JPH10202117A - Csイオン用吸着剤 - Google Patents

Csイオン用吸着剤

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JPH10202117A
JPH10202117A JP9024260A JP2426097A JPH10202117A JP H10202117 A JPH10202117 A JP H10202117A JP 9024260 A JP9024260 A JP 9024260A JP 2426097 A JP2426097 A JP 2426097A JP H10202117 A JPH10202117 A JP H10202117A
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JP
Japan
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adsorbent
ion
acid
sodium
ions
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JP9024260A
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Noriyuki Yamamoto
則幸 山本
Hideki Kato
秀樹 加藤
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐放射線性、耐酸性に優れ、強酸性溶液中で使
用する場合又はナトリウムイオン等の他の陽イオンが多
量に共存する場合であってもCsイオンに対して高い吸
着能を有するCsイオン用吸着剤を提供する。 【解決手段】下式で表される結晶性リン酸塩化合物、及
びアルコキシシラン又はその加水分解物からなる混合物
を750℃以上かつ1500℃以下の温度範囲で焼成す
るか、又はその後、酸と接触させて得られる無機イオン
交換体からなるCsイオン用吸着剤。 M1 x 2-x 2 (PO4 2 ・nH2 O (但し、M1 はリチウム、ナトリウム又はカリウムであ
り、M2 はジルコニウム又はチタンであり、xは1.5
≦x≦2.0であり、nは0≦n≦である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の無機イオン
交換体からなるCsイオン用吸着剤に関するものであ
り、原子力発電所や核燃料再処理工場等の原子力施設等
より排出されるCsイオンを含有する廃液の処理に特に
有用である。
【0002】
【従来の技術】現在、イオン交換体として、イオン交換
樹脂が広く用いられているが、これは耐放射線性に乏し
いため、強放射線下では使用出来ないという欠点があ
る。一方、イオン交換樹脂に比較して、無機イオン交換
体は、耐熱性に優れると共に強放射線下における安定性
が優れており、強放射線廃液からCsを効率良く分離す
ることが期待されている。Csイオンを吸着できる無機
イオン交換体として、モルデナイト、クリノプチロライ
トなどのゼオライト化合物が知られている。しかし、こ
れらゼオライトは酸性溶液中では吸着性能が低く、しか
も耐酸性に劣り材料自身が溶解するため、酸溶液中のC
sイオンを吸着できない。また、アンチモン酸もCsイ
オンを吸着できる無機イオン交換体として知られている
が、ナトリウムイオン等の陽イオンが多量に共存する場
合、Csイオンの吸着能が著しく低下する。更にまた、
α−リン酸ジルコニウムやα−リン酸チタンなどの層状
4価金属リン酸塩が知られているが、耐酸性に優れるも
のの、Cs吸着性能が十分ではない。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来
のイオン交換体が有する上記の問題を解決し、耐放射線
性、耐酸性に優れ、強酸性溶液中で使用する場合又はナ
トリウムイオン等の他の陽イオンが多量に共存する場合
であってもCsイオンに対して高い吸着能を有するCs
イオン用吸着剤を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討し
た結果、特定の結晶性リン酸塩化合物をアルコキシシラ
ン又はその加水分解物と共に特定の温度範囲で焼成して
