JP2016107257A - 吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

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慎介 宮部
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Abstract

【課題】水中に含まれるストロンチウムの吸着除去に好適に用いられる吸着剤を提供する。【解決手段】本発明のストロンチウム吸着剤は、バリウムを含有するアルミノケイ酸塩を含むストロンチウム吸着剤であって、粉末X線回折法によって少なくとも29.8°以上30.2°以下、23.8°以上24.2°以下、及び7.0°以上7.4°以下に回折ピークが観察されるNa−A型ゼオライト様の回折パターンを呈する。アルミノケイ酸塩におけるBaO含有率が2質量%以上38質量%以下であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、水中に含まれるストロンチウムの吸着除去に好適に用いられる吸着剤及びその製造方法に関する。
放射性物質を含む廃液の処理方法として、無機系吸着剤及びイオン交換樹脂等により、放射性核種を吸着して除去する処理方法が知られている。無機系吸着剤を用いる吸着方法としては、例えば次の方法が知られている。
(1)チタンケイ酸塩化合物、チタン酸、チタン酸塩、及びゼオライト化合物を用いる方法(下記特許文献1)。
(2)二酸化マンガンを吸着剤として用いる方法(下記特許文献2)。
ストロンチウムの除去に関しては、次の方法が知られている。
(1)ストロンチウムを含む水溶液をチタンあるいはニオブを含むペロブスカイト型化合物と接触させて除去する方法(下記特許文献3)。
(2)炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、及び炭酸バリウムのうち、いずれかの炭酸塩を吸蔵した固体材料を用いて廃液から放射性ストロンチウムを除去する方法(下記特許文献4)。
(3)A型ゼオライトやX型ゼオライトをアルギン酸カルシウム膜でカプセル化したものを用い、海水中に含まれるストロンチウムを吸着する方法(下記特許文献5)。
特開2014−029269号公報 特開平4−86599号公報 特開2005−230664号公報 特開2002−267796号公報 特開2013−174578号公報
しかしながら、海水中にはストロンチウムよりもはるかに多くの同族イオン(カルシウムやマグネシウム)が含有されている。そのため、従来の技術では、共存するカルシウムやマグネシウムの影響により、海水からストロンチウムを効率よく分離吸着することが困難である。
本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るストロンチウムの吸着剤及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、バリウムを含有するアルミノケイ酸塩を含むストロンチウム吸着剤であって、粉末X線回折法によって少なくとも29.8°以上30.2°以下、23.8°以上24.2°以下、及び7.0°以上7.4°以下に回折ピークが観察されるNa−A型ゼオライト様の回折パターンを呈するストロンチウム吸着剤を提供するものである。
また本発明は、前記の吸着剤の好適な製造方法として、
Na−A型ゼオライトとバリウム含有水溶液とを混合して、Na−A型ゼオライト中のナトリウムをバリウムとイオン交換する工程を有し、
前記工程においては、Na−A型ゼオライトと前記バリウム含有水溶液とを混合した後の混合液に占めるNa−A型ゼオライトの割合が3質量%以上30質量%以下になり、且つ、BaO/Na2Oのモル比が、0.04以上1.5以下になるような混合比率でNa−A型ゼオライトと該バリウム含有水溶液とを混合する、ストロンチウム吸着剤の製造方法を提供するものである。
更に本発明は、前記の吸着剤の別の好適な製造方法として、
以下に示すモル比で表される組成の混合液となるように、ケイ素源と、アルミニウム源と、バリウム源と、アルカリ源と、水とを混合し、得られた混合液を40℃以上100℃以下の加熱下に保持して熟成させる工程を有する、ストロンチウム吸着剤の製造方法を提供するものである。
SiO2/Al23が1.8以上2.2以下
Na2O/SiO2が2.0以上3.0以下
Al23仕込み量から換算したA型ゼオライトNa2O・Al23・2SiO2・4.5H2Oより算出されるNa2Oに対するBaOの比BaO/Na2Oが0.04以上1.5以下
更に本発明は、前記の吸着剤の別の好適な製造方法として、
Na−A型ゼオライトを含む粒状体とバリウム含有水溶液とを混合して、Na−A型ゼオライトを含む粒状体中のナトリウムをバリウムとイオン交換する工程を有する、ストロンチウム吸着剤の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、カルシウム等の共存種の影響をほとんど受けずに、水中に含まれるストロンチウムを選択的に吸着除去できる吸着剤が提供される。また本発明によれば、該吸着剤として有効なアルミノケイ酸塩を工業的に有利な方法で製造することができる。
図1は、実施例1で原料としたNa−A型ゼオライトのXRD回折図、及び、実施例1で得られた吸着剤についてストロンチウムの吸着に供する前後に測定したXRD回折図である。 図2は、実施例6〜8で得られた吸着剤のXRD回折図である。 図3は、実施例11で原料としたNa−A型ゼオライトを含む粒状体のXRD回折図、及び同実施例で得られた吸着剤のXRD回折図である。
本発明の吸着剤は、バリウムを含有するアルミノケイ酸塩(以下、単にアルミノケイ酸塩ともいう)を含むものである。本発明の吸着剤の吸着能は、主としてこのアルミノケイ酸塩に由来している。このアルミノケイ酸塩は、主としてバリウム塩であるが、バリウムに加えて他の金属、例えばナトリウムやカリウム等のアルカリ金属の塩を含んでいてもよい。
本発明の吸着剤に含まれるアルミノケイ酸塩は、一般にwA2O・xBaO・yAl23・zSiO2・nH2Oで表される。ここでAはNa及びKを表し、x、y、zは0超の数を表し、nは0以上の数を表す。wは0以上の数を表すが、通常は0超の数である。本発明の吸着剤に含まれるアルミノケイ酸塩は、これを粉末X線回折法で測定したときに、少なくとも29.8°以上30.2°以下、23.8°以上24.2°以下、及び7.0°以上7.4°以下に回折ピークが観察されるNa−A型ゼオライト様の回折パターンを呈する。「Na−A型ゼオライト様の回折パターン」とは、結晶性の高い物質であるNa−A型ゼオライトと同様の回折パターンは示さないが、結晶性の高低を除いて回折ピークの出現角度だけに着目した場合、Na−A型ゼオライトの回折ピークの出現角度と同じ角度に回折ピークが観察されることを言う。従って、Na−A型ゼオライトを粉末X線回折法で測定すると、少なくとも前記の3つの角度範囲に回折ピークが観察される。この3つの角度範囲は、Na−A型ゼオライトにおける最も強度が高いピークと、それに続いて強度が高い2つのピークの角度範囲に対応するものである。なお、Na−A型ゼオライトとは、合成ゼオライトの一種であり、一般式Na2 O・Al23 ・2SiO2 ・pH2O(ただし、pは0〜4.5である。)で表される。このようにNa−A型ゼオライト様の回折パターンを呈する本発明におけるアルミノケイ酸塩は、その構造の少なくとも一部にNa−A型ゼオライト様の結晶構造を有しているとみられる。
