。
・Si
鋼中のSiは、鋼の比抵抗を高めることから鋼の鉄損低減に有効である。しかしながら、鋼中Si含有量が1.5%未満では鋼の鉄損が十分に低減できない。一方、鋼中Si含有量が4%を超えると冷間圧延時に鋼板が破断しやすくなり製造コストが著しく増大する。したがって、鋼中Si含有量は、1.5%以上4%以下とする。なお、鋼の鉄損をより一層低減するためには鋼中Si含有量は、2%以上であることが好ましい。
・Mn
鋼中のMnは、鋼の比抵抗を高めることから鋼の鉄損低減に有効である。しかしながら、その効果はSiの効果より小さい。鋼中Mn含有量が0.1%未満になるとMnSが鋼中に微細に分散して鋼の鉄損が劣化する。一方、鋼中Mn含有量が2%を超えると、原料コストが大きくなる。したがって、鋼中Mn含有量は、0.1%以上2%以下に限定する。
・P
Pは鋼中の不純物であり、熱延鋼板の靱性を低下させることから、鋼中P含有量はなるべく低減するのが好ましい。鋼中P含有量が0.2%を超えると鋼の靱性が著しく劣化し、冷間圧延時に鋼板が破断する。したがって、鋼中P含有量は0.2%以下に限定する。一方、Pは鋼の磁束密度を向上させるという作用を有することから、熱延鋼板の靱性劣化を最小限に抑えて、高磁場での鋼の磁束密度を改善するために、P含有量を0.03%以上0.12%以下にすることが好ましい。
・S
Sは鋼中の不純物であり、添加する必要はない。鋼中S含有量が0.002%を超えると微細なMnSが鋼中に形成され、鋼の鉄損が劣化する。したがって、鋼中S含有量は0.002%以下に限定する。なお、鋼の鉄損をより一層低減するためには、鋼中S含有量を0.001%以下にすることが好ましい。
・Al
鋼中のAlは、Siと同様に鋼の比抵抗を高めることから、鋼の鉄損低減に有効である。また、Alは鋼の脱酸に有効であり、鋼の清浄度を高めて熱延鋼板の靱性を高めるのに重要である。しかし、鋼中Al含有量が3%を超えると鋼の飽和磁束密度が著しく低下し鋼の鉄心性能が劣化する。一方、鋼中Al含有量が0.1%未満ではAlNが鋼中に微細に分散して鋼の鉄損が低下する。したがって、鋼中Al含有量は0.1%以上3%以下に限定する。なお、より一層熱延鋼板の靱性を改善するには、鋼中Al含有量を1%以上2.5%以下にすることが好ましい。さらに、鋼中Si含有量および鋼中Al含有量の合計は2%以上に限定する。鋼中Si含有量および鋼中Al含有量の合計が2%未満であれば、鋼板の比抵抗が十分大きくならずに渦電流損が増大するからである。
・N
Nは、鋼中の不純物であり、添加する必要はない。鋼中N含有量が0.003%を超えるとAlN,TiNが鋼中に多数析出し、鋼の磁気特性が劣化する。したがって、鋼中N含有量は0.003%以下に限定する。
・O
Oは鋼中の不純物元素であり、本発明においては極力低減することが不可欠である。鋼中O含有量が0.003%を超えると熱延鋼板の靱性が劣化し、冷間圧延時に破断しやすくなる。したがって、鋼中O含有量は0.003%以下に限定する。なお、本発明における鋼中O含有量は、無方向性電磁鋼板の表面にある絶縁コーティングを研磨により完全除去した鋼板を用いて分析した量とする。
・B
Bは、本発明において必須の元素ではない。しかしながら、鋼中B含有量を0.0003%以上とすることで熱延鋼板の靱性が向上し、冷間圧延時に破断しにくくなる。一方、鋼中B含有量が0.0050%を超えると粗大なB化合物が鋼中に生成し、却って冷間圧延時に破断する恐れがある。したがって、鋼中B含有量は0.0050%以下に限定する。なお鋼板製造性の観点より、鋼中B含有量は0.0003%以上0.0030%以下にすることが好ましい。
・Ti
Tiは、鋼中に炭化物、窒化物、硫化物を形成し、鋼の磁気特性を劣化させると共に熱延鋼板の靱性を低下させることから、なるべく低減する必要がある。鋼中Ti含有量が0.003%を超えるとTi系析出物が鋼中に分散して熱延鋼板の靱性が劣化する。したがって、鋼中Ti含有量は0.003%以下に限定する。
・Ca
