JP3183769B2 - カラー印刷物の再現方法 - Google Patents
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Description
スプレイデバイスやプリンタ等の出力デバイスで再現す
る方法に関する。
プリンタなどの種々の出力デバイスによって再現する際
には、実物の印刷物になるべく近い色を再現することが
望ましい。従来は、印刷物の色再現の方法として、マー
レイ・デービスの式、ユール・ニールセンの式、ノイゲ
バウアの式などが知られている。例えば、ノイゲバウア
の式は、YMCKの4色のインクの網点面積率からRG
Bの各色成分の値を決定する場合などに用いられる式で
ある。
変換式は、理想化されたモデルを元に設定されているた
め、実際の色を再現できない場合が多いという問題があ
った。特に、3次元空間に配置された印刷物を観察する
状態を再現する場合には、モデルが適応できない場合が
多いという問題があった。
を解決するためになされたものであり、3次元空間に配
置されたカラー印刷物を従来に比べてより忠実に再現す
ることのできる方法を提供することを目的とする。
解決するため、請求項1に記載したカラー印刷物の再現
方法では、前記カラー印刷物に所定の輝度スペクトルφ
(λ)の光を照射した場合に所定の観察点で観察される
反射光の照度スペクトルI(θ,ρ,λ)を、数式4に
従って求める工程と、前記反射光の照度スペクトルI
(θ,ρ,λ)を、所定のデバイス・インディペンデン
ト表色系の3つの等色関数を用いて可視光の波長領域に
亘ってそれぞれ積分することによって、前記デバイス・
インディペンデント表色系における3刺激値を求める工
程と、を備える。
(λ)はそれぞれ所定の反射係数、ρは前記光の反射方
向と観察方向のずれ角、nは所定の定数、θは反射角、
Ie(λ)は前記観察点で観察される環境光の所定の照
度スペクトルである。
と、反射角θと、ずれ角ρとに応じて、観察される反射
光の照度スペクトルI(θ,ρ,λ)を求め、この照度
スペクトルを積分することによってデバイス・インディ
ペンデント表色系の3刺激値を求めるので、観察される
反射光の色を、反射角θとずれ角ρとに応じて忠実に再
現することができる。
に関する反射係数であって、波長λに応じて変化する値
を示す係数である。
インディペンデント表色系の3刺激値を出力デバイスの
所定の表色系の色データに変換する工程、を備える。デ
バイス・インディペンデント表色系の3刺激値を、出力
デバイスに特有の所定の表色系の色データに変換するよ
うにすれば、種々の出力デバイスに応じて忠実に印刷物
の色を再現することができる。
は0であるとしてもよい。こうすれば、環境光の無い理
想的な観察条件をシミュレートすることができる。
印刷物に所定の光を照射した場合に所定の観察点で観察
される反射光について、所定のデバイス・インディペン
デント表色系の3刺激値X,Y,Zを数式5に従って求
める工程、を備える。
Zs),(Xb,Yb,Zb),(Xe,Ye,Ze)
はそれぞれ所定の3刺激値、ρは前記光の反射方向と観
察方向のずれ角、nは所定の定数、θは反射角である。
(Xb,Yb,Zb),(Xe,Ye,Ze)を反射角
θとずれ角ρとに応じて補間演算することによって、観
察される反射光の3刺激値(x,y,z)を求めるの
で、観察される反射光の色を反射角θとずれ角ρとに応
じて忠実に再現することができる。
インディペンデント表色系の3刺激値X,Y,Zを出力
デバイスの所定の表色系の色データに変換する工程、を
備える。デバイス・インディペンデント表色系の色度座
標値を、出力デバイスに特有の所定の表色系の色データ
に変換するようにすれば、種々の出力デバイスに応じて
