JPH10183158A - アルミニウム及びアルミニウム合金板の圧延方法 - Google Patents

アルミニウム及びアルミニウム合金板の圧延方法

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JPH10183158A
JPH10183158A JP34193596A JP34193596A JPH10183158A JP H10183158 A JPH10183158 A JP H10183158A JP 34193596 A JP34193596 A JP 34193596A JP 34193596 A JP34193596 A JP 34193596A JP H10183158 A JPH10183158 A JP H10183158A
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Masanori Ikeda
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Kuniaki Matsui
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 圧延油中の微生物の発生及び熱による圧延油
の劣化を防止し、板への油付着量の不足による焼き付き
も無く、板表面の残油も無い安定した圧延を可能とする
アルミニウム又はアルミニウム合金板の圧延方法を提供
する。 【解決手段】 (a)鉱物油、(b)脂肪酸若しくはそ
のモノエステル又は油脂:3乃至30重量%、(c)C
4乃至C18であるアルキル若しくはアルケニル(亜)リ
ン酸エステル:0.5乃至10重量%、(d) (R1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3は水素原
子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0又は1の
整数を、nは1乃至3の整数)の単量体と(メタ)アク
リルアミド及び/又は(メタ)アクリル酸塩との共重合
物で平均分子量が1万乃至100万のものの有機酸塩:
0.1乃至10重量%を含有する水分散型熱間圧延油組
成物を使用してアルミニウム又はアルミニウム合金組成
物を熱間圧延する際に、水分散型熱間圧延油組成物の温
度を40乃至70℃の範囲に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧延潤滑性、板表面
品質性及び乳化安定性が優れた水分散型のアルミ用熱間
圧延油を使用したアルミニウム又はアルミニウム合金板
の圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金板の
熱間圧延においては、圧延板表面から圧延ロール表面へ
アルミニウムが移着して、ロールコーティング層がロー
ル表面に形成されるため、圧延板はロールコーティング
層と接触しつつ圧延されることになる。従って、圧延板
の表面品質はロールコーティング層の性状によって左右
される。また、熱間圧延時に発生した板の表面欠陥は冷
間圧延後の板表面品質にも影響するので、熱間圧延にお
けるロールコーティング層の性状は極めて重要といえ
る。ロールコーティング層の性状は、圧延諸条件(板材
質、板温度、ブラシロール操業条件等)と圧延油により
変化する。従って、圧延油の選択は、ロールコーティン
グ層を制御する上で不可欠なものである。
【0003】熱間圧延では充分なロール冷却性が必要と
なるため、圧延油はエマルションの形で使用されてい
る。このため、従来、アルミニウム又はアルミニウム合
金の熱間圧延油としては、一般に、鉱物油を基油とし
て、脂肪酸、油脂及び脂肪酸エステル等の油性向上剤、
極圧剤、防錆剤及び酸化防止剤等を配合し、これを主に
陰イオン性界面活性剤で乳化し、通常3乃至10%濃
度、油粒径1乃至3μmの乳化型エマルションが使用さ
れている。
【0004】アルミニウム又はアルミニウム合金の熱間
圧延油に要求される性能としては、潤滑性、ロールコー
ティング性、表面品質性、乳化安定性、作業性及び排水
処理性等が挙げられ、特に近年の大量生産化とアルミニ
ウム圧延品の高品質指向から、潤滑性、表面品質性及び
乳化安定性等の熱間圧延油に対する要求は益々高くなっ
てきている。
【0005】しかしながら、従来の乳化剤を使用したア
ルミニウム又はアルミニウム合金用熱間圧延油は、前述
の要求の全てを充分に満足するものではない。
【0006】従来の圧延油にあっては、乳化剤の種類と
