JP2008260967A - 接合部の耐食性に優れた自動車用部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】接合部の耐食性に優れた自動車部材を提供する。
【解決手段】表面に質量%でAl濃度が35〜65%、Si濃度が0.1〜15%、残部がFe及び不可避的不純物からなり、厚さが10〜40μmであるFe−Al−Si化合物を有する鋼材と、めっきされていない鋼材とを接合した構造を有することを特徴とする自動車用部材。めっきされていない鋼材の変わりに合金化溶融亜鉛めっき鋼板、あるいはAl板であってもよい。Fe−Al−Si化合物を有する鋼材がその成分としてC:0.0005〜0.02%、Si:0.01〜0.3%、Mn:0.05〜0.6%、P:0.003〜0.03%、S:0.003〜0.03%を含有することで更に優れた効果が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は異なる材料を接合した部材において、従来に比べて耐食性、耐久寿命が大きく改善された自動車部材を提供する。
1980年代に自動車の防錆性能の向上が求められたことから自動車用鋼板への防錆鋼板の適用が進んできた。現在最も一般的な防錆鋼板は、いわゆる合金化溶融亜鉛めっき鋼板と呼ばれるもので、溶融亜鉛めっき後、再度加熱することで鋼中のFeをめっき中に拡散させてZn−Feめっきとしたものである。この鋼板はスポット溶接性、塗装後耐食性等に優れ、自動車の高寿命化に貢献してきた。
このような防錆鋼板の適用、あるいは化成処理技術、塗装技術の改善等により防錆性能は向上してきたが、一般的に自動車において最も耐食性の懸念される部位は接合部である。これは接合部には塗装が入りにくいことに加えて、異種の金属表面が接するような場合には電気化学的な腐食促進作用が働くことによる。更に抵抗溶接のような場合には熱が加わることでめっきの性能が低下したり、めっきが部分的に欠乏したりすることも考えられる。従ってこのような接合部の耐食性を担保するために自動車会社では補修塗装をする、あるいは異種金属の電気的な接触を防ぐために絶縁作用を持つマスキングを施す等の工夫をしている。しかしこのような処理はコスト上昇要因にもなっている。
自動車車体は多くの部材を成形した後にそれぞれを接合することで製造される。近年の自動車軽量化あるいは衝突安全性に対する要請から高強度鋼、Al板等の使用も増大しつつあり、先述したように耐久寿命という観点からはめっき鋼板の使用が増えている。また接合方法についても、最も多用されているスポット溶接に加えてレーザー溶接、機械的な接合等多様な接合がされている。接合も2枚の板のみならず3枚の板を接合するような場合もあり、これらの材料あるいは接合方法の組合せは非常に多様になり、その分接合部の耐食性への懸念も増大している。防錆の観点からは当然合金化溶融亜鉛めっき鋼板を使用することが好ましいが、Znの沸点は約905℃であることから抵抗溶接やレーザー溶接等の熱がかかる接合においてはめっき層のダメージが大きい。またAl板も単独では非常に耐食性に優れるが、例えば鋼板と電気的に接触した時には鋼との電位差が大きいために腐食が促進されるという懸念がある。
上述の接合部の耐食性に関する課題を整理すると以下のようになる。1点目はめっきの融点あるいは沸点であり、融点が低いと抵抗溶接の加圧により溶接部からめっきが排除される、あるいは沸点が低いとめっきが蒸発して減ってしまうことになり、どちらにしても接合部の耐食性という意味では不利となる。
もう1点は接合される複数の板表面の電位差で、これが大きいと電位の低い方の材料の腐食促進要因となる。
そこで本発明者らはこれらの課題を解決しうる接合体構造に関して種々の検討を行い、以下の知見を得た。一般に電位差の異なる異種金属が接触するとそこには電位差が生じ、その環境において卑な金属が優先的に腐食する。電位差が大きければ卑な金属の腐食速度も増大する。図1はFe、Al、Znの塩害環境(5%塩水環境)における電位の概念図を示す。このような環境ではAl表面の不働態皮膜は破壊されてAl本来の電位を示すためにAlはFeよりもかなり卑な電位を示す。このときAlとFeとを接触させるとAlがアノードとなり、腐食する。溶存酸素が十分ある環境ではカソード反応は水中溶存酸素の還元反応であるが、Fe表面でのこの反応は速いために系全体の腐食速度も大きくなる。これはZnとFeの間も同様で、鋼材とAlあるいはZnとが接触するとAlあるいはZnの腐食速度が大きくなる傾向にある。
