JPH10245666A - プレス成形性、耐食性及び溶接性に優れた燃料タンク用めっき鋼板および燃料タンク - Google Patents

プレス成形性、耐食性及び溶接性に優れた燃料タンク用めっき鋼板および燃料タンク

Info

Publication number
JPH10245666A
JPH10245666A JP5368697A JP5368697A JPH10245666A JP H10245666 A JPH10245666 A JP H10245666A JP 5368697 A JP5368697 A JP 5368697A JP 5368697 A JP5368697 A JP 5368697A JP H10245666 A JPH10245666 A JP H10245666A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel tank
steel sheet
plating
corrosion resistance
press
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5368697A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuntaro Sudo
俊太郎 須藤
Teruaki Isaki
輝明 伊崎
Masahiro Obara
昌弘 小原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp, Toyota Motor Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP5368697A priority Critical patent/JPH10245666A/ja
Publication of JPH10245666A publication Critical patent/JPH10245666A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】鉛−すず合金めっき鋼板並み以上のプレス成形
性、溶接性を備えさらに耐食性の優れた燃料タンク用溶
融アルミめっき鋼板を提供する。 【解決手段】6〜12重量%のSiを含み残部が不可避
不純物を含むアルミ合金めっき層を持つ鋼板でそのめっ
き層の付着量は30〜50g/m2でありかつ付着量の
ばらつきの標準偏差σがσ=3g/m2以下としたも
の。この燃料タンク用めっき鋼板は、優れた耐食性、加
工性及び溶接性を備えているため、燃料タンクのプレス
部品を形成でき、かつこれらプレス部品を溶接一体化し
て耐食性の高い燃料タンクとすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレス成形性、耐
食性及び溶接性に優れた燃料タンク用めっき鋼板および
耐食性に優れた燃料タンクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用燃料タンクに使用されている材
料は、可燃性の燃料がタンク外に漏れないように、タン
ク外面の環境(耐塩害性)およびタンク内面の環境(耐
燃料性)によって、腐食しないことが要求される。さら
にこの材料は、プレスによる成形および各種溶接による
タンク内外の部品の接合が容易である必要がある。
【0003】このような要求特性から、現在、燃料タン
クは鉛−すず合金めっき鋼板が多用されている。しか
し、近年の鉛使用量低減の動向や車両寿命向上の要求の
高まりに応じて、燃料タンク用の鋼板も、従来の鉛−す
ず合金めっき鋼板の耐食性と同等以上の耐腐食性を持つ
ものが望まれている。工業的なめっき方法である溶融め
っきの中で、耐腐食性が良好なめっき種として、溶融ア
ルミニウムめっきがあり、溶融アルミニウムめっきを施
した鋼板は、建築資材として特に塩害の厳しい環境で使
用されている。溶融アルミニウムめっきは、めっき表面
に生成する不動態皮膜が各種環境に安定であることを利
用することにより、優れた耐腐食性を得るものである。
