JPH10235779A - ガスバリアーフィルム及びその製造方法 - Google Patents

ガスバリアーフィルム及びその製造方法

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JPH10235779A
JPH10235779A JP6242797A JP6242797A JPH10235779A JP H10235779 A JPH10235779 A JP H10235779A JP 6242797 A JP6242797 A JP 6242797A JP 6242797 A JP6242797 A JP 6242797A JP H10235779 A JPH10235779 A JP H10235779A
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gas
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリアー性に優れたガスバリアーフィル
ム及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明のガスバリアーフィルムは、高分
子からなる基材フィルムの表面に、Si−H結合をもつ
アルコキシシラン及びアルコキシシロキサンから選択さ
れる原料ガスを用いたプラズマ化学気相堆積法により、
実質的に有機成分を含まないシリコン酸化膜からなるガ
スバリアー層が形成されている。上記原料ガスを用いる
ことにより、上記シリコン酸化膜を圧力0.01〜10
Torrの下で容易に形成させることができる。原料ガ
スとしては、トリエトキシシランを使用することが特に
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れたガスバリア
ー性をもつフィルム及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】通常の高分子フィルム等に対して気体透
過性を大きく低減させたガスバリアーフィルムは、内容
物を変質や酸化等から保護する機能を有するため、食
品、医薬品等の包装分野において広く用いられている。
このようなガスバリアーフィルムの一例として、高分子
フィルムの表面に酸化シリコン系のガスバリアー層を設
けたものがある。ガスバリアー層の形成は、主に蒸着法
又はプラズマ化学気相堆積法(以下、「プラズマCVD
法」という。)により行われている。例えば、特開平2
−122924号公報には、高分子フィルム上にケイ素
酸化物を蒸着してなる膜を設けた透明バリヤーフィルム
が開示されている。また、特開昭64−87772号公
報には、0.1Torr以下の低圧において、テトラメ
チルジシロキサン(以下、「TMDSO」という。)、
ヘキサメチルジシロキサン(以下、「HMDSO」とい
う。)等の有機ケイ素化合物を原料ガスとした低圧プラ
ズマCVD法により、基体にシリコン酸化膜を付着させ
る方法が開示されている。更に、特開平8−14225
4号公報には、珪素酸化物と炭素、水素、珪素及び酸素
のなかから1種あるいは2種以上の元素からなる化合物
を含有するバリア層を有するバリア袋用フィルムが開示
されている。
【0003】しかし、特開平2−122924号公報で
は、原料ガスとして一酸化ケイ素等のケイ素酸化物を用
いている。このような無機ケイ素化合物を原料ガスに用
いて得られたシリコン酸化膜は、有機ケイ素化合物を用
いたものに比べて被覆性等に乏しいという問題がある。
また、上記公報の実施例によれば、得られたガスバリア
ーフィルムの酸素透過性は1.2〜1.5(cc/
2 )/日程度であり、必ずしもガスバリアー性が十分
とはいえないものであった。更に、蒸着法によるシリコ
ン酸化膜は、一般に透明性とガスバリアー性とを両立さ
せることが困難である。
【0004】一方、特開昭64−87772号公報に記
載の方法のように、原料ガスに有機ケイ素化合物を用い
たプラズマCVD法による場合には、得られるシリコン
酸化膜の被覆性は比較的良いと考えられる。しかし、原
料ガスに有機ケイ素化合物を用いると、この有機ケイ素
化合物の分解が不十分である場合には得られるシリコン
酸化膜中に有機成分が残存し、この残存有機成分により
ガスバリアー性が損なわれる恐れがある。このため特開
昭64−87772号公報に記載の方法では、TMDS
O、HMDSO等の有機ケイ素化合物の確実な分解を図
るために、プラズマCVD法を「比較的高い電力で」行
っている。具体的に例示された実施条件は、1000ワ
ット×40KHz、375ワット×13.56MHz及
び直流300ワットであり、1000ワット×40KH
zが好ましいとされている。また、圧力は0.1Tor
r以下の低圧とする必要があり、これはプラズマCVD
法を上記のような高電力で行う場合、真空度が十分でな
いと基体が加熱されて損傷する恐れがあるためと考えら
れる。
【0005】しかし、上記のように高電力且つ高真空で
プラズマCVD法を行うことは、装置、設備及びコスト
等の点から不利であるとともに、大面積の処理が困難で
あるという問題がある。また、特開昭64−87772
号公報の実施例によれば、得られたガスバリアーフィル