添加量を選ぶことによって潤滑性を制御していたが、こ
のような乳化剤を使用した熱間圧延油においては、潤滑
性と乳化安定性とは相反する傾向を示し、両性能を共に
満足させることはできない。即ち、従来の圧延油では潤
滑性を増すと、乳化安定性は低下し、その結果潤滑性の
経時安定性が低下するため、板表面の品質安定性が問題
となる一方、乳化安定性を増すと、充分な潤滑性は得ら
れず、その結果板表面に種々の欠陥を発生するという問
題点がある。
【0007】そこで、本願発明者等は、従来のアルミニ
ウム及びアルミニウム合金用熱間圧延油が有する問題点
を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の潤滑油成分
を特定の単量体の共重合物の有機酸塩を使用して水中に
乳化分散させることにより、潤滑性、乳化安定性及び板
表面品質性を同時に満足しつつ、長期使用時の熱劣化に
よる性能低下の問題が改善されることを見いだし、先に
特許出願した(特開平7−150189号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この熱間圧延
油組成物は所期の目的は達成したものの、この熱間圧延
油組成物を使用した圧延においては、長期使用した場合
に、圧延油の温度変化により、圧延油中に微生物が発生
し、圧延油の乳化安定性を阻害することがあった。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、圧延油中の微生物の発生を防止し、また熱
による圧延油の劣化を防止することができ、板への油付
着量の不足による焼き付き及び板表面の残油が無く安定
した圧延を可能とするアルミニウム又はアルミニウム合
金板の圧延方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム又はアルミニウム合金板の圧延方法は、カチオン系の
高分子化合物を混合した水分散型熱間圧延油組成物を使
用するアルミニウム又はアルミニウム合金板の圧延方法
において、前記水分散型熱間圧延油の温度を40乃至7
0℃の範囲に制御することを特徴とする。
【0011】このカチオン系の高分子化合物を混合した
水分散型熱間圧延油組成物は、特開平7−150189
号公報に開示された発明に係るものであり、この潤滑油
の使用に際して、圧延油の温度を40乃至70℃の範囲
に制御することにより、圧延油中の微生物の発生及び熱
による圧延油の劣化を防止し、板への油付着量の不足に
よる焼き付きが無く、板表面の残油も無い安定した圧延
が可能となる。
【0012】この水分散型熱間圧延油組成物の組成は、
(a)粘度80cSt(40℃)以下の鉱物油に、
(b)炭素数10乃至22の脂肪酸、油脂、及び炭素数
10乃至22の脂肪酸と炭素数1乃至22のアルコール
類とのモノエステルからなる群から選択された1種又は
2種以上の化合物:3乃至30重量%、(c)アルキル
基又はアルケニル基の炭素数が4乃至18であるアルキ
ル若しくはアルケニルリン酸エステル又はアルキル若し
くはアルケニル亜リン酸エステル:0.5乃至10重量
%、(d)下記一般式(1)
【0013】
【化1】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3
水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0又
は1の整数を、nは1乃至3の整数を示す)で表される
単量体の1種以上と(メタ)アクリルアミド及び/又は
(メタ)アクリル酸塩との共重合物であって、平均分子
量が10,000乃至1,000,000の範囲にある
高分子化合物の一般式(2)
【0014】
【化2】 R4COOH (式中、R4は炭素数1乃至5のアルキル基、ヒドロキ
シアルキル基。カルボキシアルキル基又はカルボキシル
基を示す)で表される有機酸塩:0.1乃至10重量%
を含有する組成を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】本願発明者等が更に実験研究を行
った結果、この熱間圧延油組成物を使用した圧延におい
ては、長期使用した場合に、圧延油の温度変化により、
圧延油中に微生物が発生し、圧延油の乳化安定性を阻害
することが判明した。
【0016】即ち、前述の組成を有する水分散型アルミ
ニウム又はアルミニウム合金用熱間圧延油組成物を長期
使用して熱間圧延する上で、圧延油の温度が70℃を超
