JPH10195426A - 冷凍装置用作動媒体及びこの媒体を用いた冷凍装置 - Google Patents

冷凍装置用作動媒体及びこの媒体を用いた冷凍装置

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JPH10195426A
JPH10195426A JP9002634A JP263497A JPH10195426A JP H10195426 A JPH10195426 A JP H10195426A JP 9002634 A JP9002634 A JP 9002634A JP 263497 A JP263497 A JP 263497A JP H10195426 A JPH10195426 A JP H10195426A
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JP
Japan
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acid
refrigerating
machine oil
refrigerating machine
perfluoroalkylcarboxylic
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Application number
JP9002634A
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Inventor
Akira Ota
亮 太田
Yutaka Ito
伊藤  豊
Kenichi Kawashima
憲一 川島
Hiroshi Sasaki
佐々木  洋
Mina Ishida
美奈 石田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フッ化炭化水素系冷媒と、冷凍機油とで構成さ
れる組成物の摺動部の摩擦係数を低減させ、耐熱摩耗性
を大幅に向上させる。 【解決手段】フッ化炭化水素系冷媒と冷凍機油とで構成
される冷凍装置用作動媒体において、次の一般式で表さ
れるパーフルオロアルキルカルボン酸グリセライドを配
合することを特徴とする冷凍装置用作動媒体。 【化4】 (式中、R1,R2,R3 はそれぞれ独立に炭素数4から
12のパーフルオロアルキルカルボン酸残基あるいは水
素を表す。但し、R1,R2,R3 は同一であっても異な
っていても良いが、同時に水素となることはない。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍機用および空
気調和機用冷媒圧縮式冷凍装置作動媒体およびその媒体
を用いた冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、冷凍装置の冷媒は、CFC12
(ジクロロジフルオロメタン)やHCFC22(モノクロロジ
フルオロメタン)が用いられているが、これらCFC
(クロロフルオロカーボン)系冷媒およびHCFC(ハ
イドロクロロフルオロカーボン)系冷媒は環境保護の観
点から全廃されることとなった。これらの代替冷媒とし
て考えられるものは、分子中に塩素を含まず、現在使用
の冷媒の沸点に近い沸点を持つHFC(ハイドロフルオ
ロカーボン)[フッ化炭化水素]系冷媒及びそれらを複
数種類混合した混合冷媒が挙げられている。
【0003】冷凍機油は、冷蔵庫,ルームエアコン,パ
ッケージエアコン,冷凍機等の冷凍空調機用圧縮機に使
用され、その摺動部の潤滑,密封,冷却等の役割を果た
すものである。近年圧縮機は、省エネルギ化,小型化,
低騒音化,高効率化が要求され、これに伴って冷凍機油
の使用条件が苛酷化している。このため、圧縮機の信頼
性確保の面から、潤滑性、特に耐摩耗性に優れた冷凍機
油が要求される。冷凍機油は、ナフテン系やパラフィン
系鉱油及びアルキルベンゼンがCFC系,HCFC系冷媒と
の相溶性が良いことから広く用いられている。しかし、
これらの冷凍機油は、HFC系冷媒には全く溶解しな
い。そこで、これらに相溶する冷凍機油として分子中に
極性基を持つ膨肪族系合成油であるポリオールエステル
が開発され、特開昭62−13912 号,特開平3−505602
