JPH1078051A - 偏当たりによる熱変形を防止した片貼り式摩擦係合装置 - Google Patents

偏当たりによる熱変形を防止した片貼り式摩擦係合装置

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JPH1078051A
JPH1078051A JP8252179A JP25217996A JPH1078051A JP H1078051 A JPH1078051 A JP H1078051A JP 8252179 A JP8252179 A JP 8252179A JP 25217996 A JP25217996 A JP 25217996A JP H1078051 A JPH1078051 A JP H1078051A
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則雄 高倉
Tsugi Sanhongi
嗣 三本木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 片面貼り式摩擦係合装置において熱応力によ
るプレートの変形を防止すること。 【解決手段】 片面貼り式摩擦係合装置は、軸方向一方
側に摩擦材５６が固着された内歯ディスク５２と、軸方
向一方側に摩擦材５６が固着された外歯ディスク５４と
が交互に配設され、内歯ディスク５２と外歯ディスク５
４とをピストンで係合させてトルクを伝達するようにな
っており、内歯ディスクのプレートの外周側、及び外歯
ディスクのプレートの内周側に、それぞれ、切欠が設け
てある。偏当たりに起因して高温度になる側において、
プレートに形成された切欠によって熱歪みが緩和され、
その結果、プレートの変形が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、オートマチックト
ランスミッション等に使用される摩擦係合装置の技術分
野に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来の典型的摩擦係合装置３０は、図８
に示されているように、ハブ３２にスプライン嵌合する
内歯ディスク３４と、ドラム３６にスプライン嵌合する
外歯ディスク３８とが交互に配設されてなる。内歯ディ
スク３４は、その両面に摩擦材４０が固着されている。
油圧作動式ピストン４２が軸方向に移動すると内歯ディ
スク３４と外歯ディスク３８とが係合してトルクの伝達
が行なわれる。なお、オートマチックトランスミッショ
ンに使用される摩擦係合装置の場合は、摩擦面には、通
常、冷却油が供給され、いわゆる「湿式摩擦係合装置」
になっている。
【０００３】この種の摩擦係合装置３０では、摩擦材４
０の表面と外歯ディスク３８との摩擦により、係合面に
おいて高熱が発生する。係合面で発生する熱は主として
外歯ディスク３８側に移動するので、外歯ディスク３８
を厚くして、その外歯ディスク３８の熱容量を大きくす
ることが行なわれる。これによって摩擦係合装置３０に
おける放熱性の向上が図られている。しかし、このよう
に放熱性向上のために外歯ディスク３８を厚くすると摩
擦係合装置３０が軸方向に長くなり、小型化や軽量化と
いう要請には反することになる。
【０００４】そこで、この問題に対処すべく考えられた
のが、図１に示す片貼り式摩擦係合装置５０であって、
ここでは、プレートの片面にのみ摩擦材を貼った、いわ
ゆる「片貼り」のディスクが使用されている。片貼りの
内歯ディスク５２及び外歯ディスク５４は、それぞれが
摩擦材５６と係合する。係合面で発生する熱は、内歯デ
ィスク５２と外歯ディスク５４に分散して移動すること
ができる。このように、熱は内歯ディスク５２と外歯デ
ィスク５４に分散して移動できるため、それぞれのディ
スク５２，５４を厚くする必要がない。従って、図８の
ような摩擦係合装置３０に比べると、同等の放熱性を維
持した上で、摩擦係合装置５０の軸方向長さを短縮する
ことができることは、図２との対比から明らかである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図１の
ような片面貼り式摩擦係合装置においては、摩擦熱が、
プレートに対して、摩擦材と対向する１つの面側からし
か入ってこないことや、実機では偏当たりを伴うことか
ら、熱応力によるプレートの変形を起こすことがある。
プレートの変形は、ドラグトルクの増大やプレートの焼
け等を招き、ひいては、摩擦係合装置としての機能上、
重大なトラブルに至ることもある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明は、軸方向一方側
に摩擦材が固着された内歯ディスクと、軸方向一方側に
摩擦材が固着された外歯ディスクとが交互に配設され、
前記内歯ディスクと前記外歯ディスクとをピストンで係
合させてトルクを伝達する摩擦係合装置において、前記
内歯ディスクのプレートの外周側、及び前記外歯ディス
クのプレートの内周側に、それぞれ、切欠を設けた片貼
り式摩擦係合装置によって、前記課題を解決した。
【０００７】
【作用】ディスク、すなわち、プレートの変形は、プレ
ートの内外周の温度差による熱歪みの違いによって生じ
るものである。例えば、外周当たりの場合は、プレート
の外周のみが高温になり、内周側の温度は余り上がらな
い。従って、プレートの外周部は、周方向、又は径方向
に熱膨張による歪みが生じる。一方、内周側では、高温
