JPH10297236A - 産業車両の車体揺動制御装置 - Google Patents

産業車両の車体揺動制御装置

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JPH10297236A
JPH10297236A JP10601297A JP10601297A JPH10297236A JP H10297236 A JPH10297236 A JP H10297236A JP 10601297 A JP10601297 A JP 10601297A JP 10601297 A JP10601297 A JP 10601297A JP H10297236 A JPH10297236 A JP H10297236A
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JP
Japan
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value
detector
vehicle
failure
axle
Prior art date
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Application number
JP10601297A
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English (en)
Inventor
Kazuo Ishikawa
和男 石川
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Priority to EP98107081A priority patent/EP0873893B1/en
Priority to CNB981094120A priority patent/CN1151039C/zh
Priority to KR10-1998-0013725A priority patent/KR100361242B1/ko
Priority to DE69822358T priority patent/DE69822358T2/de
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2200/00Indexing codes relating to suspension types
    • B60G2200/30Rigid axle suspensions
    • B60G2200/32Rigid axle suspensions pivoted
    • B60G2200/322Rigid axle suspensions pivoted with a single pivot point and a straight axle
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2204/00Indexing codes related to suspensions per se or to auxiliary parts
    • B60G2204/40Auxiliary suspension parts; Adjustment of suspensions
    • B60G2204/46Means for locking the suspension
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2300/00Indexing codes relating to the type of vehicle
    • B60G2300/02Trucks; Load vehicles
    • B60G2300/022Fork lift trucks, Clark

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  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 検出器が故障しても、明らかに車軸を揺動し
ても差し支えない走行状態や荷役状態であれば車軸の揺
動を規制しない。 【解決手段】 後輪11を支持するリアアクスル10
は、センタピン10aを中心に車体に対して上下に揺動
可能に取付けられている。コントローラ29は、センサ
21,22の検出値θ,Vにより走行状態を、センサ2
7,28の検出値H,wにより荷役状態をそれぞれ検出
し、検出値θ,Vから得られた判定値(横G等)が、検
出値H,wに応じて決まる設定値以上になると、ダンパ
13の電磁切換弁14を切換えてリアアクスル10をロ
ックする制御を行う。センサ21,22,27,28が
故障と診断されたときには、検出値として最も過酷な最
大値θmax ,Vmax 等が設定されるため、組をなす1個
のセンサが故障しても、他方のセンサの検出値が判定値
を設定値未満とする走り方をする限りにおいてはリアア
クスル10がロックされない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業車両の車体に
揺動可能に設けられた車軸を、走行状態や荷役状態に応
じて固定する制御を行う産業車両の車体揺動制御装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、フォークリフト等の産業車両で
は、走行時の車両安定化を図るため、後輪を支持する車
軸が車体に対して揺動可能に取付けられている。フォー
クリフトが旋回するときには、遠心力による横向きの力
を受けて車体が傾くため、走行安定性が低下する場合が
ある。
【0003】そこで、特開昭58−211903号公報
には、フォークリフトに遠心力を検出する旋回検出手段
を設け、車両に働く遠心力が所定値以上になると、車軸
を車軸固定機構にて固定する技術が開示されている。こ
のフォークリフトでは、車軸が固定されることで旋回時
の車体の傾きが小さく抑えられ、安定な姿勢で旋回する
ことができる。
【0004】また、特開昭58−167215号公報に
は、フォーク上の積荷の荷重が所定重量以上になったこ
とを検知する荷重検知手段と、フォークが所定高さ以上
に上昇したことを検知する揚高検知手段とを備え、両検
知手段が共に検知状態となる重荷重かつ高揚高のとき
に、車軸を固定する技術が開示されている。
【0005】さらに本願出願人は、車両に働く横向きの
加速度(横G)を、センサにより検出した操舵輪のタイ
ヤ角と車速から演算により推定し、その横Gが設定値以
上になると車軸を固定する技術を提案している(特願平
8−149560号)。
【0006】ところで、検出器が故障した場合に、車軸
を揺動可能な状態に放置すると、旋回時や、重荷重かつ
高揚高時に走行安定性を確保し難くなる。そこで、一般
には、検出器が故障したときには、安全サイドに車軸の
揺動を強制的に規制しておくことが望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、検出器の故障
時に車軸が固定状態に保持されると、起伏のある路面を
走行するときに、空荷などで車重が後輪側にかかった状
態にあれば、後輪二輪が路面に接地して、駆動輪である
前輪の片側が路面から浮き上がるなど駆動輪の接地圧が
十分確保されないことが起こり得る。この場合、駆動輪
がスリップして、最悪の場合、動き出せなくなり立ち往
生する恐れがあった。
【0008】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その第1の目的は、検出器が故障し
ても、明らかに車軸を揺動させても差し支えないときに
は、車軸を揺動可能状態に保持し、駆動輪がスリップす
るなどの不具合の発生を極力防止することができる産業
車両の車体揺動制御装置を提供することにある。また、
第2の目的は、判定値を得るための故障していない方の
検出器の検出値をみるだけで車軸の規制制御を行うこと
で、判定値が所定条件を満たすか否かを判定するための
演算を不要にすることにある。第3の目的は、検出器が
故障したときに、車軸が揺動可能状態に保持される範囲
をできるだけ広く確保することにある。また、第4の目
的は、検出器が故障しても、明らかに車軸を揺動させて
も差し支えない走行状態のときには、車軸を揺動可能状
態に保持することにある。さらに第5の目的は、検出器
が故障しても、明らかに車軸を揺動させても差し支えな
い走行・荷役状態のときには、車軸を揺動可能状態に保
持することにある。また、第6の目的は、検出器が故障
しても、明らかに車軸を揺動させても差し支えない荷役
状態のときには、車軸を揺動可能状態にすることにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため請求項1に記載の発明では、車体に対して上下方
向に揺動可能に支持された車軸と、前記車軸の揺動を規
制するための車軸規制機構と、車両の走行状態及び荷役
状態のうち少なくとも一方を検出するための複数の検出
器と、前記複数の検出器のうち少なくとも2つの検出器
の検出値から決まる判定値が所定条件を満たしたとき
に、前記車軸規制機構を作動させる制御手段と、少なく
とも1つの前記検出器の故障を診断する故障診断手段と
を備え、前記制御手段は、前記故障診断手段が前記検出
器を故障と診断した状態では、故障と診断された検出器
の検出値が、該検出器の正常時の検出範囲内で判定値を
最も前記所定条件を満たし易くする値をとったと仮定し
たときに、車軸規制機構の作動が必要でないと認められ
るときには、前記車軸規制機構を作動させないように設
定されている。
【0010】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記制御手段は、前記故障診断手段
により故障と診断された検出器の検出値として、その正
常時の検出範囲内で判定値を最も前記所定条件を満たし
易くする値以上且つ、該判定値を得るための他の検出器
の検出値がその検出範囲内のある領域の値をとったとき
に少なくとも該判定値が前記所定条件を満たさなくなる
所定値を設定する検出値設定手段を備えている。
【0011】第2の目的を達成するため請求項3に記載
の発明では、請求項1に記載の発明において、前記制御
手段は、故障と診断された側でない前記判定値を得るた
めの他の検出器の検出値が、故障と診断された検出器の
検出値がその正常時の検出範囲内で判定値を最も前記所
定条件を満たし易くする値をとったと仮定したときに該
判定値が前記所定条件を満たさなくなる所定範囲の値で
あるときには、前記車軸規制機構を作動させないことを
その要旨とする。
【0012】第3の目的を達成するため請求項4に記載
の発明では、請求項2に記載の発明において、前記検出
値設定手段が設定する前記所定値は、故障と診断された
前記検出器の正常時の検出範囲内で前記判定値を最も前
記所定条件を満たし易くする値である。
【0013】第4の目的を達成するため請求項5に記載
の発明では、請求項2に記載の発明において、前記複数
の検出器は判定値としての車両の横G及び車両のヨーレ
ート変化率のうち少なくともいずれか一方を得るために
必要な検出値を検出するための第1検出器を備え、前記
制御手段は、前記複数の第1検出器の検出値から得られ
る横Gもしくはヨーレート変化率が設定値以上となる前
記所定条件を満たすと、前記車軸規制機構を作動させる
ように設定されており、前記検出値設定手段は、前記複
数の第1検出器のうち前記故障診断手段により故障と診
断された検出器の検出値として、その正常時の検出範囲
内で前記横Gもしくは前記ヨーレート変化率を最も大き