ムの酸素透過性は0.0836(cc/100in2
/日〔即ち、1.34(cc/m2 )/日〕程度であっ
て、必ずしもガスバリアー性が十分とはいえないもので
あった。
【0006】更に、特開平8−142254号公報には
具体的なプラズマCVD条件、例えば好ましい真空度、
プラズマ発振周波数及び電力等に関する記載がないが、
上記公報に記載のバリア袋用フィルムは、高いバリア性
を得るためにバリア層中に含まれる各化合物の組成比及
びその濃度分布を精密に制御する必要があるので非常に
製造が困難である。また、上記公報のバリア層は有機成
分を含むものであるため、成膜後の経時によって有機成
分のうちアルコキシ基等が加水分解されることによりバ
リア層の剥離が生じてガスバリアー性が失われたり、水
蒸気透過性が低下したりしやすいという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
の有機ケイ素化合物を原料ガスとしたプラズマCVD法
により形成されたガスバリアー層を有する、ガスバリア
ー性に優れたガスバリアーフィルムを提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、基材フィルムの表面に
プラズマCVD法によりガスバリアー層を形成するガス
バリアーフィルムの製造方法であって、このプラズマC
VD法における圧力条件が緩和された製造方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、プラズマ
CVD法によりシリコン酸化膜を形成する際に、原料ガ
スとして特定の有機ケイ素化合物を用いることによりガ
スバリアー性に優れた膜が得られることを見出した。ま
た、上記特定の有機ケイ素化合物はプラズマCVD法に
おける分解性が高いため、これを原料ガスに用いれば特
別な高真空を必要とすることなく容易にガスバリアー層
を形成できることを見出して、本発明を完成したのであ
る。
【0009】本発明における第1発明のガスバリアーフ
ィルムは、高分子からなる基材フィルムと、該基材フィ
ルムの表面に設けられ、Si−H結合をもつアルコキシ
シラン及びアルコキシシロキサンから選択される原料ガ
スを用いたプラズマCVD法により形成され、実質的に
有機成分を含まないシリコン酸化膜からなるガスバリア
ー層と、を備え、上記基材フィルム及び上記ガスバリア
ー層からなる二層フィルムの酸素透過性が1(cc/m
2 )/日以下であることを特徴とする。
【0010】本発明における第2発明のガスバリアーフ
ィルムの製造方法は、高分子からなる基材フィルムの表
面に、圧力0.01〜10Torrの下で、Si−H結
合をもつアルコキシシラン及びアルコキシシロキサンか
ら選択される原料ガスを用いたプラズマ化学気相堆積法
により、シリコン酸化膜からなるガスバリアー層を形成
することを特徴とする。上記原料ガスとしては、第3発
明に記載のように、モノアルコキシシラン、ジアルコキ
シシラン又はトリアルコキシシランを用いることが好ま
しい。上記製造方法において、第4発明に記載のよう
に、上記プラズマCVD法により形成された上記ガスバ
リアー層に窒素プラズマを照射してもよい。これによ
り、照射前に比べて上記ガスバリアー層のガスバリアー
性が向上するという効果が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。第1発明のガスバリアーフィルムにおける「ガスバ
リアー層」は、Si−H結合をもつアルコキシシラン又
はSi−H結合をもつアルコキシシロキサンを原料ガス
としたプラズマCVD法により形成されたシリコン酸化
膜である。これらの有機ケイ素化合物を原料ガスとする
ことにより、無機ケイ素化合物を原料ガスに用いた場合
に比べて被覆性に優れたシリコン酸化膜が得られる。ま
た、これらの有機ケイ素化合物はSi−C結合をもつT
MDSO、HMDSO等に比べて分解しやすいので、実
質的に有機成分を含まず且つガスバリアー性に優れたシ
リコン酸化膜を容易に形成することができる。ここで、
「実質的に有機成分を含まない」とは、400〜400
0cm-1の条件で行われる赤外線吸収スペクトルにおい
て、有機物に由来する吸収が認められないことをいう。
【0012】以下、この「原料ガス」について更に詳し
く説明する。上記「Si−H結合をもつアルコキシシラ
ン」としては、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシ
ラン及びトリアルコキシシランが挙げられる。これらの
アルコキシシランはSi−C結合を含むシラン化合物に
比べて分解性が高く、またテトラアルコキシシランより
も更に分解性が良いため、より低い出力のプラズマCV
D法によってガスバリアー性に優れたシリコン酸化膜を
形成可能なためである。この分解性の点から、特にトリ
アルコキシシランを用いることが好ましい。また、プラ
ズマCVD法における分解性が良いことから、炭素数1
〜4のアルコキシ基を有するアルコキシシランを用いる
ことが好ましく、特にエトキシ基を有するものが好まし
い。
【0013】アルコキシシランの具体例としては、以下