忠実に印刷物の色を再現することができる。
環境光に関する値であってすべて0であるとしてもよ
い。こうすれば、環境光の無い理想的な観察条件をシミ
ュレートすることができる。
印刷物に所定の光を照射した場合に所定の観察点で観察
される反射光について、所定のデバイス・インディペン
デント表色系の色度座標値(x,y)を数式6に従って
求める工程、を備える。
(xe,ye)はそれぞれ所定の色度座標値、Ts,T
b,Teはそれぞれ所定の定数、ρは前記光の反射方向
と観察方向のずれ角、nは所定の定数、θは反射角であ
る。
yb),(xe,ye)を反射角θとずれ角ρとに応じて
補間演算することによって、観察される反射光の色度座
標値(x,y)を求めるので、観察される反射光の色を
反射角θとずれ角ρとに応じて忠実に再現することがで
きる。
インディペンデント表色系の色度座標値(x,y)を出
力デバイスの所定の表色系の色データに変換する工程、
を備える。デバイス・インディペンデント表色系の色度
座標値を、出力デバイスに特有の所定の表色系の色デー
タに変換するようにすれば、種々の出力デバイスに応じ
て忠実に印刷物の色を再現することができる。
の定数Teは、環境光に関する値であってすべて0であ
るとしてもよい。こうすれば、環境光の無い理想的な観
察条件をシミュレートすることができる。
系はCIE−XYZ表色系とすることが好ましい。
じて色を算出するための3つの方法について説明し、そ
の後、反射光の照度スペクトル、すなわち各波長に対す
る反射光の照度の測定方法と、実際的な色再現の方法に
ついて順次説明する。
に塗布されたインクによって入射光が反射される様子を
示す説明図である。図1に示すように、インクへの入射
光Liは2つの異なった経路で反射される。第1の反射
光は、インクの表面と空気層との境界において反射され
る鏡面反射光Lsである。第2の反射光は、インクの表
面を通過した光がインク中の色素粒子によって散乱され
た後に、外部に出射される内部反射光Lbである。
との関係を示す説明図である。図2に示すように、視覚
系の位置は、鏡面反射光Lsの方向から角度ρ(以下、
「ずれ角」と呼ぶ)だけずれているのが普通である。印
刷物表面における光の反射点と視覚系とを結ぶ方向(観
察方向)は、入射光Liと反射光Lsとで構成される平
面上に存在しない場合があるが、この場合にも、鏡面反
射光Lsと観察方向とのなす角が、ずれ角ρとして定義
される。
照度は、次の数式7に示すように、鏡面反射光Lsの照
度と内部反射光Lbの照度の線形結合で表わされると考
えられる。
は観察される反射光の照度スペクトル(分光照度)、I
s(θ,ρ,λ)は鏡面反射光Lsの照度スペクトル、
Ib(θ,ρ,λ)は内部反射光Lbの照度スペクトル
である。すなわち、照度スペクトルI(θ,ρ,λ),
Is(θ,ρ,λ)及びIb(θ,ρ,λ)は反射角
θ、ずれ角ρ及び波長λに依存する。
(θ,ρ,λ),Ib(θ,ρ,λ)をそれぞれ角度成
分と波長成分に分離できると仮定すると、数式7は次の
数式8のように書き換えられる。
(λ)は鏡面反射係数、φ(λ)は入射光の波長λに依
存する輝度スペクトル(分光輝度)である。
射方向で観察した場合に最も強く、この方向からずれる
に従って急激に低下する。このような現象に対応して、
数式8における鏡面反射光Lsの角度成分As (θ,
ρ)を cosρのn乗(nは実験的に求められる定数)で
表わすことができる。また、内部反射光Lbの角度成分
Ab (θ,ρ)は cosθで表わされる。これらの仮定の
下では、数式8は次の数式9のように書き換えられる。
光源の他に自然光など、直接及び印刷物で反射してから
観察点で観察される環境光が存在する。そこで、数式9
の右辺に観察点で観察される環境光の照度スペクトルI