得られる無機イオン交換体が極めて優れていることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、下式〔1〕で表される結
晶性リン酸塩化合物、及びアルコキシシラン又はその加
水分解物からなる混合物を750℃以上かつ1500℃
以下の温度範囲で焼成するか、又はその後、酸と接触さ
せて得られる無機イオン交換体からなるCsイオン用吸
着剤に関するものである。 M1 x 2-x 2 (PO4 2 ・nH2 O 〔1〕 (但し、M1 はリチウム、ナトリウム及びカリウムの群
から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属イオンであ
り、M2 はジルコニウム及びチタンの群から選ばれる少
なくとも一種の金属であり、xは1.5≦x≦2.0の
範囲の数であり、nは0以上かつ1以下の数である。)
【0006】○結晶性リン酸塩化合物 本発明における結晶性リン酸塩化合物は上式〔1〕で表
される化合物であり、M1 はリチウム、ナトリウム及び
カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金
属イオンであり、ナトリウム及びカリウムが好ましく、
Csに対する吸着特性が優れることから、これらの中で
もナトリウムが最も好ましい。M2 はジルコニウム及び
チタンの群から選ばれる少なくとも一種の4価金属であ
り、ジルコニウムが好ましい。xは1.5≦x≦2.0
の範囲の数であり、この範囲の数である場合に限り、本
発明の優れた吸着剤を得ることができる。nは0以上か
つ1以下の数であるが、本発明における焼成工程で水は
すべて気化するため、本発明の吸着剤に大きな影響はな
い。
【0007】本発明における結晶性リン酸塩化合物の製
法に特に制限はなく、公知のいずれの製法を実施しても
良く、その一例として、次のような方法がある。まず、
リン酸水溶液と、炭酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニ
ウム等のジルコニウム塩、或いは硫酸チタニル、四塩化
チタン等のチタン塩とを混合し、反応させる方法等によ
り得られるH2 2 (PO4 2 ・nH2 Oを、水酸化
リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリ
ウム水溶液等のリチウム、ナトリウム及びカリウムの群
から選ばれた少なくとも一種のアルカリ金属イオンを含
有する水溶液と接触させることにより得ることができ
る。
【0008】また、炭酸ジルコニル又は硫酸チタン等の
ジルコニウム及びチタンの群から選ばれる少なくとも一
種の金属の金属塩と希薄燐酸とを反応させて非晶質の化
合物を得る第一段の反応と、これにより得た非晶質化合
物を濾過、洗浄して分離し、この化合物をリチウムイオ
ン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの群から選ば
れた少なくとも一種のアルカリ金属イオンを含有する濃
厚燐酸塩中で百数十度(℃)の温度下で、加熱還流する
か、又はフッ化水素の共存下で反応させる二段の反応で
も製造することが出来る。
【0009】本発明における結晶性リン酸塩化合物は通
常粉末状で得られ、好ましい粒径は0.05〜100 μm であ
り、0.1 〜10μm の範囲がより好ましい。粒径が、0.05
μm未満では、粉末同志が凝集現象を起こしたり、後述
の方法で吸着剤を成形する際に粉末の表面がフィロケイ
酸塩鉱物により被われるために、イオン交換特性が低下
する恐れがあり、逆に100 μm より大きいと、アルコキ
シシラン又はその加水分解物並びにフィロケイ酸塩鉱物
との接触部が少ないために、機械的強度が高い成形体が
得られない恐れがある。
【0010】○アルコキシシラン又はその加水分解物 本発明で用いるアルコキシシランの好ましい例として、
SiH(OR)3 、Si(OR)4 (Rは、メチル、エ
チル、プロピル及びブチル等のアルキル基)等があり、
好ましい具体的化合物として、トリエトキシシラン、テ
トラエトキシシラン及びジメトキシジエトキシシシラン
等がある。本発明で用いるアルコキシシラン加水分解物
は、通常の方法により調製することが出来るものであり
〔例えば、作花済夫著、「ゾル−ゲルの科学」、8−2
4頁、アグネ承風社発行(1988)〕、溶媒中におけ
