JPH10177821A - 電気接点及びその製造法 - Google Patents

電気接点及びその製造法

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JPH10177821A
JPH10177821A JP33936596A JP33936596A JPH10177821A JP H10177821 A JPH10177821 A JP H10177821A JP 33936596 A JP33936596 A JP 33936596A JP 33936596 A JP33936596 A JP 33936596A JP H10177821 A JPH10177821 A JP H10177821A
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electrical contact
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JP33936596A
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English (en)
Inventor
Noboru Uenishi
昇 上西
Chihiro Takada
千尋 高田
Akinori Kobayashi
晄▲徳▼ 小林
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 定格電流が100A以上の配電用遮断器、漏
電遮断器などに用いる電気接点を提供する。 【解決手段】 電気接点表面5から8μm以上80μm
以下が、重量%でカドミウム(Cd)が0%以上6%以
下、スズ(Sn)が0.1%以上1.5%以下、ニッケ
ル(Ni)が0.15%以上1.2%以下、残部が不純
元素0.2%以下の銀合金で構成される表面層1と、そ
の表面層1の内側が、重量%でカドミウム(Cd)が1
4%以上19%以下、スズ(Sn)が0.3%以上1.
5%以下、ニッケル(Ni)が0.22%以上1.2%
以下、残部が不純元素0.2%以下の銀合金で構成され
る内部層2であって、前記表面層1と内部層2の2層構
造を持ち、表面層1と内部層2とのマイクロビッカース
硬度がともに45mHv以上125mHv以下のものが
好ましい。該電気接点は表面層1を溶射して形成する方
法、ターゲット材を蒸着して形成する方法などで製造す
ることが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、配電用遮断器,
漏電遮断器などに用いる電気接点に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に配電用遮断器、ノーヒューズブレ
ーカー、漏電遮断器、サーキットプロテクターや安全ブ
レーカーその他分電盤に用いられるブレーカー(以降こ
れらをまとめて単にブレ−カ−と言う)には電気接点が
使用されている。これらブレーカー用の電気接点として
は、Ag合金が広く使われている。このAg合金はAg
中にIn酸化物、Sn酸化物、Cd酸化物、Bi酸化
物、Co酸化物、Ni酸化物、Sb酸化物、Ca酸化物
などが分散した酸化物分散強化型合金であるのが普通で
ある。
【0003】この電気接点に要求される特性としては、
耐溶着性、初期温度特性、過負荷試験後の温度特
性、耐久試験後の温度特性、遮断試験後の絶縁特性
などがある。ところがこれら特性の内で、いくつかは互
いに相反する特性の関係にある。例えば温度特性と耐溶
着特性とは互いにトレードオフの関係にあり、このため
温度特性を改善するには、耐溶着特性を犠牲にせねばな
らない。
【0004】これまでの電気接点は、これら全ての要求
特性について十分に満足する接点を選び出すことは上記
のトレードオフの関係上、不可能であった。
【0005】なかでも、定格電流が200A用、400
A用を中心とした、100A以上のブレーカー用接点と
しては、温度特性(特に初期温度特性と過負荷試験後の
温度特性)と耐溶着特性の両立が困難であった。例えば
耐溶着特性が良くても、初期温度性能が悪くなり、初期
温度(低いほど良い)は高い値を示すか又は良い場合と
悪い場合が不定期に起こるいわゆるバラツキの大きい状
態になる事が多かった。
【0006】なお、特開昭62−97213号公報、特
開昭58−189913号公報等には、上、下に積層さ
