JPH1081929A - ジルコニウム合金および合金管とその製造方法 - Google Patents

ジルコニウム合金および合金管とその製造方法

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JPH1081929A
JPH1081929A JP9007434A JP743497A JPH1081929A JP H1081929 A JPH1081929 A JP H1081929A JP 9007434 A JP9007434 A JP 9007434A JP 743497 A JP743497 A JP 743497A JP H1081929 A JPH1081929 A JP H1081929A
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JP
Japan
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alloy
zirconium alloy
zirconium
tube
peripheral layer
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JP9007434A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Anada
博之 穴田
Kiyoko Takeda
貴代子 竹田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐酸化性および耐SCC性のすぐれたジルコニ
ウム合金、核燃料物質がMOXである場合の管内面の耐
食性がとくにすぐれた燃料被覆用二重ジルコニウム合金
管、およびその製造方法の提供。 【解決手段】(1) 重量%にてNb:0.01〜0.30%および
Fe:0.08%以下を含み、かつ両元素の合計の含有量が
0.06〜0.30%であり、残部がZrおよび不可避的不純物
である合金、(2) 素地中に析出している金属間化合物の
平均粒径が、0.25μm 以下である (1)に記載のジルコニ
ウム合金。(3) 内周層が管肉厚の 5〜30%厚さの (1)ま
たは (2)に記載の合金である二重ジルコニウム合金管。
(4) 冷間加工前の過程において 900〜1200℃の温度範囲
で10〜 300分加熱後、 850℃までを50℃/s以上の冷却
速度で冷却し、その後室温まで冷却する溶体化処理を施
すことによる(2) に記載の合金の製造方法。(5) 内周層
となる(1) に記載の組成の合金を、冷間加工をおこなう
より前の過程において(4) に記載の処理を施す(3) に記
載の二重ジルコニウム合金管の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として原子炉の
核燃料用被覆管として用いられる、ジルコニウム合金
管、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】発電用原子炉の燃料被覆管に使用される
代表的なジルコニウム合金としては、主に沸騰水型原子
炉(BWR)に適用されるジルカロイ−2(商品名、た
だしJIS-H-4751のZrTN-802-D相当合金)や、加圧水型原
子炉(PWR)に多く適用されるジルカロイ−4(商品
名、ただしJIS-H-4751のZrTN-804-D相当合金)などがあ
る。これらの合金は、熱中性子吸収断面積が小さく、高
温高圧の水または水蒸気の環境下にてすぐれた耐食性を
有し、また高温での長期にわたる中性子照射下にて、十
分な機械的強度を持っている。
【0003】原子炉内において、燃料被覆管の管外部は
高温高圧水の環境下にあるが、管内部は外部とは異な
り、内部の核燃料物質が保有するガスや、核反応によっ
て生じた***生成物などによる腐食環境にさらされる。
その上、核燃料物質と直接接しているので、核反応によ
る核燃料物質の変形(スウェリング)に伴なって応力が
加わることがある。
【0004】管内部は、核***物質の一つである沃素
(I)その他の腐食性物質の発生による腐食、中性子照
