JPH11132850A - 色表現データの変換およびこれを用いたカラー印刷物のシミュレーション - Google Patents

色表現データの変換およびこれを用いたカラー印刷物のシミュレーション

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JPH11132850A
JPH11132850A JP10186897A JP18689798A JPH11132850A JP H11132850 A JPH11132850 A JP H11132850A JP 10186897 A JP10186897 A JP 10186897A JP 18689798 A JP18689798 A JP 18689798A JP H11132850 A JPH11132850 A JP H11132850A
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color
target
colors
virtual
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JP10186897A
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English (en)
Inventor
Nobuaki Usui
信昭 臼井
Atsushi Imamura
淳志 今村
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Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色表現データの変換技術と、これを用いて3
次元空間内に配置されたカラー印刷物を再現する技術と
を提供する。 【解決手段】 N次色(Nは3以上の整数)である対象
点の対象色を含むN次元色空間において、N次色を構成
するN種類のインクの中の(N−2)種類のインクの網
点面積率を対象色の網点面積率に等しい値に固定したと
きに得られる{N(N−1)/2}個の仮想2次色平面
の中から1つを選択する。そして、選択された仮想2次
色平面の4つの辺上に前記対象色の座標点を投影するこ
とによって、4つの辺上に4つの基本参照色を設定す
る。これら4つの基本参照色に対して、変換後の色表現
データ(反射係数や表色値)をそれぞれ決定する。対象
色に対する色表現データは、4つの参照色における色表
現データの線形結合によってそれぞれ決定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、色表現データの
変換技術、および、これを用いてカラー印刷物をディス
プレイデバイスやプリンタ等の出力装置で再現する技術
に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー印刷物をディスプレイデバイスや
プリンタなどの種々の出力装置によって再現する際に
は、実物の印刷物になるべく近い色を再現することが望
ましい。従来は、印刷物の色再現の方法として、マーレ
イ・デービスの式、ユール・ニールセンの式、ノイゲバ
ウアの式などが知られている。例えば、ノイゲバウアの
式は、YMCKの4色のインクの網点面積率からRGB
の各色成分の値を決定する場合などに用いられる式であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来の
変換式は、理想化されたモデルを元に設定されているた
め、実際の色を再現できない場合が多いという問題があ
った。特に、3次元空間に配置された印刷物を観察する
状態を再現する場合には、モデルが適応できない場合が
多いという問題があった。
【0004】一方、3次元空間に配置された印刷物を再
現する方法としては、本出願人により開示された特開平
7−234158号公報の方法がある。この方法では、
カラー印刷物の反射光の照度スペクトルI(θ,ρ,
λ)(θは反射角、ρはずれ角、λは波長)を、鏡面反
射係数Ss(λ)と、内部反射係数Sb(λ)から求
め、この照度スペクトルI(θ,ρ,λ)に基づいてカ
ラー印刷物を再現している。この方法では、単色で刷ら
れた特定の網点面積率(例えば100%)を有するカラ
ー印刷物は忠実に再現できるが、任意の網点面積率を有
するカラー印刷物の忠実な再現や、複数のインクで刷ら
れたカラー印刷物を忠実に再現する際に、どのように適
用するのかが明確ではなかった。
【0005】この発明は、従来技術における上述の課題
を解決するためになされたものであり、3次元空間に配
置された複数のインクで刷られたカラー印刷物内の任意
の網点面積率の部分を従来に比べてより忠実に再現する
ことのできる技術を提供することを第1の目的とする。
【0006】また、このカラー印刷物の色再現技術に用
いている反射係数の決定方法を応用した色表現データの
変換技術を提供することを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明によ
るシミュレーション方法は、3次元空間に配置されたN
次色(Nは3以上の整数)のカラー印刷物に関してレン
ダリング処理を行なうことによって、前記カラー印刷物
を出力装置で再現する方法であって、(a)前記カラー
印刷物上の対象点に、所定の輝度スペクトルφの光を照
射した場合に、所定の観察点で観察される反射光の照度
スペクトルIを数式1で定義する工程と、(b)N次色
である前記対象点の対象色を含むN次元色空間におい
て、前記N次色を構成するN種類のインクの中の(N−
2)種類のインクの網点面積率を前記対象色の網点面積
率に等しい値に固定したときに得られる{N(N−1)
/2}個の仮想2次色平面の中から1つを選択する工程
と、(c)前記選択された仮想2次色平面の4つの辺上
に前記対象色の座標点を投影することによって、前記4
つの辺上に4つの基本参照色を設定する工程と、(d)
数式1に含まれる第1の反射係数Sbと第2の反射係数
Ssを、前記4つの基本参照色に対してそれぞれ決定す
る工程と、(e)前記対象色に対する前記第1と第2の
反射係数Sb,Ssの値を、前記4つの参照色における
前記第1と第2の反射係数Sb,Ssの値の線形結合に
よってそれぞれ決定する工程と、(f)前記対象色に対
する第1と第2の反射係数Sb,Ssを用いて、前記反
射光の照度スペクトルIを数式1に従って決定する工程
と、(g)前記反射光の照度スペクトルIを用いて、前
記出力装置に適した表色系で前記対象色を表わす色デー
タを求める工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】上記シミュレーション方法によれば、任意
の網点面積率d1Nを有するN次色である対象色の反射
係数Sb,Ssが、4つの基本参照色の反射係数の線形
結合によって決定されるので、比較的少ない計算量で対
象色の照度スペクトルI(d1N,θ,ρ,λ)を求め
ることができる。また、この照度スペクトルを出力装置
の表色系の色データに変換することができる。従って、
3次元空間に配置されたN次色のカラー印刷物内の任意
の網点面積率の部分を、従来に比べてより忠実に再現す
ることができる。また、5つ以上の参照色を用いる場合
に比べて少ない計算量で再現を行うことができる。
【0009】上記シミュレーション方法において、前記
Nが4以上である場合に、前記工程(d)は、(1)パ
ラメータn(nは(N−1)以下3以上の整数)を(N
−1)から3まで順次変化させながら第1の処理を繰り
返す工程を含み、前記第1の処理は、前記4つの基本参
照色のそれぞれを仮想n次参照色と見なし、各仮想n次
参照色を含むn次元色空間において、前記仮想n次参照
色を構成するn種類のインクの中の(n−2)種類のイ
ンクの網点面積率を前記仮想n次参照色の網点面積率に
等しい値に固定したときに得られる{n(n−1)/
2}個の仮想2次色平面の中から1つを選択し、前記選
択された仮想2次色平面の4つの辺上に前記仮想n次参
照色の座標点を投影することによって、前記4つの辺上
に4つの仮想(n−1)次参照色を設定する処理であ
り、前記工程(1)は、前記第1の処理を繰り返すこと
によって複数の仮想2次参照色を設定する工程であり、
前記工程(d)は、さらに、(2)パラメータm(mは
3以上N以下の整数)を3からNまで順次変化させなが
ら第2の処理を繰り返す工程を含み、前記第2の処理
は、各仮想m次参照色の前記投影によって設定された4
つの仮想(m−1)次参照色に対する前記第1と第2の
反射係数Sb,Ssの線形結合によって、各仮想m次参
照色に対する前記第1と第2の反射係数Sb,Ssを決
定する処理であり、前記工程(2)は、前記第2の処理
を繰り返すことによって前記4つの基本参照色に対する
前記第1と第2の反射係数Sb,Ssを求める工程であ
る、ことが好ましい。
【0010】4つの仮想(m−1)次参照色の反射係数
から仮想m次色の反射係数を求めるという第2の処理を
繰り返すことによって、4つの基本参照色の反射係数が
得られる。従って、これらの4つの基本参照色の反射係
数の線形結合によって、対象色の反射係数を決定するこ
とができる。この第2の処理も、4つの仮想(m−1)
次参照色の反射係数から仮想m次色の反射係数を求めて
いるので、より多数の仮想(m−1)次参照色を用いる
場合に比べて、より少ない計算量で仮想m次色の反射係
数を求めることができる。
【0011】なお、前記特性fb(θ),fs(ρ)
は、それぞれ数式2の形式を有することが好ましい。
【0012】本発明のシミュレーションシステムは、3
次元空間に配置されたN次色(Nは3以上の整数)のカ
ラー印刷物に関してレンダリング処理を行なうことによ
って、前記カラー印刷物を出力装置で再現するシステム
であって、前記カラー印刷物上の対象点に、所定の輝度
スペクトルφの光を照射した場合に、所定の観察点で観
察される反射光の照度スペクトルIを数式3で定義する
手段と、N次色である前記対象点の対象色を含むN次元
色空間において、前記N次色を構成するN種類のインク
の中の(N−2)種類のインクの網点面積率を前記対象
色の網点面積率に等しい値に固定したときに得られる
{N(N−1)/2}個の仮想2次色平面の中から1つ
を選択する手段と、前記選択された仮想2次色平面の4
つの辺上に前記対象色の座標点を投影することによっ
て、前記4つの辺上に4つの基本参照色を設定する手段
と、数式3に含まれる第1の反射係数Sbと第2の反射
係数Ssを、前記4つの基本参照色に対してそれぞれ決
定する基本参照色決定手段と、前記対象色に対する前記
第1と第2の反射係数Sb,Ssの値を、前記4つの参
照色における前記第1と第2の反射係数Sb,Ssの値
の線形結合によってそれぞれ決定する手段と、前記対象
色に対する第1と第2の反射係数Sb,Ssを用いて、
前記反射光の照度スペクトルIを数式3に従って決定す
る手段と、前記反射光の照度スペクトルIを用いて、出
力装置に適した表色系で前記対象色を表わす色データを
求める手段と、前記色データに従って、前記対象色を出
力する出力装置と、を備えることを特徴とする。
【0013】本発明のシミュレーションに用いられる記
録媒体は、出力装置を備えたコンピュータに用いられ、
3次元空間に配置されたN次色(Nは2以上の整数)の
カラー印刷物に関してレンダリング処理を行なうことに
よって、前記カラー印刷物を前記出力装置で再現するた
めのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読
み取り可能な記録媒体であって、前記カラー印刷物上の
対象点に、所定の輝度スペクトルφの光を照射した場合
に、所定の観察点で観察される反射光の照度スペクトル
Iを数式4で定義する機能と、N次色である前記対象点
の対象色を含むN次元色空間において、前記N次色を構
成するN種類のインクの中の(N−2)種類のインクの
網点面積率を前記対象色の網点面積率に等しい値に固定
したときに得られる{N(N−1)/2}個の仮想2次
色平面の中から1つを選択する機能と、前記選択された
仮想2次色平面の4つの辺上に前記対象色の座標点を投
影することによって、前記4つの辺上に4つの基本参照
色を設定する機能と、数式4に含まれる第1の反射係数
Sbと第2の反射係数Ssを、前記4つの基本参照色に
対してそれぞれ決定する基本参照色決定機能と、前記対
象色に対する前記第1と第2の反射係数Sb,Ssの値
を、前記4つの参照色における前記第1と第2の反射係
数Sb,Ssの値の線形結合によってそれぞれ決定する
機能と、前記対象色に対する第1と第2の反射係数S
b,Ssを用いて、前記反射光の照度スペクトルIを数
式4に従って決定する機能と、前記反射光の照度スペク
トルIを用いて、前記出力装置に適した表色系で前記対
象色を表わす色データを求める機能と、前記色データに
従って、前記出力装置に前記対象色を出力する機能と、
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログ
ラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体で
ある。
【0014】上記のシミュレーションシステムや記録媒
体においても、上記のシミュレーション方法と同様に、
3次元空間に配置されたN次色のカラー印刷物内の任意
の網点面積率の部分を、従来に比べてより忠実に再現す
ることができる。また、5つ以上の参照点を用いる場合
に比べて少ない計算量で再現を行うことができる。
【0015】上述したシミュレーションで用いられてい
る反射係数の決定プロセスは、表色系の変換などのよう
な色表現データの変換技術に応用することができる。
【0016】本発明による色表現データ変換方法は、第
1の表色系に含まれるN種類(Nは3以上の整数)の原
色で再現されるN次色である特定の対象色に関して、前
記N種類の原色の濃度を表す第1の色表現データを、前
記対象色に関連する第2の色表現データに変換する方法
であって、(a)前記対象色を含むN次元色空間におい
て、前記N種類の原色の中の(N−2)種類の原色の濃
度を前記対象色の濃度に等しい値に固定したときに得ら
れる{N(N−1)/2}個の仮想2次色平面の中から
1つを選択する工程と、(b)前記選択された仮想2次
色平面の4つの辺上に前記対象色の座標点を投影するこ
とによって、前記4つの辺上に4つの基本参照色を設定
する工程と、(c)前記第2の色表現データの値を、前
記4つの基本参照色に対してそれぞれ決定する工程と、
(d)前記対象色に対する前記第2の色表現データの値
を、前記4つの参照色における前記第2の色表現データ
の値の線形結合によってそれぞれ決定する工程と、を備
えることを特徴とする。
【0017】従来の色変換方法としては、例えば特許第
2666523号公報の第4図に記載された方法があ
る。この従来の方法では、色空間を複数の単位立方体に
区分し、これらの単位立方体を、対象色を含む単位4面
体にさらに分割する。対象色に関する変換後の色表現デ
ータの値は、単位4面体を用いた補間処理を行うことに
よって求めていた。このような従来の変換方法では、多
数の小さな単位立方体の頂点位置における変換後の色表
現データの値を予め測定して得ておかなければならず、
