JPH11101292A - 減衰力調整式油圧緩衝器 - Google Patents

減衰力調整式油圧緩衝器

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JPH11101292A
JPH11101292A JP28313797A JP28313797A JPH11101292A JP H11101292 A JPH11101292 A JP H11101292A JP 28313797 A JP28313797 A JP 28313797A JP 28313797 A JP28313797 A JP 28313797A JP H11101292 A JPH11101292 A JP H11101292A
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JP
Japan
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valve
damping force
main
passage
damping
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JP28313797A
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English (en)
Inventor
Takashi Nezu
隆 根津
Akira Kashiwagi
明 柏木
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Tokico Ltd
Original Assignee
Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 減衰力調整式油圧緩衝器において、減衰力特
性の調整範囲を広くするとともに、適切な減衰力特性を
得る。 【解決手段】 比例ソレノイドアクチュエータ15への通
電電流に応じてスプール56を移動させ、ポート52,55の
流路面積を変化させて油液通路の流路面積を変化させる
ことによってオリフィス特性を直接調整すると同時に、
その圧力損失によってパイロット室50,51の内圧を変化
させ、ディスクバルブ38,39の外周部の開弁圧力を変化
させてバルブ特性を調整するので、減衰力特性の調整範
囲を広くすることができる。ポート52,55の油液の流量
に応じてディスクバルブ38,39の内周側が開閉して、パ
イロット室50,51の内圧を調整することにより、ピスト
ン速度の低速域において充分な減衰力を得るとともに、
高速域の減衰力を適度に抑えて乗り心地の悪化を防止す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両の
懸架装置等に装着される減衰力調整式油圧緩衝器に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両の懸架装置に装着される
油圧緩衝器には、路面状況、走行状況等に応じて乗り心
地や操縦安定性を向上させるために減衰力を適宜調整で
きるようにした減衰力調整式油圧緩衝器がある。
【0003】従来の減衰力調整式油圧緩衝器として、例
えば、本出願人が出願し公開された特開平8−3268
21号公報の図5に記載されているように、主通路に設
けられた減衰力発生機構である主減衰弁の背部にパイロ
ット室を形成し、このパイロット室を固定オリフィスを
介して主減衰弁の上流側のシリンダ室に連通させ、ま
た、可変オリフィスを介して主減衰弁の下流側のシリン
ダ室に連通させるようにしたものがある。
【0004】この減衰力調整式油圧緩衝器によれば、可
変オリフィスを開閉することにより、パイロット室の上
流側と下流側とを連通する副通路の通路面積を調整する
とともに、可変オリフィスで生じる圧力損失によってパ
イロット室の圧力を変化させて主減衰弁の開弁圧力を調
整することができる。このようにして、オリフィス特性
(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)および
バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)を
同時に調整することができ、減衰力特性の調整範囲を広
くすることができる。
【0005】また、上記従来の減衰力調整式油圧緩衝器
は、固定オリフィスの上流側に複数枚積層され内周側が
クランプ(固定)されたオリフィス付のディスクバルブ
