JPH11124836A - 多孔質緩衝層を形成する湛水法面の緑化方法 - Google Patents

多孔質緩衝層を形成する湛水法面の緑化方法

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JPH11124836A
JPH11124836A JP30647797A JP30647797A JPH11124836A JP H11124836 A JPH11124836 A JP H11124836A JP 30647797 A JP30647797 A JP 30647797A JP 30647797 A JP30647797 A JP 30647797A JP H11124836 A JPH11124836 A JP H11124836A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダム湖や河川の湛水法面に対する施工が容易
で、施工後直ちに湛水法面の表層部の保護が行えるとと
もに、施工後の波による侵食を十分防止することがで
き、緑化を行う発芽生命体のための十分な生育環境を形
成することができる多孔質緩衝層を形成する湛水法面の
緑化方法を提供すること。 【構成】 湛水法面30上に、ロックウール22とセメ
ント23と水と分解性多孔質体24とを懸濁させたセメ
ントミルクをブロアーにより吹付けて植物生育基盤の下
地層20を形成し、この基盤下地層20の上に、ロック
ウール11と、ピートモス、あるいはバーク堆肥を主材
とする生育基盤材12と、ゼオライト、バーミキュライ
ト、パーライト、シラス、カーボン粒体、カルシウム化
合物の粒体、あるいは鹿沼土粒体を主材とする水質浄化
資材13と、種子、栄養繁殖用の細断された植物の幹や
茎の切片体、地下茎、地上茎等のいずれか1種以上の発
芽生命体14とからなる混合物を池山表面に吹付けて多
孔質緩衝層10を形成するようにしたこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダム湖や河川の湛
水法面の植生を行う緑化方法に関し、特に、ダム湖や河
川の水食作用に抵抗し、また植物の根の侵入を可能とす
る多孔質層を形成し、波等による洗掘作用等の悪影響を
受けにくくでき、湖水や河川水等の汚染を極力防止する
ことができるようにした緑化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダム湖を代表とする湖や池、あるいは河
川においては、その周囲に、図1に示すように、所謂
「湛水法面」(水面近傍の法面)が必ず存在する。この
「湛水法面」は、ダム湖や河川の水位が季節変化や貯水
量の管理方式によって上下することにより、水位低下時
に乾燥状態となったり、水没してしまうこともある。つ
まり、ダム湖等の周囲に存在する湛水法面は、そのまま
では植物の十分な生育が望めない環境となっているので
あって、図1に概略的に示したように、裸地のまま非常
に荒廃した状態となっている。
【0003】換言すれば、この湛水法面は、陸上部の表
流水によって水陸部の洗掘を生じたり、水流や波による
侵食を受け易いものとなっており、その土砂がダム湖底
等に流下し易い易くなっているのである。この現象を早
期に防止するためにも、また下流部への濁りをひき起こ
すダム湖の景観保護や魚等の生態系保全の観点からして
も、ダム湖等の湛水法面は、その環境状態に応じた植生
を群生させなければならないものである。
【0004】一方、例えばダム湖の水位は、四季や豊渇
水期、あるいはダムの通水管理等によって、メートル単
位で変化するものであり、その結果、「湛水法面」は広
い面積を有したものとなっているのである。つまり、ダ
ム湖の「湛水法面」は、湖水位が大きく変化することに
よって、植物が生育する箇所としては、非常に過酷な条
件のものとなっているのである。
【0005】湛水裸地部の法面において実施されている
金網併用の厚層基材吹付工や吹付後に乾燥と収縮によっ
てネットからの脱型や池山との付着が不可能となってブ
ロック化した生育基盤の落下等により再度裸地に戻るこ
となどの原因で水質を悪化することがある。
【0006】このため、例えば特開平6−322731
号公報にて提案されているような緑化工法が開発され
た。この緑化工法は、上記公報の特許請求の範囲の記載
からすると、図3にも示すように、「プラスチックまた