極めて多数のデータが必要になるという問題があった。
【0018】本発明による色表現データの変換方法によ
れば、N次色である任意の対象色に対する第2の色表現
データが、4つの基本参照色の色表現データの線形結合
によって決定されるので、比較的少ないデータを基に、
対象色の第2の色表現データを求めることができる。
【0019】上記色表現データ変換方法において、前記
Nが4以上である場合に、前記工程(c)は、(1)パ
ラメータn(nは(N−1)以下3以上の整数)を(N
−1)から3まで順次変化させながら第1の処理を繰り
返す工程を含み、前記第1の処理は、前記4つの基本参
照色のそれぞれを仮想n次参照色と見なし、各仮想n次
参照色を含むn次元色空間において、前記仮想n次参照
色を構成するn種類の原色の中の(n−2)種類の原色
の濃度を前記仮想n次参照色の濃度に等しい値に固定し
たときに得られる{n(n−1)/2}個の仮想2次色
平面の中から1つを選択し、前記選択された仮想2次色
平面の4つの辺上に前記仮想n次参照色の座標点を投影
することによって、前記4つの辺上に4つの仮想(n−
1)次参照色を設定する処理であり、前記工程(1)
は、前記第1の処理を繰り返すことによって複数の仮想
2次参照色を設定する工程であり、前記工程(c)は、
さらに、(2)パラメータm(mは3以上N以下の整
数)を3からNまで順次変化させながら第2の処理を繰
り返す工程を含み、前記第2の処理は、各仮想m次参照
色の前記投影によって設定された4つの仮想(m−1)
次参照色に対する前記第2の色表現データの線形結合に
よって、各仮想m次参照色に対する前記第2の色表現デ
ータを決定する処理であり、前記工程(2)は、前記第
2の処理を繰り返すことによって前記4つの基本参照色
に対する前記第2の色表現データを求める工程である、
ことが好ましい。
【0020】4つの仮想(m−1)次参照色に対する第
2の色表現データから仮想m次色の第2の色表現データ
を求めるという第2の処理を繰り返すことによって、4
つの基本参照色に対する第2の色表現データが得られ
る。従って、これらの4つの基本参照色に対する第2の
色表現データの線形結合によって、対象色に対する第2
の色表現データを決定することができる。この第2の処
理も、4つの仮想(m−1)次参照色に対する第2の色
表現データから仮想m次色に対する第2の色表現データ
を求めているので、より多数の仮想(m−1)次参照色
を用いる場合に比べて、より少ない計算量で仮想m次色
に対する色表現データを求めることができる。
【0021】なお、カラー印刷物のシミュレーションに
上記の色表現データの変換を適用する場合には、前記対
象色は、前記N種類の原色で再現されるカラー印刷物上
に存在する特定の対象点の色であり、前記第2の色表現
データは、3次元空間に配置された前記カラー印刷物上
の前記対象点に、所定の輝度スペクトルの光を照射した
場合に、所定の観察点で観察される反射光の照度スペク
トルに含まれる反射係数成分である。
【0022】また、表色系の変換に上記の色表現データ
の変換を適用する場合には、前記第2の色表現データ
は、前記第1の表色系とは異なる第2の表色系の測色値
である。
【0023】本発明による色表現データの変換装置は、
第1の表色系に含まれるN種類(Nは3以上の整数)の
原色で再現されるN次色である特定の対象色に関して、
前記N種類の原色の濃度を表す第1の色表現データを、
前記対象色に関連する第2の色表現データに変換する装
置であって、前記対象色を含むN次元色空間において、
前記N種類の原色の中の(N−2)種類の原色の濃度を
前記対象色の濃度に等しい値に固定したときに得られる
{N(N−1)/2}個の仮想2次色平面の中から1つ
を選択する手段と、前記選択された仮想2次色平面の4
つの辺上に前記対象色の座標点を投影することによっ
て、前記4つの辺上に4つの基本参照色を設定する基本
参照色設定手段と、前記第2の色表現データの値を、前
記4つの基本参照色に対してそれぞれ決定する手段と、
前記対象色に対する前記第2の色表現データの値を、前
記4つの参照色における前記第2の色表現データの値の
線形結合によってそれぞれ決定する手段と、を備えるこ
とを特徴とする。
【0024】本発明の色表現データの変換に用いられる
記録媒体は、第1の表色系に含まれるN種類(Nは3以
上の整数)の原色で再現されるN次色である特定の対象
色に関して、前記N種類の原色の濃度を表す第1の色表
現データを、前記対象色に関連する第2の色表現データ
に変換するためのコンピュータプログラムを記録したコ
ンピュータ読取り可能な記録媒体であって、前記対象色
を含むN次元色空間において、前記N種類の原色の中の
(N−2)種類の原色の濃度を前記対象色の濃度に等し
い値に固定したときに得られる{N(N−1)/2}個
の仮想2次色平面の中から1つを選択する機能と、前記
選択された仮想2次色平面の4つの辺上に前記対象色の
座標点を投影することによって、前記4つの辺上に4つ
の基本参照色を設定する基本参照色設定機能と、前記第
2の色表現データの値を、前記4つの基本参照色に対し
てそれぞれ決定する機能と、前記対象色に対する前記第
2の色表現データの値を、前記4つの参照色における前
記第2の色表現データの値の線形結合によってそれぞれ
決定する機能と、をコンピュータに実現させるためのコ
ンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り
可能な記録媒体である。
【0025】これらの変換装置や記録媒体によっても、
上述した変換方法と同様に、比較的少ないデータを基
に、対象色の第2の色表現データを求めることができ
る。
【0026】
【発明の他の態様】この発明は、以下のような他の態様
も含んでいる。第1の態様は、コンピュータによって実
行されることによって、上記の発明の各工程または各手
段を実現するコンピュータプログラムを通信経路を介し
て供給するプログラム供給装置である。
【0027】
【発明の実施の形態】
A.色データ生成方法の概要:次に、本発明の実施の形
態を実施例に基づき説明する。図1は、印刷紙上に塗布
されたインクによって入射光が反射される様子を示す説
明図である。図1に示すように、インクへの入射光Li
は2つの異なった経路で反射される。第1の反射光は、
インクの表面と空気層との境界において反射される鏡面
反射光Lsである。第2の反射光は、インクの表面を通
過した光がインクおよび紙中の粒子によって散乱された
後に、外部に出射される拡散反射光(「内部反射光」と
も呼ぶ)Lbである。
【0028】図2は、光源と印刷物と視覚系(観察者)
との関係を示す説明図である。図2に示すように、視覚
系の位置は、鏡面反射光Lsの方向から角度ρ(以下、
「ずれ角」と呼ぶ)だけずれているのが普通である。印
刷物表面における光の反射点と視覚系とを結ぶ方向(観
察方向)は、入射光Liと反射光Lsとで構成される平
面上に存在しない場合があるが、この場合にも、鏡面反
射光Lsと観察方向とのなす角が、ずれ角ρとして定義
される。
【0029】図2の観察者によって観察される反射光の
照度は、次の数式5に示すように、鏡面反射光Lsの照
度と、拡散反射光Lbの照度と、環境光の照度の線形結
合で表わされると考えられる。
【0030】
【数5】
【0031】ここで、λは光の波長、I(θ,ρ,λ)
は観察される反射光の照度スペクトル、Ib(θ,ρ,
λ)は拡散反射光Lbの照度スペクトル、Is(θ,
ρ,λ)は鏡面反射光Lsの照度スペクトル、Ie
(λ)は環境光のスペクトルである。照度スペクトルI
(θ,ρ,λ),Is(θ,ρ,λ)及びIb(θ,
ρ,λ)は反射角θと、ずれ角ρと、波長λとに依存す
る。一方、環境光の照度スペクトルIe(λ)は、標準
的な光源の他に自然光など、観察点で観察される環境光
に起因する成分であり、反射角θやずれ角ρに依存せ
ず、波長λにのみ依存する。
【0032】数式5において、照度スペクトルIs
(θ,ρ,λ),Ib(θ,ρ,λ)を、次の数式6の
ようにそれぞれ角度成分と波長成分に分離できると仮定
すると、数式5は数式7のように書き換えられる。
【0033】
【数6】
【0034】
【数7】
【0035】ここで、Sb(λ)は拡散反射係数、Ss
(λ)は鏡面反射係数、φ(λ)は入射光の輝度スペク
トルである。
【0036】拡散反射光Lbの角度依存特性fb(θ)
は、 cosθで表わされることが知られている。鏡面反射
光Lsの照度は、反射角θに沿った反射方向(ρ=0の
方向)で観察した場合に最も強く、この方向からずれる
に従って急激に低下する。数式7における特性fs
(ρ)は、このような現象を表わしている。従って、関
数fs(ρ)は、ρ=0でfs(ρ)=1となり、0≦
ρ≦90°の範囲においてρの増大に伴って急激に単調
減少するような特性であると考えることができる。特性
fs(ρ)としては、例えば cosρのn0 乗(n0 は実
験的に求められる定数)を用いることができることが知
られている。しかし、この実施例では、後述するよう
に、反射光の測定に基づいて特性fs(ρ)の関数形を
決定した。
【0037】上述した数式7では、カラー印刷物の網点
面積率を考慮していない。そこで、以下では、カラー印
刷物がC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ
ー)、K(スミ)の4色のインクで塗られており、その
網点面積率が(dC ,dM ,dY,dK )であると仮定
する。なお、以下ではCMYKの4色のインクの網点面
積率をまとめて言うときに、符号「dC/M/Y/K 」を用い
る。前述した数式7の右辺において、網点面積率d
C/M/Y/K に依存するのは、拡散反射係数Sbと鏡面反射
係数Ssだけである。従って、数式7は次の数式8のよ
うに書き換えられる。
【0038】
【数8】
【0039】網点面積率dC/M/Y/K の印刷部分における
反射光の照度スペクトルI(dC/M/Y/K ,θ,ρ,λ)
が得られれば、CIE−XYZ表色系における3刺激値
X(dC/M/Y/K ),Y(dC/M/Y/K ),Z(d
C/M/Y/K )は、その定義に従って次の数式9で与えられ
る。
【0040】
【数9】
【0041】ここで、x(λ),y(λ),z(λ)は
等色関数である(なお、数式以外の文章中では、便宜
上、x,y,zの文字上のバーを省略している)。
【0042】すなわち、数式9によって求められた3刺
激値X(dC/M/Y/K ),Y(dC/M/Y/K ),Z(d
C/M/Y/K )、または、これらの色度座標値(x,y,
z)を、出力装置の表色系(例えばRGB表色系)の色
データに変換すれば、その出力装置において、網点面積
率dC/M/Y/K の印刷部分の色を忠実に再現することが可
能である。
【0043】なお、上記の数式8は、一般にN種類のイ
ンクで刷られた印刷物に容易に拡張可能である。すなわ
ち、N種類のインクの網点面積率を符号「d1N」で表
わすことにすると、数式8における符号「dC/M/Y/K
を「d1N」に置き換えることによって、次の数式10
に示す一般的な式に拡張できる。
【0044】
【数10】
【0045】但し、以下の説明においては、主に数式8
が適用される場合(すなわちCMYKの4色のインクで
刷られた印刷物を再現する場合)について説明する。な
お、この明細書では、N種類のインクで刷られた色を
「N次色」と呼ぶ。
【0046】上述の数式8の右辺第3項である環境光の
照度スペクトルIe(λ)は、カラー印刷物の観察環境
に応じて一定の値に決定される。従って、数式8におい
て、環境光の照度スペクトルIe(λ)以外の項が得ら
れれば、任意の観察環境における反射光の照度スペクト
ルIを求めることができる。そこで、以下では、環境光
の照度スペクトルIe(λ)が0の場合について、反射
光の照度スペクトルIの求め方を説明する。
【0047】環境光の照度スペクトルIe(λ)が0の
時には、前述した数式8は、次の数式11のように書き
換えられる。
【0048】
【数11】
【0049】ここで知りたいのは、網点面積率d
C/M/Y/K における拡散反射係数Sb(dC/M/Y/K ,λ)
および鏡面反射係数Ss(dC/M/Y/K ,λ)と、ずれ角
ρに依存する特性fs(ρ)の具体的な形である。ずれ
角ρに依存する特性fs(ρ)の具体的な形の求め方
は、後で詳述する。以下ではまず、網点面積率d
C/M/Y/K における拡散反射係数Sb(dC/M/Y/K ,λ)
および鏡面反射係数Ss(dC/M/Y/K,λ)の求め方の
概要について説明する。
【0050】B.N次色に対する反射係数の求め方の概
要:図3は、1次色から3次色までの色に対する反射係
数の求め方を示す説明図である。図3(A)は、1次色
に対する反射係数の求め方を示している。例えばシアン
の1次色に対する拡散反射係数Sb(dC ,λ)は、次
の数式12に従って決定される。
【0051】
【数12】
【0052】ここで、αC (dC ),βC (dC ),γ
C (dC )は重み係数である。すなわち、シアンの任意
の網点面積率dC における拡散反射係数Sb(dC
λ)は、3つの基準網点面積率(dC =0%,50%,
100%)における拡散反射係数Sb(dC =0%,
λ),Sb(dC =50%,λ),Sb(dC =100
%,λ)の線形結合で表わされる。重み係数αC (d
C ),βC (dC ),γC (dC )と、基準拡散反射係
数値Sb(dC =0%,λ),Sb(dC =50%,
λ),Sb(dC =100%,λ)の求め方について
は、後述する。
【0053】シアンの任意の網点面積率dC における鏡
面反射係数Ss(dC ,λ)は、数式12と同様の次の
数式13で決定される。
【0054】
【数13】
【0055】数式13における重み係数αC ,βC ,γ
C としては、数式12における重み係数αC ,βC ,γ
C と同じものを使用してもよい。もちろん、拡散反射係
数Sb(dC ,λ)に対する重み係数と、鏡面反射係数
Ss(dC ,λ)に対する重み係数とを別々に決定する
ようにしてもよい。なお、シアン以外のインクの1次色
についても、数式12および数式13と同じ式で反射係
数Sb,Ssを決定することができる。
【0056】図3(B)は、2次色に対する反射係数の
求め方を示している。例えばシアンとマゼンタの2次色
に対する拡散反射係数Sb(dC/M ,λ)は、次の数式
14に従って決定される。
【0057】
【数14】
【0058】ここで、C1 〜C4 は重み係数である。重
み係数C1 〜C4 の決定方法については後述する。数式
14の形式から解るように、シアンとマゼンタの任意の
網点面積率dC/M における拡散反射係数Sb(dC/M
λ)は、図3(B)に示す2次元色空間(色平面)を構
成する4本の辺上に、2次色の対象点(黒四角で示す)
を投影した4つの参照点(白四角で示す)における拡散
反射係数Sb(d0/M,λ),Sb(d100/M ,λ),
Sb(dC/0 ,λ),Sb(dC/100 ,λ)の線形結合
によって与えられる。ここで、例えば「d0/M 」は、シ
アンの網点面積率が0%で、マゼンタの網点面積率がd
M であることを意味している。なお、各辺上の参照点に
おける拡散反射係数Sbは、それぞれの辺上において、