からなる副減衰弁とを直列に設けており、この副減衰弁
によって、ピストン速度の低速域でオリフィス特性およ
びバルブ特性の減衰力を発生させて減衰力特性の適正化
を図るようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報記載の減衰力調整式油圧緩衝器では、次のような問題
がある。複数のディスクを積層して、内周側をクランプ
した副減衰弁を使用しているため、各ディスク間の静止
摩擦が大きく、これによって副減衰弁の開弁初期の抵抗
力も大きくなり、円滑な開弁が妨げられるので、主減衰
弁の開弁前の副減衰弁によるオリフィス特性域からバル
ブ特性域に移行する際に、油撃(油圧の急変)が生じて
異音を発生したり、この油撃により主減衰弁の開弁が不
安定になり減衰力がばらつく虞がある。
【0007】車両の旋回時のローリングによって生じる
油圧緩衝器のピストン速度は、0.1m/秒以下程度と小さ
いため、ローリングを抑制するためには、ピストン速度
の低速域においてある程度高い減衰力を発生させる必要
がある。ところが、上記従来例の減衰力調整式油圧緩衝
器では、パイロット室の上流側に設けた固定オリフィス
が固定の絞りであるため、パイロット室の下流側の可変
絞りの流路面積を小さくすると、パイロット室の圧力が
2次曲線的に上昇して主減衰弁の開弁圧力が急激に高ま
る。よって、その減衰力特性は、図5に示すようにな
り、主減衰弁の開弁点Pは上に凸の曲線となる。
【0008】この場合、減衰力をハード側の特性aに調
整することにより、ピストン速度の低速域において、あ
る程度高い減衰力を得ることができ(例えば、ピストン
速度Sに対して減衰力Fを得ることができ)、車体のロ
ーリングを抑制することができるが、主減衰弁の開弁後
の減衰力が過度に大きくなるため、乗り心地が著しく悪
化することになる。そこで、実際には、減衰力は、乗り
心地の悪化が許容できる範囲で特性bに調整されること
になるが、ローリングを抑制するのに充分な減衰力が得
られない場合がある。
【0009】また、主減衰弁と副減衰弁とを直列に配置
するため、減衰力発生機構の寸法がの軸方向に大きくな
るという問題がある。
【0010】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、減衰力の調整範囲が広く、適切な減衰力を得る
ことができ、しかも、小型化を図ることができる減衰力
調整式油圧緩衝器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、油液が封入されたシリンダと、該シリ
ンダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2室に画
成するピストンと、一端が該ピストンに連結され他端が
前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前
記ピストンロッドのストロークによって油液を流通させ
る主通路と、該主通路の油液の流動を制御して減衰力を
発生させる主減衰弁と、該主減衰弁の背部に設けられ前
記主減衰弁の閉弁方向に内圧を作用させるパイロット室
と、前記主減衰弁をバイパスする副通路と、該副通路の
上流部に設けられた絞りと、前記副通路の下流部に設け
られた可変絞りとを備え、前記副通路の前記絞りと前記
可変絞りとの間を前記パイロット室に連通させるように
した減衰力調整式油圧緩衝器であって、前記主通路に設
けられたバルブ部材に、同心上に環状に突出され前記主
通路の外周側に主弁座および内周側に副弁座を形成し、
内周部が前記副弁座に外周部が前記主弁座に離着座可能
な可撓性のディスクバルブと、前記パイロット室側に前
記ディスクバルブを前記主弁座および副弁座へ押圧する
ばね手段とを設け、前記主弁座および前記ディスクバル
ブの外周側によって前記主減衰弁を構成し、前記副弁座
および前記ディスクバルブの内周側によって前記絞りを
構成したことを特徴とする。
【0012】このように構成したことにより、ピストン
ロッドのストロークにともなうピストンの移動によって
主通路および副通路に生じる油液の流動を主減衰弁、絞
りおよび可変絞りによって制御して減衰力を発生させ
る。ピストン速度が小さく、主減衰弁の開弁前は、副通
路の絞り(ディスクバルブの内周側の開度)および可変
絞りの流路面積に応じて減衰力が発生し、ピストン速度
が大きくなって主減衰弁(ディスクバルブの外周側)が
開弁すると、その開度に応じて減衰力が発生する。可変
