JPH10207373A

JPH10207373A - ストレッチラベル用フィルム

Info

Publication number: JPH10207373A
Application number: JP1956197A
Authority: JP
Inventors: Kazunori Ochiai; 和典落合; Takatoshi Yosomiya; 隆俊四十宮
Original assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Current assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date: 1997-01-20
Filing date: 1997-01-20
Publication date: 1998-08-07

Abstract

(57)【要約】【課題】円柱状、又は角柱状のものに装着するストレ
ッチラベルにおいて、耐熱性、耐擦傷性、印刷効果に優
れるストレッチラベル用フィルムの供給を課題とする。【解決手段】層比が３〜３０％の熱可塑性樹脂層より
なる外面層１Ｓ、シングルサイト系メタロセン触媒を用
いて重合された密度が０．８８０〜０．９４０ｇ／ｃｍ
³の直鎖状低密度ポリエチレンよりなり層比が９５〜５
０％よりなる中間層１Ｍ、及び層比が２〜２０％熱可塑
性樹脂よりなる内面層１Ｎとより構成された厚さが３０
〜１５０μｍのフィルムで、横方向に３００ｍｍ／分の
速度で変形させ、２５％以下のＳ−Ｓカーブの測定によ
り得られる応力０歪みｄが７％、永久歪みｅが１．５％
を超えないもので、かつラベルの比重を０．９７ｇ／ｃ
ｍ³以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、円柱状又は角柱状
のボトルなどの周囲に装着するラベルに係わり、より詳
しくはフィルムの自己伸縮性を利用してラベリングを行
い、該ラベル表面層が、光沢保持性、耐熱性、表面に傷
が付き難い耐擦傷性、印刷効果に優れたストレッチラベ
ル用フィルムに属する。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】絵柄層を設けた自己伸
縮性に優れたフィルムよりなるストレッチラベルは、プ
ラスチック容器に装着したあと、容器の微妙な変形に応
じて密着・追随できるという特徴がある。そして、従来
からのストレッチラベル用のフィルムは、酢酸ビニルを
３〜１０％含むエチレン・酢酸ビニル共重合体からなる
フィルムが使用されてきた。しかしながら、エチレン・
酢酸ビニル共重合体のフィルムは、引裂き強度などの機
械的強度、熱い溶液を充填された場合ラベルの伸縮性が
失われて、脱落したり、しわを発生するという耐熱性の
欠如による問題点や、ポリオレフィン特有の表面に傷が
付き易い耐擦傷性や耐油性などが劣るという問題点があ
った。

【０００３】本発明は、ストレッチラベルとしてエチレ
ン・酢酸ビニル共重合体のフィルムがもつ欠点である機
械的強度、耐熱性、表面に傷が付き難い耐擦傷性、耐油
性を改善するばかりでなく、表面光沢、硬度、薬品性、
印刷効果に優れたストレッチラベル用フィルムの提供を
課題とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は、層比が３〜３０％の熱可塑性樹脂層より
なる外面層、シングルサイト系メタロセン触媒を用いて
重合された密度が０．８８０〜０．９４０ｇ／ｃｍ³の
直鎖状低密度ポリエチレンよりなり層比が９５〜５０％
よりなる中間層、及び層比が２〜２０％の熱可塑性樹脂
層よりなる内面層より少なくとも構成された（以下、外
面層と内面層を総括して表面層と記載する。）厚さが３
０〜１５０μｍのストレッチラベル用フィルムであっ
て、横方向に３００ｍｍ／分の速度で変形させ、２５％
以下のヒステリシス曲線（以下、本明細書においてはＳ
−Ｓカーブと記載する。）の測定により得られる応力０
歪みが７％、永久歪みが１．５％をそれぞれ超えず、か
つ、比重が０．９７０以下であるストレッチラベル用フ
ィルムである。そして、表面層が、ポリオレフィン、ポ
リエステル、ポリウレタン又はポリアミドよりなる熱可
塑性樹脂で構成されるストレッチラベル用フィルムであ
る。また、上記の表面層の熱可塑性樹脂と中間層との間
に接着性樹脂層を設けたストレッチラベル用フィルムで
ある。