射による金属の硬化、および上記のスウェリングが要因
となって、応力腐食割れ(SCC)の危険性が高くなっ
てくる。このような問題に対処するため、現在では、管
の外面を構成しかつ肉厚の多くを占める部分をジルカロ
イ−2または−4とし、内面側は純ジルコニウムとし
て、管内部の腐食環境において十分な耐食性を有し、か
つ相対的に軟質であるために発生応力が緩和でき、SC
C感受性を低下させるという二層構造の燃料被覆管が開
発され、使用されている。
【0005】軟質なジルコニウムの内周層は、通常、管
の全肉厚の 5%以上の厚さに設定され、ライナー部とい
われている。この二重ジルコニウム合金管は、ジルカロ
イ合金の円筒状ビレットの中へライナー部となる純ジル
コニウムの穴明きビレットをはめ込み、端部を溶接した
合わせビレットとし、これを熱間押出しした後、冷間圧
延と焼鈍を繰り返して製造される。熱間押出し、冷間圧
延および焼鈍の工程により、外周層のジルカロイ合金と
ライナー部との間に十分な金属間結合が形成され、一体
化されるのである。
【0006】ライナー部に対しては、純ジルコニウムの
他、より耐食性を向上させるために、たとえば、特開昭
58-199836 号公報のFeやCrを 0.3%以下またはCu
を 0.2%以下を含む合金を用いる発明、特開昭59-18488
2 号公報の 0.1〜 1%のSnを含有させた合金とする発
明、あるいは特公昭63-53257号公報のFeを 250〜1000
ppm含有させた合金とする発明等が提示されている。
【0007】ところが最近、核燃料の効率的利用の目的
で、従来のウランの他に派生したプルトニウムも、発電
用原子炉に燃料として再利用しようという動向があり、
酸化ウランに酸化プルトニウム等を混合した混合酸化物
(MOX:Mixed Oxide )燃料の適用が検討され始め
た。従来用いられてきた核燃料物質の酸化ウランは、高
温において酸化ジルコニウムとほぼ同程度か、それより
やや安定な酸化物であった。これに対して酸化プルトニ
ウムは、高温において酸化ジルコニウムよりも不安定な
化合物であり、純ジルコニウムないしはジルコニウム合
金からなる燃料被覆管の内面を酸化させる傾向は、従来
の酸化ウランよりはるかに大きくなってくる。しかしな
がら、これまでに開発されたライナー部をもつ二重管
は、いずれも酸化ウラン核燃料物質に対するものであっ
て、MOX核燃料物質を対象としたものではない。
【0008】このようにMOXの場合、核***によって
生じる腐食性物質は従来とほぼ同様であるが、それに加
えてより一層酸化傾向の強い腐食環境となり、内面の酸
化が従来よりも進行する傾向になる。ところが、ジルコ
ニウムやジルコニウム合金は、高温での酸化が進むと延
性が劣化してくる。延性が低下すると発生応力の緩和が
不十分になり、前述のSCC感受性が増大し、被覆管の
寿命が短縮されるので、燃料の効率的な燃焼が困難にな
る。MOX燃料の有効活用のためには、それに対応し
て、耐酸化性にすぐれ、かつ耐SCC性にすぐれた内周
面を持つ、燃料被覆用のジルコニウム合金管が必要であ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、MO
Xのような従来のウラン燃料よりもジルコニウムを酸化
させる傾向の強い物質が核燃料として用いられる場合に
適した、耐酸化性および耐SCC性のすぐれたジルコニ
ウム合金、その合金を管の内面側に用いた原子炉の燃料
被覆用のジルコニウム合金管、およびそれらの製造方法
の提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、MOX核
燃料物質の使用に十分耐えうる燃料被覆用のジルコニウ
ム合金管に関し、それに要求される性能の調査をおこな
った。燃料被覆管の外側は、MOXに変っても使用温
度、照射中性子量、腐食環境等については従来と大略同
じなので、すでに長期にわたる使用実績のあるジルカロ
イ−2やジルカロイ−4などの在来合金で十分である。
しかしながらMOXの場合、前述のように核燃料物質と
接する管内部は、より強い酸化性の腐食環境となるの
