JPH10237371A - インクジェット用水性インク、これを用いたインクジェット記録方法及び機器類 - Google Patents

インクジェット用水性インク、これを用いたインクジェット記録方法及び機器類

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JPH10237371A
JPH10237371A JP5254097A JP5254097A JPH10237371A JP H10237371 A JPH10237371 A JP H10237371A JP 5254097 A JP5254097 A JP 5254097A JP 5254097 A JP5254097 A JP 5254097A JP H10237371 A JPH10237371 A JP H10237371A
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JP
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ink
recording
water
polymer
jet recording
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JP5254097A
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Masako Shimomura
まさ子 下村
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録において従来困難であっ
た高速印字化の達成と、得られる印字物の画像品位の向
上、即ち、高い発色性とブリードレス(ブリーディング
がないこと)の達成の両立を可能とするインクジェット
用水性インク、これを用いたインクジェット記録方法及
び機器類の提供。 【解決手段】 色材と液媒体とからなるインクにおい
て、温度を介して状態変化を起こす熱可逆型増粘性高分
子と水溶性ポリマーとを同時に含むことを特徴とするイ
ンクジェット用水性インク、これを用いたインクジェッ
ト記録方法、及び機器類。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクの追随性や
こげ防止等による吐出性の向上や、回復性、保存性、更
に、滲み(フェザリング)及び混色滲み(ブリーディン
グ)の解消といったインクジェット記録に必要な基本的
な要求を達成すると共に、特に、高速印字化と高発色化
(高定着性)とを同時に実現し得るインクジェット記録
用水性インク、及びこれを用いたインクジェット記録方
法、かかるインクを用いた機器に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、種々の方法
により微細なインク滴を形成し、これを直接紙等の被記
録材上に付着させて画像を形成する記録方法である。こ
の方式を採用したインクジェット記録装置は、高速印字
にもかかわらず、静粛、高密度印字が可能であり、更
に、現像及び定着等の処理が不要であるため装置の小型
化にも適した記録方法である。従来より、これらインク
ジェット記録に用いられるインク(以下、インクジェッ
ト用インクと呼ぶ)は、安全性、臭気等の面から水性イ
ンクが主流であり、水溶性染料または顔料、噴射ノズル
内での乾燥による目詰まりを防止するための水溶性有機
溶剤(固着防止剤)、水、必要に応じて浸透剤、染料溶
解助剤、防かび剤等から構成されている。
【0003】インクジェット用インクに要求される性能
としては、パソコンの高性能化、GUI環境の標準化等
に伴って毎秒数千滴以上の安定吐出が可能であること、
即ち、吐出されたインクが瞬時に定着されて高速記録を
可能とし(以下、高速印字化又は高速記録化と呼ぶ)、
同時に形成される画像が高品位であり、高速印字化と印
字物の品位の向上とを両立させること、更に、画像の高
堅牢性等に対応し得ることが挙げられる。これに対し、
これらの性能を満足させるべく、瞬時に、インク中の色
材成分の多くを紙の表面に残し、水やその他の成分を紙
中に浸透させる方法、或いはインクの粘度を高めて紙へ
の浸透を抑制する等の方法によってインクの紙への定着
を向上させる(以下、定着性と呼ぶ)技術思想が種々提
案されている。
【0004】例えば、特開平6−49399号公報に
は、可逆的熱ゲル化特性を有する化合物をインクに添加
することにより、良好な発色性、定着性、及び滲みが少
ないことを達成したインク及びかかるインクを用いたイ
ンクジェット記録方法、機器類が開示されている。これ
は、特定の水溶性高分子の水溶液を加熱してゆくと水溶
性が低下し、溶液が白濁する(この温度を曇点という)
現象に着目し、曇点以上に加熱した被記録材に印字を行
えば、被記録材上でインク中の特定の水溶性高分子が増
粘し、浸透が抑制されるしくみを利用したものである。
そして、このような可逆的熱ゲル化特性を有する化合物
の代表的なものとして、N−イソプロピルアクリルアミ
ド、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド
及びヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられてい
る。
【0005】しかしながら、このような可逆的熱ゲル化
化合物が含有されているインクでは、水溶性セロソルブ
エーテル類を使用するため、温度降下による粘度上昇が
緩慢で、近年のインクジェット記録のように1画素を数
10msec以下で高速に記録する方法においては化学
変化に要する時間が相対的に長く、定着性向上の充分な
効果が得られない。又、上記のインクをインクジェット
記録方法に使用する場合には、インクの吐出時における