えると、圧延油の平均油粒径が5μm未満となるため、
板への油付着量が不足し、焼き付きが発生する。一方、
圧延油の温度が40℃未満の場合は、圧延油の平均油粒
径が15μmを超えるため、板への油付着量が過剰にな
り、板表面への残油が発生し、油残り模様が発生する。
しかし、圧延油の温度を40乃至70℃にすると、圧延
油の油粒子径を5乃至15μmの範囲で制御することが
できる。このため、本発明においては圧延油の温度を4
0乃至70℃とする。
【0017】このように、本発明に係る圧延方法によれ
ば、圧延油の温度を40乃至70℃に制御することによ
り、圧延油の平均油粒径を5乃至15μmの範囲で制御
することが可能となり、板表面の残油も無く、板への油
付着量の不足による焼き付けも無い安定した圧延が可能
になる。
【0018】次に、上記水分散型アルミニウム又はアル
ミニウム合金用熱間圧延油組成物について詳細に説明す
る。
【0019】先ず、本発明の熱間圧延油組成物の(a)
成分である鉱物油としては、例えばスピンドル油、マシ
ン油、タービン油、シリンダー油、ニュートラル油等が
挙げられるが、耐熱性及び潤滑性の点から、パラフィン
系鉱物油がより好ましい。鉱物油の粘度は80cSt
(40℃)以下であることが必要であり、80cStを
超えると板表面の品質が低下してしまう。この(a)成
分は基油であり、その配合量は特に制限されないが、3
8乃至96.4重量%、特に60乃至85重量%が好ま
しい。
【0020】(b)成分のうち、油脂としては鯨油、牛
脂、豚脂、ナタネ油、ヒマシ油、パーム油、ヤシ油等の
動植物油脂が挙げられる。炭素数10乃至22の脂肪酸
としては、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イ
ソステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸等が挙げられ
る。脂肪酸モノエステルとしては、炭素数10乃至22
の脂肪酸と炭素数1乃至22の脂肪族1価アルコール、
エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、グリセリン等とのモノエステル、より
具体的にはカプリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、オ
レイン酸ラウレート、エルカ酸2−エチルヘキシル、ペ
ンタエリスリトールモノオレート、グリセリンモノオレ
ート等が挙げられる。これらの(b)成分は油性向上剤
として作用するものであり、単独で又は2種以上を組み
合わせて使用することができる。またその添加量は3乃
至30重量%、より好ましくは10乃至25重量%であ
り、3重量%未満では潤滑性が低下し、30重量%を超
えると板表面の品質が低下する。また、油脂を配合する
場合は、油脂の添加量は20重量%までとするのがより
好ましい。
【0021】(c)成分であるアルキル若しくはアルケ
ニルリン酸エステル又はアルキル若しくはアルケニル亜
リン酸エステルは、アルキル又はアルケニル基の炭素数
が4〜18のものであり、その具体例としてジブチルホ
スフェート、モノオクチルホスフェート、トリオレイル
ホスフェート、トリブチルホスファイト、ジイソオクチ
ルホスファイト、トリオレイルホスファイト等が挙げら
れる。モノ−、ジ−、又はトリエステルのうち、特にモ
ノ−、ジエステルであるアルキル若しくはアルケニルア
シッドホスフェート又はアルキル若しくはアルケニルア
シッドホスファイトが好ましい。その添加量は0.5乃
至10重量%、より好ましくは1乃至5重量%であり、
0.5重量%未満では板表面の品質の向上はなく、10
重量%を超える添加では、増量による板表面の品質の向
上は期待できない。
【0022】(d)成分の高分子化合物としては、一般
式(1)の単量体と(メタ)アクリルアミドとの共重合
体、一般式(1)の単量体と(メタ)アクリル酸塩との
共重合体、一般式(1)の単量体と(メタ)アクリルア
ミドと(メタ)アクリル酸塩との共重合体等が挙げられ
る。このうち、一般式(1)の単量体と(メタ)アクリ
ルアミドと(メタ)アクリル酸塩とのモル比は、50乃
至90:0乃至20:10乃至50が特に好ましい。
【0023】一般式(1)の単量体のアミン体として
は、m=1のものとしてジメチルアミノエチルアクリル
アミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエ
チルアミノメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチ
ルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミド、ジエチルアミノメチルメタクリルアミド等
が;m=0のものとして、アリルアミン、ジメチルアミ
ノメチルエチレン、ジエチルアミノメチルエチレン、ジ
メチルアミノメチルプロペン、ジエチルアミノメチルプ
ロぺン等が挙げられるが、このうちm=1のものが特に
好ましい。また、特に好ましい単量体(1)の具体例と
しては、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジ
メチルアミノプロピルアクリルアミドが挙げられる。
【0024】(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)
アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等
の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリ
ル酸モノエタノールアミン塩、(メタ)アクリル酸ジエ
タノールアミン塩、(メタ)アクリル酸トリエタノール
アミン塩等の(メタ)酸有機アミン塩が挙げられる。
【0025】(d)成分の高分子化合物は、その平均分
子量が10,000乃至1,000,000の範囲にあ
ることが必要であり、平均分子量がこの範囲に満たない
と乳化安定性が劣り、この範囲を超えると高分子化合物
自体の安定性が劣ったり、高粘度となって取り扱いが困
難となるため好ましくない。より好ましい平均分子量は
30,000乃至300,000である。
【0026】(d)成分の高分子化合物の有機酸塩にお
ける必須の有機酸を示す一般式(2)中、R4としては
炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のヒドロ
キシアルキル基、アルキル部の炭素数が1乃至5のカル
ボキシアルキル基及びカルボキシル基が挙げられ、この
うち炭素数1乃至5のヒドロキシアルキル基が特に好ま
しい。R4COO-の具体例としては、酢酸イオン、プロ
ピオン酸イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、カプロン
酸イオン、グリコール酸イオン、乳酸イオン、ヒドロア
クリル酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、コ
ハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン等
が挙げられるが、特にグリコール酸イオン、乳酸イオ
ン、ヒドロアクリル酸イオンが好ましい。
【0027】高分子化学物の製造にあたっては、一般式
(1)の単量体を重合し、その後一般式(2)の有機酸
で中和するのが好ましいが、一般式(1)の単量体を一
般式(2)の有機酸で予め中和したものを使用して重合
させてもよい。例えば、ジメチルアミノプロピルメタク
リルアミドのグリコール酸中和物を他の共重合単量体と
重合することによって(d)成分を得ることもできる。
【0028】(d)成分の高分子化合物は、単独で又は
2種以上を組み合わせて使用することができ、熱間圧延
油組成物全量に対して0.1乃至10重量%、好ましく
は0.5乃至5重量%になるように配合される。10重
量%を超える場合は、耐圧荷重性能が小さくなって耐焼
付き性の低下を招き、好ましくない。
【0029】本発明のアルミニウム又はアルミニウム合
金用熱間圧延油組成物には、上記成分の他に必要に応じ
て公知の添加剤、例えば防錆・防食剤、酸化防止剤及び
初期乳化性を向上させるための乳化剤等を添加すること
もできる。
【0030】防錆・防食剤としては、例えばアルケニル
コハク酸及びその誘導体、オレイン酸等の脂肪酸、ソル
ビタンモノオレート等のエステル、その他のアミン類等
を用いることができ、これらは圧延油組成物全量に対し
て2重量%まで添加することができる。
【0031】また、酸化防止剤としては、例えば2、4
−ジtert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール
系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族ア
ミン等を用いることができる。これらは圧延油組成物全
量に対して5重量%まで添加することができる。
【0032】更に、乳化剤としては、例えばオレイン酸
