JPH10265725A - 水性インク、これを用いたインクジェット記録方法及び機器類 - Google Patents

水性インク、これを用いたインクジェット記録方法及び機器類

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JPH10265725A
JPH10265725A JP8733897A JP8733897A JPH10265725A JP H10265725 A JPH10265725 A JP H10265725A JP 8733897 A JP8733897 A JP 8733897A JP 8733897 A JP8733897 A JP 8733897A JP H10265725 A JPH10265725 A JP H10265725A
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JP
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ink
recording
component
dye
jet recording
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JP8733897A
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Isao Kimura
勲 木村
Hiroyuki Maeda
浩行 前田
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全で、記録画像のフェザリンクやブリーデ
ィングを生じることがなく、記録物の耐水性の向上が達
成され、更に、インクジェット記録に用いた場合には、
インクジェット記録ヘッドの目詰まり等の問題を生じる
ことのない、高発色、高画質の耐水性に優れた記録物を
提供し得る水性インクの提供。 【解決手段】 色材と液媒体とを含むインクであって、
少なくとも染料と、該染料と水不溶性の錯体を形成する
成分Aと、該錯体を可溶化する成分Bと、外部刺激によ
り成分Bを吸着する成分Cとを含むことを特徴とする水
性インク、これを用いたインクジェット記録方法及び機
器類。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性筆記具とし
て、或いはインクを吐出口(オリフィス)から小液滴と
して吐出、飛翔させ、この小液滴の被記録材表面への付
着にて記録を行うインクジェット記録において好適な水
性インクに関し、特に、高発色を与え、記録画像の滲み
(フェザリング)を低減し、印字物の耐水性に優れた水
性インク、これを用いたインクジェット記録方法及び機
器類に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、筆記具等に用いられるインク
は、安全性、臭気等の点で水性インクが主流であり、各
種の水溶性溶剤、水溶性染料又は顔料等で構成されてい
る。又、インクジェット記録用インクも、吐出容易性、
安全性及び臭気等の面から水性インクが主流であり、各
種の水溶性染料又は顔料を、水又は水と水溶性有機溶媒
に溶解又は分散させ、必要に応じて保湿剤、染料溶解助
剤、防かび剤等を添加したインクが知られている。イン
クジェット記録方法は、インクを毎秒数千滴以上、電気
信号に応じて吐出可能であり、高速記録が容易であるこ
と、騒音が少ないこと、カラー化が容易であること、高
解像度化が可能であること、普通紙記録が可能であるこ
と等の多くの長所を有し、数年来、その普及が目覚まし
い。
【0003】更に近年の、パソコンの低価格化、高性能
化、GUI環境の標準化、マルチメディアの普及等によ
り、周辺機器としてのインクジェットプリンタ等の画像
記録においても、フルカラーの高発色性、高堅牢性(耐
水性)、高解像度記録、高速記録への要求が高まり、色
調・コントラストに優れ、記録物の耐水性を向上させる
技術手段が種々提案されている。
【0004】その第1の例として、特公昭57−317
58号公報に、フッ素系溶媒と、アニオン系染料とカチ
オン性界面活性剤、又はカチオン系染料とアニオン性界
面活性剤とから合成され、且つこれらの溶媒に可溶性の
変性染料とを含有するインクが記載され、第2の例とし
て、特公昭63−7956号公報に、分子中に酸性基を
持ち、該酸性基が、塩基性有機化合物や塩基性リチウム
化合物と塩を形成している水溶性染料化合物と、これを
溶解又は分散する液媒体とからなるインクが記載されて
いる。
【0005】更に、第3の例として、特開昭58−32
676号公報では、酸性染料及び/又は直接染料をエチ
レンオキシド付加型のカチオン性界面活性剤で造塩し、
有機溶媒で可溶化させた水性インキが提案されており、
第4の例として、特開平2−296878号公報では、
1級アミノ基を有するポリアミンとアニオン系染料と安
定性付与剤とからなり、印字物の耐水性が向上する水性
インキ組成物が提案されている。
【0006】又、第5の例として、特開平6−2401
91号公報に、着色剤を含み、アニオン性重合体とカチ
オン性重合体とから生成する高分子複塩をpH10以上
にして可溶化した水性インキを用いることによって、記
録後、該高分子複塩が強靭な皮膜が形成されて、記録物
の耐水性が向上されることが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上に
挙げた第1の従来例では、フッ素系溶媒の揮発によるイ
ンク滴のノズル固着や、非水性溶媒の使用による人体及
び環境に対する安全性の問題がある。又、第2の例で
は、極性溶媒を用いるため、普通紙等の構成成分である
セルロース繊維に対する親和性がなく、記録画像の滲み
(フェザリング)の問題が発生する。更に、塩基性有機
化合物としてアミンを用いると、インクの臭気が問題と
なり、又、インクが強塩基性であるため、皮膚の損傷や
インクジェット記録ヘッドの部材の腐蝕が発生し、安全
で安定した使用に耐え得ない。
【0008】第3の例では、一旦染料を造塩しているた
め、インク中に多量の界面活性剤が含まれ、記録画像の
フェザリングが発生する。又、造塩・可溶化しているた
め、記録物の耐水性が悪い。更に、溶解安定性に問題が
あり、インクジェット記録に適用しても、記録ヘッドの