に示すものが挙げられる。 (1)モノアルコキシシラン モノメトキシシラン、モノエトキシシラン、ジ−n−プ
ロポキシシラン、ジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブ
トキシシラン、ジ−sec−ブトキシシラン、ジイソブ
トキシシラン、ジ−tert−イソブトキシシラン等。 (2)ジアルコキシシラン ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジ−n−プロポ
キシシラン、ジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブトキ
シシラン、ジ−sec−ブトキシシラン、ジイソブトキ
シシラン、ジ−tert−イソブトキシシラン等。 (3)トリアルコキシシラン トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−
プロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリ−
n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、
トリイソブトキシシラン、トリ−tert−ブトキシシ
ラン等。 これらの中でも、前述のように反応性に富むトリアルコ
キシシランを用いることが好ましく、トリエトキシシラ
ン、トリメトキシシラン、トリプロポキシシランがより
好ましく、最も好ましいのはトリエトキシシランであ
る。
【0014】上記「Si−H結合をもつアルコキシシロ
キサン」としては、プラズマCVD法における原料ガス
として使用可能な程度に気化しやすいものであれば、特
に限定されることなく用いることができる。具体的に
は、分子量900以下のアルコキシシロキサンを用いる
ことが好ましい。このアルコキシシロキサンに含まれる
ケイ素原子の数は2〜4個とすることが好ましく、2個
とすることが特に好ましい。4個以上のケイ素原子を有
するアルコキシシロキサンは気化させることが困難なた
めである。アルコキシシランの場合と同様に、プラズマ
CVD法における分解性が良いことから、炭素数1〜4
のアルコキシ基を有するアルコキシシロキサンを用いる
ことが好ましく、特にエトキシ基を有するものが好まし
い。また、両末端のケイ素原子のいずれもがアルコキシ
基と水素原子との双方を有するものが好ましい。特に好
ましいアルコキシシロキサンは、1,1,3,3−テト
ラメトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラエト
キシジシロキサン及び1,1,3,3−テトラプロポキ
シジシロキサンである。
【0015】また、本発明のガスバリアーフィルムにお
ける「基材フィルム」としては、ポリエステル、ナイロ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロー
ス、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポ
リウレタン、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、
アイオノマー、ポリアミド等の高分子からなるものを適
宜選択して用いることができる。一般的な材料として
は、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピ
レン、二軸延伸ナイロン、低密度ポリエチレン等が挙げ
られる。
【0016】本発明のガスバリアーフィルムは、上記基
材フィルム及び上記ガスバリアー層からなる二層フィル
ムの状態において、その酸素透過性が1(cc/m2
/日以下〔好ましくは0.9(cc/m2 )/日以下、
更に好ましくは0.7(cc/m2 )/日以下〕である
ことを特徴とする。このようなガスバリアーフィルム
は、例えば包装材料等として用いる場合、通常は基材フ
ィルム及びガスバリアー層に加えて印刷インキ、ラミネ
ートフィルム(樹脂層)等が積層された複合フィルムの
状態で使用される。上記樹脂層の材質は包装材料の使用
目的等から選択され、例えばポリエチレン樹脂、ポリプ
ロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹
脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン/ビニルアル
コール共重合体、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート樹脂、ポリアクリロニトリル
樹脂等を用いることができる。本発明のガスバリアーフ
ィルムは、上記二層フィルムの状態において十分なガス
バリアー性を有するので、上記二層フィルム以外の層に
用いる材料の選択自由度が広い。また、上記複合フィル
ムの状態では更に高いガスバリアー性を得ることが可能
である。
【0017】尚、本発明のようなガスバリアーフィルム
においては、ガスバリアー層の厚さが薄過ぎる場合には
十分なガスバリアー性が発揮されないが、逆にガスバリ
アー層が厚過ぎる場合にもガスバリアー性が低下するこ
とが知られている。これは、プラズマCVD法により形