絞りの流路面積を調整することにより、副通路の流路面
積を直接調整すると同時に、パイロット室の内圧を変化
させて主減衰弁(ディスクバルブの外周部)の開弁特性
を調整する。ピストン速度の低速域において、ディスク
バルブの内周部が開弁するので、ピストン速度の高速域
において、ディスクバルブの外周部を円滑に開弁させる
ことができる。また、可変絞りによる副通路の油液の流
量に応じてディスクバルブの内周部の開度が変化するの
で、ピストン速度の高速域の減衰力を過度に高めること
なく、ピストン速度の低速域の減衰力を調整することが
できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0014】図2に示すように、本実施形態の減衰力調
整式油圧緩衝器の油圧緩衝器本体1は、油液が封入され
たシリンダ2内にピストン3が摺動可能に嵌装されてお
り、このピストン3によってシリンダ2内がシリンダ上
室2aとシリンダ下室2bの2室に画成されている。ピスト
ン3には、ピストンロッド4の一端が連結されており、
ピストンロッド4は、シリンダ上室2aを通ってその他端
側がシリンダ2の外部へ延出されている。シリンダ下室
2bには、シリンダ2の底部に設けられたベースバルブ5
を介して油液およびガスが封入されたリザーバ6が接続
されている。
【0015】ピストン3には、シリンダ上下室2a,2b間
を連通させる油路7およびこの油路7のシリンダ下室2b
側からシリンダ上室2a側への油液の流通のみを許容する
逆止弁8が設けられている。また、ベースバルブ5に
は、シリンダ下室2bとリザーバ6とを連通させる油路9
およびこの油路9のリザーバ6側からシリンダ下室2b側
への油液の流通のみを許容する逆止弁10が設けられてい
る。そして、油圧緩衝器本体1には、図1および図3に
示す減衰力発生機構11が接続されている。
【0016】減衰力発生機構11について、図1および図
3を用いて説明する。なお、減衰力発生機構11の伸び側
および縮み側のバルブ機構は、ほぼ同様の構造であるか
ら、それらの共通の拡大図を図3に示して説明する。
【0017】図1および図3に示すように、減衰力発生
機構11は、有底円筒状のケース12内に、2つの略有底円
筒状のバルブ本体13,14が嵌合され、開口部に比例ソレ
ノイドアクチュエータ15(以下、アクチュエータ15とい
う)が取付けられており、バルブ本体13,14によってケ
ース12内が油室12a ,12b ,12c の3つの室に区画され
ている。バルブ本体13,14は、アクチュエータ15に螺着
された略円筒状のガイド部材16が挿通されてナット17に
よって固定されている。ケース12の側壁には、油室12a
,12b ,12c にそれぞれ連通する接続孔18,19,20が
設けられており、接続孔18,19,20は、それぞれ油路2
1,22,23を介して、油圧緩衝器本体1のシリンダ上室2
a、シリンダ下室2bおよびリザーバ6に接続されてい
る。
【0018】バルブ本体13,14の底部には、それぞれ軸
方向に沿って貫通する複数の油路24,25(入口油路)が
周方向に沿って配置されている(各2つのみ図示す
る)。バルブ本体13,14の底部の内側には、それぞれ環
状の主弁座26,27と副弁座28,29とが同心上に突出され
ており、主弁座26,27および副弁座28,29は、それぞれ
油路24,25の外周側および内周側に配置されている。ま
た、バルブ本体13,14の側壁の端部には、それぞれ環状
の内側シール部30,31(シール部)および外側シール部
32,33が突出されている。ここで、主弁座26,27と副弁
座28,29とは突出高さが等しく、内側シール部30,31は
主弁座26,27および副弁座28,29よりも突出高さが高
く、外側シール部32,33は内側シール部30,31よりも突
出高さが高くなっている。主弁座26,27と内側シール部
30,31との間には、それぞれ環状の溝部34,35(出口油
路)が形成されており、溝部34,35は、バルブ部本体1
3,14の側壁に設けられた油路36,37を介して、油室12b
,12c に連通されている。
【0019】バルブ本体13,14の主弁座26,27および副
弁座28,29には、それぞれ複数のディスクを積層した可
撓性のディスクバルブ38,39の外周側および内周側が着
座されている。ディスクバルブ38,39上には、環状のシ
ールリング40,41が設けられており、シールリング40,
41は、外周部が内側シール部30,31に当接し、内周側が