図3(A)に示す1次色の決定方法に従って求められ
る。従って、2次色の拡散反射係数Sb(dC/M ,λ)
は、図3(B)に示す2次元色空間の各辺の両端点(黒
丸)と中点(白丸)における基準拡散反射係数の線形結
合によって与えられることになる。基準反射係数を与え
る基準色の中で、特に、辺の中点(白丸)における基準
色を「準基準色」と呼び、辺の両端点(黒丸)における
基準色を「狭義の基準色」と呼ぶことがある。
【0059】なお、図3(B)の4つの参照点(白四
角)の中で、網点面積率がd100/M の参照点と、網点面
積率がdC/100 の参照点は、厳密な意味では2次色(2
種類のインクで刷られた色)である。しかし、この明細
書においては、2次色の反射係数を求めるために、その
2次色を含む2次元色空間の外縁を構成する1次元色空
間(すなわち各辺)上に、2次色の座標点をそれぞれ投
影して設定される参照点の色を、「仮想1次色」と呼
ぶ。なお、この明細書では一般に、N次色の反射係数を
求めるために、そのN次色を含むN次元色空間の外縁を
構成する(N−1)次元色空間(すなわち各辺)上に、
N次色の座標点をそれぞれ投影して設定される参照点の
色を、「仮想(N−1)次色」と呼ぶ。
【0060】シアンとマゼンタの2次色の任意の網点面
積率dC/M における鏡面反射係数Ss(dC/M ,λ)
は、数式14と同様の式で決定されるので、ここでは省
略する。なお、拡散反射係数Sbに対する重み係数C1
〜C4 と、鏡面反射係数Ssに対する重み係数C1 〜C
4 とは、別々に決定するようにしてもよく、また、同じ
重み係数を用いてもよい。シアンとマゼンタの組み合わ
せ以外の2次色についても、数式14と同様な式で反射
係数Sb,Ssを決定することができる。
【0061】図3(C)は、3次色に対する反射係数の
求め方を示している。例えばシアンとマゼンタとイエロ
ーの3つのインクで構成される3次色に対する拡散反射
係数Sb(dC/M/Y ,λ)は、次の数式15に従って決
定される。
【0062】
【数15】
【0063】数式15に含まれる4つの拡散反射係数S
b(dC/M/0 ,λ),Sb(dC/0/Y ,λ),Sb(d
C/M/100 ,λ),Sb(dC/100/Y ,λ)は、図3
(C)に示されているように、3次色の対象色(白三角
で示す)を含み、シアン軸に垂直な仮想2次色平面PT
Pの4本の辺上に対象色の座標点を投影した4つの参照
点(黒四角で示す)における拡散反射係数である。各参
照点における拡散反射係数Sbの値は、各参照点を含む
4つの面PTP1 〜PTP4 上において、図3(B)に
示した2次色における拡散反射係数の決定方法を適用す
ることによってそれぞれ決定される。
【0064】仮想2次色平面PTP上ではシアンの網点
面積率が一定であり、マゼンタとイエローの網点面積率
が変化する。この明細書では一般に、2種類のインクの
網点面積率のみが変化し、他のインクの網点面積率が一
定であるような面を仮想2次色平面と呼ぶ。図3(C)
に示す色立体の6つの面の中で、仮想2次色平面PTP
の4つの辺をそれぞれ含む4つの面PTP1 〜PTP4
は、いずれもシアンの網点面積率と他の1つのインク
(マゼンタまたはイエロー)の網点面積率とが変化し、
残りの1つのインク(イエローまたはマゼンタ)の網点
面積率が一定(0%または100%)である仮想2次色
平面である。換言すれば、対象色を含みシアンの網点面
積率が一定であるような仮想2次色平面PTPの4つの
辺は、3次色を構成する3つのインクの中でシアンと他
の1色との網点面積率が変化するような4つの仮想2次
色平面PTP1 〜PTP4 にそれぞれ含まれている。従
って、4つの参照点(黒四角)における反射係数は、そ
れぞれの仮想2次色平面PTP1 〜PTP4 において、
図3(B)に示した反射係数の決定方法に従って求める
ことができる。
【0065】上述した数式15は、前述した数式14と
同じ形式を有しているが、重み係数C1 〜C4 の値は数
式14と数式15とでそれぞれ独立に決定される。数式
15の形式から解るように、シアンとマゼンタとイエロ
ーの任意の網点面積率dC/M/Y における拡散反射係数S
b(dC/M/Y ,λ)は、図3(C)に示す仮想2次元色
空間PTPを構成する4本の辺上に3次色の対象色の座
標点(対象点とも呼ぶ)を投影して4つの参照点を決定
し、これらの4つの参照点における拡散反射係数Sbの
線形結合を求めることによって与えられる。なお、「色
空間を構成する辺上に座標点を投影する」ことは、その
座標点の1つの座標値を0%または100%に設定する
ことと等価である。
【0066】なお、対象色の反射係数を求める際に使用
される仮想2次色平面としては、シアン軸に垂直な仮想
2次色平面PTPを用いる代わりに、マゼンタ軸に垂直
な仮想2次色平面や、イエロー軸に垂直な仮想2次色平
面を用いることも可能である。すなわち、3次色である
対象色の反射係数を求める際に使用される仮想2次色平
面としては、1つのインクの網点面積率を対象色の網点
面積率に等しい値に固定して得られる3つの仮想2次色
平面の中の任意の1つを使用することができる。
【0067】3次色の任意の網点面積率dC/M/Y におけ
る鏡面反射係数Ss(dC/M/Y ,λ)は、前述した数式
15と同様の式で決定されるので、ここでは省略する。
なお、拡散反射係数Sbに対する重み係数C1 〜C
4 と、鏡面反射係数Ssに対する重み係数C1 〜C4
は、別々に決定するようにしてもよく、また、同じ重み
係数を用いてもよい。また、シアンとマゼンタとイエロ
ーの組み合わせ以外の3次色についても、数式15と同
様な式で反射係数Sb,Ssを決定することができる。
【0068】このように、本実施例では、任意の網点面
積率を有する3次色である対象色(図3(C)の白三角
の点)の反射係数は、その対象色を含む仮想2次色平面
PTPの4つの辺上に対象色の座標点を投影することに
よって4つの参照点(図3(C)の黒四角の点)を決定
し、これら4つの参照点における反射係数の線形結合を
求めることによって決定される。
【0069】シアンとマゼンタとイエローとブラックの
4つのインクで構成される4次色の対象色に対する拡散
反射係数Sb(dC/M/Y/K ,λ)は、次の数式16に従
って決定される。
【0070】
【数16】
【0071】3次色に関する上述の説明から類推できる
ように、4つの拡散反射係数Sb(dC/M/0/K ,λ),
Sb(dC/0/Y/K ,λ),Sb(dC/M/100/K ,λ),
Sb(dC/100/Y/K ,λ)は、シアンとブラックの網点
面積率を対象色の網点面積率dc ,dK と等しい値に固
定することによって得られる仮想2次色平面の4本の辺
上に投影した4つの参照点における拡散反射係数であ
る。換言すれば、これらの4つの参照点の網点面積率d
C/M/0/K ,dC/0/Y/K ,dC/M/100/K ,dC/100/Y/K
関しては、シアンとブラックの網点面積率が対象色の網
点面積率の値と同じであり、マゼンタとイエローとのう
ちの一方が0%または100%であるという特徴があ
る。すなわち、4次色である対象色の反射係数を求める
際に使用される仮想2次色平面は、4つのインクのうち
の2色(例えばシアンとブラック)の網点面積率が対象
色と同じ値に固定されており、他の2色(例えばマゼン
タとイエロー)の網点面積率が変化するような仮想2次
色平面である。また、4つの参照点は、4つのインクの
うちの1色の網点面積率が0%または100%に等し
く、かつ、他の3つのインクの網点面積率が対象色と同
じ値を取るような色に相当する。従って、仮にこれらの
4つの参照色を3次色の対象色と見なして、上述した3
次色の対象色に関する反射係数の決定方法を適用すれ
ば、4つの参照色に対する反射係数を得ることができ
る。
【0072】上述した数式14ないし数式16を一般化
すれば、任意の網点面積率を有するn次色(nは2以上
の整数)の対象色に対する拡散反射係数Sb(d1n
λ)は、次の数式17で与えられる。
【0073】
【数17】
【0074】ここで、Sb(di =0,λ),Sb(d
i =100,λ)は、i番目のインクの網点面積率を0
%と100%にそれぞれ設定し、その他のインクの網点
面積率を、対象色の網点面積率に等しく設定した時の拡
散反射係数を意味している。また、Sb(dj =0,
λ),Sb(dj =100,λ)は、j番目のインクの
網点面積率を0%と100%にそれぞれ設定し、その他
のインクの網点面積率を対象色の網点面積率に等しく設
定した時の拡散反射係数を意味している。すなわち、n
次色の対象色の反射係数は、n種類のインクのうちの特
定の2つのインクの一方を0%または100%に固定し
て得られる4つの参照色の反射係数の線形結合によって
与えられる。
【0075】数式14ないし数式16は、数式17にお
いてnを2,3,4にそれぞれ設定した場合の式の一例
に相当する。
【0076】任意の網点面積率のn次色(nは2以上の
整数)における鏡面反射係数Ss(d1N,λ)は、上
記数式17と同様の次の数式18で与えられる。
【0077】
【数18】
【0078】一般に、N次色(Nは3以上の整数)であ
る対象色の反射係数は、その対象色を含む仮想2次色平
面の4つの辺上に、N次色の対象色の座標点を投影する
ことによって4つの参照点を決定し、これら4つの参照
点における反射係数の線形結合を求めることによって決
定される。このときの仮想2次色平面としては、N次色
を構成するN個のインクの中の(N−2)色の網点面積
率の値を対象色と同じ値に固定したときに得られる{N
(N−1)/2}個の仮想2次色平面の中から、任意の
1つを選択して使用することができる。N次色に対する
4つの参照点は、(N−1)次色と見なすことができ
る。この時、(N−1)の値が3以上の場合には、これ
ら4つの参照点における色をそれぞれ(N−1)次色の
対象色と見なして、各(N−1)次色を含む仮想2次色
平面の4つの辺上に各(N−1)次色を投影して4つの
(N−2)次色の参照点を決定する。こうして、順次参
照点の次数を減少させてゆけば、最終的に複数の2次色
の参照点を得ることができる。これらの2次色の参照点
に対する反射係数の値は、図3(B)に示す方法で決定
できる。この後、3次以上のより高次の参照点における
反射係数を順次求めてゆけば、最終的にN次色である対
象色の反射係数を決定することができる。すなわち、数
式17、数式18においてnを2〜Nまで順次変化させ
た式に従って、n次色の反射係数Sb(d1n,λ),
Ss(d1n,λ)を順次求めていくことによって、N
次色の反射係数Sb(d1n,λ),Ss(d1n
λ)を求めることができる。なお、数式17、数式18
における重み係数C1 〜C4 の値は一定ではなく、nの
値と各式で実際に用いられる網点面積率の値とに応じて
異なる値がそれぞれ使用される。
【0079】以下では、1次色に対する反射係数の決定
方法と、2次色以上の高次色に対する反射係数の決定方
法の詳細について順次説明する。
【0080】C.1次色に対する反射係数の決定方法:
1次色の任意の網点面積率における拡散反射係数Sbと
鏡面反射係数Ssは、前述の数式12および数式13で
それぞれ与えられる。
【0081】図4は、数式12による1次色の拡散反射
係数Sbの決定方法を示す説明図である。但し、図4に
おいては、任意のインクを対象としていることを示すた
めに、網点面積率と重み係数に対して、添字を有さない
符号「d」,「α,β,γ」をそれぞれ用いている。
【0082】基準拡散反射係数値Sb(0%,λ),S
b(50%,λ),Sb(100%,λ)は、後述する
ように、基準網点面積率(0%,50%,100%)に
おいて、予め実験的に決定された拡散反射係数値であ
る。基準拡散反射係数値Sb(0%,λ),Sb(50
%,λ),Sb(100%,λ)は、光の波長λに依存
するので、後述するように波長λの複数の値に対して求
められている。例えば、可視光の波長(約380nm〜
約780nm)を約60個の波長領域に区分した場合に
は、各波長領域毎に基準拡散反射係数値Sb(0%,
λ),Sb(50%,λ),Sb(100%,λ)が予
め求められる。基準拡散反射係数値Sb(0%,λ),
Sb(50%,λ),Sb(100%,λ)を求める方
法については後述する。
【0083】各重み係数α(d),β(d),γ(d)
は、図4に示すように、網点面積率dに依存する。基準
拡散反射係数値Sb(0%,λ)に対する重み係数α
(d)の値は、対象となっている印刷部分の網点面積率
dが0%の時には1であり、50%および100%の時
には0である。このように、各重み係数α,β,γは、
対象印刷部分の網点面積率dが、その重み係数に関連す
る基準拡散反射係数Sb(di ,λ)における網点面積
率di に等しい場合には1となり、他の基準拡散反射係
数Sb(dj ,λ)における網点面積率dj に等しい場
合には0となる。
【0084】図4において、重み係数α(d)の変化
は、0≦d≦100%の範囲でそれぞれ11個の点(図
中黒丸で示す)で代表されている。任意の網点面積率d
における重み係数α(d)の値は、これらの11個の係
数値αを補間することによって決定される。例えば、対
象となっている網点面積率dに最も近い2つの網点面積
率における2つの係数値αを直線補間することによっ
て、重み係数α(d)を決定するようにしてもよい。も
ちろん、3つ以上の点における係数値αを非直線的に補
間することによって、重み係数α(d)を決定してもよ
い。これは、他の重み係数β(d),γ(d)について
も同様である。
【0085】図5は、図4のように3つの基準反射係数
値Sb(0%,λ),Sb(50%,λ),Sb(10
0%,λ)を補間することによって任意の網点面積率d
における反射係数Sb(d,λ)を決定する方法の利点
を示す概念図である。図5の下部の点線は、0%と10
0%の2点を補間して得られる再現値を示している。ま
た、一点鎖線は、実測値を示している。2点の補間によ
る再現値では、網点面積率dが約50%付近のところで
再現誤差が大きくなる傾向にある。そこで、この実施例
では、網点面積率が50%の点を加えており、0%と5
0%と100%の3点の値の線形結合(前述の数式1
2,13)によって任意の網点面積率における再現値を
近似している。この結果、網点面積率が約50%付近に
おける再現誤差を小さくすることができる。
【0086】各インクの1次色について、上述した数式
11〜13に従って任意の網点面積率dにおける印刷部
分の反射光の照度スペクトルI(d,θ,ρ,λ)を求
めるには、次の項目を予め決定しておけばよいことが解
る。 (1)基準拡散反射係数値Sb(0%,λ),Sb(5
0%,λ),Sb(100%,λ)。 (2)基準鏡面反射係数値Ss(0%,λ),Ss(5
0%,λ),Ss(100%,λ)。 (3)重み係数α(d),β(d),γ(d)の変化
(図4)。 (4)角度ρに依存する特性fs(ρ)の形。 以下では、上記の各項目(以下、「参照データ」と呼
ぶ)を決定し、これらの参照データに基づいて印刷物を
再現する方法について説明する。
【0087】D.実施例の手順:図6および図7は、実
施例の手順を示す説明図である。図6のステップS1で