は金属の網籠内に不織布の袋を収納し、その袋の内部に
植生基盤材を充填した緑化ボックスをダム湖、湖、池等
のかん水斜面裸地法面に連続的に設置し、緑化ボックス
内に水陸両用植物を植栽することを特徴とする、ダム
湖、湖、池等のかん水斜面裸地法面を安定・修景緑化工
法」である。
【0007】この特開平6−322731号公報にて提
案されている緑化工法は、 ・ダム湖、湖、池等の湛水面裸地法面という植物の生活
環境としては極めて過酷な条件を緑化ボックスにより緩
衝し、克服するようにすること。 ・ダム湖、湖、池等の湛水、裸出の繰り返しに耐える植
物を植栽し、その根は緑化ボックスより出て背後の法面
に侵入し、地山を長期にわたり安定させること。 ・植物を用い、ダム湖、湖、池等の景観が持続的に周囲
の環境になじむ修景緑化を図ること。 を目的としてなされたものであり、これらの目的を達成
できたものであると考えられるが、「緑化ボックス」を
採用しなければならない以上、次のような改善しなけれ
ばならない点を未だ含んでいるものである。
【0008】すなわち、 水位変動時のダム湖、池、通水時の河川等における湛
水法面は、波によって洗われるものであり、この波の力
に打ち勝つようにしないと、「緑化ボックス」内に入れ
た基盤材料の土粒子流出を招くだけでなく、植生植物の
根の生育を抑えることにもなる。 勿論、この種の湛水法面に対して緑化を行う場合に
は、その施工が簡単なものとなっていなければならな
い。湛水法面は、資材の搬入が困難な搬入路のない山間
地等にあることが多く、また特にダム湖のように、岩盤
の掘削によって形成した急峻な傾斜法面や、コンクリー
トで固めた法面もあることから、植物の生育が困難な場
所になっているだけでなく、施工が困難な場所にもなっ
ているからである。 湛水法面の軟岩や土砂面は、一般的には崩落し易く、
場合によっては急峻なものとなっていることが多く、
「緑化ボックス」内での緑化植物の成長を待っていられ
ないこともあり、施工と同時にその保護が行えるように
しなければならない。
【0009】そこで、本発明者等は、ダム湖や河川にお
ける湛水法面の緑化を行う場合に、上記の〜の改善
を行うにはどうしたらよいか、について種々検討を重ね
てきた結果、本発明を完成したのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとす
る課題は、ダム湖や河川の湛水法面の保護と同時に、緑
化あるいは植生をも効果的に行うことである。
【0011】すなわち、まず請求項1に係る発明の目的
とするところは、ダム湖や河川の湛水法面に対する施工
が容易で、施工後直ちに湛水法面の表層部の保護が行え
るとともに、施工後の波による侵食を十分防止すること
ができ、緑化を行う発芽生命体のための十分な生育環境
を形成することができる多孔質緩衝層を形成する湛水法
面の緑化方法を提供することにある。
【0012】また、請求項2に係る発明の目的とすると
ころは、上記請求項1の発明と同様な目的を達成するこ
との他、当該緑化工法によって形成される生育基盤材層
のための基盤下地層を、湛水法面に対してより一層強力
に密着・固定させることができて、湛水法面の保護及び
緑化をより一層効果的なものとすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、まず請求項1に係る発明の採った手段は、後述の
実施形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「湛水法面30上に、ロックウール22とセメント23
と水と分解性多孔質体24とを懸濁させたセメントミル
クをブロアーにより吹付けて植物生育基盤の下地層20
を形成し、この基盤下地層20の上に、ロックウール1
1と、ピートモス、あるいはバーク堆肥を主材とする生
育基盤材12と、ゼオライト、バーミキュライト、パー
ライト、シラス、カーボン粒体、カルシウム化合物の粒
体、あるいは鹿沼土粒体を主材とする水質浄化資材13
と、種子、栄養繁殖用の細断された植物の幹や茎の切片
体、地下茎、地上茎等のいずれか1種以上の発芽生命体
14とからなる混合物を池山表面に吹付けて多孔質緩衝
層10を形成するようにしたことを特徴とする湛水法面
30の緑化方法」である。
【0014】すなわち、この請求項1に係る湛水法面の
緑化工法では、まず崖錐面、波の少ない貯水池の水源等