【０００５】

【従来の技術】従来の容器に装着するラベルは、フィル
ムの表面又は透明フィルムの裏面に絵柄層を設けたポリ
スチレン、ポリ塩化ビニルなどの延伸フィルムによる筒
状のラベルを装着、加熱収縮して密着させるシュリンク
ラベル、絵柄層を設けた紙又はフィルムやアルミニウム
箔と紙とを積層したラベルの紙に糊付けして貼着する糊
貼りラベルや、粘着剤で上記のラベルを貼着する方法、
絵柄層を設けた自己伸縮性に優れたプラスチックフィル
ムよりなる筒状のラベルを容器に延伸・挿入して密着す
るストレッチラベルなどがあった。

【０００６】上記の中でもストレッチラベルは、プラス
チック容器に装着したあとにおいても、容器の微妙な変
形に追随して密着を維持できる可撓性に富むという特徴
があるばかりでなく、耐水性に優れ、容器とは単に密着
（本明細書においては均一に付いてはいるが、剥離した
とき、容器、ラベルのいずれにも破壊した付着物がなく
界面で剥離できる状態を『密着』と記載する。）してい
るだけである。したがって、ポリエチレンテレフタレー
トや、ポリ塩化ビニルなどの飲料水容器に用いて、回収
容器を破砕したあと砕片とラベルとを比重差により分離
ができることや、ラベルの装着に熱や、格別の接着剤を
必要としないためリサイクル容器のラベルに多用されて
いる。

【０００７】従来のストレッチラベルは、酢酸ビニルが
３〜１０％含むエチレン・酢酸ビニル共重合体合体のフ
ィルムが主として使用されていた。しかしながら、この
エチレン・酢酸ビニル共重合体のフィルムは、引っ張り
強度、引裂き強度などの機械的強度が劣り、熱い液体を
充填したり、充填後の殺菌に熱処理をされたりしたとき
には、容器の形状変化に追随できなくなり脱落したり、
ラベルの伸縮に伴ってしわを発生するという問題点や、
表面に傷が付き易い耐擦傷性や耐油性が劣るなどという
問題点があった。

【０００８】また、エチレン・酢酸ビニル共重合体の伸
縮性を大きくするために酢酸ビニルの含有量を増加する
と、耐熱性が更に低下するばかりでなく、粘着しやすく
なり、フィルムの巻上げなどのハンドリングに支障する
という問題が発生した。これを解決するために、滑剤の
添加量を増やすと、印刷インキの接着を低下したり、印
刷インキをはじいたりして、印刷効果が低下したりする
ばかりでなく、フィルムからストレッチラベルを形成す
る筒状に加工するときの接着状態にばらつきを発生する
こともあった。

【０００９】一方、粘着性が少ないエチレンのホモポリ
マーである低密度ポリエチレン（以下ＬＤＰＥと記載す
る。）を使用することもあるが、伸縮性、滑り性、印刷
適性を総合的に解決できるものではなかった。また、フ
ィルムを製造する樹脂が、密度０．９０５〜０．９４０
ｇ／ｃｍ³でビカット軟化点が８０℃以上の直鎖状低密
度ポリエチレンを５０重量％以上よりなるストレッチラ
ベル用フィルムの技術も開示されている（特開平７ー２
３４６３８号公報参照）。しかしながら、直鎖状低密度
ポリエチレンよりなるフィルムは、Ｓ−Ｓカーブにおけ
る応力０歪みが１０％に近いため、伸縮性が十分でなく
ラベル挿入後の密着性や耐熱滑り性、耐擦傷性に劣ると
いう問題点があった。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明は、前記の目的を達成する
ために、図２に示すように、層比が３〜３０％の熱可塑
性樹脂層よりなる外面層１Ｓ、シングルサイト系メタロ
セン触媒を用いて重合された密度が０．８８０〜０．９
４０ｇ／ｃｍ³の直鎖状低密度ポリエチレンよりなる層
比が９５〜５０％よりなる中間層１Ｍ、及び層比が２〜
２０％の熱可塑性樹脂層よりなる内面層１Ｎより少なく
とも構成され、その厚さが３０〜１５０μｍのストレッ
チラベル用フィルム１として形成されたものである。そ
して、該フィルムを横方向に３００ｍｍ／分の速度で変
形させて、図１に示すように２５％以下のＳ−Ｓカーブ
の測定により得られる応力０歪みが７％、永久歪みが
１．５％をそれぞれ超えず、かつ、比重が０．９７０ｇ
／ｃｍ³を超えないストレッチラベル用フィルムであ
る。