は、N次色を構成する各インクについて、基準色と、基
準色以外の複数の1次色とを含むグラデーションを作成
し、その分光反射率を測定した。ここで、「基準色」と
は、上記数式12,13における基準反射係数に関連す
る網点面積率(すなわち0%,50%,100%)の色
票の色を意味する。基準色は、1次色の中で、基準反射
係数に関連する網点面積率を有する色である。「グラデ
ーション」は、基準色や1次色の色票を網点面積率の順
に並べた印刷物である。実施例では、N次元の色空間を
構成するN・2(N-1) 本のすべての辺に関してグラデー
ションが作成された。例えば、3次色のシミレーション
を行う場合には、図3(C)に示す色立体の12本の辺
上における12個のグラデーションがそれぞれ作成され
た。
【0088】図8は、ステップS1における処理内容を
示す説明図である。グラデーションとしては、図8
(A)に示すように0%から100%まで10%おきに
1色の印刷用インク(例えばシアン)を刷ったものを作
成した。図8(B)は、分光反射率の測定条件を示して
いる。分光反射率は、反射光の照度スペクトルI(d,
θ,ρ,λ)を入射光の輝度スペクトルφ(λ)で正規
化したものであり、従ってI(d,θ,ρ,λ)/φ
(λ)で表わされる。図8(B)に示すように、この実
施例では、反射角θとして8°と10°の2点を設定し
た。また、ずれ角ρとしては、−10°から34°まで
の範囲において2°おきの角度をそれぞれ設定するとと
もに、35°を設定した。前述した数式11において反
射角θに依存する成分は cosθだけである。従って、反
射角θの測定条件としては、1つの値を設定すれば十分
である。しかし、この実施例では、精度を向上させるた
めに反射角θとして2つの値を設定した。一方、ずれ角
ρについては、成分fs(ρ)のずれ角ρに対する依存
性(すなわちfs(ρ)の関数形)を決定するために、
比較的細かく角度を設定した。
【0089】ステップS1では、図8(A)に示す11
個の各色票について、図8(B)に示す各測定条件にお
いて、図8(C)に示すような分光反射率を測定した。
図9は、分光反射率の測定装置を示す概念図である。図
示しないサンプル台の上に測色サンプル20を載置し、
光源22で光を照射しながら分光光度計24で反射光の
照度スペクトルI(d,θ,ρ,λ)を測定した。測色
サンプル20としては、図8(A)に示すグラデーショ
ンの各色票の他に、標準白色板を用いた。実施例で用い
た標準白色板は、分光反射率がほぼ1に等しいものであ
る。従って、標準白色板の反射光の照度スペクトルは、
入射光の輝度スペクトルφ(λ)に相当する。そこで、
各色票の反射光の照度スペクトルI(d,θ,ρ,λ)
を標準白色板の照度スペクトルφ(λ)で正規化するこ
とによって、分光反射率を算出した。また、標準白色板
は、鏡面反射成分がほぼ0であり、従って、その測定値
はずれ角ρに依存しない。そこで、標準白色板の測定条
件としては、他の測色サンプルと同じ入射角θ(8°お
よび10°の少なくとも一方)を設定し、ずれ角ρは−
10°に設定した。
【0090】測定データは、パーソナルコンピュータで
解析した。光源22としては、標準光D65の昼光用フラ
ッドランプを用いた。また、測定は暗室の中で行ない、
環境光の無い理想的な観察状態を実現した。
【0091】図10は、図8(C)に示す分光反射率の
測定値を拡大して示すグラフである。このグラフは、網
点面積率dが50%、入射角θが8°の条件において、
ずれ角ρが異なる複数の測定結果を示している。反射率
が1.0のレベルは、標準白色板の照度スペクトルと等
しいレベルを示している。測色サンプルの分光反射率が
1.0を越える場合があるのは、標準白色板の測定値が
鏡面反射成分を含まないので、鏡面反射成分を含む測色
サンプルの測定値の方が大きくなる場合があるからであ
る。
【0092】図6のステップS2では、1次色に関する
分光反射率の測定値から、数式11の拡散反射成分Ib
(d,θ,λ)を抽出し、また、鏡面反射成分Is
(d,ρ,λ)を推定した。図11は、分光反射率から
拡散反射成分と鏡面反射成分を決定し、さらに、重み係
数α,β,γを決定するまでの手順を示す説明図であ
る。ステップS2では、図11(A)に示す分光反射率
から、図11(B)に示す拡散反射成分を抽出し、さら
に、図11(C)に示す鏡面反射成分を推定した。
【0093】拡散反射成分の抽出には、ρ=35°,θ
=8°の条件における分光反射率を使用した。入射角θ
に対する依存性は cosθで与えられることが解っている
ので、入射角θの値は8°と10°のいずれを選択して
もよい。ずれ角ρとしては、測定条件の中で最も大きな
値である35°を選択した。この理由は、以下の通りで
ある。前述したように、数式11に含まれるずれ角ρに
対する依存性fs(ρ)は、ρ=0でfs(ρ)=1と
なり、0≦ρ≦90°の範囲においてρの増大に伴って
急激に単調減少するような特性である。数式11から理
解できるように、ρが十分大きく、角度成分fs(ρ)
を0と見なすことができる条件では、鏡面反射成分Is
(d,ρ,λ)/φ(λ)=Ss(d,λ)・fs
(ρ)が0になる。この条件では、分光反射率の測定値
は、拡散反射成分Ib(d,θ,λ)/φ(λ)=Sb
(d,λ)・ cosθに相当する。角度成分fs(ρ)は
cosnρ(nは約300〜400)に近い値を示すので、
fs(35°)の値を0であると見なしても、その誤差
は無視できる程度である。
【0094】図12は、ρ=35°、θ=8°の条件で
抽出された拡散反射成分Sb(d,λ)・ cosθをプロ
ットしたグラフである。このグラフでは、網点面積率d
の異なる色票毎に、拡散反射成分Sb(d,λ)・ cos
θの波長依存性が示されている。実施例では、次の数式
19に示すように、この拡散反射成分を cosθで除算す
ることによって、拡散反射係数Sb(d,λ)を算出し
た。
【0095】
【数19】
【0096】鏡面反射成分Is(d,ρ,λ)の推定に
は、ρ=0°,θ=8°の分光反射率を用いた。入射角
θとしては、拡散反射成分を抽出した条件と同じ値を用
いている。ずれ角ρを0°に設定したのは、fs(ρ)
=1となる条件を選択するためである。このずれ角の依
存性fs(ρ)の詳細な形状は未知であるが、その定義
から、fs(0)=1であることが解っている。すなわ
ち、ずれ角ρが0の時には、鏡面反射成分Is(d,ρ
=0,λ)は、鏡面反射係数Ss(d,λ)に入射光ス
ペクトルφ(φ)を乗じたものに等しい。従って、ρ=
0の条件における鏡面反射成分Is(d,ρ=0,λ)
が得られれば、鏡面反射係数Ss(d,λ)が得られた
ことになる。
【0097】前述した数式11から、ずれ角ρが0°の
分光反射率I(d,θ,ρ=0,λ)/φ(λ)は次の
数式20で与えられる。
【0098】
【数20】
【0099】数式20を変形すれば、鏡面反射係数Ss
(d,λ)は、次の数式21で与えられる。
【0100】
【数21】
【0101】図13は、θ=8°の条件において、数式
21に従って推定された鏡面反射係数Ss(d,λ)を
プロットしたグラフである。このグラフでは、網点面積
率dの異なる1次色の色票毎に、鏡面反射係数Ss
(d,λ)の波長依存性が示されている。
【0102】図6のステップS3では、鏡面反射成分の
ずれ角ρに対する依存性fs(ρ)(「鏡面反射率減衰
係数」とも呼ぶ)の形状を決定した。前述した数式11
から解るように、網点面積率dと、入射角θと、波長λ
とが一定の条件下では、分光反射率I/φは、ずれ角ρ
のみに依存する。従って、網点面積率dと、入射角θ
と、波長λとが一定の条件下における分光反射率I/φ
について、ずれ角ρの依存性を調べることによって、そ
の関数形を決定した。具体的には、fs(ρ)は、次の
数式22に示すガウス分布の関数形を有することが見い
だされた。
【0103】
【数22】
【0104】ここで、定数σは約70〜約90の範囲の
値である。また、ずれ角ρの単位はラジアンである。実
施例では、最小自乗法を用いてσ=80が得られた。
【0105】fs(ρ)の関数形としては、次の数式2
3を用いることも可能である。
【0106】
【数23】
【0107】ここで、指数n0 は約350〜約400の
範囲の値である。数式22で与えられる依存性fs
(ρ)も、数式23で与えられる依存性fs(ρ)も、
いずれも、ρ=0でfs(ρ)=1となり、0≦ρ≦9
0°の範囲においてρの増大に伴って急激に単調減少す
るような特性である。
【0108】図6のステップS4では、前述した数式1
2,13で使用される重み係数α,β,γを決定した
(図11(D))。この実施例では、ステップS2で得
られた拡散反射係数Sb(d,λ)から、重み係数α,
β,γを以下のようにして決定した。まず、前述した数
式12を、波長λの複数の値に関する連立方程式に拡張
し、この連立方程式を、次の数式24および数式25の
ように行列を用いて書き表わした。
【0109】
【数24】
【0110】
【数25】
【0111】数式25にも示されているように、行列V
org は、任意の網点面積率dについて、可視光の波長範
囲(λmin 〜λmax )における複数の波長値に対する拡
散反射係数Sb(d,λ)の値を表わす。また、行列K
は、重み係数α(d),β(d),γ(d)を表わす。
行列Vprimは、可視光の波長範囲(λmin 〜λmax )の
複数の波長値に対する基準拡散反射係数Sb(0%,
λ),Sb(50%,λ),Sb(100%,λ)の値
を表わす。ここで、λmin は可視光の波長λの最小値、
λmax は最大値である。例えば可視光の波長λを60個
の波長領域に区分していれば、数式24は60個の式を
含む連立方程式に相当する。
【0112】網点面積率dの11個の値(0%,10%
…100%)に対する拡散反射係数Sb(d,λ)の値
は前述したステップS2において求められているので、
これらの11個の網点面積率の値に関しては数式24の
左辺の行列Vorg は既知である。同じ理由から、数式2
4の右辺の2番目の行列Vprimも既知である。従って、
数式24の右辺における未知数は、α(d),β
(d),γ(d)を示す行列Kだけである。このよう
に、未知数の数が式の数よりも少ない連立方程式(数式
24)を、未知数の行列Kについて解くと、未知数α
(d),β(d),γ(d)を最小自乗法で近似したも
のと等価な結果が得られる。具体的には、11個の網点
面積率dのそれぞれの値(0%,10%…100%)に
ついて、次の数式26で与えられる行列Kを求めると、
11組の重み係数α(d),β(d),γ(d)(d=
0%,10%…100%)が得られる。
【0113】
【数26】
【0114】図14は、こうして得られた重み係数α
(d),β(d),γ(d)の変化を示すグラフであ
る。図14に示す重み係数α(d),β(d),γ
(d)は、前述した図4に示したものと同じ性質のもの
である。但し、図4は重み係数の変化の概要を示してい
るのに対して、図14は実施例において実際に得られた
値を示している。
【0115】図6のステップS5では、ステップS2〜
S4で得られた各種の結果を用いて、N次色(Nは3以
上の整数)の反射率のシミュレーションを行なった。図
7は、ステップS5の詳細手順を示している。ステップ
S11ではパラメータnをNに等しく設定する。ステッ
プS12では、n次色の対象色を含む仮想2次色平面の
4つの辺上に対象色を投影することによって、4つの仮
想(n−1)次色の参照点を決定する。ここで、「仮想
(n−1)次色」とは、n次色である対象色のn種類の
インクの中の1つのインクの網点面積率が、0%または
100%に設定された色を言う。
【0116】ステップS13では、(n−1)が1に等
しいか否かが判断される。(n−1)が1に等しいとき
には後述するステップS16に移行する。一方、(n−
1)が1に等しくないときには、各参照点を新たな対象
色と見なして(ステップS14)、パラメータnから1
を減算し(ステップS15)、前述したステップS12
に戻る。こうして、仮想1次色の参照点が得られるまで
ステップS12〜S15を繰り返す。この結果、仮想
(N−k)次色(ここでkは1から(N−1)までの整
数)の参照点が4個×4(k-1) 組ずつそれぞれ決定され
る。例えば、3次色の対象色のシミュレーションを行う
際には、仮想2次色の参照点が4個×1組決定され、ま
た、仮想1次色の参照点が4個×4組決定される。ま
た、4次色の対象色のシミュレーションを行う際には、
仮想3次色の参照点が4個×1組決定されるとともに、
仮想2次色の参照点が4個×4組、仮想1次色の参照点
が4個×16組決定される。但し、4個×4(k-1) 組の
仮想(N−k)次色の中には、実際には同じ色が重複し
ていることもある。
【0117】こうして、仮想(N−1)次色から仮想1
次色までの参照点がすべて決定されると、ステップS1
6において、パラメータmが2に設定される。このパラ
メータmはステップS11〜S15におけるパラメータ
nと同じものであるが、説明の便宜上、別な記号を使用
している。ステップS17では、仮想(m−1)次色の
参照点における反射係数Sb,Ssが前述した数式1
2,13(m=2の場合)または数式17,18(mが
3以上の場合)に従って決定される。ステップS18で
は、(m−1)がNに等しいか否かが判断され、等しく
なければステップ19においてパラメータmを1つ増加
させる。そして、ステップS17に戻り、1つ高次の参
照点における反射係数Sb,Ssを決定する。こうし
て、N次色の反射係数Sb,Ssが得られるまでステッ
プS17〜S19を繰り返す。N次色の反射係数Sb,
Ssが得られた後は、ステップS19において、前述し
た数式10(または数式11)を用いてN次色の照度ス
ペクトルI(または分光反射率I/φ)を算出する。
【0118】ステップ16において仮想1次色の反射係
数を決定する際には、まず、重み係数α(d),β
(d),γ(d)と、基準拡散反射係数値Sb(0%,
λ),Sb(50%,λ),Sb(100%,λ)とを
用い、前述した数式12に従って、任意の網点面積率d
における拡散反射係数Sb(d,λ)を算出する。ま
た、鏡面反射係数Ss(d,λ)も同様に、前述した数
式13に従って算出する。
【0119】図15は、拡散反射成分Sb(d,λ)・
cosθの実測値(実線で示す)と、数式12によるシミ
ュレーション結果(破線で示す)とを比較したグラフで
ある。実線と破線とはほとんど一致しており、両者がよ
く一致していることが解る。鏡面反射成分についても同
様に、実測値とシミュレーション結果とがよく一致する
ことが確かめられた。
【0120】図6のステップS1〜S4の手順による基
準拡散反射係数と基準鏡面反射係数の決定は、N次色を
構成する各インクについてそれぞれ行なわれる。また、
重みα,β,γも各インクについてそれぞれ求められ
る。
【0121】なお、図3(B)に示すように、2次色で
ある対象色の反射係数を求めたい時には、対象色を含む
2次元色空間(図3(B)の矩形の平面)を構成する4
本の辺のそれぞれの両端点(基準色)と中点(準基準
色)とにおける基準反射係数を求めておく。従って、こ
の場合には、4本の辺の各辺上における基準反射係数