で、内周のライナー部がとくにMOX核燃料物質に対応
して十分な耐酸化性を有し、かつ耐SCC性がすぐれて
いなければならない。
【0011】添加元素により耐酸化性を向上させる効果
を種々検討の結果、NbとFeの添加が有効であること
がわかった。Nbの単独添加でも十分効果があるが、F
eを同時に添加することにより、耐酸化性はより向上す
る。ジルコニウムの酸化は、表面にできた酸化皮膜中を
酸素が拡散していって金属を酸化させ、それにより酸化
皮膜が成長し、あるいは金属中に酸素が固溶して進行す
る。その場合、酸化皮膜のZrO2 中にはO(酸素)の
欠乏した欠陥が多く存在し、O--(酸素イオン)はその
欠陥を介して移動または拡散すると推定される。酸化物
中のZrのイオンは+4価であるが、Nbは+5価であ
り、Nbが存在するとその近くの欠陥数が減少すること
により、酸素の移動が阻害され、酸化の進行が抑制され
るのではないかと考えられる。
【0012】また、金属の酸化には、表面にできた酸化
物と素地金属との体積の相違から酸化皮膜に割れが入
り、それによって新たな金属面が露出され、さらに酸化
が進行するという機構もある。ジルコニウム中の少量の
Feの存在は、酸化皮膜の強度を向上させて皮膜に入る
割れを抑止し、それによって酸化の進行を遅らせる効果
があると考えられる。
【0013】耐酸化性を向上させると酸化による延性劣
化は軽減され、SCC感受性の増大が抑止できるが、合
金元素の添加は一般に金属を硬くし延性を低下させる傾
向があり、これは耐SCC性には好ましくない。そこ
で、NbまたはFeを添加した合金において、燃料被覆
管内と同様な沃素による腐食環境下の耐SCC性を調査
した。その結果、一般に知られているように、結晶粒径
が小さくなると耐SCC性が向上することが明らかであ
った。これはSCCの亀裂は、結晶粒界に沿って伝搬
し、結晶の面単位に進行するので、結晶粒を細かくする
ことにより、亀裂の進行を遅らせることができるためで
ある。
【0014】さらに調査を進めたところ、この合金中に
存在する金属間化合物の大きさが、SCCの感受性に強
く影響していることがわかってきた。すなわち、合金の
素地の中に分散析出しているZr−Fe系の金属間化合
物は、SCCの亀裂の発生起点となりやすく、大きくな
るほどその傾向が顕著になる。ところが、小さくなっ
て、ある大きさ以下になると、SCCの感受性が激減し
た。これは、金属間化合物が亀裂の発生起点としては機
能しなくなる、限界の大きさがあるためと考えられた。
そこでその大きさの限界を確かめ、さらに、金属間化合
物の大きさをその限界値以下に制御するための、製造条
件を明らかにしたのである。
【0015】このように、主としてMOX燃料による酸
化環境において、耐酸化性にすぐれる合金の組成を知る
ことができ、さらにその合金を用いて金属素地中の析出
物を微細化することにより、耐SCC性を向上させ得る
ことを明らかにした。そこで、内周層すなわちライナー
部を、NbまたはFeを添加した合金、さらにはその素
地中の金属間化合物を微細化させた合金とした二重管に
おいて、MOX核燃料に対する適合性を確認し、本発明
に至った。本発明の要旨は次のとおりである。
【0016】(1) 重量%にてNb:0.01〜0.30%および
Fe:0.08%以下を含み、かつ両元素の合計の含有量が
0.06〜0.30%であり、残部がZrおよび不可避的不純物
であることを特徴とする耐酸化性にすぐれたジルコニウ
ム合金。
【0017】(2) 合金中に析出している金属間化合物の
平均粒径が、0.25μm 以下であることを特徴とする (1)
に記載の耐酸化性にすぐれたジルコニウム合金。
【0018】(3) 内周層と外周層とが異なる化学組成の
合金からなる二重ジルコニウム合金管であって、内周層
が管の肉厚の 5〜30%の厚さの (1)または (2)に記載の
合金であることを特徴とするジルコニウム合金管。
【0019】(4) 重量%にてNb:0.01〜0.30%および
Fe:0.08%以下を含み、かつ両元素の合計の含有量が
0.06〜0.30%であり、残部がZrおよび不可避的不純物