溶融アルミニウムめっき鋼板は特開昭62−12049
4号で開示されているようにアルコール燃料タンク用と
しても提案されている。なお、燃料タンク用防錆鋼板と
して、特開昭62−120494号には3〜13%のS
iを含む溶融Al−Siめっきも開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、燃料タンクを
製造する上では、耐腐食性のみでは実用化できない。そ
れは溶融アルミニウムめっき鋼板が下記課題を有してお
りその課題に対する工夫がないと、燃料タンク用鋼材と
して使用できないからである。すなわち、溶融アルミニ
ウムめっき鋼板は、めっき時の浴温が鉛−すず合金めっ
きの浴温より高温であることおよびめっき時に鋼板とめ
っき界面に生成する脆いAl−Fe金属間化合物とによ
り、機械的特性の内プレス成形性の指標となる絞り値
(r値:ランクフォード値)が低下する。このため、従
来の鉛−すず合金めっき鋼板と同一のプレス型にて、溶
融アルミニウムめっき鋼板をプレス加工するとプレス割
れが生じる。また、溶融アルミニウムめっき鋼板は、め
っきの電気伝導率が高い。このため、必要な溶接品質を
確保するためには、抵抗溶接時の溶接電流値を高くする
必要がある。また溶接電流値を高くすることにより電極
寿命もかなり低下する。
【0005】これらに対応するため、実開昭58−91
535号では、Siを1〜15重量%含有するAl−S
i溶融アルミニウムメッキを使用し、かつ、溶接をする
部分(燃料タンク外面)に溶融アルミニウムめっきを施
さないことを提案し、二輪車用の燃料タンク用の鋼板と
して使用できるとしている。二輪車用の燃料タンクは、
腐食環境が比較的緩やかであるため成立するものであ
る。しかし、自動車用の燃料タンクは融雪剤散布地域等
腐食環境の厳しい環境にもさらされるため、燃料タンク
外面に溶融アルミニウムめっきが施されていないものは
使用できない。
【0006】以上のことから、溶融アルミニウムめっき
鋼板は燃料タンクに使用されていないのが実情である。
しかし、従来の鉛−すず合金めっき鋼板と同等以上に耐
腐食性を向上させるには、このアルミニウムめっき鋼板
がもっとも優れており、プレス成形性および溶接性も良
好である燃料タンク用溶融アルミニウムめっき鋼板が必
要となっている。
【0007】本発明はかかる点に鑑みて、プレス成形
性、耐食性及び溶接性も良好である溶融アルミニウムめ
っき鋼板を使用することにより、従来の燃料タンクより
長寿命である燃料タンクを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、溶融アルミニウム
めっきのアルミニウムにSiを含有させることにより、
溶融めっき時に生成する脆いAl−Fe金属間化合物の
成長を抑制するとともにr値が1.4以上の高い加工性
が得られることを見出した。さらに本発明者らは、得ら
れるアルミ合金めっき層の付着量を30〜50g/m2
でかつその付着量のばらつきの標準偏差σがσ=3g/
2以下とすることにより安定した溶接性を確保できる
ことを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】すなわち、本発明記載のプレス成形性、耐
食性及び溶接性に優れた溶融アルミニウムめっき鋼板
は、スチール基板と該スチール基板を6〜12重量%の
Siを含み残部が不可避不純物を含むAl合金浴槽中に
通板させることにより該スチール基板上に形成されたア
ルミ合金めっき層とからなり、該アルミ合金めっき層の
付着量は30〜50g/m2でありかつ該付着量のばら
つきの標準偏差σがσ=3g/m2以下であることを特
徴とする。
【0010】また、本発明の耐食性に優れた燃料タンク
は、スチール基板と該スチール基板を6〜12重量%の
Siを含み残部が不可避不純物を含むAl合金浴槽中に
通板させることにより該スチール基板上に形成されたア
ルミ合金めっき層とからなり、かつ、該アルミ合金めっ
き層の付着量は30〜50g/m2でありかつ該付着量
のばらつきの標準偏差σがσ=3g/m2以下である鋼
板をプレス成形して形成された少なくとも2個のプレス
