JPH10338131A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

ディスクブレーキ装置

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JPH10338131A
JPH10338131A JP15248197A JP15248197A JPH10338131A JP H10338131 A JPH10338131 A JP H10338131A JP 15248197 A JP15248197 A JP 15248197A JP 15248197 A JP15248197 A JP 15248197A JP H10338131 A JPH10338131 A JP H10338131A
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disc
proximal
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Kenichi Oizumi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制輪子とブレーキディスクの間隔を適切に保
つアジャスト機構を少ない部品点数で簡素に構成し得る
ディスクブレーキ装置を提供する。 【解決手段】 制輪子支持部4Aに形成したピストンシ
リンダ31に、制動時の油室35への作動油の供給によ
り伸張する基端側ピストン34を収容し、この基端側ピ
ストン34の伸張を押し戻すリターンスプリング40を
備え、基端側ピストン34の収容部34Cに、制輪子5
Aを支持する先端側ピストン41を収容する。これによ
り、制動時には、基端側ピストン34を摺動限界にまで
摺動させて制輪子5Aをブレーキディスク3側に押し出
すとともに、制輪子5A、5Bの摩耗分は、基端側ピス
トン34が摺動限界に達した後に、油室35から油室4
3にチェック弁45を圧し広げて作動油が流れ込むこと
による先端側ピストン41の基端側ピストン34に対す
る相対変位で補償するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両等に用い
られるディスクブレーキ装置に関し、特に制輪子のアジ
ャスト機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道用車両等では、例えば図2に示すよ
うなディスクブレーキ装置が各車輪毎に備えられ、車両
の制動が行われる。
【0003】図示されるように、ディスクブレーキ装置
のブレーキキャリパ1は、ブラケット1A、1Bにおい
て、車両本体側に固設された取り付け部8に、支持ピン
9を介して摺動自在に取り付けられる。この支持ピン9
は、ディスクブレーキ装置のブレーキディスク3と平行
に配設されたものであり、ブレーキキャリパ1はこの支
持ピン9に沿って移動可能になっている。
【0004】一方、ブレーキキャリパ1の一対のアーム
2A、2Bは先端に制輪子支持部4A、4Bを備え、車
両の各車輪と一体に回転するブレーキディスク3の両側
面に、これらの制輪子支持部4A、4Bを回り込ませて
ている。制輪子支持部4A、4Bには、それぞれ制輪子
5A、5Bが支持され、これらの制輪子5A、5Bは、
ブレーキディスク3側面を両側から挟み込むとともに、
それぞれ平面状の摩擦面を備え、これらの摩擦面をブレ
ーキディスク3両側面に略平行に相対させている。
【0005】また、図2の紙面と垂直方向の一部断面図
である図3に示すように、一方の制輪子支持部4Aには
一対のピストン10が並列に内蔵され、制輪子5Aはこ
れらのピストン10先端に支持部材11を介して支持さ
れる。
【0006】これらのピストン10は、同じ側のアーム
2Aに配設された油圧導入口7を通じて油圧の供給を受
けてブレーキディスク3側に伸び出し、制輪子5Aをブ
レーキディスク3側に押し付ける。この場合、ブレーキ
キャリパ1は支持ピン9に沿って移動できるようになっ
ているので、結局、制輪子5A、5Bは両側からブレー