e(λ)を加算することによって、反射光の照度スペク
トルI(θ,ρ,λ)を与える一般的な式が得られる。
これが、前述した数式1(=数式4)である。
b(λ)、および指数nの値は、輝度スペクトルφ
(λ)を有する光源を用いた反射光の照度スペクトルに
関する測定を行ない、その結果を解析することによって
決定できる。この測定については後述する。また、環境
光の照度スペクトルIe(λ)は、色再現の前提条件と
して予め決定しておくことができる。この時、数式1に
おける未知数は、反射角θとずれ角ρだけになる。従っ
て、観察者と印刷物と光源との3次元的な位置関係を設
定すれば、反射角θとずれ角ρが決まるので、数式1を
用いることによって反射光の照度スペクトルI(θ,
ρ,λ)を求めることができる。
が得られれば、CIE−XYZ表色系における3刺激値
XYZは、その定義に従って次の数式10で与えられ
る。
等色関数である(なお、数式以外の文章中では、便宜
上、x,y,zの文字上のバーを省略している)。
刺激値X,Y,Z、または、これらの色度座標値(x,
y,z)を出力デバイスの表色系(例えばRGB表色
系)の色データに変換すれば、その出力デバイスにおい
て印刷物の色を忠実に再現することが可能である。この
発明の第1の方法は、このような原理を利用したもので
ある。
第1の方法における積分を予め行なっておき、色の算出
処理ではその積分の結果を利用する方法である。
11が得られる。
示すように、内部反射光の3刺激値(Xb,Yb,Z
b)と、鏡面反射光の3刺激値(Xs,Ys,Zs)
と、環境光の3刺激値(Xe,Ye,Ze)とに書き分
けることができる。
た数式2(=数式5)で与えられる。なお、3刺激値の
和は、次の数式13で与えられる。
を含まないので、反射係数Ss(λ),Sb(λ)、光
源の輝度スペクトルφ(λ)、および、環境光の照度ス
ペクトルIe(λ)を設定すれば、数式12の積分を実
行することによって、3組の3刺激値(Xs,Ys,Z
s),(Xb,Yb,Zb),(Xe,Ye,Ze)を
予め求めておくことができる。
3刺激値(Xs,Ys,Zs),(Xb,Yb,Z
b),(Xe,Ye,Ze)を記憶しておき、角度θ,
ρに応じて数式2によって反射光の3刺激値(X,Y,
Z)を求める。この第2の方法では、積分を予め実行し
ておくので、実際の色再現処理において、比較的簡単な
演算のみで反射光の3刺激値(X,Y,Z)を求めるこ
とができるという利点がある。
値(Xs,Ys,Zs),(Xb,Yb,Zb),(X
e,Ye,Ze)の代わりに、これらの色度座標(x
s,ys),(xb,yb),(xe,ye)を用いてもよ
い。
き換えを行なうと、数式13の右辺を数式15のように
書き換えることができる。
(X,Y,Z)に対応する色度座標値xが次の数式16
で与えられる。
な関係を用い、また、数式18のようにCs,Cb,C
eを定義すれば、数式16を数式19のように書換える
ことができる。
と同様な式が成立する。従って、反射光の色度座標値
(x,y)は、次の数式20で与えられる。
数式18とを併記したものである。なお、色度座標値に
ついては、その定義からx+y+z=1が成立するの
で、zの値も数式20から求められる。
無い理想的な観察状態において説明する。環境光の無い
理想的な観察状態では、数式20の右辺第3項を0とお
くことができる。このとき、数式20と数式18はそれ
ぞれ次の数式21および数式22のように書き換えられ
る。
おいて、図2に示す視覚系で反射光を観察した場合にお
ける反射光の色度座標値(x,y)を与える式である。
21における(xs,ys)は鏡面反射光Lsの色度座標
値であり、(xb,yb)は内部反射光Lbの色度座標値
である。図3は、環境光が無い理想状態における鏡面反
