JPH10176119A - 金属用表面処理剤 - Google Patents

金属用表面処理剤

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JPH10176119A
JPH10176119A JP33987996A JP33987996A JPH10176119A JP H10176119 A JPH10176119 A JP H10176119A JP 33987996 A JP33987996 A JP 33987996A JP 33987996 A JP33987996 A JP 33987996A JP H10176119 A JPH10176119 A JP H10176119A
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JP
Japan
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ethylenically unsaturated
carboxylic acid
polyester resin
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unsaturated carboxylic
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JP33987996A
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English (en)
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Sakae Murata
栄 村田
Hideichirou Riku
秀一郎 陸
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TAKAMATSU YUSHI KK
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TAKAMATSU YUSHI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リン酸塩やクロム酸塩を使用しない無公害
で、各種金属表面に優れた耐食性と塗料密着性を付与す
ることができる金属表面処理剤を提供する。 【解決手段】 平均分子量4000〜30000の水性
ポリエステル樹脂およびエチレン・エチレン性不飽和カ
ルボン酸共重合体アルカリ金属中和物(アイオノマー)
の水分散液中において、エチレン性不飽和単量体を重合
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属表面処理剤に関し、
特に金属表面を塗装する前に該表面に優れた耐食性と塗
料密着性を付与するための該表面処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料に対する塗装の前処理としては
リン酸塩処理、クロメート処理が一般的に行われてい
る。しかしながら、これらの処理は近年の無公害、省資
源、省エネルギーの観点から問題の多い処理方法であ
る。例えば、リン酸塩処理に関しては、耐食性付与のた
めに通常使用されるクロム酸リンスよるクロム公害、処
理時に使用される反応促進剤や金属イオン等の排水・ス
ラッジ処理の問題などがある。 又、クロメート処理に
関しては、処理工程でのクロム酸塩ヒュームの飛散、水
洗排水処理設備の膨大な費用、化成処理皮膜からのクロ
ム酸溶出の可能性等の問題が挙げられる。
【0003】一方、上記欠点を改良した無公害、あるい
は省資源、省エネルギー型処理剤として有機樹脂を用い
た処理法が各種提案されている。例えば、特開昭61−
133277号公報、特開平4−66671号公報、特
開平7−268244号公報などに開示されている方法
が知られている。
【0004】しかし、これらの従来方法では、得られる
処理皮膜が一部の塗料に対して十分な密着性を示さなか
ったり、クロメート含有の有機樹脂を使用したものであ
る等の問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上記問題点を解決するためのものであり、具体的には金
属表面に優れた耐食性と塗料密着性を付与することがで
きる金属表面処理剤を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するべく鋭意検討した結果、水性ポリエステル樹
脂およびエチレン・エチレン性不飽和カルボン酸共重合
体アルカリ金属中和物(アイオノマー)の水分散液中に
おいて、エチレン性不飽和単量体を重合することによ
り、排水公害性等の問題がなく金属への密着性と優れた
耐食性を持ちかつ、各種の塗料に対して密着性の良好な
金属表面処理剤が得られることを見い出した。
【0007】即ち本発明の金属表面処理剤は、(A)平
均分子量4000〜30000の水性ポリエステル樹脂
および(B)エチレン・エチレン性不飽和カルボン酸共
重合体アルカリ金属中和物(アイオノマー)水分散液中