であるジルコニウム合金を所要形状に加工する際、冷間
加工前の過程において 900〜1200℃の温度範囲にて10〜
300 分加熱後、 850℃までを50℃/s以上の冷却速度で
冷却し、その後室温まで冷却する溶体化処理を施すこと
を特徴とする、上記 (2)に記載のジルコニウム合金の製
造方法。
【0020】(5) 円筒状の外周層となる合金のビレット
に、内周層となる合金のビレットをはめ込んで二重の合
わせビレットを作り、これを熱間押出しして素管とした
後、冷間圧延および焼鈍を繰り返す二重ジルコニウム合
金管の製造工程において、内周層となる合金には、冷間
加工をおこなうより前の過程において 900〜1200℃の温
度範囲で10〜 300分加熱後、 850℃までを50℃/s以上
の冷却速度で冷却し、その後室温まで冷却する溶体化処
理を施すことを特徴とする、上記 (3)に記載のジルコニ
ウム合金管の製造方法。
【0021】ここで、二重管の外周層は、従来の環境条
件と同じ高温高圧水にさらされるので、これまでに実績
も多く信頼して使用できるジルカロイ−2やジルカロイ
−4などの合金を用いればよく、とくに限定はしない。
【0022】
【発明の実施の形態】耐酸化性を向上させた本発明の合
金は、化学組成を次のように限定する。なお以下の化学
組成に示す「%」は、すべて「重量%」のことである。
【0023】NbおよびFeが、両元素の合計量として
0.06〜 0.3%の範囲含まれている必要がある。ただし、
Nbの含有量は0.01〜 0.3%、Feの含有量は0.08%以
下の範囲である。合計の含有量をこの範囲に規制するの
は、0.06%を下回る場合、十分な耐酸化性が得られず、
0.3%を超えると耐酸化性向上効果はそれ以上増さない
ばかりでなく、硬くなり過ぎて、応力緩和を目的とする
ライナー部設置の効果が、十分発揮されなくなるためで
ある。Nbは、0.06%を超える含有量であれば、Feを
含有していなくても十分な耐酸化性を発揮させることが
できるが、これら二つの元素を同時に含有させた方が複
合効果があり、より一層の耐酸化性が得られる。
【0024】Nbは含有量が増すとβ相が析出してくる
が、この相は酸化が非常に速く、逆に耐酸化性を劣化さ
せるので、多くても 0.3%までとする。また、少ないと
効果が十分現れないので、含有させる場合は0.05%以上
が望ましい。Feは延性を悪くする作用があり、多すぎ
ると合金の延性が劣化してくるので、含有量は0.08%ま
でとする。添加の効果を十分発揮させるために望ましい
のは0.01%以上の含有である。ことに複合添加して耐酸
化性を向上させようとする場合は、合計の含有量が 0.3
%を超えないようにして、Nbは0.05〜0.29%、Feは
0.01〜0.08%の範囲内にて、それぞれを含有させるとよ
い。合金の製造は、通常の原子炉に使用するジルコニウ
ム合金と同じく、原料には原子炉級のジルコニウムスポ
ンジを用いる。したがって添加元素以外の不可避的不純
物元素は、その原料に由来するが、耐食性および機械的
性質を劣化させるので、含有量は少なければ少ないほど
好ましい。
【0025】耐SCC性をとくに向上させる必要のある
場合は、このジルコニウム合金中に分散する金属間化合
物の平均粒径を、0.25μm 以下とする。金属間化合物
は、合金の断面を研磨し、高倍率のSEMにて観察する
ことにより検出できる。耐SCC性に対して、この金属
間化合物の粒径が大きく影響しており、平均粒径が0.25
μm 以下になると、SCCの感受性が急激に低下する。
これは粒径が小さくなれば、SCCの起点として機能し
なくなるためである。また、ジルコニウム合金の金属組
織は、結晶粒径が微細である方が耐SCC性には好まし
く、平均結晶粒径は25μm 以下にするのが望ましい。20
μm 以下にできればより一層効果がある。
【0026】合金は、不純物の均一分散化や、析出物の
溶体化による耐食性向上の目的で、溶体化処理(β処
理)することが望ましい。とくに上述のように金属間化
合物の平均粒径を0.25μm 以下にする場合、溶体化処理
の条件は、所要形状に加工する際の冷間加工より前の過