粘度の上限が、インク流路のリフィル性を考慮して通常
20mPa・s以下に制限されるため、低濃度で用いな
ければならず、この点でも十分な増粘効果を得ることは
困難である。従って、上記のインクを用いても、普通紙
における高い発色性(画像の高品位性)と、プリンター
の高速記録化とを同時に満足させることはできていな
い。
【0006】又、特開昭56−115370号公報に
は、インクの粘度と表面張力が特定の範囲に入るよう
に、重合度4〜25のポリエチレングリコールをインク
中に添加し、これによりインクの耐固着性及び長期保存
性を向上させることが開示されている。このような低分
子のポリエチレングリコールを添加し、インクの物性
を、高表面張力、中〜高粘度に維持したインクにおいて
は、インクの粘度が大きいため、紙等の被記録材への浸
透が抑制され発色性が高まる他、隣接ドット間でインク
が残存しても混色を生じにくいという利点がある。しか
しながら、インクの粘度が高いと、微細なノズルやイン
ク供給系におけるインクのリフィル性が悪化するため、
高密度化された最近のインクジェットヘッドを搭載した
プリンターの印字速度を早めることはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、本
発明が解決しようとする課題は、インクジェット用イン
ク、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装
置等において、最近のパソコンの高性能化、GUI環境
の標準化に応じたプリンターの高速印字化を達成し得、
これと同時に、普通紙に形成した印字物の高発色、高品
位化を満足させる記録を可能とすることにある。更に、
従来よりインクジェット記録技術において求められてい
る課題である、形成画像の耐固着性、長期保存性、イン
クの吐出安定性等に代表される信頼性をも達成すること
にある。
【0008】最近の高密度、高解像度の小液滴ヘッドに
用いられるインクに要求される物性としては、微細なイ
ンク流路のリフィル性を考慮すると、一般的に、表面張
力が20dyne/cm以上で、且つ粘度1〜20mP
a・sであることが好ましいと考えられる。ここで、イ
ンクの紙への転移(浸透現象)に関しては、Lucas
−Washburnの式が知られている。液体の浸透量
をV、紙の粗さ指数をVr、吸収係数をKa、液体が紙
へ浸透するのに要する時間をt、液体の紙へのぬれが開
始する迄の時間をTwとすると、液体の浸透量Vは、液
体が水の場合には式(1)で表される。
【数1】 ここで、吸収係数Kaは、紙とインクの両方の物性に関
するものであり、次式(2)で表わされる。
【数2】 上記式(2)中、rは紙の毛管半径、γは液体の表面張
力、θは接触角、ηは液体の粘度である。
【0009】式(1)から、インク中の色材を紙の表面
へ多く残すには、できるだけ液体の浸透を遅くする、即
ち、水の蒸発の時間をかせぐために吸収係数Kaを小さ
くすることが必要であることがわかる。又、そのための
インク物性としては、式(2)から、表面張力γを小さ
くし、粘度ηを大きくし、接触角θを大きくすればよい
ことがわかる。しかしながら、先に述べたように、イン
クジェット用インクとしての物性には制約があり、且つ
印字の高速化にも応じなければならないため、上記した
吸収係数Kaの調節は容易ではない。
【0010】一方、液体が溶剤やエタノール等の紙に対
してぬれ性の大きな物質の場合は、上記式(1)のぬれ
が開始する迄の時間Twを無視できるので、定着を早く
することができるが、吸収係数Kaも大きくなり浸透の
効果が大きく、画像としてはフェザリングが多くなって
しまう。更に、上記式(2)中のcosθは、インクと
紙との組み合わせで決まるものであるから用紙の種類に
よって、この値は増減する。換言すれば、用紙選択性
(使用可能な用紙の種類が多いこと)を満足できない。
このように、画像形成が浸透と蒸発のみに依存している
従来の水系インクでは、世の中に普及している全ての普
通紙において、発色性と定着性の向上の両立を達成する
ことは困難である。
【0011】従って、本発明の目的は、インクジェット
記録において従来困難であった高速印字化の達成と、得
られる印字物の画像品位の向上、即ち、高い発色性とブ
リードレス(ブリーディングがないこと)の達成の両立
を可能とするインクジェット用水性インク、これを用い
たインクジェット記録方法及び機器類を提供することで
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本
発明によって達成される。即ち、本発明は、色材と液媒
体とからなるインクにおいて、温度を介して状態変化を
起こす熱可逆型増粘性高分子と水溶性ポリマーとを同時
に含むことを特徴とするインクジェット用水性インク、
これを用いたインクジェット記録方法、及び機器類であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、好ましい実施の形態を挙げ
て、本発明を更に詳細に説明する。本発明の特徴は、イ
ンク中に、温度を介して状態変化を起こす熱可逆型増粘
性高分子を含有させておくことによって、被記録材上で
この熱可逆型増粘性高分子が色材を取り込んで増粘する
結果、これらが被記録材上に残り、分離されたインク中
の水及び溶媒のみが瞬時に紙に浸透することにある。
【0014】更に、この時、熱可逆型増粘性高分子に加
え、インク中に水溶性ポリマーが存在すると、熱可逆型
増粘性高分子の状態変化が顕著に増幅される。ここで、
本発明でいう熱可逆型増粘性高分子の状態変化とは、あ
る温度以下においては溶解解離している高分子が、一定
の温度以上になると高分子同士が会合を起こし、濃厚な
高粘度液体となることを意味している。本発明において
は、熱可逆型増粘性高分子の他に水溶性のポリマーが存