を除く湛水法面30上に、必要に応じて金網21を敷設
しておき、この金網21に覆われた湛水法面30に対し
て、易分解性ストロー、植物繊維の断片等の分解性多孔
質体24とセメント23と水とを懸濁させたロックウー
ルセメントミルクをブロアーにより吹付けて基盤下地層
20を形成するのである。勿論、この湛水法面30の勾
配が緩い場合には、金網21は使用されることはない。
次に、この基盤下地層20上に、ロックウール11、生
育基盤材12、水質浄化資材13、及び等からなる基盤
材を吹き付けて多孔質緩衝層10を形成することによ
り、当該湛水法面の緑化工法は完成されるものである。
分解性多孔質体24としては、上記の他に澱粉等の有機
物で形成した長さ2mm〜6mm程度のストロー状の
物、長さ2cm〜5cm程度の枯れ死植物細断物等があ
る。
【0015】上記ロックウールセメントミルク中のロッ
クウール22や、多孔質緩衝層10を構成するためのロ
ックウール11は、玄武岩等の天然岩石、または鉱滓
(粒状綿又は廃物のロックウールベッド粒砕物)を15
00度程度で溶解して繊維状に形成したものであるが、
短繊維であることが好ましい。何故なら、ロックウール
11や22は、多孔質緩衝層10を構成するにせよ、基
盤下地層20を構成するにせよ、ブロアーにより吹き付
けられるものであり、そのブロアー中での送りや噴射を
確実に行えるようにするためには、吹き付け前に絡まら
ないような短繊維であることがよいからである。
【0016】このようなロックウール11あるいは22
は、玄武岩等の天然岩石、または鉱滓(スラッジ)を1
500度程度で溶解して繊維状に形成したものであっ
て、元々自然物であり、無機物でもあるため、風化した
り分解しないので、自然環境に対して何等の悪影響をも
与えないものであり、この種の湛水法面の緑化工法にお
いて使用する材料としては最も適しているものである。
【0017】しかも、ロックウール11及び22は、そ
れ自体は何等の有機物を含むものではないため、湖や河
川の水を富栄養化することがなく、繊維化されたもので
あることから、これに対する金網21や、生育基盤材1
2、水質浄化資材13、及び発芽生命体14の絡まりや
梱囲を十分なものとすることができるのである。つま
り、短繊維であるロックウール11及び22は、単なる
吹き付け材の湛水法面30上への吹き付けという簡単な
作業であっても、これによって形成された基盤下地層2
0及び多孔質緩衝層10自体の水に対する耐侵食性を十
分なものとするとともに、特に多孔質緩衝層10につい
て、浄化資材13や発芽生命体14が十分絡まり合った
ものとすることができて、自体の水に対する耐侵食性を
十分なものとすることができるのである。
【0018】ここで、上記ロックウールセメントミルク
の中には、ロックウール22とセメント23とが存在し
ていなければならない。何故なら、ロックウール22を
湛水法面30上に予め敷設してある金網21に絡み着か
せることによって、湛水法面30に対する密着性の高い
基盤下地層20としなければならないからであり、ま
た、変形、収縮、膨張の少ない固結材としてのセメント
23によって、ロックウール22を金網21及び脆弱な
湛水法面30の表面に十分付着固定させて、湛水法面3
0上の保護を直接的に行わなければならないからであ
る。
【0019】また、以上のロックウールセメントミルク
をブロアーにより湛水法面30上に吹き付けるに際し
て、図2に示すように、湛水法面30上に予め敷設して
おいた金網21を露出させた状態で行わなければならな
い。何故なら、この基盤下地層20の湛水法面30に対
する密着、及びこの基盤下地層20上に対する後述の多
孔質緩衝層10の密着を、当該金網21に対してロック
ウール22及びロックウール11を十分絡ませ、これに
よる金網21への保持力を十分発揮させて行うようにし
なければならないからである。
【0020】以上のようにして、湛水法面30上に形成
された基盤下地層20に対しては、図2に示すように、
ロックウール11、生育基盤材12、水質浄化資材13
及び発芽生命体14からなる吹き付け材を吹き付けて、
基盤下地層20上にこれと一体的な多孔質緩衝層10を
形成しなければならない。この吹き付け材中にロックウ
ール11を含ませなければならないことは上述した通り
であり、この多孔質緩衝層10自身から緑の植物が発芽
・生育しなければならないから、植物の種子、栄養繁殖