上述の粉末X線回折法の測定条件は、例えば以下の通りとすることができる。即ち測定機器としては装置名:D8 AdvanceS、メーカー:Bruker社を用いる。ターゲットCu、線源Cu−Kα、管電圧40kV、管電流40mA、走査速度0.1°/sec、読み込み幅0.02°とする。
本発明の吸着剤に含まれるアルミノケイ酸塩は、粉末X線回折法で測定したときに上記の3つの範囲に加えて更に、10.0°以上10.6°以下の範囲(以下、第4の範囲ともいう)にも回折ピークが観察されることが好ましく、当該第4の範囲に加えて更に12.4°以上12.8°以下の範囲にも回折ピークが観察されることがより好ましい。具体的には、本発明の吸着剤に含まれるアルミノケイ酸塩は粉末X線回折法で測定したときに下記表Aで示す回折パターンを有していることが特に好ましい。以下の相対強度(I/Io)は、Na−A型ゼオライトにおいて最も強度が高いピークの出現角度(2θ=7.2
)と同じ角度に表れる回折ピークの強度(Io)に対する比を示す。ここでいう強度比は、ピーク高さの比として測定する。前記の回折ピークパターンからピーク高さを求める際には、次のようにする。まず、一つのピークが有する2つの底点を結んで直線を得る。そして当該ピークの頂点から垂線を引いて該直線と交わらせ、得られた交点と該ピークの頂点との距離をピーク高さとする。
粉末X線回折法による測定で上記範囲に回折ピークが観察されるアルミノケイ酸塩を得るためには、本発明の吸着剤を、後述する(A)又は(B)の方法、更には後述する(C)の方法で製造すればよい。本発明で用いるアルミノケイ酸塩は、上述した通り粉末X線回折法による測定で上記特定の範囲に回折ピークが観察されるから、このアルミノケイ酸塩を含有する本発明の吸着剤も当然、粉末X線回折法による測定で上記特定の範囲に回折ピークが観察される。
上記のようにNa−A型ゼオライト様の回折パターンを呈し、且つバリウムを有するアルミノケイ酸塩を用いた本発明の吸着剤のストロンチウムの吸着性能が高い理由について、本発明者らは以下のように推測している。バリウムを含むアルミノケイ酸塩は、海水と接すると、このバリウムが海水中の硫酸イオンと反応することにより、硫酸バリウムが生成してアルミノケイ酸塩のNa−A型ゼオライト様構造の表面に沈積される。そしてこのゼオライト様構造からバリウムイオンが抜けた空隙にストロンチウムイオンが選択的に吸着されることにより、ストロンチウムイオンが海水中から選択的に吸着除去される。本発明の吸着剤は、これに含まれるアルミノケイ酸塩が先に記載のとおりゼオライト様の回折パターンを有しているものの、通常、Na−A型ゼオライトほどの高い結晶性を有しない。このため本発明の吸着剤における結晶骨格の表面近傍には、結晶骨格にしっかりと取り込まれておらず、ストロンチウムイオンと交換可能なバリウムがBa2+が多く存在する。このため本発明の吸着剤では、Sr2+の吸着性能が高くなっているものと本発明者らは推測している。後述する実施例1の通り、X線回折分析によれば、本発明の吸着剤はストロンチウム吸着後に硫酸バリウムの結晶ピークが発現しており、前述した吸着メカニズムを裏付ける結果となっている。
本発明の吸着剤は、これを構成するアルミノケイ酸塩に占めるBaO含有率が2質量%以上38質量%以下であることが好ましい。BaO含有率を2質量%以上とすることにより、ストロンチウムの吸着量をより一層高いものとすることができる。また38質量%以下とすることにより、本発明の吸着剤の製造コストを低減することができる。例えば、後述するイオン交換により本発明の吸着剤を製造する場合にアルミノケイ酸塩におけるBaO含有率を38質量%超とするためには、イオン交換を複数回、例えば3回以上も行わなければならず、時間と手間、薬剤費の面から工業的には不利である。これらの観点から、アルミノケイ酸塩に占めるBaO含有率は、10質量%以上38質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上38質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以上38質量%以下であることが更に一層好ましく、27質量%以上38質量%以下であることが最も好ましい。アルミノケイ酸塩のBaO含有率は、蛍光X線分析により、具体的には後述する実施例の方法で測定する。このようなBaO含有率を有するアルミノケイ酸塩を製造するためには、後述する(A)、(B)又は(C)の製造方法で本発明の吸着剤の製造するに当たり、用いるBa量を調整すればよい。
アルミノケイ酸塩に占めるBaO含有率の理論上の最高値は、アルミノケイ酸塩の組成が上記一般式「wA2O・xBaO・yAl23・zSiO2・nH2O」においてw:x:y:z:nが0:1:1:2:0であるときのBaO含有率と考えられる。したがって、BaO含有率の理論上の最高値は40.8質量%と算出される。また、本発明の吸着剤中のBaO含有率の好ましい範囲としては、アルミノケイ酸塩中のBaO含有率の好ましい範囲として上記で挙げた数値範囲と同様の範囲が挙げられる。
また、本発明の吸着剤に含まれるアルミノケイ酸塩は、Na−A型ゼオライト様の結晶ピークを発現することを反映して好ましくはSiO2含有率が27質量%以上37質量%以下、特に好ましくは29質量%以上35質量%以下であり、Al23含有率が24質量%以上36質量%以下、特に好ましくは26質量%以上34質量%以下である。アルミノケイ酸塩のSiO2及びAl23の含有率は、蛍光X線分析法により、具体的には後述する実施例の方法で測定する。
また、本発明の吸着剤は、上述したようにナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩を含有してもよいところ、該吸着剤に含まれるアルミノケイ酸塩のA2O含有率(AはNa及びKを表す)が好ましくは17質量%以下、より好ましくは16.5質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、特に好ましくは13質量%以下である。例えば、本発明の吸着剤の製造にアルカリ金属化合物として専らナトリウム化合物を用いる場合は、本発明の吸着剤に含まれるアルミノケイ酸塩のNa2O含有率は、上記のA2O含有率と同様の範囲であることが好ましい。アルミノケイ酸塩のA2O含有率は低い方が好ましいが、例えばその含有率が2質量%以上とすると、本発明の吸着剤の製造しやすさ等の観点から好ましい。アルミノケイ酸塩のA2O及びNa2Oの含有率は、蛍光X線分析法により、具体的には後述する実施例の方法で測定する。
前記のSiO2、Al23、A2O及びNa2O含有率を有するアルミノケイ酸塩を製造するためには、後述する(A)又は(B)の製造方法で本発明の吸着剤を製造し、且つその際に各原料の使用比率を調整すればよい。また、本発明の吸着剤中のSiO2、Al23、A2O及びNa2Oの各含有率の好ましい範囲としては、アルミノケイ酸塩中のSiO2、Al23、A2O及びNa2Oの各含有率の好ましい範囲として上記で挙げた数値範囲と同様の範囲が挙げられる。