在すると、この状態変化が顕著に増幅される理由として
は、加熱時に生じる熱可逆型増粘性高分子の会合に水溶
性ポリマーがからみつくため、上記効果を増幅させるも
のと推測している。特に本発明では、水溶性ポリマーと
して中性のポリマーを用いることが好ましい。即ち、酸
性やアルカリ性のポリマーを含有させた場合には、会合
に必要な熱可逆型増粘性高分子の官能基と、これらポリ
マーがイオン結合してしまい、熱による会合そのものを
破壊する可能性がある。
【0015】本発明において、水溶性ポリマーの添加に
よる熱可逆型増粘性高分子の状態変化の増幅効果として
は、会合を起こす温度が低くなることの他、会合におけ
る増粘性(会合物の粘度)が高まることが確認されてい
る。これらの効果によって、被記録材の最表面上に色材
がトラップされるため発色性が良好になる。更に、トラ
ップされる色材の量も増すので画像濃度が高まる。又、
状態変化の速度が早まるためインクの定着性が良好とな
り、近年における更なるプリンターの高速印字化に対応
可能なインクとなる。
【0016】次に、本発明のインクジェット用水性イン
クに用いる、温度を介して解離溶解、会合増粘の状態変
化を起こす熱可逆性増粘性を示す高分子材料について説
明する。本発明で使用する熱可逆型増粘性を示す高分子
は、その水溶液や水懸濁液等が、一定の温度(以下、転
移温度T(θ)と呼ぶ)以上で増粘し、且つ、転移温度
よりも低い温度で再び元の粘度に戻る温度−粘度の関係
が可逆的である高分子である。
【0017】本発明で使用し得る上記のような特性を有
する熱可逆型増粘性高分子としては、具体的には、感熱
性を有する下記一般式で表わされる化合物(B)を原料
として得られるものが好ましい。
【化2】 (式中R1は、水素原子、又はCH3、R2は、水素原
子、又は炭素数1〜30のアルキル基、(アルキル)フ
ェニル基、(アルキル置換)アミノアルキル基、及び窒
素含有化合物のN原子で結合する置換基のいずれかであ
り、x、y及びzは各々、1〜50の範囲の整数を表わ
す。)
【0018】更に、本発明において使用する熱可逆型増
粘性高分子としては、上記の一般式で表わされる化合物
(B)と他のビニル系単量体との共重合体を含むものを
使用することが好ましい。例えば、一般式で表される単
量体(B)の一種以上と、置換モルホリンのエチレンオ
キシド、及び/又はプロピレンオキシド1〜20モル付
加物の(メタ)アクリル酸エステル単量体の1種以上と
を、合計して50重量%以上含有する単量体組成物を共
重合して得られる水溶性高分子を使用することが好まし
い。
【0019】以下、下記の一般式で表わされる感熱性を
有する化合物(B)について、具体的に説明する。
【化3】 (式中R1は、水素原子、又はCH3、R2は、水素原
子、又は炭素数1〜30のアルキル基、(アルキル)フ
ェニル基、(アルキル置換)アミノアルキル基、及び窒
素含有化合物のN原子で結合する置換基のいずれかであ
り、x、y及びzは各々、1〜50の範囲の整数を表わ
す。) 本発明において好適に用いられる上記一般式(B)の化
合物としては、式中のR2が、窒素含有化合物のN原子
で結合する置換基であるものが好ましい。そして、窒素
含有化合物が、アルキレンオキシドが付加するための活
性水素を有するものであることが好ましい。具体的に
は、例えば、窒素含有化合物が、下記に挙げるものであ
る上記一般式(B)の化合物を原料としたものが好まし
い。
【0020】即ち、上記一般式(B)でいう窒素含有化
合物が、プロピルアミン、ブチルアミン、ブチルアミン
等の炭素数4以下の1級の脂肪族非環状アミン;ジメチ
ルアミン、メチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロ
ピルアミン等の炭素数4以下の2級の脂肪族非環状アミ
ン;2,2−ジメチルプロピルアミン、2−エチルブチ
ルアミン、ペンチルアミン、2,2−ジメチルブチルア
ミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、イソデ
シルアミン、ラウリルアミン等の炭素数5以上の1級の
脂肪族非環状アミン;メチルブチルアミン、メチルペン
チルアミン、メチルヘキシルアミン、メチル(2−エチ
ルヘキシル)アミン、メチルオクチルアミン、メチルノ
ニルアミン、メチルイソデシルアミン、エチルプロピル
アミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、
エチルヘキシルアミン、エチル(2−エチルヘキシル)
アミン、プロピルペンチルアミン、プロピルヘキシルア
ミン、プロピル(2−エチルヘキシル)アミン、プロピ
ルオクチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブ
チルペンチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロヘキ
シルアミン等の炭素数5以上の2級の脂肪族非環状アミ
ン;窒素含有脂環式化合物として、アジリジン、2−メ
チルアジリジン等のアジリジン環を有するもの;ピロリ
ジン、2−メチルピロリジン、2−ピロリドン、スクシ
ンイミド等のピロリジン環を有するもの;ピペリジン、
2−メチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、
2−エチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、4
−ピロリジノピペリジン、エチルピペコリネート等のピ
ペリジン環を有するもの;1−メチルピペラジン、1−
メチル−3−エチルピペラジン等のピペラジン環を有す
るもの;モルホリン、2−メチルモルホリン、3,5−
ジメチルモルホリン等のモルホリン環を有するもの、及