用の細断した幹や枝等の植物切断片、地上茎、地下茎、
2芽を有する栄養体等の発芽生命体14が必要であり、
この発芽生命体14が十分生育するための水質浄化資材
13や生育基盤材12が必要である。
【0021】この吹き付け材中の生育基盤材12として
は、発生土、ピートモス、あるいはバーク堆肥を主材と
するものであることが必要である。何故なら、これらの
発生土、ピートモス、あるいはバーク堆肥は、それ自体
が発芽生命体14のための培養土となり得るからであ
り、発芽生命体14に対する養分の補給は勿論、水分の
保持機能をも有しているからである。
【0022】また、この湛水法面の緑化工法において
は、水質浄化資材13として、発生土ベントナイト、パ
ーライト、ベントナイト粒子、イソライト粒子、シラ
ス、ゼオライト、モンモリロナイト、カーボン粒子体、
カルシウム化合物の粒子体、バーミキュライト、鹿沼土
の粒子体より選ばれた1種以上のものを採用することが
特徴なのであるが、これらの資質浄化資材13は、湖や
河川の水を富栄養化することがなく、短繊維であるロッ
クウール11に対する絡まりも十分となるものであるか
ら、耐水性粒状物等の客土吹付材の材料として非常に有
効である。逆に、これらの物質は、湖や河川の水中に含
まれている栄養分を吸着・および可吸態の養分を植物に
供給する機能を有しているから、湖や河川の水を富栄養
化を防止する上で非常に有効なものである。
【0023】特に、ベントナイトは、地下資源である粘
土の一種であるから、所謂自然環境を破壊するものでは
なく、また良質なモンモリナイト系の陽イオンであるか
ら、養分である有機物の保持を効果的に行う機能を有し
ているものである。従って、このベントナイトは、富栄
養化した水の中に含まれる窒素、燐酸等を吸着して水質
を浄化するとともに、吸着した養分を発芽生命体14の
ための栄養分とするものである。
【0024】ゼオライトは、上記ベントナイトと同様な
機能を有するものであるが、塩基性置換容量がさらに高
いため、富栄養化した水の中に含まれる窒素、燐酸等を
より一層効果的に吸着して水質を浄化するとともに、吸
着した養分を発芽生命体14のための栄養分とするもの
である。
【0025】カーボン粒子は、自然物である木材を炭化
したものであることが好ましく、多孔質の構造を有して
いるものである。つまり、このカーボン粒子は、その多
孔質構造によって、有機物の保持を効果的に行う機能を
有しているだけでなく、水分を保持する機能にも優れた
ものとなっている。従って、このカーボン粒子は、水質
浄化と保水機能、及び脱臭効果を発揮し、炭素という植
物にとって必要な微量要素を補給するミネラル肥料とす
ることができて、育苗のための保温材ともなり得るもの
である。
【0026】従って、本発明に係る湛水法面の緑化工法
が施工された湛水法面30では、その上に形成してある
基盤下地層20及び多孔質緩衝層10が、主としてロッ
クウール22及び11の作用により、当該湛水法面30
に対してしっかりと密着したものとなっている。このた
め、これらの多孔質緩衝層10及び基盤下地層20は湖
や河川の水流や波に対する耐侵食性が十分なものとなっ
ており、発芽生命体14が完全な植生を行うまでは勿
論、各発芽生命体14が成長した後においても、耐久性
の高いものとなっているのである。
【0027】なお、湛水法面30を緑化するための植物
は、どんなものでもよいというものではなく、メリケン
ムグラ及びこれと共存する可能性をもつヤナギ類、ヨ
シ、オギ、ドクダミ、スギナ等水性植物群の耐水性或い
は耐冠水性の植物であることが好ましい。これらの植物
は、もともと湛水法面30等に自生するものであるもの
が中心であり、湛水法面30という自然環境になじむも
のであるからである。また、これらの植物は、早期に発
芽・生育するものであるため、産業的に発芽・生育させ
るものとして、極めて有効なものである。
【0028】上述した課題を解決するために、請求項2
に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の湛水
法面の緑化工法について、「ロックウール22及び固結
材としてのセメント23からなるセメントミルクを吹付
けて基盤下地層20を形成するに当たり、生分解性のブ
ラスチックス製のストロー状中空状物、又は多孔性の植
物細断物等の分解性多孔質体24を混入するようにした
こと」である。