トリエタノールアミン塩、石油スルホネートナトリウム
塩等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤等を用い
ることができ、これらは圧延油組成物全量に対して2重
量%まで添加することができる。
【0033】本発明のアルミニウム又はアルミニウム合
金用熱間圧延油組成物を使用するに際しては、該組成物
を水で希釈する。この際の希釈割合は特に限定されない
が、通常該組成物濃度が1乃至30重量%となるように
することが好ましい。
【0034】本発明の圧延油組成物は、(d)成分の高
分子化合物等の持つ電気的凝集効果、立体障害効果、保
護コロイド効果、高耐熱性能により、適度な粒径を持
ち、熱間圧延のような過酷な使用条件下においてもその
均一な乳化分散性及び粒径分布を長期間安定に保つこと
ができるため、初期の良好な圧延潤滑性を長期間維持で
きる。また、(b)成分の油性向上剤のロールコーティ
ング制御効果及び(d)成分の高分子化合物の持つ均一
濡れ効果により、ロールコーティングが均一で薄いもの
になるため、均一で欠陥の少ない板表面が得られる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その比較例
と比較して具体的に説明する。図1は本発明の実施例に
係る圧延油の供給装置を示す模式図である。圧延機3か
ら排出された圧延油は配管9aを介して使用後圧延油戻
りタンク4に返戻され、更に圧延油はタンク4から配管
9bを介して圧延機送りタンク5に供給される。そし
て、タンク5内の圧延油は配管9cを介して圧延機3に
供給される。配管9bにはポンプ10a及びフィルタ6
が介装されている。また、配管9cにはポンプ10b、
圧延油冷却装置7及び圧延油温度測定機8が設けられて
いる。そして、使用後圧延油戻りタンク4にはベルトス
キミング装置1が設けられており、このベルトスキミン
グ装置1によりタンク4内の圧延油の上部に浮上してく
るスカムが除去され、その廃液はドレンタンク2に排出
される。
【0036】このように構成された圧延油供給装置にお
いては、圧延機3にて使用済みの圧延油はタンク4に返
戻され、タンク4内にて使用済み圧延油中のスカムがベ
ルトスキミング装置1により除去される。タンク4内の
圧延油はフィルタ6により更に清浄化された後、所定量
タンク5に供給される。タンク5内の圧延油は所定の供
給量で圧延機3に供給される。このとき、圧延油の温度
が温度測定器8により測定され、40乃至70℃の所定
範囲になるように、冷却装置7により供給圧延油が冷却
される。このようにして、圧延機3に供給される圧延油
が40乃至70℃の温度に制御される。本実施例におい
ては、この圧延油供給装置を使用して熱間圧延を行っ
た。
【0037】即ち、下記式にて示すカチオン系高分子化
合物を混合した熱間圧延油組成物を使用して、入側板
厚;500mm、板幅;2000mmのアルミニウムコ
イル(JIS3000系材)を1スタンドリバース式圧
延機(ワークロール径;1015mm、ワークロールバ
レル長;3900mm、バックアップロール径;159
0mm、バックアップロールバレル長;3900mm)
で圧延した。
【0038】圧延速度;100mpm、圧下率;30乃
至60%、材料温度;400℃の条件で、熱間圧延油の
温度を図1の圧延油温度測定機8により測定しながら、
圧延油冷却装置7により熱間圧延油の温度を制御した。
この圧延実験により、圧延潤滑性及び板表面品質性を測
定した。なお、熱間圧延組成物の油分濃度は2体積%と
した。供試熱間圧延油組成物は以下のとおりである。 (a)成分;パラフィン系鉱物油(30cSt/40℃) 69.5重量% (b)成分;オレイン酸 20.0重量% オレイン酸ラウリル 5.0重量% (c)成分;ジブチルホスフェート 2. 5重量% (d)成分;高分子分散剤 [ジエチルアミノプロピルアミド/アクリルアミド/アクリル酸カ リウム=70/10/20の共重合物のコハク酸中和物 (Mw=30万)] 1.0重量% その他 ;酸化防止剤 1.0重量% 防錆・防食剤 1.0重量% 計100.0重量%。
【0039】図2は横軸に使用圧延油温度(℃)をと
り、縦軸に圧延油の平均粒径(μm)をとって両者の関
係を示すグラフ図である。図2において○は板表面が良
好であった場合、×は板表面に残油が発生した場合又は
焼き付きが発生した場合を示す。この図2に示すよう
に、使用圧延油温度が40乃至70℃の場合に、使用圧
延油の平均粒径を5乃至15μmに制御することが可能
