JPH10203815A - 金属珪素の精製方法 - Google Patents

金属珪素の精製方法

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JPH10203815A
JPH10203815A JP3993397A JP3993397A JPH10203815A JP H10203815 A JPH10203815 A JP H10203815A JP 3993397 A JP3993397 A JP 3993397A JP 3993397 A JP3993397 A JP 3993397A JP H10203815 A JPH10203815 A JP H10203815A
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silicon powder
metal silicon
concentration
mixed solution
acid
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JP3993397A
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English (en)
Inventor
Eiichiro Mieno
栄一郎 三重野
Kazuhide Nishida
一秀 西田
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Toho Zinc Co Ltd
Toho Aen KK
Original Assignee
Toho Zinc Co Ltd
Toho Aen KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 不純物を含む金属珪素を太陽電池用シリコン
の主材料として使用できる純度まで精製するための金属
珪素の製造方法。 【解決手段】 原料金属珪素粉体を少なくともフッ化水
素酸と硫酸を含む混合溶液に接触させる第一段階処理工
程と、それを経た金属珪素粉体を少なくとも塩酸と塩化
第二鉄を含む混合溶液に接触させる第二段階処理工程
と、該第二段階処理工程を経た金属珪素粉体を水洗した
後、乾燥させる水洗乾燥工程を備えた金属珪素の精製方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不純物を含む金属
珪素を太陽電池用シリコンの主材料として使用できる純
度まで精製するための金属珪素の精製方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】太陽電池用シリコンの主材料として使用
される金属珪素は高純度なものでなければならない。こ
のため、太陽電池用シリコンの主材料としては、(1)
半導体用の金属珪素、(2)化学用途向け金属珪素、
(3)半導体工程からの廃金属珪素等の高純度金属珪素
が使用されている。
【0003】しかし、半導体用の金属珪素は高価であ
り、化学用途向け金属珪素は太陽電池用としては純度が
低く、また半導体工程からの廃金属珪素は量に限度があ
り、安定供給に不安がある。このため、太陽電池用シリ
コンの主材料として使用されている金属珪素は原料不足
の問題を抱えている。
【0004】ところで、シランの合成工程からは大量の
金属珪素粉体が排出されているが、不純物のレベルが高
く、きわめて低付加価値の用途にしか向けられていな
い。従って、この金属珪素粉体を太陽電池用シリコンの
主材料に使用できれば好都合である。
【0005】しかし、シランの合成工程では金属珪素粉
体に銅の粉末等を触媒として添加してシランを合成させ
ているので、排出される金属珪素粉体には通常、銅が3
〜15重量%程度、鉄が0.8〜3.0重量%、アルミ
ニウムが0.2から0.5重量%、カルシウムが0.1
から0.2重量%、ホウ素が1〜10重量ppm程度含
有されており、純度が75〜90重量%と低い。
【0006】ただ、このシランの合成工程から排出され
る金属珪素粉体は、加温した硫酸、塩酸、硝酸又はこれ
らの混酸溶液中で酸素を供給しながら浸漬・撹拌するこ
とによって、含有されている銅を酸化溶解させ、銅濃度
0.2重量%以下まで脱銅することが可能であり、この
脱銅処理を施した後で珪素の純度を90〜96重量%程
度とすることができる。しかし、この程度の純度では太
陽電池用シリコンの主材料には使用できない。
【0007】この程度の純度の金属珪素の精製方法とし
ては、(1)金属珪素の溶湯中に酸素ガスや塩素ガスを