成形部材を有し、これらプレス成形部材が溶接されて一
体化されて形成されていることを特徴とする。
【0011】本発明の燃料タンク用めっき鋼板は、優れ
た耐食性、加工性及び溶接性を備えているため、プレス
成形して燃料タンクのプレス部品を形成でき、かつこれ
らプレス部品を溶接一体化して耐食性の高い燃料タンク
とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の燃料タンク用めっき鋼板
は、スチール基板上に溶融Al合金めっき層を形成した
ものである。この溶融Alめっきは、6〜12重量%の
Siを含み残部が不可避不純物を含むAl合金浴槽中に
スチール鋼を通板させることにより得られる。このアル
ミ合金めっき層の付着量は30〜50g/m2でありか
つこの付着量のばらつきの標準偏差σはσ=3g/m2
以下である。
【0013】溶融アルミニウムめっきにSiを添加する
ことにより、溶融めっき時に生成する脆いAl−Fe金
属間化合物の成長を抑制することができる。図1に溶融
アルミニウムめっき浴中のSiの配合量(%は重量%を
示す。)を横軸に、その浴で形成された脆いAl−Fe
金属間化合物からなる合金層厚さの変化を縦軸に示す。
なお、合金層厚さの変化とはSiが0%のときの合金層
厚さを基準とし、合金層が内場合を−100%として表
したものである。
【0014】図1から明らかなように、Siの配合量が
6重量%未満ではAl−Fe金属間化合物の成長の抑制
が不十分であり、12重量%を超えても、その効果が飽
和し、それ以上の効果が期待できない。このため、Si
の配合量は6〜12%とするのがよい。通常の鉛−すず
合金めっき鋼板のプレス成形加工性を示すr値が1.4
以上であり、本発明のめっき鋼板のプレス成形加工性を
示すr値が1.4未満と劣ると絞り加工の厳しい部位に
割れが発生する。このため本発明のめっき鋼板のr値も
1.4以上である必要がある。溶融アルミニウムめっき
にSiを配合するとr値が高くなり、Siを6〜12%
配合することによりr値が1.4以上となる。これによ
り本発明のめっき鋼板も従来の鉛−すず合金めっき鋼板
と同じようにプレス成形が可能となる。
【0015】なお、r値とは板幅方向ひずみ(εw)と
板厚方向ひずみ(εt)の比εw/εtをいう。このr値
は、r=log(W0/W)/log(Wl/W0l0) で求められる。ここ
で、W0、Wは引張変形前後の幅、l0、lは引張変形前後の
長さである。燃料タンク用めっき鋼板には、さらに優れ
た溶接性が要求される。めっき厚さのばらつきが増加す
ると、溶接品質もばらつく。これは、アルミ合金めっき
の融点が高く、すなわち凝固しやすく、また、電気伝導
がよいためである、すなわち電気伝導がよいとめっき層
を伝わって電流が分散するため大きな溶接電流を流さな
いと抵抗発熱せず溶融しない。このため厳しい条件での
溶接となり、適性溶接条件範囲が狭くなる。
【0016】参考までに、めっき厚さ(めっき付着量)
のばらつきσと溶接電流の変化量との関係を図2に示
す。なお、めっき厚さのばらつきとは、めっき鋼板の部
分部分でのめっき厚さのばらつきをいう。このばらつき
はめっき鋼板を小片の評価用テストピースに分割し、小
片ごとのめっき厚さを測定することによりめっき鋼板全
体のめっき厚さのばらつきがわかる。
【0017】図2で、σ=0とはめっき厚さが目標値
(30g/m2)の厚さを持つテストピースであり、σ
=3とは、目標値より3σ=9g/m2はずれた(39
g/m2)のテストピースを意味する。同様にσ=9と
は3σ=27g/m2はずれた(57g/m2)テストピ
ースを意味する。溶接電流変化量とは、各テストピース
でチリが発生するまで溶接電流を増加させ、そのチリ発
生電流の0.9倍を溶接電流とし、σ=0のテストピー
スの溶接電流を基準としてどれだけ変化したかを示すも
のである。この変化量が大きいということは適正な溶接
範囲が場所によって異なるということであり、品質のば
らつきにつながるので、許容レベル以下とする必要があ
る。
【0018】めっき厚さを、例えば平均値を39g/m