であり、板表面残油又は焼付けの発生の無い良好な板面
を得ることができる。これに対し、使用圧延油温度を4
0℃未満とすると圧延油残りが増大し、使用圧延油温度
が70℃を超えると焼付けが増大し、どちらの場合にも
板面不良が発生する。
【0040】この図2から明らかなように、本発明によ
る圧延方法によって、板表面品質及び圧延潤滑性が充分
に満たされ、安定した圧延ができた。
【0041】このように、本発明においては、圧延油の
温度を40乃至70℃に制御することによって、アルミ
ニウム及びアルミニウム合金用熱間圧延油組成物の基本
特性である板表面の安定化、圧延荷重の安定化、スリッ
プ性の防止効果、油原単位の低減等を容易に有効化する
ことができる。また、従来の圧延油を用いた圧延方法に
比べ、乳化性の長期安定性及びロールコーティング制御
に優れるため、長期間使用した場合にも、従来の圧延油
のよう咬み込み不良又はスリップ疵の発生も無く、優れ
た板表面性を長期安定に得ることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明に係るアルミニウム又はアルミニ
ウム合金板の圧延方法によれば、、圧延油の温度を40
乃至70℃の範囲に制御したので、圧延油中の微生物の
発生及び熱による圧延油の劣化を防止することができ、
板への油付着量の不足による焼き付きが生じず、板表面
の残油も生じない。これにより、アルミニウム又はアル
ミニウム合金板の安定した圧延が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にて使用する圧延油の供給装置
を示す模式図である。
【図2】使用圧延油温度と、使用圧延油組成物中の油の
平均粒径との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1;ベルトスキミング装置 2;ドレンタンク 3;圧延機 4;使用後圧延油戻りタンク 5;圧延機送りタンク 6;使用後圧延油フィルタ 7;圧延油冷却装置 8;圧延油温度測定機 9a、9b、9c;配管 10a、10b;ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 129:70 137:04 149:06) C10N 20:02 30:08 40:24 (72)発明者 松井 邦昭 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)粘度80cSt(40℃)以下の
    鉱物油に、(b)炭素数10乃至22の脂肪酸、油脂及
    び炭素数10乃至22の脂肪酸と炭素数1乃至22のア
    ルコール類とのモノエステルからなる群から選択された
    1種又は2種以上の化合物:3乃至30重量%、(c)
    アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4乃至18であ
    るアルキル若しくはアルケニルリン酸エステル又はアル
    キル若しくはアルケニル亜リン酸エステル:0.5乃至
    10重量%、(d)下記一般式 (式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3
    水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0又
    は1の整数を、nは1乃至3の整数を示す)で表される
    単量体の1種以上と(メタ)アクリルアミド及び/又は
    (メタ)アクリル酸塩との共重合物であって、平均分子
    量が10,000乃至1,000,000の範囲にある
    高分子化合物の一般式R4COOH(式中、R4は炭素数
    1乃至5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基。カルボ
    キシアルキル基又はカルボキシル基を示す)で表される
    有機酸塩:0.1乃至10重量%を含有する水分散型熱
    間圧延油組成物を使用してアルミニウム又はアルミニウ
    ム合金組成物を熱間圧延する方法において、前記水分散
    型熱間圧延油の温度を40乃至70℃の範囲に制御する
    ことを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金板
    の圧延方法。
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