ところがFe-Al-Siの化合物(代表的組成は48%Fe-50%Al-2%Si)の電位はFeに近いために電位差が小さく、Feと接触させたときの電気化学的な腐食促進作用が働きにくい。このとき逆にFe-Al-SiとZnあるいはAlと接触させると電位差は大きくなる。ところがFe-Al-Si上のカソード反応(酸素還元反応)は非常に起こりにくいためにAlあるいはZnに対する腐食促進作用が非常に働きにくい。つまりFe-Al-Si化合物をめっきした鋼材は、Fe、Zn、Alと接触させても電気化学的な腐食促進作用が起こりにくいという知見が得られた。またこのFe-Al-Si化合物は融点1100℃以上、沸点2000℃以上で非常に安定な化合物である。従って接合部で熱が掛かったときにも安定で接合部の性能劣化も起こりにくい。更にFe-Al-Siが腐食する際に環境に放出するAlはZn腐食生成物、あるいはFe腐食生成物の防食効果を高めることも知見され、このFe-Al-Si化合物を被覆した鋼材を使用することで異種金属表面を有する接合部の耐食性が従来に比べて大幅に向上することが判明した。
本願発明はこのような理由から接合部の耐食性に優れた自動車部材を規定するものである。その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)表面に質量%でAl濃度が35〜65%、Si濃度が0.1〜15%、残部がFe及び不可避的不純物からなり、厚さが10〜40μmであるFe−Al−Si化合物を有する鋼材と、めっきされていない鋼材とを接合した構造を有することを特徴とする自動車用部材。
(2)表面に質量%でAl濃度が35〜65%、Si濃度が0.1〜15%、残部がFe及び不可避的不純物からなり、厚さが10〜40μmであるFe−Al−Si化合物を有する鋼材と、合金化溶融亜鉛めっき鋼材とを接合した構造を有することを特徴とする自動車用部材。
(3)表面に質量%でAl濃度が35〜65%、Si濃度が0.1〜15%、残部がFe及び不可避的不純物からなり、厚さが10〜40μmであるFe−Al−Si化合物を有する鋼材と、Al材とを接合した構造を有することを特徴とする自動車用部材。
(4)Fe−Al−Si化合物を有する鋼材がその成分としてC:0.0005〜0.02%、Si:0.01〜0.3%、Mn:0.05〜0.6%、P:0.003〜0.03%、S:0.003〜0.03%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の自動車用部材。
本発明によれば、接合部の耐食性に優れた自動車部材を提供することができ、自動車の耐久寿命向上に大きく寄与するため、産業上の寄与は極めて大きい。
本発明は接合部の耐食性に優れた自動車部材を提供するものであり、その要旨はFe-Al-Si化合物を表面に有する鋼材と鋼材またはAl板もしくは合金化溶融亜鉛めっき鋼板とを接合させることにある。以下本発明の限定理由について説明する。
まずFe-Al-Si化合物に関して説明する。一般に溶融Alめっき鋼板は質量%で7〜12%Si程度のSiを含有するめっき浴が使用されている。このときめっき浴内でめっき浴と鋼板との反応物である合金層が生成する。溶融Alめっき鋼板において、通常合金層の厚みは2〜5μmで、その表面にAl-Siめっき層が存在している。この溶融Alめっき鋼板を700℃以上の温度で数時間加熱するとめっき層と鋼素地との拡散が進行して最表面まで合金層となる。このような事象を合金化と呼ぶ。ここで合金層はFeを含有する金属間化合物から成っている。しかしAl-Si-Feの三元状態図で金属間化合物は10種類程度存在するためにどの化合物となっているかの厳密な同定は困難である。このため本発明ではこれら金属間化合物を総称してFe-Al-Si化合物と呼んでいる。溶融Al]めっき時に浴内で生成する合金層も同様にFe-Al-Si化合物から成っている。溶融Alめっき鋼板はAlの銀白色を示すが、合金化すると表面はざらざらとなり、色も黒色あるいは濃紺色を呈する。このような意味で合金化したか否かの判断は容易である。