び、ε−カプロラクタム、3−ピロリン、2,5−ジメ
チル−3−ピロリン、2−ヒドロキシピリジン、4−ピ
リジルカルビノール、2−ヒドロキシピリミジン等の窒
素含有不飽和環状化合物等であるものが挙げられる。
【0021】これらのうち本発明において特に好ましい
ものは、窒素含有化合物が、窒素含有脂環式化合物であ
り、更に好ましくは、ピペリジン環を有するもの及びモ
ルホリン環を有するものであり、本発明において使用す
る最も好ましいものは、モルホリン環を有するものであ
る。
【0022】本発明において、モルホリン環を有する上
記一般式(B)の化合物を原料とする高分子が、本発明
においてなぜ良好に機能するかは定かではないが、モル
ホリン環を有する化合物は、モルホリン環以外の窒素含
有環を有する活性水素化合物や、単なるアルキレンオキ
シド系ノニオン性界面活性剤に比べ、水溶性と、低い転
移温度における増粘性の両方満足し得る度合いが高い。
又、上記の高分子は単独でも2種以上混ぜてインクに添
加してもよい。この際、分子量が異なる高分子を混合し
て使用しても本発明の効果は十分に得られる。
【0023】上記のような原料からなる本発明で用いる
高分子の分子量は、作成されたインクジェット記録用イ
ンクの粘度が許容範囲内(20mPa・s以下)であれ
ばよい。しかしながら、分子量が1万未満であると、分
子鎖が短いためインクの状態変化が起きずらくなり、一
方、分子量が10万を超えるとインクの追随性が悪化す
るほか、曳糸性が出るため回復性が著しく悪化する。従
って、本発明においては、分子量1万〜10万の高分子
を使用することが好ましい。
【0024】本発明で用いる上記した温度を介して状態
変化を起こす熱可逆型増粘性高分子のインク中の含有量
は、0.05重量%〜10重量%とすることが好まし
い。0.05重量%より少ないと熱による状態変化が十
分でないため、ブリードを抑制し、高発色の画像を得る
ことができない。一方、10重量%を超える量の添加を
行うと、高分子の分解物がヒーター上に付着し発泡が弱
められる。
【0025】本発明で用いる熱可逆型増粘性高分子は、
以上述べてきた材料によって得られるものに限定される
ものではなく、温度を介して状態変化を起こす熱可逆型
増粘性高分子であればいかなるものでも使用可能であ
る。下記の表1に、本発明において使用し得る熱可逆型
増粘性高分子と、これを溶解解離するための溶剤の具体
的な組成例を示す。又、状態変化を起こす温度を転移温
度T(θ)として示す。
【0026】
【表1】表1−1温度を介して状態変化を起こす熱可逆
型増粘性高分子と溶剤組成 (上式中、 *は重量比である。)
【0027】
【表2】表1−2温度を介して状態変化を起こす熱可逆
型増粘性高分子と溶剤組成
【0028】次に、本発明のインクジェット用水性イン
クにおいて、上記した熱可逆型増粘性高分子と併用して
用いる水溶性ポリマーについて説明する。本発明で使用
する水溶性ポリマーとしては、水に容易に溶解し、10
%水溶液を作成した場合に、pHが6〜8であるような
中性のポリマーであれば基本的にどのようなものでもよ
い。このような水溶性ポリマーの具体例としては、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリ
セリンのエチレンオキサイド付加物、グリセリンのプロ
ピレンオキサイド付加物、ポリビニルアルコール、ポリ
酢酸ビニル、セルロース及びそれらの誘導体、水溶性キ
トサン、単糖類、二糖類、多糖類、蛋白質、寒天、ゼラ
チン等が挙げられる。
【0029】本発明で使用し得る上記したような中性の
水溶性ポリマーの最適分子量は、200〜10,000
である。分子量が10,000を超える水溶性ポリマー
を用いると、熱可逆型増粘性高分子の性質を必要以上に
高めてしまい、記録動作と連動して被記録材を加熱する
機構を有するインクジェットプリンターを用いた場合
に、紙等の被記録材を加熱する際の複写熱により、イン
クジェット記録ヘッドのフェイス面で増粘し固着した
り、ヘッドの発熱素子に付着して発泡を妨げる等、プリ
ンターの信頼性を悪化させることが生じる。又、分子量
が200未満の水溶性ポリマーを用いた場合には、熱可
逆型増粘性高分子の温度を介しての状態変化に対する増
幅作用が劣り、インク中の色材の紙への浸透が高まるた
め発色や画像濃度が十分でなくなる。
【0030】又、本発明で使用する上記した水溶性ポリ
マーの添加量は、0.1重量%〜10重量%とすること
が好ましいが、より好ましくは1〜5重量%である。即
ち、0.1%より少ないと、水溶性ポリマーの添加する
ことによる増幅効果が小さく、10%より多いと過剰効
果となりプリンターの信頼性を悪化させる他、ポリマー
の種類によってはインクの初期粘度を高めてしまい、リ
フィル性を著しく下げるからである。以上のことから、
本発明で使用する水溶性ポリマーとしては、分岐構造を
有するグリセリンのエチレンオキサイド付加物、グリセ
リンのプロピレンオキサイド付加物等が、インクの初期
粘度を低く保ち、且つ熱可逆型増粘性樹脂の状態変化に
対する増幅作用も大きいので特に有効である。
【0031】又、本発明のインクジェット用インクに用
いることのできる色材としては、染料においては、カラ
ーインデックス(COLOR INDEX)に記載され
ている水溶性の酸性染料、直接染料、反応性染料であれ
ば特に限定されない。又、カラーインデックスに記載の
ないものでも、アニオン性基、例えば、スルホン酸、カ
ルボキシル基等を有するものであれば特に限定されな
い。尚、ここで言う水溶性染料の中には、溶解度にpH
依存性があるものも含まれる。
【0032】染料の具体例としては、C.I.Dire
ct Black 17、C.I.Direct Bl
ack 19、C.I.Direct Black 6
2、C.I.Direct Black 154、C.
