JPH10512800A - 気相汚染物を除去するため吸収を使用する濾過装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 気相汚染物を除去するため吸着ではなく吸収に依存する濾過装置及び技術が記載されている。フィルタ媒体は、キャリヤ液体と可溶性の錯生成剤／分解剤の結合体で形成された種々の液相吸収システムが含浸された吸上繊維によって構成されている。吸上繊維は、外部リザーバに連結され、外部リザーバは、無尽蔵の能力を提供するフィルタ媒体に新しい吸収流体を供給するのに使用することができる。フィルタ媒体は、寸法形状又は化学組成のいずれかによって液相を迅速に搬送することかできる種々の繊維で形成されている。寸法形状には、マルチローブ状横断面形体、多孔質の中空繊維、多孔質の又は溝のある繊維、又は密に束ねられた微小繊維が含まれ、これらは全て、外部源から流体を吸い上げる性質を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】 気相汚染物を除去するため吸収を使用する濾過装置 本発明は一般に、好ましくない粒子を空気から除去するための方法及び装置に 関する。より詳細には、本発明は、自動車、飛行機、又は同様なキャビンのよう な閉鎖環境で再循環される空気から臭気を除去するための方法及び装置に関する 。 発明の背景 内燃機関に関連して通常遭遇する油及び吸入空気のフィルタは、濾過技術及び 関連した課題の典型例である。これらのフィルタは、幾分多孔質のペーパーフィ ルタ要素又は同様なフィルタ媒体を利用しており、このようなペーパーフィルタ 要素又は同様なフィルタ媒体に流体が通されると、好ましくない粒子は、これら のフィルタ要素又はフィルタ媒体に保持される。濾過し続けると、フィルタ要素 又はフィルタ媒体は、除去した粒子によって段々目詰まりを起こすようになり、 その結果、粒子除去効率が増加しても、流量が減少してしまう。これらの濾過シ ステムは実質的に、除去した粒子がフィルタ要素又は媒体の表面に付着する表面 現象である吸着に依存している。吸着粒子除去技術のもう１つの例として、空気 流を清浄にする臭気除去要素又は媒体として活性炭又はゼオライト物質の使用が ある。しかしながら、空気流を清浄にするこのような技術又は方法は、比較的短 い期間に対してのみ効果的であり、低臭気濃度では相対的に非効率的であり、そ の結果、しばしばフィルタ要素又は媒体の前後に比較的大きな差圧を加えること になる。その結果、極めて多量の媒体が唯一の満足すべき方法となるが、これら の物質を使用するため、比較的大きな差圧の課題が残存する。 流量と効率に対する費用のかかる複雑な解決策は、一定の気体成分を液体によ って吸収し除去しながら向流する液体と気体を気体吸収タワー内で混ぜ合わせる 吸収技術を利用することによって得られる。このような“スクラビング”技術は 、小さなフリッドフィルタの用途には適していない。何故ならば、液体がフィル タ要素を目詰まりさせ、通過する空気流を著しく減少させることのないように、 フ ィルタ要素内の隙間が比較的大きくなければならないからである。これらの大き な開口は、濾過効率を著しく減少させる。 第１の２つの方法の混合案が、米国特許第４，３２３，３７３号に示されてお り、この特許は、好ましくない物質を除去するフィルタ要素に空気が通され、水 と洗浄剤のスクラビング溶液をフィルタ要素に連続的に循環させて凝結した油性 物質や他の汚染物質をフィルタ要素から除去する、レストランの調理場用の空気 清浄システムを教示している。ここで、粒子の空気からの濾過は吸着処理である が、物質のフィルタ要素からの引き続く除去は吸収処理である。この種のシステ ムは比較的大型であり、比較的汚れた多量の空気流れに適合している。調理場に はうまく適合しているが、より一般的な臭気除去機能には十分に適合していない 。また、上述の“スクラバー”については、液体がフィルタ要素を目詰まりさせ 、通過する空気流を著しく減少させることのないように、フィルタ要素内の隙間 が比較的大きくなければならない。 流量の減少及び粒子除去効率の減少に関する課題を除去した、臭気を除去する ためのコンパクトで経済的な吸収エアフィルタを提供することが望ましい。 米国特許第５，０５７，３６８号（三叉又は四叉横断面を有するフィラメント ）は、繊維の横断面が中央コアと３つ又は４つのＴ形ローブで構成されている、 熱可塑性ポリマーで形成された三叉又は四叉繊維を開示している。