JP3370873B2 - アルミニウム又はアルミニウム合金板の圧延方法 - Google Patents

アルミニウム又はアルミニウム合金板の圧延方法

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JP3370873B2 JP31836096A JP31836096A JP3370873B2 JP 3370873 B2 JP3370873 B2 JP 3370873B2 JP 31836096 A JP31836096 A JP 31836096A JP 31836096 A JP31836096 A JP 31836096A JP 3370873 B2 JP3370873 B2 JP 3370873B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は圧延潤滑性、板表面
品質性及び乳化安定性が優れた水分散型の熱間圧延油を
使用したアルミニウム又はアルミニウム合金板の圧延方
法に関する。 【0002】 【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金板の
熱間圧延においては、圧延板表面から圧延ロール表面へ
アルミニウムが移着して、ロールコーティング層がロー
ル表面に形成されるため、圧延板はロールコーティング
層と接触しつつ圧延されることになる。従って、圧延板
の表面品質はロールコーティング層の性状によって左右
される。また、熱間圧延時に発生した板の表面欠陥は冷
間圧延後の板表面品質にも影響するので、熱間圧延にお
けるロールコーティング層の性状は極めて重要といえ
る。ロールコーティング層の性状は、圧延諸条件(板材
質、板温度、ブラシロール操業条件等)と圧延油により
変化する。従って、圧延油の選択は、ロールコーティン
グ層を制御する上で不可欠なものである。 【0003】熱間圧延では充分なロール冷却性が必要と
なるため、圧延油はエマルジョンの形で使用されてい
る。このため、従来、アルミニウム又はアルミニウム合
金の熱間圧延油としては、一般に、鉱物油を基油とし
て、脂肪酸、油脂及び脂肪酸エステル等の油性向上剤、
極圧剤、防錆剤及び酸化防止剤等を配合し、これを主に
陰イオン性界面活性剤で乳化し、通常3乃至10%濃
度、油粒径1乃至3μmの乳化型エマルションが使用さ
れている。 【0004】アルミニウム又はアルミニウム合金の熱間
圧延油に要求される性能としては、潤滑性、ロールコー
ティング性、表面品質性、乳化安定性、作業性及び排水
処理性等が挙げられ、特に近年の大量生産化とアルミニ
ウム圧延品の高品質指向から、潤滑性、表面品質性及び
乳化安定性等の熱間圧延油に対する要求は益々高くなっ
てきている。 【0005】しかしながら、従来の乳化剤を使用したア
ルミニウム又はアルミニウム合金用熱間圧延油は、前述
の要求の全てを充分に満足するものではない。 【0006】従来の圧延油にあっては、乳化剤の種類と
添加量を選ぶことによって潤滑性を制御していたが、こ
のような乳化剤を使用した熱間圧延油においては、潤滑
性と乳化安定性とは相反する傾向を示し、両性能を共に
満足させることはできない。即ち、従来の圧延油では潤
滑性を増すと、乳化安定性は低下し、その結果潤滑性の
経時安定性が低下するため、板表面の品質安定性が問題
となる一方、乳化安定性を増すと、充分な潤滑性は得ら
れず、その結果板表面に種々の欠陥を発生するという問
題点がある。 【0007】このように相反する特性である潤滑性及び
乳化安定性を両立させるために、例えば、特公昭62−
14599号公報にみられる圧延油組成物が提案されて
いる。この圧延油組成物においては、潤滑性及び乳化安
定性は確かに両立し、それなりに従来技術にない利点を
備えているが、得られる圧延板の表面品質は必ずしも充
分ではない。 【0008】一方、同様の試みとして特開昭63−12
0795号公報が提案されている。しかし、これは本質
的には特公昭62−14599号公報に記載の技術と同
質でがあり、その選択範囲の中から、潤滑性を犠牲にし
た上で表面品質性を向上させたものである。このよう