微小ノズルの目詰まりを引き起こしてしまう場合があ
る。
【0009】第4の例では、ポリアミンと染料との造塩
反応を、尿素等の安定性付与剤で防止しているが、尿素
は熱分解性化合物であり、使用環境下によっては尿素の
分解により溶解安定性が失われ、インク中の染料の析出
が起こる。
【0010】更に、第5の例では、インクがpH10以
上の塩基性の強い液体となるので記録ヘッドの構成部材
の腐蝕が生じ、又、揮発性の塩基性化合物を用いるた
め、使用中に可溶化物質の揮発によりpHが低下し、記
録ヘッドのノズル詰まりを生じる。又、アニオン性重合
体とカチオン性重合体とのイオン反応の他に、アニオン
系染料とカチオン性重合体との反応も同時に起こり、染
料が析出したり液が増粘する等、インクの構成成分の溶
解安定性に劣る。
【0011】従って本発明の目的は、安全で、記録画像
の滲み(フェザリンク)や混色滲み(ブリーディング)
を生じることがなく、記録物の耐水性の向上が達成さ
れ、更に、インクジェット記録に用いた場合には、イン
クジェット記録ヘッドの目詰まり等の問題を生じること
のない、高発色、高画質の耐水性に優れた記録物を提供
し得る水性インク、更には、これを用いたインクジェッ
ト記録方法及び機器類を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明によって達成される。即ち、本発明は、色材と液媒体
とを含むインクであって、少なくとも染料と、該染料と
水不溶性の錯体を形成する成分Aと、該錯体を可溶化す
る成分Bと、外部刺激により成分Bを吸着する成分Cと
を含むことを特徴とする水性インク、これを用いたイン
クジェット記録方法及び機器類である。更に具体的に
は、成分Aが染料のイオン性と反対のイオン性を有する
化合物であり、成分Bが非イオン性の水溶性高分子及び
/又は非イオン性界面活性剤であり、且つ、成分Cが、
その転移温度(Ts)前後で熱可逆的に、その水溶液中
から溶解或いは析出する化合物である水性インクが好ま
しく、このような構成によって、記録物の一層の高発色
とフェザリングの低減、及び記録物の耐水性の向上が達
成される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、好ましい実施の形態を挙
げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明の水性イン
クは、色材と液媒体とを含むが、先ず、本発明において
使用する色材について説明する。水性インクには、一般
的に、アゾ系の直接染料又は塩基性染料が用いられてい
る。直接染料は、その分子内に、スルホン酸基やカルボ
ン酸基等の可溶化基を持つのでアニオン性を有する。
又、塩基性染料は、分子内に、3級アミン、4級アミン
を有しカチオン性を有する。イオン性染料は、インク中
に、染料と反対の極性のイオン性又は非イオン性を有す
る界面活性剤が含有されていれば、これらの界面活性材
と錯体を形成する。例えば、アニオン性染料とカチオン
性界面活性剤では、アニオン性染料D−(SO3 -)x、カ
チオン性界面活性剤をC+と表せば、これらは下記に示
すようなイオン的な反応を生じる。この結果、染料と界
面活性剤との互いのイオン性が封鎖されるので、形成さ
れる錯体は殆ど水に不溶なものとなる。 D−(SO3 -)x + xC+ → D−(SO3 -−C+)x
【0014】このようにして生成された錯体を溶媒に可
溶なものとするために、従来公知の方法においては、過
剰の界面活性剤を添加するか、生成した錯体を溶解し得
る溶媒(一般的には非水系有機溶媒)をインク中に含有
させていた。しかしながら、これらのいずれの方法も、
記録用インクとして用いた場合に、多量の界面活性剤に
よる被記録材への過剰な浸透や、有機溶媒による被記録
材への浸透を起こし、得られる記録物がフェザリングを
生じるという問題があった。
【0015】そこで本発明者等は、上記の公知技術は、
いずれも錯体を一旦形成してから可溶化しているところ
に問題があると考え、この点を改良することにより、得
られる記録物が、フェザリング等を生じることなく高品
位であり、しかも際立つ耐水性を有するものとなる記録
用インクの開発に着手した。先ず、ビーカーに、分子内
にEO(エチレンオキシド)鎖を有する非イオン性の水
溶性高分子水溶液を入れ、これに、黄色のアニオン性染
料水溶液とカチオン性界面活性剤水溶液とを順次添加し
たところ、錯体を生成することなく、均一の液体Lが得
られた。この液体を約100℃に加熱して経過観察した
ところ、徐々に不溶性の着色物質の沈澱が生じた。又、
ビーカーを数時間加熱したところ、沈澱した着色物質の
量が増加したが、液全体はまだ着色していた。
【0016】以上のことから、インク中に、分子内にE
O(エチレンオキシド)鎖を有する非イオン性の水溶性
高分子の存在すると、そのイオン封鎖作用によってアニ
オン性染料及びカチオン性界面活性剤のイオン性が封鎖
されるが、加熱によりその封鎖力が弱まり、アニオン−
カチオンの結合が生じ、錯体の形成反応が起こるものと
推定される。但し、液全体は着色されていたことから、
完全にイオン性の封鎖が解除されているわけではない。
即ち、上記の例は、非イオン性の水溶性高分子の持つ染
料や界面活性剤に対するイオン性の封鎖作用が、温度に
よる外部刺激によって一部解かれることを示している。
【0017】そこで、本発明者らは、イオン性の染料と
界面活性剤とによる錯体の形成を自在に制御すべく、こ
のイオン性に対する封鎖作用を完全に解除し得る物質及
び条件について鋭意研究を行った。その結果、前記した
液体Lに、その転移温度(Ts)前後で熱可逆的に、そ
の水溶液中から溶解或いは析出する感温性の高分子水溶
液を添加した系においては、温度条件により非イオン性
の水溶性高分子が有するイオン性の封鎖作用を完全に解
除することができ、液中に存在するイオン性の染料の全
てがイオン性の界面活性剤によって錯体を形成して不溶
化することを知見し、本発明に至った。この現象は、上
記のような感温性の高分子を併存させると、この物質
は、常温の液体中では非イオン性の水溶性高分子との結
合性はないが、熱刺激により非イオン性の水溶性高分子
を吸着することができるようになり、更に、感温性高分
子の転移温度Ts以上で不溶化するので、液系から非イ
オン性の水溶性高分子が沈澱除去され、染料等のイオン