成される膜が厚くなるにつれて膜中の歪みが大きくな
り、このためクラックが発生しやすくなるためである。
クラックが生じた膜はガスバリアー性を失う。従って、
膜厚の増加のみによるガスバリアー性の向上には限界が
ある。そこで、本発明のガスバリアーフィルムにおける
ガスバリアー層の厚さは、原料ガスの種類、基材フィル
ムの材質、プラズマCVD法を行う条件等により異なる
が、10nm〜600nmとすることが好ましく、15
〜300nmとすることがより好ましい。
【0018】本発明のガスバリアーフィルムは、Si−
H結合をもつアルコキシシラン又はアルコキシシロキサ
ンを原料ガスとしたプラズマCVD法により形成された
ガスバリアー層を有する。これらの原料ガスは分解性が
高いので、比較的低温で成膜させても実質的に有機成分
を含まないシリコン酸化膜を得ることができる。このよ
うに低温で成膜させることにより、緻密でガスバリアー
性に優れたガスバリアー層を形成させることができる。
【0019】次に、第2発明のガスバリアーフィルムの
製造方法は、高分子からなる基材フィルムの表面に、圧
力0.01〜10Torr(好ましくは0.05Tor
r〜5Torr)の下で、Si−H結合をもつアルコキ
シシラン又はアルコキシシロキサンを原料ガスとしたプ
ラズマCVD法により、シリコン酸化膜からなるガスバ
リアー層を形成するものである。この製造方法におい
て、プラズマCVD法における圧力は0.01〜10T
orrとする。圧力が0.01Torr未満であると、
成膜速度が遅くなるため製造効率が低下するとともに装
置及び設備が大型化するという問題がある。一方、圧力
が10Torrを超える場合には、後述する実施例4、
5及び参考例1の酸素透過性の比較から判るように、得
られるシリコン酸化膜のガスバリアー性が低下する。
【0020】尚、「原料ガス」及び「基材フィルム」と
しては、第1発明の説明において上述したもの等を用い
ればよい。また、「ガスバリアー層」の好ましい厚さ及
びその理由についても第1発明の説明において上述した
とおりである。
【0021】上記製造方法におけるプラズマCVD法に
ついて更に詳しく説明する。まず、Si−H結合をもつ
アルコキシシラン又はアルコキシシロキサンを反応系内
に供給する方法としては、これを希釈ガスでバブリング
して気化させ反応系内へ供給するか、あるいは加熱によ
り気化させて前記希釈ガスと共に反応系内へ供給する方
法が一般的である。
【0022】アルコキシシラン又はアルコキシシロキサ
ンの供給に利用され、また反応系内に存在させる希釈ガ
スとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプト
ン、キセノン等の希ガスあるいは窒素、水素等が挙げら
れ、更に好ましくは希ガスあるいは窒素が挙げられる。
【0023】希釈ガスは、原料ガスを含めた反応系内の
全ガス量中、50vol%以上が好ましく、特に好まし
くは80vol%〜99vol%である。50vol%
未満では、プラズマが安定して立たず、得られるシリコ
ン酸化膜の膜質が悪くなる恐れがある。
【0024】本発明の製造方法において、反応系内に酸
化剤を存在させることによって、より緻密な膜を製造す
ることができる。酸化剤としては、空気、酸素、N
2 O、NO、NO2 、CO2 、CO等が挙げられる。
【0025】酸化剤はアルコキシシラン1モルに対し
て、0.5モル〜50モルが好ましく、更に好ましくは
1モル〜20モルである。0.5モル未満では緻密な膜
質が得られなくなる場合がある。一方、50モルを超え
ると気相反応によりシリコン酸化物の微粒子が生成し易
くなり、膜質の低下が起きるだけでなく、原料から膜へ
の効率が悪くなり経済的とはいえない。
【0026】酸化剤は原料ガスと共に系内に導入するの
が一般的であるが、別々に系内に導入してもよい。酸化
剤の濃度は反応系内の全ガス量に対し、30vol%を
超えない程度が望ましく、1vol%〜10vol%が
更に好ましい。酸化剤の濃度が高すぎると、気相でのシ
リコン酸化物の微粒子が生成し易くなり、基材上に付着
する恐れがある。一方、酸化剤の濃度が低すぎると成膜
速度の低下につながり、実用的とはいえなくなる。
【0027】シリコン酸化膜の基材フィルム上への成膜
温度は400℃より低くすることができ、50℃〜30
0℃という低温で足りる。なお、成膜温度が室温未満で
は、膜質の低下につながる恐れがある。具体的な成膜温
度は原料ガスの種類に応じて適宜選択される。例えば、
原料ガスがトリアルコキシシランである場合には、成膜
温度を50℃〜180℃とすることが好ましく、50℃
〜100℃とすることが更に好ましい。また、好ましい
成膜温度は基材フィルムの材質によっても異なり、例え
ば基材フィルムがポリエチレンテレフタレートからなる
場合には、成膜温度を150℃以下とすることが好まし
く、100℃以下とすることが更に好ましい。
【0028】本発明に用いられる反応装置は特に限定さ
れるものではなく、例えば、縦型、横型、パンケーキ
型、ベルトコンベアー型、巻き取り方式等が用いられ
る。
【0029】反応器内には、高電圧を印加する電極と接
地する電極とが配置され、希釈ガスの存在下、圧力0.