れた2層構造の電気接点が開示されている。導電性の良
い材料と硬度の高い材料とによる2層構造、あるいは耐
消耗性と耐溶着性を有する導電体とアークの切れが良好
な導電体とによる2層構造を扱っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記〜の接点特性
のうちで、いくつかは互いに相反する特性の関係にあ
り、その全ての特性について良好な特性を合わせ持つ電
気接点を開発することは困難であった。特に本願がその
用途上使用することを推奨する定格電流が100A以
上、特に225A,400Aのブレーカー用の電気接点
では、耐溶着特性と温度特性(通電による温度上昇は小
さい程良い。)を両立させることが困難であった。
【0008】その理由は、本来トレードオフの関係にあ
る特性の両方を満足させる電気接点の開発自体が難しい
とともに、それぞれ個々の要求特性を満足させるために
必要とされる理想的接点合金組成及び構造が解明されて
いなかったことにある。例えば、定格電流が225A用
の接点の場合に耐溶着性改良の為に必要な接点合金組成
と構造の組み合わせが如何にあるべきか、かつ初期温度
特性の向上に必要な接点合金組成と構造の組み合わせは
如何にあるべきか、又それは定格電流が50Aの場合の
最適組み合わせとどの様に異なるのかについての知見が
必ずしも明確でなかった。
【0009】また、初期温度特性のために最適な接点合
金組成、構造と、耐溶着性のために最適な接点合金組
成、構造は異なるので、この異なる接点合金組成と構造
を同時に併せ持つのは困難である。さらに例え合わせ持
つ為に本願のごとき2層構造にした方法を採用したとし
ても、それらの最適の組み合わせ、例えば、どのような
接点合金組成を、どのような割合で、どのような状態
に、組み合わせるのかが不明であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】定格電流が100A以上
の遮断器(ブレーカー)に用いる電気接点の表面から8
μm以上80μm以下の表面層が、重量%でカドミウム
(Cd)が0%以上6%以下、スズ(Sn)が0.1%
以上1.5%以下、ニッケル(Ni)が0.15%以上
1.2%以下、残部が不純元素0.2%以下の銀合金
で、前記表面層の内側の内部層が、重量%でカドミウム
(Cd)が14%以上19%以下、スズ(Sn)が0.
3%以上1.5%以下、ニッケル(Ni)が0.22%
以上1.2%以下、残部が不純元素0.2%以下の銀合
金とで構成される2層構造を持ち、表面層及び内部層の
マイクロビッカース硬度が45mHv以上125mHv
以下であるものを用いる。
【0011】更に、 重量%でアンチモン(Sb)が0
%以上2%以下、カルシウム(Ca)が0%以上0.3
%以下、ビスマス(Bi)が0%以上1%以下、コバル
ト(Co)が0%以上0.5%以下、インジウム(I
n)が0%以上5%以下の銀合金を用いることも好まし
い。本願の電気接点の製造法では、溶射法、薄板の圧延
法、蒸着法、酸性溶液に浸漬洗浄後、合金元素の拡散焼
鈍する方法、熱間静水圧成形法(HIP)あるいは熱間
押出法の各種の方法で表面層を形成することができる。
【0012】本願発明は電気接点の構造を2層構造と
し、表面層で温度特性の改善を行い、内部層で耐溶着特
性の改善を行うとともに、これら特性改善の2層構造に
適した接点合金組成を開示している。
【0013】即ち表面層が温度特性を改善する効果があ
るので温度特性はこの表面層により改善される分だけ、
従来ならば温度特性を劣化させるような高いCd、S
n、Ni濃度においても良好な温度特性が得られる事を
発見したからである。このように本願では表面層で温度
特性を改善しつつ要求特性を満たしながら、一方では接
点合金組成を高いCd、Sn、Ni濃度に設定すること
により高い耐溶着特性を得ることに成功したものであ
る。
【0014】つまり、2層構造だけでは本願発明は十分
な効果を発揮せず、また接点合金組成を本願発明の示す
組成範囲にするだけでも十分な効果を発揮することはで
きない。2層構造にしても接点合金組成を上記の範囲に
しなければ高い耐溶着特性は実現せず、一方接点合金組
成だけを本願発明の組成範囲にしても、2層構造としな
ければ優れた温度特性は実現しないのである。従って、
本願発明においては接点合金組成と2層構造の組み合わ
せは極めて重要で、改善すべき特性を相互に補填しあう