性に対する封鎖作用が完全に解除されるために生じると
考えられる。
【0018】即ち、インク中に、少なくとも染料と、該
染料と水不溶性の錯体を形成する成分Aと、該錯体を可
溶化する成分Bと、外部刺激により成分Bを吸着し得る
成分Cとが併存されていれば、外部刺激を制御すること
によって錯体の形成を自在に制御することが可能とな
り、得られる記録物の一層の高発色とフェザリングの低
減、及び記録物の耐水性の向上を達成することが可能と
なる。
【0019】本発明者らは、上記のような作用を有する
成分Cに相当する材料を広範に探索したところ、感温性
を有し、水溶性で、転移温度が(インクとしての有用性
を考慮して)20〜100℃である一連の感温性高分子
物質を見いだした。本発明で使用し得るこのような感温
性高分子としては、具体的には、例えば、窒素含有環を
有する活性水素化合物のアルキレンオキシド付加物のビ
ニルカルボン酸エステル単量体(a)と、下記一般式
(I)で表される単量体(b)の1種以上、及び(メ
タ)アクリル酸を合計して50重量%以上含有する共重
合体が挙げられる。
【0020】 (上記一般式(I)において、R1は、H又はCH3、R
2は、アルキル基又は置換基中の1個のN原子で結合す
る以下に挙げる環状の窒素含有化合物、及びそれらの置
換体であり、 一般式(I)中のnは2〜4、mは2〜4、lは2〜
4、xは2〜50、yは0又は1〜50、zは0又は1
〜50の各々整数であって、nとmとlが同じ数である
もの、及びnとm又はmとlが同じ数であるものを除
く。)
【0021】以下、本発明において、成分Cに好適な感
温性高分子の形成材料である、窒素含有環を有する活性
水素化合物のアルキレンオキシド付加物のビニルカルボ
ン酸エステル単量体(a)、上記一般式(I)で表され
る単量体(b)について詳しく説明する。先ず、単量体
(a)における窒素含有環を有する活性水素化合物とし
ては、窒素含有環と、アルキレンオキシドが付加するた
めの活性水素を有する化合物が挙げられ、具体的には、
例えば、窒素含有脂環式化合物や窒素含有不飽和環状化
合物が挙げられる。
【0022】上記のうち窒素含有脂環式化合物として
は、例えば、アジリジン、2−メチルアジリジン等のア
ジリジン環を有するもの、ピロリジン、2−メチルピロ
リジン、2−ピロリドン、スクシンイミド等のピロリジ
ン環を有するもの、ピペリジン、2−メチルピペリジ
ン、3,5−ジメチルピペリジン、2−エチルピペリジ
ン、4−ピペリジノピペリジン、4−ピロリジノピペリ
ジン、エチルピペコリネート等のピペリジン環を有する
もの、1−メチルピペラジン、1−メチル−3−エチル
ピペラジン等のピペラジン環を有するもの、モルホリ
ン、2−メチルモルホリン、3,5−ジメチルモルホリ
ン等のモルホリン環を有するもの、及び、ε−カプロラ
クタム等が挙げられる。
【0023】又、窒素含有不飽和環状化合物としては、
例えば、3−ピロリン、2,5−ジメチル−3−ピロリ
ン、2−ヒドロキシピリジン、4−ピリジルカルビノー
ル、2−ヒドロキシピリミジン等が挙げられる。これら
のうち、本発明において好ましく使用されるのは、窒素
含有脂環式化合物であり、その中でも更に好ましくは、
ピペリジン環を有するもの及びモルホリン環を有するも
のであり、最も好ましくは、モルホリン環を有するもの
である。
【0024】感温性高分子の形成材料に好適に用いられ
るビニルカルボン酸エステル単量体(a)は、上述した
窒素含有環を有する活性水素化合物のアルキレンオキシ
ド付加物とビニルカルボン酸とのエステルであるが、こ
の際に使用されるビニル系カルボン酸としては、例え
ば、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、ビニル安
息香酸、及びこれらの誘導体が好ましく、特に好ましい
ものとしては、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アク
リル酸誘導体が挙げられる。
【0025】又、単量体(a)におけるアルキレンオキ
シドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシ
ド、ブチレンオキシド付加物が好適である。本発明にお
いて使用する成分Cの転移温度(Ts)は、このアルキ
レンオキシドの種類や付加モル数を調節することで容易
に変えることができる。例えば、エチレンオキシドの場
合は、付加モル数を多くすると転移温度が上昇し、プロ
ピレンオキシドやブチレンオキシドの場合は、付加モル
数の増加で転移温度は低くなる。本発明においては、ア
ルキレンオキシドの付加モル数としては、1〜20モル
のものが好ましく、より好ましくは1〜5モルのもので
ある。例えば、単量体(a)として、(置換)モルホリ
ンのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド1
〜20モル付加物の(メタ)アクリル酸エステルを構成
材料とする高分子の転移温度は、アルキレンオキシドの
種類や付加モル数を調節することで容易に調整される。
エチレンオキシド付加物の場合は、付加モル数を1から
4と多くすると、転移温度は36℃から76℃へと上昇
する。又、プロピレンオキシドやブチレンオキシド付加
物の場合には、付加モル数を1から3と多くすると、転
移温度は80℃から16℃へと下降する。
【0026】次に、本発明において、成分Cとして好適
な感温性高分子の形成材料である前記した一般式(I)
で表される単量体(b)について説明する。単量体
(b)としては、例えば、ビニル系(メタ)アクリル酸
モノマーにアルキレンオキシドが付加し、更に、側鎖末
端に環状の窒素含有化合物が付加した構造のものが用い
られる。このようなものとしては、具体的には、例え
ば、ω−モルホリノポリエチレングリコールモノアクリ
レート、ω−モルホリノポリエチレングリコールモノメ
タクリレート、ω−ピペリジノポリエチレングリコール
モノアクリレート、ω−ピペリジノポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート、ω−ピペラジノポリエチレン
グリコールモノアクリレート、ω−ピロリジノポリエチ
レングリコールモノメタクリレート、ω−モルホリノ
(ポリ)プロピレングリコール−ポリエチレングリコー