号,特開平4−183788 号公報などに開示されている。
【0004】また、HFC系冷媒は分子中に塩素を含ん
でいないので、従来の冷媒に比べて、冷媒自身の潤滑効
果が全く期待できない。そのため、より一層の潤滑性が
冷凍機油に要求されている。
【0005】一般の冷凍機油には種々の添加剤が使用さ
れており、潤滑性向上剤もその一つである。鉱油系冷凍
機油の潤滑性向上剤には、例えば、トリフェニルホスフ
ェートやトリクレジルホスフェート等の第三級ホスフェ
ート系のリン化合物が知られている(桜井俊男編著,石
油製品添加剤,幸書房,昭和48年5月15日)。ま
た、HFC系冷媒に適合する冷凍機油の潤滑性向上剤
は、(1)第二級ホスファイト,アシッドホスファイト
(特開平4−28792号公報)、(2)ポリオキシアルキレ
ンアルキルエーテルのリン酸エステル(特開昭62−7929
5 号公報)、(3)第二級ホスファイトあるいはアシッ
ドホスファイトのアミン塩(特開昭63−90597号,特開平
3−39400号公報)、(4)有機モリブデン化合物(特開
平5−39494号公報)等がある。しかし、これらの添加剤
はいずれも耐摩耗性,信頼性確保の面で十分な効果が得
られない。また、耐熱安定性,フッ化炭化水素系冷媒又
は冷凍機油との溶解性が劣るため、冷凍サイクルの効率
を低下させたり、圧縮機の信頼性を低下させるなどの欠
点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】冷凍機用および空気調
和機用冷媒圧縮機にはスクロール,レシプロ,スクリュ
ー,ロータリ式等容積形圧縮機とターボ式等の容量形圧
縮機がある。圧縮手段の例としてスクロール式圧縮機の
概略構造を図1に示した。
【0007】図1に示すように、圧縮機は固定スクロー
ル部材1の端板3に直立する渦巻状ラップ5と、固定ス
クロール部材1と実質的に同一形状の端板4,ラップ6
からなる旋回スクロール部材2とをお互いにラップ5と
ラップ6とを向かい合わせにして噛み合わせて圧縮機構
部を形成し、旋回スクロール部材2を回転軸に結合され
た動作変換機構であるクランクシャフト7によって旋回
運動させる。固定スクロール部材1及び旋回スクロール
部材2によって形成される圧縮室8(8a,8b…)の
うち、最も外側に位置している圧縮室は、旋回運動に伴
って容積が次第に縮小しながら、両スクロール部材1,
2の中心に向かって移動していく。
【0008】両圧縮室8a,8bが両スクロール部材
1,2の中心近くに達したとき、両圧縮室8a,8bが
吐出口9と連通して、両圧縮室内の圧縮ガスが吐出さ
れ、固定スクロール部材1及びフレーム10に設けられ
たガス通路(図示せず)を通ってフレーム下部の圧縮容
器11内に至り、前記圧縮容器11の側壁に設けられた
吐出パイプ12から圧縮機外に吐出される。
【0009】本圧縮機では、圧力容器11内に電動モー
タ13が内蔵されており、圧縮機外部の図示しないイン
バータによって制御された電圧に応じた回転速度でクラ
ンクシャフト7が回転し、圧縮動作を行う。また、モー
タ13の下部に油溜め部が設けられており、この油はク
ランクシャフトに設けられた油孔14を通って、旋回ス
クロール部材2とクランクシャフト7との摺動部,滑り
軸受け16等の潤滑に供される。
【0010】次に、冷凍サイクルについて説明する。冷
暖房兼用のルームエアコンやパッケージエアコンなどの
ヒートポンプ冷凍サイクル構成図を図2に示した。
【0011】室内を冷房する場合は、圧縮機18の吐出
パイプより断熱的に圧縮された高温高圧の冷凍ガスは四
方弁19を通り室外熱交換器20(凝縮手段として使用
される)で冷却され、高圧の液冷媒となる。この冷媒は
膨張手段21(例えば、キャピラリーチューブや温度式
膨張弁など)で断熱的に膨張され、僅かにガスを含む低
温低圧液となって室内熱交換器22(蒸発手段として使
用される)に至り、室内の空気から熱を得て低温ガスの
状態で再び四方弁19を通って圧縮機18に至る。室内
を暖房する場合は、四方弁19によって冷媒の流れは逆
方向に変えられ、逆作用となる。
【0012】このスクロール式圧縮機において、滑り軸
受けの摩擦条件が苛酷なことから優れた耐摩耗性を有す
る冷凍機油が必要とされる。
【0013】本発明の目的は、耐摩耗性に優れた冷凍装