2とする場合30g/m2以上48g/m2とする必要が
あり、3σを考慮するとσ=3g/m2とする必要があ
る。そして、めっき厚さがσ=3g/m2を超える場
合、つまり特に厚い場合、めっき層の冷却速度が低下し
これにより鋼板とめっき層界面に生成する脆いAl−F
e金属間化合物が成長し、これによりプレス成形性が低
下する。このため、めっき厚さのばらつきはσ=3g/
2以下とする。
【0019】なお、めっき厚さとしては、ばらつきが小
さければ特に問わないが、耐食性、プレス成形性、コス
ト等から30〜50g/m2の目付量が好ましい。この
厚さが50g/m2を越えると、プレス時のめっき層割
れによる耐食性の悪化および溶接不良を生じ、30g/
2未満であると、耐食性が不十分となる。本発明のタ
ンク用めっき鋼板のアルミ合金めっき層の上にクロム換
算で35mg/m2未満のクロメート皮膜を形成するの
が好ましい。クロメート皮膜は、初期の腐食生成物発生
を抑制する役割をする。さらに、燃料タンクの場合はか
なり厳しいプレス加工を受けるが、クロメート層は硬質
であり、クロメート皮膜によりプレス型との潤滑効果が
得られる。このため、クロメート皮膜はプレス加工時の
めっき損傷を低減する効果がある。これによりさらに防
錆性能の向上が期待できる。このためには、少なくとも
3mg/m2以上のクロメート皮膜重量であることが好
ましい。
【0020】なお、クロメート皮膜重量が増加すると電
気抵抗値が増加するため、溶接ナゲットを形成するため
に電流を増加する必要がある。このようにナゲット形成
電流は皮膜の厚さの影響を受けるが、チリ(爆飛)発生
電流はあまり影響されない。すなわち、クロメート皮膜
が厚くなるにつれ、ナゲット形成電流が大きくなり、一
方、チリ発生電流は変わらないので、その間の適性電流
範囲が狭くなる。適性溶接電流範囲が狭いと自動溶接条
件のばらつきを許容できなくなり、溶接不良を生じる。
このため、溶接電流範囲はある程度の許容範囲を持つ必
要があり、そのためにはクロメート皮膜重量は35mg
/m2未満である必要がある。
【0021】クロメート皮膜による抵抗溶接性の低下を
スポット溶接の連続打点数の低下として捉えることがで
きる。図3に溶融アルミ合金めつき層を持つスチール基
板のクロメート皮膜重量と連続打点数変化率を示す。ク
ロメート皮膜重量は0(クロメート皮膜を形成していな
いもの)から60mg/m2まで6種類の鋼板につい試
験した。ここではクロメート処理としてクロム酸とリン
酸の混合溶液を用い、この混合溶液を一定の温度に維持
し、これら6種類の鋼板をこの混合溶液に通板しつつ電
解処理し、クロメート液より引き上げた後に乾燥して皮
膜を形成した。なお、混合溶液の濃度を調節することに
より所定の皮膜重量とした。
【0022】この連続打点試験は、銅の電極チップを用
い、チリ発生電流の0.9倍の大きさの溶接電流で連続
的にスポット溶接を行い、ナゲット径が基準の大きさ以
下になったときの打点数を求めるものであり、クロメー
ト皮膜のない場合を0とし、その変化率で表している。
打点数が大きくなるとチップの径が広がり、電流密度が
低下してナゲット径が小さくなり、基準以下の大きさで
溶接不良と判定される。クロメート皮膜が厚くなると溶
接電流を大きくする必要があり、早くチップが損耗する
ようになる。なお、クロメート処理については通常のク
ロメート処理をそのまま使用できる。
【0023】本発明の燃料タンク用めっき鋼板のスチー
ル基板としては従来の燃料タンク用めっき鋼板のスチー
ル基板と同じものが使用できる。具体的には、チタンキ
ルド低炭素鋼板、アルミキルド低炭素鋼板等を使用でき
る。本発明の燃料タンクは、前記した本発明の燃料タン
ク用めっき鋼板を用いて製作したものである。まず、燃
料タンクを所定個数に分割した形状の所定種類のプレス
成形部材をプレス成形し、これらプレス成形部材を互い
に溶接して一体化し、燃料タンクとする。本発明のめっ
き鋼板はプレス成形に必用とする高いプレス加工性を持
つ。このため所定の形状を持つプレス成形部材を容易に
製造できる。
【0024】また、本発明のめっき鋼板は優れた溶接性