くし得る値である前記所定値を設定するようにした。
【0014】請求項6に記載の発明では、請求項5に記
載の発明において、前記複数の第1検出器は、操舵輪の
操舵角を検出する操舵角検出器と、車速を検出する車速
検出器とからなる。
【0015】請求項7に記載の発明では、請求項5に記
載の発明において、前記複数の第1検出器は、車両のヨ
ーレートを検出するためのヨーレート検出器と、車速を
検出する車速検出器とからなる。
【0016】第5の目的を達成するため請求項8に記載
の発明では、請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載
の発明において、前記横Gを得るための複数の第1検出
器の他に、車両の重心高さを検出するために必要な複数
の第2検出器を備え、前記制御手段は、前記横Gが、複
数の第2検出器から検出される車両の重心高さに応じて
決まる設定値以上になったときを前記所定条件を満たし
たとして、前記車軸規制機構を作動させるように設定さ
れており、前記検出値設定手段は、前記複数の第2検出
器のうち前記故障診断手段により故障と診断された検出
器の検出値として、その正常時の検出範囲内で前記車両
の重心高さを最も高くし得る値である前記所定値を設定
する。
【0017】第6の目的を達成するため請求項9に記載
の発明では、請求項2に記載の発明において、前記複数
の検出器は、車両の荷役状態から決まる車両の重心高さ
を前記判定値として検出するための複数の第2検出器か
らなり、前記制御手段は、前記複数の第2検出器から検
出される車両の重心高さが設定値以上になる前記所定条
件を満たすと、前記車軸規制機構を作動させるように設
定されており、前記検出値設定手段は、前記故障診断手
段により故障と診断された第2検出器の検出値として、
その正常時の検出範囲内で車両の重心高さを最も高くし
得る値である前記所定値を設定するようにした。
【0018】請求項10に記載の発明では、請求項8又
は請求項9に記載の発明において、車両の重心高さを検
出するために必要な複数の前記第2検出器は、荷を積載
するために車両に設けられた積載機器の揚高を検出する
揚高検出器と、該積載機器上の積荷の荷重を検出する荷
重検出器とからなる。
【0019】請求項11に記載の発明では、請求項1〜
請求項10のいずれか一項に記載の発明において、前記
故障診断手段は、故障診断対象である検出器の検出値が
予め設定された故障条件を所定時間以上継続して満たし
たことをもって該検出器の故障と診断する。
【0020】(作用)従って、請求項1に記載の発明に
よれば、複数の検出器のうち少なくとも2つの検出値か
ら得られた判定値が所定条件を満たすと、制御手段が車
軸規制機構を作動して車軸の揺動が規制される。検出器
が故障診断手段により故障と診断されると、制御手段
は、故障と診断された検出器の検出値がその正常時の検
出範囲内で判定値を最も所定条件を満たし易くする値を
とったと仮定したときに、車軸規制機構の作動が必要で
ないと認められる所定時期には、車軸規制機構を作動さ
せない。従って、検出器が故障しても、車軸の揺動を規
制すべきときに確実に車軸の揺動が規制され、明らかに
車軸を揺動しても差し支えないときには車軸の揺動が規
制されないことになる。
【0021】請求項2に記載の発明によれば、故障診断
手段により検出器が故障と診断されると、故障と診断さ
れた検出器の検出値として、その正常時の検出範囲内で
判定値を最も所定条件を満たし易くする値以上に過酷な
値であって、且つその判定値を得るための他の検出器の
検出値がその検出範囲内のある領域の値をとったときに
少なくともその判定値が所定条件を満たさなくなる所定
値が、検出値設定手段により設定される。従って、判定
値を得るための故障していない方の検出器の検出値があ
る領域内の値をとるときには、少なくとも車軸の揺動が
規制されない。
【0022】請求項3に記載の発明によれば、故障診断
手段により検出器が故障と診断されると、制御手段は、
故障と診断された側でない判定値を得るための他の検出
器の検出値が所定範囲内の値であるときには、車軸規制
機構を作動させない。この所定範囲は、故障と診断され
た検出器の検出値がその正常時の検出範囲内で判定値を
最も所定条件を満たし易くする値をとったと仮定したと
きに、判定値が所定条件を満たさなくなる範囲として設
定される。従って、検出器が故障しても、故障していな
い他の検出器の検出値をみるだけで、明らかに車軸が揺
動しても差し支えないときに車軸の揺動が規制されな
い。よって、判定値が所定条件を満たすか否かを判定す
るための各種演算が不要になる。
【0023】請求項4に記載の発明によれば、故障診断
手段により検出器が故障と診断された状態では、検出値
設定手段により、故障と診断された検出器の検出値とし
て、その正常時の検出範囲内で判定値を最も所定条件を
満たし易くする値が設定される。そのため、検出器の故
障時に車軸の揺動が規制されない範囲ができるだけ広く
確保される。
【0024】請求項5に記載の発明によれば、複数の第
1検出器の検出値から得られた車両の横Gもしくはヨー
レート変化率が設定値以上になると、制御手段により車
軸規制機構が作動されて車軸の揺動が規制される。複数
の第1検出器のうちいずれかが故障診断手段により故障
と診断されると、その故障した第1検出器の検出値とし
て、その正常時の検出範囲内で最も横Gもしくはヨーレ
ート変化率を大きくし得る値が、検出値設定手段により
設定される。従って、第1検出器のいずれかが故障して
も、車軸の揺動を規制すべきときに確実に車軸の揺動が
規制され、明らかに車軸を揺動しても差し支えない走行
状態のときには車軸の揺動が規制されないことになる。
【0025】請求項6に記載の発明によれば、操舵角検
出器により検出された操舵輪の操舵角と、車速検出器に
より検出された車速とから、車両の横G及びヨーレート
変化率のうち少なくとも一方が算出される。操舵角検出
器と車速検出器のいずれかが故障診断手段により故障と
診断されると、その故障した検出器の検出値として、そ
の正常時の検出範囲内で横Gもしくはヨーレート変化率
を最も大きくし得る値が検出値設定手段により設定され
る。従って、操舵角検出器と車速検出器のいずれかが故
障しても、車軸の揺動を規制すべきときに車軸の揺動が
規制され、明らかに車軸を揺動しても差し支えない走行
状態のときには車軸の揺動が規制されないことになる。
【0026】請求項7に記載の発明によれば、ヨーレー
ト検出器により検出された車両のヨーレートと、車速検
出器により検出された車速とから、車両の横Gが算出さ
れる。ヨーレート検出器と車速検出器のいずれかが故障
診断手段により故障と診断されると、その故障した検出
器の検出値として、その正常時の検出範囲内で横Gを最
も大きくし得る値が検出値設定手段により設定される。
従って、ヨーレート検出器と車速検出器のいずれかが故
障しても、車軸の揺動を規制すべきときに車軸の揺動が
規制され、明らかに車軸を揺動しても差し支えない走行
状態のときには車軸の揺動が規制されないことになる。
【0027】請求項8に記載の発明によれば、複数の第
1検出器の検出値から求められた横Gが、複数の第2検
出器の検出値から車両の重心高さに応じて決まる設定値
以上になると、制御手段により車軸規制機構が作動され
て車軸の揺動が規制される。第2検出器が故障診断手段
により故障と診断されると、その故障した第2検出器の
検出値として、その正常時の検出範囲内で車両の重心高
さを最も高くし得る値が検出値設定手段により設定され
る。従って、第2検出器のいずれかが故障しても、車軸
の揺動を規制すべきときに車軸の揺動が規制され、明ら
かに車軸を揺動しても差し支えない走行・荷役状態のと
きには車軸の揺動が規制されないことになる。
【0028】請求項9に記載の発明によれば、複数の第
2検出器により荷役状態に応じた車両の重心高さが検出
される。車両の重心高さが設定値以上になると、制御手
段により車軸規制機構が作動されて車軸の揺動が規制さ
れる。複数の第2検出器のうちいずれかが故障診断手段
により故障であると診断されると、その故障した第2検
出器の検出値として、その正常時の検出範囲内で車両の
重心高さを最も高くし得る所定値が、検出値設定手段に
より設定される。従って、荷役状態を検出するための第
2検出器が故障しても、車軸の揺動を規制すべきときに
車軸の揺動が規制され、明らかに車軸を揺動しても差し
支えない荷役状態のときには車軸の揺動が規制されない
ことになる。
【0029】請求項10に記載の発明によれば、積載機
器の揚高が揚高検出器により検出され、積載機器上の積
荷の荷重が荷重検出器により検出される。揚高検出器又
は荷重検出器が故障診断手段により故障と診断される
と、その故障した検出器の検出値として、その正常時の
検出範囲内で車両の重心高さを最も高くし得る値(つま
り最大揚高または最大荷重に相当する値)が、検出値設
定手段により設定される。従って、揚高検出器と荷重検
出器のいずれかが故障しても、車軸の揺動を規制すべき
ときに確実に車軸の揺動が規制され、明らかに車軸を揺
動しても差し支えないときには車軸の揺動が規制されな
いことになる。
【0030】請求項11に記載の発明によれば、故障診
断手段は、故障診断対象である検出器の検出値が、予め
設定された故障条件を所定時間以上継続して満たしたこ
とをもって、この検出器を故障と診断する。そのため、
何らかの理由により正常であるにも拘わらず過渡的に極
く短時間、その検出値が故障条件を満たしても故障と診
断されないので、正常を故障とする誤診断が防止され
る。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)以下、本発明を具体化した第1実施形
態を図1〜図14に従って説明する。
【0032】図1,図3に示す本実施形態における産業
車両としてのフォークリフト1は、前輪駆動・後輪操舵
の四輪車である。図3に示すように、フォークリフト1
の機台前部に立設された左右一対のアウタマスト2a間
にはインナマスト2bが昇降可能に配設されており、こ
のインナマスト2bに積載機器としてのフォーク3がチ
ェーン4(図1に示す)を介して昇降可能に吊下されて
いる。アウタマスト2aは車体としての車体フレーム1
aに対してティルトシリンダ5を介して連結されてお
り、ティルトシリンダ5のピストンロッド5aが伸縮駆
動されることにより傾動するようになっている。アウタ
マスト2aの後面に配設されたリフトシリンダ6のピス
トンロッド6aはインナマスト2bの上端部に連結され
ており、リフトシリンダ6のピストンロッド6aが伸縮
駆動されることにより、フォーク3が昇降するようにな
っている。左右の前輪7はデフリングギア8(図1に示
す)及び変速機(図示せず)を介してエンジン9(図3
に示す)の動力によって駆動されるようになっている。
【0033】図1,図2に示すように、車体フレーム1
aの後下部には、車軸としてのリアアクスル10が車幅
方向へ延びた状態でセンタピン10aを中心に上下方向
に揺動(回動)可能に支持されている。操舵輪としての
左右の後輪11は、リアアクスル10に配設されたステ
アリングシリンダの左右一対のピストンロッドの各先端
にてリンク機構(いずれも図示せず)を介して操向可能
に連結されて、リアアクスル10と一体揺動可能に支持
されている。左右の後輪11はハンドル12の操作に基
づき駆動されるステアリングシリンダのピストンロッド
の伸縮動により操舵される。
【0034】車体フレーム1aとリアアクスル10との
間には、1個の油圧式ダンパ(以下、単に「ダンパ」と
いう。)13が両者を連結する状態で配設されている。
このダンパ13は複動式の油圧シリンダであり、車体フ