【0029】すなわち、この湛水法面の緑化工法におい
ては、その基盤下地層20を形成するに際して、ロック
ウール22やセメント23の他、さらに分解性多孔質体
24を混在させるようにしているものである。この分解
性多孔質体24は、上記の通り、生分解性のブラスチッ
クス製のストロー状中空状物、又は多孔性の植物細断物
等である必要があるが、その理由は、これらのものが有
している凹凸部分によって、当該基盤下地層20の湛水
法面30に対する密着とともに、その上に形成される多
孔質緩衝層10との密着をも十分なものとして、湛水法
面30に対する基盤下地層20及び多孔質緩衝層10の
一体化を確実にする必要があるからである。また、この
分解性多孔質体24を上記のもので構成する必要がある
のは、これらが腐食・分解されたとしても、植物体に養
分として吸収され、自然環境に悪影響を及ぼさないよう
にする必要があるからである。
【0030】従って、この請求項2に係る湛水法面の緑
化工法によれば、各多孔質緩衝層10及び基盤下地層2
0の湛水法面30上に対する密着を良好なものとするこ
とができるのであり、各分解性多孔質体24による発芽
生命体14のための根茎空間を形成することもできて、
湛水法面30の保護は当然として、発芽生命体14によ
る緑化及び植生を確実に行うことができるのである。
【0031】以上の、各請求項に係る湛水法面の緑化工
法の特徴、作用あるいは効果をまとめてみると、次の通
りである。 1.崖堆地、擁壁、法枠、金網張り面、石垣等のコンク
リート構造物、水際景観を損なう護岸面等湛水法面30
に密着性が良い状態で一体化した多孔質緩衝層10を形
成することができる。そのため、安定した植物生育基盤
としての多孔質緩衝層10を湛水法面30上に形成する
ことができ、良好な根茎空間が確保できる。 2.下地としてロックウール22中に分解性多孔質体2
4が混入されている場合には、多孔質緩衝層10が湛水
法面30で更に密着性が向上し、基盤下地層20との両
層が一体化した状態となる。そのため、ネット効果の代
用の緩衝層が形成できる。 3.下地としてのロックウール22に分解性多孔質体2
4が混入されることにより、表面に付着した多孔質緩衝
層10の湛水法面30に対する密着性が向上し根圏の領
域が早期に拡大され、湛水法面30の安定性が向上す
る。 4.微細な粒子が存在しない多孔質緩衝層10を形成し
たことにより、波等の衝撃に対して緩衝効果を有すると
ともに、波などに打ち勝つ優れた消波効果が発揮され
る。 5.例えば、波などの衝撃により多孔質緩衝層10が剥
離しても、根茎が侵入し内在している段階では、下地と
してのロックウール22が繊維の絡みによって保護され
ていることから、植物が十分再生する構造である。ま
た、湛水法面30においては、付着性の良い浄化基盤が
残り、波等の衝撃から保護する。
【0032】
【発明の実施の形態】次に、上記各請求項に係る発明
を、実施の形態に従って説明すると、次の通りである
が、この実施形態では、次の配合表に記載したような配
合割合で耐水性客土吹付材を構成するようにした。 (実施例) 下地緩衝層の材料配合例1 水・セメント混合比=10l:5kg (スラリー濃度 約33%) 粒状ロックウール:スラリーセメント=1kg:1.5
l(2kg) m2 当り、t(厚さ)=3.0cm吹付け
【0033】なお、この実施形態では、侵食防止材15
や緩効性肥料16を使用しているがこれらは必要に応じ
て添加すればよいものであり、本発明を実施するにあた
っての必須構成要件となるものではない。
【0034】しかしながら、例えば侵食防止材15とし
ては、高分子系樹脂を使用すればよいものであり、高分
子系樹脂は、発芽生命体14に悪影響を及ぼさないだけ
でなく、多孔質緩衝層10及び基盤下地層20の完成後
の短繊維であるロックウール11・22や水質浄化資材
13間の結合を促進するものでもある。そして、この侵
食防止材15は、吹き付け材の各構成要素を、保水性及
び通気性に富んだ状態で結合させるものであるため、多
孔質緩衝層10等を固定したものとすることができて、
耐侵食性をより一層向上させるものである。
【0035】場合に応じて使用する緩効性肥料16は、
被覆肥料である必要がある。何故なら、肥料が樹脂被膜
によって覆われているため、所謂肥料の「効き」が遅い
「遅効性」のものとなっているからであり、そうである
ことが湖や河川の水の富栄養化を防止することができる