関係をもつものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本願発明は定格電流が100A以
上、特に225A,400Aのブレーカーに適した接点
について、その理想的2層構造及び電気接点組成を検討
した結果を開示するものである。発明者は、225A用
接点として最適な接点合金組成と構造を探索した結果、
電気接点の構造を図1のように2層構造にすることが良
いことを見出した。
【0016】図1に於いて表面からAμmよりも内部
(深い部分)である内部層2に於いてはCdが14%以上
19%以下であり、Snが0.3%以上1.5%以下、
またNiが0.22%以上1.2%以下である。(%
は、重量%である。以下同じ。)更に望ましくは、Cd
が16%以上18%以下であり、Snが0.4%以上
1.4%以下、またNiが0.24%以上1.0%以下
であることが好ましい。
【0017】一方表面からAμmより浅い部分である表
面層1はCdが0%以上6%以下、Snが0.1%以上
1.5%以下、またNiが0.15%以上1.2%以下
である。
【0018】Aの値は8〜80μmであるが、望ましく
は20〜60μmであることが好ましい。従って本願発
明に於いて述べるAμmより薄い表面層1とは、例えば
通常接点に施すようなメッキにおける表面から数μmよ
り薄い極表層の改質を指すのではない。Aの厚みが80
μmを越えると温度特性の一部が悪くなるほか、耐溶着
性能が悪くなるし、逆に8μmより薄い場合には本願の
示す効果が認めがたくなり温度特性が悪くなる。また2
0〜60μmでは最も温度特性と耐溶着特性とが共に良
好な値を示す事が、試作試験を繰り返した結果明らかに
なった。
【0019】内部層2の接点合金組成について、Cdが
14%未満であると、耐溶着性が低くなり、18%を越
えるとCdが高くなるにつれて製造困難になり、18%
を越えると製造ができないわけではないにしても、凝集
と呼ばれる酸化物の堆積した部分が接点内部に発生しや
すく温度特性上好ましくないからである。Snが0.3
%未満であると耐溶着性が低く、1.5%を越えると、
温度特性の内、初期温度特性と過負荷試験後の温度特性
が劣化することが実験の結果明らかになった。Niに関
しては、0.22%未満であると耐溶着性が低く、1.
2%以上であると製造困難になりまた温度特性が悪くな
る。
【0020】表面層1でも、Cdが6%を越えると温度
特性が劣化し、好ましくない。Snが0.1%未満であ
ると耐溶着性が低く、1.5%を越えると、温度特性の
うちで、初期温度特性と過負荷試験後の温度特性が劣化
することが実験の結果明らかになった。Niに関して
は、0.15%未満であると耐溶着性が低く、1.2%
以上であると温度特性が悪くなる。
【0021】内部層2のNiは0.22%以上1.2%
以下のなかでも、望ましくは0.25%以上0.6%以
下であることが好ましい。これは耐溶着性能の改善効果
が顕著になるのが0.25%以上であることを見出した
からである。また0.6%以下であることが温度特性の
ためには望ましい。
【0022】表面層1及び内部層2のSbは0%以上2
%以下、Caは0%以上0.3%以下、Biは0%以上
1%以下、Coは0%以上0.5%以下、Inは0%以
上5%以下の範囲が良い。これらの元素は耐溶着性や、
温度特性改善のためにあるが、基本的にCd、Sn、N
iの濃度が上記範囲にある限り、本願の意図する100
A以上のブレーカーに適した接点性能が期待できること
が分かった。
【0023】勿論、ブレーカーの性能評価に於ける規格
値(上述の温度や耐溶着性能の規格値)が緩和されれば、
例えばSnが0.3%以下や、1.5%以上の値であっ
ても使用に耐えない訳ではなく、0.3%以下や、1.
5%以上の値であっても使用可能ではあるが、ブレーカ
ーが安全上重要な装置であることや、実使用に於いてど
の様な製品でもバラツキが存在することを考慮にいれた
場合、やはり上記のSn範囲であることが望ましい。同
様のことはCd、Niについても当てはまる。
【0024】電気接点の含有元素としては上記のごとき
元素であるが、これ以外の元素を微量に添加しても、本
願発明の示す2層構造にした場合に同様の効果が期待で
きることは容易に想像しうるところである。
【0025】電気接点の表面からAμmまでの表面層1
の組成はCdが0%以上6%以下、Snが0.1%以上
1.5%以下、またNiは0.15%以上1.2%以下
であるが、Cd,Sn,Niが前記の範囲にある限り、