ディスクバルブ38,39の主弁座36,37への着座部の背面
部よりもやや内周側の部位に当接している。ディスクバ
ルブ38,39の主弁座26,27および副弁座28,29への着座
部の背面側には、シールリング40,41との当接部に環状
の凸部42,43が形成されている。
【0020】シールリング40,41上には、内周部がバル
ブ本体13,14とともにガイド部材16に固定された円板状
の板ばね44,45(ばね手段)の外周部が当接されてい
る。板ばね44,45の外径は、シールリング40,41の内径
よりもやや大きく(ディスクバルブ38,39の凸部42,43
の直径にほぼ等しく)、板ばね44,45の外周部がシール
リング40,41の内周部に当接しており、板ばね44,45の
ばね力によって、シールリング40,41が凸部42,43およ
び内側シール30,31へ押圧され、ディスクバルブ38,39
が主弁座26,27および副弁座28,29へ押圧されている。
そして、主弁座26,27、副弁座28,29およびディスクバ
ルブ38,39によって油路24,25に連通する油室46,47が
形成されている。
【0021】バルブ本体13,14および板ばね44,45とと
もにガイド部材16に内周部が固定された円板状のシール
ディスク48,49の外周部が外側シール部32,33に着座し
ており、シールディスク48,49とシールリング40,41お
よび板ばね44,45との間にパイロット室50,51が形成さ
れている。そして、シールリング40,41によって、パイ
ロット室50,51の内圧を受けてディスクバルブ38,39の
外周部を閉弁方向に押圧するようになっている。また、
シールディスク48,49は、複数積層されたばね部材から
なり、パイロット室50,51内の油液の圧力が所定圧力に
達すると、撓んで外側シール部32,33から離座して、パ
イロット室50,51を油室12b ,12c に連通させるように
なっている。
【0022】図3に示すように、ディスクバルブ38,39
の内周側には切欠38a ,39a (オリフィス)が設けら
れ、また、板ばね44,45の外周部には切欠44a ,45a
(油路)が設けられており、切欠38a ,39a および切欠
44a ,45a を介して油室46,47とパイロット室50,51と
が連通されている。ガイド部材16の側壁には、切欠38a
,39a を介して油室46,47に連通するポート52,53が
設けられている。そして、油室46,47内の油液の圧力の
上昇によって、まず、凸部42,43を支点としてディスク
バルブ38,39が撓んでその内周部が副弁座28,29から離
座して、その開度に応じた流路面積で油室46がパイロッ
ト室50,51およびポート52,53に連通され、さらに圧力
が上昇すると、板ばね44,45が撓んでディスクバルブ3
8,39の外周部が主弁座26,27から離座して、その開度
に応じた通路面積で油室46,47が溝部34,35に連通する
ようになっている。また、ガイド部材16には、油室12b
,12c に連通するポート54,55が設けられている。
【0023】ガイド部材16内には、ポート52,54間およ
びポート53,55間をそれぞれ連通させ、ポート52(可変
絞り)およびポート55(可変絞り)の流路面積を調整す
るスプール56が摺動可能に嵌装されている。スプール56
は、圧縮ばね57のばね力によってアクチュエータ15側へ
付勢されており、アクチュエータ15の作動ロッド58によ
ってばね57のばね力に抗して移動させることにより、ポ
ート52およびポート55の流路面積を調整できるようにな
っている。
【0024】上記の構成において、油路21、接続孔18、
油室12a 、油路24、油室46、溝部34,油路36、油室12b
、接続孔19および油路22によってシリンダ上下室2a,2
b間を連通させる伸び側主通路が形成されており、主弁
座26およびディスクバルブ38の外周側によって伸び側主
減衰弁が形成されている。そして、ポート52、ポート54
によって、伸び側主減衰弁をバイパスする伸び側副通路
が形成されており、副弁座28、ディスクバルブ38の内周
側および切欠38a によってパイロット室50の上流側の絞
りが形成されている。また、油路22、接続孔19、油室12
b 、油路25、油室47、溝部35、油路37、油室12c 、接続
孔20および油路23によってシリンダ下室2bとリザーバ6
とを連通させる縮み側主通路が形成されており、主弁座
27およびディスクバルブ39の外周側によって伸び側主減