本発明の吸着剤の形態は、粉末状、粒状(柱状、球状、板状、円筒状、ハニカム状も含む)等いずれの形態であってもよいが、粒度が2μm以上2000μm以下の粉体であることが、海水中のストロンチウム吸着用途に好適に用いることができるため好ましい。また例えば、本発明の吸着剤を必要により造粒又は成形加工等を行って粒状とすると、吸着塔に充填する用途の吸着剤として使用可能である。この場合、粒度が200μm以上10mm以下の粒状体であることがより好ましい。200μm以上の粒度の粒状体からなる場合、本発明の吸着剤を吸着塔に充填して通水した場合に、粒子が吸着塔内で詰まりにくく、吸着塔内で圧損が上昇することを防止できる。また、粒径が10mmより大きい場合はストロンチウムの吸着速度が遅くなり、吸着効率が悪くなるところ、粒度が10mm以下とすることで、吸着性能を高いものとすることができる。このような観点から、本発明の吸着剤を粒状体として使用する場合の吸着剤の粒度は、300μm以上10mm以下がより好ましい。本発明の吸着剤の粒度が特定範囲であることは、具体的には、JIS Z8801規格による各粒度に対応する目開きの篩を用いて確認でき、本発明の吸着剤の98質量%以上が目開きが10mmの篩を通り、98質量%以上が目開き212μmの篩を通らない場合、粒度が200μm以上10mm以下とする。また本発明の吸着剤の98質量%以上が目開きが10mmの篩を通り、98質量%以上が目開き300μmの篩を通らない場合、粒度が300μm以上であり10mm以下であるとする。また、本発明の吸着剤は、粒度が2000μm以下、或いは、1000μm以下であってもよい。本発明の吸着剤の98質量%以上が目開きが2mmの篩を通る場合、粒度が2000μm以下とし、本発明の吸着剤の98質量%以上が目開きが1mmの篩を通る場合、粒度が1000μm以下とする。
本発明の吸着剤が前記のアルミノケイ酸塩に加えて結合剤を有する粒状体である場合、吸着剤中の結合剤の量は、吸着性能を高める観点から、30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。結合剤の量は、例えば造粒前の粉体のNa2OやBaO含有量及び結合剤中のNa2OやBaO含有量が既知である場合、粒状体のNa2OやBaO含有量を測定して、造粒前の粉体の含有量と比較することにより測定される。ここでいう結合剤としては、後述する有機系や無機系等の各種のものが挙げられる。
また、本発明の吸着剤は、後述するように、粉状体の形態として、不織布に固定された形態で用いることも好ましい。この場合の吸着剤の粒度としては、平均粒子径が2μm以上10μm以下であることが吸着剤の製造工程の中で、粉砕工程を容易に実施できるという観点から好ましく、最大粒子径が100μm以下であることが不織布に固定した際に、不織布からの吸着剤粒子の脱落を防止できるという観点から好ましい。これらの観点から不織布に固定して用いる場合の粉状体の吸着剤の粒度は、平均粒子径が2.5μm以上8μm以下、最大粒子径が74μm以下であることがより好ましい。ここでいう平均粒子径は、具体的にはレーザー回折・散乱式粒度分布測定法による小粒径側からの積算体積が50%になる粒径(D50)であり、また最大粒子径は同測定法による小粒径側からの積算体積が100%になる粒径(D100)である。平均粒子径及び最大粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法による装置により測定され、例えば、日機装社又はマイクロトラック・ベル社によるマイクロトラックで測定可能である。
本発明の吸着剤は、以下(A)、(B)又は(C)の製造方法により製造されることが好ましい。
(A)Na−A型ゼオライトとバリウム含有水溶液とを混合して、Na−A型ゼオライト中のナトリウムをバリウムとイオン交換する工程(以下、「イオン交換工程1」ともいう)により製造する方法。
(B)ケイ素源と、アルミニウム源と、バリウム源と、アルカリ源と、水とを混合し、得られた混合液を40℃以上100℃以下の加熱下に保持して熟成させる工程(以下、「熟成工程」ともいう)により製造する方法。
(C)Na−A型ゼオライトを含む粒状体とバリウム含有水溶液とを混合して、Na−A型ゼオライトを含む粒状体中のナトリウムをバリウムとイオン交換する工程(以下、「イオン交換工程2」ともいう)により製造する方法。
まず、(A)の方法について説明する。本製造方法では上記の通り、バリウムイオンとイオン交換する対象としてNa−A型ゼオライトを用いることを特徴の一つとする。これはNa−A型ゼオライトが、バリウムイオンとイオン交換可能なNa成分が多いゼオライトであるため、これを用いることで、得られる吸着剤に含まれるアルミノケイ酸塩のバリウム含有率を高いものとすることができるためである。
バリウムイオンによってイオン交換されるNa−A型ゼオライトについては、特に製造履歴は問わない。いかなる原料から合成されたNa−A型ゼオライトであっても用いることができる。例えば、珪酸ソーダとアルミン酸ソーダ及び苛性ソーダを原料として合成した一般的なNa−A型ゼオライトの他に、石炭灰や製紙スラッジ焼却灰、アルミドロス残灰などをアルカリと反応させて得られるNa−A型ゼオライトも使用可能である。
バリウムイオンを用いたイオン交換方法については、例えば、水溶性のバリウム化合物の水溶液とNa−A型ゼオライトとを混合させて混合液を得る方法が挙げられる。水溶性のバリウム化合物としては、塩化バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム及び酢酸バリウムなどが挙げられ、これら1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。A型ゼオライトは酸性領域では徐々に溶解するため、水溶液のpHを中性付近としやすいもの、例えば塩化バリウムがゼオライトの結晶構造を安定に保つ点から好ましい。
イオン交換の条件として、ゼオライトを前述の水溶性バリウム化合物の水溶液に分散させて得られるスラリー中のNa−A型ゼオライトの濃度が、3質量%以上30質量%以下であることが好適である。3質量%以上にスラリー中のNa−A型ゼオライトの濃度を高くする場合、イオン交換のための設備を一定規模以下のものとできるため設備効率を高める点で好ましい。また、スラリー中のNa−A型ゼオライトの濃度を30質量%以下とする場合、スラリーの粘度を一定程度以下とでき、撹拌動力が大きな攪拌機が不要であり、また、水溶性バリウム化合物をスラリーに溶解させることが容易となるため好ましい。この観点からスラリー中のNa−A型ゼオライトの濃度は、5質量%以上25質量%以下がより好ましく、10質量%以上20質量%以下が特に好ましい。またNa−A型ゼオライトをバリウム含有水溶液に分散させて得られるスラリーの濃度の好ましい範囲としては、当該スラリー中のNa−A型ゼオライトの濃度の好ましい範囲として上記で挙げた範囲と同様の範囲が挙げられる。
イオン交換における反応温度については特に制限はなく、加温してもよいし、常温でもイオン交換可能である。イオン交換における撹拌時間は30分〜5時間程度が好ましい。30分以上とすることにより、イオン交換率が低くなる危険を防止しやすい。この観点から、イオン交換において撹拌を継続する時間(以下、撹拌時間ともいう)は、1時間以上がより好ましい。撹拌時間が5時間超の場合、イオン交換率の上昇が飽和に達しやすいため、5時間以下とすることで製造効率を図ることができる。
イオン交換に使用する水溶性バリウム化合物の量としては、ゼオライトを前述の水溶性バリウム化合物の水溶液に分散させて得られるスラリーにおけるBaから換算されるBaOと、ゼオライト中のNa2Oとのモル比BaO/Na2Oが、0.04以上1.5以下となる量が好ましい。このモル比が0.04以上の場合、イオン交換率を一定程度以上としやすく、本製造方法で得られる吸着剤におけるアルミノケイ酸塩のBaO含有率を2質量%まで達することが容易である。逆に水溶性バリウム化合物を前記のモル比が1.5超となる量で使用した場合、イオン交換率が飽和に達し、水溶性バリウム化合物が反応母液中に残存して無駄になりやすい。この観点から、モル比BaO/Na2Oは、0.2以上1.5以下であることがより好ましく、0.4以上1.5以下であることが更に好ましく、1.0以上1.5以下であることが更に一層好ましい。イオン交換反応を終了した後に、反応後のスラリーを常法によりろ過した後、リパルプ洗浄し、得られた洗浄物を乾燥し、次いで得られた乾燥物を粉砕することにより、粉状体の本発明の吸着剤を得ることが出来る。粉状体の粒度は、0.4μm以上44μm以下の粒度を有することが好ましい((B)の方法においても同様)。