01〜10Torrにおいて、プラズマ化学気相堆積法
を行える装置であれば特に限定されるものではない。
【0030】プラズマの発振周波数は、50Hz〜60
Hzの低周波から2.45GHzの高周波まで適宜選択
すればよい。好ましい周波数は10KHz〜100MH
zであり、特に好ましい周波数は1MHz〜30MHz
である。電力は特に限定されないが、10W〜500W
の範囲とすることが好ましく、30W〜250Wとする
ことが更に好ましい。そして、本発明の製造方法におけ
る好ましいプラズマ密度は0.01〜50W/cm2
あり、より好ましくは0.05〜10W/cm2 であ
る。
【0031】上記製造方法においては、得られたガスバ
リアー層に窒素プラズマを照射することができる。これ
により、後述する実施例1及び実施例6の酸素透過性の
比較から判るように、照射前に比べてガスバリアー性を
向上させることができる。窒素プラズマを照射する条件
は特に限定されず、所望のガスバリアー性が得られる照
射条件を適宜選択すればよい。
【0032】本発明のガスバリアーフィルムの製造方法
は、Si−H結合をもつアルコキシシラン又はアルコキ
シシロキサンを原料ガスとしたプラズマCVD法によっ
てガスバリアー層を形成させる。これらの原料ガスは分
解性が高いので、特別な高電力を必要とすることなく通
常のCVD条件で、例えば13.56MHz、50W程
度の条件で十分に分解させることができる。従って、プ
ラズマCVD法を圧力0.01〜10Torrの下で行
っても基材フィルムが加熱損傷しにくい。また、原料ガ
スが分解しやすいため比較的低温で成膜可能なので、こ
れにより緻密でガスバリアー性に優れたガスバリアー層
を得ることができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明する。尚、
基材フィルムとしては、いずれも厚さ12μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、商品
名「ルミラーS」)を用いた。また、赤外線吸収スペク
トルの測定は、Nicolet社製の機種名「5DX
C」により行った。
【0034】(1)ガスバリアーフィルムの作成 以下に示す方法により、下記表1に示す原料ガスを用い
たプラズマCVD法によって、表1に示す厚さのガスバ
リアー層を上記基材フィルム上に形成させてガスバリア
ーフィルムを作成した。
【0035】(実施例1〜4)反応装置内のサセプター
上に、上記基材フィルムを10cm角に裁断したものを
載置し、該基材フィルムを60℃に加熱保持した。原料
ガスとしてのトリエトキシシランを50℃に加熱して流
量100sccmのヘリウムでバブリングし、酸素10
0sccmと共に上記装置内に導入した。このとき、反
応装置内へのトリエトキシシランの供給量は20scc
mに相当する。
【0036】反応装置内の圧力を0.06Torrと
し、発振周波数13.56MHz、電力50Wでグロー
放電を発生させ、プラズマ状となし、所定時間反応させ
て、下記表1に示す厚さの膜をそれぞれ形成させた。
尚、このときのプラズマ密度は0.14W/cm2 であ
る。得られた膜は均一で平坦性に優れていた。実施例4
により得られた膜の赤外線吸収スペクトルを測定したと
ころ、図1に示すように、エトキシ基、エチル基等の有
機成分に基づく吸収は認められなかった。また、実施例
1〜3により得られた膜についても同様に赤外線吸収ス
ペクトルを測定したところ、いずれも有機成分に基づく
吸収は認められなかった。即ち、実施例1〜4により得
られた膜は、実質的に有機成分を含まないシリコン酸化
膜であることが判明した。
【0037】(実施例5)反応器内の圧力を8Torr
とした点以外は実施例1〜4と同様の方法により、上記
基材フィルム上に膜厚180nmのガスバリアー層を形
成させた。このガスバリアー層の赤外線吸収スペクトル
を測定したところ、有機成分に基づく吸収は認められな
かった。
【0038】(実施例6)実施例1〜4と同様の方法に
より実施例1と同じ膜厚のガスバリアー層を形成させた
後、このガスバリアー層に窒素流量100sccm、反
応圧力0.5torr、電力100W、照射時間5分の
条件で窒素プラズマを照射して、実施例5のガスバリア
ーフィルムとした。
【0039】(比較例1)原料ガスとしてトリエトキシ
シランに代えてテトラメチルジシロキサンを用いた点以
外は、実施例1〜4と同様の方法により膜厚180nm
のガスバリアー層を形成させた。比較例4により得られ
た膜の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、図2に