【００１１】表面層を形成する上記の熱可塑性樹脂層
が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・アクリ
ル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合
体、アイオノマー、ポリブテンや、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエス
テル、ポリウレタン又はナイロン６，６、ナイロン６、
ナイロン６１０、ナイロン１１などのポリアミド、ポリ
メタアクリ酸メチル、ポリメタアクリ酸エチル、ポリア
クリ酸メチル、ポリアクリ酸エチルやこれらの共重合体
であるアクリル樹脂などより構成されるストレッチラベ
ル用フィルムである。また、図３に示すように上記の表
面層１Ｈと中間層１Ｍとの間に接着性樹脂層１Ａを設け
たストレッチラベル用フィルムである。

【００１２】表面層には、表面物性を改善するための添
加剤を比較的多い量で加えることができ、それによって
ストレッチラベルとしての特性を損なわれることはな
い。例えば、中間層に密度が０．８８０ｇ／ｃｍ³のシ
ングルサイト系メタロセン触媒を用いて重合された直鎖
状低密度ポリエチレンを用いても、内面層にシリカ微粉
末のようなアンチブロック剤、外面層に脂肪酸アミドの
ような滑剤を加えることにより、Ｓ−Ｓカーブで示す特
性値が優れ、耐ブロッキング性、耐熱滑性を改善でき
る。また、外面層に密度が０．９４０ｇ／ｃｍ³のエチ
レン・αオレフィン共重合体を用いることにより耐熱滑
り性や、表面硬度の低下に悪い影響を与えることを防止
できる。

【００１３】本発明のストレッチラベル用フィルムの、
中間層又は表面層に、滑剤、アンチブロッキング剤、酸
化防止剤及び／又は帯電防止剤を含ませることもでき
る。また、表面層の絵柄層を設ける面には、印刷インキ
の版からの転移や、インキ接着を阻害する滑剤や、アン
チブロッキング剤などの添加を避けて、その機能を印刷
インキにもたせることもできる。

【００１４】本発明の応力０歪みｄ及び永久歪みｅと
は、図１の模式図に示すように、フィルムを製膜方向Ｍ
と平行の縦方向に巾Ｈを１５ｍｍ、製膜方向と直交する
横方向の長さＬが１００ｍｍ以上の短冊状の試験片Ｔに
裁断し、１００ｍｍの長さでチャックし、３００ｍｍ／
分の速度で横方向ＸーＹに２５％延伸・変形させ、同速
度で反転して応力Ｓを開放して図１に示すようにＳ−Ｓ
カーブを測定して、応力０になった直後の歪みを応力０
歪みｄとする。更に、フィルムをチャックからはずして
その長さが安定したときに測定した歪みを永久歪みｅと
定義する。

【００１５】ストレッチラベル用フィルムに使用する、
シングルサイト系メタロセン触媒を用いて重合された密
度０．８９５〜０．９４０ｇ／ｃｍ³の線状低密度ポリ
エチレンを製造するメタロセン触媒は、活性点が均一
（シングルサイト）であるものより作成される。このシ
ングルサイト系メタロセン触媒は、メタロセン系遷移金
属化合物と有機アルミニウム化合物又はホウ素化合物で
あり、無機物に担持されて使用されることもある。