各ローブの脚 部は、隣接するローブの脚部間の角度が約８０°〜１３０°となるように、コア の中心のところで交差している。熱可塑性ポリマーは典型的には、ナイロン、ポ リエステル、ポリオレフィン、又はこれらの結合体である。例えば、ポリエチレ ンテレフタレートのようなポリエステルとポリプロピレンのようなポリオレフィ ンの結合体を使用してもよい。 発明の概要 本発明は、空気流路を備えたキャビティを形成する構造体を有するキャビン空 気濾過システムを提供することによって、上述の課題に対する解決策を提供する 。キャビティは、液体入口と液体出口とを有し、液体を液体入口から液体出口に 移送する内部吸上繊維物質を保持している。空気浮遊物質吸収液体が液体入口に 供 給され、空気浮遊物質吸収液体及び関連した吸収物質は液体出口から出る。典型 的には、空気は、キャビン又はルームから、キャビティとキャビン又はルームと によって構成される閉鎖流路に沿って、キャビティ内を連続的に循環される。実 験により、米国特許第５，０５７，３６８号に開示されているような押出繊維が 本発明の粒子に特に適していることが分かった。 本発明のもう１つの形態によれば、キャビティは、空気浮遊物質吸収液体を収 容する液体リザーバを有している。この実施例では、キャビティ内の内部吸上繊 維物質は、空気流路を著しく制限することなしに、毛管作用により、液体をリザ ーバから空気流路に引く。 本発明の別の観点によれば、好ましくない粒子は、複数の少なくとも部分的に 中空の吸上繊維を空気流に介在させ、空気流の外側の箇所で吸上繊維への好まし くない物質に対する親和力を有する成分を含む液体を供給することによって、空 気流から除去される。吸上繊維は、空気流が液体によって実質的に妨げられない ように繊維間に比較的開放した隙間を維持しつつ、液体を搬送させて空気流と接 触させる。濃度係数誘導分子移動が、液体内に溶けた好ましくない物質を、空気 流から遠去ける方に搬送する。 図面の簡単な説明 第１図は、キャビン空気濾過システムの横断面図であって、フィルタキャビテ ィ及び関連した液体リザーバが共通している。 第２図は、キャビン空気濾過システムの横断面図であって、空気浮遊物質吸収 液体がフィルタキャビティの入口に供給され、出口から搬送され、キャビンの空 気がキャビティを通して循環される。 第３図は、別の濾過システムの斜視図である。 第４図は、修正したキャビン空気濾過システムの横断面図であって、吸収液体 及び関連した吸収物質が分離され、再使用のため液体が戻される。 第５図は、第１図〜第４図の濾過システムに使用される内部吸上繊維物質とし て使用するのに適した中空の吸上繊維の部分斜視図である。 なお、対応する参照符号は、図面全体を通して対応する部分を示している。 発明の詳細な説明 本発明は、飛行機のコックピット、自動車の内部、ビルディング、又は同様な 閉鎖環境（以下、「キャビン」という）のような比較的狭い空間における空気の 浄化に特に適している。空気の浄化は、キャビンを流れる空気流から粒子又は気 体を除去することによって達成される。 第１図では、本発明によるキャビン空気濾過システムが、フィルタキャビティ １９を備えたハウジング２１を有しており、ハウジング２１には、キャビンの空 気を受け入れるための空気入口１１と、受け入れた空気をキャビンに戻すための 空気出口１３が設けられている。空気は、キャビンから層流路１５、１６、１７ に沿って流れる。ハウジング２１は、キャビティ１９の下部液封部分に配置され た液体リザーバ２３を有している。液体リザーバ２３は、典型的には１以上の化 学的活性剤が溶解された不活性キャリヤを含んだ空中浮遊物質吸収液体を収容し ている。不活性キャリヤは、幾つかの用途では水を使用してもよいが、好ましく は、グリセロール、ポリエチレン・グリコール、ポリプロピレン・グリコールの ような不揮発性の液体である。典型的には、好ましくない空中浮遊物質に対して 親和力を有する化学的活性剤が選定される。好ましくない物質を溶液中に捕捉さ せるだけでもよく、或いは、好ましくない物質と化学反応させてもよい。例えば 水酸化ナトリウムは、炭酸ナトリウムに転化させることによって、二酸化炭素を 効果的に除去する。水酸化ナトリウムは、硫化水素やホルムアルデヒドを除去す るのにも効果的である。乾燥剤として、塩化カルウシムや普通の食卓塩を使用し てもよい。酢酸やクエン酸が、他の幾つかの臭気に適していることが分かってい る。考えられるキャリヤと化学的活性剤には、殆ど制限がない。 キャビティ１９は又、内部吸上繊維物質を収容しており、内部吸上繊維物質は 、空気流路を著しく制限することなしに、毛管作用によって液体をリザーバから 空気流路内に上方に移動させるように機能する。