次いで、(B)の方法、つまり、ケイ素源と、アルミニウム源と、バリウム源と、アルカリ源と、水とを混合し、得られた混合液を40℃以上100℃以下の加熱下に保持して熟成させる工程を有する、ストロンチウム吸着剤の製造方法について説明する。
ケイ素源としては、シリカ及び水中でケイ酸イオンの生成が可能なケイ素含有化合物が挙げられる。具体的には、湿式法シリカ、乾式法シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸ソーダ、アルミノシリケートゲルなどが挙げられる。これらのケイ素源は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのケイ素源のうち、ケイ酸ソーダを用いることが、溶液であることからアルミ源との反応性が良く、安価でもあるので、工業的実用性の観点から好ましい。
アルミニウム源としては、例えば水溶性アルミニウム含有化合物や粉末状アルミニウムを用いることができる。水溶性アルミニウム含有化合物としては、具体的には、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。また、水酸化アルミニウムも好適なアルミニウム源の一つである。これらのアルミニウム源は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのアルミニウム源のうち、アルミン酸ナトリウムを用いることが、溶液であることからケイ素源との反応性が良く、アルミノケイ酸塩の製造が容易であるという観点から好ましい。
バリウム源としては、水溶性のバリウム化合物が挙げられる。そのようなバリウム化合物としては、例えば塩化バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム及び酢酸バリウムが挙げられる。これらのバリウム源は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのバリウム源のうち、塩化バリウム又は水酸化バリウムを用いることが、他のバリウム化合物よりも溶解度が大きく、イオン交換後の廃液の処理が容易であるという観点から好ましい。
アルカリ源としては、例えば水酸化ナトリウムを用いることができる。なお、シリカ源としてケイ酸ナトリウムを用いた場合やアルミニウム源としてアルミン酸ナトリウムを用いた場合、そこに含まれるアルカリ金属成分であるナトリウムは同時にNaOHとみなされ、アルカリ成分でもある。このため、後述するNa2Oは、特に断らない限り、混合液中のすべてのアルカリ成分の和として計算される。なお、本製造方法において、アルカリ源として用いられるアルカリ金属としては、一部又は全部としてナトリウムを用いることが必須であり、それら以外のアルカリ金属イオン、例えばカリウムイオンやリチウムイオンは、本製造方法において必須ではない。
本製造方法においては、ケイ素源と、アルミニウム源と、バリウム源と、アルカリ源と、水とは、以下に示すモル比で表される組成の混合液となるように、混合する。以下のモル比を満たすことで、本発明の吸着剤が容易に製造できるため好ましい。
なお、以下の「Al23仕込み量から換算したA型ゼオライトNa2O・Al23・2SiO2・4.5H2Oより算出されるNa2O」とは、Al23仕込み量と同量のA型ゼオライトNa2O・Al23・2SiO2・4.5H2Oが生成したと仮定したときのこのゼオライトにおけるNa2Oの量を指す。このため「Al23仕込み量から換算したA型ゼオライトNa2O・Al23・2SiO2・4.5H2Oより算出されるNa2O」のモル量は、Al23の仕込みのモル量と等しい。
SiO2/Al23が1.8以上2.2以下
Na2O/SiO2が2.0以上3.0以下
Al23仕込み量から換算したA型ゼオライト Na2O・Al23・2SiO2・4.5H2Oより算出されるNa2Oに対するBaOの比BaO/Na2Oが0.04以上1.5以下、好ましくは0.4以上1.5以下
混合液の組成において、特に好ましい上記のモル比としては、以下の範囲が挙げられる。
SiO2/Al23が1.9以上2.1以下
Na2O/SiO2が2.1以上2.7以下
Al23仕込み量から換算したA型ゼオライト Na2O・Al23・2SiO2・4.5H2Oより算出されるNa2Oのモル当量に対するBaOのモル当量の比BaO/Na2Oが0.5以上1.2以下
混合液を得るための各原料の添加順序としては、水とケイ素源を混合して得られたケイ素含有液と、水とアルミニウム源を混合して得られたアルミニウム含有液と、水とバリウム源とを混合して得られたバリウム含有液とをそれぞれ用意し、これら3種の液を混合する方法が本発明の吸着剤を容易に得やすい観点から好ましい。アルカリ源は、ケイ素含有液、アルミニウム含有液及びバリウム含有液のいずれか1又は2以上に予め添加してもよいし、ケイ素含有液、アルミニウム含有液及びバリウム含有液を全て混合して得られた混合液にアルカリ源を混合してもよい。好ましくは、混合前のケイ素含有液及び/又はアルミニウム含有液にアルカリ源を含有させておくことが好ましい。
ケイ素含有液、アルミニウム含有液及びバリウム含有液の混合の仕方は、例えば以下の(1)〜(3)の方法が好ましく、(1)及び(3)の方法がより好ましく、(1)の方法が特に好ましい。
(1)ケイ素含有液及びバリウム含有液を混合し、得られた混合液にアルミニウム含有液を混合する方法
(2)アルミニウム含有液及びバリウム含有液を混合し、得られた混合液にケイ素含有液を混合する方法
(3)ケイ素含有液及びアルミニウム含有液を混合し、得られた混合液にバリウム含有液を混合する方法
上記のようにしてケイ素源と、アルミニウム源と、バリウム源と、アルカリ源と、水とを混合して得られた混合液を、40℃以上100℃以下の加熱下に保持して熟成させる。得られる吸着剤の性能を高める観点から、加熱温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、60℃以上95℃以下がより好ましい。また、加熱温度が上記範囲であることを前提にして、加熱時間は、1時間以上10時間以下が好ましく、2時間以上5時間以下がより好ましい。
この熟成工程は、常圧下で行うことが出来る。
熟成反応後のスラリーを常法によりろ過した後、リパルプ洗浄し、得られた洗浄物を乾燥し、次いで得られた乾燥物を粉砕することにより、粉状体の吸着剤を得ることが出来る。
次いで、(C)の方法、つまり、Na−A型ゼオライトを含む粒状体とバリウム含有水溶液とを混合して、Na−A型ゼオライトを含む粒状体中のナトリウムをバリウムとイオン交換するイオン交換工程2を有する、ストロンチウム吸着剤の製造方法について説明する。
なお、本発明では(C)の製造方法を採用することにより、前述した(A)又は(B)の製造方法で得られる粉状体を粒状体に加工した吸着剤に比べ、粉粒体自体の耐久性が向上し、更にストロンチウム吸着能もいっそう向上することから、本発明では、特に粒状体状の吸着剤を得る場合、(C)の方法を好ましく採用している。
Na−A型ゼオライトを含む粒状体は、Na−A型ゼオライトと結合剤とを混練したのち、所望の形状に成形し、乾燥、必要に応じて焼成したものである。