るアルコキシシランの加水分解と重合反応の進行度に応
じてゾル又はゲル状になるが、混練を容易にするため、
ゾル状のものを用いることが好ましい。アルコキシシラ
ンの溶媒としては、メタノール、プロパノール、ブタノ
ール等のアルコール類、エチレングリコール、エチレン
オキシド、トリエタノールアミン、キシレン、フォルム
アミド、ジメチルフォルムアミド、ジオキサン及びシュ
ウ酸等が挙げられるが、アルコール類が好ましい。
【0011】アルコキシシラン又はその加水分解物の最
適配合量は、用いる結晶性リン酸塩化合物の種類によっ
て種々変動するが、結晶性リン酸塩化合物100 重量部
(以下、部と略す)あたり、アルコキシシラン又はその
加水分解物の固形分(SiO2の重量に換算される量)
として5 〜60部、より好ましくは10〜30部用いるのがよ
い。配合量が5 部未満の場合、又は60部より多い場合、
吸着剤のイオン交換特性が低下する恐れがある。
【0012】○焼成 本発明の吸着剤に固有なイオン交換特性を発揮させるに
は、結晶性リン酸塩化合物及びアルコキシシラン又はそ
の加水分解物からなる混合物を750℃以上かつ150
0℃以下の温度範囲で焼成する必要があり、800 ℃以上
かつ1100℃以下の温度で焼成することが好ましい。ま
た、最高焼成温度の保持時間を 1〜8 時間、より好まし
くは 2〜6 時間とするのがよい。焼成時の昇温速度につ
いては特に制限がない。
【0013】○成形 本発明の吸着剤は、粉末状の他、粒状、塊状、板状等、
種々の形状を有する成形体として用いることが出来る。
即ち、結晶性リン酸塩化合物及びアルコキシシラン又は
その加水分解物を、目的とする形状に成型した後、上記
の特定の温度範囲で焼成することにより種々の形状の成
形体を得ることができる。成形を容易にするために、結
晶性リン酸塩化合物、アルコキシシラン又はその加水分
解物の混合物に、フィロケイ酸塩鉱物を混合することが
好ましく、この成分を混合しても、本発明の吸着剤にお
けるCsイオン吸着能を殆ど低下させることなく、成型
品の機械的強度を増加させることができる。フィロケイ
酸塩鉱物を混合する際に、必要に応じて適宜水やアルコ
ール等の液体を添加することが出来る。好ましいフィロ
ケイ酸塩鉱物として、例えばベントナイト、カオリン、
硅藻土、木節粘土及び蛙目粘土等があり、可塑性を有
し、乾燥又は焼成による収縮及び機械的強度の増大を示
す層状含水ケイ酸塩系の化合物であればよい。これらの
中では、機械的強度に於て優れた成形体が得られやす
く、又工業的に入手が容易であることから、特にベント
ナイトが好ましい。フィロケイ酸塩鉱物の最適配合量
は、用いる結晶性リン酸塩化合物とアルコキシシラン又
はその加水分解物の種類及び量等によって種々変動する
が、結晶性リン酸塩化合物100 部当り、1 〜70部、より
好ましくは2 〜40部とするのがよい。配合量が1 部未満
では、成形体の機械的強度の改善が十分でなく、70部よ
り多いとイオン交換特性の低下を引き起こす恐れがあ
る。吸着剤の成形体を得るには、例えば、配合、混合・
混練、造粒等の成型及び焼成の一般的な成形工程を経て
成形すれば良い。
【0014】○酸処理 上記のようにして焼成して得られる吸着剤は優れたイオ
ン交換特性を有しているので、そのままで本発明の吸着
剤とすることができるが、又上記のようにして焼成した
後に酸処理を行って得られる無機イオン交換体も同様に
優れたイオン交換特性を有している。尚、この酸処理に
よって、焼成して得られる無機イオン交換体中のM1
少なくとも一部がHに置換される。酸処理を行うには、
焼成して得られた無機イオン交換体と酸を接触させれば
良く、その方法は、これらを接触させる工程が制御可能
であるならば特に限定はなく、バッチ式或は連続式の何
れであってもよい。その具体例としては、無機イオン交
換体を酸に添加し、攪拌又は静置する方法、及びカラム
等に無機イオン交換体を充填し、酸を通液する方法等が
ある。酸を接触させる条件は、結晶性リン酸塩化合物の
種類及び量、焼成条件等により異なるが、酸として塩酸
水溶液、硝酸水溶液、硫酸水溶液等の強酸を用いること
が好ましく、酸の濃度として0.01N以上、かつ10N以下
とすることが好ましく、0.05N以上、かつ7 N以下とす
ることがより好ましい。酸の濃度が0.01N未満であると