に、従来の潤滑油では、アルミニウム圧延における大量
生産化と高品質指向に対応することが困難である。 【0009】そこで、本願発明者等は、従来のアルミニ
ウム及びアルミニウム合金用熱間圧延油が有する問題点
を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の潤滑油成分
を特定の単量体の共重合物の有機酸塩を使用して水中に
乳化分散させることにより、潤滑性、乳化安定性及び板
表面品質性を同時に満足しつつ、長期使用時の熱劣化に
よる性能低下の問題が改善されることを見いだし、先に
特許出願した(特開平7−150189号公報)。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この熱間圧延
油組成物は所期の目的は達成したものの、この熱間圧延
油組成物を使用した圧延においては、過潤滑による噛み
込み不良の発生が生じ、更に板表面の圧延油切り性が悪
化することがあった。 【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、過潤滑による噛み込み不良の発生を防止で
き、板表面の圧延油切り性を向上させることができ、安
定した圧延を可能とするアルミニウム又はアルミニウム
合金板の圧延方法を提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム又はアルミニウム合金板の圧延方法は、カチオン系の
高分子化合物により水中油滴型エマルジョンとした熱間
圧延油を循環使用するアルミニウム又はアルミニウム合
金板の圧延方法において、熱間圧延油エマルジョン中
熱間圧延油組成物の濃度をρ(%)、材料温度をT
(℃)としたとき、熱間圧延中、常時、(1100−
T)/600≦ρ≦(2100−2T)/300の範囲
に油分濃度を制御し、更に油分濃度ρを1.5乃至4.
5%に制御すると共に、平均油粒径を5乃至15μmに
制御することを特徴とする。 【0013】このカチオン系の高分子化合物を混合した
水分散型熱間圧延油組成物は、特開平7−150189
号公報に開示された発明に係るものであり、この潤滑油
の使用に際して、平均油粒径を5乃至15μmに制御す
ることにより、潤滑不足による焼き付きも無く、過潤滑
及び長期使用による板表面の圧延油切り性の悪化も無い
安定した圧延が可能となる。 【0014】この水分散型熱間圧延油組成物の組成は、 (a)粘度80cSt(40℃)以下の鉱物油に、 (b)炭素数10乃至22の脂肪酸、油脂、及び炭素数
10乃至22の脂肪酸と炭素数1乃至22のアルコール
類とのモノエステルからなる群から選択された1種又は
2種以上の化合物:3乃至30質量%、 (c)アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4乃至1
8であるアルキル若しくはアルケニルリン酸エステル又
はアルキル若しくはアルケニル亜リン酸エステル:0.
5乃至10質量%、 (d)下記一般式(1) 【0015】 【化1】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3
水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0又
は1の整数を、nは1乃至3の整数を示す)で表される
単量体の1種以上と(メタ)アクリルアミド及び/又は
(メタ)アクリル酸塩との共重合物であって、平均分子
量が10,000乃至1,000,000の範囲にある
高分子化合物の一般式(2) 【0016】 【化2】 RCOOH (式中、Rは炭素数1乃至5のアルキル基、ヒドロキ
シアルキル基、カルボキシアルキル基又はカルボキシル
基を示す)で表される有機酸塩:0.1乃至10質量
を含有する組成を有する。各含有量は、圧延油組成物あ
たりの質量%であり、残部は前記鉱物油である。 【0017】 【発明の実施の形態】本願発明者等が更に実験研究を行
った結果、この熱間圧延油エマルジョンを使用した圧延
においては、鉱物油を基油として脂肪酸、油脂、脂肪酸
エステル等の油性向上剤、極圧剤、防錆剤、酸化防止剤