ルモノアクレリレート、ω−モルホリノ(ポリ)プロピ
レングリコール−ポリエチレングリコールモノメタクレ
レート、ω−モルホリノ(ポリ)ブチレングリコール−
ポリエチレングリコールモノアクリレート、ω−モルホ
リノ(ポリ)ブチレングリコール−ポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート、ω−モルホリノ(ポリ)エチ
レングリコール−(ポリ)プロピレングリコール−ポリ
エチレングリコールモノアクリレート、ω−モルホリノ
(ポリ)エチレングリコール−(ポリ)プロピレングリ
コール−ポリエチレングリコールモノメタクリレート、
ω−モルホリノポリブチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、ω−モルホリノポリテトラメチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】上記一般式(I)で表される単量体(b)
の合成方法としては、例えば、先ず、炭素数1〜4のア
ルコール又はフェノールに、アルカリ金属触媒の存在
下、50〜200℃、1〜10気圧でアルキレンオキシ
ド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、
ブチレンオキシド等)を順次付加して得られるポリエー
テルモノオールと、モルホリン等の脂環式窒素含有化合
物とを付加反応させ、次に、メタクリル酸又はアクリル
酸等と酸性触媒(例えば、硫酸、パラトルエンスルホン
酸等)の存在下、50〜200℃、1〜10気圧でエス
テル化するか、又は、エステル化試薬(例えば、ジシク
ロヘキシルカルボジイミド等)と共に、−10〜50
℃、常圧でエステル化反応させる方法を挙げられる。
【0028】以上のような材料からなる成分Cとして好
適な感温性高分子は、前記したように、ビニルカルボン
酸エステル単量体(a)、一般式(I)で表される単量
体(b)、(メタ)アクリル酸(以下、AAと略す)の
共重合体であるが、これら材料の構成比により増粘の温
度幅が変化するので、温度幅をできる限り小さくするた
めには、単量体(a)、単量体(b)及びAAとの重量
比を、単量体(a):単量体(b):AA=(50〜9
4):(40〜5):(10〜1)、好ましくは、単量
体(a):単量体(b):AA=(72〜90):(2
0〜8):(8〜2)にするとよい。
【0029】本発明の水性インクにおいては、インク中
に成分Cとして添加する高分子の分子量及び添加量を、
インクジェット記録用インクとする場合には、インク粘
度の吐出許容範囲内(100mPa・s以下)に納める
必要がある。この為、例えば、成分Cに使用する感温性
高分子として、重量平均分子量が、1,000以上50
万以下の範囲のものを使用するとよい。即ち、感温性高
分子の分子量が50万を越えると分子鎖が長くなり過
ぎ、再溶解速度が低下したり、曳糸性が出るので好まし
くない。又、本発明においては、分子量が異なる高分子
を混合使用してもその効果は十分に得られる。
【0030】次に、本発明の水性インクに用いる成分A
について説明する。該成分Aは、インク中の色材である
染料と水不溶性の錯体を形成するものであって、染料の
イオン性と反対のイオン性を有する化合物が好ましく用
いられる。即ち、成分Aとしては、水溶性染料等の色材
とイオン的に反応し、該染料を水不溶化或いは凝集析出
させる作用を有する物質が用いられる。例えば、染料が
アニオン性であればカチオン性化合物、染料がカチオン
性であればアニオン性化合物を選択すればよい。
【0031】アニオン性を有する染料は一般に、分子内
に−SO3H、−COOH等の酸性基を有する。アニオ
ン/カチオン、カチオン/アニオン錯体は各々の物質の
平衡反応であるため、例えば、アニオン/カチオンの組
み合わせにおいて、アニオンに対して大過剰量のカチオ
ンが存在すると水可溶性となり、この場合には耐水性の
ある記録物が得られない。従って、反対イオン各々の量
の比には最適値が存在し、得られる記録物の耐水性の目
標値に対して適宜、この量比の制御をすることが必要で
ある。
【0032】本発明において使用し得るカチオン性化合
物の例としては、第4級アンモニウムサルフェート、第
4級アンモニウムナイトレート、脂肪族アミン塩、脂肪
族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベン
ゼトニウム、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウ
ム塩、ポリアリルアミン塩、ポリビニルイミダゾリン
塩、ポリアミノアルキル(メタ)アクリレート4級塩、
ポリアミノメチルアクリルアミド4級塩、ポリエチレン
イミン、カチオン化デンプン、キトサン酢酸塩、及びア
ニオン性染料と色相が同じカチオン性染料等を挙げるこ
とができる。
【0033】又、本発明において使用し得るアニオン性
化合物としては、有機酸、有機酸塩、有機酸エステル、
ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩等が代表的であり、
具体的には、例えば、p−トルエンスルホン酸、酢酸、
しゅう酸、マレイン酸、タンニン酸、カルボン酸ソー
ダ、アルキルリン酸ソーダ、アルキル硫酸ソーダ、アル
キルリン酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリ(メ
タ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、アル
キルスルホン酸ソーダ、及びカチオン性染料と色相が同
じアニオン性染料等を挙げることができる。
【0034】カチオン性化合物と錯体を形成し得るアニ
オン染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、反
応性染料等が挙げられる。これらは大部分の疎水性色素
骨格と数個のスルホン酸塩(−SO3M)、カルボン酸
塩(−COOM)、等の酸性基を有するため、上記に挙
げたカチオン性化合物とイオン的に反応して錯体を形成
する。
【0035】このようなアニオン染料の具体例としては
下記のものが挙げられる。ブラック染料としては、例え
ば、C.I.Direct Black 17、C.