プロトンとの置換が不十分となる恐れがあり、10Nより
高いと工業的規模における酸の取扱いが煩雑となる。接
触時間は酸の濃度等により異なるが、2時間以上とする
ことが好ましく、5時間以上とすることがより好まし
い。2時間未満であるとプロトンとの置換が不十分とな
る恐れがある。また、両者を接触させる温度は、10℃
以上かつ100℃以下とすることが好ましく、10℃よ
り低いとプロトンとの置換が不十分となる恐れがあり、
100℃より高いと工場設備の運転、維持管理等に負荷
が掛かる。また、両者を接触させる際の酸の使用割合に
格別の制限はない。尚、吸着剤の成形体に対して酸処理
を行う場合には、成形工程においてフィロ珪酸塩に由来
するナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンが吸着剤
に混入する可能性が大きいので、成形工程の後に酸処理
を行う方が効率的である。
【0015】○吸着対象溶液 本発明の吸着剤を用いることができる吸着対象溶液は、
Csイオンを含有していればすべて対象となる。例え
ば、酸水溶液、塩水溶液、アルカリ水溶液のいずれでも
よく、又リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属イオン、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム等のアルカリ土類金属イオン、その他陽イオンが共存
していても構わない。
【0016】
【作用】本発明における無機イオン交換体は、Zr又は
Tiを中心とする酸素八面体、Pを中心とする酸素四面
体、及びSiを中心とする酸素四面体が3次元的に結合
した強固な結晶構造を有しており、これらの酸素八面体
と酸素四面体の結合した構造の隙間に、この結晶構造を
安定化させるイオン交換可能なイオンとして、リチウム
イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及び水素イ
オンから選ばれる少なくとも一種以上の1価陽イオンが
存在している。一方、本発明における無機イオン交換体
は、1価陽イオンの中でCsイオンに対する親和性が最
も高いため、Csイオンが本発明における無機イオン交
換体と接触した場合、構造の隙間に存在するリチウムイ
オン等の1価陽イオンとイオン交換する。Csイオンに
対する親和性が高い理由は明かではないが、Csイオン
の大きさが、構造の隙間に存在するのに適した大きさで
あり、結晶構造を安定化する作用が大きいためと思われ
る。上述のように、本発明における無機イオン交換体
は、強固で特異な結晶構造を有しているため、ゼオライ
ト等にはない耐酸性を有しており、また、Csイオンに
対する選択性を有している。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例を挙げて
本発明に更に具体的に説明する。
【0018】(参考例1)結晶性リン酸ジルコニウム塩
の原料であるリン酸ジルコニウムを以下のようにして合
成した。即ち、濃度34.3wt%のリン酸水溶液1
9.0kgを200r. p. m.で攪拌しながら、ZrO2
に換算して400gとなるように炭酸ジルコニル粉末を
1時間をかけて、リン酸水溶液に逐次添加した。この
後、110℃に昇温し、48時間の加熱還流を行った。
冷却後、リン酸ジルコニウムを濾過、水洗、分離し、そ
の後110℃で5時間乾燥することにより、リン酸ジル
コニウムの結晶0.82kgを得た。得られた結晶の同
定及び組成を、粉末X線回折図及び化学分析により求め
た結果、結晶の組成式はH2 Zr(PO4 2 ・H2
であった。
【0019】(参考例2)結晶性リン酸チタン塩の原料
であるリン酸チタンを以下のようにして合成した。即
ち、濃度34.3wt%のリン酸水溶液19.0kgを
200r. p. m.で攪拌しながら、TiO2 に換算して2
64gとなるように硫酸第二チタン溶液を1時間をかけ
て、リン酸水溶液に逐次添加した。この後、110℃に
昇温し、72時間の加熱還流を行った。冷却後、リン酸
ジルコニウムを濾過、水洗、分離し、その後110℃で
5時間乾燥することにより、リン酸ジルコニウムの結晶
0.70kgを得た。得られた結晶の同定及び組成を、
粉末X線回折図及び化学分析により求めた結果、結晶の
組成式はH2 Ti(PO4 2 ・H2 Oであった。