吸上剤として効果のある多くの 普通の物質は又、物質を通して空気を循環させようとするのを制限する。例えば 、普通のハンカチを水で濡らすと、空気がハンカチを通って流れないように物質 が実質的に密封される。個々の繊維の内部の毛管力が繊維の外部の毛管力よりも か なり大きい場合には、個々の吸上繊維の外部の非制限空気流路は、内部吸上物質 を利用することによって維持される。このような内部吸上繊維物質は、外部スト ランド面と連通する中空内部領域を有する押出ストランドで形成されることがあ る。このような吸上繊維物質のストランドが、第５図においてＣ形横断面又はマ ルチローブ状のものとして示されている。空気をキャビンからキャビティ１９を 通してキャビンに戻すのに、ファンを使用してもよい。 第２図に示されるシステムは、空気をキャビンから入口４８を介して（好まし くは、矢印２９、３１で示されるように層流空気に沿って）円筒形ハウジング２ ６のキャビティ２７に通し、出口５０からキャビンに戻して循環させる閉鎖ルー プ状キャビン空気濾過システムを示している。液体入口３３が、外部リザーバ３ ７から、流量制御弁３９によって制御される空気浮遊物質吸収液体３５を受け入 れる。流量制御弁３９の制御は、液体を間欠的に解放するように調時してもよく 、点火スイッチがオンにされたときにのみ可能としてもよく、或いは、液体流を 制限するように制御してもよい。ハウジング２６は、キャビティ２７から例えば 自動車のラジエータ４５のオーバーフロータンク４３に、空気浮遊物質及び関連 した吸収物質を移動するための液体出口４１を有している。内部吸上繊維物質４ ９は、キャビティ２７内に略環状に配置されており、液体を入口３３から出口４ １に隣接した液体溜めに移送する。キャビティを通る空気流路が比較的長く且つ 狭いので、矢印５１で示されるような乱流が発生することがあり、この乱流は混 合を行い、その結果、流入する空気が空気浮遊物質吸収液体に十分に曝されるこ ととなる。図示されているファン４７が、キャビンから入口４８を通して空気を 引くことによって循環させ、この空気を空気流路２９、３１に沿ってキャビティ ２７に送り込み、出口５０からキャビンに戻す。 第３図では、空気濾過システムのキャビティ用のハウジングは図示されていな いが、このようなハウジングは、平行六面体形の吸上物質５３の塊を取り囲んで いる。第３図では、吸上繊維物質は、全体として左方から右方に流体移送のため 流路の意図した方向に延びるように配向された複数の略平行な細長い繊維を有し ている。空気流路は、矢印５５と５７で示されており、液体流路と略直交して位 置している。液体入口が上縁部５９の付近に設けられ、液体出口が下縁部６１の 液体溜め６０の付近に設けられている。液体溜め６０は、キャビティを、空気浮 遊物質吸収液体を保持するためのリザーバ６３に連通させる。 第１図と関連して説明した閉鎖ループシステムに略似せるため、リザーバの一 方を第３図から除去してもよい。このような閉鎖ループシステムでは、塊５３に 吸収された好ましくない物質は、濃度係数の差による移動によって、使用済み溶 媒のリザーバ６３に効果的に搬送される。しかしながら、その際、流体の間欠的 な置換が必要となる。 第２図のシステムを修正した第４図のシステムは、リザーバ３７において流体 の間欠的な置換の必要性を除去した構造体を示している。このシステムでは、空 気浮遊物質吸収液体は、フィルタチャンバ２７に吸収された有害物質を駆逐する ため、加熱によって再生される。ここで、空気浮遊物質吸収液体及び関連した吸 収物質は、容器６７に収容され、加熱され或いは液体から吸収物質を分離するよ うに処理される。有害物質が除去されると、液体は、導管６９を介して供給リザ ーバ３７に戻され、最終的には、吸上繊維物質４９によるキャビティ２７での再 使用のため液体入口３３に供給される。 第３図の場合と同様に、第４図のリザーバ３７を除去することができ、フィル タキャビティ又はチャンバ２７が物質採集帯域として機能し、容器６７は、一方 の帯域から他方の帯域に好ましくない粒子を非機械的に移動させる修復帯域を構 成する。 吸上繊維物質７１は、第５図に示されるように、略平行なスロット８１、８３ 、８５によって外部ストランド面７９、７９′と各々連通している３つの中空内 部領域７３、７５、７７を有する押出ストランドとして形成されている。