等を配合し、これを主に陰イオン性界面活性剤で乳化し
た乳化型エマルジョンと同様の濃度(3乃至10%)で
は、過潤滑による噛み込み不良の発生及び板表面の油切
り性が悪化することが判明した。 【0018】即ち、前述の組成を有するカチオン系の高
分子化合物により水中に油分を持たせるエマルジョンと
した熱間圧延油を使用して熱間圧延すると、1.5%未
満の油分濃度では潤滑不足となって焼き付きが発生し、
4.5%を超える油分濃度では噛み込み不良の発生及び
油付着量が過剰になり、油残り模様が発生する。このた
め、本発明においては、油分濃度を1.5乃至4.5%
とする。 【0019】本発明の圧延方法によれば、熱間圧延油エ
マルジョン中の油の濃度をρ(%)、材料温度をT
(℃)としたとき(1100−T)/600≦ρ≦(2
100−2T)/300の式に基づく範囲に、例えば、
圧延油タンクにおける新油交換量を調節して濃度を制御
することにより、適度な潤滑を得るものである。これに
より、鉱物油を基油として、脂肪酸、油脂及び脂肪酸エ
ステル等の油性向上剤、極圧剤、防錆剤、酸化防止剤を
配合し、これを主に陰イオン性界面活性剤で乳化した圧
延油を使用して、通常油粒径1〜3μmのエマルジョン
と同様な濃度(3〜10%)において、過潤滑による噛
み込み不良の発生及び板表面の油切り性の悪化が無い安
定した圧延が可能になる。 【0020】次に、上記水分散型アルミニウム又はアル
ミニウム合金用熱間圧延油組成物について詳細に説明す
る。 【0021】先ず、本発明の熱間圧延油組成物の(a)
成分である鉱物油としては、例えばスピンドル油、マシ
ン油、タービン油、シリンダー油、ニュートラル油等が
挙げられるが、耐熱性及び潤滑性の点から、パラフィン
系鉱物油がより好ましい。鉱物油の粘度は80cSt
(40℃)以下であることが必要であり、80cStを
超えると板表面の品質が低下してしまう。この(a)成
分は基油であり、その配合量は特に制限されないが、5
0〜96.4質量%、特に60〜85質量%が好まし
い。 【0022】(b)成分のうち、油脂としては鯨油、牛
脂、豚脂、ナタネ油、ヒマシ油、パーム油、ヤシ油等の
動植物油脂が挙げられる。炭素数10〜22の脂肪酸と
しては、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソ
ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸等が挙げられる。
脂肪酸モノエステルとしては、炭素数10〜22の脂肪
酸と炭素数1〜22の脂肪族1価アルコール、エチレン
グリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トール、グリセリン等とのモノエステル、より具体的に
はカプリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸
ラウレート、エルカ酸2−エチルヘキシル、ペンタエリ
スリトールモノオレート、グリセリンモノオレート等が
挙げられる。これらの(b)成分は油性向上剤として作
用するものであり、単独で又は2種以上を組み合わせて
使用することができる。またその添加量は3〜30質量
%、より好ましくは10〜25質量%であり、3質量
未満では潤滑性が低下し、30質量%を超えると板表面
の品質が低下する。また、油脂を配合する場合は、油脂
の添加量は20質量%までとするのがより好ましい。 【0023】(c)成分であるアルキル若しくはアルケ
ニルリン酸エステル又はアルキル若しくはアルケニル亜
リン酸エステルは、アルキル又はアルケニル基の炭素数
が4〜18のものであり、その具体例としてジブチルホ
スフェート、モノオクチルホスフェート、トリオレイル
ホスフェート、トチブチルホスファイト、ジイソオクチ
ルホスファイト、トリオレイルホスファイト等が挙げら
れる、モノ−、ジ−、又はトリエステルのうち、特にモ
ノ−、ジエステルであるアルキル若しくはアルケニルア
シッドホスフェート又はアルキル若しくはアルケニルア
シッドホスファイトが好ましい。この添加量は0.5〜
10質量%、より好ましくは1〜5質量%であり、0.