Na−A型ゼオライトを含む粒状体の形状は、例えば、球状、板状、柱状、円筒状、ハニカム状等の形状が挙げられる。本製造方法では、Na−A型ゼオライトを含む粒状体の形状を、そのまま最終製品の吸着剤の形状とすることができる。このため、最終的な吸着剤の形状を考慮して使用するNa−A型ゼオライトを含む粒状体の形状を適宜選択することが好ましい。
Na−A型ゼオライトを含む粒状体は、Na−A型ゼオライトを50質量%以上、好ましくは70質量%以上95質量%以下含むものがBaイオン交換可能なNaを確保できるとともに、結合剤(バインダー)の量も適量範囲であるという観点から好ましい。
Na−A型ゼオライトを含む粒状体は、粒度が200μm以上10mm以下の粒状体であることがより好ましく、いっそう好ましくは300μm以上10mm以下である。
Na−A型ゼオライトを含む粒状体は、公知の方法により製造することができ、また、Na−A型ゼオライトを含む粒状体自身は、市販されており、これら市販品も好適に用いることが出来る。
Na−A型ゼオライトを含む粒状体を製造する方法の一例を示せば、Na−A型ゼオライトと結合剤とを混練したのち、所望の形状に成形し、乾燥、必要に応じて焼成することにより製造することが出来る。
前記Na−A型ゼオライトについては、特に製造履歴は問わない。いかなる原料から合成されたNa−A型ゼオライトであっても用いることができる。例えば、珪酸ソーダとアルミン酸ソーダ及び苛性ソーダを原料として合成した一般的なNa−A型ゼオライトの他に、石炭灰や製紙スラッジ焼却灰、アルミドロス残灰などをアルカリと反応させて得られるNa−A型ゼオライトも使用可能である。
前記結合剤としては特に制限は無い。無機系の結合剤(以下、「無機結合剤」とする)や有機系の結合剤(以下、「有機結合剤」とする)のいずれか一方又は両方が使用可能である。
前記無機結合剤としては、珪酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル、カオリナイト、ハロイサイト、ボルクレー、ベントナイト、酸性白土、アタパルジャイト、ヘクトライト、木節粘土、セピオライトなどのカオリン系、スメクタイト族、パリゴルスカイト族の可塑性粘土などの粘土鉱物が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
有機結合剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系材料、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドなどの高分子系材料が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
前記結合剤の添加量は、少ない方が好ましいが、成形体の強度などの兼ね合いから、成形体中の非Na−A型ゼオライト成分が25質量%以下、多くの場合10質量%以上25質量%以下の範囲になるように配合する。なお、所望により、結合剤の他に、成形体のマイクロポアを調整するために、例えば、セルロースパウダーや水溶性高分子を少量配合されていてもよい。
かかる混合物を適量の水と共に混練したのち、所望の成形機で成形又は造粒するが一般的には、押出し成形又は転動造粒法が好適である。
得られた粒状体は、強度を得るため、例えば100〜120℃程度で乾燥し、次いで、必要により、500〜700℃で焼成を行うことにより、Na−A型ゼオライトを含む粒状体を得ることが出来る。
バリウムイオンを用いたイオン交換方法及びイオン交換における反応温度については、前述した(A)のイオン交換工程1の方法に準じて行うことができるので、以下にそれ以外の条件について説明する。
イオン交換の条件としては、Na−A型ゼオライトを含む粒状体を水溶性バリウム化合物の水溶液に分散させて得られるスラリー中のNa−A型ゼオライトを含む粒状体の濃度が、好ましくは5質量%以上50質量%以下、より好ましくは7質量%以上30質量%以下であることが、イオン交換に使用する交換槽の容量を適正に保ち、イオン交換反応時にゆるい撹拌が可能となる観点から好適である。なお、Na−A型ゼオライトを含む粒状体をバリウム含有水溶液に分散させて得られるスラリーの濃度の好ましい範囲としては、当該スラリー中のNa−A型ゼオライトを含む粒状体の濃度の好ましい範囲として上記で挙げた範囲と同様の範囲が挙げられる。また上記と同様の観点から、Na−A型ゼオライトを含む粒状体を水溶性バリウム化合物の水溶液に分散させて得られるスラリー中のNa−A型ゼオライトの濃度の好ましい範囲としては、3質量%以上30質量%以下であることが好適であり、5質量%以上25質量%以下がより好ましく、10質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
イオン交換に使用する水溶性バリウム化合物の量としては、Na−A型ゼオライトを含む粒状体を前述の水溶性バリウム化合物の水溶液に分散させて得られるスラリーにおけるBaから換算されるBaOと、Na−A型ゼオライトを含む粒状体中のNa2Oとのモル比BaO/Na2Oが、0.04以上1.5以下となる量が好ましい。このモル比が0.04以上の場合、イオン交換率を一定程度以上としやすく、本製造方法で得られる吸着剤におけるアルミノケイ酸塩のBaO含有率を2質量%まで達することが容易である。逆に水溶性バリウム化合物を前記のモル比が1.5超となる量で使用した場合、イオン交換率が飽和に達し、水溶性バリウム化合物が反応母液中に残存して無駄になりやすい。イオン交換反応を終了した後に、反応後のスラリーを常法によりろ過した後、必要によりリパルプ洗浄し、得られた洗浄物を乾燥し、次いで得られた乾燥物を必要により解砕することにより、粒状体からなる吸着剤を得ることが出来る。この観点から、モル比BaO/Na2Oは、0.2以上1.5以下であることがより好ましく、0.4以上1.5以下であることが更に好ましく、1.0以上1.5以下であることが更に一層好ましい。
上記のようにして(A)又は(B)の方法で得られた本発明の吸着剤は、例えば不織布などの各種の吸着シートやマットに使用する場合の、そのまま粉状体として材料を加工する際に添加することにより用いられる。不織布に吸着剤を固定する具体的な方法としては、粉状の吸着剤を、エマルジョン化した樹脂バインダとともに、水に分散させ、これに、不織布を含浸添着させたのち乾燥する方法が挙げられる。この樹脂バインダとしては、例えば、ラテックスバインダ、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリレートの共重合体、メタクリレートの共重合体、スチレンブタジエン共重合体、スチレンアクリル共重合体、エチレンビニルアセテート共重合体、ニトリルゴム、アクリルニトリルブタジエン共重合体、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。不織布としては例えばポリエステル及び/又はポリオレフィン繊維で構成されるものが用いられる。不織布に固定する前に必要に応じ、吸着剤の粒度を上記の平均粒子径2μm以上10μm以下の範囲に調整することが好ましい。
このように吸着剤を塗布した不織布を、例えば吸着剤を塗布した面を内側にして巻回した形態とすることで、水処理に好適に用いることができる。
なお、不織布に本発明の粉状の吸着剤を固定化する方法としては、先にNa−A型ゼオライトを不織布に前述したように固定化した後、バリウムイオンとのイオン交換処理を行ってもよい。