キディスク3を挟み込むことになり、このとき生じる摩
擦力によりブレーキディスク3が制動される。
【0007】さらに、この制輪子支持部4Aには、図3
に示すようなアジャスト機構13が設けられる。
【0008】図示されるように、このアジャスタ機構1
3のアジャスタピストン14は、制輪子支持部4Aのフ
レーム12に固定のスリーブ15に摺動自在に収容され
るとともに、先端の鍔部14Aに係止して支持部材11
を支持している。
【0009】このアジャスタピストン14の中心軸上に
は、基端側から延びる穴部14Bが形成され、この穴部
14Bにはアジャスタピン16が挿入されている。さら
に、この穴部14Bの拡径された基端側では、アジャス
タピストン14とアジャスタピン16の間にフリクショ
ンスプリング17が圧入される。これにより、常態で
は、アジャスタピストン14とアジャスタピン16と
は、フリクションスプリング17の摩擦力により一体に
保たれ、相対移動しないようにしている。なお、このフ
リクションスプリング17の座金18は、リングスパイ
ラル19で係止され、アジャスタピン16と一体となっ
ている。
【0010】さらに、アジャスタピストン14の基端側
にはフレーム12に対して移動自在の受け部材20が設
けられ、アジャスタピン16はこの受け部材20に固定
されている。この受け部材20とスリーブ15の端部と
の間には所定の間隔(制動時における制輪子5A、5B
の合計の移動量にほぼ等しい間隔)が設けられ、制動時
にアジャスタピストン14が支持部材11とともにブレ
ーキディスク3側へ移動すると、受け部材20がスリー
ブ15の端部に当接するようになっている。また、受け
部材20とスリーブ15外周のフランジ部15Aとの間
にはリターンスプリング21が設けられ、制動後にはこ
のリターンスプリング21がアジャスタピストン14お
よび支持部材11を所定の位置に引き戻すようになって
いる。
【0011】ところで、制輪子5A、5Bの摩擦面は、
ブレーキディスク3との摩擦で摩耗するが、このアジャ
スト機構13では、制輪子5Aの位置をブレーキディス
ク3側に移動させ、制輪子5Aとブレーキディスク3の
間隔を一定に保つことにより、ブレーキ作動の応答性を
一定に保っている。
【0012】この作用についてさらに詳しく説明する
と、制輪子5A、5Bの摩擦面が擦り減った場合には、
制動時に受け部材20とスリーブ15の端部が当接する
まで、アジャスタピストン14をアジャスタピン16と
一体に動かしても、制輪子5A、5Bはブレーキディス
ク3に当接しない。この場合、スリーブ15と当接した
受け部材20およびこの受け部材20と一体のアジャス
タピン16はこれ以上動くことはできない。ところが、
ピストン10は制輪子5Aがブレーキディスク3に当接
するまでさらに支持部材11を押し出して行くので、支
持部材11と一体のアジャスタピストン14は、フリク
ションスプリング17の摩擦力に打ち勝って、さらにブ
レーキディスク3側に制輪子5A、5Bの摩耗分だけ余
計に移動して行く。
【0013】このようにして、アジャスタピストン14
は、制輪子5A、5Bの摩耗分だけアジャスタピン16
に対して相対変位するが、制動後に、アジャスタピスト
ン14およびアジャスタピン16がリターンスプリング
21により引き戻されたとしても、アジャスタピストン
14とアジャスタピン16が相対変位した状態は、フリ
クションスプリング17の摩擦力により保持される。し
たがって、支持部材11の初期位置は、アジャスタピス
トン14とアジャスタピン16の相対変位分だけ、すな
わち制輪子5A、5Bの摩耗分だけ、ブレーキディスク
3側にずれて行き、結局、制輪子5A、5Bとブレーキ
ディスク3との間隔は一定に保たれるようになってい
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のディ
スクブレーキ装置においては、アジャスト機構は複雑な
構成のものが採用されており、これは部品点数の増大に
よるコスト高の原因となっていた。
【0015】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたものであり、制輪子とブレーキディスクの間隔を適