I.Direct Black 19、C.I.Dir
ect Black62、C.I.Direct Bl
ack 154、C.I.Food Black 2、
C.I.Reactive Black 5、C.I.
AcidBlack 52、I.C.I.Proje
t、Fast Black 2等が挙げられる。
【0036】又、イエロー染料としては、例えば、C.
I.Direct Yellow11、C.I.Dir
ect Yellow 44、C.I.Direct
Yellow 86、C.I.Direct Yell
ow 142、C.I.Direct Yellow
330、C.I.Acid Yellow 3、C.
I.Acid Yellow 38、C.I.Disp
erse Yellow3、C.I.Disperse
Yellow 5、C.I.Reactive Ye
llow 2等が挙げられる。
【0037】又、マゼンタ染料としては、例えば、C.
I.Direct Red 227、C.I.Dire
ct Red 23、C.I.Acid Red 1
8、C.I.Acid Red 52、C.I.Dis
perse Red 60、C.I.Reactiv
Red 3B等が挙げられる。
【0038】又、シアン染料としては、例えば、C.
I.Direct Blue 115、C.I.Dir
ect Blue 168、C.I.Direct B
lue199、C.I.Acid Blue 9、C.
I.Acid Blue 40、C.I.Acid B
lue 74、C.I.Reactive Blue3
G等が挙げられる。
【0039】更に、これらの染料以外でも、可溶化基を
減らして耐水性を高めたもの、溶解度をpH敏感にした
特殊なグレードのもの等いずれも使用することができ
る。染料のインク中における濃度としては溶解度の範囲
以内で自由に選択可能で、通常1〜8wt%が好まし
く、布、金属(アルマイト)等への記録には3〜10w
t%が好ましく、更に、記録画像に濃淡が必要な場合に
は0.1〜10wt%が好ましい。
【0040】一方、アニオン性化合物と錯体を形成し得
るカチオン染料としては、具体的には、例えば、C.
I.Basic Yellow 11、C.I.Bas
icYellow 28、C.I.Basic Ora
nge 22、C.I.Basic Red 14、
C.I.Basic Violet 16、C.I.B
asic Blue 3、C.I.Basic Blu
e 41等が挙げられる。
【0041】次に、上記のようにして形成されるカチオ
ン/アニオン又はアニオン/カチオン錯体を可溶化する
成分について説明する。本発明の水性インクに用いられ
る成分Bとしては、非イオン性の水溶性高分子及び/又
は非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。このよ
うな成分Bは、染料等が有するイオン性を封鎖し、反対
イオン性の物質同士を1液中に共存させることができる
物質であり、分子中にEO(エチレンオキシド)鎖を持
ち、それ自体非イオン性である。このような非イオン性
界面活性剤及び非イオン性水溶性高分子としては、具体
的には、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリエチレンオキシ
ド−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体等が挙げ
られる。
【0042】以上のような構成の本発明の水性インクに
は、信頼性、保存安定性、或いはインクの浸透性の調節
等、よりインクジェット記録適性を付与するために、次
に挙げるような保湿剤、溶解助剤を含有させてもよい。
そのような材料としては、例えば、1,2−エタンジオ
ール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジ
オール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオ
ール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エ
チル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール200、ジプ
ロピレングリコール、2,2’−チオジエタノール、
1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコ
ール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の
非プロトン性極性溶媒、1,2−ジメトキシエタン、
1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタ
ン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコール
ジブチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エト
キシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノー
ル、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノメチルエチルエーテル、1−
メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロ
パノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリ
コールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチ
ルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル
類、ホルムアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−
ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ソル
ビトール、ソルビット、ウレア、1,3−ビス(β−ヒ
ドロキシエチル)ウレア等が挙げられる。上記の材料の
インク中の含有量は、インク全重量の1〜40%の範囲
が好ましい。
【0043】又、本発明の水性インクをインクジェット
記録用に使用する際には、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−
ブタノール等のアルキルアルコールを含有させると吐出
性が向上し、更に効果的である。これらのアルコール類
は、インクの全重量の1〜10%の範囲で含有させるこ
とが好ましい。更に、必要に応じて、界面活性剤、防錆
剤、防かび剤、酸化防止剤、pH調整剤等の添加剤を含
有することも可能である。
【0044】以上のような構成の本発明の水性インク
は、筆記具用としても用いることができるが、インクの
液滴を記録信号に応じて記録ヘッドのオリフィスから吐
出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法
に用いると特に効果的である。本発明のインクジェット
記録方法では、上記した本発明の水性インクを用い、且
つ記録時に被記録材の表面温度をインク中の成分Cの転
移温度Ts以上に保持して記録を行うことを特徴とす
る。更に、記録時に、インクの温度を成分Cの転移温度
Ts未満に保持して記録を行うのも好ましい態様であ
る。その際に使用するインクジェット記録方式として
は、インクに力学的エネルギーを作用させ液滴を吐出す