質量%未満では板表面の品質の向上はなく、10質量
%を超える添加では、増量による板表面の品質の向上は
期待できない。 【0024】(d)成分の高分子化合物としては、一般
式(1)の単量体と(メタ)アクリルアミドとの共重合
体、一般式(1)の単量体と(メタ)アクリル酸塩との
共重合体、一般式(1)の単量体(メタ)アクリルアミ
ドと(メタ)アクリル酸塩との共重合体等が挙げられ
る。このうち、一般式(1)の単量体と(メタ)アクリ
ルアミドと(メタ)アクリル酸塩とのモル比は、50〜
90:0〜20:10〜50が特に好ましい。 【0025】一般式(1)の単量体のアミン体として
は、m=1のものとしてジメチルアミノエチルアクリル
アミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエ
チルアミノメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチ
ルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミド、ジエチルアミノメチルメタクリルアミド等が
m=0のものとして、アリルアミン、ジメチルアミノメ
チルエチレン、ジエチルアミノメチルエチレン、ジメチ
ルアミノメチルプロペン、ジエチルアミノメチルプロぺ
ン等が挙げられるが、このうちm=1のものが特に好ま
しい。また、特に好ましい単量体(1)の具体例として
は、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチ
ルアミノプロピルアクリルアミドが挙げられる。 【0026】(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)
アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等
の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリ
ル酸モノエタノールアミン塩、(メタ)アクリル酸ジエ
タノールアミン塩、(メタ)アクリル酸トリエタノール
アミン塩等の(メタ)酸有機アミン塩が挙げられる。 【0027】(d)成分の高分子化合物は、その平均分
子量が10,000〜1,000,000の範囲にある
ことが必要であり、平均分子量がこの範囲に満たないと
乳化安定性が劣り、この範囲を超えると高分子化合物自
体の安定性が劣ったり、高粘度となって取り扱いが困難
となるため好ましくない。より好ましい平均分子量は3
0,000〜300,000である。 【0028】(d)成分の高分子化合物の有機酸塩にお
ける必須の有機酸を示す一般式(2)中、R4としては
炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシ
アルキル基、アルキル部の炭素数が1〜5のカルボキシ
アルキル基及びカルボキシル基が挙げられ、このうち炭
素数1〜5のヒドロキシアルキル基が特に好ましい。R
4COO-の具体例としては、酢酸イオン、プロピオン酸
イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、カプロン酸イオ
ン、グリコール酸イオン、乳酸イオン、ヒドロアクリル
酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸
イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン等が挙げ
られるが、特にグリコール酸イオン、乳酸イオン、ヒド
ロアクリル酸イオンが好ましい。 【0029】高分子化学物の製造にあたっては、一般式
(1)の単量体を重合し、その後一般式(2)の有機酸
で中和するのが好ましいが、一般式(1)の単量体を一
般式(2)の有機酸で予め中和したものを使用して重合
させてもよい。例えば、ジメチルアミノプロピルメタク
リルアミドのグリコール酸中和物を他の共重合単量体と
重合することによって(d)成分を得ることもできる。 【0030】(d)成分の高分子化合物は、単独で又は
2種以上を組み合わせて使用することができ、熱間圧延
油組成物全量に対して0.1〜10質量%、好ましくは
0.5〜5質量%になるように配合される。10質量
を超える場合は、耐圧荷重性能が小さくなって耐焼付き
性の低下を招き、好ましくない。 【0031】本発明のアルミニウム又はアルミニウム合
金用熱間圧延油組成物には、上記成分の他に必要に応じ
て公知の添加剤、例えば防錆・防食剤、酸化防止剤及び
初期乳化性を向上させるための乳化剤等を添加すること
もできる。 【0032】防錆・防食剤としては、例えばアルケニル
コハク酸及びその誘導体、オレイン酸等の脂肪酸、ソル
ビタンモノオレート等のエステル、その他のアミン類等
を用いることができ、これらは圧延油組成物全量に対し
て2質量%まで添加することができる。 【0033】また、酸化防止剤としては、例えば2、4