I.Food Black2、C.I.Reactiv
e Black 5、C.I.Acid Black
52、C.I.Direct Black 195、Z
eneca Projet Fast Blak 2等
のブラック染料、C.I.Direct Yellow
11、C.I.Direct Yellow 23、
C.I.Direct Yellow 44、C.I.
Direct Yellow 86、C.I.Dire
ct Yellow 142、C.I.Direct
Yellow 330、C.I.Acid Yello
w 3、C.I.Acid Yellow 38、C.
I.Basic Yellow 11、C.I.Bas
ic Yellow 51、C.I.Disperse
Yellow 3、C.I.Disperse Ye
llow 5、C.I.Reactive Yello
w 2、Zeneca Projet Fast Ye
llow 2等のイエロー染料、C.I.Direct
Red 227、C.I.DirectRed 2
3、C.I.Direct Red 289、C.I.
AcidRed 18、C.I.Acid Red 5
2、C.I.Basic Red14、C.I.Bas
ic Red 39、C.I.Disperse Re
d 60、Zeneca Projet Fast M
agenta 2等のマゼンタ染料、C.I.Dire
ct Blue 15、C.I.DirectBlue
86、C.I.Direct Blue 199、
C.I.Direct Blue 168、C.I.A
cid Blue 9、C.I.AcidBlue 4
0、C.I.Basic Blue 41、C.I.A
cidBlue 74、C.I.Reacitive
Blue 15、ZenecaProjet Fast
Cyan 2等のシアン染料等を挙げることができ
る。
【0033】これらの染料のインク中における濃度とし
ては、インク中の溶解度の範囲以内で自由に選択可能で
あるが、通常は、1〜8重量%であることが好ましく、
被記録材が布や金属(アルマイト)等の場合には、3〜
10重量%が好ましく、更に、記録画像に濃淡が必要な
場合には0.1〜10重量%が好ましい。
【0034】本発明のインクジェット用インクにおける
好適な水性媒体としては、水及び水溶性有機溶剤の混合
溶媒を使用することが好ましい。又、この際に使用する
水としては、イオン交換水(脱イオン水)を使用するの
が好ましい。
【0035】本発明において、水と混合して使用される
水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、
エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチ
ルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数
1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;エチレングリ
コール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコ
ール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等
のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレン
グリコール類;グリセリン、エチレングリコールモノメ
チル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメ
チル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコール
モノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコール
の低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリド
ン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リジノン等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶
剤の中でもジエチレングリコール等の多価アルコールの
低級アルキルエーテルが好ましい。
【0036】本発明のインクジェット用インク中の上記
したような水溶性有機溶剤の含有量は、一般的にはイン
ク全量の3〜50重量%の範囲であり、好ましくは3〜
40重量%の範囲である。又、本発明において使用する
水は、インク全重量の10〜90重量%、好ましくは3
0〜80重量%の範囲とすることが好ましい。インク中
の水溶性有機溶剤の含有量が、3%より少ないと、記録
ヘッドにおけるインクの耐固着防止効果に劣り、50%
よりも多いと、インクの初期粘度が上がる、インクの浸
透性が高まり熱による状態変化の効果が低減する、印字
物がベタ付く等弊害が生じる。
【0037】更に、インクジェット記録におけるインク
の吐出安定性を得るためには、インク中に含有させる水
溶性有機溶剤として、エタノール、或いはイソプロピル
アルコールを1%以上添加することが効果的である。こ
れは、これらの溶剤を添加することによって、記録ヘッ
ドを構成する薄膜抵抗体上でのインクの発泡がより安定
に行われるからと考えられる。しかし、これらの溶剤を
過剰に加え過ぎると印字品位が損なわれる恐れがあるの
で、濃度を3〜10重量%とすることが好ましい。本発
明のインクジェット用水性インクには、更に必要に応じ
て、界面活性剤、防さび剤、防かび剤、酸化防止剤、p
H調整剤等の添加剤を含有させることも可能である。
【0038】以上説明した本発明のインクジェット用水
性インクは、下記に説明するような方式のインクジェッ
ト記録装置に搭載して画像を形成することが好ましい。
以下、本発明で好ましく使用される記録装置について説
明する。図1〜図3に、インクに熱エネルギーを作用さ
せ液滴を吐出させて記録を行なう方式の記録装置の主要
部であるヘッド構成例を示す。図1はインク流路に沿っ
たヘッドの断面図であり、図2は図1のx−y線での断
面図である。
【0039】図1に示したヘッド1は、インクを通す流
路(ノズル)2を有する硝子板、セラミック板、シリコ
ン板、又はプラスチック板等と、発熱素子基板3とを接
着して得られる。発熱素子基板3は、図1に示したよう
に、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形
成された保護層4と、アルミニウム、金、アルミニウム
−銅合金等で形成された電極5、HfB2、TaN、T
aAl等の高融点材料で形成された発熱抵抗体層6、熱
酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成された蓄熱層
7、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放
熱性のよい材料で形成された基板8より構成される。
【0040】上記のような構成を有するヘッド1の電極
5に、パルス状の電気信号が印加されると、図1に示し
た発熱素子基板3のnで示される領域が急速に発熱し、
この表面に接しているインクに気泡が発生する。その発
生した気泡による圧力でメニスカス10が突出し、イン
クがヘッドのノズル2を通して吐出し、オリフィス11