からである。
【0036】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の発明にお
いては、上記の実施形態にても例示した如く、「湛水法
面30上に、ロックウール22とセメント23と水と分
解性多孔質体24とを懸濁させたセメントミルクをブロ
アーにより吹付けて植物生育基盤の下地層20を形成
し、この基盤下地層20の上に、ロックウール11と、
ピートモス、あるいはバーク堆肥を主材とする生育基盤
材12と、ゼオライト、バーミキュライト、パーライ
ト、シラス、カーボン粒体、カルシウム化合物の粒体、
あるいは鹿沼土粒体を主材とする水質浄化資材13と、
種子、栄養繁殖用の細断された植物の幹や茎の切片体、
地下茎、地上茎等のいずれか1種以上の発芽生命体14
とからなる混合物を池山表面に吹付けて多孔質緩衝層1
0を形成するようにしたこと」にその構成上の特徴があ
り、これにより、ダム湖や河川の湛水法面に対する施工
が容易で、施工後直ちに湛水法面の保護が行えるととも
に、施工後の波による侵食を十分防止することができ、
緑化・植生を行う発芽生命体のための十分な生育環境を
形成することができて、ビオトープの形成・回復をも行
うことのできる湛水法面の緑化方法を提供することがで
きるのである。
【0037】また、請求項2に係る発明によれば、上記
請求項1の湛水法面の緑化工法について、「ロックウー
ル22及び固結材としてのセメント23からなるセメン
トミルクを吹付けて基盤下地層20を形成するに当た
り、生分解性のブラスチックス製のストロー状中空状
物、又は多孔性の植物細断物等の分解性多孔質体24を
混入するようにしたこと」としたことにその構成上の特
徴があり、これにより、上記請求項1の発明と同様な目
的を達成することができる他、当該緑化工法によって形
成される生育基盤材層のための基盤下地層を、湛水法面
に対してより一層強力に密着・固定させることができ
て、湛水法面の保護及び緑化・植生をより一層効果的な
ものとすることのできる湛水法面の緑化方法を提供する
ことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る湛水法面の緑化工法を実施する湛
水法面を示す拡大斜視図である。
【図2】図1の部分断面図である。
【図3】従来の緑化ボックスを示す断面図である。
【符号の説明】 10 多孔質緩衝層 11 ロックウール 12 生育基盤材 13 水質浄化資材 14 発芽生命体 20 基盤下地層 21 金網 22 ロックウール 23 セメント 24 分解性多孔質体 30 湛水法面
フロントページの続き (72)発明者 牧野 暖 福岡県北九州市八幡西区浅川台2丁目17− 14 (72)発明者 山本 富晴 茨城県つくば市妻木1232−3 (72)発明者 山本 慶市 岐阜県大垣市宿地町1045番地の6

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湛水法面上に、ロックウールとセメント
    と水と分解性多孔質体とを懸濁させたセメントミルクを
    ブロアーにより吹付けて植物生育基盤の下地層を形成
    し、この基盤下地層の上に、 ロックウールと、 ピートモス、あるいはバーク堆肥を主材とする生育基盤
    材と、 ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、シラス、
    カーボン粒体、カルシウム化合物の粒体、あるいは鹿沼
    土粒体を主材とする水質浄化資材と、 種子、栄養繁殖用の細断された植物の幹や茎の切片体、
    地下茎、地上茎等のいずれか1種以上の発芽生命体とか
    らなる混合物を池山表面に吹付けて多孔質緩衝層を形成
    するようにしたことを特徴とする湛水法面の緑化方法。
  2. 【請求項2】 前記ロックウール及び固結材としてのセ
    メントからなるセメントミルクを吹付けて基盤下地層を
    形成するに当たり、生分解性のブラスチックス製のスト
    ロー状中空状物、又は多孔性の植物細断物等の分解性多
    孔質体を主材とする材料を混入するようにしたことを特
    徴とする請求項1に記載の多孔質緩衝層を形成する湛水
    法面の緑化方法。
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