切に保つアジャスト機構を少ない部品点数で簡素に構成
し得るディスクブレーキ装置を提供することを目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、車両の各
車輪と一体に回転するブレーキディスクと、このブレー
キディスクの回転軸方向へ移動可能に車両側に取り付け
られたブレーキキャリパとを備え、このブレーキキャリ
パに、前記ブレーキディスクを両側から挟み込む一対の
制輪子と、これら一対の制輪子の一方を前記ブレーキデ
ィスク側に押し出すピストンと、このピストンを収容す
るピストンシリンダを設けたことを特徴とするディスク
ブレーキ装置において、前記ピストンには基端側の初期
位置から前記ブレーキディスク側の摺動限界まで前記ピ
ストンシリンダ内を摺動可能な基端側ピストンを備え、
この基端側ピストンを基端側の初期位置へと付勢する付
勢手段を備え、前記ピストンシリンダの前記基端側ピス
トン基端側に制動時に作動油が供給される第1の油室を
画成し、制動時にこの第1の油室に作動油が流入するこ
とにより前記基端側ピストンが初期位置から摺動限界ま
で移動するようにするとともに、前記基端側ピストンに
形成した収容部には先端側ピストンを同軸的に収容し、
この先端側ピストンの先端側に前記制輪子を支持し、前
記収容部と前記先端側ピストンの間に第2の油室を画成
し、前記第1の油室と第2の油室とを連通するチェック
弁を備え、このチェック弁が圧し開かれる圧力を前記基
端側ピストンの摺動時における付勢手段の付勢力よりも
大きく設定した。
【0017】第2の発明は、前記基端側ピストンが移動
する初期位置から摺動限界までの長さを、前記制輪子と
ディスクブレーキの初期間隔に一致させた。
【0018】第3の発明は、前記チェック弁を前記基端
側ピストンに内蔵した。
【0019】第4の発明は、前記第1の油室の前記基端
側ピストンと反対側の側面を封止する蓋部材を前記ピス
トンシリンダに固定し、前記基端側ピストンの中心軸上
に前記第1の油室側から前記第2の油室に達する貫通穴
を形成し、この貫通穴に前記蓋部材から延び出す軸部を
貫通させるとともに、前記蓋部材には前記軸部の先端部
に達する油抜き穴を形成し、この油抜き穴の端部を閉止
する栓を備えた。
【0020】第5の発明は、前記ピストンシリンダ内周
と前記基端側ピストン外周との間に所定の隙間を設け、
前記収容部内周と前記先端側ピストン外周との間に所定
の隙間を設け、前記貫通穴内周と前記軸部外周との間に
所定の隙間を設けた。
【0021】第6の発明は、前記ピストンシリンダ内周
と前記基端側ピストン外周との間に所定の隙間を設け、
前記収容部内周と前記先端側ピストン外周との間に所定
の隙間を設けた。
【0022】
【発明の作用および効果】第1、第2の発明では、車両
を制動するときには、第1の油室に作動油が供給され基
端側ピストンが初期位置から摺動限界まで摺動して伸び
出すことにより、先端側ピストンに支持された制輪子が
ブレーキディスク側に押し出される。この場合、ブレー
キキャリパはブレーキディスクの回転軸方向に移動でき
るようになっているので、結局、基端側ピストンの移動
量だけ前進した一対の制輪子は両側からブレーキディス
クを挟み込むように押圧し、このとき生じる摩擦力によ
りブレーキディスクと一体の車輪が制動される。一方、
このような制動動作により制輪子の摩擦面が擦り減った
場合には、基端側ピストンの摺動分のみでは制輪子がブ
レーキディスク側に到達しないが、この場合には、基端
側ピストン後方の第1の油室が拡大できなくなった結
果、この第1の油室の油圧が高まり、チェック弁が圧し
開かれて、第1の油室から第2の油室へと作動油が流入
する。この結果、第2の油室の拡大分だけ、先端側ピス
トンが基端側ピストンに対してブレーキディスク側に相
対変位し、この相対変位が制輪子の摩耗分を補償する。
また、第2の油室から第1の油室への作動油の逆流は禁
止されるので、制動動作の終了後も、先端側ピストンと
基端側ピストンの相対変位は維持される。この結果、こ