においてエチレン性不飽和単量体を重合して得られるこ
とを特徴とするものである。
【0008】本発明において使用される水性ポリエステ
ルとしては、平均分子量4000〜30000のポリエ
ステル樹脂が使用される。
【0009】本発明の水性ポリエステルは、公知の製造
技術によりジカルボン酸とジオールとをエステル化(エ
ステル交換)、重縮合させることによって製造される
が、その製造方法は何ら限定されるものではない。
【0010】ジカルボン酸成分としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、ナフタ
リンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン
酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等の芳香族ジ
カルボン酸やアジピン酸、コハク酸、セバチン酸、ドデ
カン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、ヒドロキシ安息
香酸のようなヒドロキシカルボン酸又はこれらのエステ
ルを、ジカルボン酸成分として若しくはその一部として
使用することができる。この際のエステルとしては例え
ば、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、イ
ソフタル酸ジエチル等が例示できる。
【0011】一方本発明の水性ポリエステル樹脂を構成
するジオール成分としては、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘ
キサンジメタノール、ビスフェノール、1,3−プロパ
ンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシ
ドグリコール等が使用される。
【0012】本発明の水性ポリエステル樹脂は、水性あ
るいは水分散性を付与するために分子中に親水性基とし
てスルホン酸塩基あるいはカルボン酸塩基を有するよう
に重合される。スルホン酸塩を含有させるための具体例
としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカ
ルボン酸成分をジカルボン酸成分の一部として用いる方
法が挙げられる。その使用量はジカルボン酸成分中に2
〜15モル%が好ましい。カルボン酸塩を含有させるた
めの具体例としては、ポリエステル樹脂製造時に縮合酸
成分として3官能以上の多価カルボン酸を使用したり、
ポリエステル樹脂に重合性の不飽和カルボン酸をグラフ
トする方法などによりカルボン酸含有のポリエステルを
作製し、アルカリ金属、各種アミン、アンモニウム系化
合物等とともに水性塩を形成する物質との塩類とする方
法が挙げられる。ポリエステル樹脂中のカルボン酸塩の
量は、生成したポリエステル樹脂の酸価が15〜250
KOH /gの間が好ましい。
【0013】本発明の水性ポリエステルは、既に述べた
通り分子量が4000〜30000であることが必要で
あるが、この際分子量が4000未満では耐水性、耐ブ
ロッキング性、密着性等の樹脂物性が低下する。又、分
子量が30000を越えると水への均一な溶解ないし分
散が難しく、時間の経過と共にゲル化する傾向がある。
ことに分子量が5000〜25000のものが好まし
い。
【0014】本発明の水性ポリエステルは水溶液あるい
は水分散液にされるがその手段は、スルホン酸塩含有ポ
リエステル樹脂の場合は、攪拌下に好ましくは50〜9
0℃の温水に溶解もしくは分散させる。この場合樹脂の
溶解もしくは分散を容易にするために水溶性有機溶剤を
併用してもよい。水溶性有機溶剤としては、低級アルコ
ール類、多価アルコール類及びそのアルキルエーテルま
たはアルキルエステル類などが挙げられ、具体的には、
メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソ
プロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチル
エーテル、プロピレングリコールアセテート、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル等が使用できる。また、カルボ
ン酸塩含有ポリエステル樹脂の場合は、アンモニア水、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン類等の
アルカリ性化合物を添加した好ましくは50〜90℃の
温水に、攪拌下に溶解もしくは分散させる。この場合も
上記水溶性有機溶剤を併用してもよい。
【0015】本発明において使用されるエチレン・エチ
レン性不飽和カルボン酸共重合体アルカリ金属中和物
(アイオノマー)は、エチレン・エチレン性不飽和カル
ボン酸共重合体をアルカリ金属イオンで中和したもので
ある。
【0016】エチレン・エチレン性不飽和カルボン酸共
重合体は、エチレンとエチレン性不飽和カルボン酸の他
少量の例えば5重量%未満のエチレン性不飽和カルボン
酸エステルを共重合したものであっても良い。