前記(A)又は(B)の製造方法で得られる粉状体である本発明の吸着剤を粒状体に加工する場合、通常、結合剤を用いる。この結合剤としては特に制限は無い。無機系の結合剤(以下、「無機結合剤」とする)や有機系の結合剤(以下、「有機結合剤」とする)のいずれか一方又は両方が使用可能である。
無機結合剤としては、珪酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル、ベントナイト、モンモリロナイトなどの粘土鉱物が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
有機結合剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系材料、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドなどの高分子系材料が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
これらの各種結合剤を用いて粉状体である本発明の吸着剤を粒状体とする場合、各種結合剤を、混錬機などで混錬したのち、押し出し造粒機などにより成形され、乾燥、必要に応じて焼成したのち、解砕などの手法により所定粒度に整粒すればよい。
上記(A)及び(B)の製造方法により得られた粉状体の吸着剤を造粒加工した粒状体の吸着剤は、吸着容器又は吸着塔に充填されて放射性ストロンチウムを含有する水処理システムの吸着剤として好適に使用することが出来る。また、上記(C)の方法により得られる粉粒は、そのまま吸着容器又は吸着塔に充填されて放射性ストロンチウムを含有する水処理システムの吸着剤として好適に使用することが出来る。しかし、この形態に限定されず、本発明の吸着剤は、不織布等に固定させる等の各種の形態として放射性ストロンチウムを含有する水処理システムの吸着剤として好適に使用することが出来る。
以下、本発明を実施例により説明する。特に断らない限り「%」は「質量%」を表す。実施例で使用した評価装置及び測定条件は以下のとおりである。
<評価装置及び測定条件>
・X線回折:測定条件としては、上述した通りとした。
・ICP−AES:Varian社720−ESを用いた。Caの測定波長は373.690nm、Srの測定波長は216.596nmとしてCa及びSrの濃度測定を行った。標準試料はCa408.9ppm、Sr7.19ppmの人工海水の水溶液を使用した。
・蛍光X線分析:リガク社製 ZSX100eを用いた。測定条件は、管球:Rh(4kW)、雰囲気:真空、分析窓材:Be(厚み30μm)、測定モード:SQX分析(EZスキャン)、測定径:30mmφとして全元素測定を行った。測定結果は酸化物換算で表示された。
以下の実施例1〜5は上記(A)の製造方法でアルミノケイ酸塩を製造して吸着剤とした例である。
<実施例1>
Na−A型ゼオライト(日本化学工業株式会社製 Na−100P)50gを200gのイオン交換水に分散させて20%スラリーを調製した。塩化バリウム20%水溶液を調製して、Na−A型ゼオライトのNa2O(17.0%)の0.4当量に相当する塩化バリウム水溶液を添加した。バリウム添加後のスラリーに占めるNa−A型ゼオライトの割合は16.3%であった。得られたスラリーを50℃に加温して、50℃で2時間撹拌を継続して、イオン交換を行った。イオン交換終了後、常法によりろ過・リパルプ洗浄・乾燥・粉砕して実施例1のアルミノケイ酸塩試料を得た。この試料の粒度は0.4μm以上22μm以下の範囲のものであった。
<実施例2>
Na−A型ゼオライトのNa2O(17.0%)の1.2当量に相当する塩化バリウム水溶液を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のアルミノケイ酸塩試料を得た。この試料の粒度は0.4μm以上22μm以下の範囲のものであった。またNa−A型ゼオライトと塩化バリウム水溶液とを混合して得られたスラリーに占めるNa−A型ゼオライトの割合は11.9%であった。
<実施例3>
Na−A型ゼオライトのNa2O(17.0%)の1.5当量に相当する塩化バリウム水溶液を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のアルミノケイ酸塩試料を得た。この試料の粒度は0.4μm以上22μm以下の範囲のものであった。またNa−A型ゼオライトと塩化バリウム水溶液とを混合して得られたスラリーに占めるNa−A型ゼオライトの割合は10.8%であった。
<実施例4>
Na−A型ゼオライト(日本化学工業(株) Na−100P) 50gを300gのイオン交換水に分散させて16.7%のスラリーを調製した。塩化バリウム20%水溶液を調製して、Na−A型ゼオライトのNa2O(17.0%)の0.05当量に相当する塩化バリウム水溶液を添加した。バリウム添加後のスラリーに占めるNa−A型ゼオライトの割合は、16.3%であった。得られたスラリーを50℃に加温して、50℃で2時間撹拌を継続して、イオン交換を行った。イオン交換終了後、常法により、ろ過、リパルプ洗浄、乾燥、粉砕してアルミノケイ酸塩試料を得た。この試料の粒度は0.4μm以上22μm以下の範囲のものであった。
<実施例5>
Na−A型ゼオライト(日本化学工業(株) Na−100P) 50gを300gのイオン交換水に分散させて16.7%のスラリーを調製した。塩化バリウム20%水溶液を調製して、Na−A型ゼオライトのNa2O(17.0%)の0.1当量に相当する塩化バリウム水溶液を添加した。バリウム添加後のスラリーに占めるNa−A型ゼオライトの割合は、15.9%であった。得られたスラリーを50℃に加温して、50℃で2時間撹拌を継続して、イオン交換を行った。イオン交換終了後、常法により、ろ過、リパルプ洗浄、乾燥、粉砕してアルミノケイ酸塩試料を得た。この試料の粒度は0.4μm以上22μm以下の範囲のものであった。
<比較例1>
Na−A型ゼオライト(日本化学工業株式会社製 Na−100P)そのものを比較例1のアルミノケイ酸塩試料として用いた。
<比較例2>
Na−A型ゼオライト(日本化学工業株式会社製 Na−100P)に代えてY型ゼオライト(日本化学工業社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のアルミノケイ酸塩試料を得た。このY型ゼオライトは、以下のようにして製造したものである。
アルミン酸ソーダ水溶液(Al2320.3%、Na2O18.9%、H2O60.8%)167.1kgに25%苛性ソーダ97.1kg、イオン交換水232.1kgを加えて混合してアルミ調製液496.3kgを作成した。3号珪酸ソーダ(SiO229.0%、Na2O9.5%、H2O61.5%)698.3kgにホワイトカーボン71.2kg、イオン交換水300kgを加えて混合して、シリカ調製液1069.5kgを作成した。アルミ調製液にシリカ調製液を加えてアルミノ珪酸ナトリウムゲルを作成した。このゲルの組成は次の通りである。
SiO2/Al23=13.35、Na2O/SiO2=0.42、H2O/Na2O=33.70
このアルミノ珪酸ナトリウムゲルを室温で48時間撹拌した後、93℃で48時間結晶化を行った。得られた結晶化物を以下常法によりろ過・洗浄・乾燥・粉砕して、Y型ゼオライトを得た。
〔測定及び評価〕
各実施例及び比較例の各試料について、以下の測定及び評価を行った。
<アルミノケイ酸塩の組成分析>
上記の測定装置及び条件により蛍光X線分析を行い、各実施例及び各比較例のアルミノケイ酸塩試料におけるNa2O、SiO2、Al23及びBaOの含有率を測定した。また、得られたBaO含有率からBaイオン交換率を算出した。