の相対変位分、ディスクブレーキ側に前進した制輪子と
ディスクブレーキの間隔は、制輪子の摩耗前の初期状態
と変化することなく、ブレーキ動作の応答性は、常に一
定の安定したものとなる。また、このように本発明は、
ディスクブレーキ装置におけるピストン機構とアジャス
ト機構を合わせ持つように構成されるので、構成は著し
く簡素化され、また部品点数を大幅に削減することがで
き、コストを低減できる。また、第1と第2の油室に充
填された作動油は断熱効果も発揮し、ブレーキディスク
との摩擦で高温となる制輪子からブレーキキャリパ側へ
の高熱の伝達が抑制できる。
【0023】第3の発明では、チェック弁が基端側ピス
トンに内蔵されるので、構成の簡素化をより図ることが
できる。
【0024】第4の発明では、油抜き穴の栓を外して第
2の油室から油を抜けば、ピストンを分解せずとも、先
端側ピストンを制輪子の摩耗前の初期位置に容易に戻す
ことができる。
【0025】第5の発明では、油抜き穴内周と軸部外周
との間にも隙間が設けてあるので、基端側ピストンは蓋
部材およびピストンシリンダに対して傾くことができ、
さらに先端側ピストンはこの基端側ピストンに対して傾
くことができるので、この傾きにより、ピストンにかか
る偏荷重や、ブレーキキャリパとブレーキディスクとの
傾きを吸収することができ、ピストンとピストンシリン
ダとのこじれや、制輪子がブレーキディスクに傾いて接
触することによる偏摩耗を防止することができる。
【0026】第6の発明では、先端側ピストンは、ピス
トンシリンダ内周と基端側ピストン外周との間の隙間
と、収容部内周と先端側ピストン外周との間の隙間の二
重の隙間によって大きく傾くことができ、この傾きによ
り、ピストンにかかる偏荷重や、ブレーキキャリパとブ
レーキディスクとの傾きを吸収することができ、ピスト
ンとピストンシリンダとのこじれや、制輪子がブレーキ
ディスクに傾いて接触することによる偏摩耗を防止する
ことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発
明の実施の形態について説明する。なお、ディスクブレ
ーキ装置の全体構成は図2と共通であるので説明を省略
し、本発明の特徴である制輪子支持部4A内のピストン
およびアジャスト機構を中心に説明する。
【0028】図1に示されるように、制輪子支持部4A
のフレームを貫通するように、ピストンシリンダ31が
形成される。このピストンシリンダ31の基端側(図の
左側)は、シール部材32を介して蓋部材33で封止さ
れる。一方、ピストンシリンダ31のブレーキディスク
3と相対する側である先端側(図の右側)には、基端側
ピストン34が、ピストンシリンダ31の内周面との間
に所定のクリアランス(隙間)を持って摺動自在に収容
される。
【0029】この基端側ピストン34の外周には、ピス
トンシリンダ31の先端側に向いた段部34Eが形成さ
れ、ピストンシリンダ31先端の開口からは、基端側ピ
ストン34の段部34Eから先の径の小さくなった先端
部34Fが突出する。さらに、ピストンシリンダ31先
端の開口には、内周側に突出した環状の係止部49が形
成される。これら段部34Eと係止部49の間には、基
端側ピストン34の摺動方向にクリアランスyが設けら
れ、基端側ピストン34は、段部34Eがこの係止部4
9に当接するところまで、ブレーキディスク3側に移動
可能となっている。このクリアランスyは、制動時にお
ける制輪子5A、5Bの移動量と等しく設定されてい
る。
【0030】一方、基端側ピストン34の基端側の蓋部
材33からは、基端側ピストン34に向けて軸部33A
が突出する。この軸部33Aは、基端側ピストン34の
中心軸上に形成された貫通穴34Aに所定のクリアラン
スを持って嵌合し、先端が後述する油室43に達してい
る。この軸部33A基端には段部33Bが形成され、基
端側ピストン34の底面34Aは、非制動時には、この
段部33Bに当接して支持されている。
【0031】また、この蓋部材33の段部33Bの根元
には外周側に広がるテーパ部33Cが形成され、このテ
ーパ部33Cと底面34Bとの間には油室35が画成さ