置用作動媒体と該媒体を用いた冷凍装置を提供すること
にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の問題点を
解決するため、フッ化炭化水素系冷媒と冷凍機油とで構
成される冷凍装置用作動媒体において、次の一般式で表
されるパーフルオロアルキルカルボン酸グリセライドを
含有させた冷凍装置用作動媒体を提供する。
【0015】
【化3】
【0016】(式中、R1,R2,R3 はそれぞれ独立に
炭素数4から12のパーフルオロアルキルカルボン酸残
基あるいは水素を表す。但し、R1,R2,R3 は同一で
あっても異なっていても良いが、同時に水素となること
はない。) 冷凍装置用作動媒体の構成成分であるフッ化炭化水素系
冷媒として、1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(CF3・CH2F;HFC134a ),ジフルオロメタン(C
22;HFC32),ペンタフルオロエタン(CF3
CHF2;HFC125)、1,1,2,2−テトラフルオロエ
タン(CHF2・CHF2;HFC134)、1,1,1−トリ
フルオロエタン(CF3・CH3;HFC143a )の単体、あ
るいは、これらフッ化炭化水素系冷媒を複数種類混合し
たR407C,RA410A,R410Bが挙げられる。この
うち、HCFC22の代替冷媒として使用されるR410Aで
は同一環境で使用すると圧縮機の吐出圧力はHCFC22の約
1.6 倍にも達し、圧縮機の摺動条件が厳しくなる。
【0017】冷凍機油は、ポリオールエステル,ポリエ
ーテル,ポリカーボネート,ナフテン系鉱油,パラフィ
ン系鉱油,アルキルベンゼン等が挙げられる。このう
ち、最も代表的なポリオールエステルについて述べる。
ポリオールエステルは、多価アルコールと1価の脂肪酸
とから合成されるポリオールエステル、あるいは多価ア
ルコールと2価の脂肪酸、又は2価および1価の混合脂
肪酸とから合成されるコンプレックス形がある。例えば
多価アルコールは、ネオペンチルグリコール,トリメチ
ロールプロパン,ペンタエリスリトール,ジペンタエリ
スリトールがある。1価の脂肪酸は、ペンタン酸,ヘキ
サン酸,ヘプタン酸,オクタン酸,2−メチルブタン
酸,2−メチルペンタン酸,2−メチルヘキサン酸,2
−エチルヘキサン酸,イソオクタン酸,3,5,5−ト
リメチルヘキサン酸等があり、これら単独又は複数種類
の混合脂肪酸を用いる。2価の脂肪酸はアジピン酸,ピ
メリン酸,スべリン酸,アゼライン酸,セバシン酸等が
ある。
【0018】潤滑性向上剤であるパーフルオロアルキル
カルボン酸グリセライドは、グリセリンとパーフルオロ
アルキルカルボン酸またはこのカルボン酸誘導体から得
られる。以下に得られたパーフルオロアルキルカルボン
酸グリセライドを示す。パーフルオロブタン酸モノグリ
セライド,パーフルオロブタン酸ジグリセライド,パー
フルオロブタン酸トリグリセライド,パーフルオロペン
タン酸モノグリセライド,パーフルオロペンタン酸ジグ
リセライド,パーフルオロペンタン酸トリグリセライ
ド,パーフルオロヘキサン酸モノグリセライド,パーフ
ルオロヘキサン酸ジグリセライド,パーフルオロヘキサ
ン酸トリグリセライド,パーフルオロヘプタン酸モノグ
リセライド,パーフルオロヘプタン酸ジグリセライド,
パーフルオロヘプタン酸トリグリセライド,パーフルオ
ロオクタン酸モノグリセライド,パーフルオロオクタン
酸ジグリセライド,パーフルオロオクタン酸トリグリセ
ライド,パーフルオロノナン酸モノグリセライド,パー
フルオロノナン酸ジグリセライド,パーフルオロノナン
酸トリグリセライド,パーフルオロデカン酸モノグリセ
ライド,パーフルオロデカン酸ジグリセライド,パーフ
ルオロデカン酸トリグリセライド,パーフルオロウンデ
カン酸モノグリセライド,パーフルオロウンデカン酸ジ
グリセライド,パーフルオロウンデカン酸トリグリセラ
イド,パーフルオロドデカン酸モノグリセライド,パー
フルオロドデカン酸ジグリセライド,パーフルオロドデ
カン酸トリグリセライド等があり、それら混合物でもよ
い。潤滑性向上剤であるパーフルオロアルキルカルボン
酸グリセライドの配合割合は、前述した冷凍機油に対し
て0.01 重量%から5.0 重量%であり、0.1〜1.