Baイオン交換率は、アルミノケイ酸塩におけるBaO含有率の理論上の最高値である40.8%を基準値として用い、得られたBaO含有率をこの40.8%で除すことにより算出した。これらの結果を下記の表1に示す。
<X線回折測定>
前述の測定条件においてX線回折測定を行った。実施例1〜5のアルミノケイ酸塩試料のX線回折測定により検出された回折ピークの角度(°)及び相対強度(I/I0)を表2A〜表2Eに示す。また比較例1であるNa−A型ゼオライト、実施例1のアルミノケイ酸塩(吸着試験に供する前のもの及び後のもの)についてX線回折測定を行って得られたチャートを図1に示す。図1から明らかな通り、比較例1であるNa−A型ゼオライト(上段)と、実施例1のアルミノケイ酸塩(下段、吸着試験前のもの)との比較から明らかな通り、実施例1のアルミノケイ酸塩(下段)では、Na−A型ゼオライト(上段)と同様に、少なくとも29.8°以上30.2°以下、23.8°以上24.2°以下、7.0°以上7.4°以下、10.0°以上10.6°以下及び12.4°以上12.8°以下の各範囲に回折ピークが認められる(この点は表2Aからも確認される)。図1の下段の実施例1(吸着試験前)の回折ピークと比較して中段の実施例1(吸着試験後)は2θ=20.5°、23°、25°、29°、32°、33°及び43°にBaSO4の回折ピークが認められる。また実施例2〜5の試料においても実施例1と同様の範囲に回折ピークが認められることは表2B〜表2Eから明らかである。
また、図1より、Na−A型ゼオライトをBaイオンでイオン交換して得られた実施例1のアルミノケイ酸塩は各結晶回折ピーク強度がNa−Aゼオライトの15〜20%に低下しており、結晶性が低下して低晶質のアルミノ珪酸バリウムに変化したことを示している。実施例1のアルミノケイ酸塩ではストロンチウムを吸着後の回折ピークにおいて新しく硫酸バリウムの回折ピークが出現しており、海水中の硫酸イオンと珪酸バリウムのバリウムイオンが反応して硫酸バリウムが生成したことを示している。
<吸着試験>
各実施例及び各比較例で得られたアルミノケイ酸塩試料0.1gを、人工海水(富田製薬製 試験研究用人工海水マリンアートSF−1)100mlに入れ、スターラーで1時間撹拌したのち、ろ液のMg、Ca、Srについて前記の測定装置及び条件によってICP−AES分析を行った。得られた吸着試験結果を下記の表3に示す。Mgイオンについては、全試料ともに全く吸着されなかったため、表3において、Mgイオンに係るデータは省略した(下記表5も同様)。
なお、人工海水中の主な成分の含有量は、NaCl;22.1g/L、MgCl2・6H2O;9.9g/L(Mg:1184ppm)、CaCl2・2H2O;1.5g/L(Ca:409ppm)、Na2SO4;3.9g/L(SO4:2637ppm)、KCl;0.61g/L、SrCl2;13mg/L(Sr:7.2ppm)である。
上記の表3の結果から、各実施例で得られたアルミノケイ酸塩はストロンチウムよりも遥かにカルシウム濃度の高い人工海水中において、カルシウム吸着率に対してストロンチウム吸着率が顕著に高く、選択的にストロンチウムを吸着する性能が非常に高いことが判る。これらに比べて、各比較例のアルミノケイ酸塩ではストロンチウム吸着性能が大幅に劣ることが判る。したがって、各実施例のアルミノケイ酸塩がストロンチウム吸着剤として好適であることは明らかである。
以下の実施例6〜8は、上記(B)の製造方法でアルミノケイ酸塩を製造して吸着剤とした例である。
<実施例6>
以下のようにして、アルミン酸ソーダ水溶液(以下、A液ともいう)、珪酸ソーダ水溶液(以下、S液ともいう)及び水酸化バリウム水溶液(以下、B液ともいう)を調製した。
A液の調製:アルミン酸ソーダ、苛性ソーダ、イオン交換水を混合して、Na2O 14.05%、Al23 8.27%の水溶液を調製した。
S液の調製:3号珪酸ソーダ、苛性ソーダ及びイオン交換水を混合して、Na2O 10.76%、SiO2 10.00%の水溶液を調製した。
B液の調製:水酸化バリウムを温水(約40℃)に溶解して、BaO 6.0%の水溶液を調製した。
まず、S液100gとB液200gとを混合した。次に得られた混合液とA液100gとを混合した。得られた混合スラリーを90℃で2時間反応熟成した。熟成終了後のスラリーを常法によりろ過・リパルプ洗浄・乾燥・粉砕して実施例6のアルミノケイ酸塩試料を得た。この試料の粒度は0.4μm以上37μm以下の範囲のものであった。
<実施例7>
実施例6において、A液、B液及びS液から混合スラリーを得る際に、まずA液100gとB液200gとを混合し、次に得られた混合液と、S液100gとを混合して混合スラリーを得た以外は、実施例6と同様にして実施例7のアルミノケイ酸塩試料を得た。この試料の粒度は0.4μm以上37μm以下の範囲のものであった。
<実施例8>
実施例6において、A液、B液及びS液から混合スラリーを得る際に、まずA液100gとS液100gを混合し、次に得られた混合液とB液200gとを混合して混合スラリーを得た以外は、実施例6と同様にして実施例8のアルミノケイ酸塩試料を得た。この試料の粒度は0.4μm以上37μm以下の範囲のものであった。
〔測定及び評価〕
実施例6〜8における、A液、B液及びS液を混合して得られた混合スラリー中の「モル比SiO2/Al23」「モル比Na2O/SiO2」及び「Al23仕込み量から換算したA型ゼオライト Na2O・Al23・2SiO2・4.5H2Oより算出されるNa2Oのモル量に対するBaOのモル量の比BaO/Na2O」を下記表3に示す。また実施例6〜8で得られたアルミノケイ酸塩試料について、上記の測定装置及び条件により蛍光X線分析を行い、実施例6〜8の試料におけるNa2O、SiO2、Al23及びBaOの含有率を測定した。その結果を下記表4に示す。
更に、実施例6〜8で得られたアルミノケイ酸塩試料について上記測定装置及び条件によりX線回折測定を行った。実施例6〜8のアルミノケイ酸塩試料のX線回折測定により検出された回折ピークの角度を表5A〜表5Cに示す。また実施例6〜8のアルミノケイ酸塩試料のX線回折測定により得られた回折チャートを図2に示す。表5A〜表5C及び図2から明らかな通り、実施例6〜8で得られたアルミノケイ酸塩は、いずれも、29.8°以上30.2°以下、23.8°以上24.2°以下、及び7.0°以上7.4°以下、10.0°以上10.6°以下及び12.4°以上12.8°以下の各範囲に回折ピークが認められる。
また、実施例6〜8のアルミノケイ酸塩試料について、上記と同様の<吸着試験>を行った。得られた結果を以下の表6に示す。
表6に示す結果から、実施例6〜8において、イオン交換工程の代わりに熟成工程により製造したアルミノケイ酸塩は、イオン交換工程により製造した実施例1〜5のアルミノケイ酸塩と同様に、高いストロンチウムの選択的吸着性能を有することが判る。従って、これら実施例6〜8で得られたアルミノケイ酸塩も、実施例1〜5のアルミノケイ酸塩と同様にストロンチウム吸着剤として好適であることは明らかである。
<実施例9>
Na−A型ゼオライト(日本化学工業株式会社製 Na−100P)83質量部、ベントナイト17質量部を混合し、その混合物を皿型造粒機(直径600mm)に給粉しながら、水を噴霧した転動造粒を行った。造粒後、造粒物を110℃、2時間乾燥後650℃で2時間焼成した。焼成品を850μmと1.4mmのフルイで分級して、球状のNa−A型ゼオライトを含む粒状体(以下、単にNa−A型ゼオライト粒状体ともいう)(サイズ;1mmφ、Na−A型ゼオライト含有量83%)を調製した。