Sbは0%以上2%以下、Caは0%以上0.3%以
下、Biは0%以上1%以下、Coは0%以上0.5%
以下、Inは0%以上5%以下のAg合金を用いても同
様の効果が得られることを確認した。例えば、Inは初
期温度特性を良くするが、この効果は、本願発明による
効果に準拠されるものである。
【0026】表面層1のSn、Ni、Sb、Ca,B
i,Co,In濃度は内部層2の濃度より必ずしも低く
なくても良い。 また、Auのごとき高価な元素を表面
部に用いる必要もない。なお、通常のAg系電気接点に
用いられるAg層(Cu台金との接合性を改善する目的
で接点面と反対側に配置される純Ag層で、本願が示す
表面層とは機能も配置する位置も異なる。)はあっても
良い。
【0027】更に2層構造にする方法について調査した
結果、蒸着、減圧中での溶射、薄板の圧延張り合わせ、
酸洗いと焼鈍による元素の拡散均質化、薄板のHIP拡
散接合、押出による方法のどれを用いても電気接点の構
造と接点合金組成が本願発明の示す構造と接点合金組成
の範囲にある限り同様の効果が期待できる事を明らかに
した。実際には上記方法の組み合わせも考えられるが、
必ずしも性能上必要でなくコストの面からも実用的では
ない。
【0028】このほかにも水素中での酸化物の還元や、
ミクロな溶接の方法も考えられ、上記と同様に接点の構
造と接点合金組成が本願の示す構造と接点合金組成の範
囲にある限り同様の効果が期待できるがコスト及び、大
量に品質の安定した製品を安価に作製するという観点か
ら量産性に欠け、また接合界面の清浄性を維持するとい
う面から必ずしも望ましくない。
【0029】また内部層の硬度と表面層の硬度には大き
な差がない方が望ましい。 これは、硬度差が大きい
と、張り合わせの際に良好な張り合わせ状態が実現しに
くいという結果が生じている。また、あまりに表面層が
硬いと接点同士が合わさった時に接触面積が小さくなる
ことが見出されている。さらに、内部層が表面層よりあ
まり硬いと接点の使用時に割れが入るので好ましくな
い。従って硬度は表面層・内部層共に、マイクロビッカ
ースで45〜125mHvである必要がある。
【0030】なお、本願は、硬度を管理することによ
り、初めて本願の意図する定格電流が100Aクラス以
上、より好ましくは200A以上のブレーカーに適した
接点を得る事ができる。従って、導電性の良い材料を第
2層(下層)にし、硬度の高い材料からなる層を第1層
(上層)とする特開昭62−97213号公報とは本質
的に異なり、更に同公報の様に第1層はAg−SnO2
やIn23系ではなく、第2層は純Agでもない。
【0031】本願では定格電流が100A以上、中でも
200A以上の使用条件に於いて最もその効果を発揮す
る。例えば、定格電流が100Aでは220Vで50k
A、定格電流が225Aでは220Vで50kAの定格
遮断電流のブレーカーなどに使用したときに最もその効
果を発揮する接点を明らかにしているのであり、リレー
などの低い負荷の用途の接点を示したものではない。
【0032】また本願発明の示す第1層である表面層1
は主に温度特性の改善、また第2層である内部層2は耐
溶着性能の改善を図ったものである。従って例えば、特
開昭58−189913号公報の様に、第1層目を耐消
耗性と耐溶着性を有する導電体とし、第2層目を短絡電
流においてアークの切れが良好な導電体とする場合とは
明らかに異なるし、同公報の様に、第1層と第2層との
境界面に凹凸を形成する必要は本願の場合全くない。ま
た同公報の様に、第2層として銀−リチウム系、銀−イ
ンジウム系を用いていない点も異なる。
【0033】なお一般に内部酸化した接点には表面から
内部に向かっての緩やかな濃度勾配が一般に見られる
が、本願の2層構造は勿論この内部酸化に見られる一般
的な濃度勾配を示すものではなく、表面からAμmより
浅い部分は、内部との境界面における数μm幅の内部に
於ける連続的な組織、化学組成の変化はあっても、例え
ば光学顕微鏡などによる組織観察において、明らかに表
面部と内部とは異なる組織、組成の違いを示すものであ
る。
【0034】但し工業製品であり、またどの様な電気接
点においても接点合金組成や金属組織は多少の濃度勾配
や金属組織の変化は見られるものであるという意味から
は、内部層及び表面層のそれぞれに於いて、一般的な内
部酸化に見られる接点合金組成の濃度勾配はあってもか
まわない。濃度勾配に伴う硬度分布の勾配も、45〜1