【0020】(参考例3)以下のようにして、固形分
(以下NVと略す。)15wt%のシリカゾル(エチル
シリケートの加水分解物)を調製した。即ち、300m
l三ツ口フラスコ中で、アルコキシシランであるエチル
シリケートの部分的加水分解物〔多摩化学工業株式会社
製商品名シリケート40〕40g、エタノール60g、
水7.0g(加水分解に必要な理論量の120%)及び
強酸型イオン交換樹脂(東京有機化学株式会社商品名:
IR−120B−H型)1.0gを混合した。マントル
ヒーターを用い、混合物を80℃で2時間還流後、冷却
し、濾過により強酸型イオン交換樹脂を除去した。
【0021】(実施例1)参考例1で得たリン酸ジルコ
ニウム500gを、50lの0.1N−NaOHに添加
し、40℃で48時間、200rpm で攪拌した。濾過水
洗分離をし、110℃で5時間乾燥し、更に粉砕機を用
いて粉砕した。得られた粉末のX線回折図は結晶性リン
酸ジルコニウムナトリウム塩に特有な回折パターンを示
し、化学分析値による組成はNa2 Zr(PO4 2
2 Oとなった。又、得られた結晶性リン酸ジルコニウ
ムナトリウム塩の平均粒径を沈降法により求めた結果、
0. 8μmであった。上記のようにして得た結晶性リン
酸ジルコニウムナトリウム塩500g及び参考例3で得た1
5%のシリカゾル515gをニーダーで混練した。混練
物を風乾後、電気炉内で800℃で4時間焼成、粉砕
し、本発明の吸着剤を得た。得られた吸着剤の平均粒径
を沈降法により求めた結果、5.0μmであった。
【0022】(実施例2)実施例1における混練物中に
フィロケイ酸塩鉱物としてベントナイトを17.5gを
含有させて混練し、この混練物を1.0mm φのスクリーン
をセットした押し出し造粒機で造粒し、棒状顆粒物を得
た。更に、棒状顆粒物を整粒機に入れ、粒状化した。風
乾後、電気炉内で800℃で4時間焼成し、A型硬度計
(Hardnesstester typeJA)による硬度が300gであ
る粒状吸着剤を得た。
【0023】(実施例3)実施例2で得た粒状吸着剤5
00gを、1N−HCl水溶液5リットルに添加し、4
0℃で48時間静置した。その後、濾過、水洗、110
℃で5時間乾燥し、H型の吸着剤を得た。尚、HCl水
溶液処理後の濾液中のNa濃度を高周波プラズマ発光分
析装置で測定し、粒状物のNa脱着率を求めた結果、9
8. 8%であった。
【0024】(実施例4)参考例2で得たリン酸チタン
500gを、50lの0.1N−KOHに添加し、40
℃で48時間、200rpm で攪拌した。濾過水洗分離を
し、110℃で5時間乾燥し、更に粉砕機を用いて粉砕
した。得られた粉末のX線回折図は結晶性リン酸チタン
カリウム塩に特有な回折パターンを示し、化学分析値に
よる組成はK1.8 0.2 Ti(PO4 2 ・H2 Oとな
った。又、得られた吸着剤の平均粒径を沈降法により求
めた結果、1.2μmであった。上記のようにして得た
結晶性リン酸チタンカリウム塩500g及び参考例3で得た
15%のシリカゾル515gをニーダーで混練した。混
練物を風乾後、電気炉内で800℃で4時間焼成、粉砕
し、本発明の吸着剤を得た。得られた粉末の平均粒径を
沈降法により求めた結果、6.5μmであった。
【0025】(実施例5)結晶性リン酸ジルコニウムナ
トリウム塩に代えて実施例4で得た結晶性リン酸チタン
カリウム塩を用いた以外は実施例2と同様にして、A型
硬度計(Hardnesstester typeJA)による硬度が300
gである粒状吸着剤を得た。
【0026】(実施例6)実施例5で得た粒状吸着剤5
00gを、1N- HNO3 水溶液5リットルに添加し、
40℃で48時間静置した。その後、濾過、水洗、11
0℃で5時間乾燥し、H型の無機イオン交換体を得た。
HNO3 水溶液処理後の濾液中のK濃度を高周波プラズ
マ発光分析装置で測定し、粒状物のK脱着率を求めた結
果、95.5%であった。
【0027】上記のようにして得た各吸着剤について以
下の2種の吸着試験を行い、その結果を表1に示した。 (吸着試験A)吸着剤1g及びCsClを1.0x10-3mole/l含む
2M-HNO3 溶液100ml をポリエチレン製容器中で混合し、
振蕩器により30℃で5日間振蕩した後、吸着剤に吸着さ
れたセシウムの量を炎光光度法により測定し、下記式
(1)から吸着剤のセシウムに対する分配係数Kd
