JPH11105084A - 射出成形金型装置及びそれを用いた射出成形方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品離型時に成形品が金型に割れ残らず、
また突き出しピンの先端によって成形品に凹みが発生し
ない射出成形金型装置及びそれを用いた射出成形方法を
提供する。 【解決手段】 溶融樹脂を金型キャビティ９内に射出
し、成形品を成形する第１工程と、成形品を取り出す際
に、支持板１２に固着されたバネ８が固定側ベースプレ
ート４を押し出す第２工程と、押し出された固定側ベー
スプレート４に固着された突き出しピン６，７が押し出
され、成形品１４を突き出し離型する第３工程と、型閉
じ状態においては、リターンピン５によって固定側ベー
スプレート４を押し下げ、バネを圧縮する第４工程と、
を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックの射
出成形に用いられる成形用金型に関し、特に製品成形用
キャビティの成形品を離型する突き出しピンを備えた射
出成形用金型装置及びその射出成形方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】射出成形は加熱可塑化したプラスチック
を高圧で金型のキャビティ内に注入して固化させること
により成形品を製造する方法であるが、この射出成形法
で使用される成形用金型は、一般にその主たる構成部品
として、スプールを形成するスプールブッシュと、ラン
ナーを形成するランナープレートと、製品形成用キャビ
ティを形成する固定側（ノズル側）及び可動側（反ノズ
ル側）の各型板と、製品を金型から突き出す突き出し機
構等とを備えてあり、射出成形機のノズルから射出され
たプラスチックが上記スプール、ランナーを通ってキャ
ビティ内に注入され、該キャビティ内で固化して成形品
となった後に上記両型板が分離つまり型開きされると共
に、突出機構における突き出しピンが突出して製品を当
該金型から離型させるようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、当突き出し
機構において、突き出しピンをキャビティ側金型に設置
しただけでは、金型の型閉じ時においては突き出しピン
が戻りきれず、キャビティ内に突き出しピンが突出した
状態となり、キャビティ面と突き出しピンの先端とが同
一面にならず、成形品に凹みが発生する問題があった。

【０００４】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、成形品離型時に成形品が金型に割れ残らず、ま
た突き出しピンの先端によって成形品に凹みが発生しな
い射出成形金型装置及びそれを用いた射出成形方法を提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち、本願の請求項
１の発明は、固定側金型と可動側金型との間に溶融樹脂
を入れるキャビティを設け、該キャビティ間で固化した
成形体を離型させる突き出し機構を固定側金型に配した
射出成形用金型において、固定側金型の固定側ベースプ
レートに嵌められ、金型のパーティング面に迄至るリタ
ーンピンと、固定側金型の固定側ベースプレートに固着
されて入る突き出しピンと、金型装置の型開き時に固定
側ベースプレートを押すバネとを備えてなる射出成形金
型装置にある。固定側ベースプレートに嵌められ、金型
のパーティング面に迄至る長さのリターンピンを有する
ことによって、金型の型閉じ状態においてはリターンピ
ンが固定側ベースプレートを押しバネを圧縮する方向に
付勢することによって突き出しピンがキャビティ内に突
出することがないので、成形品に凹みを発生することな
しに成形品を突き出し離型することができる。

【０００６】請求項２記載の発明によると、合成樹脂を
金型キャビティ内に射出し、成形品を成形する方法であ
って、溶融樹脂を金型キャビティ内に射出し、成形品を
成形する第１工程と、成形品成形後、金型装置が型開き
状態となったときに成形品を取り出す際に、支持板に固
着されたバネが固定側ベースプレートを押し出す第２工
程と、押し出された固定側ベースプレートに固着された
突き出しピンが押し出され、成形品を突き出し離型する
第３工程と、型閉じ状態においては、リターンピンによ
って固定側ベースプレートを押し下げ、バネを圧縮する
第４工程と、を備える射出成形方法にある。この射出成
形方法によれば、成形品離型時に成形品が金型に割れ残
らず、また突き出しピンの先端によって成形品に凹みが
発生しない。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
しつつ説明する。図１は本発明に係る射出成形金型装置
の突き出し機構を示した図で金型が閉じた状態の図であ
る。図２は射出成形金型装置の突き出し機構を示した図
で成形品を突き出しピンにて突き出した状態の図であ
る。図３はこの射出成形金型装置にて成形した成形品の
一例であり、この成形品は現像タンクのフレーム等に使
用される。そして、本発明の射出成形装置は側板１８を
成形するのに用いられる。