を、図6のステップS1〜S4の手順に従ってそれぞれ
決定する。例えば、図3(B)において、シアンが10
0%の辺AM2の両端点(黒丸)と中点(白丸)とにおけ
る基準反射係数を決定する際には、シアンが100%一
定で、マゼンタが0%から100%まで10%おきに変
化するグラデーションを作成する。このグラデーション
は、シアンとマゼンタで刷られているので2次色である
が、図6のステップS1〜S4の手順に従って、その基
準反射係数と重み係数α,β,γとを決定することがで
きる。なお、重み係数α,β,γは、4本の辺の各辺上
においてそれぞれ個別に求めることが好ましい。但し、
平行な辺同士(図3(B)では辺AC1,AC2と辺AM1
M2)同士は、重み係数α,β,γとして同じ値を用い
るようにしてもよい。
【0122】図3(C)に示すように、3次色である対
象色の反射係数を求めたい時には、対象色を含む3次元
色空間(色立体)を構成する12本の辺のそれぞれの両
端点と中点とにおける基準反射係数を求めておく。この
場合には、12本の辺の各辺上における基準反射係数と
重み係数α,β,γを、図6のステップS1〜S4の手
順に従ってそれぞれ決定する。前述したように、重み係
数α,β,γは、12本の辺の各辺上においてそれぞれ
個別に求めることが好ましい。但し、互いに平行な辺に
ついては、重み係数α,β,γとして同じ値を用いるよ
うにしてもよい。
【0123】上述した2次色と3次色とにおいて求める
べき基準反射係数の説明は、N次色の場合に容易に一般
化することが可能である。すなわち、N次色である対象
色の反射係数を求めたい場合には、対象色を含むN次元
色空間を構成するN・2(N-1) 本の辺のそれぞれの両端
点と中点とにおける基準反射係数と重み係数α,β,γ
を、図6のステップS1〜S4の手順に従ってそれぞれ
求めるようにすればよい。そして、ステップS5(図
7)の処理を実行することによって、N次色である対象
色の反射係数や、分光反射率、照度スペクトルを求める
ことができる。
【0124】N次色である対象色の反射係数を求める場
合には、対象色を含むN次元色空間を構成するN・2
(N-1) 本の辺上に対象色を投影したN・2(N-1) 個の仮
想1次色が用いられる。これらの仮想1次色は、対象色
のN種類のインクの中の1つのインクの網点面積率を対
象色と等しい値に設定し、他のインクの網点面積率を0
%または100%に設定することによって得られる。こ
のように、N次色である対象色の反射係数を求める際に
使用される仮想1次色は、対象色の網点面積率から一義
的に決定されるので、前述した図7のステップS12,
S13において、仮想2次色の参照点の組合せを決定し
た後に、直ちにステップS16以降に移行するようにし
てもよい。
【0125】E.2次色に対する反射係数の決定方法の
詳細:前述したように、マゼンタとシアンによる2次色
の任意の網点面積率における拡散反射係数は数式14で
与えられる。ここで問題となるのは、数式14に含まれ
る4つの重み係数C1 〜C4 の値である。4つの重み係
数C1 〜C4 は、例えば次の数式27で与えられる。
【0126】
【数27】
【0127】ここで、ξM ,ηM はマゼンタの網点面積
率dM に依存する重み係数であり、ξC ,ηC はシアン
の網点面積率dC に依存する重み係数である。また、m
は定数である。mの値としては、1,2,0.5等が好
ましく、m=2が特に好ましい。4つの重み係数C1
4 の分母は共通であり、重み係数C1 〜C4 の合計が
1になるように設定されている。網点面積率に依存する
重み係数ξM ,ηM ,ξC ,ηC の値は以下のようにし
て決定される。
【0128】図16は、数式14および数式27による
2次色の拡散反射係数Sbの決定方法を示す説明図であ
る。図16(A)は、前述した図3(B)と実質的に同
じ内容を示している。任意の網点面積率dC/M における
拡散反射係数Sb(dC/M ,λ)は、2次色の対象点
(黒四角)を2次色平面の4本の辺上に投影して決定さ
れる4つの参照点(白四角)における拡散反射係数Sb
(d0/M ,λ),Sb(d100/M ,λ),Sb(d
C/0 ,λ),Sb(dC/100 ,λ)の線形結合によって
与えられる。鏡面反射係数についても同様である。な
お、4つの参照点における反射係数は、前述した1次色
の反射係数の決定方法に従ってそれぞれ決定される。
【0129】図16(B),(C)は、各インクの網点
面積率dM ,dC に依存する重み係数ξM ,ηM
ξC ,ηC の変化を示している。図16(B),(C)
に示されているように、重み係数ξM (dM ),ηM
(dM ),ξC (dC ),ηC (dC )の値は、2次色
を構成する各インクの網点面積率dM ,dC のみにそれ
ぞれ依存する。
【0130】図16(D)は、重み係数の意味を示す説
明図である。重み係数ξM (dM ),ηM (dM ),ξ
C (dC ),ηC (dC )は、対象点(黒四角)の反射
係数Sb(dC/M ,λ)を、参照点(白四角)の反射係
数から補正する際の座標系(「補正座標系」と呼ぶ)を
構成している。すなわち、シアンの網点面積率dC に関
連する重み係数ξC (dC ),ηC (dC )は、補正座
標系のシアン軸AC 上の参照点の位置を表わしている。
ここで、ηC (dC )は、シアン軸AC の原点(網点面
積率が0%に相当する点)から参照点(白四角)までの
距離に相当し、ξC (dC )は参照点(白四角)からシ
アン軸AC の終点(網点面積率が100%に相当する
点)までの距離に相当する。なお、重み係数ξC (d
C ),ηC (dC )の和は、必ずしも1.0に等しくな
くともよいが、ほぼ1.0に近い値である。マゼンタ軸
M についても同様である。上述した数式14および数
式27は、図16(D)の補正座標系において、対象点
(黒四角)と参照点(白四角)との距離ξM ,ηM ,ξ
C ,ηC に基づいて参照点の反射係数を補間することに
よって、対象点の反射係数Sb(dC/M ,λ)を求める
式であることが理解できる。
【0131】図16(D)の参照点(白四角)の反射係
数は、上述した1次色の反射係数の決定方法に従ってそ
れぞれ求めることができる。従って、重み係数ξM (d
M ),ηM (dM ),ξC (dC ),ηC (dC )の変
化(図16(B),(C))を予め求めておけば、前述
した数式14および数式27に従って、任意の網点面積
率dC/M の対象点(黒四角)の反射係数を求めることが
できる。
【0132】なお、数式27の代わりに、次の数式28
を用いることも可能である。
【0133】
【数28】
【0134】ここで、mの値としては1が特に好まし
い。数式28も数式27とほぼ同様に、対象点(黒四
角)と参照点(白四角)との距離ξM ,ηM ,ξC ,η
C に基づいて参照点の反射係数を補間することによっ
て、対象点の反射係数Sb(dC/M,λ)が得られるこ
とを意味している。
【0135】重み係数ξM ,ηM ,ξC ,ηC の変化
は、前述した1次色の重み係数α,β,γの決定方法と
同様に、以下のように決定する。まず、重み係数ξM
ηM ,ξC ,ηC についても、1次色の重み係数α,
β,γに関する数式24,25と同様な次の数式29,
30が成立する。
【0136】
【数29】
【0137】
【数30】
【0138】数式30にも示されているように、行列V
org#は、任意の網点面積率dk (添字kは1種類のイン
クを意味する)について、可視光の波長範囲(λmin 〜
λmax )における複数の波長値に対する拡散反射係数S
b(dk ,λ)の値を表わす。また、数式29,30の
行列Kは、重み係数ξk (dk ),ηk (dk )を表わ
す。行列Vprim# は、可視光の波長範囲(λmin 〜λma
x )における複数の波長値に対する0%と100%の基
準拡散反射係数Sb(0%,λ),Sb(100%,
λ)の値を表わす。例えば可視光の波長λを60個の波
長領域に区分していれば、数式29は60個の式を含む
連立方程式に相当する。
【0139】数式29,30は、対象としている2次色
を構成する各インクについてそれぞれ成立する。例え
ば、図16(A)の2次元色空間を構成する4つの辺の
中で、マゼンタが0%である辺(シアン軸)AC 上にお
いて数式29,30(このとき添字kはシアンを意味す
る)が成立し、また、シアンが0%である辺(マゼンタ
軸)AM 上においても数式29,30(このとき添字k
はマゼンタを意味する)が独立に成立する。そして、こ
れらの各辺上において、次の数式31で与えられる行列
Kを求めると、11組の重み係数ξk (dk ),ηk
(dk )(d=0%,10%…100%)がそれぞれ得
られる。
【0140】
【数31】
【0141】前述した図16(B),(C)は、こうし
て得られた重み係数ξk (dk ),ηk (dk )の変化
を示したものである。
【0142】なお、図16(B),(C)に示すよう
に、数式27または数式28で用いられている重み係数
ξM ,ηM ,ξC ,ηC の変化を求めておく代わりに、
数式14で用いられている重み係数C1 〜C4 の変化を
直接求めておくことも可能である。但し、重み係数ξ
M ,ηM ,ξC ,ηC の変化は重み係数C1 〜C4 の変
化に比べて緩やかなので、重み係数ξM ,ηM ,ξC
ηC の変化を用いた方が、反射係数をより高精度に補間
することができるという利点がある。
【0143】拡散反射係数Sbに関して得られた重み係
数ξk (dk ),ηk (dk )は、鏡面反射係数Ssに
対しても用いることができる。もちろん、鏡面反射係数
Ssに対する重み係数ξk (dk ),ηk (dk )を、
拡散反射係数の重み係数とは別個に求めるようにしても
よい。
【0144】以上のように、対象とする2次色の各イン
クに関して重み係数ξk (dk ),ηk (dk )を予め
求めておけば、前述した数式14および数式27(また
は数式14および数式28)に従って、任意の網点面積
率を有する2次色の拡散反射係数Sbを求めることがで
きる。同様にして、鏡面反射係数Ssも求めることがで
きる。従って、これらの反射係数Sb,Ssを前述した
数式8に代入することによって、2次色の照度スペクト
ルIを決定し、また、数式9に従ってその色データX,
Y,Zを算出することができる。
【0145】図17は、2次色に関する拡散反射成分S
b(d,λ)・ cosθの実測値(実線で示す)と、数式
14および数式27によるシミュレーション結果(破線
で示す)とを比較したグラフである。図17は、マゼン
タの網点面積率dM が50%で一定であり、シアンの網
点面積率dC が0%から100%までの10%おきの値
を取る2次色に関する結果である。実線と破線とはほと
んど一致しており、両者がよく一致していることが解
る。鏡面反射成分についても同様に、実測値とシミュレ
ーション結果とがよく一致することが確かめられた。
【0146】F.2次色に対する反射係数のより正確な
決定方法:図18は、2次色の反射係数をより正確に決
定する方法を示す説明図である。2次色である対象色
(黒四角)の反射係数をより正確に決定したい場合に
は、まず、対象色を含む2次元色空間の外縁を構成する
4本の辺AC1,AC2,AM1,AM2上に対象色を投影した
参照点(白四角)について、それぞれ上述した1次色の
反射係数の決定方法に従って、反射係数Sb(dC/0
λ),Sb(dC/100 ,λ),Sb(d0/M ,λ),S
b(d100/M0,λ)を求める。この際、各辺AC1
C2,AM1,AM2毎に、前述した数式24〜26に従っ
て、重み係数α,β,γを独立に求める。従って、4つ
の辺AC1,AC2,AM1,AM2に対する4組の重み係数
α,β,γについて、前述した図14に示すような変化
がそれぞれ決定されることになる。
【0147】また、数式14,27(または数式14,
28)で使用される重み係数ξM ,ηM ,ξC ,ηC
ついても、図18(A)に示す4つの辺AC1,AC2,A
M1,AM2のそれぞれについて、前述の数式29〜31に
従って決定する。図18(A)は、こうして決定された
4組の重み係数(ξM1,ηM1),(ξM2,ηM2),(ξ
C1,ηC1),(ξC2,ηC2)で表わされる補正座標系を
示している。4つの辺AC1,AC2,AM1,AM2の長さ
は、各組の重み係数の和(ξ+η)に等しい。また、マ
ゼンタが0%一定の辺AC1(シアン軸)と、シアンが0
%一定の辺AM1(マゼンタ軸)とは、互いに垂直であ
る。従って、これらの4つの辺AC1,AC2,AM1,AM2
で構成される四角形の形状は、一義的に決定される。
【0148】図18(A)のような補正座標系におい
て、対象点(黒四角)の反射係数を求める際には、前述
した数式14,27(または数式14,28)において
図18(B)に示す重み係数ξM ,ηM ,ξC ,ηC
用いる。ここで、ξM は辺AC2上の参照点(白四角)か
ら対象点(黒四角)までの距離であり、ηM は辺AC1
の参照点(白四角)から対象点(黒四角)までの距離で
ある。ξC ,ηC についても同様である。4つの参照点
(白四角)の位置は、図18(A)のように決定されて
いるので、図18(B)に示す距離ξM ,ηM ,ξC
ηC も、これらの参照点の位置から決定できる。なお、
図18(A),(B)において、対象点(黒四角)の位
置は、対向する辺の参照点同士を結ぶ線上にある。
【0149】図18(B)のようにして数式14,27
(または数式14,28)に用いる重み係数ξM ,η
M ,ξC ,ηC を決定するようにすれば、2次色である
対象色の反射係数を、より正確に求めることができる。
【0150】G.3次色に対する反射係数の決定方法:
3次色の任意の網点面積率における拡散反射係数は、前
述の数式15で与えられる。図19は、数式15に従っ
て3次色の反射係数の決定する方法を示す説明図であ
る。3次色の対象色(白三角)の拡散反射係数Sb(d
C/M/Y ,λ)を求める際には、まず、対象点を含む平面
であって、3次色を構成する1つのインク(例えばシア
ン)の軸に垂直な平面である仮想2次色平面PTPを1
つ選択し、この仮想2次色平面PTPの4本の辺上に対
象点を投影することによって4つの参照点(黒四角で示
す)を設定する。対象点の反射係数は、これら4つの参
照点の反射係数の線形結合によって表される。図20
は、仮想2次色平面PTPにおける対象点(白三角)と
参照点(黒四角)との関係を示す説明図である。仮想2
次色平面PTP上における対象色(白三角)と参照色
(黒四角)との関係は、前述した図16に示す2次色の
対象色(黒四角)とその参照色(白四角)との関係と同
一であることが容易に理解できる。
【0151】図19の4つの参照点(黒四角)における
反射係数は、図16または図18で説明した2次色の反
射係数の決定方法によって、それぞれ決定される。すな
わち、図19の例では、4つの参照点における反射係数
を求める際に、次の4つの仮想2次色平面が使用され
る。
【0152】(1)ホワイト(W)/シアン(C)/ブ
ルー(BL)/マゼンタ(M)平面(W−C−BL−M
平面) (2)ホワイト(W)/シアン(C)/グリーン(G)