本発明においてFe-Al-Si化合物の組成はAl濃度35〜65%、Si濃度0.1〜15%とする。前述したようにAl-Si-Fe系において多くの金属間化合物が存在し、加熱条件、めっき成分、鋼成分等によってどのような化合物が生成するかが変わりうるため一概に組成を決定することに困難を伴う場合もあるが、本発明の趣旨より表面に近い部位の組成で規定するものとする。具体的には断面のFe-Al-Si層の表面より2μm程度の部位を5〜10点程度測定してその平均値を算出することで組成を決定する。組成の分析のためにはEPMA、SEM-EDSの定量分析を使用するものとする。本発明者らの種々の実験によれば、複数の相が生成する場合も層状構造となることが多く、ここで述べた方法で少なくとも最表面の相の組成は測定することが可能である。
Al濃度は35〜65%とする。この理由はFe-Al-Si化合物において本質的に耐食性に寄与する元素はAlで、Al量がこの値よりも低いと十分な接合部の耐食性が得られない。一方Al-Si-Fe状態図においてAl量が65%を越す化合物は存在しない。このためAl量65%以上のFe-Al-Si化合物は原則的に存在しない筈で、このような組成が検出された場合には合金化していない金属Alが残存していることを意味している。金属Alが少量残存することは耐食性上望ましくないためにこの値を上限とする。
Si濃度は0.1〜15%とする。溶融Alめっき鋼板は浴中で成長する合金層を薄くするためにSiを添加しているためにFe-Al-Si化合物のSi量をこれ以下にすることは困難である。一方SiはFe-Al-Si化合物において耐食性阻害元素であり、高すぎると耐食性を低下させるため15%を上限とする。
残部はFe及び不可避的不純物で、Fe濃度としては30〜60%であることが多い。Feは耐食性上寄与する元素でないため、60%以上含有されることは好ましくない。Fe-Al-Si以外の元素としては、鋼成分、めっき浴成分にも因るが、O、Si、Mn、Cr等が検出されうる。溶融Alめっき鋼板製造工程において、耐食性向上等の目的のためZn、Mg、Mn、Cr、Ca等を添加する技術もこれまで開示されているが、このような目的からこれらの元素を添加した結果Al、Si、Fe以外の元素を5%以下含有する場合もありうるが、このような技術も本発明の範疇とする。
次にこのFe-Al-Si化合物の厚みは10〜40μmとする。この化合物が耐食性に寄与するため、量が多い方が耐食性上優位であり、10μm未満では十分な耐食性を発揮できない。一方量が多すぎると非常に硬質な相であるために自動車部品に成形する際の加工に追随できず、金型に付着する等の自動車生産工程で問題があるため40μmを上限とする。この鋼板はFeの表面にFe-Al-Si化合物が覆っているというもので、Fe-Al-Si化合物自体もFe濃度分布を持ち、より鋼板に近い方が高いFe濃度を持つことが多い。従って被覆層と鋼板の界面をどのように判断するかという問題があるが、3%ナイタールで腐食すると被覆層と鋼板界面に境界線が現れるため、この線でもって境界を定める。EPMAで線分析あるいはスポット定量分析を行い、Alの濃度分布より境界を定めることも可能である。
このFe-Al-Si化合物を有する鋼材と接合する相手材としては、前述したように鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、Al板のいずれにたいしても効果を奏する。合金化溶融めっき鋼板のめっき層の代表的組成は質量%でFe6〜14%、Al0.1〜0.5%である。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の付着量は通常片面50g/m程度であるが、この鋼板の耐食性は当然付着量に依存する。付着量が片面80g/m以上であれば、本発明を使用した場合と同様の耐食性を得ることができるため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の付着量は片面80g/m以下が望ましい。またAl板の代表的組成としては質量%でSi0.5〜1%、Mg:0.5〜1%を含有するようなものである。Mgは極めて卑な元素でMgを添加したAlの電位は卑になりやすいところからMgを含有したAl板において本発明は効果が大きい。従ってMgを添加することが望ましい。他にFe、Mn、Cu等を含有しうる。
