JP3121836B2 - 車両ブレーキ用の、特に、ディスクブレーキ用のアクチュエータ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、車両ブレーキ用の、特に、ディスクブレー
キ用のアクチュエータであって、 ・底部を有するケーシングと、 ・該ケーシングの底部に軸支され、機械的制動のために
回転可能であるシャフトと、 ・該ケーシングに固定され、且つ、該シャフトの周りで
底部に接し且つ支持された環状板として形成された斜面
カム（Rampenanordnung）であって、偏心して配設され
た回転どめにより回転が阻止される前記斜面カムと、 ・前記ケーシング内に、軸心方向に変位し得るように配
設され、トルク伝達のために前記シャフトに結合され、
前記シャフトから自身に加えられたトルクを軸心方向へ
の操作力に変換し得るよう前記斜面カムを押している回
転可能な斜面カムとを備えた前記アクチュエータに関す
る。

この型式のアクチュエータは、欧州特許明細書EP 0 4
03 635 B1から知られている。この場合、ケーシングに
固定された斜面カムのための、偏心した回転どめとし
て、ケーシングの底部に軸心に関し平行に形成された盲
穴に嵌るように、エンボス加工（Praegen）により製造
されたピンが設けられるか、或は、ケーシングに固定さ
れた斜面カムにおける、半径方向に長い楕円形の孔内に
係合し得るようケーシング底部の盲穴に打ち込まれた、
軸に平行なピンが設けられる。その双方の場合共に、シ
ャフトは、前記ケーシングに固定された斜面カムを直接
に貫通し、該斜面カムは、環状板として具体化されてい
る。その結果、この斜面カムは、製造技術上の理由のた
め不可避的に生ずる半径方向隙間が解消されたときに
は、ケーシングに固定された斜面カムにブレーキ制動時
に作用を及ぼす反作用としてのモーメントを受けること
ができるようにシャフトに直接に当接する。この反作用
としてのトルクは、第一次近似において、シャフトを通
じて導入された操作トルクに比例し、同トルクは、前記
ケーシングに固定された前記斜面カム自体をシャフトで
支持する力が前記シャフトの更なる回転に対し顕著な摩
擦抵抗をが生じさせる程の大きさとなり得る。即ち、公
知の前記アクチュエータの効率は顕著に低下する。更
に、前記ケーシングに固定された前記斜面カムは、半径
方向隙間が解消される迄は前記シャフトに支持されない
から、この組立体を形成し、かつ、通常ほぼ円弧状の形
状をしている斜面は、回転可能な斜面カム内における対
応する斜面と最早、正確には整合されない偏心位置をと
る。例えば軸心方向に互いに対向している斜面同士の間
に通常、配置されているボールのようなローラ体は、こ
の理由により最早、基部面に所望通りには支持されず、
斜面の側斜面に支持されるようになる。その結果、摩擦
によって更なる損失が生じ、シャフトと、ケーシングに
固定された斜面カムとの間の摩擦におけると丁度同じよ
うな摩耗が生じる。その結果、アクチュエータの効率が
低下する。

そこで、本発明の一つの目的は、前記型式のアクチュ
エータを効率が良く且つ摩耗の傾向の少ないように改良
することである。

本発明によれば、ケーシングに固定された斜面カム
が、シャフトを回避して該ケーシングに心合わせされる
ことにより、この目的は達成される。

このようにして、従来、ケーシングに固定された斜面
カムからシャフトに伝達されていた横方向力がシャフト
に加わることがなくなる。ケーシングに固定された斜面
カムの心合わせは、シャフトの不可避的な軸受隙間によ
る影響を受けず、従って、公知の前記型式の従来のアク
チュエータにおけるよりも、より正確となる。この理由
により、ケーシングに固定された斜面カム内に一方で形
成された斜面と、回転可能な斜面カム内に他方で形成さ
れた斜面とは、大きい操作力が加えられたときも、互い
に関して、より良く心合わせされた状態に留り、従っ
て、これらの斜面が対として直接に、または、それらの
間に設けられたローラ体を介して協働するか否かに関係
なく、摩耗が減少する。