【0017】エチレンと共重合すべきエチレン性不飽和
カルボン酸としては例えばアクリル酸、メタクリル酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、無水マレイン酸
などがあり、又エチレン性不飽和カルボン酸エステルと
しては例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸イソブチル、フマール酸ジメチルなどが例示
できる。又本共重合体には少量の他の共重合可能な単量
体例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニル
エステルを含んでも良い。
【0018】共重合体中のエチレン性不飽和カルボン酸
量(不飽和カルボン酸及びそのエステルの合計量)は共
重合体中1〜25モル%、好ましくは1〜15モル%特
に好ましくは3〜10モル%である。
【0019】アイオノマーは、前述の共重合体中のカル
ボン酸基部分ないしカルボン酸エステル基部分をアルカ
リ金属で中和(ここでいう中和とはカルボン酸基部分の
中和あるいはカルボン酸エステル基部分のケン化も含む
ものとする)したものであり特に好ましくはNa+、K+
で中和されたものである。アイオノマーの中和度は特に
制限はないが、共重合体中のカルボン酸基又はカルボン
酸エステル基の10〜90%特に30〜70%が中和さ
れており、このアイオノマーのMFR(メルトフローレ
ート;ASTM D 1238 E)は0.5〜400g
/10minであるものが好ましい。
【0020】このアイオノマーは公知の種々の方法によ
って製造でき、例えば特開昭39−6810号公報に開
示されているエチレン・エチレン性不飽和カルボン酸共
重合体に水溶性のイオン性金属化合物を加えて均一に分
散させて反応する方法、特公昭42−15768号公報
に開示されているエチレン・エチレン性不飽和カルボン
酸共重合体のペレットをアルカリ希釈溶液に導入してス
ラリー系で中和反応を行う方法、特公昭49−3155
6号公報に開示されているエチレン・エチレン性不飽和
カルボン酸エステル共重合体を有機溶媒中で塩基性金属
化合物と反応させて得られるケン化反応生成物を酸処理
することによりカルボン酸金属塩の一部をカルボン酸に
変換する方法などを挙げることができる。
【0021】本発明において使用されるエチレン性不飽
和単量体としては、上述のアクリル酸メチル、アクリル
酸エチル等の不飽和カルボン酸エステルや酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、
臭化ビニル等のハロゲン化ビニル等を挙げることができ
る。
【0022】更に本発明においてはヒドロキシアクリル
酸エステルも使用でき、その例としては、アクリル酸ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アク
リル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプ
ロピル等が挙げられる。
【0023】本発明のエチレン性不飽和単量体のうち、
特に親水性の大きい不飽和単量体としてはエチレングリ
コールアクリレート、エチレングリコールメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレ
ングリコールメタクリレート等のグリコールモノエステ
ル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールア
クリルアミド、、メトキシメチロールアクリルアミド等
のアクリルアミド系化合物、アクリル酸グリシジル、メ
タクリル酸グリシジル等のグリシジルアクリレート系化
合物等が例示できる。
【0024】又ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、
ビニルピロリドン等の含窒素ビニル系化合物、アクリル
酸等の酸及びその塩も親水性不飽和単量体として使用で
きる。しかしこれらの親水性単量体は疎水性単量体との
併用することが好ましい。
【0025】又その他エチレン、プロピレン、スチレ
ン、ブタジエン等のオレフィンやジオレフィン化合物、
ジメチルビニルメトキシシラン、メチルビニルジメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン等のビニルシラン化合物も共重合成分として使用で
きる。
【0026】水性ポリエステル樹脂とアイオノマーの配
合割合は固形分重量比で10:90〜90:10、好ま
しくは20:80〜80:20である。水性ポリエステ
ル樹脂が10重量%以下だと、塗料特にポリエステル系
塗料との密着性が著しく低下し、90重量%を越えると
金属基材への密着及び耐食性が劣る結果となる。
【0027】水性ポリエステル樹脂およびアイオノマー
の水分散液に対するエチレン性不飽和単量体の使用割合
は固形分重量比で20:80〜95:5、好ましくは4
0:60〜90:10である。エチレン性不飽和単量体
が80重量%以上だと充分な金属基材との密着性が得ら
れず、5重量%以下だと表面清浄工程であるアルカリ脱