/イエロー(Y)平面(W−C−G−Y平面) (3)イエロー(Y)/グリーン(G)/ブラック(B
K)/レッド(R)平面(Y−G−BK−R平面) (4)マゼンタ(M)/ブルー(BL)/ブラック(B
K)/レッド(R)平面(M−BL−BK−R平面)
【0153】なお、上記(1)〜(4)において使用さ
れているホワイト以外の色の名前は、それぞれの色の濃
度が100%である座標点(図19に黒丸で示す頂点)
を意味している。
【0154】図19の例では、シアンの網点面積率が一
定である仮想2次色平面PTPを用いているが、一般に
は、3次色を構成する任意のインクの網点面積率が一定
であり、対象色を含むような仮想2次色平面を用いて3
次色である対象色の反射係数を求めることが可能であ
る。
【0155】図21は、3次色に対する補正座標系を示
す説明図である。図20において使用される重み係数ξ
M ,ηM ,ξY ,ηY は、仮想2次色である参照点(黒
四角)の反射係数を決定する際に使用したものをそのま
ま使用できる。すなわち、マゼンタの網点面積率に依存
する重み係数ξM ,ηM は、W−C−BL−M平面上の
参照点(黒四角)の反射係数を決定する際に使用された
値がそのまま使用され、また、イエローの網点面積率に
依存する重み係数ξY ,ηY は、W−C−G−Y平面上
の参照点(黒四角)の反射係数を決定する際に使用され
た値がそのまま使用される。
【0156】以上のように、4つの参照点に対する拡散
反射係数Sbを求めておけば、前述した数式15に従っ
て、任意の網点面積率を有する3次色の拡散反射係数S
bを求めることができる。同様にして、鏡面反射係数S
sも求めることができる。従って、これらの反射係数S
b,Ssを前述した数式8に代入することによって、3
次色の照度スペクトルIを決定することができ、数式9
に従ってその色データX,Y,Zを算出することができ
る。
【0157】図22は、3次色の反射係数をより正確に
決定する方法を示す説明図である。3次色である対象色
(白三角)の反射係数をより正確に決定したい場合に
は、まず、対象色を含む3次元色空間の外縁を構成する
12本の辺のそれぞれ上において、前述した数式29〜
31に従って、重み係数ξ,ηを独立に求める。
【0158】図22は、こうして決定された12組の重
み係数で表わされる補正座標系を示している。12本の
辺の長さは、各組の重み係数の和(ξ+η)に等しい。
また、マゼンタが0%一定の辺AC1(シアン軸)と、シ
アンが0%一定の辺AM1(マゼンタ軸)と、イエローが
0%一定の辺AY1とは、互いに垂直である。従って、こ
れらの12本の辺で構成される歪んだ3次元補正空間の
形状は、一義的に決定される。
【0159】図22に示す歪んだ3次元補正空間におい
て、対象色(白三角)の反射係数も、4つの参照点Re
f1〜Ref4(黒四角)の反射係数に基づいて、数式
15に従って決定することができる。4つの参照点Re
f1〜Ref4(黒四角)の反射係数は、各参照点を含
む仮想2次色面上において、前述した図18において説
明した方法に従って決定される。但し、各仮想2次色平
面(例えばY−G−BK−R面)は、厳密に言えば平面
ではなく、ねじれた曲面になるのが普通である。本実施
例では、以下のように各仮想2次色面を、曲面ではなく
平面であると仮定して計算を簡略化している。
【0160】図23は、図22の3次元補正空間の上面
であるY−G−BK−R平面上の補正座標系を示してい
る。図23の各辺上における重み係数ηC3,ξC3
ηC4,ξC4,ηM3,ξM3,ηM4,ξM4の値は、前述した
図18と同様に、各辺上の仮想1次色の参照点(白四
角)の網点面積率から決定される。Y−G−BK−R平
面は、これらの重み係数ηC3,ξC3,ηC4,ξC4
ηM3,ξM3,ηM4,ξM4で規定される4つの辺を有する
四角形であると仮定される。参照点Ref1の反射係数
を求める際に使用される重み係数ηa ,ξa ,ηb ,ξ
b の値は、参照点Ref1と、4つの仮想1次色の参照
点(白四角)との間の距離に相当する。
【0161】図24は、3次色の対象色を含む仮想2次
色平面上の補正座標系を示す説明図。この補正座標系の
4つの辺は、図22に示す4つの参照点Ref1〜Re
f4を含んでいる。第1の参照点Ref1を含む辺上に
おける重み係数ηa ,ξa の値は、図23において使用
された重み係数ηa ,ξa と同じものである。また、図
24の他の辺における重み係数ηa'〜ηa''',ξa'〜ξ
a'''も、それぞれの参照点を含む仮想2次色平面におい
て使用された重み係数と同じものである。これらの重み
係数ηa 〜ηa''',ξa 〜ξa'''を利用して、3次色の
対象色(白三角)における反射係数を求める際に使用さ
れる重み係数η1 ,ξ1 ,η2 ,ξ2 の値は、参照点R
ef1と、4つの仮想1次色の参照点(白四角)との間
の距離に相当する。これらの重み係数η1 ,ξ1 ,η
2 ,ξ2 を用いる場合には、前述した数式27,28の
代わりに、次の数式32,33が用いられる。
【0162】
【数32】
【0163】
【数33】
【0164】従って、数式15および数式32(または
数式15および数式33)を用いて、3次色である対象
色の反射係数を決定することができる。
【0165】図25は、3次色に対する分光反射率I/
φのシミュレーション結果を示すグラフである。ここで
は、シアンとマゼンタとイエローを等量ずつ混合した1
1種類のグレー色について、分光反射率の実測値が実線
で示されており、シミュレーション結果(補間値)が破
線で示されている。シミュレーションによる分光反射率
の推定値は、実測値よりもわずかに低めであるが、ほぼ
良好な結果である。
【0166】また、シアンとマゼンタとイエローとを、
それぞれ0%〜100%まで10%おきに独立に変化さ
せて1331種類の色を生成し、この1331色につい
て、実測した色と推定された色との色差ΔE(Lab表
色系で定義される色差)を算出した。色差ΔEの平均値
は1.241であり、また、色差ΔEの最大値は3.6
55であった。これらの結果も、上述した3次色のシミ
ュレーションが良好な結果を与えることを示している。
【0167】H.4次色以上の高次色に対する反射係数
の決定方法:上述した3次色に対する反射係数の決定方
法は、4次色以上の高次色に容易に拡張することができ
る。4次色に対する反射係数は、前述した数式16およ
び数式32(または数式16および数式33)に従って
決定できる。
【0168】一般に、n次色(nは2以上の整数)に対
する反射係数は、前述した数式17,18および数式3
2(または、数式17,18および数式33)に従って
決定される。この際、図23,図24における説明と同
様に、n次色の反射係数を求める際に使用される重み係
数η,ξの値は、(n−1)次色である参照色の反射係
数を求める際に使用されたものを利用することができ
る。
【0169】I.カラー印刷物のシミュレーション:図
6のステップS6,S7は、ステップS1〜S4の手順
によって求められた基準反射係数Sb,Ssと、重み係
数α,β,γ,ξ,ηとを用いて、出力装置で印刷物を
再現する手順を示している。まず、ステップS6では、
コンピュータグラフィックスによるレンダリング処理を
行ない、カラー印刷物の色を再現する色データを生成す
る。
【0170】図26は、この発明の実施例を適用して3
次元空間に配置されたカラー印刷物を再現するためのコ
ンピュータシステムを示すブロック図である。このコン
ピュータシステムは、CPU10と、バスライン12と
を備えている。バスライン12には、ROM14と、R
AM16とが接続されており、また、入出力インタフェ
イス40,41を介してキーボード30と、マウス32
と、デジタイザ34と、カラーCRT36と、磁気ディ
スク38と、フルカラープリンタ42とが接続されてい
る。
【0171】RAM16には、反射係数決定手段44
と、照度スペクトル決定手段46と、色データ生成手段
48とを実現するアプリケーションプログラムが格納さ
れている。反射係数決定手段44は、前述した数式12
ないし数式18に従って、反射係数Sb,Ssを決定す
る。照度スペクトル決定手段46は、前述した数式10
に従って、照度スペクトルI(d,θ,ρ,λ)を決定
する。また、色データ生成手段48は、前述した数式9
に従って、3刺激値X(d),Y(d),Z(d)を求
め、これを出力装置の表色系に応じた色データに変換す
る。これらの各手段の機能は、RAM16に格納された
アプリケーションプログラムをCPU10が実行するこ
とによって実現される。なお、このコンピュータシステ
ムは、いわゆるレンダリング処理を行なうことによって
3次元空間に配置されたカラー印刷物を再現するための
アプリケーションプログラムも格納している。
【0172】これらの各手段の機能を実現するコンピュ
ータプログラムは、フレキシブルディスクやCD−RO
M等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録さ
れた形態で提供される。コンピュータは、その記録媒体
からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置
または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を
介してコンピュータにコンピュータプログラムを供給す
るようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を
実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュー
タプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサによ
って実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュ
ータプログラムをコンピュータが読み取って直接実行す
るようにしてもよい。
【0173】この明細書において、コンピュータとは、
ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概
念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作す
るハードウェア装置を意味している。また、オペレーシ
ョンシステムが不要でアプリケーションプログラム単独
でハードウェア装置を動作させるような場合には、その
ハードウェア装置自体がコンピュータに相当する。ハー
ドウェア装置は、CPU等のマイクロプロセッサと、記
録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取る
ための手段とを少なくとも備えている。コンピュータプ
ログラムは、このようなコンピュータに、上述の各手段
の機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。な
お、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラム
でなく、オペレーションシステムによって実現されてい
ても良い。
【0174】なお、この発明における「記録媒体」とし
ては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気デ
ィスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカー
ド、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピ
ュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)
および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な
種々の媒体を利用できる。
【0175】図27は、レイトレーシング方法によって
印刷物の色を再現する際の、印刷物50と光源52とス
クリーン(CRTの画面)54と観察点56の3次元的
な配置を示す説明図である。レイトレーシング法は、3
次元コンピュータグラフィックスの分野において周知の
レンダリング手法であり、スクリーン54上の各画素P
Xと観察点56とを通る視線RLを、観察点56から光
源52まで逆にたどることによってスクリーン54上の
各画素PXの色データ(RGBデータ)を求める方法で
ある。なお、印刷物50は予め複数の微小多角形ELに
分割されている。この微小多角形ELは、本発明におけ
る対象点に相当する。個々の微小多角形ELは平面であ
るが、印刷物50の全体は3次元的に湾曲しているよう
にモデル化することが可能である。なお、入射角θとず
れ角ρは、図27に示すように、視線RLと印刷物50
が交わる位置に存在する微小多角形ELにおいて定義さ
れる。
【0176】レイトレーシングを行なう際には、まず、
反射係数決定手段44が、前述した数式12ないし数式
18に従って反射係数Sb(d,λ),Ss(d,λ)
を求める。そして、照度スペクトル決定手段46が、前
述した数式10に従って照度スペクトルI(d,θ,
ρ,λ)を求める。色データ生成手段48は、こうして
得られた照度スペクトルI(d,θ,ρ,λ)を、前述
した数式9に従って積分することによって、3刺激値X
YZを求める。
【0177】図6のステップS7では、色データ生成手
段48が、こうして得られた3刺激値XYZをRGBデ
ータに変換してカラーCRT36上の画素に割り当て
る。具体的には、フレームメモリの画素位置にRGBデ
ータを記憶する。このフレームメモリ内のRGBデータ
に従って、カラー印刷物がカラーCRT36上に表示さ
れる。なお、XYZ表色系からRGB表色系への変換
は、出力装置の特性に依存するので、その出力装置に応
じた変換式を用いることによって、その出力装置の色表
現範囲内において、忠実な色再現を行なうことが可能で
ある。
【0178】以上のように、この実施例では、N次色
(Nは3以上の整数)である対象色の反射係数Sb,S
sを、(N−1)次色である4つの参照色の反射係数の
線形結合によって決定しているので、5つ以上の参照色
を用いる場合に比べて、N次色の対象色の反射係数S
b,Ssを少ない計算量で決定することができる。ま
た、これらの反射係数Sb,Ssから、そのN次色の色
データ(XYZやRGBデータ等)を求めることが可能
である。従って、任意の網点面積率を有するN次色の印
刷物を比較的少ない計算量で精度良く再現することがで
きる。
【0179】J.印刷物のシミュレーションに関する変
形例:上述したシミュレーションに関しては、以下のよ
うな変形が可能である。
【0180】(1)図28は、図14に示す重み係数α
(d),β(d),γ(d)の変化を簡略化したグラフ
である。図28では、網点面積率が0%〜50%の範囲
では、第1の重み係数α(d)の値が1.0から0まで
直線的に下降しており、一方、第2の重み係数β(d)
の値は0から1.0まで直線的に増大している。また、
網点面積率が50%〜100%の範囲では、第2の重み
係数β(d)の値が1.0から0まで直線的に下降して
おり、一方、第3の重み係数γ(d)の値が0から1.