シャフトをケーシングの底部に軸支している軸受ブッ
シュに対して、該ケーシングに固定された前記斜面カム
が心合わせされるという、本発明の一つの実施の形態
が、特に有利であることが判明している。一方でシャフ
トを支持すると共に、他方でケーシングに固定された斜
面カムを心合わせするというように、軸受ブッシュを二
重に利用する結果、軸受ブッシュの製造組立コスト、及
びケーシングに固定された斜面カムのコストは、従来の
アクチュエータのものと同一程度に保たれる。それどこ
ろか、ケーシングの外側で軸受ブッシュにこの斜面カム
を滑合させ又は締り嵌めさせて、次に、一回の操作でそ
の双方をケーシング内に挿入し、前記軸受ブッシュ自体
が前記ケーシングの底部の穴に押し込まれて締り嵌めさ
れるようにすることが極めて容易となる。この点に関連
して、前記ケーシングに固定された前記斜面カムに嵌合
している小径の部分と、前記ケーシングの前記底部に収
容されている大径の別の部分とを軸受ブッシュが備えて
いることが特に有利なことである。

本発明の出発点となった従来技術と比較しつつ、本発
明の一つの実施の形態について、概略図を参照して以下
に更に詳細に説明する。概略図において、 図１は、本発明によるアクチュエータを備えた、スポ
ットタイプディスクブレーキ（Teilbelag−Scheibenbre
mse）の軸方向断面図、 図２は、図１の一部の拡大断面図、 図３は、図２におけるIII−III矢視断面図、 図４は、公知のアクチュエータの、図２と同様の断面
図、 図５は、図４におけるＶ−Ｖ矢視断面図である。

図１乃至図３に示したアクチュエータは、スポット型
ディスクブレーキの一部を形成するフローティングキャ
リパー10の内部に取り付けられており、該キャリパー
は、従来の方法でブレーキキャリア（Bremstraeger。図
示せず）上を案内されて、ブレーキディスク12の軸心に
関し平行に変位可能である。このフローティングキャリ
パー10は、ブレーキディスク12及び二つのブレーキパッ
ド14、16を跨ぎ、その一方のブレーキパッド14は、前記
アクチュエータによりブレーキディスク12に直接に押し
付けられ得るよう構成されている。このことにより、フ
ローティングキャリパー10を変位させる反力が生じ、従
って、キャリパー10の一体型の脚部18が、第二のブレー
キパッド16もまたブレーキディスク12に押し付けられる
ことを保証する。

このアクチュエータは、一体に例えば鋳造により製造
されたケーシング20を備えており、該ケーシング20は、
底部22と、ブレーキディスク12に向かって開口した円筒
状穴26が形成された外殻24とを備え、該外殻24には、マ
スタブレーキシリンダに接続される入口通路28が形成さ
れている。ブレーキパッド14との当接面が形成され閉鎖
された外面端部壁32を有する、カップ状ピストン30が該
円筒状穴26内を案内される。

機械的なブレーキ作動のためのシャフト34が、ケーシ
ング20の底部22内の軸受ブッシュ36内で回転し、かつ、
軸心をピストン30と共通にして該軸心方向に変位し得る
ように支持されている。シャフト34の外端に取付けられ
たレバー38は、通常、例えばボーデンケーブルにより駐
車ブレーキレバー、または同ペダルに接続されている。
前記ケーシング20に固定された斜面カム40は、軸受ブッ
シュ36に締まり嵌めされた状態で、シャフト34に接触せ
ずに前記底部22の内面に着座した環状板として具体化さ
れている。該環状体は、ケーシング20に関して軸受ブッ
シュ36により心合わせされている。ケーシング20に固定
された斜面カム40の回転を回転どめ42が阻止している。
図示した実施の形態において、前記回転どめ42は、ケー
シング20の底部22の穴に打ち込まれた切込み付きピンと
して具体化され、この切込み付きピンは、ケーシング20
に固定された斜面カム40における偏心孔44内に半径方向
隙間を伴って係合する。

ケーシングに固定された斜面カム40には、円周方向に
細長くした、三つの浴槽状斜面46が形成されており、こ
の浴槽状斜面46の各々は、図示した実施の形態におい
て、球形状の押し拡げ体48を収容している。これらの押
し拡げ体48の各々は、同様に環状の可調節型斜面カム50
における、対応する浴槽状斜面と協働する。この実施の
形態において、この斜面カム50は、シャフト34と一体に
形成されている。この点に関し、及び別の態様に関し
て、図示のアクチュエータは、上述の欧州特許明細書EP
0 403 635 B1の図９乃至図12から知られているものに
対応する。

ケーシングに固定された斜面カム40の、軸受ブッシュ
36による心合わせは、公知の前記アクチュエータにおけ
ると異なるが、図２及び図３により詳細に示してある。
該軸受ブッシュ36は、軸受ブッシュ36内に受け入れられ
るシャフト34部分の外径よりも0.25mm程度の軸受隙間だ
け大きい内径を有する。該軸受ブッシュ36の外側には段
が付けられている。より大きい外径の部分52が、ケーシ
ングの底部22の段付き穴の大径部分54内に、殆ど隙間無
しに、好ましくは、完全に隙間無しの状態で受け入れら
れ、また、この部分52は、シール58を受け入れるスペー
スを、この段付き穴の更に小径の外側部分56と共に規定
する。該軸受ブッシュ36は、小さい外径の部分60を更に
備えており、ケーシングに固定された斜面カム40が、こ
の部分60に締り嵌め状態で着座している。