衰弁が形成されている。そして、ポート53,55によっ
て、縮み側主減衰弁をバイパスする縮み側副通路が形成
されており、副弁座29、ディスクバルブ39の内周側およ
び切欠39a によってパイロット室51の上流側の絞りが形
成されている。
【0025】以上のように構成した本実施形態の作用に
ついて次に説明する。
【0026】ピストンロッド4の伸び行程時には、ピス
トン3の油路7の逆止弁8が閉じてシリンダ上室2a側の
油液が加圧され、油路21、接続孔18、油室12a 、油路2
4、油室46、切欠38a (オリフィス)、ポート52、ポー
ト54、油室12b 、接続孔19および油路22を通ってシリン
ダ下室2b側へ流れる。このとき、油液の流量が増加し
て、油室46内の圧力が上昇すると、まず、ディスクバル
ブ38の内周側が副弁座28から離座(開弁)する。さら
に、流量が増加して油室46内の圧力が上昇すると、板ば
ね44が撓んでディスクバルブ38の外周側が主弁座26から
離座(開弁)して、油室46の油液が溝部34および油路36
を通って油室12b へ流れる。なお、ピストンロッド4が
シリンダ2内から退出した分の油液がリザーバ6からベ
ースバルブ5の油路9の逆止弁10を開いてシリンダ下室
2bへ流れる。
【0027】よって、ピストン速度が小さく、ディスク
バルブ38の外周側の開弁前は、切欠38a (オリフィ
ス)、ディスクバルブ38の内周側の開度およびスプール
56によるポート52の流路面積に応じてオリフィス特性域
の減衰力が発生する。このとき、ディスクバルブ38の内
周側の開弁により、その開度に応じたバルブ特性が付与
されることにより、ピストン速度の低速域において適切
な減衰力を得ることができる。
【0028】ピストン速度が大きくなり、油室46の圧力
が上昇してディスクバルブ38の外周側が開弁すると、そ
の開度に応じてバルブ特性域の減衰力が発生する。この
とき、スプール56によるポート52の流路面積が小さいほ
ど、ポート52での圧力損失が大きくなり、その上流側に
切欠44a を介して連通するパイロット室50の圧力が上昇
して、その圧力がディスクバルブ38の閉弁方向に作用す
るので、ディスクバルブ38の開弁圧力が高くなる。
【0029】したがって、アクチュエータ15への通電電
流を調整し、スプール56を移動させて、ポート52の流路
面積を変化させることにより、直接オリフィス特性域の
減衰力を調整すると同時に、パイロット室50の圧力を変
化させてバルブ特性域の減衰力を調整することができ、
ピストン速度の低速域から高速域にわたって減衰力特性
を調整することができる。
【0030】また、ピストンロッド4の縮み行程時に
は、ピストン3の油路7の逆止弁8が開いてシリンダ上
下室2a,2bがほぼ同圧となり、減衰力発生機構11の接続
孔18,19間では油液の流れは生じない。一方、ピストン
ロッド4のシリンダ2内への侵入によって、ベースバル
ブ5の油路9の逆止弁10が閉じ、シリンダ2内の油液が
加圧されて、シリンダ下室2b側から、油路22、接続孔1
9、油室12b 、油路25、油室47、切欠39a (オリフィ
ス)、ポート53、ポート55、油室12c 、接続孔20および
油路23を通ってリザーバ6側へ流れる。このとき、油液
の流量が増加して、油室47内の圧力が上昇すると、ま
ず、ディスクバルブ39の内周側が副弁座29から離座(開
弁)する。さらに、流量が増加して油室27内の圧力が上
昇すると、板ばね45が撓んでディスクバルブ39の外周側
が主弁座27から離座(開弁)して、油室47の油液が溝部
35および油路37を通って油室12c へ流れる。
【0031】よって、ピストン速度が小さく、ディスク
バルブ39の外周側の開弁前は、切欠39a (オリフィ
ス)、ディスクバルブ39の内周側の開度およびスプール
56によるポート55の流路面積に応じてオリフィス特性域
の減衰力が発生する。このとき、ディスクバルブ39の内
周側の開弁により、その開度に応じたバルブ特性が付与
されることにより、ピストン速度の低速域において適切
な減衰力を得ることができる。
【0032】ピストン速度が大きくなり、油室47の圧力
が上昇してディスクバルブ39の外周側が開弁すると、そ
の開度に応じてバルブ特性域の減衰力が発生する。この
とき、スプール56によるポート55の流路面積が小さいほ
ど、ポート55での圧力損失が大きくなり、その上流側に
切欠45a を介して連通するパイロット室51の圧力が上昇
して、その圧力がディスクバルブ39の閉弁方向に作用す
るので、ディスクバルブ39の開弁圧力が高くなる。