を持つ。このため従来の溶接設備をそのまま使用でき
る。さらに製造される燃料タンクはその表側及び裏側と
もに溶融アルミ合金めっきが施されているため、厳しい
環境に耐えることができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明における実施例及び比較例を具
体的に示す。燃料タンク用めっき鋼板は次のようにして
製造した。スチール基板としては、通常の製鋼、熱間圧
延、冷間圧延工程を経た板厚0.8mmのチタンキルド
鋼板(C:0.0010%、Si:0.004%、M
n:0.13%、P:0.007%、S:0.010
%、Fe:残部)を用いた。このチタンキルド鋼板をゼ
ンジミア方式の連続溶融アルミめっきラインに通板し、
無酸化炉で焼鈍・還元を施した後、浴温660℃の溶融
アルミめっき浴に浸漬して、Al−Si系合金めっきを
施し、続いてクロメート処理をして、鋼板を製造した。
溶融アルミめっき浴としては表1に示すようにSi配合
量を変えた複数種の浴を用いた。クロメート処理として
は図3で説明したのと同じクロメート処理を採用した。
【0026】得られた燃料タンク用めっき鋼板を表1に
示す。表1にそれら鋼板のめっき層のSi濃度、めっき
付着量およびクロメート皮膜重量を合わせて示す。ま
た、比較のために従来の燃料タンク用めっき鋼板も次の
ようにして調製した。通常の製鋼・熱間圧延・冷間圧延
工程を経た板厚0.8mmのチタンキルド鋼板(C:
0.0016%、し:0.005%、Mn:0.12
%、P:0.011%、S:0.006%、Fe:残
部)を、フラックス方式の連続溶融鉛−すず合金めっき
ラインに通板し、洗浄工程を経て浴温370℃の溶融鉛
−すず合金めっき浴(8.5重量%のすずと残部は実質
的にPb)に浸漬して、めっき厚さが5μmの鉛−すず
系合金めっきを施し、次にリン酸皮膜重量が11mg/
2となるようにリン酸皮膜処理して、鋼板を製造し
た。この鋼板も表1に合わせて示す。
【0027】表1に示す8種類の鋼板についてまずプレ
ス加工性をみるためにそれぞれr値を測定した。次に、
アルミめっき層の付着量のばらつきをアルミニウムと珪
素の化学成分定量分析で調べ、標準偏差σとして求め
た。得られた結果を表1に合わせて示す。次にこれらの
鋼板を機械的プレスによるプレス成形により、アッパー
タンクとロアタンクの2種類のプレス成形部材を製造し
た。その後仕切り板およびサブタンク等の部品を電気抵
抗溶接により接合し、さらにシーム溶接によりアッパー
タンクおよびロアタンクを接合し、内容積70リットル
の燃料タンクを製造した。しかし、表1に示すように、
プレス加工時および抵抗溶接時に不良が発生したため、
燃料タンクが製造できない鋼板があった。
【0028】
【表1】 以上のようにして製造した燃料タンクの評価試験を行っ
た。 (1)燃料タンク強度評価 燃料タンクの各部品を密閉し、この燃料タンク単体内に
空気を導入し、燃料タンク内圧を実際の車両走行で気化
した燃料により受ける内圧程度の圧力まで加圧した後、
空気を開放し大気圧に復帰させる繰り返し試験を実行し
た。なお、この評価試験は室温で実施した。この評価に
より、燃料タンクの各部位の亀裂の発生の有無を調査し
た。その結果、溶接性の良好なものは、亀裂の発生がみ
られなかった。
【0029】(2)防錆性能の評価 燃料タンクの各部品を密閉し、この燃料タンク単体内に
試験燃料(レギュラーガソリンに蒸留水とNaClを塩
素イオン濃度が所定値になるように添加)を、常時循環
するように導入し、この状態にて30日間の防錆性能評
価を実施した。なお、この評価試験は、試験燃料を50
℃に加温して実施した。この評価により、試験終了後の
燃料タンク内各部位の腐食深さを断面観察により求め、
最大の腐食深さを求めた。
【0030】燃料タンク製造時の問題点とともに燃料タ
ンク強度評価の結果及び防錆性能の評価として採用した
腐食深さを表1に合わせて示す。表1の実施例1〜4に
見られるように、Si濃度が6〜12%で付着量のばら
つきの標準偏差σがσ=3g/m2以下でかつクロメート
皮膜重量が35mg/m 2未満であるものはr値が1.