れている。この油室35には、制動時に、油路36から
作動油が供給される。これにより、基端側ピストン34
は、基端側ピストン34外周の段部34Dと制輪子支持
部4Aのフレームとの間に設けられたリターンスプリン
グ40に対抗して、ブレーキディスク3側に押し出され
るようになっている。
【0032】なお、基端側ピストン34外周とピストン
シリンダ31内周との間にはシール部材37が、軸部3
3A外周と貫通穴34A内周にはシール部材38がそれ
ぞれ設けられ、油室35がシールされている。
【0033】基端側ピストン34のブレーキディスク3
側(図の右側)には、収容部34Cが形成され、この収
容部34Cには、同軸上の先端側ピストン41が収容さ
れる。 この先端側ピストン41は、先端に、断熱板4
2を介して制輪子5Aを支持する。なお、収容部34C
内周と先端側ピストン41の外周の間には、所定のクリ
アランスが設けられ、先端側ピストン41の軸は基端側
ピストン34の軸に対してわずかに傾くことができるよ
うになっている。
【0034】また、先端側ピストン41の基端と収容部
34Cの底部との間には油室43が画成され、この油室
43は先端側ピストン41の外周と収容部34C内周と
の間に介装されたシール部材44によりシールされる。
この油室43には、基端側ピストン34に内蔵されたチ
ェック弁45を通ってのみ、油室35からの作動油が流
入する。
【0035】これにより、制輪子5A、5Bが摩耗した
ために、制動時に基端側ピストン34が移動範囲いっぱ
いまで、すなわちクリアランスyだけ移動して係止部4
9に当接するまで移動しても制輪子5Aはブレーキディ
スク3に到達しなくなったときには、油室35の油圧の
上昇によりチェック弁45が圧し開かれて、油室43に
作動油が流入し、油室43を拡大する。すなわち、チェ
ック弁45のクラッキング圧力は、基端側ピストン34
がクリアランスyの間を移動するときのリターンスプリ
ング40のバネ力よりも大きく設定される。そして、基
端側ピストン34が摺動範囲いっぱいまで摺動し、拡大
できなくなった油室35にさらに作動油が流れ込もうと
するときに、初めて油室35の油圧がチェック弁45の
クラッキング圧力を超えて、油室43に作動油が流入す
るようになっている。このようにして、先端側ピストン
41は、この油室43の拡大分だけ、基端側ピストン3
4に対してブレーキディスク3側に相対変位し、制輪子
5Aがブレーキディスク3に当接する。
【0036】また、油室43に流入した作動油は、チェ
ック弁45により油室35への逆流が阻止されているの
で、いったん油室43が拡大し、先端側ピストン41が
基端側ピストン34に対して相対変位すると、その後、
例えば蓋部材33の中心軸上に貫通し軸部33A先端に
達する油抜き穴33Dから油室43の作動油を抜き出さ
ない限り、この相対変位は維持されることになる。な
お、油抜き穴33Dは、このように油室43からの油を
(または製造時におけるエアを)抜くための穴であり、
通常は基端側を栓39で封止されている。
【0037】つぎに作用を説明する。
【0038】鉄道車両を制動するときには、ブレーキ信
号にしたがって油圧導入口7から導入される作動油が制
輪子支持部4A内の油路36と通じて油室35内に供給
される。これにより、油室35が拡張し、基端側ピスト
ン34はブレーキディスク3側に、基端側ピストン34
の段部34Eとピストンシリンダ31開口の係止部49
との間のクリアランスyの長さ(制輪子5A、5Bとブ
レーキディスク3との初期間隔に等しい長さ)だけ押し
出され、先端側ピストン41に支持される制輪子5A
が、反対側の制輪子5Bとともに、ブレーキディスク3
に押し付けられ、このとき生じる摩擦力により車輪が制
動される。
【0039】ところで、このような制動動作により制輪
子5A、5Bの摩擦面が擦り減ると、この摩耗分、制輪
子5A、5Bとブレーキディスク3との間隔が広がる。
したがって、基端側ピストン34がクリアランスyの長
さだけ、すなわち摺動範囲いっぱいで移動したとして
も、制輪子5A、5Bはブレーキディスク3と当接しな
い。