【００１６】メタロセン系遷移金属化合物は、元素の周
期律表のIVＡ族から選ばれる遷移金属、すなわちチタニ
ウム、ジルコニウム、ハフニウムとシクロペンタジエニ
ル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置
換インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テト
ラヒドロインデニル基、フルオニル基、又は置換フルオ
ニル基が１〜２個結合しているか、あるいは、これらの
うち二つの基が共有結合で架橋したものが結合してお
り、他に水素原子、酸素原子、窒素原子、珪素原子、ハ
ロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、
アセチルアセトナール基、カルボニル基、ルイス塩基を
含む置換基、不飽和炭化水素などの配位子をもつもので
ある。

【００１７】有機アルミニウム化合物は、アルキルアル
ミニウム、又は鎖状あるいは環状アルモキサンなどがあ
る。アルキルアルミニウムとしては、トリエチルアルミ
ニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミ
ニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチ
ルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロ
リド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチル
アルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイ
ドライド、エチルアルミニウムセスキクロリドなどがあ
る。

【００１８】鎖状あるいは環状アルミノキサンは、アル
キルアルミニウムと水とを接触させて生成される。例え
ば、重合時にアルキルアルミニウムを加えた後に水を添
加するか、あるいは錯塩の結晶水又は有機・無機化合物
の吸着水とアルキルアルミニウムとを反応して得ること
ができる。

【００１９】前記シングルサイト系メタロセン触媒を担
持させる無機物には、シリカゲル、ゼオライト、珪藻土
などがある。重合方法は、例えば塊状重合、溶液重合、
懸濁重合、気相重合などがある。また、これらの重合
は、バッチ式、連続式のいずれでもよい。重合の温度、
圧力及び時間の条件は、−１００〜２５℃、１〜５０kg
／ｃｍ²、０．０８〜１０時間である。

【００２０】本発明のシングルサイト系メタロセン触媒
を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンは、メル
トフローレートが１．０〜９．０５ｇ／１０ｍｉｎ、密
度が０．８８０〜０．９４０ｇ／ｃｍ³が好ましく、密
度が上記の範囲より小さいとカールが発生しやすく、密
度が上記の範囲より大きいと伸縮性が不足し、ラベルを
容器に挿入・装着するときしわを発生しやすくなる。

【００２１】そして、フィルムの厚さは、３０μｍ以下
の場合は、印刷、筒状に接合・断裁するラベル加工を行
うときにしわが入りやすく、１５０μｍ以上の場合は、
資源の浪費となるばかりでなく、剛性が強くなり、容器
に挿入・装着する作業に支障をもたらすことがある。

【００２２】本発明のストレッチラベル用フィルムの中
間層には、上記のシングルサイト系メタロセン触媒を用
いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンに４５重量％
を超えない範囲で、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エ
チレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エ
ステル共重合体、アイオノマー、ポリブテン、ポリイソ
ブチレン、ＬＤＰＥや本発明の製膜工程で発生したスク
ラップを加えることができる。中間層に加えるポリマー
は、単体では製膜できる必要がなく、他のポリオレフィ
ン系樹脂を混合したものの密度が、０．９０５〜０．９
７０ｇ／ｃｍ³ならばよい。そして、Ｓ−Ｓカーブの測
定により得られる応力０の歪みが７％以下、永久歪みが
１．５％以下の数値のストレッチラベルとして伸縮性を
満足するものであるならばその種類を問うものではな
い。

【００２３】これらの樹脂を混合することにより、フィ
ルム密度が０．９７０ｇ／ｃｍ³を超えると、容器にラ
ベルとして装着・使用したあとで、容器からラベルを剥
離しても、密度差による樹脂の分離が困難となる。した
がって、フィルムの密度を上記の容器の密度より小さく
設定することが好ましい。