25mHv(もしくは、80〜110mHvである)の
範囲であれば硬度分布の勾配があってもかまわない。
【0035】また、Agメッキを接点表面に数μm施す
ことは知られているが、これはもちろん本願発明の意図
するものではない。本願発明でいう表面層1の厚みは表
面から8〜80μmであり、望ましくは20〜60μm
で、またこの表面層は純Agではなく、その他の合金元
素を含むものであって単なるAgメッキを意図している
ものではない。
【0036】また、ヒ゛ス形状の接点の製造工程において
銅台金とAg合金を接合するために炉中を通す熱処理を
行うことがある。この場合、Ag合金の表面にあるCd
が多少炉中に散逸してしまうことがあり、この為に表面
のCd濃度が多少低くなることがあるがこれも又本願の
意図するところでない。この様な炉中に散逸したために
発生するCd濃度の低い層は通常表面から10μm程度
であり、またこの様なビス型の接点が本願が有効にその
効果を発揮する定格電流が200A以上において用いら
れることは希である。定格電流が100Aであっても、
このビス型電気接点が一部に用いられることがあるが、
通常固定接点においてのみであり、定格電流が100A
以上の可動接点にビス型接点が用いられることは少な
い。
【0037】また、この炉中に通した場合に見られる極
表面のCd濃度の低下はSn濃度の低下を伴うことが多
いが、本願発明はこれとは異なりSn濃度は高いことか
らも、この炉中処理で得られる接点合金組成とは異なる
接点合金組成を提供するものである。
【0038】本願発明においては、Sbは0%以上2%
以下、Caは0%以上0.3%以下、Biは0%以上1
%以下、Coは0%以上0.5%以下、Inは0%以上
5%以下の範囲のAg合金であっても、特許請求の範囲
第1項記載の範囲に属する限りにおいて差し支えないの
と同様に、他の元素例えば通常0.001%以上5%以
下で添加されるCe、0.1%以上6.2%以下で添加
されるSb、0.01%以上5%以下で添加されるL
i、0.05%以上10%以下で添加されるSi、0.
01%以上0.5%以下で添加されるFe、0.05%
以上0.1%以下で添加されるPb、0.001%以上
5%以下で添加されるCr,Sr、0.5%以上5%以
下で添加されるTi、0.5%以上5%以下で添加され
るTe、0.5%以上5%以下で添加されるMn、0.
01%以上3%以下で添加されるAlF3、MgF2、C
rF3、CaF2、0.5%以上5%以下で添加されるZ
n、1%以上3%以下で添加されるGe、Ga、0.0
1%以上0.1%以下で添加されるMgを添加する事を
妨げるものではない。
【0039】これらの場合に於いても請求項1記載の範
囲に属する限りにおいては、請求項1に示した接点合金
組成組成、硬度、及び2層構造による効果として、これ
ら元素がない場合と同様の効果が期待できるからであ
る。逆に言うなら、本願は、本願が示す接点構造および
Cd,Sn,Niの接点合金組成の範囲で本願が示す効
果を損なわない程度に微量添加元素を添加することを禁
じるものではない。
【0040】(実施例1) 縦8mm、横6mm、厚み
2.5mm及び縦6mm、横6mm、厚み2mmの一対
(図2の可動接点6と基台4の上に付着した固定接点7
に該当する。なお、図2(II)は、説明上、固定接点7
で示している。また図2(II)は、円形接点で図示して
いるが、角形接点等も同様に該当する。)の電気接点の
いずれも厚みの10%の純Ag層3付きとし、接点合金組
成が、表1、2(方法の欄に「プラズマ」との記載が、
該当する。表3〜6も同じ。)になるような接点の内部
層2を作製し、その表面(純Agとは反対側の面)に減圧
プラズマ溶射法にてAr+H2雰囲気中で表3、4の組
成の合金粉末を溶射した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】原料にはプレアロイ粉末を用い、粉末粒径
はサブミクロンから2μmまでの粉末を用いた。フィー
ド用のキャリアーガスにはArを用いた。また溶射中に
は溶射ガンの先端を自動制御にて揺動させ均一溶射層に
よる表面層1の形成をはかるとともに、接点基材(サブ
ストレイトと称されることが多い。)になる接点の内部
層2と溶射層による表面層1の密着性を上げる目的で、
サブストレイトをプラズマ炎に曝して加熱後に溶射を行
った。
【0046】その結果得た酸化後の接点の2層構造と硬