個々の 内部溝７３、７５、７７内の毛管力は、繊維の外部の毛管力よりもかなり大きく 、外部ストランド面７９、７９′を目に見えるほど濡らすことなしに液体が繊維 の内部から容易に吸い上げられる。かくして、このような繊維７１のメッシュは 、液体が存在する場合でさえも非閉塞状態のままであり、その結果、この機能は 一般に、内部吸上と呼ばれる。このような繊維物質は、ナイロン、ポリエステル 、ポリオレフィンのような１以上の物質で形成してもよい。３つのＴ形横断面の セグメントは、図示されていような湾曲したＴ形、又は真直ぐなＴ形の外側部分 を 有しているのがよい。吸上繊維物質は３つのローブとして示されているが、他の 数のローブでもよい。さらに、種々の用途の内部吸上繊維に対して、Ｃ形又は他 の横断面の形態も適当である。 以上により、本発明の作動の方法は明瞭である。好ましくない物質は、複数の 少なくとも部分的に中空の吸上繊維を空気流に介在させることによって空気流か ら除去され、外部からの空気流が空気路に沿って流れると、好ましくない物質に 対して親和力を有する成分を含んだ液体は、吸上繊維を通して連通される。この ようにして、吸上繊維は、空気流が液体によって実質的に妨げられないように繊 維間に比較的開放した隙間を維持しつつ、空気浮遊物質吸収液体を搬送して空気 流と接触させる。次いで、液体に溶けている好ましくない物質は、濃度係数誘導 分子移動によって、又は重力によって、空気流から搬送され、或いは除去され、 液体は再使用のため再循環される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アンガー ピーター ディー アメリカ合衆国 ニュージャージー州 07961 コンヴェント ステーション テ リー ドライヴ 36 (72)発明者 スタージャン リチャード エム アメリカ合衆国 ペンシルバニア州 18954 リッチボロ レノープ ロード 67 (72)発明者 ジョーンズ ゴードン ダブリュー アメリカ合衆国 オハイオ州 43617 ト レド ギブリー パーク 2303 (72)発明者 ケーラディ ビージャン アメリカ合衆国 オハイオ州 43551 ペ リーズバーグ ロックリッジ サークル 121

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．キャビティと、 キャビティを通る空気流路と、 キャビティへの液体入口と、 キャビティからの液体出口と、 キャビティ内に配置され、流体を空気流路を横切る径路に沿って液体入口か ら液体出口に移送するための繊維吸上物質と、 空気浮遊物質吸収液体を液体入口に供給するための手段と、 空気浮遊物質吸収液体及び関連した吸収物質を液体出口から搬送するための 手段と、 空気をキャビンから空気流路に沿ってキャビティに通しキャビンに戻すため の手段と、 を備えていることを特徴とするキャビン空気濾過システム。 ２．液体入口から液体出口への液体流が自然移動によって助けられるように、液 体入口が、液体出口よりも高いところに位置することを特徴とする請求の範囲第 １項に記載のキャビン空気濾過システム。 ３．繊維吸上物質が、全体として流体移送路の方向に延びるように配向された複 数の略平行な細長い繊維を含んでいることを特徴とする請求の範囲第１項に記載 のキャビン空気濾過システム。 ４．流体移送路と空気流路が、互いに略直交していることを特徴とする請求の範 囲第１項に記載のキャビン空気濾過システム。 ５．液体を液体入口に戻して再使用するため、空気浮遊物質吸収液体及び関連し た吸収物質を、吸収物質を搬送し分離するための手段から受け入れる手段を更に 有していることを特徴とする請求の範囲第１項に記載のキャビン空気濾過システ ム。 ６．繊維吸上物質が、外部ストランド面と連通する中空内部領域を有する押出ス トランドで形成されていることを特徴とする請求の範囲第１項に記載のキャビン 空気濾過システム。 ７．空気流が、フィルタとして形成された繊維吸上マットを通ることを特徴とす る請求の範囲第１項に記載のキャビン空気濾過システム。 ８．空気流が、蜂の巣状又は同様な多孔質の構造体として形作られた繊維吸上物 質の表面に沿っていることを特徴とする請求の範囲第１項に記載のキャビン空気 濾過システム。 ９．繊維吸上物質が、ナイロンとポリエステルとポリオレフィンとによって構成 される群から選定された少なくとも１つの物質で形成されていることを特徴とす る請求の範囲第７項に記載のキャビン空気濾過システム。 10．液体が、化学的活性剤が溶解された不活性キャリヤを含んでいることを特徴 とする請求の範囲第１項に記載のキャビン空気濾過システム。