0重量%の割合で配合することがより好ましい。パ〜フ
ルオロアルキルカルボン酸のアミン塩の配合割合を0.
01 重量%以下の配合割合では耐摩耗性が十分に得ら
れないためである。一方、パーフルオロアルキルカルボ
ン酸グリセライドの配合割合が5.0 重量%以上では冷
凍機油に完全に溶解せず、ドライヤーあるいはキャピラ
リーチューブの閉塞現象の要因となる。
【0019】なお、本発明の目的を阻害しない範囲以内
であれば、冷凍装置用作動媒体に酸化防止剤,酸捕捉
剤,消泡剤,金属不活性剤等を添加してもよい。
【0020】冷凍機油にパーフルオロアルキルカルボン
酸グリセライドを添加することにより、摺動面に強固な
吸着膜を形成させ、金属同士の接触を防ぎ、摩擦係数を
低減させ、かつ耐摩耗性を飛躍的に向上させる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例による更に
詳細に説明する。実施例1に代表的なフッ素化グリセラ
イド誘導体の合成法を示す。
【0022】〔実施例1〕乾燥窒素でパージされた50
0ml用の3口フラスコに充分に脱水されたグリセリン
2.2g(0.024mol)と1規定の塩酸1mlをジメチ
ルホルムアミド19.8g に溶解し、十分に撹拌する。
この溶液中にパーフルオロオクタン酸5g(0.012mo
l)を溶解したジメチルホルムアミド45gをゆっくり
滴下し、室温、10時間で乾燥窒素を流しながら撹拌し
て溶液(1)を得る。次に溶液(1)に塩酸と同モルの
ピリジンを加え、更に室温で1時間撹拌させる。反応
後、500ml用の分液ロートに溶液(1)を移し、ト
リクロロトリフルオロエタン100mlで3回抽出す
る。下層を取り分け溶液(2)を得る。溶液(2)から
水分を除去するため無水硫酸ナトリウムを適量加え良く
撹拌の後、これをろ過する。次いで溶液(2)をエバポ
レータで溶媒を除去し、白色で固体のパーフルオロオク
タン酸モノグリセライドおよびパーフルオロオクタン酸
ジグリセライドとの混合物5gを得る。合成された化合
物の構造は赤外吸収スペクトルメータにより確認した。
原料であるパーフルオロオクタン酸Aと合成された化合
物Bの赤外吸収スペクトルを図3に示す。合成された化
合物は1740cm~1付近に原料であるパーフルオロオク
タン酸にはないエステルの吸収がみられることから、グ
リセリンがパーフルオロオクタン酸とエステル化してい
ることが確認できた。
【0023】〔実施例2〜10〕フッ化炭化水素系冷媒
(HFC),冷凍機油,潤滑性向上剤であるパーフルオ
ロアルキルカルボン酸グリセライドとして下記のものを
用いた。
【0024】フッ化炭化水素系冷媒 HFC134a を使用した。
【0025】冷凍機油 ペンタエリスリトールのカルボン酸エステルを使用し
た。粘度グレードはVG32である。
【0026】潤滑性向上剤 A:パーフルオロブタン酸グリセライド B:パーフルオロペンタン酸グリセライド C:パーフルオロヘキサン酸グリセライド D:パーフルオロヘプタン酸グリセライド E:パーフルオロオクタン酸グリセライド F:パーフルオロノナン酸ジグリセライド G:パーフルオロデカン酸ジグリセライド H:パーフルオロウンデカン酸ジグリセライド I:パーフルオロドデカン酸ジグリセライド これらの潤滑性向上剤を冷凍機油に対して0.5 重量%
添加した冷凍機油について、その耐摩耗性をファレック
ス試験機を用い、次の手法により評価した。直径約6mm
の回転軸(ピン)を2個のVブロックで左右から対称に
挟んで、オイルカップに充填した冷凍機油に浸す。油中
にHFC134a を150ml/min の流量で、10分間吹込
み、油中に飽和させる。さらに試験中も吹込みを続け
る。次いで荷重250lb,油温100℃,回転速度2
90rpm で5時間運転し、ファレックス試験機の負荷機
構であるラチェットの荷重補正した目盛り変化からピン