度は表5、6の通りである。これら接点を定格電流が1
00A以上の各種のブレーカーにて、220V、50k
Aの遮断電流にて遮断試験と、初期温度測定、過負荷試
験後の温度特性、耐久試験後の温度特性、短絡試験後の
温度特性を評価した。過負荷試験条件は定格電流の5倍
とし50回、耐久試験は定格電流にて5000回の試験
を行った。表5、6には試験結果を示した。なお、評価
結果は、評価ブレーカーによって異なるため、総合評価
を5〜1で示した。最も優れた結果を5、使用可能の下
限を3、最も劣る結果を1で示した。
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】(実施例2) 縦8mm、横6mm、厚み
2.5mm及び縦6mm、横6mm、厚み2mmの一対
の電気接点のいずれも厚みの10%の純Ag層付きと
し、接点合金組成が、表1、2(方法の欄に「蒸着」と
の記載が、該当する。表3〜6も同じ。)の接点合金組
成を有する電気接点の内部層2となる接点基材の表面
(純Agとは反対側の面)に、表3、4の接点合金組成を
有するターゲットを用いて、マグネトロンスパッター法
により蒸着を行った。基材の温度はSnの再蒸発を防止
するために200℃に保持し、Ar雰囲気の圧力は数t
orr〜数十torrに保った。
【0050】また、基材である接点の内部層2と蒸着層
である表面層1との密着性を良くするために、予め接点
の内部層2の表面は高周波により発生したイオンにより
クリーニングを施した後蒸着を行った。そして内部酸化
したのち得た電気接点を、実施例1と同じ方法にて遮断
試験と、初期温度測定、過負荷試験後の温度特性、過負
荷試験後の温度特性、短絡試験後の温度特性を評価した
結果を硬度とともに表5、6に示した。
【0051】(実施例3) 接点合金組成が、表1、2
(方法の欄に「シート」との記載が、該当する。表3〜
6も同じ。)になるようなAg合金板を作製し、その上
面に表3、4の組成のAg合金箔をAr雰囲気中で60
0℃にて接合した。得られた2層合金板に、更に純Ag
層をAr雰囲気中で600℃にて加熱後圧延して、3層
合金板を作製し、これを打ち抜き加工してチップ状の縦
8mm、横6mm、厚み2.5mm及び縦6mm、横6
mm、厚み2mmの一対の電気接点を作製した。
【0052】そして内部酸化したのち得た接点を、実施
例1と同じにて遮断試験と、初期温度測定、過負荷試験
後の温度特性、過負荷試験後の温度特性、短絡試験後の
温度特性を評価した結果を硬度値とともに表5、6に示
す。
【0053】(実施例4) 接点合金組成が、表1、2
(方法の欄に「酸+焼」との記載が、該当する。表3〜
6も同じ。)になるような純Ag層付き酸化接点を作製
し、その外側部分を酸性溶液に浸け表面の汚れを除去し
ておいた後、焼鈍し合金元素の拡散を促した。これによ
り表3、4の組成の合金を接点表面に形成した。その結
果得た2層構造接点の構造と硬度を表5、6に示した。
【0054】そして内部酸化したのち得た接点を、実施
例1と同じ条件にて遮断試験と、初期温度測定、過負荷
試験後の温度特性、過負荷試験後の温度特性、短絡試験
後の温度特性を評価した。
【0055】(実施例5) 接点合金組成が、表1、2
(方法の欄に「HIP」との記載が、該当する。表3〜
6も同じ。)となるように板材を作製し、その表面に表
3,4の組成の板材を張り合わせ2枚の板が気密となる
ように接合面を溶接した。
【0056】その後700℃×1800Kg/cm2×
2hの条件でArガス中にて熱間静水圧成形(HIP)を
行い、この2層板に純Ag層を張り合わせて、得られた
板を圧延した後打ち抜いて、チップ状の縦8mm、横6
mm、厚み2.5mm及び縦6mm、横6mm、厚み2
mmの一対を作製した。そして内部酸化したのち得た接
点を、実施例1と同じ条件にて遮断試験と、初期温度測
定、過負荷試験後の温度特性、過負荷試験後の温度特
性、短絡試験後の温度特性を評価した。
【0057】(実施例6) 接点合金組成が、表1、2
(方法の欄に「押出」との記載が、該当する。表3〜6
も同じ。)の粉末を酸化した後プレス成形にて円柱部材
を作製し、これとその周囲に表3、4の組成の粉末を酸
化した後プレス成形にて表1、2の部材と一体化させた
部材を作製し、一体化させたときの断面形状が直径80
mmの円になる直径80mm×長さ200mmの円柱ビ
レットを作製した。
【0058】その後800℃×2hの条件でAr雰囲気
