JPH1084915A - 生鮮魚肉食品 - Google Patents

生鮮魚肉食品

Info

Publication number
JPH1084915A
JPH1084915A JP8261456A JP26145696A JPH1084915A JP H1084915 A JPH1084915 A JP H1084915A JP 8261456 A JP8261456 A JP 8261456A JP 26145696 A JP26145696 A JP 26145696A JP H1084915 A JPH1084915 A JP H1084915A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monoglyceride
oil
oils
fish meat
fats
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8261456A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3654471B2 (ja
Inventor
Takeshi Koriyama
剛 郡山
Atsushi Okano
淳 岡野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissui Corp
Original Assignee
Nippon Suisan Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Suisan Kaisha Ltd filed Critical Nippon Suisan Kaisha Ltd
Priority to JP26145696A priority Critical patent/JP3654471B2/ja
Publication of JPH1084915A publication Critical patent/JPH1084915A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3654471B2 publication Critical patent/JP3654471B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 生鮮魚肉がモノグリセライド添加油を含有す
ることを特徴とする生鮮魚肉食品。モノグリセライド添
加油はさらにグリセリンを含有することができる。生鮮
魚肉は好ましくはミンチ状マグロ赤身である。モノグリ
セライドとして好ましくは未蒸留モノグリセライドを使
用する。モノグリセライドを構成する脂肪酸の90%以
上が炭素数12以上18以下であること、構成する脂肪
酸が飽和脂肪酸であることが好ましい。油脂は高度不飽
和脂肪酸を多く含む油脂、特に精製魚油である。精製魚
油は抗酸化剤としてトコフェロールおよび/またはポリ
フェノール類を含有することができる。 【効果】 油脂の持つ機能を活用した、わずかな酸化に
よっても臭いが発生するなどの問題のない、しかも保存
時間の経過に伴う肉食の退色が少ない生鮮魚肉食品を提
供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トロ様の脂乗りの良い
食感を付与した生鮮魚肉食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりマグロ、カツオ、ハマチ、サケ
などの生鮮魚肉は、脂質含量が高いものが脂のりが良い
とされ好まれている。しかし、魚肉中の脂質含量は、魚
種、漁獲地域、漁獲時期、魚体内の部位により大きく異
なり、油のりの良い部分が全体の魚肉中に占める割合は
非常に低いため、特にマグロの脂のりが良い部分などは
流通量が少なく非常に高い価格で取引されており、なか
なか口にできないのが現実である。このような脂質含量
の高い魚肉は、通常そのままの形態で刺身として食され
るか、あるいはミンチ状にして食される。このようなミ
ンチ状のマグロ肉はネギトロと称し、そのまま、あるい
は海苔巻き、寿司の具などに用いられている。近年、脂
質含量が少ない生鮮魚肉に食品成分を添加混合すること
により、脂乗りの良い食感を得る方法が報告されている
(例えば、特開昭62−282568、特開昭63−1
81979、特開昭63−209566、特開昭64−
2556、特開平1−95747)。例えば、ネギト
ロ、トロまぐろ等と称される加脂まぐろは、まぐろに油
脂を添加した製品であるが、トロ身まぐろの美味しさに