(A)(単位:ml/g)を算出した。
【0028】
【式1】
【0029】(吸着試験B)また、吸着剤5.0g及びCs
イオンを1,000ppm含む28wt%-硝酸ナトリウム水溶液50ml
をポリエチレン製容器中で混合し、振蕩器により60℃で
3日間振蕩した後、吸着剤に吸着されたセシウムの量を
ICP−MSにより測定し、上記式(1)から吸着剤の
セシウムに対する分配係数Kd(B)(単位:ml/g)を
算出した。
【0030】(比較例1〜5)実施例1〜6の吸着剤に
代えて以下の吸着剤を用いた以外は同様にして、吸着試
験Aと吸着試験Bを行い、それらの結果を表1に示し
た。 比較例1:参考例1で得たリン酸ジルコニウム〔H2 Zr
(PO4 )2・H2O 〕 比較例2:実施例1で得た結晶性リン酸ジルコニムナト
リウム塩〔Na2 Zr(PO4)2 ・H2 O〕 比較例3:参考例1で得たリン酸チタン〔H2 Ti(PO4 )2
・H2O 〕 比較例4:アンチモン酸 比較例5:ゼオライト4A
【0031】(比較例6)実施例1における結晶性リン
酸ジルコニウムナトリウム塩に代えて参考例1で得たリ
ン酸ジルコニウムを用いた以外は実施例1と同様にして
吸着剤を調製し、吸着試験Aと吸着試験Bを行ない、そ
の結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】表1において、Kd(A)及びKd(B)
はいずれも吸着剤のCsイオンに対する選択的吸着能の
大きさを示すものであり、Kd(A)はナトリウムイオ
ンが共存しない場合の吸着能を示す特性値であり、Kd
(B)はナトリウムイオンが共存する場合の吸着能を示
す特性値である。従って、他のアルカリ金属イオンの共
存下における選択的吸着能は、Kd(B)の特性値が大
きい程、大きいと判断できる。表1の結果から明らかな
ように、本発明の吸着剤は従来のものに比較して格段に
Kd(B)が大きく、Csイオンに対する選択的吸着能
が優れている。即ち、アルコキシシランの加水分解物を
混合して焼成しなかった、リン酸ジルコニウム(比較例
1)、リン酸ジルコニウムナトリウム塩(比較例2)及
びリン酸チタン(比較例3)のKd(B)は、いずれも
高々 3.1であり、又アルカリ金属イオン用吸着剤として
知られるアンチモン酸(比較例4)のKd(B)は1.0
以下であり、従来のCsイオン用吸着剤であるゼオライ
トA(比較例5)のKd(B)は 2.7であり、ナトリウ
ムイオンを担持させていないリン酸ジルコニウムをアル
コキシシランの加水分解物と混合して焼成した吸着剤
(比較例6)は1.0以下であるのに対して、本発明の吸
着剤(実施例1〜6)のKd(B)は、 5.5×10〜 7.0
×10と、比較例1〜6の十倍以上大きい。
【0034】
【発明の効果】本発明の吸着剤は、強固な結晶構造を有
する無機イオン交換体からなるので、耐放射線性、耐酸
性に優れ、更に強酸性溶液中で使用する場合又はナトリ
ウムイオン等の他の陽イオンが多量に共存する場合であ
ってもCsイオンに対して高い吸着能を有する。よっ
て、高濃度の他のアルカリ金属イオンが共存する溶液か
らCsイオンを選択的に吸着する処理に適しており、原
子力発電所や核燃料再処理工場等の原子力施設などより
排出されるCsイオンを含有する廃液の処理に特に有用
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式〔1〕で表される結晶性リン酸塩化合
    物、及びアルコキシシラン又はその加水分解物からなる
    混合物を750℃以上かつ1500℃以下の温度範囲で
    焼成するか、又はその後、酸と接触させて得られる無機
    イオン交換体からなるCsイオン用吸着剤。 M1 x 2-x 2 (PO4 2 ・nH2 O 〔1〕 (但し、M1 はリチウム、ナトリウム及びカリウムの群
    から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属イオンであ
    り、M2 はジルコニウム及びチタンの群から選ばれる少
    なくとも一種の金属であり、xは1.5≦x≦2.0の
    範囲の数であり、nは0以上かつ1以下の数である。)
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