−ジtert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール
系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族ア
ミン等を用いることができる。これらは圧延油組成物全
量に対して5質量%まで添加することができる。 【0034】更に、乳化剤としては、例えばオレイン酸
トリエタノールアミン塩、石油スルホネートナトリウム
塩等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤等を用い
ることができ、これらは圧延油組成物全量に対して2
%まで添加することができる。 【0035】本発明のアルミニウム又はアルミニウム合
金用熱間圧延油組成物を使用するに際しては、該組成物
を水で希釈する。この際の希釈割合は特に限定されない
が、通常該組成物濃度が1〜30質量%となるようにす
ることが好ましい。 【0036】本発明の圧延油組成物は、(d)成分の高
分子化合物等の持つ電気的凝集効果、立体障害効果、保
護コロイド効果、高耐熱性能により、適度な粒径を持
ち、熱間圧延のような過酷な使用条件下においてもその
均一な乳化分散性及び粒径分布を長期間安定に保つこと
ができるため、初期の良好な圧延潤滑性を長期間維持で
きる。また、(b)成分の油性向上剤のロールコーティ
ング制御効果及び(d)成分の高分子化合物の持つ均一
濡れ効果により、ロールコーティングが均一で薄いもの
になるため、均一で欠陥の少ない板表面が得られる。 【0037】 【実施例】以下、本発明の実施例について、その比較例
と比較して具体的に説明する。下記式にて示すカチオン
系高分子化合物により水中に油分を持たせるエマルジョ
ンとした熱間圧延油を使用して、入側板厚;29mm、
板幅;1300mmのアルミニウムコイル(JIS50
00系材)を4段圧延機(ワークロール径;725m
m、ワークロールバレル長;2900mm、バックアッ
プロール径;1530mm、バックアップバレル長;2
900mm)を四機連ねた4スタンドタンデムで圧延し
た。 【0038】圧延速度;300mpm、圧下率;30乃
至60%、材料温度;200〜500℃、油の粒径;5
乃至15μmの条件で、油分濃度を確認しながら、カチ
オン系高分子化合物の投入新油量を調節することによっ
て、油分濃度を変更した。この圧延実験により、圧延潤
滑性及び板表面品質性を測定した。供試熱間圧延油組成
物は以下のとおりである。 【0039】 (a)成分;パラフィン系鉱物油(70cSt/40℃) 61.5質量% (b)成分;オレイン酸 15.0質量% 豚脂 15.0質量% (c)成分;ジラウリルホスファイト 3.0質量% (d)成分;高分子分散剤(A) [ジメチルアミノプロピルアクリルアミド/アクリルアミド/アク リル酸ナトリウム=80/5/15の共重合物の酢酸中和物 (Mw=40万)] 2.0質量% その他 ;トリクレジルホスフェート 2.0質量% 酸化防止剤 1.0質量% ノニオン系界面活性剤(I) [ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル (HLB=12.4) 0.5質量% 計100.0質量%。 【0040】図1は横軸に材料温度T(℃)をとり、縦
軸に油分濃度ρ(%)をとって、材料温度に対する油分
濃度最適制御範囲を示すグラフ図である。油分濃度と材
料温度との関係がこの図1のハッチングにて示した領域
に入っている場合に、適度な潤滑が得られ、過潤滑によ
る噛み込み不良の発生が防止され、板表面の油切り性が
優れていて、安定した圧延が可能になった。このハッチ
ングにて示す領域の範囲が、(1100−T)/600
≦ρ≦(2100−2T)/300である。 【0041】また、図2は横軸に油分濃度をとり、縦軸
に4機合計圧延荷重(Ton)をとって両者の関係を示
すグラフ図である。この図2に示すように、油分濃度が
1.5乃至7%の場合に潤滑が適度であった。これに対
し、油分濃度が1%未満の場合は、圧延荷重が高く、潤
滑不足で焼き付きが発生した。また、油分濃度が8%の
場合は、従来の圧延油の油分濃度と同一であるが、この
場合は圧延荷重は低いものの、過潤滑で板表面に油が残
ってしまうという問題点がある。 【0042】一方、図3は横軸に油分濃度をとり、縦軸
に板表面性状をとって、油分濃度と、焼き付き並びに圧
延油残り及び噛み込み不良との関係を示すグラフ図であ
る。この図3に示すように、油分濃度が1.5%未満の
場合は、焼き付きが多く発生し、油分濃度が4.5%を
超える場合は、圧延油残り及び噛み込み不良が多く発生
する。このため、油分濃度は1.5乃至4.5%が好ま
しい。 【0043】一方、図3は横軸に油分濃度をとり、縦軸
に板表面性状をとって、油分濃度と、焼き付き並びに圧
延油残り及び噛み込み不良との関係を示すグラフ図であ
る。この図3に示すように、油分濃度が1.5%未満の
場合は、焼き付きが多く発生し、油分濃度が4.5%を