よりインクの小液滴12となって被記録材13に向かっ
て飛ぶ。図3に、ヘッドを多数並べたマルチヘッドの外
観図を示す。このマルチヘッドは、マルチノズル14を
有する硝子板15と、図1に示したと同様の構成を有す
る発熱ヘッド16を接着して作られる。
【0041】図4に、かかるヘッドを組み込んだインク
ジェット記録装置の一例を示す。図4において、61は
ワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブ
レード保持部材によって保持固定されており、カンチレ
バーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッドによる記
録領域に隣接した位置に配置され、記録ヘッドの移動方
向と垂直な方向に移動して吐出口面と当接し、キャッピ
ングを行う方式を備える。更に、63は、ブレード61
に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード6
1と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保
持される。上記ブレード61、キャップ62、吸収体6
3によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及
び吸収体63によって吐出口面に水分、埃塵等の除去が
なされる。
【0042】65は、吐出エネルギー発生手段を持ち、
吐出口11を配した吐出口面に対向する被記録材にイン
クを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド
65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャ
リッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可
能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によ
って駆動されるベルト69と接続(不図示)している。
これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動
が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその
隣接した領域の移動が可能となる。51は被記録材を挿
入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆
動される紙送りローラーである。これらの構成により記
録ヘッドの吐出口面と対応する位置に被記録材が給紙さ
れ、記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した
排紙部へ排紙される。
【0043】以上の構成において記録ヘッド65が記録
終了してホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64
のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避し
ているが、ブレード61は移動経路中に突出している。
その結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされ
る。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接
してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッ
ドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド
65がホームポジションから記録の開始位置へ移動する
場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピ
ング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動
においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされ
る。上記の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、
記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記
録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領
域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴
って上記ワイピングが行われる。
【0044】図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例
えば、チューブを介して供給されるインクを収容したイ
ンクカートリッジの一例を示す縦断面図である。ここで
45はインクカートリッジ、40は供給用インクを収納
したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端
にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針
(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のイ
ンクをヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容
するインク吸収体である。インク収容部としては、イン
クとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形
成されているものが好ましい。
【0045】本発明で使用されるインクジェット記録装
置としては、上述のようにヘッドとインクカートリッジ
とが別体になったものに限らず、図6に示すようなそれ
らが一体となったものも好適に用いられる。図6におい
て、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収
容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納され
ており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィ
スを有するヘッド部71からインク滴として吐出される
構造になっている。インク吸収体の材料としては、ポリ
ウレタンを用いることが本発明にとって好ましい。
【0046】又、インク吸収体を使用せずに、インク収
容部が内部にバネ等をしこんだインク袋であるような構
造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させ
るための大気連通口である。この記録ユニット70は図
4に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであっ
て、キャリッジ66に対し着脱自在となっている。
【0047】次に、本発明において好ましく使用される
インクに力学的エネルギーを作用させ液滴を吐出させて
記録を行なう方式を利用したインクジェット記録装置に
ついて説明する。このような方式のものとしては、複数
のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して