射光Lsの色度点Ps(xs,ys)と、内部反射光Lb
の色度点Pb(xb,yb)とを示す色度図である。図3
に示すように、数式21で与えられる反射光の色度点P
r(x,y)は、鏡面反射光Lsの色度点Ps(xs,
ys)と内部反射光Lbの色度点Pb(xb,yb)とを
結ぶ直線上に存在する。さらに、以下で説明する通り、
反射光の色度点Prは点Ps,Pbの間を内分した点で
ある。
(λ)は、所定の輝度スペクトルφ(λ)を有する光源
を用い、環境光の無い状態において反射率の測定(後述
する)を行なうことによって決定することができる。そ
して、これらの反射係数Ss(λ),Sb(λ),およ
び輝度スペクトルφ(λ)を用いて、数式12から3刺
激値(Xs,Ys,Zs)および(Xb,Yb,Zb)
を求めることができる。従って、数式21の右辺にある
鏡面反射光Lsの色度座標値(xs,ys)と内部反射光
Lbの色度座標(xb,yb)は、それぞれの3刺激値
(Xs,Ys,Zs)および(Xb,Yb,Zb)か
ら、その定義(数式17、数式14)に従って決定され
る。
bは一定値(数式14)なので、係数Cs,Cbは、反
射角θとずれ角ρにのみ依存する。なお、角度θ,ρは
0〜90°の範囲内にあるので、係数Cs,Cbの値は
常に正である。また、次の数式23に示すように、係数
Cs,Cbの和は常に1である(環境光が無い場合)。
射光の色度点Pr(x,y)は、反射角θとずれ角ρに
応じて決定される係数Cs,Cbによって、色度点Ps
(xs,ys),Pb(xb,yb)の間を内分した点であ
ることが解る。なお、前述したように、鏡面反射光Ls
の色度点Psと内部反射光Lbの色度点Pbは予め測定
によって決定しておくことができる。従って、3次元空
間内に配置されたカラー印刷物の色を再現する場合に
は、反射角θとずれ角ρとを与えるだけで、その印刷物
からの反射光の色度(x,y)を数式21および数式2
2から決定することができる。
カラー印刷物を再現する場合には、数式21,22の代
わりに数式20,21(すなわち数式3)を用いればよ
い。このとき、環境光の成分Teを一定値に設定してお
けば、反射角θとずれ角ρとに応じて係数Cs,Cb,
Ceの値を決定できる。また、環境光の色度(xe ,y
e )は、所望の環境に適合する値に予め設定しておくこ
とができる。従って、反射光の色度(x,y)は、反射
角θとずれ角ρとに応じて算出することができる。
観察環境にそれぞれ応じた環境光の成分Te,xe,ye
の値を複数組準備しておき、色再現時にその内の1組を
選択するようにすることも可能である。
述した第1の色度算出方法のように積分を行なう必要が
ないので、より簡単にかつ高速に反射光の色度を求める
ことが可能であるという利点がある。
射角θと、反射方向と観察方向のずれ角ρとに基づい
て、3次元空間内に配置されたカラー印刷物の色度を決
定できる。従って、印刷物をいろいろな角度で観察した
場合に、どのように見えるかを再現することができる。
例えば、ずれ角ρが0°に近い場合には、鏡面反射光L
sの成分が大きくなって印刷物に光沢を生じる状態をシ
ミュレートすることができる。
のいくつかの物体の反射に関しては、「標準2色性反射
モデル」と呼ばれるモデルが適用できることが知られて
いる。この「標準2色性反射モデル」は、数式8におい
て、鏡面反射係数Ssが波長λに依存しない一定値であ
ると仮定したモデルである。しかし、印刷物に関しては
この標準2色性反射モデルは適用できず、鏡面反射係数
Ssの波長λに対する依存性を考慮する必要がある。上
述の3つの色算出方法は、いずれも鏡面反射係数Ssの
波長依存性を考慮することによって印刷物の色を算出で
きるようにし、この結果、従来あまり忠実に再現できな