機械的にブレーキを作動させるため、レバー８により
シャフト34を、従って可調節型斜面カム50を回転させる
と、押し拡げ体48は、円周方向に昇りになっている当該
斜面46に沿って転動する。その結果、可調節型斜面カム
50は、ケーシングに固定された斜面カム40から離れる方
向に、即ち、図１及び図２の右方向に押しやられる。こ
れと同時に、押し拡げ体48は、ケーシングに固定された
斜面カム40に反力を加える。これらの反力は、軸心に関
し平行に作用して前記斜面カ40をケーシングの底部22の
方へ押す成分と、図３に示すように、アクチュエータの
軸心Ａに関するそのモーメントを偶力Ｆ、Ｆ′として表
現することのできる円周方向成分とに分けることができ
る。力Ｆは、回転どめ42により受け取られ、また、ケー
シングの底部22に伝達される。力Ｆ′は、軸受ブッシュ
36により受け取られ、シャフトに何ら影響を与えずにケ
ーシングの底部22に同様に伝達される。

比較のため、図４及び図５には、欧州特許明細書EP 0
403 635 B1による従来のアクチュエータの構造上の配
置及びそれに伴う作動状態が、それぞれ示してある。こ
の場合にも、ブレーキを掛けたときに発生して、斜面カ
ム40上で円周方向に作用する反作用力（Reaktionskraf
t）Ｆは、回転どめ42により受け取られる。しかしなが
ら、大きさの等しい反力Ｆ′は、シャフト34に、ケーシ
ングに固定された斜面カム40から作用し、該シャフト34
から、軸受ブッシュ36を通じてケーシングの底部22に伝
達される。前記シャフト34が斜面カム40を貫通するとき
の不可避的な半径方向隙間のゆえに、該ケーシングに固
定されたこの斜面カム40は、図５に矢印Ｐで図示するよ
うに、力Ｆ′により回転どめ42を中心として旋回させら
れる。実際には、回動角度αは1.5゜程度である。ケー
シングに固定された斜面カム40の斜面46は、その結果、
可調節型斜面カム50における、対応する斜面に関し移動
させられる。この際、対応する対の斜面が軸心Ａを中心
とするのではなくて、偏心して配置された回転どめ42を
中心として互いに関し捩られるので、それらの斜面が押
し拡げ体48と共に所望通りに正確に協働することができ
なくなることが、特に不利な点である。この望ましくな
い捩れ及び同様に望ましくない、シャフト34に対する力
Ｆ′の影響は、図１乃至図３による構成によって排除さ
れる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F16D 65/18

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両ブレーキ用の、特に、ディスクブレー
   キ用のアクチュエータであって、 ・底部（22）を有するケーシング（20）と、 ・該ケーシング（20）の底部（22）に軸支され、機械的
   制動のために回転可能であるシャフト（34）と、 ・該ケーシング（20）に固定され、且つ、該シャフト
   （34）の周りで前記底部（22）に接し且つ支持された環
   状板として形成された斜面カム（40）であって、偏心し
   て配設された回転どめ（42）により回転が阻止される前
   記斜面カム（40）と、 ・前記ケーシング（20）内に、軸心方向に変位し得るよ
   うに配設され、トルク伝達のために前記シャフト（34）
   に結合され、前記シャフト（34）から自身に加えられた
   トルクを軸心方向への操作力（Ｂ）に変換し得るよう前
   記斜面カム（40）を押している回転可能な斜面カム（5
   0）とを備えた前記アクチュエータにおいて、 前記シャフト（34）を前記底部（22）に軸支している軸
   受ブッシュ（36）に対して前記斜面カム（40）が心合わ
   せされていることを特徴とするアクチュエータ。
2. 【請求項２】前記斜面カム（40）が、前記軸受ブッシュ
   （36）に、しまりばめされていることを特徴とする請求
   の範囲第１項に記載のアクチュエータ。
3. 【請求項３】前記斜面カム（40）に嵌合している、外径
   の小さい部分（60）と、前記底部（22）に収容されてい
   る、外径の大きい部分（52）とを前記軸受ブッシュ（3
   6）が備えたことを特徴とする請求の範囲第１項または
   第２項に記載のアクチュエータ。