【0040】この場合には、それ以上拡大できなくなっ
た油室43の油圧が、チェック弁45のクラッキング圧
力を超えて高まり、チェック弁45が圧し開かれて作動
油が油室43に流入する。このようにして油室43に作
動油が流れ込むと、先端側ピストン41は基端側ピスト
ン34に対して相対変位し、先端側ピストン41の先端
に支持された制輪子5Aはブレーキディスク3と当接す
るまで押し出されることになる。すなわち、先端側ピス
トン41は、制輪子5A、5Bとブレーキディスク3と
の間隔が広がった分だけ、基端側ピストン34に対して
相対変位する。
【0041】一方、油室43の作動油はチェック弁45
により油室35への逆流が止められているので、基端側
ピストン34に対する先端側ピストン41の相対変位
は、制動動作の終了後にも維持される。したがって、こ
の相対変位分前方に伸び出した制輪子5A、5Bとブレ
ーキディスク3との間隔は、結局、クリアランスyの長
さと等しい間隔に戻ることになる。
【0042】このように本発明によれば、制輪子5A、
5Bとブレーキディスク3の初期間隔は常に一定に保た
れるので、ブレーキ動作に常に一定の安定した応答性を
持たせることが可能となる。
【0043】また、本発明では、ディスクブレーキ装置
のアジャスト機構が、ピストン機構とともに少ない部品
点数で簡素に構成できるので、コスト削減を図ることが
できる。
【0044】また、本発明では、油室35および油室4
3に作動油が充填される構成となっているので、この作
動油が断熱効果を持ち、ブレーキディスク3との摩擦で
高温となる制輪子5Aからの熱が制輪子支持部4A側に
伝わりにくい利点がある。
【0045】さらに、本発明では、基端側ピストン34
はピストンシリンダ31および蓋部材33に対して、ま
た先端側ピストン41は基端側ピストン34に対して、
それぞれこれらの間に設けたクリアランスの分だけ傾き
得るので、ピストン34、41に偏荷重がかかりピスト
ン34、41をピストンシリンダ31に対してねじ曲げ
ようとしても、これを先端側ピストン41および基端側
ピストン34の傾きによって吸収することができ、基端
側ピストン34とピストンシリンダ31との間にこじれ
が生じることが防止できる。
【0046】また、本発明では、コーナリングのとき
等、制輪子支持部4Aに対してブレーキディスク3が傾
いたときでも、先端側ピストン41に支持される制輪子
5Aは、上述の二重のクリアランスに基づく先端側ピス
トン41の制輪子支持部4Aに対する傾きにより、制輪
子支持部4Aとブレーキディスク3との傾きを吸収し、
制輪子5Aとブレーキディスク3とを傾きなく当接する
ようにするので、制輪子5Aの偏摩耗が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】ディスクブレーキ装置の全体構成を示す正面図
である。
【図3】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ブレーキキャリパ 2A アーム 2B アーム 3 ブレーキディスク 4A 制輪子支持部 4B 制輪子支持部 5A 制輪子 5B 制輪子 7 油圧導入孔 8 取り付け部 9 支持ピン 31 ピストンシリンダ 32 シール部材 33 蓋部材 33A 軸部 33B 段部 33C テーパ部 33D 油抜き穴 34 基端側ピストン 34A 貫通穴 34B 底面 34C 収容部 35 油室 36 油路 37 シール部材 38 シール部材 39 栓 40 リターンスプリング 41 先端側ピストン 43 油室 44 シール部材 45 チェック弁

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の各車輪と一体に回転するブレーキデ
    ィスクと、 このブレーキディスクの回転軸方向へ移動可能に車両側
    に取り付けられたブレーキキャリパとを備え、 このブレーキキャリパに、前記ブレーキディスクを両側
    から挟み込む一対の制輪子と、これら一対の制輪子の一
    方を前記ブレーキディスク側に押し出すピストンと、こ