吹き込んでCa,Alを除去する方法、(2)金属珪素
の溶湯を溶融スラグで処理して、金属珪素中に含まれて
いるFe,Al,Bをスラグ中に除去させる方法、
(3)金属珪素の塊を粉砕し、その粉体を塩化第二鉄と
塩酸の混合溶液で温度105℃で処理して、含まれてい
るFe,Ca,Al等を溶解除去させる方法などが報告
されている。
【0008】
【発明が解決しょうとする課題】しかし、(1),
(2)の方法は融点1412℃の金属珪素を溶融させる
ために大規模な設備と多量のエネルギーとが必要になる
という問題があり、(3)の方法は混合溶液を水の沸点
以上の温度で扱わなければならないので、多量のエネル
ギーが必要になるとともに、装置及び作業環境上におい
ても問題がある。しかも、これらの方法に於いては、銅
の除去ができない。
【0009】また、特開平5−33070号公報には金
属珪素からFe,Al,Caを除去する方法が開示され
ているが、Fe,Al,Caの除去のレベルは低い。ま
た、特開平6−107406においても金属珪素からF
e,Ca,Al等を除去する方法が述べられているが、
これは化学工業用グレードの金属珪素からの精製方法で
あり、含有されているFe,Ca,Al等の不純物は1
000ppm近くと比較的純度の良好な金属珪素からの
精製方法である。従って、不純物の含有率の大きい金属
珪素の精製方法には適用し難い。
【0010】すなわち、シランの合成工程より排出され
る使用済み銅触媒を含有する金属珪素粉体を脱銅処理し
て得られた、不純物を未だ多量に含有する金属珪素から
のFe,Al,Ca,Cu,Bの除去方法、特に太陽電
池用シリコン用の主材料として使用できる品位までの精
製方法は皆無であった。
【0011】本発明の目的は、不純物が多く含まれてい
る金属珪素粉体、例えばシランの合成工程より排出され
る使用済み銅触媒を含有する金属珪素粉体を脱銅処理し
て得られた金属珪素粉体から不純物のFe,Al,C
a,Cu,Bを太陽電池用シリコンの主材料として使用
できる品位まで低コストで除去できる金属珪素の精製方
法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る金属珪素の
精製方法は、原料金属珪素粉体を少なくともフッ化水素
酸と硫酸を含む混合溶液に接触させる第一段階処理工程
と、該第一段階処理工程を経た金属珪素粉体を少なくと
も塩酸と塩化第二鉄を含む混合溶液に接触させる第二段
階処理工程と、該第二段階処理工程を経た金属珪素粉体
を水洗した後、乾燥させる水洗乾燥工程とを備えたもの
である。
【0013】ここで、前記原料金属珪素粉体としては、
例えば前記原料金属珪素粉体が、シランの合成工程より
排出される使用済み銅触媒を含有する金属珪素粉体を硫
酸、塩酸、硝酸又はこれらから選択された1種又は2種
以上の酸の溶液を用い、空気又はO2 ガスを吹き込みな
がら脱銅処理したものを使用することができるが、不純
物濃度がこの金属珪素粉体と同程度以下のものであれ
ば、これ以外の金属珪素粉体を使用してもよい。
【0014】第一段階処理工程で使用されるフッ化水素
酸は、金属珪素表面に形成された酸化被膜を除去し、硫
酸と不純物との反応を容易ならしめるとともに、ホウ素
を溶解させる作用がある。その反応は次式(1),
(2)によると考えられる。 SiO2 +6HF→H2 SiF6 +2H2 O (1) 2B°+6HF+3/2O2 →2BF3 +3H2 O (2)
【0015】第一段階処理工程で使用される硫酸はF
e,Al,Caを溶解させる作用がある。その反応は次
式(3)〜(5)によると考えられる。 Fe°+H2 SO4 →FeSO4 +H2 (3) 2Al°+3H2 SO4 →Al2 (SO43 +H2 (4) Ca°+H2 SO4 →CaSO4 +H2 (5)
【0016】第一段階処理工程で使用されるフッ化水素
酸の濃度は50〜100g/リットルが好ましい。フッ
化水素酸の濃度が50g/リットル未満では金属珪素粉
体の表面に形成された酸化被膜を溶解して除去させる効
果が少なくなり、ホウ素を溶解して除去させる効果も少
なくなり、100g/リットルを越えると排水へのフッ
化水素酸の損失が多大となると共に、装置の耐食性や作
業環境が悪化するからである。
【0017】第一段階処理工程で使用される硫酸の濃度
は100〜200g/リットルの範囲が好ましい。硫酸
の濃度が100g/リットル未満では金属珪素粉体中に
含まれるFe,Al,Caを溶解して除去させる効果が
少なくなり、200g/リットルを越えると排水への硫
酸の損失が多大となるからである。