は到達していないのが現状である。
【0003】一方、特に不飽和脂肪酸を含有する油脂類
に生理的作用があることが知られるようになり、特に健
康指向からこれらの油脂類は食品や飼料への添加用等と
しても広く利用されるようになっている。しかし、食
品、飼料等へ添加する際、食品、飼料等の系においては
油脂との安定性が確保されたとしても、その製造過程に
おいてはわずかな酸化によっても臭いが発生するなどの
ため、例えば、工場で精製魚油を使用した後で窒素ガス
を封入してからそれが入った缶を閉める必要がある等、
油脂の取り扱いには種々の配慮が必要であり、その使用
には自ずと制限があった。不飽和脂肪酸を含有する油脂
類の需要は高まる一方であり、その取り扱い上の安定性
の問題は厳密な意味で解決することが強く望まれてい
る。これらの油脂の安定化の一つの態様として粉末化が
ある。油脂をマイクロカプセル中に封入して粉末化した
り、サイクロデキストリンによって粉末化する方法など
が採用されている。しかし、製造作業が煩雑で生産性が
悪く、また保存中等にカプセルの破壊事故が発生した
り、食品、飼料等として使用し得るカプセルの種類が限
られる等の問題がある。また、従来から、油脂を安定化
するために抗酸化剤を添加することがよく行われてい
る。その場合、複数の抗酸化剤を組み合わせたり、リン
酸、クエン酸、アスコルビン酸のようなシネルギストを
添加することで抗酸化性が向上することも知られてい
る。ところが、魚油のように非常に安定性の悪い油脂の
場合では、一般に考えられる抗酸化剤、シネルギストの
組み合わせだけでは安定性の向上に限界がある。
【0004】油脂の持つ機能を活用するため、当該油脂
の保存安定性を向上させ、とろける加脂まぐろのように
特殊な機能を持つ製品の開発が待たれるところである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、保存安定性
が格段に向上した安定化油脂を用いて、トロ様の脂乗り
の良い食感を付与した生鮮魚肉食品を提供することを目
的とする。一般に、まぐろに油脂を添加した製品は、ま
ぐろ製品なので、油脂の添加量は味や色や栄養等の面か
ら限界があり、20%位が上限になり、通常は10%前
後である。また、油脂を添加しただけではとろけるまぐ
ろはできない。製品中の油脂が、融点の低い脂質が有す
る口溶け感を付与する機能をもつことが大切である。口
中でまぐろが溶けた感覚をより強く感じられるようにす
るには、食べる時に堅いか、固形であるならば、溶けた
ときその変化がはっきりと認識されるであろうと考え
る。本発明は、とろけるような口溶け感を付与した生鮮
赤身マグロ肉加工品を保存安定性が格段に向上した安定
化油脂を用いて提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】生鮮魚肉をミンチ状態に
して油脂(特に魚油)を添加した食品は保存時間の経過
と共にその肉食が退色してしまう。特にマグロ肉を原料
とした、俗に言うネギトロは油脂の酸化とミオグロビン
のメト化が相乗的に進行することにより、鮪由来の鮮や
かな赤色が消失してしまい大きな問題となっている。本
発明者は、モノグリセライドを添加することにより安定
化した油脂をネギトロ用油脂として用いた場合、マグロ
肉の退色が有意に抑制され、しかも物性向上効果もある
ことを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0007】本発明は、生鮮魚肉がモノグリセライド添
加油を含有することを特徴とする生鮮魚肉食品である。
モノグリセライドで安定化した油脂を含有する生鮮魚肉
食品は、今まで油脂の酸化により生じていた戻り臭の発
生等種々の問題を生じない。このモノグリセライドを添
加することにより安定化した油脂を食品に用いた場合、
油脂由来のモドリ臭の発生、風味の劣化、退色といった
品質劣化を抑制することができる。本発明においては、
とろける加脂まぐろのように特殊な機能を持つ製品を作
るために、油脂の持つ機能を活用するものであるが、油
脂をモノグリセライドを添加して安定化し、さらに油脂
の種類、配合等を適正にすることによって、戻り臭の発
生することなく、温度によって変化する油の持つ固液性
状を製品に付与するものである。
【0008】本発明が使用するモノグリセライド添加油
とは、モノグリセライドを安定剤として含有する安定化
された油脂である。その油脂の種類は高度不飽和脂肪酸
を多く含む油脂であることが好ましい。高度不飽和脂肪
酸とは不飽和度3以上の脂肪酸を意味し、不飽和度3以