0まで直線的に増大している。換言すれば、網点面積率
が0%〜50%の範囲では、任意の網点面積率dにおけ
る反射係数(数式12)の値が、第1と第2の基準反射
係数Sb(0%,λ),Sb(50%,λ)の直線補間
によって与えられている。また、網点面積率が50%〜
100%の範囲では、任意の網点面積率dにおける反射
係数の値が、第2と第3の基準反射係数Sb(50%,
λ),Sb(100%,λ)の直線補間によって与えら
れている。
【0181】図28のグラフは、上述した実施例で求め
られた図14のグラフに近いので、図28の重み係数を
用いても、かなりの精度で印刷物のシミュレーションを
行なうことができる。なお、図28のグラフを使用する
場合には、図6のステップS4を省略することができ
る。また、この場合には、2次色以上の高次色の反射係
数を求める際に使用する重み係数ηk (dk )として網
点面積率dk そのものを用い、ξk (dk )としては
(1−dk )を用いることができる。
【0182】(2)スミ版のインクに関しては、前述し
た数式24,25で与えられる連立方程式が1次従属に
なり、重み係数α,β,γが数式26から求められない
場合がある。同様に、数式29,30で与えられる連立
方程式も1次従属になり、重み係数ξk ,ηk が数式3
1から求められない場合がある。数式24,25で与え
られる連立方程式が1次従属になるのは、1次グラデー
ションの各色票に関する拡散反射成分の形状(前述した
図12の11本のグラフの形状)が、相似形になってい
ることを意味する。このような場合には、重み係数α,
β,γとして図28に示すものを用いることができる。
また、この場合に、高次色の反射係数を求める際に使用
する重み係数ηk としては、周知のマーレイ・デービス
の式に従って計算される実質網点面積率dnet を用いる
ことができる。この時、他方の重み係数ξk は、(1−
net )で与えられる。
【0183】(3)上記実施例では、各インク毎に重み
係数ξk ,ηk を計算していたが、1種類のインクにつ
いて得られた重み係数ξk ,ηk を他のインクに流用す
るようにしてもよい。1次色の重み係数α,β,γにつ
いても同様である。
【0184】K.色表現データの変換への適用:上述し
たシミュレーションにおいて、反射係数Ss,Sbを求
める際に使用されていた方法は、CMYKの網点面積率
をXYZ表色系の3刺激値に直接変換する方法として利
用することができる。
【0185】CMYK成分の網点面積率からXYZ表色
系の3刺激値を直接求める場合には、前述した数式12
および数式14〜17の反射係数Sbを、3刺激値に置
き換えた式を用いればよい。例えば、シアンの1次色に
対する3刺激値(X(dC ),Y(dC ),Z(d
C ))を求める式としては、前述した数式12の代わり
に、次の数式34が使用される。
【0186】
【数34】
【0187】すなわち、シアンの任意の網点面積率dC
におけるXYZ表色系の3刺激値は、3つの基準網点面
積率(dC =0%,50%,100%)における3刺激
値の線形結合で表わされる。なお、重み係数αC ,β
C ,γC は、3つの刺激値に共通した同じ値を使用して
もよく、また、3つの刺激値のぞれぞれに対して異なる
値を使用してもよい。
【0188】また、シアンとマゼンタとイエローとブラ
ックの4つのインクで構成される4次色の対象色に対す
る3刺激値を求める際には、前述した数式16の代わり
に、次の数式35が使用される。
【0189】
【数35】
【0190】数式35の右辺に含まれている4組の3刺
激値は、対象色を含む仮想2次色平面の4本の辺上に対
象色を投影した4つの参照点における3刺激値である。
この仮想2次色平面は、シアンとブラックの網点面積率
を、対象色の網点面積率dc,dK と等しい値に固定す
ることによって得られるものである。すなわち、4次色
の対象色に対するXYZ表色系の3刺激値は、4種類の
インクのうちの特定の2つのインクの一方の網点面積率
を0%または100%に固定して得られる4つの参照色
を選択し、これらの4つの参照色に対する3刺激値の線
形結合を求めることによって与えられる。
【0191】一般に、任意の濃度を有するn次色(nは
2以上の整数)の対象色に対する3刺激値(X(d
1n),Y(d1n),Z(d1n))を求める際に
は、前述した数式17の代わりに、次の数式36が使用
される。
【0192】
【数36】
【0193】ここで、例えばX(di =0),X(di
=100)は、i番目のインクの網点面積率を0%と1
00%にそれぞれ設定し、その他のインクの網点面積率
を対象色の網点面積率と等しく設定した時のX刺激値を
意味している。また、X(dj =0),X(dj =10
0)は、j番目のインクの網点面積率を0%と100%
にそれぞれ設定し、その他のインクの網点面積率を対象
色の網点面積率に等しく設定した時のX刺激値を意味し
ている。すなわち、n次色の対象色に対するXYZ表色
系の3刺激値は、n種類のインクのうちの特定の2つの
インクの一方の網点面積率を0%または100%に固定
して得られる4つの参照色を選択し、これらの4つの参
照色に対する3刺激値の線形結合を求めることによって
与えられる。
【0194】上記数式36においてnを2,3,4にそ
れぞれ設定すれば、上述した数式14〜16に相当する
式がそれぞれ得られる。
【0195】CMYK成分の網点面積率からXYZ表色
系の3刺激値を求める場合には、これらの数式34〜3
6を用い、前述した図7に示す手順に従って処理を行え
ばよい。この際、図7のフローチャートにおける「反射
係数Sb,Ss」を「XYZ表色系の3刺激値」と読み
替え、また、ステップS20は省略される。
【0196】一般に、N次色である対象色に対するXY
Z表色系の3刺激値を求めたい場合には、対象色を含む
N次元色空間を構成するN・2(N-1) 本の辺のそれぞれ
の両端点と中点とにおいて、予め3刺激値を測定してお
く。また、各辺上の仮想一次色に対する重み係数α,
β,γを図6のステップS4と同様な手順に従って予め
求める。そして、図7の処理を実行することによって、
N次色である対象色に対する3刺激値を求めることがで
きる。
【0197】図29は、CMYKのインクで印刷したカ
ラーパッチを実測して得られた表色値と、上述した変換
方法に従って得られた表色値とを比較して示すグラフで
ある。但し、図29は、XYZ表色系の3刺激値をL*
a*b* 表色系の表色値に変換した値を用いており、L*
a*b* 表色系の3次元色空間の斜視図である。図中の
黒点は実測値であり、また、白点が変換結果である。黒
点と白点とを結ぶ線分は、両者が同じ対象色に対する値
であることを示している。なお、実測値(黒点)と変換
結果(白点)とが一致している対象色では、黒点のみが
見えている。この図から解るように、同じ対象色に対す
る実測値と変換結果とは比較的良く一致しており、かな
り精度よく色変換を行うことができることが理解でき
る。
【0198】CMYKの網点面積率をXYZ表色系の3
刺激値に変換する上記の技術は、一般に、任意の第1の
表色系に含まれるN種類(Nは3以上の整数)の原色で
再現されるN次色である特定の対象色に関して、N種類
の原色の濃度を表す第1の色表現データを、対象色に関
連する第2の色表現データに変換する際に適用可能であ
る。第1の表色系としては、CMYK表色系以外の任意
の表色系を選択することが可能である。また、第2の色
表現データとしては、反射係数Ss,Sbや、第1の表
色系とは異なる第2の表色系の表色値を選択することが
可能である。ここで、「表色値」とは、特定の表色系に
おいて色を表すための値を意味する。表色系としては、
例えば、印刷に使用されるCMYK表色系や、出力装置
(CRTなどの表示装置やプリンタ)に依存したデバイ
ス・ディペンデント表色系、および、出力装置に依存し
ないデバイス・インディペンデント表色系などがある。
デバイス・インディペンデント表色系には、CIE−X
YZ表色系や、CIE−RGB表色系、CIE−L*a*
b* 表色系などが含まれる。
【0199】「色表現データ」という用語は、このよう
な表色系の表色値と、反射係数Ss,Sbとを包含する
広い意味を有している。表色値や反射係数Ss,Sbを
「色表現データ」と呼ぶ理由は、表色値も反射係数S
s,Sbも共に、N次色である対象色を再現するために
使用され得るデータだからである。
【0200】このような色表現データの変換方法によれ
ば、N次色である任意の対象色に対する第2の色表現デ
ータが、対象色を含む仮想2次色平面上における4つの
基本参照色の色表現データの線形結合によって決定され
る(このようなアルゴリズムを「仮想2次色の変換アル
ゴリズム」と呼ぶ)。従って、比較的少ないデータを基
に、対象色の第2の色表現データを求めることができる
という利点がある。特に、3次色以上の高次の対象色に
関しては、図7に示すように、仮想2次色の変換アルゴ
リズムを階層的に適用することによって、色表現データ
の変換を行っているので、対象色の次数Nが高くなって
も同じ手順で容易に変換を行うことができる。この利点
は、アプリケーションプログラムによって変換を実現す
る場合に特に効果が大きい。また、階層的な変換手順を
採用しているので、従来のように、色空間を多数の直方
体に区切る方法に比べてより少ないデータに基づいて、
比較的精度の良い変換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷紙上に塗布されたインクによって入射光が
反射される様子を示す説明図。
【図2】光源と印刷物と視覚系(観察者)との関係を示
す説明図。
【図3】1次色から3次色までの色に対する反射係数の
求め方を示す説明図。
【図4】1次色に対する拡散反射係数Sb(d,λ)の
決定方法を示す説明図。
【図5】3つの基準反射係数値を補間することによって
1次色に対する反射係数を決定する方法の利点を示す概
念図。
【図6】実施例の手順を示すフローチャート。
【図7】実施例の手順を示すフローチャート。
【図8】ステップS1における処理内容を示す説明図。
【図9】分光反射率の測定装置を示す概念図。
【図10】分光反射率の測定値を示すグラフ。
【図11】分光反射率から拡散反射成分と鏡面反射成分
を決定し、重み係数α,β,γを決定するまでの手順を
示す説明図。
【図12】ρ=35°、θ=8°の条件で抽出された拡
散反射成分Sb(d,λ)・ cosθをプロットしたグラ
フ。
【図13】θ=8°の条件で推定された鏡面反射成分S
s(d,λ)をプロットしたグラフ。
【図14】実施例で得られた重み係数α(d),β
(d),γ(d)の変化を示すグラフ。
【図15】拡散反射成分Sb(d,λ)・ cosθの実測
値とシミュレーション結果とを比較したグラフ。
【図16】2次色の反射係数の決定方法を示す説明図。
【図17】2次色に関する拡散反射成分Sb(d,λ)
・ cosθの実測値(実線)と数式14によるシミュレー
ション結果(破線)とを比較したグラフ。
【図18】2次色の反射係数をより正確に決定する方法
を示す説明図。
【図19】3次色の反射係数の決定方法を示す説明図。
【図20】仮想2次色平面PTPにおける対象点(白三
角)と参照点(黒四角)との関係を示す説明図。
【図21】3次色に対する補正座標系を示す説明図。
【図22】3次色の反射係数をより正確に決定する方法
を示す説明図。
【図23】Y−G−BK−R平面上の補正座標系を示す
説明図。
【図24】3次色の対象色を含む仮想2次色平面上の補
正座標系を示す説明図。
【図25】3次色に対する反射率I/φのシミュレーシ
ョン結果を示すグラフ。
【図26】この発明の実施例を適用して3次元空間に配
置された印刷物の色再現を行なうコンピュータシステム
を示すブロック図。
【図27】レイトレーシング法によって印刷物の色を再
現する際の3次元配置を示す説明図。
【図28】簡略化した重み係数α(d),β(d),γ
(d)の変化を示すグラフ。
【図29】CMYKのインクで印刷したカラーパッチを
実測して得られた表色値と実施例の変換方法に従って得
られた表色値とを比較して示すグラフ。
【符号の説明】
10…CPU 12…バスライン 14…ROM 16…RAM 20…測定用サンプル 22…光源 24…分光光度計 30…キーボード 32…マウス 34…デジタイザ 36…カラーCRT 38…磁気ディスク 40,41…入出力インタフェイス 42…フルカラープリンタ 44…反射係数決定手段 46…照度スペクトル決定手段 48…色データ生成手段 50…印刷物 52…光源 54…スクリーン 56…観察点

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3次元空間に配置されたN次色(Nは3
    以上の整数)のカラー印刷物に関してレンダリング処理
    を行なうことによって、前記カラー印刷物を出力装置で
    再現する方法であって、(a)前記カラー印刷物上の対
    象点に、所定の輝度スペクトルφの光を照射した場合
    に、所定の観察点で観察される反射光の照度スペクトル
    Iを数式1で定義する工程と、(b)N次色である前記
    対象点の対象色を含むN次元色空間において、前記N次
    色を構成するN種類のインクの中の(N−2)種類のイ
    ンクの網点面積率を前記対象色の網点面積率に等しい値
    に固定したときに得られる{N(N−1)/2}個の仮
    想2次色平面の中から1つを選択する工程と、(c)前
    記選択された仮想2次色平面の4つの辺上に前記対象色
    の座標点を投影することによって、前記4つの辺上に4
    つの基本参照色を設定する工程と、(d)数式1に含ま
    れる第1の反射係数Sbと第2の反射係数Ssを、前記
    4つの基本参照色に対してそれぞれ決定する工程と、
    (e)前記対象色に対する前記第1と第2の反射係数S
    b,Ssの値を、前記4つの参照色における前記第1と
    第2の反射係数Sb,Ssの値の線形結合によってそれ
    ぞれ決定する工程と、(f)前記対象色に対する第1と
    第2の反射係数Sb,Ssを用いて、前記反射光の照度
    スペクトルIを数式1に従って決定する工程と、(g)
    前記反射光の照度スペクトルIを用いて、前記出力装置