【0033】したがって、アクチュエータ15への通電電
流を調整し、スプール56を移動させて、ポート55の流路
面積を変化させることにより、直接オリフィス特性域の
減衰力を調整すると同時に、パイロット室51の圧力を変
化させてバルブ特性域の減衰力を調整することができ、
ピストン速度の低速域から高速域にわたって減衰力特性
を調整することができる。
【0034】このようにして、スプール56の移動によっ
てポート52およびポート55の流路面積を変化させること
により、伸び側および縮み側の減衰力特性を調整するこ
とができる。この場合、例えば、スプール56の位置に応
じて伸び側および縮み側のポート52,55の流路面積が、
一方が大のとき他方が小となり、一方が小のとき他方が
大となるように各ポート52,55およびスプール56のラン
ドを配置することにより、伸び側と縮み側とで大小異な
る種類の減衰力特性の組合せ(例えば、伸び側がハード
で縮み側がソフトまたは伸び側がソフトで縮み側がハー
ドの組合せ)を同時に選択することができる。
【0035】なお、ディスクバルブ38,39の内外周側の
油液の流量が極めて大きい場合、あるいは、ディスクバ
ルブ38,39の損傷等によってパイロット室50,51内の圧
力が過度に上昇した場合には、シールディスク48,49が
開弁してパイロット室50,51の内圧を油室12b ,12c へ
逃がすことにより、減衰力の過度の上昇を防止すること
ができる。
【0036】さらに、ディスクバルブ38,39は、複数の
ディスクを積層したものであるが、その内周側および外
周側は、クランプされていないので、各ディスクバルブ
間の静止摩擦を小さくすることができる。そして、オリ
フィス特性域においも、その内周側が円滑に開弁するこ
とによって、各ディスク間が摺動状態となり、それらの
間の摩擦が静止摩擦から動摩擦となるため、ディスクバ
ルブ38,39の外周側が開弁し始める際の各ディスク間の
摩擦力による抵抗は、殆どなくなるので、ディスクバル
ブ38,39の外周側も円滑に開弁させることができ、ひい
てはオリフィス特性域からバルブ特性域への移行を円滑
にし、油撃による異音の発生を確実に防止することがで
きる。
【0037】パイロット室50,51の上流側の流路面積
は、切欠38a ,39a およびディスクバルブ38,39の内周
側の開閉によって油液の流量に応じて変化し、パイロッ
ト室50,51の下流側のポート52,55の開度が小さくその
流量が小さい場合は、ディスクバルブ38,39の内周側が
閉じて小さくなり、ポート52,55の開度が大きくその流
量が大きい場合は、ディスクバルブ38,39の内周側が開
いて大きくなる。したがって、減衰力特性は、図4に示
すようになり、ディスクバルブ38,39の外周側の開弁点
1 は、下に凸の曲線となる。この場合、例えば、ポー
ト52,55の開度を小さくして減衰力をハード側の特性a
1 に調整することにより、ピストン速度の低速域におい
て、充分な減衰力を得て旋回時の車体のローリングを抑
制することができ(例えば、ピストン速度Sに対して減
衰力Fを得ることができ)、かつ、ディスクバルブ38,
39の外周側の開弁圧力を適度に低くすることができ、乗
り心地の悪化を防止することができる。
【0038】ディスクバルブ38,39の内周側からポート
52,53への流路が屈曲されておらず、滑らかに形成され
ているので、油液の流れを円滑にして圧力損失を低減す
ることができ、所望の減衰力特性を得やすくすることが
できる。
【0039】ディスクバルブ38,39の切欠38a ,39a の
流路面積および内周側の開弁圧力の設定を変化させるこ
とにより、バルブ特性域の減衰力を過度に高めることな
く、オリフィス特性域の減衰力を調整することができ
る。例えば、オリフィス特性域の減衰力を高くするため
に、ディスクバルブ38,39の内周側の開弁圧力を高く設
定した場合でも、ディスクバルブ38,39の外周側の開弁
圧力が過度に高められることがない。これにより、減衰
力特性が設定しやすくなる。
【0040】ディスクバルブ38,39の主弁座26,27およ
び副弁座28,29の突出高さを等しくしているので、これ
らを容易に成型または機械加工等によって形成すること
ができ、加工精度を高めることができるので、減衰力特
性のばらつきを低減することができる。
【0041】また、共通のディスクバルブ38,39の内周
側および外周側によってオリフィス特性域およびバルブ
特性域の減衰力を発生させるようにしたので、減衰力発