かった印刷物の色をかなり忠実に再現できるようにした
ものである。
s(λ),Sb(λ)(数式12)を求めるために、印
刷物の測定用サンプルを作成し、その反射特性の測定を
行なった。測定用サンプルとしては、2種類の印刷用紙
(アート紙、コート紙)の上にイエロー、シアン、マゼ
ンタのインクをベタで印刷した6つのサンプルを準備し
た。
である。サンプル光学台1の上に測定用サンプル2を載
置し、光源3で光を照射しながら分光放射輝度計4で反
射光の波長に対する照度(照度スペクトル)を測定し
た。測定データは、パーソナルコンピュータ5で解析し
た。光源3としては、標準光D65の昼光用フラッドラン
プを用いた。また、測定は暗室の中で行ない、環境光の
無い理想的な観察状態を実現した。
ずれ角ρの値をパラメトリックに変えた複数の条件下
で、反射光の照度スペクトルを測定した。図5は、測定
された照度スペクトルの測定結果の一例を示すグラフで
ある。この測定結果は、コート紙上にシアンインクをベ
タ刷りしたサンプルの場合の例であり、3つのずれ角ρ
に対するグラフを含んでいる。図5から解るように、ず
れ角ρに応じてスペクトルの形状が変化する。一方、反
射角θに関しては照度スペクトルの形状は変化せず、照
度スペクトルが一律に増減する。なお、図5で得られた
照度スペクトルは数式9における反射光の照度スペクト
ルI(θ,ρ,λ)に相当する。
測定値を特異値分解(SVD)で解析することによっ
て、照度スペクトルI(θ,ρ,λ)が数式9のように
変数分離された成分の線形結合で表わされるか否かを検
証した。特異値分解の結果、6つの測定サンプルのいず
れの場合にも第2特異値までの寄与率が0.9996以
上と極めて高い数値を示したので、反射光の照度スペク
トルI(θ,ρ,λ)が、数式9の形式で表わされるこ
とが検証された。
Sb(λ)は、ずれ角ρを0°に保ち、反射角θ(従っ
て入射角θ)を変化させて得られる照度スペクトルI
(θ,ρ,λ)のデータを数式9に代入して連立方程式
を立て、その連立方程式を解くことによって決定でき
る。また、鏡面反射係数Ss(λ)及び内部反射係数S
b(λ)は最小2乗法を用いて決定することもできる。
すなわち、ずれ角ρを0°に保ち、反射角θを変化させ
て得られる照度スペクトルI(θ,ρ,λ)のデータを
用い、数式9に基づく2乗誤差が最も小さくなるSs
(λ)及びSb(λ)を求めればよい。
に保ち、ずれ角ρを変化させて得られる照度スペクトル
I(θ,ρ,λ)のデータから最小2乗法を用いて決定
できる。
て得られた反射光の色度を示すグラフである。図6はコ
ート紙を、また、図7はアート紙を用いた場合の結果を
それぞれ示している。
エロー、シアン、マゼンタのどのインクについても、反
射光の色度がそれぞれほぼ一直線上に乗っている。図6
には参考のために光源の色度点も示している。各インク
の色度点列の両端の点は、図3に示す鏡面反射光の色度
点Psと内部反射光の色度点Pbとに相当する。なお、
上述した標準2色性反射モデル(鏡面反射係数Ssが一
定のモデル)が成立する場合には、鏡面反射光の色度点
Psが光源の色度点に一致することが知られている。し
かし、図6において、各インクの色度点列を結ぶ直線は
光源の色度点を通過しないので、いわゆる標準2色性反
射モデルは印刷物には適用できないことが解る。
インクについても色度点列が一直線上に乗っているの
で、上記の第3の方法によって印刷物の色をかなり正確
に求めることが可能である。これは、図7に示すアート
紙についても同様である。
例を適用して3次元空間に配置されたカラー印刷物を再
現するためのコンピュータシステムを示すブロック図で
ある。このコンピュータシステムは、CPU10と、バ
スライン12とを備えている。バスライン12には、R