【００２４】ストレッチラベル用フィルムの表面層は、
必要に応じて滑性をもたせるために、流動パラフィン、
合成パラフィン、マイクロクリスタリンワックスなどの
脂肪族炭化水素、直鎖アルコールのステアリン酸エステ
ル、高級脂肪酸アマイドなどの滑剤・アンチブロッキン
グ剤や非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、
両イオン性界面活性剤などの帯電防止剤及び／又はポリ
オレフィン系樹脂に使用できる金属化合物、エポキシ化
合物、窒素化合物、リン化合物、硫黄化合物、フェノー
ル化合物などからなる安定剤を適宜に選択して添加する
ことができる。これらの添加物は、中間層に加えてもフ
ィルムの表面に析出してきてその効果を奏することもで
きる。しかしながら、これらの添加物は中間層に存在す
る必要はなく、表面層に析出して効果を奏するものであ
る。したがって表面層のみに所望のものを加えることが
好ましい。また、無機又は有機顔料による着色を行うこ
ともできる。

【００２５】本発明のストレッチラベル用フィルムは、
Ｔダイス、サーキュラダイスによる通常の製膜法で作成
することができる。好ましくは、表面の光沢を冷却ロー
ルの表面形状で自由に選択できるＴダイス法である。そ
して、多層化は、図４（Ａ）に示すマルチマニフォール
ドタイプ型ダイスＭＭ、図４（Ｂ）に示すフィードポー
トブロック型ダイスＦＢのいずれでもよく、その合流は
図に示すダイの内部でも、図示はしないがダイス外部で
行われてもかまわない。

【００２６】表面層と中間層との接着を強固にするため
に、設ける接着性樹脂層は、表面層の種類によって選択
されるものである。例えば、エチレン・プロピレンラバ
ー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリ
ル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合
体、アイオノマー、エチレン・マレイン酸共重合体、飽
和ポリエステルなどをあげることができる。そして、１
〜３μｍのできるかぎり薄い厚さで接着性樹脂層として
表面層と中間層との間に介在させることが好ましい。

【００２７】これらのフィルムは、絵柄層を設ける面に
コロナ放電処理などの表面に易接着処理を施したのち、
所望に応じてグラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスク
リーン印刷の巻取り又は枚葉印刷により絵柄層を設けら
れる。印刷は、通常絵柄層を透明なフィルムを通して見
られるとともに、ラベルの絵柄層がフィルムで保護され
る、いわゆる裏印刷で行われるのが通常である。易接着
処理を施さない未処理フィルムへの印刷や、表面印刷
（例えば、数量、価格などの追加印刷など）を行うこと
もできる。

【００２８】絵柄層を設ける印刷インキは、通常の印刷
面である表面層に適するものでよく（裏印刷の場合は光
沢を必要としない。）、無機又は有機顔料を着色料と、
伸縮性に富むバインダーとから構成される。バインダー
は、通常のグラビアインキ用の溶剤に溶解できるポリア
ミド、ポリエステル、ポリウレタン、環化ゴムなどから
適宜選択される。そして、これらのインキには、滑性を
与えるとともに、ブロッキングを防止するための、滑剤
や、アンチブロッキング剤を添加することが好ましい。

【００２９】また、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド又は
シリコーンなどの滑剤が多いと、印刷インキの接着を阻
害したり、インキをはじいたりして印刷効果を低下する
から、その添加量は０．５％以下にすることが好まし
い。