上の高度不飽和脂肪酸としては、α−リノレン酸、アラ
キドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸
などを挙げることができる。また、高度不飽和脂肪酸類
は、それら脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、
トリグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライド
等のエステル型誘導体、アミド、メチルアミド等のカル
ボン酸型誘導体、脂肪族アルコール等を含む。
【0009】エイコサペンタエン酸は、炭素数20で二
重結合5個をもつ不飽和脂肪酸の総称であるが、天然物
としては二重結合の位置が5,8,11,14,17
で、すべてシス形の直鎖5価不飽和ω3系脂肪酸を指
す。ドコサヘキサエン酸は、4,7,10,13,1
6,19位にシス二重結合をもつ炭素数22の直鎖ヘキ
サエン酸である。これらの天然物由来のEPA、DHA
は、天然油脂、特にサバ、イワシ、タラ等の水産物油脂
中にそれ自体として、あるいはそのグリセライド等の誘
導体として含まれている。上記不飽和度3以上の高度不
飽和脂肪酸を含む原料であれば何でも使用できる。高度
不飽和脂肪酸を含む原料とは、イワシ、サバ、サンマ、
マグロ等の海産魚、オキアミ、エビ等の甲殻類そのも
の、未精製の魚油、動植物油、微生物由来の脂質等、精
製のあらゆる段階のものを原料とすることができるが、
好ましくは添加したモノグリセライドの残存の点から脱
酸処理を施した原料である。本発明で使用する好ましい
油脂はネギトロに添加すると口融け感を与え、食感向上
によい影響を及ぼす融点が高い結晶油である。該結晶油
としてまぐろ魚油をウインタリングする際に発生する、
遠心分離あるいは濾過して得られるまぐろ結晶油を挙げ
ることができる。
【0010】魚原料より搾油された油を常法に従い脱酸
・脱色した後、ウインタリング工程により高度不飽和脂
肪酸を含む油脂成分を濃縮することができる。上記脱酸
・脱色油は例えば以下のようにしてつくられる。魚原料
を熱水中で均質化して脂溶性成分を抽出し、遠心分離に
より固形物、水、油の3相に分離し、魚油を得る。この
油を原油とする。原油を75℃に加熱し、リン酸および
苛性ソーダを添加して原油中の酸化物やガム質、水分な
どの夾雑物を取り除く。水層との分離には遠心分離を用
いる。さらに80℃の熱水によって原油を洗った後、乾
燥して水分を除去し、次いで原油中の色相成分を取り除
いて、上記脱酸・脱色油が得られる。上記ウインタリン
グ工程は、油脂を冷却することによって不飽和度の低い
油脂を結晶化し、分離する工程である。この結晶は濾
過、遠心分離などの分離方法により容易に分別すること
ができる。しかしながら分別された結晶油中には母液が
残存しているため、結晶油はウインタリング処理前の魚
油の50〜80%の高度不飽和脂肪酸を含む。高度不飽
和脂肪酸を多く含む魚油を原料として使用した場合、ウ
インタリング時に発生する結晶油中にも多くの不飽和脂
肪酸が含まれることになる。例えば1容量の脱酸脱色油
に対し5容量の有機溶剤を混合し、−40〜50℃に高
度冷却する。このことにより、脱酸脱色油中に含まれる
飽和脂肪酸などの高凝固点油脂が凝固する。これを遠心
分離または濾過により分離して高度不飽和脂肪酸の濃度
を高めることができる。
【0011】天然まぐろ油中には不飽和脂肪酸と飽和脂
肪酸が共存しており、まぐろ結晶油中には不飽和脂肪酸
が残存している。ウインタリングの1例を示せば、ウイ
ンター油中にEPAは8%、DHA28%含まれるのに
対して、結晶油中にはEPA15%、DHA7%含まれ
る。このまぐろ結晶油を精製し異味異臭を除いた後使用
する。この結晶油は融点が高いため、ネギトロなどの水
産物ミンチ製品に添加すると口融け感を与え、食感向上
によい影響を及ぼす。
【0012】油脂の酸化はその風味、色沢を劣変し、栄
養価値を低下するので、その酸化を防止することが食用
油脂では重要である。食用油脂の酸敗にはその加水分解
によるものと、自動酸化によるものとがある。自動酸化
に伴う風味の劣変は酸化によって生じたヒドロペルオキ
シドの分解生成物によるもので、たとえば大豆油の自動
酸化からプロピオンアルデヒド、2−ペンテナール、カ
プロンアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデ
ヒドなどが得られている。魚油が不快臭を有するのはそ
の中の高度不飽和脂肪酸の酸化によるもので、酸化によ