OM14と、RAM16とが接続されており、また、入
出力インタフェイス40,41を介してキーボード30
と、マウス32と、デジタイザ34と、カラーCRT3
6と、磁気ディスク38と、フルカラープリンタ42と
が接続されている。なお、以下で説明する処理は、RO
M14に記憶、またはRAM16にロードされたアプリ
ケーションプログラムをCPU10が実行することによ
って実現される。なお、このコンピュータシステムは、
いわゆるレンダリング処理を行なうことによって3次元
空間に配置されたカラー印刷物を再現する。
刷物の色を再現する際の、印刷物50と光源52とスク
リーン(CRTの画面)54と観察点56の3次元的な
配置を示す説明図である。レイトレーシング法は、3次
元コンピュータグラフィックスの分野において周知のレ
ンダリング手法であり、スクリーン54上の各画素PX
と観察点56とを通る視線RLを、観察点56から光源
52まで逆にたどることによってスクリーン54上の各
画素PXの色データ(RGBデータ)を求める方法であ
る。なお、印刷物50は予め複数の微小多角形ELに分
割されている。個々の微小多角形ELは平面であるが、
印刷物50の全体は3次元的に湾曲しているようにモデ
ル化することが可能である。なお、入射角θとずれ角ρ
は、図9に示すように、視線RLと印刷物50が交わる
位置に存在する微小多角形ELにおいて定義される。
スクリーン54上の各画素PXの色データ(RGBデー
タ)を算出する処理の手順を示すフローチャートであ
る。ステップS1では、3つの色計算方法のいずれを選
択するかを判断する。
いて、反射係数Ss(λ),Sb(λ)を反射角θとず
れ角ρに基づいて選択、あるいは補間演算することによ
って、反射光の照度スペクトルI(θ,ρ,λ)を求め
る。なお、数式1における反射係数Ss(λ),Sb
(λ)と、指数nと、光源の輝度スペクトルφ(λ)
と、環境光の照度スペクトルIe(λ)は、予め磁気デ
ィスク38からRAM16にロードされている。
ルI(θ,ρ,λ)を数式10によって積分することに
よって、3刺激値XYZを求める。そして、ステップS
6において3刺激値XYZをRGBデータに変換してC
RT上の画素に割り当てる。具体的には、フレームメモ
リの画素位置にRGBデータを記憶する。なお、XYZ
表色系からRGB表色系への変換は、出力デバイスの特
性に依存するので、その出力デバイスに応じた変換式を
用いることによって、その出力デバイスの色表現範囲以
内において、忠実な色再現をおこなうことが可能であ
る。
は、ステップS4において、3刺激値(Xs,Ys,Z
s),(Xb,Yb,Zb),(Xe,Ye,Ze)を
反射角θとずれ角ρに基づいて選択、あるいは補間演算
することによって、反射光の3刺激値(X,Y,Z)を
求める。なお、数式2における3刺激値(Xs,Ys,
Zs),(Xb,Yb,Zb),(Xe,Ye,Ze)
と、指数nと、係数kの値とは、予め磁気ディスク73
8からRAM16にロードされている。そして、ステッ
プS6において3刺激値XYZをRGBデータに変換し
てCRT上の画素に割り当てる。
は、ステップS5において、色度座標値(xs,ys),
(xb,yb),(xe,ye)を反射角θとずれ角ρに基
づいて選択、あるいは補間演算することによって、反射
光の色度座標値(x,y)を求める。なお、数式3にお
ける色度座標値(xs,ys),(xb,yb),(xe ,
ye )と、指数nと、係数Ts,Tb,Teの値とは、
予め磁気ディスク738からRAM16にロードされて
いる。そして、ステップS6において、得られた色度座
標値(x,y)をRGBデータに変換してCRT上の画
素に割り当てる。なお、数式3によって色度座標値