とVブロックの合計の摩耗深さを計算によって求めた値
を摩耗量とした。なお、室温から100℃まで昇温する
間、50lbで約10分ならし運転を行った。
【0027】〔比較例1〜4〕フッ化炭化水素系冷媒
(HFC),冷凍機油,潤滑性向上剤として下記のもの
を用いた。
【0028】フッ化炭化水素系冷媒 HFC134a を使用した。
【0029】冷凍機油 ペンタエリスリトールのカルボン酸エステルを使用し
た。粘度グレードはVG32である。
【0030】潤滑性向上剤 J:トリクレジルホスフェート K:ジラウリルハイドロジエンホスファイト L:オレイルアルコール 評価は実施例2〜10と同様の条件で行った。
【0031】ポリオールエステルで行ったファレックス
試験結果を表1に示す。表1から明らかなように、本発
明の冷凍装置用作動媒体は、基油単独、比較例で用いた
潤滑性向上剤に比べ、摩耗性が少なく耐摩耗性に優れ、
同時に摩擦係数も低減している。
【0032】
【表1】
【0033】〔実施例11〜18〕 〔比較例5〜11〕次に実施例2〜10で、耐摩耗性を
向上させることが確かめられたパーフルオロアルキルカ
ルボン酸グリセライドを用い、潤滑性向上剤の添加量と
冷凍機油の種類を変えて、ファレックス試験機を用い、
耐摩耗性を評価した。
【0034】フッ化炭化水素系冷媒 HFC134a を使用した。
【0035】冷凍機油 トリメチロールプロパンのカルボン酸エステル(粘度グ
レードはVG56) ポリエーテル(粘度グレードはVG68) ポリカーボネート(粘度グレードはVG68) ナフテン系鉱油(粘度グレードはVG56) アルキルベンゼン(粘度グレードはVG56) この潤滑性向上剤を各冷凍機油に所定の割合で配合した
冷凍機油について、下記の試験条件で耐摩耗性を評価し
た。HFC134a の流量150ml/min ,荷重100l
b,油温120℃,回転速度290rpm ,5時間,なら
し運転50lbで約10分とした。摩耗量は実施例1と
同様な手法により求めた。
【0036】表2に実施例及び比較例の結果を示した。
【0037】
【表2】
【0038】表2から明らかなように、本発明の冷凍装
置用作動媒体は、基油の種類に関係なく基油単独の比較
例に比べ、摩耗量が少なく耐摩耗性に優れている。な
お、比較例6に示したように、冷凍機油に対し、パーフ
ルオロアルキルカルボン酸グリセライドを0.01 重量
%以下添加したものは、十分な耐摩耗性が得られない。
また、比較例7に示したようにパーフルオロアルキルカ
ルボン酸グリセライドを10重量%添加したものは、完
全に冷凍機油に溶解しないため、試験が実施できなかっ
た。
【0039】〔実施例19〕 〔比較例12〜14〕次に上記実施例2〜10で、耐摩
耗性を向上させることが確かめられたパーフルオロアル
キルカルボン酸グリセライドEを用い、熱安定性を評価
した。また、比較として基油単独及び、潤滑性向上剤の
Kを用いた。
【0040】フッ化炭化水素系冷媒 R407Cを使用した。
【0041】冷凍機油 ペンタエリスリトールのカルボン酸エステルを使用し
た。粘度グレードはVG68である。
【0042】前記したフッ化炭化水素系冷媒と冷凍機油
を1:1の重量比でガラスアンプル管に封管し、シール
ドチューブテストを実施した。潤滑性向上剤は冷凍機油
に対し、0.5 重量%添加した。触媒には銅,鉄,アル
ミを共存させ、175℃,21日間加熱した後の油を1
/10N−KOH水溶液(インプロパノール性)で滴定
し全酸価を求めた。
【0043】熱安定性の評価結果を表3に示した。
【0044】
【表3】
【0045】表3から明らかなように、本発明の冷凍装
置用作動媒体は、基油単独及び比較例12の潤滑性向上
剤と比べ、全酸価の増加が小さく耐熱安定性に優れてい
る。また、触媒の変色もみられなかった。
【0046】次に、フッ化炭化水素系冷媒と潤滑性向上