って特有ななまぐさいにおいを発する。自動酸化による
劣変は魚油のような高度不飽和脂肪酸を含有する油脂を
含む食品に著しいが、飽和グリセライドの場合でも加水
分解により脂肪酸が生成し味を損ねる。
【0013】リノレン酸、テトラエン酸などを含有する
魚油、大豆油、アマニ油、ナタネ油などの精製油におい
ては、酸化のごく初期においても不快臭を生じたり、色
を劣化することがある。この現象をモドリとよんでい
る。脱色植物精製油の色相のモドリはビタミンEの酸化
生成物、クロマン−5,6−キノンによるものといわれ
る。油脂の酸化に影響する因子としては脂肪酸組成、温
度、光線の照射、金属あるいは金属セッケンなどの酸化
促進物質などがあげられる。一般に植物油にはビタミン
E、ゴッシポールのような天然の抗酸化剤が含まれてい
るので、動物油に比べて変敗が生じにくい。油脂の酸化
を防止する化学薬品、酸化防止剤のうち、食品に供する
ことが許可されているものはBHT(2,6−ジ第三ブ
チル−p−クレゾール)、2(3)−第3ブチル−4−
ヒドロキシアニソール(BHA)、プロトカテチュ酸エ
チル、没食子酸イソアミル、没食子酸プロピル、ノルジ
ヒドログアイアレチン酸、グアヤク脂である。抗酸化剤
は油脂の自動酸化の誘導期を延長するもので、油脂の過
酸化物価の上昇を抑制し、AOM(ActiveOxy
gen Method)の安定性を改良する点で有効で
あるが、風味のモドリにはほとんど防止効果がなく、こ
れにはリン酸、アスコルビン酸、クエン酸のようなシネ
ルギストの使用が有効である。本発明のモノグリセライ
ド添加油に用いる油脂として抗酸化剤としてトコフェロ
ールおよび/またはポリフェノール類を含有した精製魚
油が好ましい例として例示される。
【0014】本発明においては、高度不飽和脂肪酸を多
く含む油脂を安定化するため、ポリアルコール系の乳化
剤の中から、特に安定化能を有するモノグリセライドを
選択し添加したものであり、油脂の酸化安定性を格段に
向上することができる。モノグリ製剤によって安定化能
がなくあまり有効でないものもあるが、残存脂肪酸塩の
影響であるかもしれない。本発明の安定化剤として使用
するモノグリセライドは安定化能を有するものであれば
いかなる製造方法(グリセリンと脂肪酸のエステル交
換、グリセリンと油脂のエステル交換)、精製段階(自
己乳化型、未蒸留モノグリセライド、蒸留モノグリセラ
イド)のものでもかまわない。
【0015】本発明の安定化剤として使用する安定化能
の高い最も好ましいモノグリセライドは脂肪酸塩の少な
い非自己乳化型、未蒸留モノグリセライドである。この
理由として脂肪酸塩の多い自己乳化型モノグリセライド
はその塩により着色、酸化が進むということがあげられ
る。安定化能は未蒸留モノグリセライドが蒸留モノグリ
セライドより高い。モノグリセライド含量が低い未蒸留
モノグリセライドが蒸留モノグリセライドよりも安定化
能が高い理由は明確ではないが、グリセリン、ジグリセ
ライドとの相乗効果(油脂界面状態の変化)によるもの
と推測される。
【0016】モノグリセライドを構成する脂肪酸の種類
も限定されないが、その安定化能は脂肪酸鎖長が短いほ
ど安定であり、且つ不飽和度が低いほうがより安定であ
る。しかしながら炭素数12未満の脂肪酸を含むモノグ
リセライドは風味が悪い、炭素数の多い飽和脂肪酸では
添加した油脂の粘度が上昇する、または油脂に溶解し辛
いといった理由のため、好ましくは炭素数12以上、最
も好ましくは炭素数14から18の飽和、または2重結
合を1つ所有する脂肪酸が好ましい。したがって、モノ
グリセライドを構成する脂肪酸の90%以上が炭素数1
2以上18以下であるものが好ましいものとして例示さ
れる。また、モノグリセライドを構成する脂肪酸が飽和
脂肪酸であるものが好ましいものとして例示される。こ
のモノグリセライドを添加することにより安定化した油
脂は単独でも使用できるが、他の安定性に優れた油脂
(植物油脂等)と混合しても全くかまわない。
【0017】このモノグリセライドを添加することによ
り安定化した油脂を生鮮魚肉食品に用いた場合、油脂由
来のモドリ臭の発生、風味の劣化、退色といった品質劣
化を抑制することができる。いわゆるネギトロは保存時
間の経過と共にその鮪由来の鮮やかな赤色が退色してし
まう。これを解決するために、水溶性抗酸化剤の添加
や、より安定な植物油を添加するといった方法がとられ
ているが、いずれも味に問題があったり、ω−3系高度
不飽和脂肪酸量が低下してしまったりと根本的な解決に
はなっていないのが実状である。しかしながら、このモ