次に鋼成分に関して説明する。本質的には鋼成分に依存せず、Fe-Al-Si化合物の組成と厚みで接合部の耐食性は確保されるが、部品を製造するための成形工程において鋼成分中の炭素量が高いものはFe-Al-Si化合物の欠落が起こりやすいとの知見が得られた。従って成形品の加工程度に依存し、加工がそれほど厳しくない部品については特に鋼成分の規定はしないが、加工形状が複雑な部品に適用する際には鋼成分を規定するものとする。
鋼中には質量%でC:0.0005〜0.02%、Si:0.01〜0.3%、Mn:0.05〜0.6%、P:0.003〜0.03%、S:0.003〜0.03%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとする。
C量を低減することで加工後のFe-Al-Si化合物の成形性が向上するという新たな知見が今回得られた。C量の下限は脱ガスの能力上これ以上低下させることは困難である。C量の上限は成形後の接合部耐食性により定められ、0.02%を超える量ではこの特性が低下する。他の鋼中元素については、Si、Mn、Al、P、S、N等の元素が添加される場合がある。これら元素の下限は製鋼工程の工業的な調整能力の下限にほぼ等しい。Siの上限濃度はAlめっき性で決定される。Siは溶融Alめっきの濡れ性を低下させる元素、0.3%超で不めっきのようなめっき欠陥が増大する傾向にある。Mnの添加は鋼板の延性を低下させるため0.6%を上限とする。Pは鋼板の延性を低下させること、Sは鋼板の脆性を低下させることからそれぞれ上限を0.03%とする。Alは脱酸剤として添加されるが多量の添加は鋼の清浄度を低下させる。これ以外の元素としてTi、Cr、Mo、B、Nb等があり、これらを添加することも可能である。望ましい添加範囲はA l : 0 . 1 % 以下、N : 0 . 0 1 % 以下、C r : 0.3 % 以下、M o : 0 . 5 % 以下、T i : 0 . 5 % 以下、N b : 0 . 1 % 以下、B : 0 . 0 5 % 以下以下である。
なお自動車用部材としては、通常塗装下地処理としてのリン酸塩処理、カチオン電着塗装等が施されることが通常の使用形態である。Fe-Al-Si化合物の表面にリン酸塩処理は極めて付着しにくいために通常リン酸塩は付着しない。また相手材の鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、Al板表面は通常リン酸処理されているが、リン酸塩付着の有無により腐食状況、表面電位が大きく変わることは無く、本発明の趣旨が損なわれるものではない。
接合方法として最も一般的なものはスポット溶接やレーザー溶接に代表される抵抗溶接であるが、これ以外にも機械的接合やブレージング等の接合もありうる。本発明は抵抗溶接に限らず全ての接合に対して有効である。但し熱が掛からず、電気的な接触も絶たれているような接合部材については、本発明の趣旨から適用されない。
鋼板へのAl系めっきの方法については最も工業的に広く製造されているのは溶融めっき法であるが、製造法を限定する訳ではない。電気めっき法、真空蒸着法、クラッド法等で製造したAlめっき鋼板も使用可能である。
本発明において、A l めっきのめっき前処理については特に限定するものではない。めっき前処理としてN i 、 C u 、 C r 、 F e プレめっき等もありうるが、これも適用可能である。
(実施例1)
通常の熱延、冷延工程を経た、表1に示すような鋼成分の冷延鋼板(板厚0.8mm)を材料として、溶融Alめっきを行った。溶融Alめっきは無酸化炉−還元炉タイプのラインを使用し、めっき後ガスワイピング法でめっき付着量両面40〜200g/mに調整し、その後冷却した。この際のめっき浴組成としてはAl−9%Si−2%Feであった。浴中のFeは浴中のめっき機器やストリップから供給される不可避のものである。めっき外観は不めっき等なく良好であった。
Figure 2008260967
この鋼板を種々の条件で焼鈍した。条件は700〜900℃、時間1〜3hrで、窒素雰囲気中での焼鈍とした。いずれの条件においても焼鈍後表面は黒色あるいは黒青色を示し、表面まで合金化していると判断された。
次にこのFe-Al-Si化合物を有する鋼板の特性を評価した。評価方法を以下に示す。
<Fe-Al-Si化合物組成>