配置される圧電材料と、導電材料からなる圧力発生素子
と、前記圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印
加電圧により圧力発生素子を変位させインクの小液滴を
ノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録
ヘッドを挙げることができる。図7に、このような方式
の記録装置の主要部分である記録ヘッドの構成例を示
す。
【0048】図7に示すように、ヘッドは、インク室
(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積の
インク滴を吐出するためのオリフィスを有するオリフィ
スプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動
板82と、その振動板82に接合され電気信号により変
位する圧電素子83と、これら圧電素子83、オリフィ
スプレート81、振動板82等を支持固定するための基
体84とから構成されている。
【0049】図7において、インク流路80は、感光性
樹脂等で形成され、オリフィスプレート81は、ステン
レスやニッケル等の金属を、電鋳、プレス加工による穴
あけ等をすることによって吐出口85が形成されたもの
である。又、振動板82は、ステンレス、ニッケル、チ
タン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成
されており、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZ
T等の誘電体材料で形成されている。
【0050】以上のような構成の記録ヘッドでは、圧電
素子83にパルス状の電位が与えられて歪み応力を発生
させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動
板を変形させて、インク流路80内のインクを垂直に加
圧し、インク滴(不図示)をオリフィスプレートの吐出
口85より吐出、記録を行うように動作する。以上のよ
うな構成を有する記録ヘッドも、図4に示したものと同
様な記録装置に組み込んで使用される。記録装置の細部
の動作は先述と同様に行うもので差し支えない。
【0051】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に詳細に説明する。 実施例1〜6 (記録インクの作成)表2中に示した各成分を混合し、
更に、ポアサイズ0.22μmのメンブランフィルター
(商品名:フロロポアフィルター、住友電工製)にて加
圧濾過し、イエローインク(Y)、シアンインク
(C)、マゼンタインク(M)、ブラックインク(B
K)の各色のインクを得た。
【0052】
【表3】表2 実施例の各インクの組成(表中のインク
組成は、重量%)
【0053】表2中に挙げた、各実施例で用いた熱可逆
型増粘性高分子物質A〜Cを製造する際に用いた単量
体、共重合比、及び使用した高分子物質A〜Cの分子量
を下記に示す。又、下記の表3に、表2中に挙げた中性
の水溶性ポリマーA〜Eの物質名、分子量を示した。
尚、熱可逆型増粘性高分子物質A〜Cの分子量は、ゲル
パーミエーションクロマトグラフ(カラム:TSKge
l GMHXL ポリスチレン換算)により測定した値
であり、中性の水溶性ポリマーの分子量は公称値であ
る。又、表2中で使用した染料の記号は、表4のものを
表わしている。
【0054】(熱可逆型増粘性高分子A)高分子Aは、
下記に挙げたA−1〜A−3の単量体を、A−1:A−
2:A−3=80:15:5の比で共重合させた分子量
(Mw)=10,000の共重合体である。 ・A−1:2−モルホリノオキシエチルメタアクリレー
ト ・A−2: ・A−3:メタアクリル酸
【0055】(熱可逆型増粘性高分子B)高分子Bは、
下記に挙げたB−1〜B−3の単量体を、B−1:B−
2:B−3=50:48:2の比で共重合させた分子量
(Mw)=50,000の共重合体である。 ・B−1:2−モルホリノオキシエチルメタアクリレー
ト ・B−2: ・B−3:メタアクリル酸
【0056】(熱可逆型増粘性高分子C)高分子Cは、
下記に挙げたC−1〜C−3の単量体を、C−1:C−
2:C−3=80:15:5の比で共重合させた分子量
(Mw)=10,000の共重合体である。 ・C−1:2−モルホリノオキシブチルメタアクリレー
ト ・C−2: ・C−3:メタアクリル酸
【0057】
【表4】表3 実施例で使用した中性の水溶性ポリマー
の一覧
【0058】
【表5】表4 実施例で使用した染料の一覧
【0059】比較例1 中性ポリマーを添加しない以外は、実施例1と同様にし
て比較例1のインクを作成した。
【0060】比較例2 熱可逆型増粘性高分子を添加しない他は、実施例2と同
様にして比較例2のインクを作成した。
【0061】比較例3 中性ポリマー、熱可逆型増粘性高分子を共に添加しない
他は、実施例3と同様にして比較例3のインクを作成し
た。
【0062】[評価]実施例1〜6、及び比較例1〜3
のインクについて、その性能及び記録画像の評価を下記
の方法で行った。評価機及び評価用紙としては、下記に
挙げるものを用いた。
【0063】(評価機)評価用の記録装置としては、キ
ヤノン(株)製BJC600(360dpi)に被記録
材に対する加熱機構を組み込んだものを使用した。その
概要を図8に示した。図8の記録装置は、図4の基本的
な記録装置に加熱素子100を設置したものである。図
8に示したように、この装置では、加熱素子100とし
ては東芝製セラミックヒーター(長さ250nm)を用
い、これを記録ヘッドに対向するように貼り付け、加熱
素子表面温度を温度センサー(KEYENCE製 TF
2−31)でモニターし、菊水電子製PMC35−2A
の電源によりPID制御で温度調節を行った。評価の際
の印字においては、上記加熱素子100に熱をかけて評
価用紙の表面温度が90℃になるように設定した。イン
クの供給は、専用のインクカートリッジ90に目的のイ
ンクを充填して行った。 (評価用紙)評価用紙としては、キヤノン製のPB紙
(plain paper forcopy and
bubblejet printer)を用いた。
【0064】1.インクの状態変化(増粘性)の測定 振動式粘度計DEGITAL VISCOMATE V
M−100(山一電機(株)製)用いて、25℃〜10
0℃までの温度における粘度測定を行った。測定試料と
して、50mlのビーカーに各インクを50グラム秤り
採り、粘度計の検出端がビーカーの底部から2cmにな
るようにして、磁気撹拌機能のついたホットプレート
(nuova2)上に設置し、撹拌子をいれ、撹拌しな
がら徐々に加熱していき、この時のインクの粘度変化を
記録した。尚、測定の際には、水分の蒸発を防ぐために
ビーカーに簡単な蓋をした。そして、粘度が激しく変化
(粘度上昇)した温度を状態変化が生じた温度T(θ)
として、表5中に示した。
【0065】2.画像の印字濃度(OD値) A4サイズの評価用紙に、15×15mm四方の正方形
のY、M、C、Bkインクによって形成されたベタ部が
夫々5箇所あるパターンをプリントし、30分以上経過
した後に、そのプリントサンプルについて、マクベス反
射濃度計RD914にて画像濃度を測定し、その平均値
をOD値とし表5中に示した。
【0066】3.発色性 評価用紙に、図9に示した2色のインクが混色する部分