ノグリセライドを添加することにより安定化した油脂を
ネギトロ用油脂として用いた場合、保存による高度不飽
和脂肪酸の酸化を抑制することによりマグロ肉の退色が
有意に抑制される。ネギトロへの添加については安定化
効果だけではなく、物性向上効果があることは本発明に
よりはじめて確認された。
【0018】本発明が使用する生鮮魚肉とは、生食する
赤身肉などの脂質含量が少ない生鮮魚肉であれば何でも
よく、生鮮魚肉、生鮮畜肉などが使用される。本発明が
使用する生鮮魚肉とは、マグロ、カツオ、ハマチ、サケ
などをさすがこれに制限されるものではない。生鮮魚肉
は好ましくは、赤身肉が使用される。最も好ましくはマ
グロ赤身肉が使用される。本発明の生鮮魚肉食品は、ミ
ンチ状マグロ赤身がモノグリセライド添加油を含有する
態様を好ましい態様として包含している。
【0019】本発明の加工生鮮魚肉製品は、例えば脂肪
分の少ない魚肉をミンチ状にし、モノグリセライド添加
油と混合することにより得られる。また、魚肉とモノグ
リセライド添加油を合わせてからミンチ状に加工しても
よい。この際の添加量は、25%程度を上限として適
宜、混合調製することが可能である。例えば、ほんまぐ
ろ赤身には、脂質が数%程度(1.4%)しか存在しな
いので、ほんまぐろ赤身に添加するとした場合、25%
程度を上限として適宜、混合調製することが可能であ
る。ほんまぐろ魚肉脂身、いわゆるトロ中には、DHA
含量10から20%(14.3%)程度の脂質が、魚肉
中に20から25%(24.5%)存在するからであ
る。
【0020】必要により、適当な融点を持つ他の油脂を
選定し、水素添加したり、組み合わせたりして使用する
ことにより、目的の機能を持つ製品にすることができ
る。さらりとした舌触りを実現するには、添加油脂の5
から20%の植物油を加える等調整が可能である。添加
油脂の種類により異なるが、添加量が少ない場合にはそ
の効果は少なく、多すぎる場合にはべとつき感、異臭が
強くなり不適なものとなるため添加量については個別に
検討する必要がある。
【0021】
【実施例】以下に実施例を持って本発明を詳細に説明す
る。本願発明はこれら実施例によってなんら制限されな
い。
【0022】参考例1 精製魚油(EPA5%、DHA20%、トコフェロール
0.5%添加)に以下のモノグリセライド製剤を添加
し、安定化油脂を調整した。 使用モノグリセライド製剤 1.蒸留モノグリセライド サンソフトNO.8070〔(株)太陽化学製〕(オレ
イン酸主体) 2.未蒸留モノグリセライド サンソフトNO.O−30〔(株)太陽化学製〕(オレ
イン酸主体) サンソフトNO.2500〔(株)太陽化学製〕(ステ
アリン酸主体) この安定化油脂を褐色のびんにいれ60℃、開放にて保
存を行い、過酸化物(POV)の定量を行った。また、
調製した安定化油脂を10gを125ml容のガラス管
(φ300mm)にいれセプタムにて密栓後、60℃に
て保存を行い、ヘッドスペースの酸素濃度をガスクロマ
トグラフィーにて測定した。図2にPOVの変化を、図
3にヘッドスペース酸素量を記した。これらのデータか
ら、魚油にモノグリセライドを添加することにより過酸
化物の生成が抑制され、ヘッドスペース酸素量が高いこ
とから、酸素の吸収量も抑制されており、安定化されて
いることがわかる。また、図2の蒸留モノグリセライド
(オレイン酸主体)の結果から、モノグリセライドの添
加量が増加するにつれ安定化能が向上することがわか
る。
【0023】参考例2 精製魚油(EPA7%、DHA24%、トコフェロール
0.5%添加)に以下のモノグリセライド製剤を添加
し、安定化油脂を調整した。 使用モノグリセライド製剤 未蒸留モノグリセライド サンソフトNO.O−30 サンソフトNO.1330〔(株)太陽化学製〕(ステ
アリン酸主体) この安定化油脂を実施例1と同様に保存試験に供した。
図4にPOVの変化を、図5にヘッドスペース酸素量を
記した。これらの結果から、モノグリセライドを添加す
ることにより油脂が安定化することがわかる。
【0024】参考例3 モノグリセライドの代わりに以下に記した乳化剤を2%
添加した他は全て実施例1と同様に処理を行い、保存試
験を行った。図6にPOVの変化を、図7にヘッドスペ
ース酸素量を記した。 使用乳化剤 シュガーエステル リョートーシュガーエステルO−170,S−170
〔三菱化学フーズ(株)製〕 ポリグリセリン サンソフトQ−1710S,サンソフトQ−1810S