鋼板を断面研磨した後に組成をEPMA定量分析で測定した。Fe-Al-Si化合物の表面から約2μmの位置で10点測定し、平均値を算出した。分析元素はFe、Al、Siのみとし、合計が100%となるように按分した。
<接合部の耐食性>
Fe-Al-Si化合物を有する鋼板と異なる材料を接合した。接合する板の種類は1)表1の鋼成分を有する冷延鋼板(板厚0.8mm)、2)合金化溶融亜鉛めっき鋼板(付着量片面45g/m、板厚0.8mm)、3)アルミニウム合金板(JIS H4000、A6101、板厚0.8mm)の3種類とした。以下1)〜3)の材料をそれぞれSPC、GA、ALの符号で表す。
接合はスポット溶接とした。試料の形状を図2に示す。大小2種類の試料を中央で1点スポット溶接した。電極はクロム銅、DR電極で、溶接条件は加圧力200kgf、通電時間10サイクル、溶接電流7kAとした。溶接後、化成処理、電着塗装を施した後に耐食性を評価した。化成処理液は日本パーカライジング(株)製化成処理液PB−3081Mを使用した、電着塗装は日本ペイント(株)製カチオン電着塗料パワーニクス110、厚みは約20μmとした。自動車技術会で定めた複合腐食試験(JASO−610M)を300サイクル(100日)行った後にスポット溶接部をドリルで除去して試験片を解体し、板厚減少量を測定した。試験のn数は2で、各試料の評価面を仮想的に5分割してそれぞれ板厚減少量を測定し、合計10点の測定値を得た。この10点の平均値を算出して板厚減少量とした。小試料、大試料でそれぞれこの測定を行い、両者を比較して板厚減少量の大きい方を評価値とした。こうして評価した結果を表1にまとめた。
Figure 2008260967
発明例に示したような水準においては、耐食性に劣るSPCと組合せた場合においてもSPCの腐食は抑制されていた。Fe-Al-Si化合物中のAl量が低い比較例2や膜厚が薄い比較例1は防食効果が不十分であった。比較例3は表面に合金化していないAlが残存しており、特に接合していない側の塗膜膨れが激しく発生した。
(実施例2)
表3に示した様々な鋼成分を持つ冷延鋼板(板厚0.8mm)に実施例1と同じ要領で溶融Alめっきを施した。めっき付着量は両面150g/mとした。部材としての加工を模擬するために50×200mmの試料にドロービード加工を施した。このときの加工の概要を図3に示す。押付け力を300kgf、引抜き速度を1cm/秒として加工を施した。こうしてFe-Al-Si化合物にダメージを与えた後に実施例1と同様の方法で接合試験片を作成して評価した。その結果を表4にまとめる。
Figure 2008260967
Figure 2008260967
厳しい加工によりFe-Al-Si化合物が損傷を受けるような条件においては鋼成分の影響が現れ、C量が低い方が有利となっている。但しC量が最も多い発明例4でも比較例よりは優れた耐食性であった。
以上の実施例により、本発明の効果が確認された。
塩害環境における各素材の電位の関係を示す図である。 接合試験片の形状を示す図である。 ドロービード加工の概要を示す図である。

Claims (4)

  1. 表面に質量%でAl濃度が35〜65%、Si濃度が0.1〜15%、残部がFe及び不可避的不純物からなり、厚さが10〜40μmであるFe−Al−Si化合物を有する鋼材と、めっきされていない鋼材とを接合した構造を有することを特徴とする自動車用部材。
  2. 表面に質量%でAl濃度が35〜65%、Si濃度が0.1〜15%、残部がFe及び不可避的不純物からなり、厚さが10〜40μmであるFe−Al−Si化合物を有する鋼材と、合金化溶融亜鉛めっき鋼材とを接合した構造を有することを特徴とする自動車用部材。
  3. 表面に質量%でAl濃度が35〜65%、Si濃度が0.1〜15%、残部がFe及び不可避的不純物からなり、厚さが10〜40μmであるFe−Al−Si化合物を有する鋼材と、Al材とを接合した構造を有することを特徴とする自動車用部材。
  4. Fe−Al−Si化合物を有する鋼材がその成分としてC:0.0005〜0.02%、Si:0.01〜0.3%、Mn:0.05〜0.6%、P:0.003〜0.03%、S:0.003〜0.03%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の自動車用部材。
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