【0018】前記第一段階処理工程における前記金属珪
素粉体と混合溶液との接触時間は1〜3時間が好まし
い。金属珪素粉体と混合溶液との接触時間が1時間未満
では金属珪素粉体中の不純物と混合溶液との反応が充分
に進まず、3時間を越えると生産性の面から好ましくな
いからである。
【0019】前記第一段階処理工程における混合溶液に
対する前記金属珪素粉体の割合は100〜500g/リ
ットルが好ましい。金属珪素粉体の割合が100g/リ
ットル未満では生産性が悪化し、500g/リットルを
越えると撹拌状態が悪化し、Fe,Al,Ca,Bの除
去に支障をきたすからである。
【0020】前記第一段階処理工程における混合溶液の
温度は70℃〜90℃が好ましい。70℃未満では反応
速度が極めて遅く、Fe,Al,Ca,Bの除去が遅く
なり、90℃を越えると水分の揮散が激しくなり、反応
状態を悪化させるばかりでなく、エネルギーの損失も多
大となり、作業環境をも悪化させるからである。
【0021】第二段階処理工程で使用される塩化第二鉄
は銅を酸化する。即ち、金属珪素粉体中に含まれている
銅は次式の反応により酸化され、液中に溶出すると考え
られる。 Cu°+2FeCl3 →CuCl2 +2FeCl2 (6)
【0022】塩酸は(6)の反応に於いて触媒的もしく
は反応促進剤的作用を為すと考えられる。
【0023】前記第二段階処理工程で使用される塩酸の
濃度は50〜100g/リットルの範囲が好ましい。5
0g/リットル未満では金属珪素粉体中に含まれている
銅を酸化する場合の触媒的もしくは反応促進剤的作用が
認められず、100g/リットルを越えると排水への塩
酸の損失が多くなり過ぎるからである。
【0024】前記第二段階処理工程で使用される塩化第
二鉄の濃度はFe分として4〜8g/リットルの範囲が
好ましい。4g/リットル未満では反応速度が極めて遅
く、生産性が悪化し、8g/リットルを越えると排水中
への塩化第二鉄の損失が多くなり過ぎるからである。
【0025】第二段階処理工程における混合溶液に対す
る前記金属珪素粉体の割合は100〜500g/リット
ルが好ましい。金属珪素粉体の割合が100g/リット
ル未満では生産性が悪く、500g/リットルを越える
と撹拌状態が悪化し、Cuの除去に支障をきたすからで
ある。
【0026】第二段階処理工程における混合溶液の温度
は70℃〜90℃が好ましい。温度は70℃未満では反
応速度が極めて遅く、Cuの除去が遅くなり、90℃を
越えると水分の揮散が激しくなり、反応状態を悪化させ
るばかりでなく、エネルギーの損失も多大となり、作業
環境をも悪化させるからである。
【0027】前記第二段階処理工程における前記金属珪
素粉体と混合溶液との接触時間は1〜5時間が好まし
い。金属珪素粉体と混合溶液との接触時間が1時間未満
では反応が充分に進まず、5時間を越えると生産性の面
から好ましくないからである。
【0028】第二段階処理後の金属珪素粉体中には液中
に溶出した銅等の不純物が水分と共に含まれる。水洗で
は添加した薬品やこれら可溶性不純物が除去される。濾
液は浄水処理し、水源として繰り返し使用される。
【0029】水洗した金属珪素粉体中には水分が多量に
含まれている。このまま乾燥させると水分により金属珪
素粉体が酸化される。このため、前記水洗乾燥工程とし
ては、前記金属珪素粉体を水洗した後、該金属珪素粉体
と水とを分離し、該分離された該金属珪素粉体に低沸点
の親水性の有機溶剤を接触させて該金属珪素粉体に付着
している水を該有機溶剤と置換させ、該金属珪素粉体と
該有機溶剤とを分離した後、該分離された該金属珪素粉
体に付着している該有機溶剤を揮発除去させるのが好ま
しい。
【0030】低沸点の親水性の有機溶剤としては、例え
ばアセトン、メチルアルコール、エチルアルコール等を
使用することができるが、低沸点で親水性を有していれ
ばこれ以外の有機溶剤を使用してもよい。
【0031】有機溶剤で水分を置換除去された前記金属
珪素粉体に付着している該有機溶剤を揮発除去させる場
合の乾燥温度は30℃〜80℃が好ましい。有機溶剤の
乾燥は30℃未満では時間がかかり過ぎ、80℃を越え
ると安全性の問題となるばかりでなく、有機溶剤中に僅
かに残留する水分によって金属珪素粉体が酸化されると
いう問題も生ずるからである。
【0032】前記第一段階処理工程で使用されたフッ化
水素酸と硫酸を含む混合溶液は大気圧下又は減圧下にお
いて蒸留し、残留液を、析出物を除去した後、前記第一
段階処理工程に戻して硫酸源として使用してもよい。前
記蒸留の温度は50〜200℃が好ましい。前記析出物