にならないため、歪みはほとんど発生しない。これらの
熱歪みの違いがプレートの変形を発生させる。従って、
変形を防ぐには、プレート自体を、歪みを緩和させるよ
うな形状にしておけばよい。
【０００８】以上の考察に基づき、本発明では、内歯デ
ィスクのプレートの外周側、及び外歯ディスクのプレー
トの内周側に、それぞれ、切欠を設けたから、外周当た
りとなる場合は、内歯ディスクのプレートの外周側の切
欠が、内歯ディスクのプレートの外周側における周方
向、又は径方向の歪みを緩和し、ディスクの形状を維持
する。この場合、外歯ディスクのプレートの外周側は、
もともと、スプラインの歯によって、熱歪みが生じにく
くなっていると考えてよい。一方、内周当たりとなる場
合は、外歯ディスクのプレートの内周側の切欠が、外歯
ディスクのプレートの内周側における周方向、又は径方
向の歪みを緩和し、ディスクの形状を維持する。この場
合、内歯ディスクのプレートの内周側は、もともと、ス
プラインの歯によって、熱歪みが生じにくくなっている
と考えてよい。従って、外周側と内周側のいずれかの側
に偏当たりが生じても、熱歪みによるプレートの変形が
防止される。
【０００９】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
５，６により説明する。図５は外歯ディスクのプレート
の場合の４つの実施形態を示している。この実施形態
は、図３のような内当たりの場合に機能する。図５
（ａ）のプレート１０Ａは、内周側に、矩形状の切欠１
１１を設けたものである。図５（ｂ）のプレート１０Ｂ
は、内周側に、丸みを帯びたＶ字状の切欠１２１を設け
たものである。図５（ｃ）のプレート１０Ｃは、内周側
に、Ｕ字状の切欠１３１を設けたものである。そして、
図５（ｄ）のプレート１０Ｄは、内周側に、鋭いＶ字状
の切欠１４１を設けたものである。これらの切欠は、円
周に沿って均等間隔で設けるのがよい。
【００１０】次に、図６は、内歯ディスクのプレートの
場合の４つの実施形態を示している。この実施形態は、
図４のような外当たりの場合に機能する。図６（ａ）の
プレート２０Ａは、外周側に、矩形状の切欠２１１を設
けたものである。図６（ｂ）のプレート２０Ｂは、外周
側に、丸みを帯びたＶ字状の切欠２２１を設けたもので
ある。図６（ｃ）のプレート２０Ｃは、外周側に、Ｕ字
状の切欠２３１を設けたものである。そして、図６
（ｄ）のプレート２０Ｄは、外周側に、鋭いＶ字状の切
欠２４１を設けたものである。これらの切欠も、円周に
沿って均等間隔で設けるのがよい。
【００１１】図７は、プレートの内外周温度差と変形量
の関係を示した図表で、切欠の存在がプレートの変形防
止に効果があることを実証するものである。すなわち、
この図により、切欠がないプレートの場合は、プレート
の内外温度差が係数５０以上になると、変形量の係数が
急激に大きくなっているが、切欠を有するプレートの場
合は、変形量にほとんど変化のないことが分かる。な
お、図７の縦軸、横軸の数値は或る係数を示すものであ
って、特定の単位によるものではない。
【００１２】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成されている
から、、片貼り式摩擦係合装置において、外周当たり、
又は内周当たりという偏った当たりが生じた場合でも、
偏当たりに起因して高温度になる側において、プレート
に形成された切欠によって、熱歪みが緩和され、その結
果、プレートの変形が防止される。従って、長期にわた
って、摩擦係合装置としての所定の機能を発揮すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 片貼り式摩擦係合装置の概略説明図。
【図２】 図１の片貼り式摩擦係合装置と対比される両
面貼り式摩擦係合装置の概略説明図。
【図３】 内当たりの状態を示す概略縦断面図。
【図４】 外当たりの状態を示す概略縦断面図。
【図５】 （ａ）乃至（ｄ）は、外歯ディスクのプレー
トに切欠を施した場合の異なる実施形態の正面図。
【図６】 （ａ）乃至（ｄ）は、内歯ディスクのプレー
トに切欠を施した場合の異なる実施形態の正面図。
【図７】 切欠の効果を示すための図表。
【図８】 従来の摩擦係合装置の縦断面図。
【符号の説明】
１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃ，１０Ｄ：外歯ディスクのプレ
ート １１１，１２１，１３１，１４１：切欠 ２０Ａ，２０Ｂ，２０Ｃ，２０Ｄ：内歯ディスクのプレ
ート ２１１，２２１，２３１，２４１：切欠

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 軸方向一方側に摩擦材が固着された内歯
    ディスクと、軸方向一方側に摩擦材が固着された外歯デ
    ィスクとが交互に配設され、前記内歯ディスクと前記外
    歯ディスクとをピストンで係合させてトルクを伝達する
    摩擦係合装置において、 前記内歯ディスクのプレートの外周側、及び前記外歯デ
    ィスクのプレートの内周側に、それぞれ、切欠を設けた
    ことを特徴とする、 片貼り式摩擦係合装置。
JP8252179A 1996-09-04 1996-09-04 偏当たりによる熱変形を防止した片貼り式摩擦係合装置 Pending JPH1078051A (ja)

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