剤を配合した冷凍機油との相溶性を評価した。また、比
較として冷凍機油単体及び、潤滑性向上剤のLを用い
た。
【0047】フッ化炭化水素系冷媒 HFC134a を使用した。
【0048】冷凍機油 ペンタエリスリトールのカルボン酸エステルを使用し
た。粘度グレードはVG32である。
【0049】前記したフッ化炭化水素系冷媒と冷凍機油
との相溶性をJIS K2211により評価した。
【0050】相溶性の評価結果を表3に示した。表3か
ら明らかなように、本発明の冷凍装置用作動媒体は、フ
ッ化炭化水素系冷媒と冷凍機油との相溶性を阻害するこ
とがなく、比較例13の潤滑性向上剤と比べ、フッ化炭
化水素系冷媒と冷凍機油に対して優れた溶解性を示す。
【0051】〔実施例20〕実際のスクロール式圧縮機
が組み込まれた冷凍サイクルに、冷凍機油単独,潤滑性
向上剤としてパーフルオロアルキルカルボン酸グリセラ
イドEを0.5 重量%添加した冷凍機油及び潤滑性向上
剤としてジラウリルハイドロジエンホスファイトKを
0.5 重量%添加した冷凍機油をそれぞれ用い、一定条
件,一定時間で運転し、滑り軸受けの摩耗量を比較し
た。
【0052】フッ化炭化水素系冷媒としてR410Aを
使用し、冷凍機油として実施例11で示したものを用い
た。
【0053】このスクロール式圧縮機で潤動が苛酷な滑
り軸受けである。このため、シャフトの摩耗量を測定す
ることにより耐摩耗性を評価した。
【0054】シャフト摩耗量と時間の関係を図4に示
す。潤滑性向上剤としてジラウリルハイドロジエンホス
ファイトKを配合した冷凍機油は、初期の摩耗量は少な
いが、摩擦時間が長いと摩耗が大幅に増加している。ま
た、熱安定性が劣るため試験後の油の全酸価も高く、冷
凍サイクルの膨張手段であるキャピラリーチューブに付
着物がみられた。一方、冷凍機油単独では、R410A
は吐出圧力が高いことによるベーン押し付け力が増加し
ており、このため、現行組合せのHCFC22/鉱油に比べて
摩耗量が僅かに大きく、摩耗を十分に抑制できていな
い。これに対し、潤滑性向上剤としてパーフルオロアル
キルカルボン酸グリセライドEを配合した冷凍機油は、
冷凍機油単独と比較して摩耗も少なく、試験後の油の全
酸価も低く、冷凍サイクルの膨張手段であるキャピラリ
ーチューブの閉塞もみられなかった。以上の結果から、
これらのパーフルオロアルキルカルボン酸グリセライド
を、冷凍機油に対し0.01 重量%以上添加することに
より、冷凍機油の種類に関係なく、冷凍装置用作動媒体
の耐摩耗性を著しく向上させ、かつ摩擦係数を低減させ
ることが確かめられた。
【0055】本発明の冷凍装置用作動媒体を冷凍装置に
用いることにより、摺動部の摩耗を抑制し、また、冷凍
サイクルを閉塞せず、信頼性を大幅に向上させることが
確かめられた。
【0056】なお、本発明では塩素を含まない代替冷媒
によく溶解するポリオールエステルについてのみ実機評
価の結果を述べたが、例えば冷凍サイクルから圧縮機へ
の油戻りを確実なものとするための油回収機構を設置し
たり、フッ化炭化水素系冷媒にプロハンやイソブタン,
ペンタンを僅かに混合するなどして、炭化水素系冷媒と
は不溶解の鉱油はアルキルベンゼンを使用した冷凍サイ
クルにも適用できる。また、潤滑性や冷媒との相溶性を
損なわない範囲で酸化防止剤,酸捕捉剤,消泡剤,金属
不活性剤等を混合しても良い。
【0057】
【発明の効果】本発明の冷凍装置用作動媒体は、フッ化
炭化水素系冷媒と、冷凍機油とで構成される組成物に、
パーフルオロアルキルカルボン酸グリセライドを0.0
1 重量%以上を添加することにより、冷凍サイクルを
閉塞させず、圧縮機摺動部の摩耗を抑制し、摩擦係数を
低減させ、信頼性の高い冷凍装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクロール式圧縮機を説明する断面図。
【図2】冷凍装置の冷凍サイクルの説明図。