る記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインク
の発泡により液滴を吐出する記録方法のいずれにも好適
である。
【0045】以下、本発明で好適に使用されるインクジ
ェット記録装置について説明する。先ず、図1、図2及
び図3に、熱エネルギーを利用したインクジェット記録
装置の主要部であるヘッドの構成例を示す。ヘッド1は
インクを通す流路(ノズル)2を有するガラス、セラミ
ック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板3
とを接着して得られる。発熱素子基板3は、酸化シリコ
ン、窒化シリコン或いは炭化シリコン等で形成される保
護層4、アルミニウム、金或いはアルミニウム−銅合金
等で形成される電極5、HfB2、TaN、TaAl等
の高融点材料から形成される発熱抵抗体層6、熱酸化シ
リコン或いは酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層
7、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放
熱性のよい材料で形成される基板8より成り立ってい
る。
【0046】上記ヘッド1の電極5にパルス状の電気信
号が印加されると、発熱素子基板3のhで示される領域
が急速に発熱し、この表面に接しているインクに気泡が
発生し、その発生する圧力でメニスカス10が突出し、
インクがヘッドのノズル2を通して吐出し、オリフィス
11より記録小液滴12となり、被記録材13に向かっ
て飛翔する。図3には図1に示したヘッドを多数並べた
マルチヘッドの外観図を示す。尚、図1は、インク流路
に沿ったヘッドの断面図であり、図2は図1のX−Y線
での断面図である。
【0047】図4に、かかるヘッドを組み込んだインク
ジェット記録装置の一例を示す。図4において、61は
ワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブ
レード保持部材によって保持固定されており、カンチレ
バーの形態をなす。ブレード61は、記録ヘッドによる
記録領域に隣接した位置に配置され、記録ヘッドの移動
方向と垂直な方向に移動して吐出口面と当接し、キャッ
ピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61
に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード6
1と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保
持される。上記ブレード61、キャップ62、吸収体6
3によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及
び吸収体63によって吐出口面に水分、塵埃等の除去が
行われる。
【0048】65は、吐出エネルギー発生手段を有し、
吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを
吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65
を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッ
ジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に
係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって
駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これ
によりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可
能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接
した領域の移動が可能となる。51は被記録材を挿入す
るための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動さ
れる紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘ
ッドの吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、
記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙
部へ排紙される。
【0049】以上の構成において記録ヘッド65が記録
終了してホームポジションへ戻る際、ヘッド回復部64
のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避し
ているが、ブレード61は移動経路中に突出している。
その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされ
る。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接
してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッ
ドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド
65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場
合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピン
グの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動
においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされ
る。
【0050】上述の記録ヘッドのホームポジションへの
移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘ
ッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔
で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この
移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0051】図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例
えばチューブを介して供給されるインクを収容したイン
クカートリッジの一例を示す図である。ここで40は供
給用インクを収納したインク収容部、例えばインク袋で
あり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。
この栓42に針(不図示)を挿入することにより、イン
ク袋40中のインクをヘッドに供給可能にならしめる。
44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク
収容部としてはインクとの接触面がポリオレフィン、特
にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
【0052】本発明で使用されるインクジェット記録装
置としては、上述のようにヘッドとインクカートリッジ
が別体となったものに限らず、図6に示すようなそれら