【０００８】ここで、本発明の射出成形金型装置を使用
して成形品を成形する方法について説明する。図１は本
発明に係る射出成形金型装置の突き出し機構で、リター
ンピン５、バネ８、突き出しピン６及び７、そして固定
側ベースプレート４から構成されている。まず突き出し
機構２は、次のように設置される。最初に支持板１２に
バネ８を固着する。次に、バネ８が貫通する為の穴が開
いた固定側ベースプレート４の下板２４にバネ８を貫通
させて支持板１２の上に重ねて置く。そして次に、リタ
ーンピン５及び突き出しピン６，７を固定側ベースプレ
ート４の下板２４上に置く。さらに固定側ベースプレー
ト４の上板２６にリターンピン５及び突き出しピン６，
７を貫通するための穴を開ける。そして、固定側ベース
プレート４の上板２６を上記リターンピン５及び突き出
しピン６，７を貫通させて固定側ベースプレート４の下
板２４に重ねる。そして固定側ベースプレート４の下板
２４と上板２６とをボルト２８で固定し固定側ベースプ
レート４とし、突き出し機構２の設置が完了する。さら
に、可動側金型１０と固定側金型３が閉じた状態では、
型開き時に突き出しピン６，７が成形品を十分突き出せ
るように上記固定側ベースプレート４の上板２６と固定
側金型３との間に突き出し機構２の移動代１１を設けて
いる。また、突き出し機構２と固定側金型３とが接触す
る摺動面３０には固定側ベースプレート４と固定側金型
３との滑りをよくするために潤滑油等が塗布されてい
る。

【０００９】そして、突き出し機構２の作動方法として
は、型開き時にはバネ８の復元力によって移動代１１の
距離だけ固定側ベースプレート４、リターンピン５及び
突き出しピン６，７が固定側金型３側へ移動する。ま
た、型閉じ時には可動側金型１０がリターンピン５を押
すことによって、支持板１２側へ移動代１１の距離だけ
固定側ベースプレート４、リターンピン５及び突き出し
ピン６，７が移動し、バネ８を圧縮する。

【００１０】リターンピン５は、材料としては特に限定
されないが、例えば、ＳＨＫ５１，ＳＫＤ６１といった
ハイス鋼やダイス鋼が好適に用いられ、これらの材料は
表面硬度を上げるために、窒化処理や高周波焼き入れと
いった熱処理が施されて用いられるのが好ましい。そし
て形状としては特に制限しないが、円柱状あるいは径の
大きいベース部がある円柱状の形状である。型閉じ状態
においては、突き出しピン６及び７がキャビティ９内に
突出しないようにリターンピン５は移動代１１の距離を
余して固定側ベースプレート４からパーティング面１３
迄達する長さを有し、固定側ベースプレート４に嵌め込
まれ、パーティング面１３に接触している。そして、型
開き状態になるとバネ８の力で固定側ベースプレート４
とともに飛び出し、さらに成形品を取り出した後金型を
閉じるときにはバネ８を押さえて圧縮する方向に付勢す
る。