の除去は、残留液を濾過するか、残留液を静置して上澄
みを使用することによって行なうことができる。静置す
る場合の静置時間としては12〜72時間が好ましい。
前記蒸留によって得られた留出液には塩化ナトリウム、
硫酸ナトリウム等のナトリウム化合物を添加して珪フッ
化ソーダを生成させてもよい。
【0033】前記第二段階処理工程で使用された塩酸と
塩化第二鉄を含む混合溶液には酸化剤を加えて前記第二
段階処理工程に戻してもよい。酸化剤を加えることによ
って塩化第一鉄が塩化第二鉄に戻る。前記酸化剤として
は過酸化水素、空気、酸素ガス又はオゾンガスを使用す
ることができる。
【0034】
【実施例】
実施例1 金属珪素粉体にフッ化水素酸と硫酸と水を加え、これを
温度80℃で1時間撹拌混合した。ここで、金属珪素粉
体は2kgを使用し、フッ化水素酸は濃度が(A)25
g/リットル、(B)50g/リットル、(C)70g
/リットル、(D)100g/リットルとなるように加
え、硫酸は濃度が200g/リットルとなるように加
え、水はスラリー固形分濃度が300g/リットルとな
るように加えた。
【0035】次に、上述の混合物を濾過し、得られた金
属珪素粉体に塩酸と塩化第二鉄と水を加え、これを温度
80℃で3時間撹拌した。ここで、塩酸は濃度が75g
/リットルとなるように加え、塩化第二鉄は鉄濃度が6
g/リットルとなるように加え、水はスラリー固形分濃
度が300g/リットルとなるように加えた。
【0036】次に、上述の混合物を濾過・水洗し、得ら
れた金属珪素粉体にメチルアルコール(無水)を加えて
金属珪素粉体に付着している水分とメチルアルコールと
を置換させ、このメチルアルコールを濾過によって除去
し、得られた金属珪素粉体を温度80℃で乾燥して乾燥
状態の金属珪素粉体を得た。金属珪素粉体の分析結果を
表1に示す。
【0037】表1に示す結果から、フッ化水素酸の濃度
が50g/リットル未満では金属珪素粉体の表面に形成
された酸化被膜を溶解除去させる効果が少なくなり、ホ
ウ素を溶解して除去させる効果も少なくなることがわか
る。なお、フッ化水素酸の濃度が100g/リットルを
越えると、除去される不純物の量から考えて、排水への
フッ化水素酸の損失が多大となると共に、装置の耐食性
や作業環境が悪化し過ぎると思われる。
【0038】実施例2 金属珪素粉体にフッ化水素酸と硫酸と水を加え、これを
温度80℃で1時間撹拌混合した。ここで、金属珪素粉
体は2kgを使用し、フッ化水素酸は濃度が70g/リ
ットルとなるように加え、硫酸は濃度が(A)75g/
リットル、(B)100g/リットル、(C)150g
/リットル、(D)200g/リットルとなるように加
え、水はスラリー固形分濃度が300g/リットルとな
るように加えた。
【0039】次に、上述の混合物を濾過し、得られた金
属珪素粉体に塩酸と塩化第二鉄と水を加え、これを温度
80℃で3時間撹拌した。ここで、塩酸は濃度が75g
/リットルとなるように加え、塩化第二鉄は鉄濃度が6
g/リットルとなるように加え、水はスラリー固形分濃
度が300g/リットルとなるように加えた。
【0040】次に、上述の混合物を濾過・水洗し、得ら
れた金属珪素粉体にメチルアルコールを加えて金属珪素
粉体に付着している水分とメチルアルコールとを置換さ
せ、このメチルアルコールを濾過によって除去し、得ら
れた金属珪素粉体を温度80℃で乾燥して乾燥状態の金
属珪素粉体を得た。金属珪素粉体の分析結果を表1に示
す。
【0041】表1に示す結果から、硫酸の濃度が100
g/リットル未満では金属珪素粉体中に含まれるFe,
Al,Caを溶解して除去させる効果が少なくなること
がわかる。なお、硫酸の濃度が200g/リットルを越
えると、除去される不純物の量から考えて、排水への硫
酸の損失が多大になり過ぎると思われる。
【0042】実施例3 金属珪素粉体にフッ化水素酸と硫酸と水を加え、これを
温度80℃で1時間撹拌混合した。ここで、金属珪素粉
体は2kgを使用し、フッ化水素酸は濃度が70g/リ
ットルとなるように加え、硫酸は濃度が200g/リッ
トルとなるように加え、水はスラリー固形分濃度が30
0g/リットルとなるように加えた。
【0043】次に、上述の混合物を濾過し、得られた金
属珪素粉体に塩酸と塩化第二鉄と水を加え、これを温度
80℃で3時間撹拌した。ここで、塩酸は濃度が75g
/リットルとなるように加え、塩化第二鉄はFe分の濃
度が(A)2g/リットル、(B)4g/リットル、
(C)6g/リットル、(D)8g/リットルとなるよ
うに加え、水はスラリー固形分濃度が300g/リット