4以上と高くプレス加工時に何ら問題は無かった。ま
た、溶接時の溶接不良の問題も無かった。
【0031】実施例5は、製造開始初期のものは、プレ
ス成形性、溶接性、耐食性ともに良好である。ただクロ
メート皮膜が厚いため、多数個製造した後は、溶接性が
やや低下した。しかし、比較例1に見られるように、S
i濃度が4.8%で、r値が1.4より低い1.3のも
のはプレス加工時に割れが発生し燃料タンクが製造でき
なかった。
【0032】また比較例2で見られるようにSi付着量
のばらつきがσ=3g/m2より高いσ=5g/m2のもの
もナゲット不良となり溶接性が不十分であった。また、
従来の比較例3に示す鉛ーすずめっき鋼板は腐食深さが
88.4μmと腐食が大きかった。
【0033】
【発明の効果】本発明の燃料タンク用めっき鋼板は、優
れた耐食性、加工性及び溶接性を備えているため、プレ
ス成形して燃料タンクのプレス部品を形成でき、かつこ
れらプレス部品を溶接一体化して従来の燃料タンクより
長寿命である燃料タンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融アルミニウムめっき浴中のSiの配合量と
合金層厚さの変化率との関係を示す線図である。
【図2】めっき厚さのばらつきσと溶接電流の変化量と
の関係を示す線図である。
【図3】クロメート皮膜重量と連続打点数変化率を示す
線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊崎 輝明 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社技術開発本部八幡技術研 究部内 (72)発明者 小原 昌弘 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部鉄鋼研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチール基板と該スチール基板を6〜1
    2重量%のSiを含み残部が不可避不純物を含むAl合
    金浴槽中に通板させることにより該スチール基板上に形
    成されたアルミ合金めっき層とからなり、該アルミ合金
    めっき層の付着量は30〜50g/m2でありかつ該付
    着量のばらつきの標準偏差σがσ=3g/m2以下であ
    ることを特徴とするプレス成形性、耐食性及び溶接性に
    優れた燃料タンク用めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 絞り値(r値)が1.4以上である請求
    項1記載のプレス成形性、耐食性及び溶接性に優れた燃
    料タンク用めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 前記アルミ合金めっき層の表面にクロム
    換算で35mg/m2未満のクロメート皮膜をもつ請求
    項1または請求項2記載のプレス成形性、耐食性及び溶
    接性に優れた燃料タンク用めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 スチール基板と該スチール基板を6〜1
    2重量%のSiを含み残部が不可避不純物を含むAl合
    金浴槽中に通板させることにより該スチール基板上に形
    成されたアルミ合金めっき層とからなり、かつ、該アル
    ミ合金めっき層の付着量は30〜50g/m2でありか
    つ該付着量のばらつきの標準偏差σがσ=3g/m2
    下である鋼板をプレス成形して形成された少なくとも2
    個のプレス成形部材を有し、これらプレス成形部材が溶
    接されて一体化されて形成されていることを特徴とする
    耐食性及に優れた燃料タンク。
  5. 【請求項5】 前記鋼板は前記アルミ合金めっき層の表
    面にクロム換算で35mg/m2未満のクロメート皮膜
    をもつ請求項4記載の耐食性及に優れた燃料タンク。
  6. 【請求項6】 少なくとも2個の前記プレス成形部材は
    アッパータンク部とロアータンク部とからなる請求項4
    または請求項5記載の耐食性に優れた燃料タンク。
JP5368697A 1997-03-07 1997-03-07 プレス成形性、耐食性及び溶接性に優れた燃料タンク用めっき鋼板および燃料タンク Pending JPH10245666A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5368697A JPH10245666A (ja) 1997-03-07 1997-03-07 プレス成形性、耐食性及び溶接性に優れた燃料タンク用めっき鋼板および燃料タンク

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5368697A JPH10245666A (ja) 1997-03-07 1997-03-07 プレス成形性、耐食性及び溶接性に優れた燃料タンク用めっき鋼板および燃料タンク

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10245666A true JPH10245666A (ja) 1998-09-14

Family

ID=12949709