【図3】波数−吸光度の特性図。
【図4】摩耗量の特性図。
【符号の説明】
1…固定スクロール部材、2…旋回スクロール部材、
3,4…端板、5,6…ラップ、7…クランクシャフ
ト、8…圧縮室、9…吐出口、10…フレーム、11…
圧力容器、12…吐出パイプ、13…モータ、14…油
孔、15…アルダムリング、16…滑り軸受け、17…
吸入パイプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 洋 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 石田 美奈 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ化炭化水素系冷媒と冷凍機油とで構成
    される冷凍装置用作動媒体において、グリセリンとパー
    フルオロアルキルカルボン酸とで合成されるパーフルオ
    ロアルキルカルボン酸モノグリセライドあるいはパーフ
    ルオロアルキルカルボン酸ジグリセライドあるいはパー
    フルオロアルキルカルボン酸トリグリセライドあるいは
    それら混合物を配合することを特徴とする冷凍装置用作
    動媒体。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のパーフルオロアルキルカ
    ルボン酸モノグリセライドあるいはパーフルオロアルキ
    ルカルボン酸ジグリセライドあるいはパーフルオロアル
    キルカルボン酸トリグリセライドあるいはそれら混合物
    が、次の一般式で表されるパーフルオロアルキルカルボ
    ン酸グリセライドである冷凍装置用作動媒体。 【化1】 (式中、R1,R2,R3 はそれぞれ独立に炭素数4から
    12のパーフルオロアルキルカルボン酸残基あるいは水
    素を表す。但し、R1,R2,R3 は同一であっても異な
    っていても良いが、同時に水素となることはない。)
  3. 【請求項3】請求項2に記載のパーフルオロアルキルカ
    ルボン酸グリセライドが冷凍機油に対し、0.01 重量
    %から5.0 重量%含む冷凍装置用作動媒体。
  4. 【請求項4】請求項2に記載のパーフルオロアルキルカ
    ルボン酸グリセライドがパーフルオロオクタン酸グリセ
    ライドである冷凍装置用作動媒体。
  5. 【請求項5】請求項4に記載のパーフルオロオクタン酸
    が冷凍機油に対し、0.01 重量%から5.0 重量%含
    む冷凍装置用作動媒体。
  6. 【請求項6】圧縮手段,凝縮手段,膨張手段,蒸発手段
    とで構成される冷凍サイクルを備えた冷凍装置におい
    て、冷凍装置用作動媒体として、フッ化炭化水素系冷媒
    と、冷凍機油と、次の一般式で表されるパーフルオロア
    ルキルカルボン酸グリセライドを含む冷凍装置。 【化2】 (式中、R1,R2,R3 はそれぞれ独立に炭素数4から
    12のパーフルオロアルキルカルボン酸残基あるいは水
    素を表す。但し、R1,R2,R3 は同一であっても異な
    っていても良いが、同時に水素となることはない。)
  7. 【請求項7】請求項6に記載のパーフルオロアルキルカ
    ルボン酸グリセライドが冷凍機油に対し、0.01 重量
    %から5.0 重量%含む冷凍装置。
  8. 【請求項8】請求項6に記載のパーフルオロアルキルカ
    ルボン酸グリセライドがパーフルオロオクタン酸グリセ
    ライドである冷凍装置用作動媒体。
  9. 【請求項9】請求項8に記載のパーフルオロオクタン酸
    が冷凍機油に対し、0.01 重量%から5.0 重量%含
    む冷凍装置。
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