Caは、本発明では必須の元素でない。しかしながら、鋼中Ca含有量を0.001%以上とすることにより鋼中の硫化物、酸化物等が粗大化することから、鋼の鉄損低減に有効な元素である。一方、鋼中Ca含有量が0.005%を超えると熱延鋼板の靱性が劣化する。したがって、鋼中Ca含有量は0.005%以下に限定する。なお、鋼の鉄損をより一層低減するには鋼中Ca含有量を0.001%以上0.003%以下とすることが好ましい。
・Sn,Sb
Sn,Sbは、少量添加することで無方向性電磁鋼板の磁気特性を向上させるのに有効な元素である。しかしながら、鋼中のSn,Sbの合計含有量が0.1%を超えると熱延鋼板の靱性を著しく低下させる。したがって、鋼中のSn,Sbの合計含有量を0.1%以下に限定する。なお、熱延鋼板の靱性劣化を最小限に抑え、磁気特性を改善するためには、鋼中のSn,Sbの合計含有量を0.01%以上0.03%以下にすることがより好ましい。
2.等軸晶率
本発明においては、冷間圧延性を改善するためには鋼塊または鋼片の等軸晶率を高めることが重要である。その効果を十分得るには、等軸晶率30%以上が必要である。また、等軸晶率を高める具体的な方法としては、一般に知られている溶鋼の電磁攪拌、鋳造時の溶鋼過加熱温度(=鋳込み温度−凝固温度)の低減等がある。なお、鋼塊または鋼片の等軸晶率は、鋳造方向に対し垂直なスラブ断面でかつスラブ幅中央部で観察される等軸晶部分の面積率から算出するものとする。
3.熱間圧延方法
本発明における熱間圧延としては通常の方法を用いることができるが、冷間圧延における割れ破断を抑制するためには、粗圧延の段階で圧下率25%以上の強圧下圧延を1パス以上行うことが好ましい。
4.熱延鋼板の厚さ
Si含有量が高く不純物成分の少ない熱延鋼板は、冷間圧延において割れ易い。冷間圧延における割れは、熱延鋼板の厚さと強い相関がある。例えば、熱延鋼板の厚さが2.5mmを超えると、冷間圧延における破断率が著しく高くなる。したがって、熱延鋼板の厚さは2.5mm以下に限定する。さらに好ましくは、2.3mm以下である。また、鋼の磁気特性をより一層向上させるためには、熱延鋼板の板厚は2.0mm以下が好ましい。また、冷間圧延時の割れ防止に対して、熱延鋼板の板厚下限は特に必要ない。ただし、板厚を薄くすると磁気特性は改善される傾向にあるが、一方で熱延鋼板の表面積が増加し、酸洗能率が低下する。酸洗能率を重視すれば、熱延鋼板の板厚下限は0.8mmとするのが好ましい。
5.熱延板焼鈍温度
本発明において、熱延板焼鈍は、鋼板の磁気特性を向上させるための必須工程である。熱延板焼鈍温度が750℃未満では熱延焼鈍板の結晶粒径が小さくなることから、磁気特性に有利な集合組織が発達しない。したがって、最終製品の磁気特性が低下する。一方、熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると熱延焼鈍板の結晶粒径が大きくなりすぎることから、冷間圧延において破断しやすくなる。したがって、熱延板焼鈍温度は、750℃以上1100℃以下に限定する。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述の実施形態は例示であり、本明細書の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様の効果を奏するものは、如何なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例)
転炉で脱炭脱硫した溶鋼230tonを取鍋内に出鋼し、その取鍋をRH式真空脱ガス装置に移動した。その後、RH式真空脱ガス装置で溶鋼の減圧脱炭を行い、溶鋼中C濃度を0.005%以下とした後に、Si,Mn,P,S,Al,B,Ca,Sn,Sbの成分を調整し、連続鋳造機にてスラブとした。表1に各スラブ(鋼A〜鋼P)の成分分析値を示す。表1の成分分析値の単位は質量%である。表1に示すように、鋼A〜鋼Gはいずれの鋼成分も本発明の限定範囲内にあり、鋼H〜鋼Pは鋼中のいずれかの鋼成分が本発明の限定範囲から外れている。なお、鋼Pは、Si含有量とAl含有量の合計が0.2%未満であることから、本発明の限定範囲から外れている。