程において 900℃以上1200℃までの温度にて10〜 300分
間加熱後、その温度から 850℃までを冷却速度50℃/s
以上として冷却する。溶体化の温度を 900℃以上とする
のは、10分以上加熱することと合わせ、β相に変態させ
て十分に溶体化し、その後の急冷と合わせて析出する金
属間化合物の平均粒径を、0.25μm 以下に微細化させる
ために重要である。しかしその温度を高くし過ぎたり、
時間が長くなり過ぎると、素地の結晶粒が粗大化して加
工性を悪くしたり、表面酸化が増して、加熱のエネルギ
ーが無駄となるので、温度は1200℃まで、時間は 300分
までとする。溶体化後の冷却速度を50℃/s以上とする
のは、これよりも遅く冷却すれば金属間化合物の粒子が
成長し、0.25μm を超えて粗大化してくるからである。
850℃を下回る温度での冷却速度は、この粒子の大きさ
にはほとんど影響しない。また、冷間加工も施す場合
は、その後の焼鈍温度は高くしない方が望ましい。高く
しすぎると微細化させた金属間化合物が、凝集粗大化す
る危険性がある。
【0027】二重ジルコニウム合金管のライナー部の厚
さは、管の全肉厚の 5〜30%とする。 5%未満では核燃
料の変形などにより発生する応力の緩和には不十分であ
り、耐SCC性を改善する目的の軟質のライナー部を設
けた効果が現れない。また、30%を超えると管自体の強
度が不足してくるおそれがある。ライナー部はMOX核
燃料物質に直接接するので、その腐食環境において耐食
性ないしは耐酸化性にすぐれた合金でなければならな
い。そこで、このライナー部に、上述の合金を用いた二
重管とするのである。
【0028】図1に二重管の製造方法の例を示すが、従
来おこなわれている方法に準じて製造すればよい。その
製造工程中、外周層となるジルカロイ−2やジルカロイ
−4などでは、耐食性改善のために溶体化処理をおこな
うが、ライナー部に用いられる純ジルコニウムは、溶体
化処理の必要はなく、おこなわないのが普通である。
【0029】本発明においても、ライナー部となる合金
に対し、溶体化処理はなくてもよいが、おこなうことに
より耐食性は向上し、とくに耐SCC性が向上するので
必要により実施する。溶体化処理の条件は、前述のよう
に 900℃以上1200℃までの温度にて10〜 300分間加熱
後、その温度から 850℃までを冷却速度50℃/s以上と
して冷却する。溶体化処理は、熱間鍛造後で冷間加工の
前であれば、ビレットの状態でも熱間押出しの後でもか
まわない。押出し前の中心部の孔ぐりをおこなった後で
溶体化処理をおこなえば、冷却速度を大きくでき、かつ
均一に冷却することができる。
【0030】合わせビレットを熱間押出しして素管とし
た後、冷間圧延と焼鈍を繰り返して所要寸法の二重管と
するが、冷間圧延の圧下率が70%以上である工程が少な
くとも1回あることが望ましく、焼鈍温度は再結晶が起
きる 550℃以上の、 650℃までとするのが望ましい。こ
のように、圧下率を大きくし、焼鈍温度を低くしておく
のは、ライナー部の平均結晶粒径を20μm 以下、ないし
は大きくても25μm 以下に制御でき、金属間化合物粒子
の成長も抑止できるからである。以上の熱間押出し、冷
間圧延、および焼鈍の工程により、外周層のジルカロイ
合金とライナー部との間に十分な金属間結合が形成さ
れ、一体化される。
【0031】
【実施例】原子炉級のジルコニウムスポンジを素材と
し、真空アーク溶解法にてジルカロイ−2合金、純ジル
コニウム、Zr−0.27%Nb−0.02%Fe合金、および
Zr−0.08%Nb合金の4種類の鋳塊を溶製した。ジル
カロイ−2合金の鋳塊は、熱間鍛造して外径目標寸法 1
60mmで、孔ぐりをおこなって内径80mmの円筒状ビレット
とし、加熱温度 950℃にて溶体化処理をおこなった。純
ジルコニウム、Zr−0.27%Nb−0.02%Fe合金およ
びZr−0.08%Nb合金の鋳塊は、外径目標寸法80mmに
鍛造した後、内径70mmの孔ぐりをおこないライナー用ビ
レットとした。ライナー部の厚さは管の肉厚の11%であ
る。Zr−0.27%Nb−0.02%Fe合金およびZr−0.