【００３０】本発明のストレッチラベル用フィルムは、
通常、図７（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）に示すように製膜
方向Ｍを天地にみる方向でフィルム１のコロナ処理面に
裏印刷で絵柄層２を設け、絵柄層２を内面にした状態で
筒状とし非印刷面の端部を、必要によっては（例えば、
ポリオレフィン系樹脂の場合）コロナ放電処理をして、
接着剤３を塗布してフィルムの表裏で接着して接合部４
を設けて筒状のストレッチラベル５を形成する。また、
ストレッチラベルの円周は、装着する容器６の外周の９
８〜９０％になるようにフィルムの横方向の長さ（製膜
方向に直行する方向）に設計する。また、ストレッチラ
ベルの天地すなわちフィルムの流れ方向はラベルの所望
する長さに断裁する。

【００３１】筒状に形成されたラベル５は、図示はしな
いがラベル装着機で、ストレッチラベルを１５〜２５％
横方向に引き伸ばし、広げた状態で容器に挿入した後、
引き伸ばしを除くと収縮して容器の外面にラベルを密着
するものである。

【００３２】ストレッチラベル用フィルムの応力０歪み
が７％を超えたり、永久歪みが１．５％を超える場合
は、フィルムの収縮回復時間が長くなるため、ラベル装
着後密着の位置がずれたり、部分的に密着強度が弱いた
めに非密着部（気泡、しわ）を生じたりする。したがっ
て、ラベルの装着位置が安定するまで時間を要し、装着
ラインの速度を上げると位置ずれなどがおこるため生産
ラインを律速することになる。

【００３３】

【実施例】（実施例１）図２に示す３層構成で、外面層１Ｓとし
て密度が０．９４０ｇ／ｃｍ³のエチレン・αオレフィ
ン共重合体を５μｍ、中間層１Ｍとして、密度が０．８
９５ｇ／ｃｍ³のシングルサイト系メタロセン触媒を用
いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンを８５μｍ、
内面層１Ｎとしてエルカ酸アミド０．０５％を含む密度
が０．９１５ｇ／ｃｍ³のエチレン・αオレフィン共重
合体を１０μｍを用いて、３種３層のマルチマニフォー
ルドタイプのＴダイスを用いて、図５に示すようにダイ
ス１１から、上記の樹脂構成物を２３０℃で押出し、エ
アナイフ１２で温度６０℃の鏡面冷却ロール１３Ａに密
着させ、周速度を冷却ロール比１０７％になるように早
く設定した冷却ロール１３Ｂ及び１３Ｃにニップロール
１４で製膜方向に７％延伸しながら冷却し、冷却ロール
１３Ａと接触しない面にコロナ放電処理を施して、厚さ
１００μｍの実施例１のストレッチラベル用フィルム１
を作成した。

【００３４】（実施例２）図３に示す４層構成で、外
面層１Ｓとして、ナイロン６を５μｍ、接着性樹脂層１
Ａとしてエチレン・アクリル酸共重合体を５μｍ、中間
層１Ｍとして、密度が０．８９５ｇ／ｃｍ³のシングル
サイト系メタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密
度ポリエチレンを８０μｍ、内面層１Ｎとしてエルカ酸
アミド０．０５％を含む密度が０．９１５ｇ／ｃｍ³の
エチレン・αオレフィン共重合体を１０μｍを用いて、
４種４層のフィードブロックタイプのＴダイスで実施例
１と同様に製膜して実施例２のストレッチラベル用フィ
ルム１を作成した。

【００３５】（実施例３）図２に示す３層構成で、外
面層１Ｓとして、密度が０．９４０ｇ／ｃｍ³のエチレ
ン・αオレフィン共重合体を５μｍ、中間層１Ｍとし
て、密度が０．８９５ｇ／ｃｍ³のシングルサイト系メ
タロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチ
レンを４０重量％と酢酸ビニルが８モル％含むエチレン
・酢酸ビニル共重合体を６０重量％からなる混合物を８
５μｍ、内面層１Ｎとしてエルカ酸アミド０．０５％を
含む密度が０．９１５ｇ／ｃｍ³のエチレン・αオレフ
ィン共重合体を１０μｍを３種３層のマルチマニフォー
ルドタイプのＴダイスで実施例１と同様に製膜して実施
例３のストレッチラベル用フィルム１を作成した。