が一体となったものにも好適に用いられる。図6におい
て、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収
容したインク収容部、例えばインク吸収体が収納されて
おり、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィス
を有するヘッド部71からインク滴として吐出される構
成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレ
タンを用いることが本発明にとって好ましい。又、イン
ク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込
んだインク袋であるような構造でも良い。72はカート
リッジ内部を大気に連通させるための大気連通口であ
る。この記録ユニット70は図3に示す記録ヘッドに換
えて用いられるものであって、キャリッジ66に対し着
脱自在になっている。
【0053】次に、本発明のインクジェット記録方法で
用いられるインクに力学的エネルギーを作用させ液滴を
吐出させて記録を行う方式のインクジェット記録装置に
ついて説明する。該インクジェット記録方式の装置にお
いては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズ
ルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧
力発生素子と、前記圧力発生素子の周囲を満たすインク
を備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させインク
の小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジ
ェット記録ヘッドを挙げることができる。
【0054】その記録装置の主要部分である記録ヘッド
の構成例を図7に示す。ヘッドは、インク室(不図示)
に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を
吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直
接圧力を作用させる振動板82と、その振動板82に接
合され電気信号により変位する圧電素子83と、圧電素
子83、オリフィスプレート81、振動板等82を支持
固定するための基体84とから構成されている。
【0055】図7において、インク流路80は、感光性
樹脂等で形成され、オリフィスプレート81は、ステン
レス、ニッケル等の金属からなり、これに、電鋳、プレ
ス加工による穴あけ等により吐出口85が形成されてい
る。又、振動板82は、ステンレス、ニッケル、チタン
等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成さ
れ、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZT等の誘
電体材料で形成される。
【0056】以上のような構成の記録ヘッドでは、圧電
素子83にパルス状の電圧を与えて歪み応力を発生さ
せ、そのエネルギーが圧電素子に接合された振動板を変
形させてインク流路内のインクを垂直に加圧し、インク
滴をオリフィスプレートの吐出口85より吐出、記録を
行うように動作する。かかる記録ヘッドは図4に示した
ものと同様な記録装置に組み込んで使用される。又、記
録装置の細部の動作は、先述と同様に行うもので差しつ
かえない。
【0057】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明する。尚、文中の組成比は、特に断りがない
限り重量%である。実施例1〜6 (インクの調製)実施例のインクの調製は、以下の手順
によって行った。 1.成分Bの水溶液に染料水溶液を加えるか、或いは、
染料水溶液に成分Bの水溶液を加えて攪拌混合する。 2.上記1の液体に、所定量の成分Aの水溶液を加え攪
拌混合する。 3.上記2の液体に、成分Cの水溶液を加え攪拌混合す
る。 4.更に、溶解助剤、保湿剤等を加え混合攪拌して調製
工程を終える。
【0058】上記の成分Bとしては、三洋化成工業
(株)製の商品名「イオネットFY−104」又は「L
D7−CN」、又はEO−PO−EOブロックポリマー
である「ニューポールPE−74」を使用した。又、成
分Aとしては、染料がアニオン性の場合には、三洋化成
工業(株)製商品名「カチオンG−50」を用いた。
又、成分Cには、以下の構造式で示される単量体L1、
L2、L3の、L1、L2、L3の組成(重量%)=9
0:2:8の共重合体を用いた。
【0059】下記表1に、実施例で使用したインク処方
と、得られたインクの物性を示した。表1:実施例1〜
6のインク組成
【0060】比較例1〜4 成分A〜Cを添加しなかった以外は、実施例1、3、4
及び5と同様の組成及び同様の方法でインクを夫々作成
し、比較例1〜4のインクとした。尚、成分A〜Cの分
はイオン交換水で置き換えた。
【0061】評価 [評価項目]以上で得られた実施例1〜6のインク及び
比較例1〜4のインク各々について、以下の方法及び評
価基準でインクとしての性能評価を行った。 1.光学濃度(OD値) A4サイズの用紙に、5mm四方の正方形のベタ部が5
箇所あるパターンをプリントし、30分以上経過後のプ
リントサンプルについて光学濃度の測定を行った。プリ
ント画像内5箇所のベタ部の濃度をマクベス反射濃度計
RD914にて測定し、その平均値をOD値とした。
尚、ベタ部のインク打ち込み量は12nl/mm2であ
る。
【0062】2.フェザリング(ブラックインクのみ) A4サイズの用紙に記録ヘッドのノズルの1本置きに間
引いたドットを記録し、30分以上経過したプリントサ
ンプルのドットを拡大鏡で観察し、以下の基準で5段階
評価した。 5:真円のドット 4:円周の1/4に滲みがみられるか、変形しているも
の 3:円周の1/2に滲みがみられるか、変形しているも
の 2:円周の3/4に滲みがみられるか、変形しているも
の 1:円周の部分がまったくないドット
【0063】3.ブリーディング 図8に示した評価パターンを用意し、ブリーディングの
レベルを5段階に分けて、2色境界部(矢印の線)から
混色滲みがどの線の位置まで発生するかをブリーディン
グのレベルとし、5段階評価した。即ち、境界線から1
ドットライン以内でブリーディングが止まっている場合
を5、以下どのラインまでブリーディングが発生したか
により、4、3、2、1とした。尚、図8中のA部は色
A、B部は、色Aと異なる色Bの印字パターンであり、
2色の境界を両端矢印の線で示し、1ドットライン/1
ドットスペースの間隔で5ラインが記録してある。
【0064】4.耐水性 評価項目1で記録した印字物を24時間自然乾燥した
後、純水で満たした平型容器に1分間漬け、取り出して
水を切り、自然乾燥後、再びODを測定して初期ODか
らの変化率を算出し、耐水性の評価とした。 耐水性(%)=水浸漬後のOD値/初期OD値×100
【0065】[評価機]上記1〜4のインクジェット記
録の評価用記録装置としてキヤノン(株)製BJC60
0(360dpi)を使用した。インクの供給は専用イ
ンク容器に目的のインクを充填する方法を用いた。尚、
BJC600には、記録中に用紙を加熱する機構が組み
込まれている。その概要を図9に示した。図9の記録装
置は、図4の基本的な記録装置に被記録材の加熱素子1
00を設置したものである。加熱素子100は、東芝
(株)製のセラミックヒーター(長さ250nm)を記
録ヘッドに対向するように張り付けたものであり、加熱