08%Nb合金のビレットは、加熱温度1050℃にて 1時間
保持後、850℃までの冷却速度を 170、90、65、または3
0℃/sと変化させ、溶体化処理の異なる 4種類のもの
を用意した。冷却速度は焼き入れる水にポリエチレング
リコールを適宜混入することにより調節した。純ジルコ
ニウムのビレットについては溶体化処理はおこなわなか
った。
【0032】図1に示した工程により二重管の試作をお
こなった。上記の各ビレットは、機械研磨および硝弗酸
洗浄により表面の酸化皮膜を除去し、外周層合金ビレッ
トの内側にライナー部となるビレットを挿入し、端部を
真空中で電子ビーム溶接した。この合わせビレットを 6
50℃に加熱し、外径63.5mm、全肉厚10.9mmの二重管素管
に押し出した。素管は冷間圧延および焼鈍を繰り返し、
外径12.3mm、肉厚 0.9mmの最終製品の二重管に仕上げ
た。焼鈍温度は 620℃であるが、比較のため 700℃でも
おこなった。
【0033】得られた二重管のライナー部について、断
面を研磨しSEMにより組織を観察した。金属間化合物
については、倍率10,000倍としてランダムに10視野観察
し、画像処理により平均粒径を求めた。耐SCC性は、
内圧法により評価した。これは、固体状の沃素を管内面
に対し 6mg/cm2 となるようArガスと共に封入し、29
0℃にて内圧をフープ応力で15kg/mm2 となるように加
圧維持して、破断までの時間を測定するものである。耐
酸化性は、 550℃にてO2 を10%含むAr気流を12時
間、管内面に流し、冷却後酸化皮膜の厚さを測定した。
【0034】表1に製造条件および試験結果を合わせて
示す。試験番号10の結果は、従来のライナー部に純ジル
コニウムを用いた二重管によるものである。これと本発
明の定める条件を満足する試験番号 1〜 9の結果とを対
比すれば、いずれもSCC発生までの時間が十分長く、
酸化も大幅に低減されており、本発明の効果は明らかで
ある。
【0035】また、合金の化学組成が本発明にて定める
範囲内であっても、溶体化処理の冷却速度をさらに規制
し、冷間加工後の焼鈍温度も、高くなりすぎないように
して金属間化合物の大きさを0.25μm 以下に管理すれ
ば、耐SCC性がより一層向上することがわかる。すな
わち、同じ合金組成の試験番号 1〜 3と 4〜 5、または
試験番号 6〜 8と 9の結果を対比して見れば、耐酸化性
については大きな差はないにもかかわらず、SCCに至
る時間が大幅に増加し、耐SCC性が向上している。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】発電用原子炉において、核燃料物質を酸
化ウランに変えてMOXにする場合、燃料被覆管は、そ
の内面がより厳しい腐食環境となるため、耐用期間を短
くせざるを得ない。これに対し本発明によるジルコニウ
ム合金管は、とくに内面の耐酸化性および耐SCC性が
すぐれており、MOX燃料を用いても、従来と同等ない
しはそれ以上の耐用能力を有している。このジルコニウ
ム合金管を被覆管に適用することにより、核燃料の効率
的な運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ジルコニウム合金の二重管の製造工程の概略を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21C 3/06 G21C 3/06 J

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%にてNb:0.01〜0.30%およびF
    e:0.08%以下を含み、かつ両元素の合計の含有量が0.
    06〜0.30%であり、残部がZrおよび不可避的不純物で
    あることを特徴とする耐酸化性にすぐれたジルコニウム
    合金。
  2. 【請求項2】合金中に析出している金属間化合物の平均
    粒径が、0.25μm 以下であることを特徴とする請求項1
    に記載の耐酸化性にすぐれたジルコニウム合金。
  3. 【請求項3】内周層と外周層とが異なる化学組成の合金
    からなる二重ジルコニウム合金管であって、内周層が管
    の肉厚の 5〜30%の厚さの請求項1または2に記載の合
    金であることを特徴とするジルコニウム合金管。
  4. 【請求項4】重量%にてNb:0.01〜0.30%およびF
    e:0.08%以下を含み、かつ両元素の合計の含有量が0.
    06〜0.30%であり、残部がZrおよび不可避的不純物で
    あるジルコニウム合金を所要形状に加工する際、冷間加
    工をおこなうより前の過程において 900〜1200℃の温度
    範囲で10〜300 分加熱後、 850℃までを50℃/s以上の
    冷却速度で冷却し、その後室温まで冷却する溶体化処理
    を施すことを特徴とする請求項2に記載のジルコニウム
    合金の製造方法。
  5. 【請求項5】円筒状の外周層となる合金のビレットに、
    内周層となる合金のビレットをはめ込んで二重の合わせ
    ビレットを作り、これを熱間押出しして素管とした後、
    冷間圧延および焼鈍を繰り返す二重ジルコニウム合金管
    の製造工程において、内周層となる合金には、冷間加工
    をおこなうより前の過程において 900〜1200℃の温度範
    囲で10〜 300分加熱後、 850℃までを50℃/s以上の冷
    却速度で冷却し、その後室温まで冷却する溶体化処理を
    施すことを特徴とする、請求項3に記載のジルコニウム
    合金管の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7854252B2 (en) 2005-09-21 2010-12-21 United Technologies Corporation Method of producing a castable high temperature aluminum alloy by controlled solidification
CN115652237A (zh) * 2022-08-16 2023-01-31 重庆大学 含三次孪晶的锆合金及其制备方法

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