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5368697A Pending JPH10245666A (ja) 1997-03-07 1997-03-07 プレス成形性、耐食性及び溶接性に優れた燃料タンク用めっき鋼板および燃料タンク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10245666A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001303230A (ja) * 2000-04-19 2001-10-31 Nisshin Steel Co Ltd 燃料タンク用アルミ系めっき鋼板及びその製造方法
JP2001303231A (ja) * 2000-04-19 2001-10-31 Nisshin Steel Co Ltd 燃料タンク用アルミ系めっき鋼板
JP2003105445A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Nippon Steel Corp 外観の優れためっき鋼板の加熱成形方法
JP2007107050A (ja) * 2005-10-13 2007-04-26 Nippon Steel Corp 加工性に優れた溶融Al系めっき鋼板及びその製造方法
JP2008175554A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Jfe Steel Kk 表面処理金属の耐食性評価方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001303230A (ja) * 2000-04-19 2001-10-31 Nisshin Steel Co Ltd 燃料タンク用アルミ系めっき鋼板及びその製造方法
JP2001303231A (ja) * 2000-04-19 2001-10-31 Nisshin Steel Co Ltd 燃料タンク用アルミ系めっき鋼板
JP2003105445A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Nippon Steel Corp 外観の優れためっき鋼板の加熱成形方法
JP2007107050A (ja) * 2005-10-13 2007-04-26 Nippon Steel Corp 加工性に優れた溶融Al系めっき鋼板及びその製造方法
JP4751168B2 (ja) * 2005-10-13 2011-08-17 新日本製鐵株式会社 加工性に優れた溶融Al系めっき鋼板及びその製造方法
JP2008175554A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Jfe Steel Kk 表面処理金属の耐食性評価方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6361881B1 (en) Preservative steel plate having high resistance weldability, corrosion resistance and press formability for automobile fuel tanks
CN110423971A (zh) 一种焊接性能和耐蚀性能优异的热浸镀锌钢板及其制备方法
JPS6410593B2 (ja)
JP5130475B2 (ja) 錫系めっき鋼板のスポット溶接方法
JPH10245666A (ja) プレス成形性、耐食性及び溶接性に優れた燃料タンク用めっき鋼板および燃料タンク
KR20220035256A (ko) 핫 스탬프 성형체
JP3485457B2 (ja) 耐食性、溶接性に優れた燃料タンク用防錆鋼板
JP2004027263A (ja) 表面外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法
JP4469030B2 (ja) 耐食性に優れた自動車燃料タンク用アルミめっき鋼板
WO2023098125A1 (zh) 含v、b的锌铝镁合金镀层钢材及其制备方法
JP3843042B2 (ja) 抵抗溶接性に優れたアルミニウムめっき鋼板とこれを用いた加工部品
JP2008260967A (ja) 接合部の耐食性に優れた自動車用部材
JP2000239820A (ja) 耐食性に優れた溶融アルミめっき鋼板
JP3283826B2 (ja) 耐食性に優れた自動車用燃料容器
JP2001355051A (ja) 耐食性に優れた溶融Zn−Sn系めっき鋼板
JP3002445B1 (ja) 接合特性に優れた自動車燃料タンク用溶融Sn系めっき鋼板
JP2002038250A (ja) 耐食性に優れた溶融Sn−Zn系めっき鋼板
JP2938406B2 (ja) 溶接気密性、プレス加工性に優れた自動車燃料タンク用防錆鋼板
JPH10183368A (ja) 溶接性及び耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板
JPH10168581A (ja) アルミ系めっき鋼板または燃料タンク用アルミ系めっき鋼板
JP2004002931A (ja) 抵抗溶接性に優れたアルミニウムめっき鋼板とこれを用いた加工部品
JP3333423B2 (ja) 樹脂被覆アルミ系めっき鋼板製燃料タンクのシーム溶接方法
JP3191688B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP2000273609A (ja) 抵抗溶接性、耐食性に優れたアルミめっき鋼板
JP3135844B2 (ja) 溶接性、耐食性に優れた自動車燃料タンク用防錆鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20031114