    のピストンを収容するピストンシリンダを設けたことを
    特徴とするディスクブレーキ装置において、 前記ピストンには基端側の初期位置から前記ブレーキデ
    ィスク側の摺動限界まで前記ピストンシリンダ内を摺動
    可能な基端側ピストンを備え、この基端側ピストンを基
    端側の初期位置へと付勢する付勢手段を備え、前記ピス
    トンシリンダの前記基端側ピストン基端側に制動時に作
    動油が供給される第1の油室を画成し、制動時にこの第
    1の油室に作動油が流入することにより前記基端側ピス
    トンが初期位置から摺動限界まで移動するようにすると
    ともに、前記基端側ピストンに形成した収容部には先端
    側ピストンを同軸的に収容し、この先端側ピストンの先
    端側に前記制輪子を支持し、前記収容部と前記先端側ピ
    ストンの間に第2の油室を画成し、前記第1の油室と第
    2の油室とを連通するチェック弁を備え、このチェック
    弁が圧し開かれる圧力を前記基端側ピストンの摺動時に
    おける付勢手段の付勢力よりも大きく設定したことを特
    徴とするディスクブレーキ装置。
  2. 【請求項2】前記基端側ピストンが移動する初期位置か
    ら摺動限界までの長さを、前記制輪子とディスクブレー
    キの初期間隔に一致させたことを特徴とする請求項1に
    記載のディスクブレーキ装置。
  3. 【請求項3】前記チェック弁を前記基端側ピストンに内
    蔵したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    のディスクブレーキ装置。
  4. 【請求項4】前記第1の油室の前記基端側ピストンと反
    対側の側面を封止する蓋部材を前記ピストンシリンダに
    固定し、前記基端側ピストンの中心軸上に前記第1の油
    室側から前記第2の油室に達する貫通穴を形成し、この
    貫通穴に前記蓋部材から延び出す軸部を貫通させるとと
    もに、前記蓋部材には前記軸部の先端部に達する油抜き
    穴を形成し、この油抜き穴の端部を閉止する栓を備えた
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかひと
    つに記載のディスクブレーキ装置。
  5. 【請求項5】前記ピストンシリンダ内周と前記基端側ピ
    ストン外周との間に所定の隙間を設け、前記収容部内周
    と前記先端側ピストン外周との間に所定の隙間を設け、
    前記貫通穴内周と前記軸部外周との間に所定の隙間を設
    けたことを特徴とする請求項4に記載のディスクブレー
    キ装置。
  6. 【請求項6】前記ピストンシリンダ内周と前記基端側ピ
    ストン外周との間に所定の隙間を設け、前記収容部内周
    と前記先端側ピストン外周との間に所定の隙間を設けた
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかひと
    つに記載のディスクブレーキ装置。
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CN110925334A (zh) * 2019-12-27 2020-03-27 湖北科技学院 一种具有防抱死功能的钳式制动结构
CN111457040A (zh) * 2019-01-18 2020-07-28 克诺尔轨道车辆***有限公司 紧凑型制动钳单元的磨损调节器和紧凑型制动钳单元

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CN111457040B (zh) * 2019-01-18 2021-12-28 克诺尔轨道车辆***有限公司 紧凑型制动钳单元的磨损调节器和紧凑型制动钳单元
CN110925334A (zh) * 2019-12-27 2020-03-27 湖北科技学院 一种具有防抱死功能的钳式制动结构
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