生機構を小型化するともに、部品点数を少なくすること
ができる。
【0042】なお、上記実施形態においては、ディスク
バルブ38,39の内周側に切欠38a ,39a を設けて絞りを
構成したが、これに限らず、ディスクバルブ38,39の内
周側を打ち抜くことにより、オリフィス通路を形成し
て、このオリフィス通路で絞りを構成するようにしても
よい。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の減衰力調
整式油圧緩衝器によれば、可変絞りの流路面積を調整す
ることにより、副通路の流路面積を直接調整すると同時
に、パイロット室の内圧を変化させて主減衰弁(ディス
クバルブの外周側)の開弁特性を調整することができ、
減衰力特性の調整範囲を広くすることができる。ピスト
ン速度の低速域において、ディスクバルブの内周側が開
弁するので、ピストン速度の高速域において、ディスク
バルブの外周側を円滑に開弁させることができ、オリフ
ィス特性域からバルブ特性域への移行を円滑にし、油撃
による異音の発生を防止することができる。また、可変
絞りによる副通路の油液の流量に応じてディスクバルブ
の内周側の開度が変化するので、ピストン速度の高速域
の減衰力を過度に高めることなく、ピストン速度の低速
域の減衰力を調整することができる。これにより、ピス
トン速度の低速域において、充分な減衰力を得て旋回時
の車体のローリングを抑制し、かつ、ディスクバルブの
外周側の開弁圧力を適度に低くして乗り心地の悪化を防
止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る減衰力調整式油圧緩
衝器の減衰力発生機構の縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る減衰力調整式油圧緩
衝器の油圧緩衝器本体の概略図である。
【図3】図1の減衰力発生機構の伸び側および縮み側の
バルブ機構を拡大して示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る減衰力調整式油圧緩
衝器の減衰力特性を示す図である。
【図5】従来の減衰力調整式油圧緩衝器の減衰力特性を
示す図である。
【符号の説明】
2 シリンダ 3 ピストン 4 ピストンロッド 24,25 油路(入口油路) 26,27 主弁座 28,29 副弁座 30,31 内側シール部(シール部) 34,35 溝部(出口油路) 38,39 ディスクバルブ 38a,39a 切欠(絞り) 40,41 シールリング 44,45 板ばね(ばね手段) 50,51 パイロット室 52,55 ポート(可変絞り)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油液が封入されたシリンダと、該シリン
    ダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成
    するピストンと、一端が該ピストンに連結され他端が前
    記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記
    ピストンロッドのストロークによって油液を流通させる
    主通路と、該主通路の油液の流動を制御して減衰力を発
    生させる主減衰弁と、該主減衰弁の背部に設けられ前記
    主減衰弁の閉弁方向に内圧を作用させるパイロット室
    と、前記主減衰弁をバイパスする副通路と、該副通路の
    上流部に設けられた絞りと、前記副通路の下流部に設け
    られた可変絞りとを備え、前記副通路の前記絞りと前記
    可変絞りとの間を前記パイロット室に連通させるように
    した減衰力調整式油圧緩衝器であって、 前記主通路に設けられたバルブ部材に、同心上に環状に
    突出され前記主通路の外周側に主弁座および内周側に副
    弁座を形成し、内周部が前記副弁座に外周部が前記主弁
    座に離着座可能な可撓性のディスクバルブと、前記パイ
    ロット室側に前記ディスクバルブを前記主弁座および副
    弁座へ押圧するばね手段とを設け、前記主弁座および前
    記ディスクバルブの外周側によって前記主減衰弁を構成
    し、前記副弁座および前記ディスクバルブの内周側によ
    って前記絞りを構成したことを特徴とする減衰力調整式
    油圧緩衝器。
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