塩化バリウム2水塩17.0gをイオン交換水に溶解して全量を340gに調製した。ここに前記で調製したNa−A型ゼオライト粒状体30gを入れた。Na−A型ゼオライト粒状体添加後のスラリーに占めるNa−A型ゼオライトの割合は、8.1%であった。スラリーにおけるBaから換算されるBaOと、Na−A型ゼオライトを含む粒状体中のNa2Oとのモル比BaO/Na2Oは1.01であった。得られたスラリーを緩やかに撹拌しながら液温を50℃に調製して6時間撹拌を継続した。撹拌終了後、300μm篩に全量を空けて、水切りを行い、イオン交換水で十分洗浄した後、110℃で1昼夜乾燥を行い吸着剤試料を得た。
イオン交換処理前のNa−A型ゼオライト粒状体及び得られた吸着剤試料のそれぞれについて上記測定装置及び条件にて蛍光X線による成分分析を行った。その結果を表7に示す。また、得られた吸着剤試料について上記測定装置及び条件によりX線回折測定を行った。実施例9の吸着剤試料のX線回折測定により検出された回折ピークの角度(°)及び相対強度(I/I0)を表8に示す。同表の通り、実施例9の吸着剤試料には29.8°以上30.2°以下、23.8°以上24.2°以下、及び7.0°以上7.4°以下、10.0°以上10.6°以下及び12.4°以上12.8°以下の各範囲に回折ピークが認められる。
<実施例10>
Na−A型ゼオライト(日本化学工業株式会社製 Na−100P)85質量部、ベントナイト15質量部を混合し、その混合物を皿型造粒機(直径600mm)に給粉しながら、水を噴霧した転動造粒を行った。造粒後、造粒物を110℃、2時間乾燥後650℃で2時間焼成した。焼成品を1.7mmと2.36mmのフルイで分級して球状のNa−A型ゼオライト粒状体(サイズ;2mmφ、Na−A型ゼオライト含有量85%)を調製した。
次いで、実施例9と同様にして反応を行って、吸着剤試料を得た。Na−A型ゼオライト粒状体添加後のスラリーに占めるNa−A型ゼオライトの割合は、8.1%であった。スラリーにおけるBaから換算されるBaOと、Na−A型ゼオライトを含む粒状体中のNa2Oとのモル比BaO/Na2Oは0.99であった。
イオン交換処理後に得られた吸着剤試料を上記測定装置及び条件にて測定したところ吸着剤中のBaO含有量は21.1%であった。
また、得られた吸着剤試料について上記測定装置及び条件によりX線回折測定を行った。実施例10の吸着剤試料のX線回折測定により検出された回折ピークの角度(°)及び相対強度(I/I0)を表9に示す。同表の通り、実施例10の吸着剤試料には29.8°以上30.2°以下、23.8°以上24.2°以下、及び7.0°以上7.4°以下、10.0°以上10.6°以下及び12.4°以上12.8°以下の各範囲に回折ピークが認められる。
<実施例11>
球状Na−A型ゼオライト粒状体(サイズ;1mmφ、Na−A型ゼオライト含有量83%)83質量部に代えて、市販の柱状Na−A型ゼオライト粒状体(サイズ;1/16インチφ、長さ2〜7mm、Na−A型ゼオライト含有量推定90%、和光純薬社製 モレキュラシーブ4A 1/16)83質量部を用いた以外は、実施例9と同様にして反応を行って、吸着剤試料を得た。Na−A型ゼオライト粒状体添加後のスラリーに占めるNa−A型ゼオライトの割合は、8.1%であった。スラリーにおけるBaから換算されるBaOと、Na−A型ゼオライトを含む粒状体中のNa2Oとのモル比BaO/Na2Oは0.93であった。
イオン交換処理前のNa−A型ゼオライト粒状体及び得られた吸着剤試料のそれぞれについて上記測定装置及び条件にて蛍光X線による成分分析を行った。その結果を表10に示す。また、得られた吸着剤試料について上記測定装置及び条件によりX線回折測定を行った。実施例11の吸着剤試料のX線回折測定により検出された回折ピークの角度(°)及び相対強度(I/I0)を表11に示す。同表の通り、実施例11の吸着剤試料には29.8°以上30.2°以下、23.8°以上24.2°以下、及び7.0°以上7.4°以下、10.0°以上10.6°以下及び12.4°以上12.8°以下の各範囲に回折ピークが認められる。
また、実施例9〜11の吸着剤試料について、上記の<吸着試験>におけるストロンチウム吸着試験と同様の試験を行った。得られた結果を以下の表12に示す。
表12に示す結果から、実施例9〜11において製造した吸着剤試料は、実施例1〜8で得られた吸着剤試料と同様に、高いストロンチウムの選択的吸着性能を有し、ストロンチウム吸着剤として好適であることは明らかである。

Claims (8)

  1. バリウムを含有するアルミノケイ酸塩を含むストロンチウム吸着剤であって、粉末X線回折法によって少なくとも29.8°以上30.2°以下、23.8°以上24.2°以下、及び7.0°以上7.4°以下に回折ピークが観察されるNa−A型ゼオライト様の回折パターンを呈するストロンチウム吸着剤。
  2. 前記アルミノケイ酸塩におけるBaO含有率が2質量%以上38質量%以下である請求項1に記載のストロンチウム吸着剤。
  3. 粒度範囲が2μm以上2000μm以下である粉体からなる請求項1又は2に記載のストロンチウム吸着剤。
  4. 前記アルミノケイ酸塩を含む粒状体からなる請求項1又は2に記載のストロンチウム吸着剤。
  5. 請求項1に記載のストロンチウム吸着剤の製造方法であって、
    Na−A型ゼオライトとバリウム含有水溶液とを混合して、Na−A型ゼオライト中のナトリウムをバリウムとイオン交換する工程を有し、
    前記工程においては、Na−A型ゼオライトと前記バリウム含有水溶液とを混合した後の混合液に占めるNa−A型ゼオライトの割合が3質量%以上30質量%以下になり、且つ、BaO/Na2Oのモル比が、0.04以上1.5以下になるような混合比率でNa−A型ゼオライトと該バリウム含有水溶液とを混合する、ストロンチウム吸着剤の製造方法。
  6. 請求項1に記載のストロンチウム吸着剤の製造方法であって、
    以下に示すモル比で表される組成の混合液となるように、ケイ素源と、アルミニウム源と、バリウム源と、アルカリ源と、水とを混合し、得られた混合液を40℃以上100℃以下の加熱下に保持して熟成させる工程を有する、ストロンチウム吸着剤の製造方法。
    SiO2/Al23が1.8以上2.2以下
    Na2O/SiO2が2.0以上3.0以下
    Al23仕込み量から換算したA型ゼオライト Na2O・Al23・2SiO2・4.5H2Oより算出されるNa2Oに対するBaOの比BaO/Na2Oが0.04以上1.5以下
  7. 請求項4に記載のストロンチウム吸着剤の製造方法であって、
    Na−A型ゼオライトを含む粒状体とバリウム含有水溶液とを混合して、Na−A型ゼオライトを含む粒状体中のナトリウムをバリウムとイオン交換する工程を有する、ストロンチウム吸着剤の製造方法。
  8. 前記工程においては、Na−A型ゼオライトを含む粒状体と前記バリウム含有水溶液とを混合した後の混合液に占めるNa−A型ゼオライトの割合が3質量%以上30質量%以下になり、且つ、BaO/Na2Oのモル比が、0.04以上1.5以下になるような混合比率でNa−A型ゼオライトを含む粒状体と該バリウム含有水溶液とを混合する、請求項7に記載のストロンチウム吸着剤の製造方法。
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JP2021087901A (ja) * 2019-12-02 2021-06-10 栗田工業株式会社 水処理用浄化剤の製造方法

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