中で加熱後、2つの穴を持つダイスで熱間押出加工を行
い板形状とした後、この2層板に板圧の10分の1の厚
みの純Ag層板を張り合わせて圧延し、得られた3層構
造の板から打ち抜いて、チップ状の縦8mm、横6m
m、厚み2.5mm及び縦6mm、横6mm、厚み2m
mの一対の電気接点を作製した。そして内部酸化したの
ち得た接点を、実施例1と同じ条件にて遮断試験と、初
期温度測定、過負荷試験後の温度特性、過負荷試験後の
温度特性、短絡試験後の温度特性を評価した。
【0059】これら実施例1〜6の試験の結果は、比較
例とともに表1〜6に示している。すなわち、表2の比
較例は内部層の接点合金組成が本発明から外れているも
の、表4の比較例は表面層の接点合金組成が本発明から
外れているもの、表6比較例は初めの11個は表面層
(一部内部層を含む。)の接点合金組成が、次の6個は
内部層の接点合金組成が、次の3個は表面層厚み及び硬
度が、最後の比較例は評価の定格電流が本発明から外れ
ている。結果的に、本発明に示した電気接点は比較例に
比べて明らかに優れた温度特性と耐溶着特性を示した。
【0060】
【発明の効果】本願は、定格電流100A以上の電気接
点に用いるに適した構造(電気接点表面からAμmより
浅い層である表面層と、電気接点表面からAμmより深
い層である内部層)と接点合金組成(表面層の接点合金
組成と内部層の接点合金組成)及び硬度を明らかにする
ことにより、優れた温度性能(初期、過負荷試験後、耐
久試験後、及び短絡遮断試験後)と優れた耐溶着性能を
合わせ持つ電気接点を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気接点の断面を示す図である。
【図2】一対の電気接点(可動接点、固定接点)を示す
概念図である。
【符号の説明】 1:表面層 2:内部層 3:純Ag層 4:基台 5:電気接点表面 6:可動接点 7:固定接点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01H 11/04 H01H 11/04 B

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定格電流が100A以上の遮断器(ブレ
    ーカー)に用いる電気接点であって、該電気接点表面か
    ら8μm以上80μm以下の表面層が重量%でカドミウ
    ム(Cd)が0%以上6%以下、スズ(Sn)が0.1
    %以上1.5%以下、ニッケル(Ni)が0.15%以
    上1.2%以下、残部が不純元素0.2%以下の銀合金
    で構成され、前記表面層の内側の内部層が重量%でカド
    ミウム(Cd)が14%以上19%以下、スズ(Sn)
    が0.3%以上1.5%以下、ニッケル(Ni)が0.
    22%以上1.2%以下、残部が不純元素0.2%以下
    の銀合金とで構成される2層構造を持ち、前記表面層及
    び内部層のマイクロビッカース硬度が45mHv以上1
    25mHv以下であることを特徴とする電気接点。
  2. 【請求項2】 前記不純物が0.2%以下の銀合金は、
    重量%でアンチモン(Sb)が0%以上2%以下、カル
    シウム(Ca)が0%以上0.3%以下、ビスマス(B
    i)が0%以上1%以下、コバルト(Co)が0%以上
    0.5%以下、インジウム(In)が0%以上5%以下
    の銀合金であることを特徴とする請求項1記載の電気接
    点。
  3. 【請求項3】 溶射法で表面層を形成することを特徴と
    する請求項1記載の電気接点の製造法。
  4. 【請求項4】 薄板の圧延法で表面層を形成することを
    特徴とする請求項1記載の電気接点の製造法。
  5. 【請求項5】 蒸着法で表面層を形成することを特徴と
    する請求項1記載の電気接点の製造法。
  6. 【請求項6】 酸性溶液に浸漬洗浄後、合金元素の拡散
    焼鈍で表面層を形成することを特徴とする請求項1記載
    の電気接点の製造法。
  7. 【請求項7】 熱間静水圧成形法(HIP)で表面層を
    形成することを特徴とする請求項1記載の電気接点の製
    造法。
  8. 【請求項8】 熱間押出法で表面層を形成することを特
    徴とする請求項1記載の電気接点の製造法。
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