レーム1a側にダンパ13のシリンダ13aが連結さ
れ、シリンダ13a内に収容されたピストン13bから
延びるピストンロッド13cの先端がリアアクスル10
側に連結されている。
【0035】ダンパ13は、ピストン13bにて区画さ
れた第1室R1と第2室R2との各々に連通状態に接続
された第1管路P1と第2管路P2を介して切換弁とし
ての電磁切換弁14に接続されている。電磁切換弁14
は、消磁時に閉弁するノーマルクローズタイプの2ポー
ト2位置切換弁であり、そのスプールには止弁部15と
流弁部16とが形成されている。第2管路P2には第3
管路P3を介し、作動油を貯溜するアキュムレータ(リ
ザーバ)17がチェック弁18を介して接続されてい
る。
【0036】電磁切換弁14のスプールがボディに対し
て図2に示す遮断位置に配置されることにより、ダンパ
13は両室R1,R2における作動油の流出・流入が不
能なロック状態となり、リアアクスル10の揺動がロッ
クされる。一方、電磁切換弁14のスプールがボディに
対して連通位置(図2の状態からスプール位置が反対側
に切換えられた状態)に配置されることにより、ダンパ
13は両室R1,R2間における作動油の流出・流入が
可能なフリー状態となり、リアアクスル10の揺動が許
容されるようになっている。また、第2管路P2の経路
上には絞り弁19が設けられている。尚、ダンパ13及
び電磁切換弁14等にて車軸規制機構が構成されてい
る。
【0037】図1,図2に示すように、後輪11を回動
可能に支持するキングピン20の片側(右側)には、キ
ングピン20の回転量を検出して後輪11の操舵角(タ
イヤ角)を検出する検出器、第1検出器及び操舵角検出
器としてのタイヤ角センサ21が設けられている。タイ
ヤ角センサ21は例えばポテンショメータからなり、タ
イヤ角に応じた検出値(電圧値)θを出力する。
【0038】また、図1に示すように、デフリングギヤ
8にはその回転を検出することによりフォークリフト1
の車速を検出する検出器、第1検出器及び車速検出器と
しての車速センサ22が設けられている。車速センサ2
2は、図6に示すようにデフリングギヤ8の出力軸8a
の外周面上に等間隔に多数突設された磁性材料からなる
凸部8bに対向する所定位置に配置されている。車速セ
ンサ22は例えば誘導型センサからなり、単位時間当た
りにその検出域を通過する凸部8bの個数に応じた(即
ち、車速に応じた)周波数をもつサイン波であるアナロ
グ信号SA を出力する。
【0039】また、ハンドル12を支持するステアリン
グシャフト12aには、ハンドル角を検出するためのロ
ータリエンコーダ23が設けられている。ロータリエン
コーダ23は、ステアリングシャフト12aに一体回転
可能に設けられた円盤24と、円盤24の回転を検出す
るためにその周方向に等間隔に多数形成されたスリット
24aを通り抜ける光を検出可能に円盤24に対して所
定位置に配置された複数組のフォトカプラを備えたハン
ドル角センサ25とからなる。ハンドル角センサ25
は、フォトカプラを構成するフォトトランジスタにより
検出されたハンドル12の回転に応じたパルス信号hを
出力する。
【0040】また、図1に示すように、アウタマスト2
aの下部付近には、フォーク3が装着されたリフトブラ
ケット3aに一端を連結するワイヤ(図示せず)が巻取
方向に付勢された状態で巻回されたリール26が配設さ
れている。リール26には、その回転を検出可能な検出
器、第2検出器及び揚高検出器としての回転検出式の揚
高センサ27が配設されている。揚高センサ27は、ワ
イヤの巻取量をリール26の回転から検出することで、
フォーク3の揚高を連続的に検出し、その揚高に応じた
検出値Hを出力する。
【0041】また、リフトシリンダ6にはそのシリンダ
内の油圧を検出するための検出器、第2検出器及び荷重
検出器としての圧力センサ28が設けられている。圧力
センサ28は、フォーク3に積載された荷の荷重に応じ
た検出値wを出力する。図1に示すように、制御手段と
してのコントローラ29には、電磁切換弁14に備えら
れたソレノイド14a及び各センサ21,22,25,
27,28が電気的に接続されている。
【0042】次に、フォークリフト1の電気的構成を図
4に基づいて説明する。コントローラ29には、マイク
ロコンピュータ30、AD変換回路31〜34、パルス
生成回路32a及び励消磁駆動回路35等が内蔵されて
いる。マイクロコンピュータ30は、故障診断手段及び
検出値設定手段としてのCPU(中央演算処理装置)3
6、ROM(読出専用メモリ)37、RAM(読出書込
可能メモリ)38、クロック回路39、操舵カウンタ4
0、エラーカウンタ41〜44、入力インタフェイス4
6及び出力インタフェイス47を備える。
【0043】CPU36には、A/D変換回路31,3
3,34を介して各センサ21,27,28からの各検
出値θ,H,wが入力されるとともに、ハンドル角セン
サ25からのパルス信号hが入力される。さらにCPU
36には、パルス生成回路32aから車速に応じた周波
数のパルス信号Sp と、A/D変換回路32から信号S
A をデジタル化した検出電圧Dが入力される。
【0044】車速センサ22から出力されるアナログ信
号SA は、例えば図7に示すように、検出電圧範囲「0
〜E」内の中心電圧Dc を中心に車速に比例した周波数
で、かつ車速に応じた振幅値で振幅するサイン波を描
く。車速がある速度以上になると検出電圧Dの振幅は検
出電圧範囲を超えるようになる。また、走行停止時に
は、信号SA は中心電圧Dcで一定になる。パルス生成
回路32aは、アナログ信号SA が基準電圧Dp 以上の
ときにHレベル、基準電圧Dp 未満のときにLレベルを
出力することで、車速に比例した周波数のパルス(矩形
波)を有するパルス信号Sp を生成する。CPU36は
パルス生成回路36aから入力されたパルス信号Sp の
単位時間当たりのパルス数を計数することで、車速に相
当する値Vを求めるようになっている。また、検出電圧
Dは、後述する車速センサ22の故障診断に使用され
る。なお、各検出値θ,H,w,Dは、CPU36にA
D値(例えば8ビット値)として入力される。
【0045】また、ソレノイド14aはCPU36が励
消磁駆動回路35に対して出力する制御指令信号に基づ
き励磁・消磁される。電磁切換弁14はCPU36から
ロック解除信号が出力されるロック解除指令時に励磁さ
れてそのスプールが連通位置に配置され、CPU36か
らロック解除信号が出力されないロック指令時に消磁さ
れてそのスプールが遮断位置に配置される。
【0046】ROM37には、図11,図12にフロー
チャートで示すスウィング制御処理のプログラムデータ
や、図13,図14に示すセンサ故障診断処理プログラ
ムデータをはじめとする各種プログラムデータが記憶さ
れている。ここで、スウィング制御とは、車両の走行状
態や荷役状態等を検出してその検出結果から走行不安定
を招き易いと判断される所定時期に、リアアクスル10
をロックさせて車体の横方向の傾きを極力小さく抑える
ための制御である。
【0047】本実施形態では、判定値として車両に働く
横G(旋回時に車体横方向に働く遠心加速度)Gs と、
判定値として車体のヨーレート(旋回時の角速度)Yの
時間に対する変化率(ヨーレート変化率)ΔY/ΔTと
を走行状態として経時的に検出し、フォーク3に積載さ
れた荷の荷重wと、フォーク3の揚高Hとを荷役状態と
して経時的に検出する。換言すると、荷重wと揚高Hと
から車両の重心高さを検出する。そして、所定条件とし
て各値Gs ,ΔY/ΔTがいずれか一方でも予め設定さ
れた各々の設定値以上になると、リアアクスル10をロ
ックするように設定されている。ここで、横G(Gs )
の設定値は、荷役状態に応じて車両の重心が高くなるほ
どその値が段階的に小さく変化するように設定されてお
り、本実施形態では図8(a),(b)に示すように、
荷重wと揚高Hとの値の組合せ、即ち、車両の重心高さ
に応じて各設定値「0」「G1」「G2」が設定されて
いる。
【0048】すなわち、荷重wが設定値wo 未満と軽い
ときには、図8(a)に示すように、揚高Hが所定値H
o (例えばHo は最高揚高Hmax の1/2)未満と低い
ときに「G2」が、揚高Hが所定値Ho 以上と高いとき
に「G1」(本実施形態ではG1=G2/2)が横Gの
設定値として設定されている。また、荷重wが設定値w
o 以上と重いときには、図8(b)に示すように、揚高
Hが所定値Ho 未満と低いときに「G2」が、揚高Hが
所定値Ho 以上と高いときに「0」が横Gの設定値とし
て設定されている。つまり、荷重w≧wo かつ揚高H≧
Ho を満たす重荷重かつ高揚高のときには、常にリアア
クスル10がロックされるように設定されている。
【0049】また、ヨーレート変化率ΔY/ΔTの設定
値は「yo 」に設定されている。各設定値G1,G2,
yo は走行実験もしくは理論計算から得られた値であ
り、走行安定性を図り得る必要な時期にリアアクスル1
0がロックされるように設定されたものである。また、
CPU36は2つのフラグFg ,フラグFy を備えてい
る。フラグFg は、横G(Gs )がその時の荷役状態に
応じて決まる設定値G1,G2以上でセットされ、その
設定値未満でクリアされる。また、フラグFy は、ヨー
レート変化率ΔY/ΔTが設定値yo 以上でセットさ
れ、その設定値未満でクリアされるようになっている。
【0050】クロック回路39はCPU36にクロック
信号を出力するものである。CPU36はクロック信号
に基づき一定時間(例えば数10ミリ秒)毎にスウィン
グ制御処理,センサ故障診断処理を実行する。但し、セ
ンサ故障診断処理はスウィング制御処理が所定回数実行
される毎に実行される。
【0051】操舵カウンタ40は、ハンドル角に応じた
カウント値Pをカウントするためのものである。CPU
36はハンドル角センサ25から1/4波長位相がずれ
た2つのパルス信号hを入力しており、この2つのパル
ス信号hのエッジとレベルを見てその対応関係を比較す
ることでハンドル旋回方向を検出する。そして、パルス
信号hのエッジを検出する度にハンドル旋回方向が左方
向のときに操舵カウンタ40のカウント値Pをデクリメ
ントし、ハンドル旋回方向が右方向のときにカウント値
Pをインクリメントする。
【0052】4つのエラーカウンタ41〜44は、各セ
ンサ21,22,27,28の故障診断処理時に、予め
各センサ毎に設定された所定の故障条件が成立した継続
時間に相当するカウント値を計数するためのものであ
る。エラーカウンタ41〜44は一定時間毎に実行され
る故障診断処理において、故障条件成立の度に所定時間
として例えば「10」を最大値とする範囲でそのカウン
ト値がインクリメントされ、故障条件が不成立の度に
「0」を最小値とする範囲でそのカウント値がデクリメ
ントされる。ここで、各センサ21,22,27,28
について断線・短絡故障が診断され、タイヤ角センサ2
1については脱落故障の診断も行うようにしている。ま
た、CPU36は故障診断用の4つの故障フラグFθ,
FD ,FH ,Fw を備えている。各フラグFθ,FD ,
FH ,Fw は、対応するエラーカウンタ41〜44のカ
ウント値が「10」のときにセットされ、「0」のとき
にクリアされるようになっている。
【0053】本実施形態では、各センサ21,22,2
7,28の短絡・断線故障をその検出値θ,D,H,w
の値(電圧値)が正常時の検出範囲内にあるか否かを判
断することで診断するようにしている。例えばタイヤ角
センサ21の場合、図5に示すように正常時には0ボル
ト〜電源電圧Eの全範囲の電圧値のうち入力値θはθmi
n ≦θ≦θmax の範囲の値をとり、断線時にはθ<θmi