ルとなるように加えた。
【0044】次に、上述の混合物を濾過・水洗し、得ら
れた金属珪素粉体にメチルアルコールを加えて金属珪素
粉体に付着している水分とメチルアルコールとを置換さ
せ、このメチルアルコールを濾過によって除去し、得ら
れた金属珪素粉体を温度80℃で乾燥して乾燥状態の金
属珪素粉体を得た。金属珪素粉体の分析結果を表1に示
す。
【0045】表1に示す結果から、塩化第二鉄のFe分
の濃度が4g/リットル未満では金属珪素粉体中に含ま
れるCuを除去させる効果が少なくなることがわかる。
なお、塩化第二鉄のFe分の濃度が8g/リットルを越
えると、除去される不純物の量から考えて、排水中への
塩化第二鉄の損失が多くなり過ぎると思われる。
【0046】実施例4 金属珪素粉体にフッ化水素酸と硫酸と水を加え、これを
温度80℃で1時間撹拌混合した。ここで、金属珪素粉
体は2kgを使用し、フッ化水素酸は濃度が70g/リ
ットルとなるように加え、硫酸は濃度が200g/リッ
トルとなるように加え、水はスラリー固形分濃度が30
0g/リットルとなるように加えた。
【0047】次に、上述の混合物を濾過し、得られた金
属珪素粉体に塩酸と塩化第二鉄と水を加え、これを温度
80℃で3時間撹拌した。ここで、塩酸は濃度が(A)
25g/リットル、(B)50g/リットル、(C)7
5g/リットル、(D)100g/リットルとなるよう
に加え、塩化第二鉄は鉄濃度が6g/リットルとなるよ
うに加え、水はスラリー固形分濃度が300g/リット
ルとなるように加えた。
【0048】次に、上述の混合物を濾過・水洗し、得ら
れた金属珪素粉体にメチルアルコールを加えて金属珪素
粉体に付着している水分とメチルアルコールとを置換さ
せ、このメチルアルコールを濾過によって除去し、得ら
れた金属珪素粉体を温度80℃で乾燥して乾燥状態の金
属珪素粉体を得た。金属珪素粉体の分析結果を表1に示
す。
【0049】表1に示す結果から、塩酸の濃度が50g
/リットル未満では金属珪素粉体中に含まれているCu
を酸化する作用が認められないことがわかる。なお、塩
酸の濃度が100g/リットルを越えると、除去される
不純物の量から考えて、排水への塩酸の損失が多くなり
過ぎると思われる。
【0050】実施例5 金属珪素粉体にフッ化水素酸と硫酸と水を加え、これを
温度80℃で1時間撹拌混合した。ここで、金属珪素粉
体は2kgを使用し、フッ化水素酸は濃度が70g/リ
ットルとなるように加え、硫酸は濃度が200g/リッ
トルとなるように加え、水はスラリー固形分濃度が
(A)100g/リットル、(B)300g/リット
ル、(C)500g/リットル、(D)700g/リッ
トルとなるように加えた。
【0051】次に、上述の混合物を濾過し、得られた金
属珪素粉体に塩酸と塩化第二鉄と水を加え、これを温度
80℃で3時間撹拌した。ここで、塩酸は濃度が75g
/リットルとなるように加え、塩化第二鉄は鉄濃度が6
g/リットルとなるように加え、水はスラリー固形分濃
度が(A)100g/リットル、(B)300g/リッ
トル、(C)500g/リットル、(D)700g/リ
ットルとなるように加えた。
【0052】次に、上述の混合物を濾過・水洗し、得ら
れた金属珪素粉体にメチルアルコールを加えて金属珪素
粉体に付着している水分とメチルアルコールとを置換さ
せ、このメチルアルコールを濾過によって除去し、得ら
れた金属珪素粉体を温度80℃で乾燥して乾燥状態の金
属珪素粉体を得た。金属珪素粉体の分析結果を表1に示
す。
【0053】表1に示す結果から、スラリー固形分濃度
が100g/リットル未満では生産性が悪いことがわか
る。また、500g/リットルを越えると撹拌状態が悪
化し、Fe,Al,Ca,B,Cuの除去に支障をきた
した。
【0054】実施例6 金属珪素粉体にフッ化水素酸と硫酸と水を加え、これを
温度80℃で1時間撹拌混合した。ここで、金属珪素粉
体は2kgを使用し、フッ化水素酸は濃度が70g/リ
ットルとなるように加え、硫酸は濃度が200g/リッ
トルとなるように加え、水はスラリー固形分濃度が30
0g/リットルとなるように加えた。
【0055】次に、上述の混合物を濾過し、得られた金
属珪素粉体に塩酸と塩化第二鉄と水を加え、これを温度
80℃で1〜5時間撹拌した。ここで、塩酸は濃度が7
5g/リットルとなるように加え、塩化第二鉄は鉄濃度
が6g/リットルとなるように加え、水はスラリー固形
分濃度が300g/リットルとなるように加えた。
【0056】次に、上述の混合物を(A)0.5時間
目、(B)1時間目、(C)3時間目、(D)5時間目