脂により当該処理皮膜が溶解してしまい充分な耐アルカ
リ性が得られない。
【0028】本発明の金属表面処理剤を得るための重合
方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
例えば上記水性ポリエステル樹脂とアイオノマーを配合
した水分散液中に重合開始剤と必要に応じて少量の乳化
分散剤を添加し、45〜90℃好ましくは65〜85℃
に保ちながらエチレン性不飽和単量体を攪拌しながら徐
々に添加する。その後2〜5時間熟成して重合を完結
し、本発明の金属表面処理剤を得る方法が挙げられる。
【0029】重合開始剤としては一般的なラジカル重合
開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、
過酸化水素等の水溶性過酸化物、または過酸化ベンゾイ
ルやt−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸
化物、あるいはアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系
化合物が使用できる。
【0030】本発明の組成物が、本用途の処理剤として
優れた性能を発現する理由としては次のように考えられ
る。水性ポリエステル樹脂とアイオノマーとエチレン性
不飽和単量体の単独共重合物の三者混合物の場合では、
塗膜中で相分離が起こり十分な性能を得ることは難しい
が、本発明の組成物においては、エチレン性不飽和単量
体は水性ポリエステル樹脂及びアイオノマーにグラフト
重合しており、より分子的に均一に混合または反応し塗
膜が均質化しているために金属基材及び塗料との密着性
に優れるとともに、耐食性も良好なものとなっている。
【0031】本発明の金属表面処理剤は次に述べる金属
基材に処理され乾燥される。具体的な処理方法として
は、浸漬、スプレーあるいはコーティングが挙げられ
る。塗布量としては通常、乾燥後の膜厚で0.2〜5μ
の範囲で使用され、乾燥する温度と時間としては通常、
50〜150℃×数秒〜3分位の条件で行うことが好ま
しい。使用される金属基材には格別の限定はなく、例え
ば鉄、鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、アルミニウ
ム、アルミニウム合金、銅、マグネシウム等の実用金属
から選ぶことができる。さらに、使用される塗料として
はポリエステル系、ウレタン系、メラミン系、エポキシ
系、アクリル系等の合成樹脂塗料が挙げられる。
【0032】以下、実施例、製造例によって更に詳細に
本発明を説明する。なお、製造例および実施例中の部は
重量部を示す。
【0033】水性ポリエステル樹脂の製造 下記表1に記したカルボン酸成分、グリコール成分を用
いて、酢酸亜鉛と三酸化アンチモンを触媒として反応容
器中で170〜220℃で3時間エステル交換を行った
後、260℃まで昇温しつつ反応系内を徐々に減圧し
て、1時間に5Hgとし、更に減圧下(0.2 Hg)
で所定粘度が得られるまで重縮合を行った。なお、樹脂
Cは樹脂Aと同じ組成で反応を進め、樹脂の粘度が上が
る前に反応系ら取り出して低分子量のポリエステルを得
たものである。
【0034】
【表1】
【0035】上記表1のポリエステル樹脂A,B,Cそ
れぞれ160重量部を水240重量部に65〜85℃で
攪拌しつつ均一に溶解し、固形分濃度40重量%の水溶
液を得た。
【0036】金属表面処理剤の製造 〔実施例1、2及び比較例1〜5〕冷却管付き反応容器
に、下記表2の組成にてポリエステル樹脂水溶液、アイ
オノマー、水を仕込み、20分間窒素ガスを吹き込んで
十分脱酸素を行った。次に開始剤を添加して70〜80
℃に昇温し1時間をかけてエチレン性不飽和単量体を滴
下し、さらに同温度にて3時間熟成し、金属表面処理剤
を得た。
【0037】
【表2】
【0038】〔比較例6〕比較例2にて得られた表面処
理剤100重量部に対して、40%樹脂Bの水溶液を3
0重量部配合した。
【0039】〔比較例7〕比較例3にて得られた表面処
理剤100重量部に対して、ケミパールS−100を3
0重量部配合した。
【0040】〔比較例8〕水性ポリエステル樹脂の製造
にて得られた樹脂Bの40%水溶液50重量部に対し
て、ケミパールS-100を50重量部配合した。
【0041】〔比較例9〕冷却管付き反応容器に、水7
8.8重量部とDBS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム)1重量部と開始剤KPS(過硫酸カリウム)
0.2重量部を仕込み、20分間窒素ガスを吹き込んで
十分脱酸素を行った。次に70〜80℃に昇温し1時間
をかけてエチレン性不飽和単量体20重量部(アクリル
酸エチル/メタクリル酸ブチル=12/8重量部)を滴
下し、さらに同温度にて3時間熟成して固形分20%の
アクリルエマルジョンを得た。このエマルジョン25重
量部に対して、水15重量部と40%樹脂Bの水溶液3
0重量部とケミパールS−100を30重量部配合し
た。
【0042】得られた金属表面処理剤を、(鋼板a)亜