超える場合は、圧延油残り及び噛み込み不良が多く発生
する。このため、油分濃度は1.5乃至4.5%とす
。 【0044】 【発明の効果】本発明の圧延方法は、熱間圧延油エマル
ジョン中の油の濃度をρ(%)、材料温度をT(℃)と
したとき、(1100−T)/600≦ρ≦(2100
−2T)/300の範囲に圧延油エマルジョンの温度及
び濃度を制御するので、過潤滑による噛み込み不良の発
生を防止でき、板表面の圧延油切り性を向上させること
ができ、本発明により安定した圧延が可能となる。 【0045】このように、本願発明は従来の圧延油を用
いた圧延方法に比べ、熱間圧延時の噛み込み性の変化が
なく、建浴初期の潤滑性が極めて優れ、建浴直後から高
強度材の圧延が可能になる。また、乳化性の長期安定性
とロールコーティング制御に発生もなく、優れた板表面
品質性を長期安定に得ることができる。更に、カチオン
系高分子化合物の抗菌機能により、バクテリアの発生を
防止できるため、粒子径の過大化がなく、油粒径制御安
定性が優れている。
【図面の簡単な説明】 【図1】熱間圧延油エマルジョンの材料温度に対する油
分濃度の最適制御範囲を示すグラフ図である。 【図2】熱間圧延油エマルジョンの油分濃度と熱間圧延
における合計圧延荷重との関係を示すグラフ図である。 【図3】熱間圧延油組成物の油分濃度と熱間圧延後の板
表面性状との関係を示すグラフ図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10M 101:00 C10M 105:34 105:34 137:02 137:02 149:06 149:06) C10N 20:00 Z C10N 20:00 20:02 20:02 40:20 Z 40:20 (72)発明者 安藤 裕幸 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社 神戸製鋼所真岡製造所内 (72)発明者 藤本 高幸 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社 神戸製鋼所真岡製造所内 (72)発明者 秦 昌弘 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社 神戸製鋼所真岡製造所内 (56)参考文献 特開 平7−150189(JP,A) 特開 平2−145692(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 3/00 B21B 27/10 C10M 101/00 - 177/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (a)粘度80cSt(40℃)以下の
    鉱物油に、 (b)炭素数10乃至22の脂肪酸、油脂、及び炭素数
    10乃至22の脂肪酸と炭素数1乃至22のアルコール
    類とのモノエステルからなる群から選択された1種又は
    2種以上の化合物:圧延油組成物の3乃至30質量%、 (c)アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4乃至1
    8であるアルキル若しくはアルケニルリン酸エステル又
    はアルキル若しくはアルケニル亜リン酸エステル:圧延
    油組成物の0.5乃至10質量%、 (d)下記一般式 (式中、Rは水素原子又はメチル基を、R及びR
    は水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0
    又は1の整数を、nは1乃至3の整数を示す)で表され
    る単量体の1種以上と(メタ)アクリルアミド及び/又
    は(メタ)アクリル酸塩との共重合物であって、平均分
    子量が10,000乃至1,000,000の範囲にあ
    る高分子化合物の一般式RCOOH(式中、Rは炭
    素数1乃至5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、
    ルボキシアルキル基又はカルボキシル基を示す)で表さ
    れる有機酸塩:圧延油組成物の0.1乃至10質量%を
    含有し、残部が前記鉱物油である水中油滴型熱間圧延油
    組成物を循環使用してアルミニウム又はアルミニウム合
    金組成物を熱間圧延する方法において、水中油滴型熱間
    圧延油エマルジョン中の前記熱間圧延油組成物の濃度を
    ρ(%)、材料温度をT(℃)としたとき、熱間圧延
    中、常時、(1100−T)/600≦ρ≦(2100
    −2T)/300の範囲に油分濃度を制御し、更に油分
    濃度ρを1.5乃至4.5%に制御すると共に、平均油
    粒径を5乃至15μmに制御することを特徴とするアル
    ミニウム又はアルミニウム合金板の圧延方法。
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