に採取し、これを濾過・水洗し、得られた金属珪素粉体
にメチルアルコールを加えて金属珪素粉体に付着してい
る水分とメチルアルコールとを置換させ、このメチルア
ルコールを濾過によって除去し、得られた金属珪素粉体
を温度80℃で乾燥して乾燥状態の金属珪素粉体を得
た。金属珪素粉体の分析結果を表1に示す。
【0057】表1に示す結果から、金属珪素粉体と混合
溶液との接触時間が1時間未満では反応が充分に進まな
いことがわかる。また、金属珪素粉体と混合溶液との接
触時間が5時間を越えると生産性が悪くなると思われ
る。
【0058】実施例7 実施例6の(C)の条件で金属珪素粉体の精製に使用し
たフッ化水素酸と硫酸の混合液2dm3 をテフロン製の
5dm3 容器に入れ、温度を190℃に設定し、大気圧
下で加熱し、約0.5dm3 になるまで濃縮した。そし
て、この濃縮した液(硫酸濃度の高い液)を72時間静
置し、結晶を析出沈殿させた後、テフロン製の濾紙にて
濾過した。
【0059】次に、この濾過によって得られた液に、実
施例6の(C)の組成になるようにフッ化水素酸及び水
を加え、この液を用いて金属珪素粉体の精製(第一段階
処理工程の処理)を行なった。
【0060】次に、実施例6の(C)の条件で金属珪素
の精製に使用した塩酸と塩化第二鉄の混合液にこの混合
液に含有されているFe2+と等量の過酸化水素を添加
し、60℃にて1時間撹拌し、この溶液に第一段階処理
工程の処理を経た金属珪素粉体を加え、第二段階処理工
程の処理を行なった。そして、この処理を行なった金属
珪素粉体を水洗し、乾燥させて得られた金属珪素粉体を
分析したところ、表1に示す通りであった。
【0061】表1に示す結果から、再生した廃液を使用
してもFe,Al,Ca,Cu,B等の除去に全く問題
のないことがわかる。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、不純物の多い金属珪素
粉体、例えばシラン合成工程より排出された使用済み銅
触媒を含有する金属珪素粉体を硫酸、塩酸、硝酸又はこ
れらの混酸溶液を用いて脱銅処理して得られた金属珪素
粉体からFe,Al,Ca,Cu,B等の不純物を太陽
電池用シリコンの主材料として使用できる品位まで除去
でき、この方面の原料不足の問題を解決できるという効
果がある。
【0064】また、本発明によれば、第一段階処理工程
で使用される硫酸を加熱・濃縮という単一操作により繰
り返し使用でき、副産物として珪フッ化ナトリウム等の
材料が得られ、また、第二段階処理工程で使用される高
濃度の塩酸及び鉄分を酸化処理という単一操作にて繰り
返し使用でき、加えて本来産業廃棄物として発生する沈
殿物の量を激減させ、環境汚染防止と共に省資源、省水
資源にも寄与させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る金属珪素の精製方法を示す
フローチャートである。
【図2】図2は本発明の原料として使用する金属珪素粉
体の予備処理の方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は本発明に係る金属珪素の精製方法中の蒸
留工程の詳細を示すフローチャートである。
【図4】図4はフッ化水素酸の濃度と金属珪素粉体中の
不純物の濃度との関係を示すグラフである。
【図5】図5は硫酸の濃度と金属珪素粉体中の不純物の
濃度との関係を示すグラフである。
【図6】図6は塩化第二鉄の濃度(Fe分の濃度)と金
属珪素粉体中の不純物の濃度との関係を示すグラフであ
る。
【図7】図7は塩酸の濃度と金属珪素粉体中の不純物の
濃度との関係を示すグラフである。
【図8】図8はスラリー固形物濃度と金属珪素粉体中の
不純物の濃度との関係を示すグラフである。
【図9】図9は処理時間と金属珪素粉体中の不純物の濃
度との関係を示すグラフである。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料金属珪素粉体を少なくともフッ化水
    素酸と硫酸を含む混合溶液に接触させる第一段階処理工
    程と、該第一段階処理工程を経た金属珪素粉体を少なく
    とも塩酸と塩化第二鉄を含む混合溶液に接触させる第二
    段階処理工程と、該第二段階処理工程を経た金属珪素粉
    体を水洗した後、乾燥させる水洗乾燥工程とを備えたこ
    とを特徴とする金属珪素の精製方法。
  2. 【請求項2】 前記原料金属珪素粉体が、シランの合成
    工程より排出される使用済み銅触媒を含有する金属珪素
    粉体を硫酸、塩酸、硝酸又はこれらから選択された1種