示すように、1260cm-1にはSi−CH3 に基づく
吸収が、また2900cm-1にはC−Hに基づく吸収が
認められた。即ち、テトラメチルジシロキサンを原料ガ
スとして実施例1〜4と同様のCVD条件により得られ
た膜は、この原料ガスの分解が不十分であるため有機成
分を含むことが判明した。
【0040】(参考例1)反応器内の圧力を800To
rrとした点以外は実施例1〜4と同様の方法により、
上記基材フィルム上に膜厚180nmのガスバリアー層
を形成させた。このガスバリアー層の赤外線吸収スペク
トルを測定したところ、有機成分に基づく吸収は認めら
れなかった。
【0041】
【表1】
【0042】(2)ガスバリアーフィルムの評価 得られた各ガスバリアーフィルムにつき、MOCON社
製の酸素透過性測定装置を用いて酸素透過性を測定し
た。その結果を表1に併せて示す。尚、ガスバリアー層
をもたない基材フィルムの酸素透過性は100(cc/
2 )/日であった。
【0043】表1に示すように、実施例1〜6のガスバ
リアーフィルムはいずれも基材フィルムに対して酸素透
過性が1/2以下となっており、ガスバリアー性を有す
ることが判る。また、実施例1及び実施例5の比較か
ら、ガスバリアー層に窒素プラズマを照射することによ
りガスバリアー性が大きく向上することが判る。
【0044】一方、原料ガスとしてテトラメチルジシロ
キサンを用いた比較例1のガスバリアーフィルムは、基
材フィルムと同程度の酸素透過性であった。即ち、ほと
んどガスバリアー性をもたないものであった。これは、
上述のようにガスバリアー層中に有機物が残存している
ためと考えられる。また、反応圧力が10Torr以下
である場合(実施例1及び5)に比べて、反応圧力が8
00Torrと高い場合(参考例1)にはガスバリアー
性が低いことが判る。これは、反応圧力が高すぎるとプ
ラズマが安定して立たないため、均一な膜が得られにく
いためと考えられる。
【0045】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【0046】
【発明の効果】本発明のガスバリアーフィルムは、Si
−H結合をもつアルコキシシラン又はアルコキシシロキ
サンを原料ガスとしたプラズマCVD法により形成され
たガスバリアー層を有するので、実質的に有機成分を含
まず且つ酸素透過性が1(cc/m2 )/日以下という
優れたガスバリアー性を示す。また、本発明のガスバリ
アーフィルムの製造方法によると、分解性の高い上記原
料ガスを用いることにより、一般的なプラズマCVD条
件によって容易にガスバリアー層を形成させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4により得られたガスバリアー層の赤外
線吸収スペクトルを示すチャートである。
【図2】比較例1により得られたガスバリアー層の赤外
線吸収スペクトルを示すチャートである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子からなる基材フィルムと、 該基材フィルムの表面に設けられ、Si−H結合をもつ
    アルコキシシラン及びアルコキシシロキサンから選択さ
    れる原料ガスを用いたプラズマ化学気相堆積法により形
    成され、実質的に有機成分を含まないシリコン酸化膜か
    らなるガスバリアー層と、を備え、 上記基材フィルム及び上記ガスバリアー層からなる二層
    フィルムの酸素透過性が1(cc/m2 )/日以下であ
    ることを特徴とするガスバリアーフィルム。
  2. 【請求項2】 高分子からなる基材フィルムの表面に、
    圧力0.01〜10Torrの下で、Si−H結合をも
    つアルコキシシラン及びアルコキシシロキサンから選択
    される原料ガスを用いたプラズマ化学気相堆積法によ
    り、シリコン酸化膜からなるガスバリアー層を形成する
    ことを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記原料ガスが、モノアルコキシシラ
    ン、ジアルコキシシラン又はトリアルコキシシランであ
    る請求項2記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 上記プラズマ化学気相堆積法により形成
    された上記ガスバリアー層に、窒素プラズマを照射する
    請求項2又は3記載のガスバリアーフィルムの製造方
    法。
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