素子の表面温度を、温度センサー(KEYENCE製
TF2−31)200でモニターし、菊水電子製のPM
C35−2A電源201によってPID制御で温度調節
を行った。以上のように構成されている結果、紙表面温
度を、23℃の環境温度において、30℃〜160℃の
範囲で加熱することが可能である。
【0066】評価にあたっては、紙表面温度が各実施例
のインクに含有されている成分Cの転移温度に対し、+
10℃の温度となるように記録装置の加熱素子を調節し
て印字を行った。各色のカラーインク間で、この転移温
度が異なる場合には、最も高い転移温度+10℃になる
ようにした。又、対応する比較例のインクの評価も実施
例のインクで記録する条件と同じに設定して評価を行っ
た。 [評価用用紙]評価項目1〜4の評価用の用紙として
は、電子写真用NP−SK紙(LotNo.OKK1
0)を用いた。
【0067】[評価結果]表2に、BJC600に実施
例1〜6のインクを搭載し、上記の条件で印字を行って
得られた評価項目1、2及び4の性能評価結果を示し
た。又、比較例1〜4のインクについても同様にして、
評価結果を表2に示した。更に、評価項目3のブリーデ
ィングについては、図8の評価パターンを使用してその
結果を表3に示した。同様に比較例についてのブリーデ
ィング評価結果を表4に示した。
【0068】表2:実施例及び比較例のOD、フェザリ
ング、耐水性評価結果
【0069】表3:実施例のブリーディング評価結果
【0070】表4:比較例のブリーディング評価結果
【0071】表3及び表4の結果より、本発明のインク
は高いOD値を有し、フェザリング、ブリーディングの
発生に対する良好な防止性能を維持しつつ、画像の耐水
性が従来のインクを用いた場合よりも格段に優れている
ことがわかった。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特に、電子写真用紙のような事務用普通紙に対するカラ
ー記録において、高画像濃度を有する高発色の、フェザ
リングやブリーディングが有効に防止された耐水性の向
上した印字物が得られる。又、本発明によれば、特殊な
染料を用いることなく上記した優れた印字物が得られる
ため、インクのコストダウンが図れる。更に、本発明に
よれば、インクや被記録物の温度を制御することによっ
て上記の優れた効果が得られるため、普通紙以外のトラ
ンスペアレンシーフィルム、布、金属板等、種々の被記
録材に対しても良好な結果が得られ、被記録材の表面p
Hや凹凸等の影響を受けないため有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図
である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図
である。
【図3】インクジェット記録装置の複数のノズルを有す
るヘッドの一例。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図。
【図5】インクカートリッジの一例を示す縦断面図。
【図6】インクジェット記録ヘッドとインクカートリッ
ジが一体である仕様の斜視図。
【図7】圧電素子を用いたインクジェット記録ヘッドの
縦断面図。
【図8】ブリーディング評価パターン。
【図9】加熱素子を設けたインクジェット記録装置の一
例を示す斜視図。
【符号の説明】
51:給紙部 52:紙送りローラー 53:排紙ローラー 61:ワイピング部材 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:インクジェット記録ヘッド 66:キャリッジ 67:キャリッジガイド軸 68:キャリッジ駆動部 69:駆動用ベルト部 80:インク流路 81:オリフィスプレート 82:振動板 83:圧電素子 85:吐出口 100:加熱素子 200:温度センサー 201:加熱用電源

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材と液媒体とを含むインクであって、
    少なくとも染料と、該染料と水不溶性の錯体を形成する
    成分Aと、該錯体を可溶化する成分Bと、外部刺激によ
    り成分Bを吸着する成分Cとを含むことを特徴とする水
    性インク。
  2. 【請求項2】 成分Aが染料のイオン性と反対のイオン
    性を有する化合物であり、成分Bが非イオン性の水溶性
    高分子及び/又は非イオン性界面活性剤であり、且つ、
    成分Cが、その転移温度(Ts)前後で熱可逆的に、そ
    の水溶液中から溶解或いは析出する化合物である請求項
    1に記載の水性インク。
  3. 【請求項3】 成分Cの転移温度Tsが20℃〜100
    ℃である請求項2に記載の水性インク。
  4. 【請求項4】 色材と液媒体とを含むインクの液滴を記
    録信号に応じて記録ヘッドのオリフィスから吐出させて
    被記録材に記録を行うインクジェット記録方法におい
    て、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクを用
    い、且つ記録時に被記録材の表面温度を成分Cの転移温
    度Ts以上に保持して記録を行うことを特徴とするイン
    クジェット記録方法。
  5. 【請求項5】 更に、記録時にインクの温度を成分Cの
    転移温度Ts未満に保持して記録を行う請求項5に記載
    のインクジェット記録方法。
  6. 【請求項6】 インクに熱エネルギーを作用させ液滴を
    吐出させて記録を行う請求項4又は請求項5に記載のイ
    ンクジェット記録方法。
  7. 【請求項7】 インクに力学的エネルギーを作用させ液
    滴を吐出させて記録を行う請求項4又は請求項5に記録
    のインクジェット記録方法。
  8. 【請求項8】 インクを収容したインク収容部、インク
    をインク滴として吐出させるための記録ヘッド部を備え
    た記録ユニットにおいて、該インクが請求項1〜請求項
    3のいずれかに記載のものであることを特徴とする記録
    ユニット。
  9. 【請求項9】 インクを収容したインク収容部、インク
    をインク滴として吐出させるための記録ヘッド部を有す
    る記録ユニットを備えたインクジェット記録装置におい
    て、該装置で用いる記録ユニットが請求項8に記載のも
    のであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】 更に、記録動作と連動させて被記録材
    を転移温度Ts以上に加熱する機構を有する請求項9に
    記載のインクジェット記録装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004210938A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Canon Finetech Inc インクジェット記録用インク、これを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置
US8883098B2 (en) 2005-04-11 2014-11-11 Omya International Ag Precipitated calcium carbonate pigment, especially for use in inkjet printing paper coatings
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