【００３６】（実施例４）図２の変形ではあるが次の
２種３層構成で、外面層１Ｓとして、エルカ酸アミド
０．０５％を含む密度が０．９２０ｇ／ｃｍ³のシング
ルサイト系メタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低
密度ポリエチレンを２０μｍ、中間層１Ｍとして、密度
が０．８９５ｇ／ｃｍ³のシングルサイト系メタロセン
触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンを６
０μｍ、内面層１Ｎとしてエルカ酸アミド０．０５％を
含む密度が０．９２０ｇ／ｃｍ³のシングルサイト系メ
タロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチ
レンを２０μｍとなるように、３種３層のマルチマニフ
ォールドタイプのＴダイスで実施例１と同様に製膜して
実施例４のストレッチラベル用フィルム１を作成した。

【００３７】（実施例５）実施例４の変形として次の
４種５層構成で図示はしないが、外面層１Ｓとして、ラ
ンダムポリプロピレンを１０μｍ、（ポリプロピレン：
線状ポリエチレン＝６０：４０のブレンド物）からなる
接着性樹脂層を１０μｍ、中間層１Ｍとして、密度が
０．８９５ｇ／ｃｍ³のシングルサイト系メタロセン触
媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンを６０
μｍ、前記の接着性樹脂層を１０μｍ、及び内面層１Ｎ
としてランダムポリプロピレン１０μｍの実施例５のス
トレッチラベル用フィルム１を作成した。

【００３８】

【比較例】

（比較例１）滑剤としてエルカ酸アミド０．０５％及
び球状シリカを０．５％を含む密度が０．８９５ｇ／ｃ
ｍ³のシングルサイト系メタロセン触媒を用いて重合さ
れた直鎖状低密度ポリエチレンを、１００μｍの厚さで
Ｔダイスを用いて実施例１と同様に製膜し、比較例１の
ストレッチラベル用フィルム１を作成した。

【００３９】（比較例２）滑剤としてエルカ酸アミド
０．０５％を含む密度が０．９２７ｇ／ｃｍ³の酢酸ビ
ニル含有量が１０％のエチレン・酢酸ビニル共重合体
を、１００μｍの厚さでＴダイスを用いて実施例１と同
様に製膜し、比較例２のストレッチラベル用フィルム１
を作成した。

【００４０】（比較例３）滑剤としてエルカ酸アミド
０．０５％を含むランダムポリプロピレンを、１００μ
ｍの厚さでＴダイスを用いて実施例１と同様に製膜し、
比較例３のストレッチラベル用フィルム１を作成した。

【００４１】次に、実施例及び比較例のストレッチラベ
ル用フィルム１の試料について、次の方法で収縮適性、
耐熱滑り性、表面光沢及び透明性を総合的に評価した。
その結果を表１に示す。収縮適性：試料を製膜方向と平行の縦方向の長さを
１５ｍｍ、製膜方向にクロスする横方向の長さを１００
ｍｍに切断した短冊状の試料を、横方向に３００ｍｍ／
ｍｉｎの速度で２５％延伸し、延伸を解除してＳ−Ｓカ
ーブを測定して応力０歪みｄ及び１０時間放置後の永久
歪みｅとして測定した。耐熱滑り性：図６に示す動摩擦測定器２０にプレー
トヒーター２１を取り付けて、（ＪＩＳＫ７１２５-198
7 ）に基づいて、試料フィルム１の非コロナ処理面の横
方向を測定できるように、直方体状の金属製滑り片２２
で４０、５０又は６０℃に加熱したプレート２１とを圧
着し、３分後に金属製滑り片２２をロードセル２５を用
いて動摩擦係数を測定した。表面光沢：（ＪＩＳＫ７１０５-1981 ）に基づい
て、６０°×６０°の光沢度を測定した。透明性：（ＪＩＳＫ７１０５-1981 ）に基づい
て、ヘーズを測定した。