n が成立し、短絡時にはθ>θmax が成立すことにな
る。このことを利用して、各センサ21,27,28か
らの入力値θ,H,wについても、θ<θmin ,H<H
min ,w<wminが成立すれば断線故障、θ>θmax ,
H>Hmax ,w>wmax が成立すれば短絡故障として診
断するようにしている。ここで、θmin ,Hmin ,wmi
n はセンサ21,27,28の正常時に検出され得る下
限値、θmax ,Hmax ,wmax は、センサ21,27,
28の正常時に検出され得る上限値である。従って、θ
maxは最大タイヤ角の検出値を、Hmax は最大揚高の検
出値を、wmax は最大許容荷重の検出値を示すことにな
る。
【0054】また、図7に示すように、車速センサ22
からの出力信号SA の電圧値(検出電圧)Dは、車速セ
ンサ22の正常時には車速が速くなるほど周波数および
振幅が大きくなるように中心電圧Dc を中心に振幅し、
停車時には中心電圧Dc で一定値となる。車速センサ2
2の故障時には、パルス波は出ていないにもかかわらず
一定電圧が設定範囲A以外(つまり図7におけるBの範
囲)で出力される。車速が「0」であるならば本来Dc
であるのにBの範囲であることで故障と判定する。つま
り、車速センサ22の断線・電源短絡故障のときはD>
Dmax で一定値となり、グランド短絡故障のときはD<
Dmin で一定値となる。このため、車速センサ22の検
出値Dについては、D<Dmin またはD>Dmax を満た
す一定値となれば断線・短絡故障として診断するように
している。
【0055】また、ポテンショメータの入力軸にキング
ピン20の回転が入力されなくなるタイヤ角センサ21
の脱落故障時には、正常時の検出範囲内の一定電圧が入
力されるため入力値θの監視だけでは発見できない。そ
こで、本実施形態では、タイヤ角θ,ハンドル角Pの一
定時間ΔTにおける偏差Δθ,ΔPを求め、ハンドル角
速度ΔPが正であるにも拘わらず、タイヤ角速度Δθが
「0」となる脱落故障条件(ΔP>0かつΔθ=0)が
成立するか否かにより脱落故障を診断するようにしてい
る。
【0056】また、本実施形態では、横G(Gs 値)と
ヨーレート変化率ΔY/ΔTは、2つセンサ21,22
の各検出値θ,Vを用いた演算により間接的に推定され
る。横Gの推定値Gs は、予めROM37に記憶された
マップを使ってタイヤ角θから決まる旋回半径の逆数値
1/rを用い、次の(1)式により演算される。
【0057】Gs =V2 /r …(1) また、ヨーレート変化率ΔY/ΔTは、次の(2)式に
より演算される。 ΔY/ΔT=V・Δ(1/r)/ΔT …(2) ここで、Δ(1/r)は、旋回半径の逆数値1/rの一
定時間ΔT(例えば数10ミリ秒)当たりの差分であ
る。旋回半径の逆数値1/rは、タイヤ角θが左切角の
ときに負の値、右切角のときに正の値をとる。また、前
記(2)式は、ヨーレートω=V/rを時間微分(差
分)して得られる、ΔY/ΔT=V・Δ(1/r)/Δ
T+ΔV/ΔT・(1/r)の式中において、フォーク
リフト1の旋回中における車速Vをほぼ一定と見なし
(ΔV/ΔT≒0)、その後項を無視した近似式であ
る。
【0058】また、本実施形態では、リアアクスル10
が一旦ロックされた後は、このロックの基礎となった判
定値がロック時の設定値を所定値以上下回って始めてロ
ックを解除するようにしており、各検出値w,H,ΔY
/ΔTがたまたま設定値wo,ho ,yo 付近の値を取
ることによりロック・ロック解除が頻繁に切り換わるこ
とを防止する対策を施している。尚、図11,図12の
フローチャートにおいて、S20〜S50,S120〜
150が検出値設定手段を構成している。S190〜S
240が制御手段を構成している。また、図13,図1
4に示された故障診断処理用のプログラムデータが故障
診断手段を構成している。次に、フォークリフト1のス
ウィング制御及びセンサ故障診断処理について図11〜
図14のフローチャートに従って説明する。イグニショ
ンキーのオン中は、CPU36に各センサ21,22,
25,27,28からの検出信号θ,Sp,D,h,
H,wが入力される。CPU36は一定時間(例えば数
10ミリ秒)毎にスウィング制御処理を実行するととも
に、スウィング制御処理を所定回数行う毎にセンサ故障
診断処理を1回実行する。また、操舵カウンタ40には
ハンドル角PがCPU36によりカウントされる。
【0059】まず、センサ故障診断処理について説明す
る。始めにタイヤ角センサ21の故障診断処理を図11
に従って説明する。CPU36は、まずステップ310
において、タイヤ角θ,θ1、ハンドル角P,P1を読
み込む。θ1,P1は一定時間前に検出されてRAM3
8に保存されていたタイヤ角データ,ハンドル角データ
である。ステップ320では、タイヤ角速度Δθ=|θ
−θ1|を算出する。ステップ330では、ハンドル角
速度ΔP=|P−P1|を算出する。
【0060】ステップ340では、断線・短絡故障条件
「θ<θmin またはθ>θmax 」が成立するか否かを判
断する。入力値θがθmin <θ<θmax を満たすときに
は、タイヤ角センサ21が断線・短絡故障していないと
診断し、ステップ350に進む。一方、入力値θがθ<
θmin またはθ>θmax の故障条件を満たしたときに
は、タイヤ角センサ21が断線・短絡故障であると診断
し、ステップ370で故障フラグFθをセットする(F
θ=1)。
【0061】ステップ350では、脱落故障条件「タイ
ヤ角速度Δθ=0かつハンドル角速度ΔP>0」が成立
するか否かを判断する。この脱落故障条件不成立のとき
にはタイヤ角センサ21が脱落故障していないと診断
し、ステップ360で故障フラグFθをクリアする(F
θ=0)。一方、Δθ=0かつΔP>0の脱落故障条件
成立のときには、タイヤ角センサ21が脱落故障してい
ると診断し、ステップ370で故障フラグFθをセット
する。
【0062】次に、センサ22,27,28の故障診断
処理を図14に従って説明する。まずステップ410に
おいて、検出値(検出電圧)D,w,Hを読み込む。次
のステップ420では、車速センサ22の断線・短絡故
障条件「D<Dmin またはD>Dmax を満たす一定値」
が成立するか否かを判断する。例えば検出値Dとして得
られた値が過去所定複数回連続してD<Dmin またはD
>Dmax を満たす一定値をとれば故障条件成立と判断す
る。この故障条件不成立のときは車速センサ22が正常
であると診断し、ステップ430で故障フラグFD をク
リアする(FD =0)。一方、D<Dmin またはD>D
max を満たす一定値をとる故障条件成立のときは、車速
センサ22が断線・短絡故障をしていると診断し、ステ
ップ440で故障フラグFD をセットする(FD =
1)。
【0063】次のステップ450では、圧力センサ28
の故障条件「w<wmin またはw>wmax 」が成立する
か否かを判断する。すなわち、どんな積載荷重でも正常
時には決してあり得ない電圧wをとるか否かを判断す
る。故障条件不成立のときは圧力センサ28が正常であ
ると診断し、ステップ460で故障フラグFw をクリア
する(Fw =0)。一方、w<wmin またはw>wmax
を満たす故障条件成立のときは、圧力センサ28が断線
・短絡故障していると診断し、ステップ470で故障フ
ラグFw をセットする(Fw =1)。
【0064】次のステップ480では、揚高センサ27
の故障条件「H<Hmin またはH>Hmax 」が成立する
か否かを判断する。すなわち、どんな揚高でも正常時に
は決してあり得ない電圧Hをとるか否かを判断する。こ
の故障条件不成立のときは揚高センサ27が正常である
と診断し、ステップ490で故障フラグFH をクリアす
る(FH =0)。一方、H<Hmin またはH>Hmax を
満たす故障条件成立のときは、揚高センサ27が断線・
短絡故障していると診断し、ステップ500で故障フラ
グFH をセットする(FH =1)。
【0065】従って、各センサ21,22,27,28
が全て正常であれば各故障フラグFθ,FD ,FH ,F
w は全てクリアされた状態にあり、これらのセンサのう
ち1個でも故障したときには、その故障したセンサに対
応する故障フラグがセットされることになる。尚、本実
施形態では、故障条件成立時に直ちに故障フラグFθ,
FD ,FH ,Fw をセットするのではなく、エラーカウ
ンタ41〜44のカウント値が「10」に達するまでの
所定時間(例えば1秒未満)継続して故障条件が成立し
て始めて故障フラグFθ,FD ,FH ,Fw がセットさ
れる。そのため、例えばエンジン始動時等に入力電圧
θ,D,H,wの過渡的な変化でたまたま断線・短絡故
障条件が成立しても、極く短時間のことなので故障フラ
グFθ,FD ,FH ,Fw はセットされない。また、例
えばハンドル操作に対する後輪操舵の応答性の遅れ等が
原因で、たまたまΔP>0かつΔθ=0の脱落故障条件
が成立しても、極く短時間のことなので故障フラグFθ
はセットされない。
【0066】次に、スウィング制御処理について図1
1,図12に従って説明する。CPU36は一定時間
(例えば数10ミリ秒)間隔でスウィング制御処理を実
行する。CPU36は、まずステップ10において、タ
イヤ角θ,車速V,荷重w,揚高Hの各検出値を読み込
む。ここで、車速Vは、パルス信号Sp のパルス数を単
位時間当たりに計数した周波数に相当する計数値から得
られる。ステップ20では、故障フラグFθ=1である
か否かを判断する。故障フラグFθ=0のときにはタイ
ヤ角センサ21が正常であるものとしてステップ40に
移行する。一方、タイヤ角センサ21が断線・短絡故障
もしくは脱落故障と診断されて故障フラグFθ=1のと
きには、ステップ30に進み、タイヤ角θを所定値とし
ての最大タイヤ角θmax に置き換える。
【0067】ステップ40では、故障フラグFD =1で
あるか否かを判断する。故障フラグFD =0のときには
車速センサ22が正常であるものとしてステップ60に
移行する。一方、車速センサ22が断線・短絡故障と診
断されて故障フラグFD =1のときには、ステップ50
に進み、車速Vを所定値としての最高車速Vmax に置き
換える。
【0068】ステップ60では、タイヤ角θからROM
37に記憶されたマップを用いて旋回半径の逆数値1/
rを求める。ステップ70では、車速Vと旋回半径の逆
数値1/rとを用いて(1)式より、横Gの推定値Gs
を算出する。次のステップ80では、ヨーレート変化率
ΔY/ΔTを算出する。すなわち、RAM38の所定記
憶領域から一定時間ΔT前のタイヤ角データθ1を読出
し、このデータθ1から決まる旋回半径の逆数値1/r
1を用い、(2)式により、ΔY/ΔT=V・Δ(1/
r)/ΔT(但し、Δ(1/r)=|1/r−1/r1
|)を算出する。
【0069】ステップ90では、ヨーレート変化率ΔY
/ΔTが設定値yo 以上であるか否かを判断する。ΔY
/ΔT≧yo であれば、ステップ100に進んでフラグ
FYをセットする(FY =1)。ΔY/ΔT<yo であ
れば、ステップ110に進んでフラグFY をクリアする
(FY =0)。
【0070】次のステップ120〜ステップ230まで
の処理は、横G(Gs 値)に基づきリアアクスル10を
ロックすべきか否かを判定するための処理である。まず
ステップ120では、故障フラグFw =1であるか否か
を判断する。故障フラグFw=0のときには圧力センサ
28が正常であるものとして、ステップ140に移行す
る。一方、故障フラグFw =1のときには、圧力センサ
28が断線・短絡故障であるとして、ステップ130に
進み、荷重wを所定値としての最大許容荷重wmax に置
き換える。
【0071】ステップ140では、故障フラグFH =1
であるか否かを判断する。故障フラグFH =0のときに
は揚高センサ27が正常であるものとして、ステップ1
60に移行する。一方、故障フラグFH =1のときに
は、揚高センサ27が断線・短絡故障であるとして、ス
テップ150に進み、揚高Hを所定値としての最大揚高
Hmax に置き換える。
【0072】図8(a),(b)に示すように予め設定
された設定値の中から、S120〜S150の処理で必
要に応じて置き換えられた荷重w,揚高Hに基づき、各
値w,Hの組合せに応じた横G(Gs 値)の設定値が決
められる。まずステップ160において、荷重wが設定
値wo 以上であるか否かを判断する。荷重wが設定値w
o 未満と軽いときには、ステップ170に進んで揚高H
が設定値Ho 以上であるか否かを判断し、荷重wが設定
値wo 以上と重いときには、ステップ180に進んで揚
高Hが設定値Ho 以上であるか否かを判断する。
【0073】図8(a)に示すように、荷重w<wo で
揚高H<Ho のときには、ステップ190において、設
定値「G2」が採用されてGs ≧G2が成立するか否か
を判断する。また、荷重w<wo で揚高H≧Ho のとき
には、ステップ200において、設定値「G1」が採用
されてGs ≧G1が成立するか否かを判断する。各ステ
ップ(S190,S200)において、ロック条件Gs
≧G2またはGs ≧G1が成立したときには、いずれの
場合もステップ220に進んでフラグFG をセットする
(FG =1)。一方、各ステップにおいてロック条件不
成立のときには、ステップ230に進んでフラグFG を
クリアする(FG =0)。
【0074】一方、図8(b)に示すように、荷重w≧
wo で揚高H<Ho のときには、ステップ210におい
て、設定値「G2」が採用されてGs ≧G2が成立する
か否かを判断する。そして、ロック条件Gs ≧G2が成
立したときにはステップ220でフラグFG をセット
し、ロック条件Gs ≧G2の不成立のときにはステップ
230でフラグFG をクリアする。
【0075】また、荷重w≧wo かつ揚高H≧Ho のと
きには、ステップ220でフラグFG をセットする(F
G =1)。つまり、重荷重かつ高揚高でフォークリフト
1の重心位置が高くなった荷役状態では、常にリアアク
スル10をロックすべくフラグFG がセットされる。
【0076】ステップ240では、フラグFY ,FG の
うちいずれか一方でも「1」であればロック指令を出力
する。そのため、その時々に検出される走行状態と荷役
状態から見て車体が相対的に横方向に不安定になり易い
時期に、電磁切換弁14が遮断位置に切換えられてリア
アクスル10がロックされる。尚、タイヤ角センサ21
の故障時には、タイヤ角が一定値θmax となって旋回半
径r=rmin も一定値をとるので、差分Δ(1/r)=
0となるため、ヨーレート変化率ΔY/ΔTは常に
「0」となる。また、一旦セットされたフラグFY ,F
G は、ロック条件の不成立が所定時間継続して始めてク
リアされ、リアアクスル10のロック解除に所定時間の
遅れがもたらされる。
【0077】ここで、走行状態を検出するセンサ21,
22のうちタイヤ角センサ21が故障したときには、タ
イヤ角θとして最も過酷な最大タイヤ角θmax が採用さ
れ、横Gの推定値Gs がその時の車速Vに応じてGs =
2 /rmin (但し、rminは最小旋回半径)と算出さ
れる。このとき、ロック条件Gs ≧G(但し、G=G
1,G2)が不成立となる車速Vで走行する限りにおい
ては、リアアクスル10がロックされないことになる。
【0078】図9は、ロック条件が成立するための旋回
半径rと車速Vの関係を示すグラフである。タイヤ角セ
ンサ21の故障時には常に最小旋回半径rmin で旋回し
ているものと見なされるが、所定範囲である車速Vo
(=√(G・rmin )(但し、G=G1,G2))未満
で低速走行している時には、ロック条件不成立(Gs <
G)となってリアアクスル10がロックされない。つま
り、タイヤ角センサ21が故障しても、低速走行(V<
Vo )すれば、リアアクスル10が揺動可能なフリー状
態となる(但し、重荷重かつ高揚高のときは除く)。そ
のため、フォークリフト1が後輪11に車重がかかった
状態で起伏のある路面を走行していても、低速走行(V
<Vo )する限りにおいては、リアアクスル10が揺動
可能なフリー状態であって、駆動輪である前輪二輪がし
っかり路面に接地する。そのため、前輪が接地しないこ
とに起因するスリップはまず発生しない。
【0079】また、車速センサ22が故障したときに
は、車速Vとして最も過酷な最高車速Vmax が採用され
て、横Gの推定値Gs がその時のタイヤ角θから決まる
旋回半径rに応じてGs =Vmax 2 /rと算出される。
このとき、ロック条件Gs ≧G(但し、G=G1,G
2),ΔY/ΔT≧yo が不成立となる所定範囲である
タイヤ角θ(つまり旋回半径ro (= Vmax 2 /G)
を越える旋回半径となるθ値)で、しかも所定値未満の
タイヤ角速度Δθ(つまりΔ(1/r)<yo ・ΔT/
Vmax を満たすΔθ値)で走行する限りにおいては、リ
アアクスル10がロックされないことになる。
【0080】そして、タイヤ角センサ21と車速センサ
22の両方が故障した場合には、常にロック条件Gs ≧
Gが成立することになり、リアアクスル10が強制的に
ロックされる。
【0081】また、荷役状態を検出するセンサ27,2
8のうち例えば揚高センサ27が故障したときには、揚
高Hとして最も過酷な最大揚高Hmax が採用される。そ
のため、フォーク3に積載した荷の荷重wがwo 以上の
ときには、リアアクスル10が強制的にロックされるも
のの、荷重wが所定範囲であるwo 未満であれば、この
時のロック条件Gs ≧G1,ΔY/ΔT≧yo が不成立
となる走行状態(タイヤ角θ,車速V)で走行する限り
においては、リアアクスル10がロックされないことに
なる。
【0082】また、圧力センサ28が故障したときに
は、荷重wとして最も過酷な最大許容荷重wmax が採用
される。そのため、フォーク3の揚高HがHo 以上のと
きには、リアアクスル10が強制的にロックされるもの
の、揚高Hが所定範囲であるHo 未満のときには、ロッ
ク条件Gs ≧G2,ΔY/ΔT≧yo が不成立となる走
行状態(タイヤ角θ,車速V)で走行する限りにおいて
は、リアアクスル10がロックされないことになる。
【0083】そして、揚高センサ27と圧力センサ28
の両方が故障した場合には、最大揚高Hmax かつ最大許
容荷重wmax が採用され、w≧wo かつH≧Ho が成立
するため、リアアクスル10が常にロックされる。
【0084】このようにセンサ21,22,27,28
のうち1個が故障したときには、所定の走行状態あるい
は荷役状態で控えめな走り方をする限りにおいては、リ
アアクスル10がロックされない。その結果、フォーク
リフト1が後輪11に車重がかかった状態で起伏のある
路面を走行しても、リアアクスル10が揺動可能なフリ
ー状態にあって、駆動輪である前輪二輪がしっかり路面
に接地するため、まずスリップは起こらない。
【0085】図10は、旋回時における横G(Gs 値)
とヨーレート変化率ΔY/ΔTの時間変化を示すグラフ
である。例えば走行中に直進から左旋回したときには、
まずヨーレート変化率ΔY/ΔTが設定値yo を越える
ことで早めにリアアクスル10がロックされる。そし
て、タイヤ角θが一定切角に落ちついてきてヨーレート
変化率ΔY/ΔTが設定値yo 未満となる前に、横G
(Gs 値)が設定値G(=G1,G2)以上に達するの
で、フォークリフト1はリアアクスル10がロック状態
に保持されたまま旋回する。
【0086】また、左旋回から右旋回へハンドル12を
切返すときには、車体に働く横Gの向きが右から左に切
り換わる際に一時的にGs 値が設定値G未満となる区間
ができる。しかし、ハンドル切換し中のこの区間ではヨ
ーレート変化率ΔY/ΔTが設定値yo 以上になるた
め、リアアクスル10がロック状態に保持されたまま車
両の切返しが行われる。
【0087】以上詳述したように本実施形態によれば、
以下の効果が得られる。 (a)スウィング制御のために車両に設けられたセンサ
21,22,27,28が故障したときには、その検出
値として正常時の検出範囲内で最も過酷な検出値θmax
,Vmax ,Hmax ,wmax が採用される。そのため、
走行状態を検出する組をなすセンサ21,22、あるい
は荷役状態を検出する組をなすセンサ27,28のうち
片方の1個が故障しても、リアアクスル10をロックす
べきときに確実にロックしつつ、所定の控えめな走行状
態や荷役状態で走行する限りにおいては、リアアクスル
10を揺動可能なフリー状態に保持することができる。
従って、センサが1個が故障したときでも、所定の控え
めな走行状態(低速走行,小タイヤ角)や荷役状態(低
揚高,軽荷重)で走行することにより、起伏のある路面
を走行していてもリアアクスル10が揺動することで駆
動輪である前輪二輪が路面にしっかり接地し、スリップ
せずに走行できる。
【0088】(b)タイヤ角センサ21が故障したとき
でも、車速Vo (=√(G・rmin)未満で低速走行す
る限りにおいてはリアアクスル10がロックされず、起
伏のある路面を走行してもスリップせずに走行できる。
【0089】(c)車速センサ22が故障したときで
も、タイヤ角θo (ro = Vmax 2/Gの旋回半径と
なるタイヤ角)未満のタイヤ角θで走行する限りにおい
てはリアアクスル10がロックされず、起伏のある路面
を走行してもスリップせずに走行できる。
【0090】(d)揚高センサ27が故障したときで
も、フォーク3に積載する荷の重量wがwo 未満と軽
く、ロック条件(Gs ≧G1,ΔY/ΔT≧yo )不成
立となるタイヤ角,車速Vで走行する限りにおいては、
リアアクスル10がロックされず、起伏のある路面を走
行してもスリップせずに走行できる。
【0091】(e)圧力センサ28が故障したときで
も、フォーク3の高さをHo 未満に下降させ、ロック条
件(Gs ≧G2,ΔY/ΔT≧yo )不成立となるタイ
ヤ角,車速Vで走行する限りにおいては、リアアクスル
10がロックされず、起伏のある路面を走行してもスリ
ップせずに走行できる。
【0092】(f)センサ21,22,27,28が故
障したときにその検出値として採用する値を、正常時の
検出範囲外から採用するのではなく、その検出範囲内で
最も過酷な値θmax ,Vmax ,Hmax ,wmax としたの
で、リアアクスル10をフリー状態にできる範囲を、前
記(b)〜(e)で述べたようにできるだけ広く確保す
ることができる。
【0093】(g)ハンドル角速度ΔPとタイヤ角速度
Δθとの対応関係が故障時の関係(ΔP>0かつΔθ=
0)であるか否かを調べることにより、タイヤ角センサ
21の脱落故障を発見できるようにしたので、タイヤ角
センサ21の脱落故障時にも誤った検出値に基づいてス
ウィング制御が行われる不具合を防止することができ
る。
【0094】(h)ヨーレート変化率ΔY/ΔTを演算
するに当たり、機台の振動等に影響され難いタイヤ角セ
ンサ21の検出値θから得た1/r値を差分(微分)す
る方法を採ったので、差分(微分)処理によるノイズの
増幅の心配がなく、信頼性の高い推定値ΔY/ΔTを得
ることができる。これに対し、機台の振動等に影響され
易い加速度センサの検出値を差分(微分)処理する構成
では、その検出値に多く含まれるノイズが増幅されてし
まい得られたヨーレート変化率ΔY/ΔTの推定値の信
頼性が乏しくなる。
【0095】(第2実施形態)次に、本発明を具体化し
た第2実施形態を図15〜図18に従って説明する。本
実施形態では、横G(Gs )及びヨーレート変化率ΔY
/ΔTを、ヨーレートと車速を検出する各センサの検出
値を用いて算出している点が前記第1実施形態と異なっ
ている。
【0096】図15に示すように、フォークリフト1の
後部に配置されたバランスウェイト50上には、ヨーレ
ート検出器としてのジャイロスコープ51が取付けられ
ている。本実施形態ではジャイロスコープ51として圧
電素子からなる圧電式ジャイロスコープを使用してい
る。例えばガスレート式ジャイロスコープまたは光学式
ジャイロスコープ等のその他の方式のものを使用するこ
ともできる。
【0097】図16に示すように、ジャイロスコープ5
1はAD変換回路52を介して入力インタフェイス46
に接続されており、フォークリフト1の旋回時における
ヨーレート(角速度)ω( rad/sec )を検出し、ヨー
レートに応じた検出値ωを、CPU36に出力する。本
実施形態は、第1実施形態において使用したタイヤ角セ
ンサ21に替えてジャイロスコープ51を検出器として
備えた構成となっている。そのため、タイヤ角センサ2
1の故障診断のために必要であったハンドル角センサ2
5及び操舵カウンタ40も備えていない。また、ジャイ
ロスコープ51の故障診断をするためのエラーカウンタ
53が設けられている。また、揚高センサ54は、揚高
を高揚高と低揚高との2段階で見ればよいので(図8参
照)、例えば揚高が設定値Ho 以上でオンし、設定値H
o 未満でオフする近接スイッチを使用している。その他
の構成については、ROM37に記憶されたプログラム
データの一部を除き、前記第1実施形態と同様の構成を
有している。
【0098】本実施形態では、横G及びヨーレート変化
率ΔY/ΔTを、ジャイロスコープ51の検出値Yと、
車速センサ22の検出信号に基づいて求められた車速V
を用いて算出している。このため、ROM37に記憶さ
れたスウィング制御用のプログラムデータには、横G
(Gs )を算出する計算式として式Gs =V・Y、ヨー
レート変化率ΔY/ΔTを算出する計算式として式ΔY
/ΔT=|Y−Y1|(但し、Y1は一定時間ΔT前の
ヨーレートデータ)がそれぞれ設定されている。
【0099】図17に示すように、ジャイロスコープ5
1は、−90〜+90deg /sec.の範囲のヨーレートY
を検出し、その正常時の検出値(電圧値)ωは、0〜E
(電源電圧)の範囲のうちωmin ≦ω≦ωmax の範囲を
とる。そのため、ω<ωminまたはω>ωmax のとき
を、断線・短絡故障と診断するように設定されている。
また、揚高センサ54の出力値Hは、その正常時にはオ
ン時にHmin (>0)、オフ時にHmax (<E)とな
る。そのため、H<Hmin またはH>Hmax のときを、
断線・短絡故障と診断するように設定されている。
【0100】ジャイロスコープ51を故障と診断したと
きには、その検出値ωとして最も過酷なヨーレート(9
0deg /sec.)であるωmax を設定する。もちろん、最
も過酷なωとしてωmin (−90deg /sec.に相当する
値)を設定することもできる。また、揚高センサ54を
故障と診断したときには、高揚高(オン)であるとみな
し、図8のマップを使用する際に揚高が高揚高か低揚高
かを見るための揚高フラグをセットするようにしてい
る。なお、車速センサ22を始めとする各センサ22,
28の故障診断方法、及び故障時にその検出値として設
定する値は前記第1実施形態と同じように設定されてい
る。
【0101】CPU36による制御は次のようになる。
まずCPU36は、ヨーレートY,車速V,荷重w等の
各検出値を読み込む。そして、ヨーレート変化率ΔY/
ΔTを式ΔY/ΔT=|Y−Y1|(但し、Y1は一定
時間ΔT前のヨーレートデータ)を用いて演算し、横G
をGs =V・Yとして演算する。
【0102】また、揚高センサ54の出力信号をみて揚
高フラグをオンのときにセットし、オフのときにクリア
する。そして、圧力センサ28からの検出値wと、揚高
フラグの状態とから図8に示すマップを用いて横Gの設
定値を決定する。Gs 値がその設定値以上であるか、ヨ
ーレート変化率ΔY/ΔTが設定値yo 以上であれば、
ロック信号を出力してリアアクスル10をロックさせ
る。
【0103】センサが故障のときの制御は次のようにな
る。CPU36はセンサ22,28,51,54からの
検出値D,w,ω,Hを使って故障診断を行う。検出値
D,w,ω,Hのうち故障条件を満たすものがあると、
そのセンサに該当するエラーカウンタをインクリメント
する。そして、そのカウンタ値が所定時間として予め設
定された所定値「10」になると、そのセンサを故障と
診断する。故障と診断されたセンサに対しては、その検
出値として予め設定された正常時の検出値の中で最も過
酷な値(Vmax ,wmax ,ωmax 等)を設定する。
【0104】例えば、ジャイロスコープ51を故障と診
断したときには、その検出値として、最大ヨーレートY
max (=90deg /sec.)に相当するωmax を設定す
る。その結果、横GがGs =V・Ymax として算出さ
れ、この値Gs が検出値w,Hから荷役状態に応じて決
定まるその際の横Gの設定値以上になったときにリアア
クスル10がロックされることになる。ここで、ヨーレ
ートωが一定値ωmax になるためヨーレート変化率ΔY
/ΔTがこの故障診断時には常に「0」になり、ΔY/
ΔTのロック条件からはロックは行われなくなる。
【0105】図18は、ロック条件が成立するためのヨ
ーレート|Y|と車速Vの関係を示すマップである。ジ
ャイロスコープ51の故障時には、最大ヨーレートYma
x (=90deg /sec.)で旋回していると見なされる
が、車速Vo =G/Ymax (但し、G=G1,G2)未
満で低速走行する限りにおいては、ロック条件不成立
(Gs <G)となってリアアクスル10がロックされな
い(但し、重荷重かつ高揚高のときは除く)。その結
果、フォークリフト1が後輪11に車重がかかった状態
で起伏のある路面を走行していても、低速走行(V<V
o )であれば、リアアクスル10が揺動可能なフリー状
態にあるため、駆動輪である前輪二輪がしっかり路面に
接地する。従って、前輪が接地しないことに起因するス
リップはまず発生しない。
【0106】また、車速センサ22が故障したときに
は、車速Vとして最も過酷な最高車速Vmax が採用さ
れ、横GがGs =Vmax ・Yと演算される。そのため、
ヨーレートYがYo =G/Vmax (但し、G=G1,G
2)未満となるような旋回をする限りにおいては、リア
アクスル10がフリー状態に保持される。従って、フォ
ークリフト1の旋回をヨーレートYo 未満で行う限りに
おいては、前輪7が接地しないことに起因するスリップ
はまず発生しない。
【0107】さらに、揚高センサ54が故障したときに
は高揚高(揚高フラグセット)と見なされる。そのた
め、荷重wがwo 未満であれば、ロック条件Gs ≧G
1,ΔY/ΔT≧yo が不成立となる走行状態(ヨーレ
ートY,車速V)で走行する限りにおいては、リアアク
スル10をフリー状態に保持できる。
【0108】また、圧力センサ28が故障したときに
は、荷重wとして最も過酷な最大許容荷重wmax が採用
される。そのため、フォーク3の揚高HがHo 未満であ
れば、ロック条件Gs ≧G2,ΔY/ΔT≧yo が不成
立となる走行状態(ヨーレートY,車速V)で走行する
限りにおいては、リアアクスル10をフリー状態に保持
できる。なお、走行状態を検出するセンサ22,51の
両方、あるいは荷役状態を検出するセンサ28,54の
両方が故障したときには、常にロック条件Gs ≧Gが成
立するため、リアアクスル10がロック状態に保持され
る。
【0109】このようにセンサ22,28,51,54
のうち1個が故障した場合でも、車重が後輪側にかかっ
た状態で凹凸路面を走行する際に控えめな運転をすれ
ば、リアアクスル10がロックされずその揺動で前輪
(駆動輪)7がほぼ確実に接地するので、スリップによ
る立ち往生を極力回避できる。尚、本発明は上記実施形
態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない
範囲で、例えば次のように実施することもできる。
【0110】(1)前記各実施形態では、検出器を故障
と診断したときには、故障した検出器の検出値として最
も過酷な検出値を実際に設定し、この値を使った所定の
演算及び判定を行わせ、その結果として、明らかにロッ
クが不要なときに車軸がロックしないようにした。これ
に対し、最も過酷な値を実際に設定するのではなく、判
定値を得るための他の検出器の検出値に対し、故障した
検出器の検出値が最も過酷な値をとったと仮定したとき
に、車軸をロックさせる必要がないと予め分かった所定
範囲を設定し、これを記憶しておく。そして、検出器の
故障時には、正常である他の検出器の検出値を見るだけ
で、その検出値が所定範囲内にあれば車軸をロックさせ
ないという制御を行わせることもできる。
【0111】例えば第1実施形態のスウィング制御にお
いて、車速センサ22の検出値の所定範囲として、明ら
かにロックが不要な車速Vo (図9参照)未満の範囲を
設定し、これをROM等の記憶手段に記憶しておく。タ
イヤ角センサ21を故障と診断したときには、車速セン
サ22からの検出値Vが所定範囲としてのVo 未満であ
るか否かを判断する。そして、V≧Vo のときはリアア
ススル10をロックし、V<Vo のときにはリアアスス
ル10をロックさせない制御をする。勿論、車速センサ
22が故障のときには、タイヤ角センサ21の検出値θ
が所定範囲(旋回半径rをro (図9参照)を超える値
とし得る範囲)内であるか否かを判断し、この検出値θ
が所定範囲内にあれば、リアアクスル10をロックさせ
ない制御をすることもできる。
【0112】また、第2実施形態のスウィング制御にお
いて、車速センサ22の検出値の所定範囲として、明ら
かにロックが不要な車速Vo (図18参照)未満の範囲
を設定し、これをROM等の記憶手段に記憶しておく。
ジャイロスコープ51を故障と診断したときには、車速
センサ22からの検出値Vが所定範囲としてのVo 未満
であるか否かを判断する。そして、V≧Vo のときはリ
アアススル10をロックし、V<Vo のときにはリアア
ススル10をロックさせない制御をする。勿論、車速セ
ンサ22が故障のときには、ジャイロスコープ51の検
出値ωが所定範囲(ヨーレート|Y|をYo (図18参
照)未満とし得る範囲)内であるか否かを判断し、この
検出値ωが所定範囲内にあれば、リアアクスル10をロ
ックさせない制御をすることもできる。
【0113】この制御方法を荷役状態を検出するための
各センサに適用することもできる。例えば、最も過酷な
高揚高(例えばHo ≦H≦Hmax )のときでも荷重が小
さい所定範囲では車軸の揺動を常に許可するようにマッ
プ等が作成されている構成では、揚高センサ27の故障
時に、圧力センサ28の検出値がその所定範囲にあると
きに、リアアクスル10をロックさせない制御をするこ
とができる。また、最も過酷な重荷重(例えばwo ≦w
≦wmax )のときでも揚高が低い所定範囲では車軸の揺
動を常に許可するようにマップ等が作成されている構成
では、圧力センサ28の故障時に、揚高センサ27の検
出値がその所定範囲にあるときに、リアアクスル10を
ロックさせない制御をすることもできる。以上の構成を
採用することにより、センサ故障時でも正常な他のセン
サの検出値を監視するだけで済み、前記各実施形態で行
っていた所定の演算や判定処理を不要にできる。
【0114】(2)検出器の故障時にその検出値として
採用する値は、正常時の検出範囲内の値に限定されず、
正常時の検出範囲外の値を採用することもできる。例え
ば、センサ21,22,27,28の故障時に、タイヤ
角としてθa (>θmax )、車速としてVa (>Vmax
)、揚高としてHa (>Hmax )、荷重としてwa
(>wmax )を採用することができる。但し、検出器の
故障時にリアアクスル10を揺動可能なフリー状態にで
きる範囲を広く確保するためには、できるだけθmax ,
Vmax ,Hmax ,wmax に近い値を選んだ方が好まし
い。
【0115】(3)センサの故障時にその検出値として
採用する値は、横G(Gs 値),ヨーレート変化率ΔY
/ΔT,揚高H,荷重w等の判定値を最も過酷な値(リ
アアクスルをロックするための所定条件を最も満たし易
くする値)とすることができれば足り、正常時の検出範
囲内の最大値,最小値に限定されない。例えば、前記実
施形態では、センサ27,28の故障時の検出値として
Hmax ,wmax でなくても得られる結果が同じになるの
で、揚高センサ27の故障時の検出値としてHo ≦H<
Hmax を満たす揚高Hを採用したり、圧力センサ28の
故障時の検出値としてwo ≦w<wmax を満たす荷重w
を採用してもよい。このような値H,wを故障時の検出
値として採用しても、前記実施形態と全く同様の効果が
得られる。
【0116】(4)タイヤ角センサ21の故障のときに
タイヤ角θを最大タイヤ角θmax に置き換えるとΔY/
ΔT=0となるが、タイヤ角θを最大タイヤ角θmax に
置き換える代わりに、ヨーレート変化率ΔY/ΔTの算
出式((2)式)におけるΔ(1/r)を通常の走行に
おいて起こり得る旋回半径の逆数値の最大変化率Δ(1
/r)max に設定して、過酷なΔY/ΔT値を算出でき
るようにしてもよい。この構成によっても、タイヤ角セ
ンサが故障したときに、車速Vo (=yo ・ΔT/Δ
(1/r)max )未満の低速走行する限りにおいては、
リアアクスルを揺動可能なフリー状態とすることができ
る。
【0117】(5)車両の横Gだけ、もしくは横Gとヨ
ーレート変化率ΔY/ΔTだけを判定値とするなど、走
行状態だけを見てスウィング制御をする構成としてもよ
い。 (6)全部のセンサについて故障診断する必要はなく、
特定の1個あるいは複数個についてだけ故障診断をし、
その故障時に検出値として過酷な値を設定する構成とし
てもよい。例えば、前記実施形態において、走行状態を
検出するためのセンサ21,22だけを故障診断した
り、荷役状態を検出するためのセンサ27,28だけを
故障診断してもよい。また、走行状態を検出するセンサ
21(51),22の片方だけについて故障診断した
り、荷役状態を検出するセンサ27(54),28の片
方だけについて故障診断してもよい。
【0118】(7)前記第1実施形態において、車速セ
ンサ22が故障と診断されたときには、判定値強制設定
手段としてのCPU36により横Gの推定値Gs とヨー
レート変化率ΔY/ΔTのうちいずれか一方を強制的に
「0」に設定し、リアアクスル10をフリー状態にする
か否かの制限をどちらか一方だけに緩和してもよい。例
えばGs =0に設定すればタイヤ角θの制限がカットさ
れ、ΔY/ΔT=0に設定すればタイヤ角速度Δθの制
限がカットされる。この構成によれば、リアアクスル1
0を揺動可能なフリー状態にできる範囲をさらに広く確
保することができる。勿論、揚高センサや圧力センサの
故障時に、横Gもしくはヨーレート変化率ΔY/ΔTの
いずれかを強制的に「0」としてもよい。
【0119】(8)荷役状態だけを判定値としてスウィ
ング制御を行う装置において、実施してもよい。例えば
揚高センサと圧力センサにより検出された揚高H,荷重
wに基づいて荷役状態(車両の重心高さ)を判定し、荷
役状態が所定条件を満たしたときにはリアアクセル10
をロックする。揚高センサの故障時にはその検出値とし
て最大揚高Hmax を設定し、圧力センサの故障時にはそ
の検出値として最大許容荷重wmax を設定する。この構
成によっても、荷役状態を検出する組をなすセンサの一
方が故障したときでも、所定の荷役状態においてはリア
アクスル10を揺動可能なフリー状態とすることができ
る。
【0120】(9)横Gに基づくスウィング制御を実際
に車両の重心高さを算出することで、その重心高さに応
じて決まる設定値を用いて行うようにした装置におい
て、実施してもよい。例えば揚高センサと荷重センサと
の各検出値H,wから車両の重心高さを算出し、この重
心高さからマップ等を用いて得た横Gの設定値を用いて
横Gの判定を行うようにする。この構成によれば、重心
高さに応じたより精度の高いスウィング制御を行うこと
ができる。
【0121】(10)車軸の揺動を規制制御するための
判定値は前記各実施形態で使用した横GGs ,ヨーレー
ト変化率ΔY/ΔT,横Gの設定値Gに限定されない。
例えば判定値として、横G変化率ΔG/ΔT(=V・Δ
Y/ΔT)を採用してもよい。また、ヨーレート変化率
ΔY/ΔTの設定値yo を荷役状態に応じて変化させて
判定値の一つとして採用してもよい。
【0122】(11)一つの判定値を得るために使用す
る検出器の個数は、2個に限定されない。例えば3個以
上の検出器の検出値を用いて一つの判定値を算出する構
成であっても構わない。検出器の個数が3個以上であっ
ても、故障した検出器の検出値として、例えばその正常
時の検出範囲内で判定値が最も所定条件を満たし易くな
る値などの過酷な値を設定することで、同様の効果が得
られる。また、前記(1)で述べた方法を採用する場合
は、故障した検出器以外の残りの検出器の検出値を監視
するだけで済み、必要な演算や処理を無くしたり、簡素
化することができる。
【0123】(12)各センサの検出方式は、前記実施
形態で採用した方式に限定されず、必要な検出値を検出
できる方式であればよい。例えばタイヤ角センサとして
ステアリングシリンダのピストン位置を検出するセンサ
を使用してもよい。その他、超音波センサ,近接センサ
等を使用してもよい。
【0124】(13)車軸の揺動の規制は完全なロック
に限定されない。車軸が規制状態において、小さな範囲
で揺動しても構わない。 (14)バッテリ式フォークリフトで実施してもよい。
さらにフォークリフト以外の産業車両で実施してもよ
い。
【0125】上記各実施形態から把握され、特許請求の
範囲に記載していない技術的思想(発明)を、その効果
とともに以下に記載する。 (イ)請求項3に記載の発明において、前記複数の検出
器は判定値としての車両の横G及び車両のヨーレート変
化率のうち少なくともいずれか一方を得るために必要な
検出値を検出するための複数の第1検出器を備え、前記
制御手段は、前記複数の第1検出器の検出値から得られ
る前記横Gもしくはヨーレート変化率が設定値以上とな
る前記所定条件を満たすと、前記車軸規制機構を作動さ
せるように設定されており、前記制御手段が前記車軸規
制機構を作動させないように前記複数の第1検出器のう
ち故障と診断された側でない第1検出器の検出値に設定
された前記所定範囲は、故障と診断された検出器の検出
値がその正常時の検出範囲内で前記横Gもしくは前記ヨ
ーレート変化率を最も大きくし得る値をとったと仮定し
たときに該判定値が前記所定条件を満たさなくなる範囲
である。この構成によれば、車軸規制機構を作動させる
か否かを決めるために、故障と診断された側でない第1
検出器の検出値を監視するだけで済み、判定値が所定条
件を満たすか否かまでを判定する必要がないので、各種
演算や判定処理を不要にできる。
【0126】(ロ)請求項6に記載の発明において、前
記操舵角検出器と前記車速検出器の各検出値から前記横
Gとヨーレート変化率を共にも得ており、前記車速検出
器がが故障と診断されたときには、前記横Gとヨーレー
ト変化率のうち一方を強制的に設定値未満の値に設定す
る判定値強制設定手段を備えている。この構成によれ
ば、車速検出器が故障と診断されたときには、横Gとヨ
ーレート変化率のうち一方の制限が無くなり、車軸を揺
動可能状態に保持できる範囲をさらに広く確保すること
ができる。
【0127】(ハ)請求項1〜請求項11のいずれか一
項に記載の発明において、前記故障診断手段は、故障診
断対象となる前記検出器の検出値と対応関係にある検出
値を検出可能な比較用検出器を備え、該比較用検出器の
検出値と、前記検出器の検出値との対応関係が故障時の
関係であるか否かを判定することで脱落故障を診断する
脱落故障診断手段を備えている。この構成によれば、検
出器が脱落故障して間違った検出値に基づいて車軸の揺
動が規制される不具合を防止できる。なお、前記実施形
態では、CPU36が脱落故障診断手段を、ハンドル角
センサ25が比較用検出器を構成している。
【0128】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載の発
明によれば、故障と診断された検出器の検出値がその正
常時の検出範囲内で判定値を最も所定条件を満たし易く
する値をとったと仮定したときに、車軸規制機構の作動
が必要でないと認められる所定時期には車軸規制機構を
作動させないようにしたので、検出器の一つが故障して
も、明らかに車軸を揺動させても差し支えないときに
は、車軸を揺動可能状態に保持し、駆動輪がスリップす
るなどの不具合の発生を極力防止することができる。
【0129】請求項2に記載の発明によれば、故障と診
断された検出器の検出値として、その正常時の検出範囲
内で判定値を最も所定条件を満たし易くする値以上に過
酷な値であって、且つその判定値を得るための他の検出
器の検出値がその検出範囲内のある領域の値をとったと
きに少なくともその判定値が所定条件を満たさなくなる
所定値を設定するようにしたので、検出器の一つが故障
しても、明らかに車軸を揺動させても差し支えないとき
には、車軸を揺動可能に保持できる。
【0130】請求項3に記載の発明によれば、判定値を
得るための故障と診断された側でない他の検出器の検出
値を見て、故障と診断された検出器の検出値がその正常
時の検出範囲内で判定値を最も所定条件を満たし易くす
る値をとったと仮定したときに、判定値が所定条件を満
たさなくなる所定範囲内の値を、その検出値がとれば、
車軸規制機構を作動させないようにしたので、判定値が
所定条件を満たすか否かの判定のための演算をいちいち
しなくて済む。
【0131】請求項4に記載の発明によれば、故障と診
断された検出器の検出値として、その正常時の検出範囲
内で判定値を最も所定条件を満たし易くする値を設定す
るようにしたので、検出器の一つが故障しても車軸が揺
動可能状態に保持される範囲をできるだけ広く確保でき
る。
【0132】請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載
の発明によれば、故障と診断された第1検出器の検出値
として、その正常時の検出範囲内で最も横Gもしくはヨ
ーレート変化率を大きくし得る値を設定するようにした
ので、第1検出器の故障時でも、明らかに車軸を揺動し
ても差し支えない控えめな走行状態のときには、車軸を
揺動可能状態に保持でき、しかもその範囲をできるだけ
広く確保できる。
【0133】請求項8に記載の発明によれば、横Gの設
定値を決めるための車両の重心高さを検出する第2検出
器が故障と診断されたときには、その検出値として、正
常時の検出範囲内で車両の重心高さを最も高くし得る所
定値を設定するようにしたので、横Gを得るための第1
検出器と、重心高さを得るための第2検出器のうちいず
れか一つが故障しても、明らかに車軸を揺動して差し支
えない控えめな走行・荷役状態で走行する限りにおいて
は、車軸を揺動可能状態に保持でき、しかもその範囲を
できるだけ広く確保できる。
【0134】請求項9又は請求項10に記載の発明によ
れば、車両の重心高さを得るための第2検出器が故障と
診断されたときには、その検出値として、正常時の検出
範囲内で車両の重心高さを最も高くし得る値を設定する
ようにしたので、第2検出器の一つが故障しても、明ら
かに車軸を揺動しても差し支えない荷役状態で走行する
限りにおいては、車軸を揺動可能状態に保持でき、しか
もその範囲をできるだけ広く確保できる。
【0135】請求項11に記載の発明によれば、故障診
断対象である検出器の検出値が予め設定された故障条件
を所定時間以上継続して満たしたことをもって、この検
出器を故障と診断するようにしたので、正常にも拘わら
ず過渡的に検出値が故障条件を満たしたことによる誤診
断を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における車体揺動制御装置の模式
図。
【図2】車軸規制機構を示す模式図。
【図3】フォークリフトの側面図。
【図4】車体揺動制御装置の電気的構成を示すブロック
図。
【図5】タイヤ角の検出電圧を説明するための説明図。
【図6】車速センサの検出原理を説明するための摸式
図。
【図7】車速センサの検出信号を示すグラフ。
【図8】荷重,揚高に対する横Gの設定値を示すマッ
プ。
【図9】旋回半径と車速に対するロック領域を示すグラ
フ。
【図10】旋回時における横G,ヨ−レ−ト変化率の変
化を示すグラフ。
【図11】スウィング制御処理のフローチャート。
【図12】同じくフローチャート。
【図13】センサ故障診断処理のフローチャート。
【図14】同じくフローチャート。
【図15】第2実施形態におけるフォークリフトの平面
図。
【図16】同じく車体揺動制御装置の電気的構成を示す
ブロック図。
【図17】ジャイロスコープの検出電圧を説明するため
のグラフ。
【図18】ヨーレートと車速に対するロック領域を示す
グラフ。
【符号の説明】
1…産業車両としてのフォークリフト、1a…車体とし
ての車体フレーム、3…積載機器としてのフォーク、1
0…車軸としてのリアアクスル、11…操舵輪としての
後輪、13…車軸規制機構を構成する油圧式ダンパ、1
4…車軸規制機構を構成するとともに電磁切換弁、21
…検出器、第1検出器及び操舵角検出器としてのタイヤ
角センサ、22…検出器、第1検出器及び車速検出器と
しての車速センサ、25…比較用検出器としてのハンド
ル角センサ、27…検出器、第2検出器及び揚高検出器
としての揚高センサ、28…検出器、第2検出器及び荷
重検出器としての圧力センサ、29…制御手段としての
コントローラ、36…故障診断手段及び検出値設定手段
としてのCPU、51…検出器、第1検出器及び操舵角
検出器としてのジャイロスコープ、54…検出器、第2
検出器及び揚高検出器としての揚高センサ、Gs …横
G、ΔY/ΔT…ヨーレート変化率、θ…操舵角として
のタイヤ角、D…検出電圧、V…車速、H…揚高、w…
荷重。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に対して上下方向に揺動可能に支持
    された車軸と、 前記車軸の揺動を規制するための車軸規制機構と、 車両の走行状態及び荷役状態のうち少なくとも一方を検
    出するための複数の検出器と、 前記複数の検出器のうち少なくとも2つの検出器の検出
    値から決まる判定値が所定条件を満たしたときに、前記
    車軸規制機構を作動させる制御手段と、 少なくとも1つの前記検出器の故障を診断する故障診断
    手段とを備え、 前記制御手段は、前記故障診断手段が前記検出器を故障
    と診断した状態では、故障と診断された検出器の検出値
    が、該検出器の正常時の検出範囲内で判定値を最も前記
    所定条件を満たし易くする値をとったと仮定したとき
    に、車軸規制機構の作動が必要でないと認められるとき
    には、前記車軸規制機構を作動させないように設定され
    ている産業車両の車体揺動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記故障診断手段によ
    り故障と診断された検出器の検出値として、その正常時
    の検出範囲内で判定値を最も前記所定条件を満たし易く
    する値以上且つ、該判定値を得るための他の検出器の検
    出値がその検出範囲内のある領域の値をとったときに少
    なくとも該判定値が前記所定条件を満たさなくなる所定
    値を設定する検出値設定手段を備えている請求項1に記
    載の産業車両の車体揺動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、故障と診断された側で
    ない前記判定値を得るための他の検出器の検出値が、故
    障と診断された検出器の検出値がその正常時の検出範囲
    内で判定値を最も前記所定条件を満たし易くする値をと
    ったと仮定したときに該判定値が前記所定条件を満たさ
    なくなる所定範囲の値であるときには、前記車軸規制機
    構を作動させない請求項1に記載の産業車両の車体揺動
    制御装置。
  4. 【請求項4】 前記検出値設定手段が設定する前記所定
    値は、故障と診断された前記検出器の正常時の検出範囲
    内で前記判定値を最も前記所定条件を満たし易くする値
    である請求項2に記載の産業車両の車体揺動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記複数の検出器は判定値としての車両
    の横G及び車両のヨーレート変化率のうち少なくともい
    ずれか一方を得るために必要な検出値を検出するための
    複数の第1検出器を備え、前記制御手段は、前記複数の
    第1検出器の検出値から得られる横Gもしくはヨーレー
    ト変化率が設定値以上となる前記所定条件を満たすと、
    前記車軸規制機構を作動させるように設定されており、 前記検出値設定手段は、前記複数の第1検出器のうち前
    記故障診断手段により故障と診断された検出器の検出値
    として、その正常時の検出範囲内で前記横Gもしくは前
    記ヨーレート変化率を最も大きくし得る値である前記所
    定値を設定する請求項2に記載の産業車両の車体揺動制
    御装置。
  6. 【請求項6】 前記複数の第1検出器は、操舵輪の操舵
    角を検出する操舵角検出器と、車速を検出する車速検出
    器とからなる請求項5に記載の産業車両の車体揺動制御
    装置。
  7. 【請求項7】 前記複数の第1検出器は、車両のヨーレ
    ートを検出するためのヨーレート検出器と、車速を検出
    する車速検出器とからなる請求項5に記載の産業車両の
    車体揺動制御装置。
  8. 【請求項8】 前記横Gを得るための複数の第1検出器
    の他に、車両の重心高さを検出するために必要な複数の
    第2検出器を備え、前記制御手段は、前記横Gが、複数
    の第2検出器から検出される車両の重心高さに応じて決
    まる設定値以上になったときを前記所定条件を満たした
    として、前記車軸規制機構を作動させるように設定され
    ており、 前記検出値設定手段は、前記複数の第2検出器のうち前
    記故障診断手段により故障と診断された検出器の検出値
    として、その正常時の検出範囲内で前記車両の重心高さ
    を最も高くし得る値である前記所定値を設定する請求項
    5〜請求項7のいずれか一項に記載の産業車両の車体揺
    動制御装置。
  9. 【請求項9】 前記複数の検出器は、車両の荷役状態か
    ら決まる車両の重心高さを前記判定値として検出するた
    めの複数の第2検出器からなり、前記制御手段は、前記
    複数の第2検出器から検出される車両の重心高さが設定
    値以上になる前記所定条件を満たすと、前記車軸規制機
    構を作動させるように設定されており、 前記検出値設定手段は、前記故障診断手段により故障と
    診断された第2検出器の検出値として、その正常時の検
    出範囲内で車両の重心高さを最も高くし得る値である前
    記所定値を設定する請求項2に記載の産業車両の車体揺
    動制御装置。
  10. 【請求項10】 車両の重心高さを検出するために必要
    な複数の前記第2検出器は、荷を積載するために車両に
    設けられた積載機器の揚高を検出する揚高検出器と、該
    積載機器上の積荷の荷重を検出する荷重検出器とからな
    る請求項8又は請求項9に記載の産業車両の車体揺動制
    御装置。
  11. 【請求項11】 前記故障診断手段は、故障診断対象で
    ある検出器の検出値が、予め設定された故障条件を所定
    時間以上継続して満たしたことをもって該検出器の故障
    と診断する請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載
    の産業車両の車体揺動制御装置。
JP10601297A 1997-04-23 1997-04-23 産業車両の車体揺動制御装置 Pending JPH10297236A (ja)

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JP10601297A JPH10297236A (ja) 1997-04-23 1997-04-23 産業車両の車体揺動制御装置
TW090211068U TW482129U (en) 1997-04-23 1998-04-16 A rock controller for industrial vehicle body
US09/061,389 US6266594B1 (en) 1997-04-23 1998-04-16 Body swing control apparatus for industrial vehicles
EP98107081A EP0873893B1 (en) 1997-04-23 1998-04-17 Body swing control apparatus for industrial vehicles
CNB981094120A CN1151039C (zh) 1997-04-23 1998-04-17 工业车辆的车体摆动控制装置
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DE69822358T DE69822358T2 (de) 1997-04-23 1998-04-17 System zur Regelung der Aufbauneigung für Industriefahrzeuge

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002074421A (ja) * 2000-08-31 2002-03-15 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 移動物体の検知方法及び車両検知装置
CN110550576A (zh) * 2018-06-01 2019-12-10 海斯特-耶鲁集团有限公司 具有有利设计元素的升降车

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