〔(株)太陽化学製〕 有機酸モノグリセライド サンソフトNO.623M〔(株)太陽化学製〕 これらの結果から、POV,酸素吸収量の面で共に油脂
安定化効果を示したものはオレイン酸シュガーエステル
のみであった。また、その効果は添加量が同じであれば
モノグリセライドに比較して高くはなかった。
【0025】実施例1 クロマグロ赤身肉90重量%を包丁で3〜5mm角に細
切し、参考例1で得た未蒸留モノグリセライド(サンソ
フトNO.O−30)を2%添加したマグロ結晶油10
重量%を加え、ケンウッドミキサーにて1分間攪拌混合
した。その肉を5℃1日保存し、その色調をミノルタ色
彩色差計CR−200を用いてa値、b値として表1に
示した。
【0026】
【表1】 a値 b値 ────────────────────────────── 無添加油脂 5.6 13.5 モノグリセライド添加油脂 6.9 12.5
【0027】モノグリセライド添加油脂はa値が高いこ
とから赤色が多く残存し、かつb値が低いことから黄色
を帯びていない。この結果はすなわち、モノグリセライ
ド添加油脂は対象である無添加の油脂と比較して鮪肉の
退色を防いでいるということである。
【0028】実施例2 ネギトロの調製 クロマグロ赤身肉90重量%を包丁で3〜5mm角に細
切し、参考例1と同様にして製造した安定化油脂サンプ
ル(A,B,B′,TCE−S)を10重量%を加え、
ケンウッドミキサーにて1分間攪拌混合しネギトロを調
製した。 サンプル記号 A:マグロ結晶油 100% B:未蒸留モノグリセライド(モノオレイン サンソフ
トNO.O−30) 2% マグロ結晶油 98% B′:蒸留モノグリセライド(オレイン サンソフトN
O.8070) 2% マグロ結晶油 98% TCE-S:シュガーエステル(S−170) 2% マグロ結晶油 98%
【0029】(イ)油脂粘度:振動型粘度計を用いて1
0℃、20℃での粘度を測定し、その結果を表2に示し
た。官能評価の結果は表2に示したとおり、モノグリセ
ライド添加(B,B′)ではなめらかであり、シュガー
エステル(TCE−S)では硬い食感であった。
【0030】
【表2】
【0031】(ロ)テンシプレッサーによるネギトロ物
性 タケトモ電機製テンシプレッサーを用い、調製したネギ
トロを測定した。測定は多重バイト法(12バイト、1
2回口中咀嚼を横倣)でプランジャー侵入時の硬さと戻
ったときの付着力を測定。測定時の応力変化を図1に示
した。評価したサンプルBは硬さと付着力が原料油であ
るサンプルAよりも小さかった。この測定法はクリー
ム、マヨネーズで用いられており、硬さ+付着力が小さ
いということは官能的には滑らかさが向上しているとい
える。TCE-Sは油脂粘度でほぼサンプルBと同じで
あったが、ネギトロにした物性ではBとは逆に硬さと付
着力が大きくなっており、官能的にも硬い食感であるこ
とを裏付けた。したがって、ネギトロ物性と油脂粘度は
相関が逆の場合もある。
【0032】(ハ)RVAによるネギトロ抵抗粘性 NEWPORT SCIENTIFIC社製RVA(ラ
ピッドビスコアナライザー)は液中に垂直に入ったピン
が回転するときに受ける抵抗を粘度として表すものであ
る。上記テンシプレッサーとは異なり、口中に含んだと
きの物性を表す。表3に20℃40回転の粘度を記し
た。
【0033】
【表3】
【0034】サンプルB,B′はRVA粘度が原料油で
あるサンプルAよりも高かった。TCE−S油脂粘度は
サンプルBと同等なものの、ネギトロに調製した場合、
RVA粘度は低くなった。テンシプレッサーの結果とあ
わせて考えると、サンプルB,B′を用いて調製したネ
ギトロは歯にあたる表面は滑らかで抵抗が少ないが、口
中に含むと粘性を生じるということになる。
【0035】
【発明の効果】油脂の持つ機能を活用した、わずかな酸
化によっても臭いが発生するなどの問題のない、しかも
保存時間の経過に伴う肉食の退色が少ない生鮮魚肉食品
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】テンシプレッサーによる実施例2のネギトロの
物性測定時の応力変化を示した説明図である。
【図2】各種油脂のPOVの変化を示した説明図であ
る。
【図3】各種油脂のヘッドスペースの酸素量を示した説
明図である。
【図4】参考例2の油脂のPOVの変化を示した説明図
である。
【図5】参考例2の油脂のヘッドスペースの酸素量を示
した説明図である。
【図6】参考例3の油脂のPOVの変化を示した説明図
である。
【図7】参考例3の油脂のヘッドスペースの酸素量を示