(x,y)を求めた場合には、RGBデータの相対値は
色度座標値(x,y)から得られるが、RGBデータの
絶対値は任意である。従って、所定の方法でRGBデー
タのレベルを別個に設定する必要がある。
を使用した場合にも、デバイス・インディペンデントな
CIE−XYZ表色系の3刺激値XYZ、または、その
色度座標値(x,y)が得られる。従って、3刺激値X
YZまたは色度座標値(x,y)を出力デバイス(カラ
ーCRT,プリンタ等)に応じた変換式で他の表色系
(RGB表色系,YMCK表色系等)に変換することに
よって、どのような出力デバイスを使用しても、その出
力デバイスの色表現範囲以内において、画像を忠実に再
現することができるという利点がある。
のではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の
態様において実施することが可能であり、例えば次のよ
うな変形も可能である。
色系を用いたが、CIE−L*a*b*表色系やCIE−
L*u*v* 表色系などの任意のデバイス・インディペン
デント表色系を使用することが可能である。
求める方法としては、各色(インク)毎に測定した照度
データに基づいてx,y色度座標を演算してxy色度図
上にプロットし、プロットしたx,y色度座標の点列に
おいて、最も内側の色度座標の算出に用いた照度スペク
トルより得られる分光反射係数を鏡面反射係数Ss
(λ)、最も外側の色度座標の算出に用いた照度スペク
トルより得られる分光反射係数を内部反射係数Sb
(λ)として、色毎に利用しても良く、これによれば、
簡単に反射係数Ss(λ)、Sb(λ)を求めることが
できる。
として、1つの光源52を設定した場合を説明したが、
複数の光源を設定してスクリーン54上の各画素PXの
色データを算出すれば、より自然な色を再現することが
できる。何故ならば、室内や自然界においては、印刷物
に対する照射光が1つの光源から放射されることは少な
く、各種環境光の照射を受けるのが一般的であるためで
ある。処理手順としては、図10で説明した手順に従っ
て、各光源毎に各画素PXの色データを算出し、各画素
PX毎に色データを累積すれば良い。
れた発明によれば、カラー印刷物の色を、反射角θとず
れ角ρとに応じて忠実に再現することができるという効
果がある。
係数Ss(λ)が一定値ではなく、波長λに応じて変化
する特性を示すので、請求項2に記載した発明によっ
て、カラー印刷物を忠実に再現できるという効果があ
る。
種々の出力デバイスに応じて、その色表現範囲以内にお
いて、忠実に印刷物の色を再現することができるという
効果がある。
の無い理想的な観察条件をシミュレートすることができ
るという効果がある。
ば、比較的簡単な演算によって、カラー印刷物の色を反
射角θとずれ角ρとに応じて忠実に再現することができ
るという効果がある。
ば、種々の出力デバイスに応じて、その色表現範囲以内
において、忠実に印刷物の色を再現することができると
いう効果がある。
ば、環境光の無い理想的な観察条件をシミュレートする
ことができるという効果がある。
様子を示す説明図。
す説明図。
の色度点Ps(xs,ys)と、内部反射光Lbの色度点
Pb(xb,yb)とを示す色度図。
すグラフ。
を示すグラフ。
を示すグラフ。
間に配置された印刷物の色再現を行なうコンピュータシ
ステムを示すブロック図である。
する際の3次元配置を示す説明図。
Bデータ)を算出する処理の手順を示すフローチャー
ト。
Claims (11)
- 【請求項1】 3次元空間に配置されたカラー印刷物に
関してレンダリング処理を行なうことによって、前記カ
ラー印刷物を再現する方法であって、 前記カラー印刷物に所定の輝度スペクトルφ(λ)の光
を照射した場合に所定の観察点で観察される反射光の照