鉛メッキ鋼・(鋼板b)アルミニウム板・(鋼板c)冷
延鋼板に乾燥後の塗膜厚さが1μになるように塗布し、
120℃で30秒間乾燥して加工鋼板を得た。このよう
にして得た加工鋼板について下記の試験を行った。
【0043】1)鋼板密着性試験 各加工鋼板について、碁盤目テープ法(JIS K 54
00 8.5.2)に準じ塗工面の上からセロハンテープ
を貼り付け、180゜方向に速やかに引き剥がした後の
塗膜残存率を測った。 〇:残存率100% △:残存率99〜80% ×:残存率79%以下 2)塗料密着性試験 亜鉛メッキ鋼板の加工鋼板上に、(塗料イ)ポリエステ
ル系樹脂塗料、(塗料ロ)アルキッド系樹脂塗料及び
(塗料ハ)エポキシ系樹脂塗料を塗膜厚9〜10μに塗
装し130℃で20分間焼き付け、この塗装鋼板を沸騰
水に2時間浸漬し、碁盤目テープ法(JIS K 540
0 8.5.2)に準じ、塗装面の上からセロハンテープを
貼り付け、180゜方向に速やかに引き剥がした後の塗
膜残存率を測った。
【0044】 〇:残存率100% △:残存率99〜80% ×:残存率79%以下 3)耐アルカリ試験 各加工鋼板ついて、60℃の1%水酸化ナトリウム水溶
液に3分間浸漬し、水洗、ドライヤー乾燥後碁盤目テー
プ法(JIS K 5400 8.5.2)に準じ、塗装面
の上からセロハンテープを貼り付け、180゜方向に速
やかに引き剥がした後の塗膜残存率を測った。
【0045】 〇:残存率100% △:残存率99〜80% ×:残存率79%以下 4)耐食性試験 冷延鋼板の加工鋼板を、温度40℃・湿度90%の雰囲
気中に5日間放置し、発錆状況を目視にて判定した。
【0046】 〇:発錆面積0% △:発錆面積1〜19% ×:発錆面積20%以上
【0047】
【表3】
【0048】表3の結果から明らかなように、実施例1
・2においては金属表面処理剤として要求されるべき性
能を全て満たしていた。それに対して本発明の金属表面
処理剤組成物の条件から外れる比較例1〜9においては
十分な性能が得られなかった。
【0049】
【発明の効果】上記説明から明らかなように、本発明で
得られる金属表面処理剤は無公害であり、しかも金属と
の密着性、塗料との密着性、および耐食性に優れた皮膜
を形成することができ、実用上優れた効果を奏する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年12月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 金属用表面処理剤
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属表面処理剤に関
し、特に金属表面を塗装する前に該表面に優れた耐食性
と塗料密着性を付与するための該表面処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料に対する塗装の前処理としては
リン酸塩処理、クロメート処理が一般的に行われてい
る。しかしながら、これらの処理は近年の無公害、省資
源、省エネルギーの観点から問題の多い処理方法であ
る。例えば、リン酸塩処理に関しては、耐食性付与のた
めに通常使用されるクロム酸リンスよるクロム公害、処
理時に使用される反応促進剤や金属イオン等の排水・ス
ラッジ処理の問題などがある。又、クロメート処理に関
しては、処理工程でのクロム酸塩ヒュームの飛散、水洗
排水処理設備の膨大な費用、化成処理皮膜からのクロム
酸溶出の可能性等の問題が挙げられる。
【0003】一方、上記欠点を改良した無公害、あるい
は省資源、省エネルギー型処理剤として有機樹脂を用い
た処理法が各種提案されている。例えば、特開昭61−
133277号公報、特開平4−66671号公報、特
開平7−268244号公報などに開示されている方法
が知られている。
【0004】しかし、これらの従来方法では、得られる
処理皮膜が一部の塗料に対して十分な密着性を示さなか
ったり、クロメート含有の有機樹脂を使用したものであ
る等の問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上記問題点を解決するためのものであり、具体的には金
属表面に優れた耐食性と塗料密着性を付与することがで
きる金属表面処理剤を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するべく鋭意検討した結果、水性ポリエステル樹
脂およびエチレン・エチレン性不飽和カルボン酸共重合
体アルカリ金属中和物(アイオノマー)の水分散液中に
おいて、エチレン性不飽和単量体を重合することによ
り、排水公害性等の問題がなく金属への密着性と優れた
耐食性を持ちかつ、各種の塗料に対して密着性の良好な
金属表面処理剤が得られることを見い出した。
【0007】即ち本発明の金属表面処理剤は、(A)平
均分子量4000〜30000の水性ポリエステル樹脂
および(B)エチレン・エチレン性不飽和カルボン酸共
重合体アルカリ金属中和物(アイオノマー)水分散液中
においてエチレン性不飽和単量体を重合して得られるこ
とを特徴とするものである。
【0008】本発明において使用される水性ポリエステ