Figure 0004599843
次に、鋼A〜鋼Pを加熱炉で1150℃まで加熱し、仕上げ温度850℃〜880℃、巻き取り温度500℃で熱間圧延し、厚さ1.4mm〜3.0mmの鋼板とした。次いで、上記鋼板に対して、酸洗脱スケールして焼鈍しない場合、720℃で10時間焼鈍する場合、800℃で10時間焼鈍する場合および酸洗前に1120℃で30秒焼鈍して酸洗する場合に分けてそれぞれの処理を施した。次に、各鋼板を厚さ0.35mmまで冷間圧延し、1030℃で仕上げ焼鈍した。仕上げ焼鈍後、各鋼板表面に絶縁皮膜を塗布した。これらの鋼板から28cmエプスタイン試験片を採取し、JIS−C−2550規定の方法により鉄損を測定した。
鋼板の製造条件、冷延破断有無および磁気特性を表2に示す。表2に示すように、実施例4〜実施例8においては、鋼成分、等軸晶率、熱延鋼板の厚さおよび熱延板焼鈍温度が本発明の限定範囲内にある。一方、比較例1〜比較例19においては、鋼成分、等軸晶率、熱延鋼板の厚さおよび熱延板焼鈍温度のいずれかが本発明の限定範囲外にある。
Figure 0004599843
(評価)
施例4〜実施例8においては、いずれも冷間圧延時の破断がなく、かつ、鋼板の鉄損W15/50が2.3W/kg未満の良好な値となった。一方、等軸晶率が本発明の限定範囲未満である比較例1,2の鋼板、熱延鋼板厚さが本発明の限定範囲を超える比較例3,4の鋼板および熱延板焼鈍温度が本発明の限定範囲を超える比較例6の鋼板は、冷間圧延時に破断した。また、熱延板焼鈍温度が本発明の限定範囲未満である比較例5の鋼板は、磁気特性が著しく劣化した。さらに、熱延板焼鈍を省略した比較例7〜9の鋼板は、熱延板焼鈍処理を施した同一成分の鋼板よりも磁気特性が劣化した。また、鋼成分であるTi,O,B,Ca,Snのいずれかの含有量が本発明の限定範囲を超えている比較例11,12,15,17の鋼板は、冷間圧延時に破断した。さらに、鋼成分のN,Mn,Al,S,(Si+Al)のいずれかの含有量が本発明の限定範囲外である比較例10,13,14,16,18,19の鋼板は、磁気特性が劣化した。
以上のことから、鋼成分、等軸晶率、熱延鋼板の厚さおよび熱延板焼鈍温度を本発明の範囲内に限定することにより、冷間圧延時の破断がなく、かつ、低鉄損の鋼板を製造できることが確かめられた。
スラブの等軸晶率および熱延鋼板の厚さと冷間圧延破断の有無との関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.004%以下、Si:1.5%〜4%、Mn:0.1%〜2%、P:0.03%〜0.2%、S:0.002%以下、Al:%〜3%、N:0.003%以下、O:0.003%以下、B:0.0050%以下、Ti:0.003%以下、Ca:0.005%以下を含有し、さらに鋼中のSn,Sb,SiおよびAlが下記式(1)および式(2)を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す工程と、前記熱間圧延により得られる熱延鋼板に熱延板焼鈍を施す工程と、前記熱延板焼鈍を施した熱延鋼板に一回または中間焼鈍をはさんだ二回以上の冷間圧延を施す工程と、前記冷間圧延により得られる冷延鋼板に焼鈍を施す工程とを備える無方向性電磁鋼板の製造方法であって、前記鋼塊または鋼片の等軸晶率を30%以上とし、前記熱延鋼板の厚さを2.0mm以下とし、さらに前記熱延板焼鈍の焼鈍温度を750℃以上1100℃以下とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
    Sn+Sb≦0.1% (1)
    Si+Al≧2% (2)
    (式(1)中および式(2)中において、Sn,Sb,SiおよびAlは、それぞれの
    元素の含有量を質量%で表した数値である。)
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