度スペクトルI(θ,ρ,λ)を、数式1に従って求め
る工程と、 前記反射光の照度スペクトルI(θ,ρ,λ)を、所定
のデバイス・インディペンデント表色系の3つの等色関
数を用いて可視光の波長領域に亘ってそれぞれ積分する
ことによって、前記デバイス・インディペンデント表色
系における3刺激値を求める工程と、を備えることを特
徴とするカラー印刷物の再現方法。 【数1】 ここで、λは光の波長、Ss(λ),Sb(λ)はそれ
ぞれ所定の反射係数、ρは前記光の反射方向と観察方向
のずれ角、nは所定の定数、θは反射角、Ie(λ)は
前記観察点で観察される環境光の所定の照度スペクトル
である。 - 【請求項2】 反射係数Ss(λ)は、鏡面反射光に関
する反射係数であって、波長λに応じて変化する値を示
す係数である、請求項1記載のカラー印刷物の再現方
法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の方法であって、
さらに、 デバイス・インディペンデント表色系の3刺激値を出力
デバイスの所定の表色系の色データに変換する工程、を
備えるカラー印刷物の再現方法。 - 【請求項4】 環境光の照度スペクトルIe(λ)は0
である、請求項1ないし3のいずれかに記載のカラー印
刷物の再現方法。 - 【請求項5】 3次元空間に配置されたカラー印刷物に
関してレンダリング処理を行なうことによって、前記カ
ラー印刷物を再現する方法であって、 前記カラー印刷物に所定の光を照射した場合に所定の観
察点で観察される反射光について、所定のデバイス・イ
ンディペンデント表色系の3刺激値X,Y,Zを数式2
に従って求める工程、を備えることを特徴とするカラー
印刷物の再現方法。 【数2】 ここで、kは所定の定数、(Xs,Ys,Zs),(X
b,Yb,Zb),(Xe,Ye,Ze)はそれぞれ所
定の3刺激値、ρは前記光の反射方向と観察方向のずれ
角、nは所定の定数、θは反射角である。 - 【請求項6】 請求項5記載の方法であって、さらに、 デバイス・インディペンデント表色系の3刺激値X,
Y,Zを出力デバイスの所定の表色系の色データに変換
する工程、を備えるカラー印刷物の再現方法。 - 【請求項7】 3刺激値(Xe,Ye,Ze)は、環境
光に関する値であってすべて0である、請求項5または
6記載のカラー印刷物の再現方法。 - 【請求項8】 3次元空間に配置されたカラー印刷物に
関してレンダリング処理を行なうことによって、前記カ
ラー印刷物を再現する方法であって、 前記カラー印刷物に所定の光を照射した場合に所定の観
察点で観察される反射光について、所定のデバイス・イ
ンディペンデント表色系の色度座標値(x,y)を数式
3に従って求める工程、を備えることを特徴とするカラ
ー印刷物の再現方法。 【数3】 ここで、(xs,ys),(xb,yb),(xe,ye)は
それぞれ所定の色度座標値、Ts,Tb,Teはそれぞ
れ所定の定数、ρは前記光の反射方向と観察方向のずれ
角、nは所定の定数、θは反射角である。 - 【請求項9】 請求項8記載の方法であって、さらに、 デバイス・インディペンデント表色系の色度座標値
(x,y)を出力デバイスの所定の表色系の色データに
変換する工程、を備えるカラー印刷物の再現方法。 - 【請求項10】 色度座標値(xe,ye)および所定の
定数Teは、環境光に関する値であってすべて0であ
る、請求項8または9記載のカラー印刷物の再現方法。 - 【請求項11】 デバイス・インディペンデント表色系
はCIE−XYZ表色系である、請求項1ないし10の
いずれかに記載のカラー印刷物の再現方法。
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