ルとしては、平均分子量4000〜30000のポリエ
ステル樹脂が使用される。
【0009】本発明の水性ポリエステルは、公知の製造
技術によりジカルボン酸とジオールとをエステル化(エ
ステル交換)、重縮合させることによって製造される
が、その製造方法は何ら限定されるものではない。
【0010】ジカルボン酸成分としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、ナフタ
リンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン
酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等の芳香族ジ
カルボン酸やアジピン酸、コハク酸、セバチン酸、ドデ
カン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、ヒドロキシ安息
香酸のようなヒドロキシカルボン酸又はこれらのエステ
ルを、ジカルボン酸成分として若しくはその一部として
使用することができる。この際のエステルとしては例え
ば、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、イ
ソフタル酸ジエチル等が例示できる。
【0011】一方本発明の水性ポリエステル樹脂を構成
するジオール成分としては、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘ
キサンジメタノール、ビスフェノール、1,3−プロパ
ンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシ
ドグリコール等が使用される。
【0012】本発明の水性ポリエステル樹脂は、水性あ
るいは水分散性を付与するために分子中に親水性基とし
てスルホン酸塩基あるいはカルボン酸塩基を有するよう
に重合される。スルホン酸塩を含有させるための具体例
としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカ
ルボン酸成分をジカルボン酸成分の一部として用いる方
法が挙げられる。その使用量はジカルボン酸成分中に2
〜15モル%が好ましい。カルボン酸塩を含有させるた
めの具体例としては、ポリエステル樹脂製造時に縮合酸
成分として3官能以上の多価カルボン酸を使用したり、
ポリエステル樹脂に重合性の不飽和カルボン酸をグラフ
トする方法などによりカルボン酸含有のポリエステルを
作製し、アルカリ金属、各種アミン、アンモニウム系化
合物等とともに水性塩を形成する物質との塩類とする方
法が挙げられる。ポリエステル樹脂中のカルボン酸塩の
量は、生成したポリエステル樹脂の酸価が15〜250
KOHmg/gの間が好ましい。
【0013】本発明の水性ポリエステルは、既に述べた
通り分子量が4000〜30000であることが必要で
あるが、この際分子量が4000未満では耐水性、耐ブ
ロッキング性、密着性等の樹脂物性が低下する。又、分
子量が30000を越えると水への均一な溶解ないし分
散が難しく、時間の経過と共にゲル化する傾向がある。
ことに分子量が5000〜25000のものが好まし
い。
【0014】本発明の水性ポリエステルは水溶液あるい
は水分散液にされるがその手段は、スルホン酸塩含有ポ
リエステル樹脂の場合は、攪拌下に好ましくは50〜9
0℃の温水に溶解もしくは分散させる。この場合樹脂の
溶解もしくは分散を容易にするために水溶性有機溶剤を
併用してもよい。水溶性有機溶剤としては、低級アルコ
ール類、多価アルコール類及びそのアルキルエーテルま
たはアルキルエステル類などが挙げられ、具体的には、
メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソ
プロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチル
エーテル、プロピレングリコールアセテート、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル等が使用できる。また、カルボ
ン酸塩含有ポリエステル樹脂の場合は、アンモニア水、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン類等の
アルカリ性化合物を添加した好ましくは50〜90℃の
温水に、攪拌下に溶解もしくは分散させる。この場合も
上記水溶性有機溶剤を併用してもよい。
【0015】本発明において使用されるエチレン・エチ
レン性不飽和カルボン酸共重合体アルカリ金属中和物
(アイオノマー)は、エチレン・エチレン性不飽和カル
ボン酸共重合体をアルカリ金属イオンで中和したもので
ある。
【0016】エチレン・エチレン性不飽和カルボン酸共
重合体は、エチレンとエチレン性不飽和カルボン酸の他
少量の例えば5重量%未満のエチレン性不飽和カルボン
酸エステルを共重合したものであっても良い。
【0017】エチレンと共重合すべきエチレン性不飽和