を有する印字パターンを作成すると共に、一方で、標準
サンプルとしてBJC820専用紙(コート紙)を用
い、BJC820専用インクを用いて、上記と同様のパ
ターンを印字した。そして、男女各10人に標準サンプ
ルに近い発色を示す印字物を選出してもらった。その結
果を下記の基準で評価し、表5中に示した。 ◎:18人以上が、コート紙と同等レベルの発色と判断
した。 ○:15人以上18人未満の人が、コート紙と同等レベ
ルの発色と判断した。 △:コート紙と同等レベルの発色と判断した人が14人
以下であった。
【0067】4.ブリード 2色のインクを使用して、図10(a)に示したブリー
ドの評価のためのパターンをプリントし、金属顕微鏡に
て、この評価パターンの一部の拡大写真図10(b)を
撮り、スキャナーにてこのデータをパソコンにとり込
み、更に画像処理を行って、図10(c)に示した基線
から色の境界部のあふれだした部分の面積をσとして算
出した。そして、最もブレードが目立ち易いイエローイ
ンクとブラックインクとのパターンを用いて、このσの
値に基づいて下記の基準で評価した結果を表5中に示し
た。 ◎:σ<2 ○:2≦σ<3 △:3≦σ
【0068】5.高速印字性 先に説明した評価装置を高速印字が可能なように改造
し、245キャラ/12CPI、印字桁数136、文字
構成(横×縦)30×48の条件で、HQ(High
Qualityモード)で、評価用紙に英数カナ文字の
印字を行って高速印字性の評価を行った。その際、紙表
面温度は90℃に設定した。得られた結果を下記の基準
で評価し、表5中に示した。 ◎:1文字の欠けもなくA4サイズの印字が可能。 △:1文字の欠けもなくA4サイズの印字をすることが
できない。
【0069】
【表6】表5 評価結果
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、記録インクに熱可逆型
増粘性高分子化合物と中性の水溶性ポリマーを共に添加
することにより、従来困難であった高速印字化と印字物
の品位の向上(高い発色性とブリードレス(ブリーディ
ングがないこと))の両立が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図
である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図
である。
【図3】インクジェット記録装置の複数のノズルを有す
るヘッド部の一例を示す説明図である。
【図4】インクジェットの一例を示す縦断面図である。
【図5】インクカートリッジの一例を示す斜視図であ
る。
【図6】インクジェットカートリッジの記録装置の一例
を示す斜視図である。
【図7】圧電素子を用いたインクジェット記録ヘッドの
縦断面図である。
【図8】被記録材を加熱するための加熱素子を備えたイ
ンクジェット記録装置。
【図9】発色性の評価パターン図である。
【図10】ブリードの評価パターン図である。
【符号の説明】
1:ヘッド 2:流路(ノズル) 3:発熱素子基板 4:保護層 5:電極 6:発熱抵抗体層 7:蓄熱層 8:基板 10:メニスカス 12:記録小液滴 13:被記録材 14:マルチノズル 15:ガラス板 16:発熱ヘッド 40:インク収容部 42:栓 44、63:インク吸収体 45:インクカートリッジ 51:給紙部 52:紙送りローラー 53:排紙ローラー 61:ブレード 62:キャップ 64:吐出回復部 65:記録ヘッド 66:キャリッジ 67:ガイド軸 68:モーター 69:ベルト 70:記録ユニット 71:ヘッド部 72:大気連通口 80:インク流路 81:オリフィスプレート 82:振動板 83:圧電素子 84:基体 85:吐出口 90:インクカートリッジ 100:加熱素子

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材と液媒体とからなるインクにおい
    て、温度を介して状態変化を起こす熱可逆型増粘性高分
    子と水溶性ポリマーとを同時に含むことを特徴とするイ
    ンクジェット用水性インク。
  2. 【請求項2】 熱可逆型増粘性高分子が、感熱性を有す
    る下記式で表わされる化合物(B)を原料として含む請
    求項1に記載のインクジェット用水性インク。 【化1】 (式中R1は、水素原子、又はCH3、R2は、水素原
    子、炭素数1〜30のアルキル基、(アルキル)フェニ
    ル基、(アルキル置換)アミノアルキル基、及び窒素含
    有化合物のN原子で結合する置換基のいずれかであり、
    x、y及びzは各々、1〜50の範囲の整数を表わ
    す。)
  3. 【請求項3】 熱可逆型増粘性高分子が、化合物(B)
    と他のビニル系単量体との共重合体を含む請求項1に記
    載のインクジェット用水性インク。
  4. 【請求項4】 熱可逆型増粘性高分子が、インク中に
    0.05〜10重量%含有されているインクジェット用
    水性インク。
  5. 【請求項5】 水溶性ポリマーのpHが中性を示す請求
    項1に記載のインクジェット用水性インク。
  6. 【請求項6】 水溶性ポリマーの分子量が200以上1
    0,000以下である請求項1に記載のインクジェット
    用水性インク。
  7. 【請求項7】 水溶性ポリマーの添加量が0.1〜10
    重量%である請求項1に記載のインクジェット用水性イ
    ンク。
  8. 【請求項8】 色材が染料である請求項1に記載のイン
    クジェット用水性インク。
  9. 【請求項9】 インクの液滴を記録信号に応じて記録ヘ
    ッドのオリフィスから吐出させて被記録材上に記録を行
    うインクジェット記録方法において、前記インクが、請
    求項1に記載のインクジェット用水性インクであること
    を特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 【請求項10】 インクに熱エネルギーを作用させ液滴
    を吐出させて記録を行なう請求項9に記載のインクジェ
    ット記録方法。
  11. 【請求項11】 インクに力学的エネルギーを作用させ
    液滴を吐出させて記録を行なう請求項9に記載のインク
    ジェット記録方法。
  12. 【請求項12】 インクを収容したインク収容部、イン
    クをインク滴として吐出させるための記録ヘッド部を備
    えた記録ユニットにおいて、インクが請求項1に記載の
    インクジェット用水性インクであることを特徴とする記
    録ユニット。
  13. 【請求項13】 記録ヘッドが温度制御機構を有する請
    求項12に記載の記録ユニット。
  14. 【請求項14】 インクを収容したインク収容部、イン
    クをインク滴として吐出させるための記録ヘッド部を備
    えた記録ユニットを有するインクジェット記録装置にお
    いて、記録ユニットが請求項12に記載のものであるこ
    とを特徴とするインクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】 更に、記録動作と連動して被記録材を
    35℃以上に加熱する機構を有する請求項14に記載の
    インクジェット記録装置。
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