【００１１】バネ８としては、圧縮コイルバネであれば
特に制限が無く、通常の圧縮バネ、円錐コイルバネ、た
る形コイルバネ、鼓形コイルバネ等のバネを適宜選ぶこ
とができる。バネ８は、型閉じ状態においては圧縮状態
にあり、固定側ベースプレート４の上に移動代１１が形
成される。そして、成形品成形後金型がパーティング面
を基準に型開きすると、バネ８の圧縮力が開放されて固
定側ベースプレート４を移動代１１の距離だけ移動させ
る。そして、その時の力により固定側ベースプレート４
及びリターンピン５が飛び出すとともに突き出しピン
６，７が成形品を突き出す。これによって固定側金型側
にあるリブ２０が固定側金型３に残らず可動側金型１０
に付着し、金型が開かれる。その後可動型に付属してい
る突き出しピンを作動させ成形品を金型より脱型させる
ことができる。

【００１２】突き出しピン６及び７は、リターンピン５
と同様材料としては例えば、ＳＨＫ５１，ＳＫＤ６１と
いったハイス鋼やダイス鋼が好適に用いられ、これらの
材料は表面硬度を上げるために、窒化処理や高周波焼き
入れといった熱処理が施されて用いられるのが好まし
い。そして、形状は特に制限はないが円柱状であるのが
好ましい。型閉じ状態では固定側ベースプレート４に嵌
め込まれている。ここで、リターンピン５がバネ８を圧
縮しており、さらに突き出しピン６及び７がリターンピ
ン５と対応した長さに設定され、突き出しピン６及び７
の先端が固定側金型３側のキャビティ面と同一面をなす
ように設定されているので突き出しピン６及び７はキャ
ビティ９内に突出しない。

【００１３】図５は、樹脂を射出する射出成形装置の概
略図であり、樹脂を射出する装置１７を示している。ホ
ッパー３１より供給された溶融樹脂はエクストルーダ３
３内で圧送されチェックバルブ２３を介して樹脂室２１
に供給される。樹脂室２１はシリンダーの一部となり、
アキュムレータ２９との間に受圧部Ａ，Ｂをロッド２７
で連結したピストンが装入されてインジェクションマシ
ンを構成しており油圧ユニットに連通口３５を介して連
通させることによって樹脂室２１のシリンダー受圧面Ａ
面積とアキュムレータ２９のシリンダー受圧面Ｂ面積と
の関係をＡ＜Ｂにすることによって小さな力で大きな射
出圧が得られ、チェックバルブ２３を経て樹脂室２１内
の樹脂をゲート１５内へ射出する。

【００１４】本発明に使用される熱可塑性樹脂としては
ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、改
質ポリフェニレンオキサイド（スチレングラフト又はス
チレンブレンドポリフェニレンオキサイド樹脂）、ポリ
カーボネイト樹脂、ナイロン樹脂、アクリロニトリルー
エチレンプロピレン−ブタジエン共重合体、イオン架橋
ポリエチレン等の樹脂が好適であるが、一般に熱可塑性
樹脂であれば適用可能である。

【００１５】図４はこの射出成形金型装置への溶融樹脂
の流れ方を示した図であり、溶融樹脂が射出されると図
中矢印の様に樹脂が流れキャビティ内を満たす。そし
て、溶融樹脂を射出した後金型を冷却し、完全に樹脂が
固まると可動側金型が後退し、金型とキャビティとを開
放状態にする。その時、本発明の射出成形金型装置１に
おいて突き出し機構２が作動する。

【００１６】以上説明した構成における金型装置の動作
について説明する。なお、各工程のタイムチャートは図
６に示す。

【００１７】図１のように可動側金型１０及び固定側金
型３のパーティング面１３を閉じた状態とし成形品用の
キャビティ９が形成される。（第１工程前段）次に、図
５に示す射出成形機１７によって加熱・溶融された成形
材料がノズル１６から噴射し、ゲート１５を経由してキ
ャビティ９に供給される。そして、キャビティ内に溶融
樹脂を充填し、金型を冷却した後に、キャビティ内の成
形材料が固化する。（第１工程後段）