【００４２】

【表１】 * : 測定不能

【００４３】

【発明の効果】伸縮適性に優れる低密度のシングルサイ
ト系メタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポ
リエチレン用いて、その表面物性の欠点である耐熱滑
性、ブロッキング性を表面層を設けた多層により改善
し、伸縮性に富むストレッチラベル用フィルムを形成す
ることができる。また、シングルサイト触媒を用いて重
合された密度が０．８９５ｇ／ｃｍ³の比較的低密度に
構成した直鎖状低密度ポリエチレンと、他の伸縮性には
優れるが表面物性が劣るポリマーを配合することによ
り、それらがもつ優れた伸縮性を活用し、表面物性を改
善したストレッチラベル用フィルムを提供できる効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）ストレッチラベル用フィルムのＳ−Ｓカ
ーブを示す模式図である。（Ｂ）Ｓ−Ｓカーブを測定する試料の位置を示す図であ
る。

【図２】本発明の多層のストレッチラベル用フィルムの
断面概略図である。

【図３】本発明の多層のストレッチラベル用フィルムの
他の断面概略図である。

【図４】多層フィルムを形成するダイスの例を示す断面
概略図である。（Ａ）マルチマニフォールド型ダイスの例を示す断面概
略図である。（Ｂ）フィードブロック型ダイスの例を示す断面概略図
である。

【図５】製膜の流れを概念的に説明するための製膜機の
概念図である。

【図６】耐熱滑り性を評価する方法を説明する測定器の
概念図である。

【図７】本発明のフィルムを用いてストレッチラベルを
作成する工程の概略を示す概念図である。（Ａ）ストレッチラベル用フィルムである（Ｂ）フィルムに絵柄層をもうけた概念を示す斜視図で
ある。（Ｃ）フィルムを筒状のラベルに接合した概念を示す斜
視図である。

【符号の説明】

１ストレッチラベル用フィルム１Ａ接着性樹脂層１Ｈ表面層１Ｍ中間層１Ｎ内面層１Ｓ外面層２絵柄層３接着剤４接合部５ストレッチラベル 11 Ｔダイス 12 エアチャンバー 13Ａ、13Ｂ、13Ｃ冷却ロール 14 ニップロール 20 動摩擦測定器 21 プレートヒーター 22 滑り片 25 ロードセルＤ歪みｄ応力０歪みｅ永久歪みＨ試験片の巾Ｌ試験片の長さＭ製膜方向ＭＭマルチマニフォールド型ダイスＦＢフィードブロック型ダイスＳ応力Ｔ短冊状の試験片ＸＹ試験片の延伸方向

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】層比が３〜３０％の熱可塑性樹脂層より
なる外面層、シングルサイト系メタロセン触媒を用いて
重合された密度が０．８８０〜０．９４０ｇ／ｃｍ³の
直鎖状低密度ポリエチレンよりなり層比が９５〜５０％
よりなる中間層、及び層比が２〜２０％の熱可塑性樹脂
層よりなる内面層とより少なくとも構成された、厚さが
３０〜１５０μｍのストレッチラベル用フィルムであっ
て、横方向に３００ｍｍ／分の速度で変形させ、２５％
以下のヒステリシス曲線の測定により得られる応力０歪
みが７％、永久歪みが１．５％をそれぞれ超えず、か
つ、比重が、０．９０〜０．９７０ｇ／ｃｍ³であるこ
とを特徴とするストレッチラベル用フィルム。
【請求項２】上記の外面層及び／又は及び内面層が、
ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン又はポリ
アミドであることを特徴とする請求項１記載のストレッ
チラベル用フィルム。
【請求項３】上記熱可塑性樹脂と中間層との間に接着
性樹脂層を設けたことを特徴とする請求項１又は２記載
のストレッチラベル用フィルム。