カルボン酸としては例えばアクリル酸、メタクリル酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、無水マレイン酸
などがあり、又エチレン性不飽和カルボン酸エステルと
しては例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸イソブチル、フマール酸ジメチルなどが例示
できる。又本共重合体には少量の他の共重合可能な単量
体例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニル
エステルを含んでも良い。
【0018】共重合体中のエチレン性不飽和カルボン酸
量(不飽和カルボン酸及びそのエステルの合計量)は共
重合体中1〜25モル%、好ましくは1〜15モル%特
に好ましくは3〜10モル%である。
【0019】アイオノマーは、前述の共重合体中のカル
ボン酸基部分ないしカルボン酸エステル基部分をアルカ
リ金属で中和(ここでいう中和とはカルボン酸基部分の
中和あるいはカルボン酸エステル基部分のケン化も含む
ものとする)したものであり特に好ましくはNa+、K+
で中和されたものである。アイオノマーの中和度は特に
制限はないが、共重合体中のカルボン酸基又はカルボン
酸エステル基の10〜90%特に30〜70%が中和さ
れており、このアイオノマーのMFR(メルトフローレ
ート;ASTM D 1238 E)は0.5〜400g
/10minであるものが好ましい。
【0020】このアイオノマーは公知の種々の方法によ
って製造でき、例えば特開昭39−6810号公報に開
示されているエチレン・エチレン性不飽和カルボン酸共
重合体に水溶性のイオン性金属化合物を加えて均一に分
散させて反応する方法、特公昭42−15768号公報
に開示されているエチレン・エチレン性不飽和カルボン
酸共重合体のペレットをアルカリ希釈溶液に導入してス
ラリー系で中和反応を行う方法、特公昭49−3155
6号公報に開示されているエチレン・エチレン性不飽和
カルボン酸エステル共重合体を有機溶媒中で塩基性金属
化合物と反応させて得られるケン化反応生成物を酸処理
することによりカルボン酸金属塩の一部をカルボン酸に
変換する方法などを挙げることができる。
【0021】本発明において使用されるエチレン性不飽
和単量体としては、上述のアクリル酸メチル、アクリル
酸エチル等の不飽和カルボン酸エステルや酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、
臭化ビニル等のハロゲン化ビニル等を挙げることができ
る。
【0022】更に本発明においてはヒドロキシアクリル
酸エステルも使用でき、その例としては、アクリル酸ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アク
リル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプ
ロピル等が挙げられる。
【0023】本発明のエチレン性不飽和単量体のうち、
特に親水性の大きい不飽和単量体としてはエチレングリ
コールアクリレート、エチレングリコールメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレ
ングリコールメタクリレート等のグリコールモノエステ
ル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールア
クリルアミド、、メトキシメチロールアクリルアミド等
のアクリルアミド系化合物、アクリル酸グリシジル、メ
タクリル酸グリシジル等のグリシジルアクリレート系化
合物等が例示できる。
【0024】又ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、
ビニルピロリドン等の含窒素ビニル系化合物、アクリル
酸等の酸及びその塩も親水性不飽和単量体として使用で
きる。しかしこれらの親水性単量体は疎水性単量体との
併用することが好ましい。
【0025】又その他エチレン、プロピレン、スチレ
ン、ブタジエン等のオレフィンやジオレフィン化合物、
ジメチルビニルメトキシシラン、メチルビニルジメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン等のビニルシラン化合物も共重合成分として使用で
きる。
【0026】水性ポリエステル樹脂とアイオノマーの配
合割合は固形分重量比で10:90〜90:10、好ま
しくは20:80〜80:20である。水性ポリエステ
ル樹脂が10重量%以下だと、塗料特にポリエステル系
塗料との密着性が著しく低下し、90重量%を越えると
金属基材への密着及び耐食性が劣る結果となる。
【0027】水性ポリエステル樹脂およびアイオノマー
の水分散液に対するエチレン性不飽和単量体の使用割合
は固形分重量比で20:80〜95:5、好ましくは4
0:60〜90:10である。エチレン性不飽和単量体
が80重量%以上だと充分な金属基材との密着性が得ら
れず、5重量%以下だと表面清浄工程であるアルカリ脱
脂により当該処理皮膜が溶解してしまい充分な耐アルカ
リ性が得られない。
【0028】本発明の金属表面処理剤を得るための重合