【００１８】次に、可動側金型１０を後退させてパーテ
ィング面１３を所定量だけ開くと同時にバネ８の圧縮力
が開放されて固定側ベースプレート４を押し出し（第２
工程）、そして固定側ベースプレート４とともにリター
ンピン５及び突き出しピン６，７が飛び出し、成形品１
４を固定側金型３から離型する。この時、成形品は可動
側金型１０に付着している。そして、可動側金型１０に
付着した成形品を離型する。（第３工程）成形品１４を
突き出しピン６，７で突き出したときの金型の状態を図
２に示す。

【００１９】成形品を取り出した後は、離型剤を固定型
金型３及び可動型金型１０に噴霧し、可動側金型１０を
可動側金型３側へ移動させ、型締めを行う。このとき、
リターンピン５が固定側ベースプレート４を押すことに
よってバネ８が圧縮し突き出しピン６，７が突き出す方
向へ付勢された状態で金型が閉じられ次の成形工程に移
る。（第４工程）

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１記載の発
明によると、固定側金型の固定側ベースプレートに嵌め
られ、金型のパーティング面に迄至るリターンピンと、
そのリターンピンによって型閉じ時に圧縮されるバネと
を有することによって、突き出しピンがキャビティ内に
突出することがないので、成形品に凹みを発生する成形
品を突き出し離型することができる効果がある。

【００２１】請求項２記載の発明によると、この射出成
形方法を行うことによって成形品が固定側金型に付着し
ないので、成形品のリブが割れ金型内に残ることはな
く、さらに突き出しピンの先端がキャビティ内に突出し
た状態で成形されることがないので、突き出しピンの先
端によって成形品に凹みが発生することがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る射出成形金型装置の突き出し機構
を示した図で金型が閉じた状態の図である。

【図２】射出成形金型装置の突き出し機構を示した図で
成形品を突き出しピンにて突き出した状態の図である。

【図３】本発明の射出成形金型装置で成形した成形品の
全体図である。

【図４】本発明の射出成形金型装置への溶融樹脂の流れ
方を示した図である。

【図５】樹脂を射出する射出成形装置の概略図である。

【図６】本発明の射出成形方法を説明するためのタイム
チャートである。

【符号の説明】

１ 射出成形金型装置 ２ 突き出し機構 ３ 固定側金型 ４ 固定側ベースプレート ５ リターンピン ６，７突き出しピン ８ バネ ９ キャビティ １０ 可動側金型 １１ 移動代 １２ 支持板 １３ パーティング面 １５ ゲート １６ ノズル １７ 樹脂を射出する装置 ２０ リブ ２２ 成形品 ２４ 固定側ベースプレートの下板 ２６ 固定側ベースプレートの上板 ３０ 摺動面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定側金型と可動側金型との間に溶融樹
   脂を入れるキャビティを設け、該キャビティ間で固化し
   た成形体を離型させる突き出し機構を固定側金型に配し
   た射出成形用金型において、 上記突き出し機構が固定側金型の固定側ベースプレート
   に嵌められ、金型のパーティング面に迄至るリターンピ
   ンと、 固定側金型の固定側ベースプレートに固着された突き出
   しピンと、 金型装置の型開き時に固定側ベースプレートを押すバネ
   とを備えてなることを特徴とする射出成形金型装置。
2. 【請求項２】 合成樹脂を金型キャビティ内に射出し、
   成形品を成形する方法であって、 溶融樹脂を金型キャビティ内に射出し、成形品を成形す
   る第１工程と、 成形品成形後、金型装置が型開き状態となったときに成
   形品を取り出す際に、支持板に固着されたバネが固定側
   ベースプレートを押し出す第２工程と、 押し出された固定側ベースプレートに固着された突き出
   しピンが押し出され、成形品を突き出し離型する第３工
   程と、 型閉じ状態においては、リターンピンによって固定側ベ
   ースプレートを押し下げ、バネを圧縮する第４工程と、
   を備える射出成形方法。