した説明図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生鮮魚肉がモノグリセライド添加油を含
    有することを特徴とする生鮮魚肉食品。
  2. 【請求項2】 モノグリセライド添加油がさらにグリセ
    リンを含有するものである請求項1の生鮮魚肉食品。
  3. 【請求項3】 生鮮魚肉がミンチ状マグロ赤身である請
    求項1の生鮮魚肉食品。
  4. 【請求項4】 モノグリセライドとして未蒸留モノグリ
    セライドを使用する請求項1ないし3のいずれかの生鮮
    魚肉食品。
  5. 【請求項5】 モノグリセライドを構成する脂肪酸の9
    0%以上が炭素数12以上18以下である請求項1ない
    し4のいずれかの生鮮魚肉食品。
  6. 【請求項6】 モノグリセライドを構成する脂肪酸が飽
    和脂肪酸である請求項1ないし5のいずれかの生鮮魚肉
    食品。
  7. 【請求項7】 油脂が高度不飽和脂肪酸を多く含む油脂
    である請求項1ないし6のいずれかの生鮮魚肉食品。
  8. 【請求項8】 高度不飽和脂肪酸を含む油脂が精製魚油
    である請求項7の生鮮魚肉食品。
  9. 【請求項9】 精製魚油が抗酸化剤としてトコフェロー
    ルおよび/またはポリフェノール類を含有したものであ
    る請求項8の生鮮魚肉食品。
JP26145696A 1996-09-10 1996-09-10 生鮮魚肉食品 Expired - Fee Related JP3654471B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26145696A JP3654471B2 (ja) 1996-09-10 1996-09-10 生鮮魚肉食品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26145696A JP3654471B2 (ja) 1996-09-10 1996-09-10 生鮮魚肉食品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1084915A true JPH1084915A (ja) 1998-04-07
JP3654471B2 JP3654471B2 (ja) 2005-06-02

Family

ID=17362154

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26145696A Expired - Fee Related JP3654471B2 (ja) 1996-09-10 1996-09-10 生鮮魚肉食品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3654471B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113287727A (zh) * 2021-06-18 2021-08-24 大连工业大学 一种即食草鱼鱼松及其制作方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62282568A (ja) * 1986-05-30 1987-12-08 Zenhachi Muramatsu トロ身風ねり状魚肉の製造法
JPH06172782A (ja) * 1992-12-10 1994-06-21 Ikeda Shiyokuken Kk 高度不飽和脂肪酸含有油脂粉末
JPH07227227A (ja) * 1993-12-20 1995-08-29 Sanei Gen F F I Inc 安定な乳化組成物及びそれを含有する食品
JPH08140629A (ja) * 1994-11-21 1996-06-04 Kao Corp 食肉調理用油脂組成物及びこれで処理した食用肉又は肉製品
JPH08154576A (ja) * 1994-12-08 1996-06-18 Nippon Oil & Fats Co Ltd 高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62282568A (ja) * 1986-05-30 1987-12-08 Zenhachi Muramatsu トロ身風ねり状魚肉の製造法
JPH06172782A (ja) * 1992-12-10 1994-06-21 Ikeda Shiyokuken Kk 高度不飽和脂肪酸含有油脂粉末