    又は2種以上の酸の溶液を用い、空気又はO2 ガスを吹
    き込みながら脱銅処理したものであることを特徴とする
    請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記水洗乾燥工程が、前記金属珪素粉体
    を水洗した後、該金属珪素粉体と水とを分離し、該分離
    された該金属珪素粉体に低沸点の親水性の有機溶剤を接
    触させて該金属珪素粉体に付着している水を該有機溶剤
    と置換させ、該金属珪素粉体と該有機溶剤とを分離した
    後、該分離された該金属珪素粉体に付着している該有機
    溶剤を揮発除去させるものであることを特徴とする請求
    項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記第一段階処理工程及び第二段階処理
    工程における混合溶液に対する前記金属珪素粉体の割合
    が100〜500g/リットルであることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 第一段階処理工程で使用されるフッ化水
    素酸と硫酸の濃度が以下の範囲であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 HF : 50〜100g/リットル H2 SO4 : 100〜200g/リットル
  6. 【請求項6】 前記第一段階処理工程における前記金属
    珪素粉体と混合溶液との接触時間が1〜3時間であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記第二段階処理工程で使用される混合
    溶液の濃度が以下の範囲であることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載の方法。 HCl : 50〜100g/リットル FeCl3 (Fe分として):4〜8g/リットル
  8. 【請求項8】 前記第二段階処理工程における混合溶液
    と金属珪素粉体との接触時間が1〜5時間であることを
    特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記第一段階処理工程及び第二段階処理
    工程における混合溶液の温度が70℃〜90℃であるこ
    とを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 有機溶剤で水分を置換除去された前記
    金属珪素粉体に付着している該有機溶剤を揮発除去させ
    る場合の乾燥温度が30℃〜80℃であることを特徴と
    する請求項3〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記第一段階処理工程から排出された
    廃液を大気圧下又は減圧下において蒸留し、残留液を、
    析出物を除去した後、前記第一段階処理工程に戻して硫
    酸源として使用することを特徴とする請求項1〜10の
    いずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記蒸留を50〜200℃で行なうこ
    とを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記残留液を12〜72時間静置して
    前記析出物を沈殿除去させることを特徴とする請求項1
    1又は12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記蒸留によって得られた留出液にナ
    トリウム化合物を添加して珪フッ化ソーダを生成させる
    ことを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の
    方法。
  15. 【請求項15】 前記第二段階処理工程から排出された
    廃液に酸化剤を加えて含有されているFe2+をFe3+
    酸化し、この廃液を前記第二段階処理工程に戻すことを
    特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記酸化剤が過酸化水素、空気、酸素
    ガス又はオゾンガスであることを特徴とする請求項11
    〜15のいずれかに記載の方法。
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