    に適した表色系で前記対象色を表わす色データを求める
    工程と、を備えることを特徴とするカラー印刷物のシミ
    ュレーション方法。 【数1】 ここで、d1Nは前記対象点におけるN種類の対象色の
    網点面積率、λは光の波長、Sb(d1N,λ),Ss
    (d1N,λ)はN次色に対する第1と第2の反射係
    数、θは反射角、fb(θ)はθに依存する特性、ρは
    前記光の反射方向と観察方向のずれ角、fs(ρ)はρ
    に依存する特性、Ie(λ)は前記観察点で観察される
    環境光の照度スペクトルである。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のカラー印刷物のシミュレ
    ーション方法であって、 前記Nが4以上である場合に、前記工程(d)は、
    (1)パラメータn(nは(N−1)以下3以上の整
    数)を(N−1)から3まで順次変化させながら第1の
    処理を繰り返す工程を含み、 前記第1の処理は、前記4つの基本参照色のそれぞれを
    仮想n次参照色と見なし、各仮想n次参照色を含むn次
    元色空間において、前記仮想n次参照色を構成するn種
    類のインクの中の(n−2)種類のインクの網点面積率
    を前記仮想n次参照色の網点面積率に等しい値に固定し
    たときに得られる{n(n−1)/2}個の仮想2次色
    平面の中から1つを選択し、前記選択された仮想2次色
    平面の4つの辺上に前記仮想n次参照色の座標点を投影
    することによって、前記4つの辺上に4つの仮想(n−
    1)次参照色を設定する処理であり、 前記工程(1)は、前記第1の処理を繰り返すことによ
    って複数の仮想2次参照色を設定する工程であり、 前記工程(d)は、さらに、(2)パラメータm(mは
    3以上N以下の整数)を3からNまで順次変化させなが
    ら第2の処理を繰り返す工程を含み、 前記第2の処理は、各仮想m次参照色の前記投影によっ
    て設定された4つの仮想(m−1)次参照色に対する前
    記第1と第2の反射係数Sb,Ssの線形結合によっ
    て、各仮想m次参照色に対する前記第1と第2の反射係
    数Sb,Ssを決定する処理であり、 前記工程(2)は、前記第2の処理を繰り返すことによ
    って前記4つの基本参照色に対する前記第1と第2の反
    射係数Sb,Ssを求める工程である、カラー印刷物の
    シミュレーション方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のカラー印刷物の
    シミュレーション方法であって、前記特性fb(θ),
    fs(ρ)は、それぞれ数式2の形式を有する、カラー
    印刷物のシミュレーション方法。 【数2】 ここで、σは定数である。
  4. 【請求項4】 3次元空間に配置されたN次色(Nは3
    以上の整数)のカラー印刷物に関してレンダリング処理
    を行なうことによって、前記カラー印刷物を出力装置で
    再現するシステムであって、 前記カラー印刷物上の対象点に、所定の輝度スペクトル
    φの光を照射した場合に、所定の観察点で観察される反
    射光の照度スペクトルIを数式3で定義する手段と、 N次色である前記対象点の対象色を含むN次元色空間に
    おいて、前記N次色を構成するN種類のインクの中の
    (N−2)種類のインクの網点面積率を前記対象色の網
    点面積率に等しい値に固定したときに得られる{N(N
    −1)/2}個の仮想2次色平面の中から1つを選択す
    る手段と、 前記選択された仮想2次色平面の4つの辺上に前記対象
    色の座標点を投影することによって、前記4つの辺上に
    4つの基本参照色を設定する手段と、 数式3に含まれる第1の反射係数Sbと第2の反射係数
    Ssを、前記4つの基本参照色に対してそれぞれ決定す
    る基本参照色決定手段と、 前記対象色に対する前記第1と第2の反射係数Sb,S
    sの値を、前記4つの参照色における前記第1と第2の
    反射係数Sb,Ssの値の線形結合によってそれぞれ決
    定する手段と、 前記対象色に対する第1と第2の反射係数Sb,Ssを
    用いて、前記反射光の照度スペクトルIを数式3に従っ
    て決定する手段と、 前記反射光の照度スペクトルIを用いて、出力装置に適
    した表色系で前記対象色を表わす色データを求める手段
    と、 前記色データに従って、前記対象色を出力する出力装置
    と、を備えることを特徴とするカラー印刷物のシミュレ
    ーションシステム。 【数3】 ここで、d1Nは前記対象点におけるN種類の対象色の
    網点面積率、λは光の波長、Sb(d1N,λ),Ss
    (d1N,λ)はN次色に対する第1と第2の反射係
    数、θは反射角、fb(θ)はθに依存する特性、ρは
    前記光の反射方向と観察方向のずれ角、fs(ρ)はρ
    に依存する特性、Ie(λ)は前記観察点で観察される
    環境光の照度スペクトルである。
  5. 【請求項5】 出力装置を備えたコンピュータに用いら
    れ、3次元空間に配置されたN次色(Nは2以上の整
    数)のカラー印刷物に関してレンダリング処理を行なう
    ことによって、前記カラー印刷物を前記出力装置で再現
    するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュ
    ータ読み取り可能な記録媒体であって、 前記カラー印刷物上の対象点に、所定の輝度スペクトル
    φの光を照射した場合に、所定の観察点で観察される反
    射光の照度スペクトルIを数式4で定義する機能と、 N次色である前記対象点の対象色を含むN次元色空間に
    おいて、前記N次色を構成するN種類のインクの中の
    (N−2)種類のインクの網点面積率を前記対象色の網
    点面積率に等しい値に固定したときに得られる{N(N
    −1)/2}個の仮想2次色平面の中から1つを選択す
    る機能と、 前記選択された仮想2次色平面の4つの辺上に前記対象
    色の座標点を投影することによって、前記4つの辺上に
    4つの基本参照色を設定する機能と、 数式4に含まれる第1の反射係数Sbと第2の反射係数
    Ssを、前記4つの基本参照色に対してそれぞれ決定す
    る基本参照色決定機能と、 前記対象色に対する前記第1と第2の反射係数Sb,S
    sの値を、前記4つの参照色における前記第1と第2の
    反射係数Sb,Ssの値の線形結合によってそれぞれ決
    定する機能と、 前記対象色に対する第1と第2の反射係数Sb,Ssを
    用いて、前記反射光の照度スペクトルIを数式4に従っ
    て決定する機能と、 前記反射光の照度スペクトルIを用いて、前記出力装置
    に適した表色系で前記対象色を表わす色データを求める
    機能と、 前記色データに従って、前記出力装置に前記対象色を出
    力する機能と、をコンピュータに実現させるためのコン
    ピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可
    能な記録媒体。 【数4】 ここで、d1Nは前記対象点におけるN種類の対象色の
    網点面積率、λは光の波長、Sb(d1N,λ),Ss
    (d1N,λ)はN次色に対する第1と第2の反射係
    数、θは反射角、fb(θ)はθに依存する特性、ρは
    前記光の反射方向と観察方向のずれ角、fs(ρ)はρ
    に依存する特性、Ie(λ)は前記観察点で観察される
    環境光の照度スペクトルである。
  6. 【請求項6】 第1の表色系に含まれるN種類(Nは3
    以上の整数)の原色で再現されるN次色である特定の対
    象色に関して、前記N種類の原色の濃度を表す第1の色
    表現データを、前記対象色に関連する第2の色表現デー
    タに変換する方法であって、(a)前記対象色を含むN
    次元色空間において、前記N種類の原色の中の(N−
    2)種類の原色の濃度を前記対象色の濃度に等しい値に
    固定したときに得られる{N(N−1)/2}個の仮想
    2次色平面の中から1つを選択する工程と、(b)前記
    選択された仮想2次色平面の4つの辺上に前記対象色の
    座標点を投影することによって、前記4つの辺上に4つ
    の基本参照色を設定する工程と、(c)前記第2の色表
    現データの値を、前記4つの基本参照色に対してそれぞ
    れ決定する工程と、(d)前記対象色に対する前記第2
    の色表現データの値を、前記4つの参照色における前記
    第2の色表現データの値の線形結合によってそれぞれ決
    定する工程と、を備えることを特徴とする色表現データ
    の変換方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の色表現データの変換方法
    であって、 前記Nが4以上である場合に、前記工程(c)は、
    (1)パラメータn(nは(N−1)以下3以上の整
    数)を(N−1)から3まで順次変化させながら第1の
    処理を繰り返す工程を含み、 前記第1の処理は、前記4つの基本参照色のそれぞれを
    仮想n次参照色と見なし、各仮想n次参照色を含むn次
    元色空間において、前記仮想n次参照色を構成するn種
    類の原色の中の(n−2)種類の原色の濃度を前記仮想
    n次参照色の濃度に等しい値に固定したときに得られる
    {n(n−1)/2}個の仮想2次色平面の中から1つ
    を選択し、前記選択された仮想2次色平面の4つの辺上
    に前記仮想n次参照色の座標点を投影することによっ
    て、前記4つの辺上に4つの仮想(n−1)次参照色を
    設定する処理であり、 前記工程(1)は、前記第1の処理を繰り返すことによ
    って複数の仮想2次参照色を設定する工程であり、 前記工程(c)は、さらに、(2)パラメータm(mは
    3以上N以下の整数)を3からNまで順次変化させなが
    ら第2の処理を繰り返す工程を含み、 前記第2の処理は、各仮想m次参照色の前記投影によっ
    て設定された4つの仮想(m−1)次参照色に対する前
    記第2の色表現データの線形結合によって、各仮想m次
    参照色に対する前記第2の色表現データを決定する処理
    であり、 前記工程(2)は、前記第2の処理を繰り返すことによ
    って前記4つの基本参照色に対する前記第2の色表現デ
    ータを求める工程である、色表現データの変換方法。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の色表現データの
    変換方法であって、 前記対象色は、前記N種類の原色で再現されるカラー印
    刷物上に存在する特定の対象点の色であり、 前記第2の色表現データは、3次元空間に配置された前
    記カラー印刷物上の前記対象点に、所定の輝度スペクト
    ルの光を照射した場合に、所定の観察点で観察される反
    射光の照度スペクトルに含まれる反射係数成分である、
    色表現データの変換方法。
  9. 【請求項9】 請求項6または7記載の色表現データの
    変換方法であって、 前記第2の色表現データは、前記第1の表色系とは異な
    る第2の表色系の測色値である、色表現データの変換方
    法。
  10. 【請求項10】 第1の表色系に含まれるN種類(Nは
    3以上の整数)の原色で再現されるN次色である特定の
    対象色に関して、前記N種類の原色の濃度を表す第1の
    色表現データを、前記対象色に関連する第2の色表現デ
    ータに変換する装置であって、 前記対象色を含むN次元色空間において、前記N種類の
    原色の中の(N−2)種類の原色の濃度を前記対象色の
    濃度に等しい値に固定したときに得られる{N(N−
    1)/2}個の仮想2次色平面の中から1つを選択する
    手段と、前記選択された仮想2次色平面の4つの辺上に
    前記対象色の座標点を投影することによって、前記4つ
    の辺上に4つの基本参照色を設定する基本参照色設定手
    段と、 前記第2の色表現データの値を、前記4つの基本参照色
    に対してそれぞれ決定する手段と、 前記対象色に対する前記第2の色表現データの値を、前
    記4つの参照色における前記第2の色表現データの値の
    線形結合によってそれぞれ決定する手段と、を備えるこ
    とを特徴とする色表現データの変換装置。
  11. 【請求項11】 第1の表色系に含まれるN種類(Nは
    3以上の整数)の原色で再現されるN次色である特定の
    対象色に関して、前記N種類の原色の濃度を表す第1の
    色表現データを、前記対象色に関連する第2の色表現デ
    ータに変換するためのコンピュータプログラムを記録し
    たコンピュータ読取り可能な記録媒体であって、 前記対象色を含むN次元色空間において、前記N種類の
    原色の中の(N−2)種類の原色の濃度を前記対象色の
    濃度に等しい値に固定したときに得られる{N(N−
    1)/2}個の仮想2次色平面の中から1つを選択する
    機能と、 前記選択された仮想2次色平面の4つの辺上に前記対象
    色の座標点を投影することによって、前記4つの辺上に
    4つの基本参照色を設定する基本参照色設定機能と、 前記第2の色表現データの値を、前記4つの基本参照色
    に対してそれぞれ決定する機能と、 前記対象色に対する前記第2の色表現データの値を、前
    記4つの参照色における前記第2の色表現データの値の
    線形結合によってそれぞれ決定する機能と、をコンピュ
    ータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録
    したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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