JPH07227227A (ja) * 1993-12-20 1995-08-29 Sanei Gen F F I Inc 安定な乳化組成物及びそれを含有する食品
JPH08140629A (ja) * 1994-11-21 1996-06-04 Kao Corp 食肉調理用油脂組成物及びこれで処理した食用肉又は肉製品
JPH08154576A (ja) * 1994-12-08 1996-06-18 Nippon Oil & Fats Co Ltd 高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113287727A (zh) * 2021-06-18 2021-08-24 大连工业大学 一种即食草鱼鱼松及其制作方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3654471B2 (ja) 2005-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5636398B2 (ja) 油脂組成物
JP5100974B2 (ja) 油脂組成物
KR101269104B1 (ko) 장쇄의 고도로 불포화된 지방산 및/또는 이의 에스테르를 포함하는 감칠맛 개선제
JP3997043B2 (ja) 油脂組成物および油脂加工品
JP6891032B2 (ja) 分離型液体調味料
JPH099939A (ja) パーム油抽出天然抗酸化剤を含有する食品又は飼料
JPH05140584A (ja) 多価不飽和脂肪酸配合油脂の臭気抑制方法
JP4209482B2 (ja) 安定化油脂の製造方法、得られた油脂並びにその油脂を含有する食品
JP5710865B2 (ja) 古い食用油を再生するための方法
JP6704683B2 (ja) 油相及び水相を含有する液体調味料の製造方法
JP2006333792A (ja) 高度不飽和脂肪酸食品の酸化防止用組成物及び及びそれを使用した酸化防止方法
JP2009284859A (ja) 飲食品の甘味増強剤および甘味増強方法
JP3654471B2 (ja) 生鮮魚肉食品
Kulås et al. Oxidation of fish lipids and its inhibition with tocopherols
WO1993011675A1 (en) An edible product and process of preparing same
CN104507324A (zh) 使用绿茶提取物抗氧化剂精制油
JP7010827B2 (ja) 揚げ物用油脂組成物、揚げ物用油脂組成物の製造方法、揚げ物の製造方法、及び揚げ物にチーズ風味を付与する方法
JP3285843B2 (ja) 風味を向上させた魚肉食品、並びにその製造方法
JP2015112067A (ja) 食用油脂組成物
JP6797269B2 (ja) 油脂組成物
JPS6170958A (ja) Epa強化食品
JPH1112592A (ja) 油脂の安定化方法
JPH07114648B2 (ja) エイコサペンタエン酸の安定化方法
JP2017195879A (ja) 乳化液状調味料
MXPA06005369A (es) Mejorador de sabor y cuerpo que contiene un acido graso de cadena larga con alto grado de insaturacion y/o un ester del mismo

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040623

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040820

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050224

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080311

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110311

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110311

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140311

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees