JPH10295063A - 電気機器巻線の樹脂含浸・硬化方法 - Google Patents

電気機器巻線の樹脂含浸・硬化方法

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JPH10295063A
JPH10295063A JP10174197A JP10174197A JPH10295063A JP H10295063 A JPH10295063 A JP H10295063A JP 10174197 A JP10174197 A JP 10174197A JP 10174197 A JP10174197 A JP 10174197A JP H10295063 A JPH10295063 A JP H10295063A
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coil
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impregnated
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、樹脂の含浸性を高めることができ、
しかも環境的・コスト的にも有利にできる電気機器巻線
の樹脂含浸・硬化方法を提供する。 【解決手段】導体701周囲に絶縁層702を形成した
コイル7を圧力容器1内に配置し、圧力容器1内部の圧
力を減圧しながら、コイル7端部に接続部8を介して接
続した樹脂導入パイプ3より、樹脂貯蔵タンク4から供
給される含浸樹脂を注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水車発電機やター
ビン発電機などの大型回転電機に用いられる電気機器巻
線の樹脂含浸・硬化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、水車発電機やタービン発電機など
の大型回転電機などの大型コイルに対する樹脂含浸方法
として、まず、コイルの回りに絶縁材としてマイカを主
体とした複合絶縁テープを所定数巻回して圧力容器内に
設置し、この後、減圧・加圧含浸(VPI)を実施し
て、さらに金型などを当てて含浸した樹脂を硬化させる
方法が一般に採用されている。
【0003】この方法では、第1段階の減圧含浸におい
て、真空度を0.1Torr 程度まで減圧し、引き続いて樹脂
を少しずつ注入してコイル中に満たしていく。そして、
さらに減圧を続けることで、コイル絶縁物中の気体の排
気と樹脂の置換・浸透を促進させて樹脂の含浸率を上昇
させていく。
【0004】ところが、この方法では、コイル外部から
樹脂を含浸していく方法なので、絶縁物中の気体を完全
に排出して樹脂に置き換えることが難しい。そこで、適
度な減圧含浸の後、加圧に切り替えて残留気体を押し潰
すことにより、絶縁物中に存在する気体(ボイド)を小
さくして、さらに樹脂の含浸率を向上させることが行わ
れている。
【0005】しかし、このようにしても、絶縁物中のボ
イドを完全に除去することができない。これは、コイル
絶縁物中に気体が存在している時に、コイルが樹脂に包
まれるためで、絶縁物中の微細な部分では、樹脂の粘性
により気体との置換が十分に行われず、ボイドが残留す
る原因になっている。そして、絶縁物中にボイドが残留
すると、高電圧の下で使用されるコイルのような場合、
ボイドを起点とした部分放電が容易に発生してコイル寿
命に大きく影響し、機器の信頼性を損なうことがあっ
た。つまり、このような樹脂含浸の良否は、機器の性能
や信頼性に大きな影響を与えている。
【0006】また、このようにして樹脂を含浸したコイ
ルは、金型をセットして加熱硬化されるが、樹脂が付着
した状態での作業になるため作業性が悪いという問題が
あった。
【0007】さらに、このようなVPI方式では、圧力
容器中に注入される樹脂量は、コイルを十分に浸漬する
ため、コイル絶縁物中に含浸される樹脂量の数十倍にも
達する。そして、この時の含浸処理で余った樹脂は、処
理終了とともに、貯蔵タンクに戻されるようになり、含
浸タンクと貯蔵タンクの間で循環される。
【0008】ところが、このように余剰樹脂を循環させ
ることは、含浸タンクやコイル表面に付着した汚れや不
純物が含浸樹脂中に混入し、特性の低下をきたすおそれ
がある。また、含浸樹脂を循環させることは、温度変化
や不純物の影響で粘度上昇が比較的速くなり、このため
新たな含浸樹脂を補充して粘度の維持を図ることになる
が、これにも限界があり、本来の貯蔵寿命より短い時間
でしか使用できなくなるという問題があり、さらに、こ
の使用できなくなった含浸樹脂を廃棄するにも、環境的
・コスト的に大きな問題になっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のVP
I方式では、残存ボンド、作業性および含浸樹脂の寿
命、そして含浸樹脂の廃棄などに大きな問題を抱えてい
た。本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、樹脂
の含浸性および電気的特性の向上を図ることができ、し
かも環境的・コスト的にも有利にできる電気機器巻線の
樹脂含浸・硬化方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
導体周囲に絶縁層を形成したコイルを圧力容器内に配置
し、該圧力容器内部の圧力を減圧するとともに、前記コ
イル端部から含浸樹脂を注入するようにしている。
【0011】このようにすれば、注入される含浸樹脂の
流れ方向が一方向になるので、含浸時間が速く、しかも
ボイドも少なくできる。請求項2記載の発明は、導体周
囲に絶縁層を形成したコイル表面に、離型材としてプラ
スチック板を当てがい、その上から熱収縮テープを巻回
し、前記コイルに樹脂を含浸した後、該含浸樹脂を加熱
硬化させるようにしている。
【0012】このようにすれば、離型材としてプラスチ
ック板を用いることで、成形性、離型性に優れた結果が
得られる。請求項3記載の発明は、導体周囲に絶縁層を
形成したコイルを隙間を持たせて金型内に配置し、前記
コイルに樹脂を含浸した後、前記金型の隙間を塞ぐとと
もに、含浸樹脂を加熱硬化させるようにしている。
【0013】このようにすれば、含浸樹脂の加熱硬化の
際に金型による所定寸法が維持された精度の高いコイル
成形が実現できる。請求項4記載の発明は、導体周囲に
絶縁層を形成したコイルを、予め熱収縮チューブに挿入
し、前記コイルに樹脂を含浸した後、該含浸樹脂を加熱
硬化させるようにしている。
【0014】このようにすれば、樹脂含浸時に、絶縁層
を緩く保つことができるので、樹脂の含浸速度を速くで
き、また、硬化時の加熱温度によってコイルを締め付け
ながら樹脂硬化を行うことができる。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項4記載にお
いて、熱収縮チューブは、気体透過用の穴を有してい
る。請求項6記載の発明は、請求項1乃至5記載におい
て、導体周囲に絶縁層を形成したコイルは、導体と絶縁
層の間に樹脂浸透層を形成したものが用いられる。
【0016】このようにすれば、樹脂の浸透速度を大幅
に向上させることができる。請求項7記載の発明は、請
求項6記載において、コイルは、さらに樹脂浸透層の上
に半導電層を形成したものが用いられる。
【0017】このようにすれば、樹脂の浸透層での電界
を緩和して耐電圧性を向上させることができる。請求項
8記載の発明は、請求項1記載において、コイルの含浸
樹脂が注入される端部と反対側端部に樹脂検知センサを
配置し、該検知センサによる含浸樹脂の検知情報により
含浸樹脂が注入を止めるようにしている。
【0018】このようにすれば、無駄な樹脂の注入を止
めることができ、コイル中に樹脂を無駄なく含浸させる
ことができる。請求項9記載の発明は、請求項1記載に
おいて、コイルは、その周囲に導電体を巻き付けてなる
電極を複数個有し、これら電極から樹脂の含浸状態を測
定可能にしている。
【0019】このようにすれば、コイル内部での樹脂含
浸速度が異なることがあっても、樹脂の含浸状況を把握
することができる。請求項10記載の発明は、請求項1
記載において、含浸樹脂が注入されるコイル端部と含浸
樹脂注入部との間を密閉構造に形成している。このよう
にすれば、コイル端部より含浸樹脂を効率よく注入する
ことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に従い説明する。 (第1の実施の形態)図1は、本発明の樹脂含浸・硬化
方法が適用される含浸処理装置の概略構成を示してい
る。図において、1は圧力容器で、この圧力容器1に
は、バルブ2を有する樹脂導入パイプ3を介して樹脂貯
蔵タンク4を接続している。この樹脂貯蔵タンク4は、
熱硬化性の含浸樹脂5を貯蔵したもので、外部より供給
される気体6により含浸樹脂5面を加圧することで、貯
蔵含浸樹脂5を樹脂導入パイプ3を介して樹脂貯蔵タン
ク4内部に所定圧力で供給するようにしている。この場
合、ピストンなどを使用して気体6により含浸樹脂5面
を加圧するようにしてもよい。
【0021】圧力容器1の中空部には、回転電機用コイ
ル7を収容している。このコイル7は、導体701周囲
に絶縁層702を形成したものである。そして、このよ
うなコイル7端部に樹脂導入パイプ3を接続している。
図示例では、コイル7の一方端部にのみ接続部8を介し
て樹脂導入パイプ3を接続し、他方端部は、キャップ1
1を設け、この他方端部からの含浸樹脂5の流出を防止
するようにしている。
【0022】なお、図面中9は、圧力容器1内部の圧力
を表示する圧力計、10は、圧力容器1内部の圧力を減
圧するための減圧口である。しかして、このような処理
装置において、圧力容器1の中空部に樹脂含浸を行う回
転電機用のコイル7を配置し、このコイル7端部に接続
部8を介して樹脂導入パイプ3を接続する。
【0023】この状態から、圧力容器1内部の圧力を減
圧口10を介して減圧すると同時に、樹脂導入パイプ3
を介してコイル7端から含浸樹脂を注入する。この場
合、樹脂貯蔵タンク4の含浸樹脂5面を外部気体6によ
り加圧し、樹脂導入パイプ3よりコイル7端部に注入さ
れる含浸樹脂5を加圧することで、コイル7内部から絶
縁層702にかかる圧力差を大きくするようにしてい
る。
【0024】図2は、コイル7端部から注入される含浸
樹脂5の流れを説明するもので、この場合、樹脂導入パ
イプ3よりコイル7端部に注入される含浸樹脂5は、コ
イル7端部から導体701と絶縁層702との間に流入
し、さらに絶縁層702中を外側に向かって押しながら
浸透・含浸されるようになる。
【0025】しかして、このようにすると、コイル7端
部から注入される含浸樹脂5の流れる方向は、一方向に
なるので、含浸時間が速く、しかも、ボイドも少なくで
き、含浸性、電気特性に優れたコイルを製造することが
できる。
【0026】なお、コイル7として多く用いられる転移
撚線の場合は、導体701と絶縁層702での含浸樹脂
5の浸透性は比較的良好にできる。 (第2の実施の形態)この第2の実施の形態は、加熱硬
化の際のコイル成形に関するもので、この場合、図3に
示すように導体1201に絶縁テープ1202を巻回し
てなるコイル12表面に、離型のためのプラスチック板
13を当てがい、その上から加熱すると収縮する熱収縮
性テープ14を巻回し、上述した方法で樹脂を含浸した
後、この含浸樹脂を加熱硬化させコイル成形を行う。こ
の場合、プラスチック板13としては、融点が200℃
以上で、板厚が0.2〜5.0mm程度のポリアミド
(ナイロン66、46など)が用いられる。
【0027】このようにすれば、離型材としてプラスチ
ック板13を用いることにより、鉄板などを用いた場合
に比べ、成形性、離型性に優れた結果が得られる。 (第3の実施の形態)この第3の実施の形態は、含浸樹
脂の加熱硬化によるコイル成形に金型を使用する方法に
関するもので、この場合も図4に示すように導体120
1に絶縁テープ1202を巻回してなるコイル12表面
に、さらに図示しない離型テープを巻回したものを断面
U字状の下金型15内に隙間16を持たせて配置し、上
述した方法で樹脂を含浸する。つまり、この場合、樹脂
含浸時に、コイル12の絶縁テープ1202からなる絶
縁層を締め付けないように保って、樹脂の含浸を容易に
するとともに、絶縁層から滲み出した樹脂が垂れ落ちな
いような金型構造としている。そして、樹脂の含浸終了
の後、図4(a)に示す断面U字状の上金型17または
図4(b)に示す断面L字状の上金型18を下金型15
内に隙間16に挿入することで、金型を所定寸法に固定
して締め付け、含浸樹脂の加熱硬化が完了するまで、こ
の状態を維持する。
【0028】なお、断面U字状の上金型17または断面
L字状の上金型18は、コイル12の種類によって選択
的に使用するようになる。このようにすれば、含浸樹脂
の加熱硬化の際に金型による所定寸法が維持されるの
で、精度の高いコイル成形が実現できる。また、この場
合も、図4(a)(b)に示すようにコイル12と上金
型17または18の間に、離型のためのプラスチック板
13を使用することで、コイル12表面の保護、離型性
および作業性に優れたものが得られる。 (第4の実施の形態)この第4の実施の形態は、含浸樹
脂の加熱硬化によるコイル成形に熱収縮チューブを使用
する方法に関するものである。
【0029】この場合、導体に絶縁テープを巻回してな
るコイル表面に、融点200℃以上の、例えばポリアミ
ド(ナイロン66、46など)のプラスチック板または
シリコーンゴムあるいはEPDM(エチレンプロピレン
ゴム)などのカマボコ状の耐熱性ゴムを当てがい、これ
を熱収縮チューブに挿入して樹脂の含浸硬化を行う。こ
の場合、熱収縮チューブのコイル挿入部の上部には、気
体透過用の穴を明けて、真空引きを容易にしている。
【0030】図5は、このような方法によるコイル成形
の一例を示すもので、ここでは、コイル21の直線部2
11は、第3の実施の形態で説明した金型を使用した方
法を採用し、曲線部212のみに上述した熱収縮チュー
ブを使用した方法を採用している。
【0031】このような熱収縮チューブを用いたコイル
成形によれば、樹脂含浸時に、絶縁層を緩く保つことが
できるので、樹脂の含浸速度を速くでき、また、硬化時
の加熱温度によりコイル締め付けながら、樹脂硬化を行
うことができ、さらに取扱いが簡単で、離型性および作
業性にも優れたものが得られる。 (第5の実施の形態)この第5の実施の形態は、これま
での導体と絶縁層の界面での、導体の凹凸のみに期待し
た樹脂の浸透路でなく、積極的に樹脂の浸透層を設けて
含浸速度を速めるようにしている。
【0032】この場合、導体にマイカなどの絶縁テープ
を巻回してなるコイルの、これら導体と絶縁テープ(絶
縁層)の間に、不織布、ガラステープ、多孔質のプラス
チック焼結体、エンボスあるいはメッシュのある有機フ
ィルム、またはエンボスあるいはメッシュのある有機フ
ィルムと不織布を張り合わせたテープなどの単独または
適宜組み合わてなる浸透層を配置するようにしている。
【0033】このようにすれば、樹脂の浸透速度が大幅
に向上することで、例えば長尺コイルのような場合に
も、樹脂の含浸をコイル端部、中央部に時間差なく一様
に行うことができる。
【0034】この場合、樹脂浸透層の上から、さらに半
導電性テープを巻いて、半導電層を形成するようにして
もよい。こうすると、樹脂の浸透層での電界を緩和して
耐電圧性を向上することができる。 (第6の実施の形態)この第6の実施の形態は、樹脂を
コイルの一方端から注入する樹脂含浸法で、他方端から
不用意に樹脂が流れ出すのを防止するための方法であ
る。
【0035】この場合、第1の実施の形態で述べたよう
にコイルの一方端から樹脂含浸を行い、さらにコイルの
他方端に樹脂検知センサを有するシール機構を設けてい
る。このようにすれば、コイルの一方端部から導体と絶
縁層の間を含浸されてきた樹脂が、絶縁層に含浸される
前にコイルの他方端に達すると、これを樹脂検知センサ
で検知してバルブを締めるなどして樹脂の注入を止める
ことにより、樹脂を無駄なく含浸させるようにできる。 (第7の実施の形態)この第7の実施の形態は、導体に
絶縁テープを巻回してなるコイルの周囲にアルミ泊など
の導電体を部分的に複数箇所巻き付けて電極とし、これ
ら電極から導体との間の電気抵抗あるいは静電容量を測
定することで、樹脂含浸の程度を検出するようにしてい
る。
【0036】このようにすれば、長尺コイルの場合、か
かるコイル端部と中央部での樹脂含浸速度が異なること
があっても、コイル全体に含浸樹脂が行き渡ったことを
検知できるようになる。 (第8の実施の形態)この第8の実施の形態は、樹脂が
注入されるコイル端をシールするようにしている。この
場合、図6(a)に示すように導体311周囲に絶縁層
312を形成したコイル31端と図示しない樹脂導入パ
イプを接続する接続部32ととの間にゴムパッキン33
を、または、同図(b)に示すようにゴムシール34を
それぞれ介在させて、この間を密閉状態に構成してい
る。この場合、ゴムパッキン33は、絶縁層312の外
周に沿って押し込むことで密閉状態に装着でき、また、
ゴムシール34は、接続部32とコイル31との間の僅
かなクリアランスの間に液状ゴムやパテ状ゴムを塗り込
むことで密閉状態に装着できる。
【0037】このようにすれば、コイル31端と接続部
32との間を密閉状態にできるので、コイル31端より
含浸樹脂を効率よく注入することができる。 (第9の実施の形態)この第9の実施の形態も、樹脂が
注入されるコイル端をシールするようにしている。この
場合、図6と同一部分には同符号を付した図7に示すよ
うに導体311周囲に絶縁層312を形成したコイル3
1と図示しない樹脂導入パイプを接続する接続部32と
の間に熱収縮チューブ35を被せて、この間を密閉状態
に構成している。この場合、コイル31端と接続部32
に予め熱収縮チューブ35を被せておき、この間を接続
した後に、ドライヤーなどの熱風で熱収縮チューブ35
を加熱し収縮させることで、密閉状態を得るようにして
いる。このようにしても、コイル31端と接続部32と
の間を密閉状態にできるので、コイル31端より含浸樹
脂を効率よく注入することができる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)転移した素線コイルを1.2m用意し、こ
の素線コイルにガラス裏打ちマイカテープを1/2重ね
10回巻き付けコイル絶縁層を形成してコイルとした。
また、このコイル端部から10cmの位置と導体中心部に
それぞれ30mm幅のアルミ泊を巻いて電極とし、さら
に、これらの周囲にポリエステルの熱収縮テープを巻い
た。
【0039】そして、このように構成したコイルを断面
U字状の下金型に入れるとともに、コイルの両脇に1mm
厚さのナイロン66を挿入した。さらに圧力容器に入れ
て、コイル端を樹脂導入パイプに接続するとともに、こ
れら接続部をゴム系パテでシールした。
【0040】この場合、含浸樹脂は、粘度が25℃で1
ポンズのエポキシ含浸樹脂を使用し、含浸条件は、圧力
容器内の真空度0.3Torr以下に保持し、含浸樹脂の圧
力は大気圧とした。そして、樹脂の含浸後、コイル端の
樹脂導入パイプを外し、断面U字状の上金型を挿入し
て、所定寸法に固定して加熱硬化を行った。 (実施例2)実施例1の素線コイルと絶縁層の間に、さ
らにポリエステル不繊布0.2mm厚さのテープを1/2
重ね1回巻を加えた。 (実施例3)実施例1の素線コイルと絶縁層の間に、さ
らに0.18厚さのガラステープを1/2重ね1回巻を
加えた。 (実施例4)実施例1の素線コイルと絶縁層の間に、さ
らに三晶(株)のDELNET・X215で0.27厚さのテ
ープを突き合わせ1回巻を挿入したものを用いた。 (実施例5)実施例1の素線コイルと絶縁層の間に、さ
らに三晶(株)のDELNET・X215とポリエステル不繊
布0.2mm厚を張り合わせたテープを突き合わせ1回巻
を挿入した。
【0041】このようにして樹脂含浸を実行した実施例
1〜5の場合について、樹脂の含浸速度をコイルに設け
た電極間の静電容量で検出したところ、図8(a)に示
す結果が得られ、さらにV−tan δは、図9中Aに示す
結果が得られた。なお、図8(a)中のA〜Eは、上述
した実施例1〜5に対応している。
【0042】しかして、これら実施例1〜5について、
従来の真空・加圧含浸法によるものと比較した。ここで
の従来例として、コイルを製作後、コイルの両端から樹
脂が侵入しないように端末処理を行い、これを圧力容器
に入れ、真空度0.3Torr以下に保持脱気後、含浸樹脂
を注入し、真空で一定時間経過後、加圧に切り替え6Kg
/cm2 で含浸を行った。
【0043】このようにして樹脂含浸を実行した従来例
について、樹脂の含浸速度を静電容量から検出したとこ
ろ、図8(b)に示す結果が得られ、さらにV−tan δ
は、図9中Bに示す結果が得られた。
【0044】この結果、樹脂の含浸速度については、図
8(b)に示す従来例に比べ、同図(a)に示す実施例
1〜5については、真空引きによる含浸樹脂の一方向の
みの流れにより、差圧を大きく取れるため、含浸速度を
速めることが可能となり、含浸処理時間の大幅な短縮が
図れる。また、図9中のAに示す実施例1〜5は、tan
δ特性についても大幅な向上が確認でき、ボイドがさら
に少なくなっていることが推定できる。
【0045】その他、実施例1〜5では、一度圧力容器
に送り込まれた樹脂は、全てコイル中に送り込まれ、貯
蔵槽に戻ることがないので、大きな貯蔵槽を不要にで
き、しかも樹脂の使用可能時間の心配もなくなるので、
廃棄樹脂もほとんど皆無にすることができる。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、コイ
ルを配置した圧力容器内部の圧力を減圧しながら、コイ
ル端部から含浸樹脂を注入し、含浸樹脂の流れ方向を一
方向とすることにより、含浸時間を速く、しかもボイド
を少なくでき、樹脂の含浸性とともに、電気特性の向上
を図ることもできる。また、コイルに注入される含浸樹
脂は、再使用されることがなく、その結果、廃棄樹脂を
皆無にできるので、環境的・コスト的にも有利にでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される含浸処理装置の概略構成を
示す図。
【図2】本発明の第1の実施の形態のコイル端部から注
入される含浸樹脂の流れを説明するための図。
【図3】本発明の第2の実施の形態を説明するための
図。
【図4】本発明の第3の実施の形態を説明するための
図。
【図5】本発明の第4の実施の形態を説明するための
図。
【図6】本発明の第8の実施の形態を説明するための
図。
【図7】本発明の第9の実施の形態を説明するための
図。
【図8】本発明の樹脂含浸硬化法と従来の真空加圧含浸
法とを比較説明するための図。
【図9】本発明の樹脂含浸硬化法と従来の真空加圧含浸
法とを比較説明するための図。
【符号の説明】
1…圧力容器、 2…バルブ、 3…樹脂導入パイプ、 4…樹脂貯蔵タンク、 5…含浸樹脂、 6…気体、 7…コイル、 701…導体、 702…絶縁層、 8…接続部、 9…圧力計、 10…減圧口、 11…キャップ、 12…コイル、 1201…導体、 1202…絶縁テープ、 13…プラスチック板、 14…テープ、 15…下金型、 16…隙間、 17…断面U字状の上金型、 18…断面L字状の上金型、 21…コイル、 211…直線部、 212…曲線部、 31…コイル、 311…導体、 312…絶縁層、 32…接続部、 33…ゴムパッキン、 34…ゴムシール、 35…熱収縮チューブ。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体周囲に絶縁層を形成したコイルを圧
    力容器内に配置し、該圧力容器内部の圧力を減圧すると
    ともに、前記コイル端部から含浸樹脂を注入することを
    特徴とする電気機器巻線の樹脂含浸・硬化方法。
  2. 【請求項2】 導体周囲に絶縁層を形成したコイル表面
    に、離型材としてプラスチック板を当てがい、その上か
    ら熱収縮テープを巻回し、前記コイルに樹脂を含浸した
    後、該含浸樹脂を加熱硬化させることを特徴とする電気
    機器巻線の樹脂含浸・硬化方法。
  3. 【請求項3】 導体周囲に絶縁層を形成したコイルを隙
    間を持たせて金型内に配置し、前記コイルに樹脂を含浸
    した後、前記金型の隙間を塞ぐとともに、含浸樹脂を加
    熱硬化させることを特徴とする電気機器巻線の樹脂含浸
    ・硬化方法。
  4. 【請求項4】 導体周囲に絶縁層を形成したコイルを、
    予め熱収縮チューブに挿入し、前記コイルに樹脂を含浸
    した後、該含浸樹脂を加熱硬化させることを特徴とする
    電気機器巻線の樹脂含浸・硬化方法。
  5. 【請求項5】 熱収縮チューブは、気体透過用の穴を有
    することを特徴とする請求項4記載の電気機器巻線の樹
    脂含浸・硬化方法。
  6. 【請求項6】 導体周囲に絶縁層を形成したコイルは、
    導体と絶縁層の間に樹脂浸透層を形成したものであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至5記載の電気機器巻線の樹
    脂含浸・硬化方法。
  7. 【請求項7】 コイルは、さらに樹脂浸透層の上に半導
    電層を形成したものであることを特徴とする請求項6記
    載の電気機器巻線の樹脂含浸・硬化方法。
  8. 【請求項8】 コイルの含浸樹脂が注入される端部と反
    対側端部に樹脂検知センサを配置し、該検知センサによ
    る含浸樹脂の検知情報により含浸樹脂が注入を止めるよ
    うにしたことを特徴とする請求項1記載の電気機器巻線
    の樹脂含浸・硬化方法。
  9. 【請求項9】 コイルは、その周囲に導電体を巻き付け
    てなる電極を複数個有し、これら電極から樹脂の含浸状
    態を測定可能にしたことを特徴とする請求項1記載の電
    気機器巻線の樹脂含浸・硬化方法。
  10. 【請求項10】 含浸樹脂が注入されるコイル端部と含
    浸樹脂注入部との間を密閉構造に形成したことを特徴と
    する請求項1記載の電気機器巻線の樹脂含浸・硬化方
    法。
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