方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
例えば上記水性ポリエステル樹脂とアイオノマーを配合
した水分散液中に重合開始剤と必要に応じて少量の乳化
分散剤を添加し、45〜90℃好ましくは65〜85℃
に保ちながらエチレン性不飽和単量体を攪拌しながら徐
々に添加する。その後2〜5時間熟成して重合を完結
し、本発明の金属表面処理剤を得る方法が挙げられる。
【0029】重合開始剤としては一般的なラジカル重合
開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、
過酸化水素等の水溶性過酸化物、または過酸化ベンゾイ
ルやt−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸
化物、あるいはアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系
化合物が使用できる。
【0030】本発明の組成物が、本用途の処理剤として
優れた性能を発現する理由としては次のように考えられ
る。水性ポリエステル樹脂とアイオノマーとエチレン性
不飽和単量体の単独共重合物の三者混合物の場合では、
塗膜中で相分離が起こり十分な性能を得ることは難しい
が、本発明の組成物においては、エチレン性不飽和単量
体は水性ポリエステル樹脂及びアイオノマーにグラフト
重合しており、より分子的に均一に混合または反応し塗
膜が均質化しているために金属基材及び塗料との密着性
に優れるとともに、耐食性も良好なものとなっている。
【0031】本発明の金属表面処理剤は次に述べる金属
基材に処理され乾燥される。具体的な処理方法として
は、浸漬、スプレーあるいはコーティングが挙げられ
る。塗布量としては通常、乾燥後の膜厚で0.2〜5μ
の範囲で使用され、乾燥する温度と時間としては通常、
50〜150℃×数秒〜3分位の条件で行うことが好ま
しい。使用される金属基材には格別の限定はなく、例え
ば鉄、鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、アルミニウ
ム、アルミニウム合金、銅、マグネシウム等の実用金属
から選ぶことができる。さらに、使用される塗料として
はポリエステル系、ウレタン系、メラミン系、エポキシ
系、アクリル系等の合成樹脂塗料が挙げられる。
【0032】以下、実施例、製造例によって更に詳細に
本発明を説明する。なお、製造例および実施例中の部は
重量部を示す。
【0033】水性ポリエステル樹脂の製造 下記表1に記したカルボン酸成分、グリコール成分を用
いて、酢酸亜鉛と三酸化アンチモンを触媒として反応容
器中で170〜220℃で3時間エステル交換を行った
後、260℃まで昇温しつつ反応系内を徐々に減圧し
て、1時間に5mmHgとし、更に減圧下(0.2mm
Hg)で所定粘度が得られるまで重縮合を行った。な
お、樹脂Cは樹脂Aと同じ組成で反応を進め、樹脂の粘
度が上がる前に反応系ら取り出して低分子量のポリエス
テルを得たものである。
【0034】
【表1】
【0035】上記表1のポリエステル樹脂A,B,Cそ
れぞれ160重量部を水240重量部に65〜85℃で
攪拌しつつ均一に溶解し、固形分濃度40重量%の水溶
液を得た。
【0036】金属表面処理剤の製造 〔実施例1、2及び比較例1〜5〕冷却管付き反応容器
に、下記表2の組成にてポリエステル樹脂水溶液、アイ
オノマー、水を仕込み、20分間窒素ガスを吹き込んで
十分脱酸素を行った。次に開始剤を添加して70〜80
℃に昇温し1時間をかけてエチレン性不飽和単量体を滴
下し、さらに同温度にて3時間熟成し、金属表面処理剤
を得た。
【0037】
【表2】
【0038】〔比較例6〕比較例2にて得られた表面処
理剤100重量部に対して、40%樹脂Bの水溶液を3
0重量部配合した。
【0039】〔比較例7〕比較例3にて得られた表面処
理剤100重量部に対して、ケミパールS−100を3
0重量部配合した。
【0040】〔比較例8〕水性ポリエステル樹脂の製造
にて得られた樹脂Bの40%水溶液50重量部に対し
て、ケミパールS-100を50重量部配合した。
【0041】〔比較例9〕冷却管付き反応容器に、水7
8.8重量部とDBS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム)1重量部と開始剤KPS(過硫酸カリウム)
0.2重量部を仕込み、20分間窒素ガスを吹き込んで
十分脱酸素を行った。次に70〜80℃に昇温し1時間
をかけてエチレン性不飽和単量体20重量部(アクリル
酸エチル/メタクリル酸ブチル=12/8重量部)を滴
下し、さらに同温度にて3時間熟成して固形分20%の
アクリルエマルジョンを得た。このエマルジョン25重
量部に対して、水15重量部と40%樹脂Bの水溶液3
0重量部とケミパールS−100を30重量部配合し
た。
【0042】得られた金属表面処理剤を、(鋼板a)亜
鉛メッキ鋼・(鋼板b)アルミニウム板・(鋼板c)冷
延鋼板に乾燥後の塗膜厚さが1μになるように塗布し、
120℃で30秒間乾燥して加工鋼板を得た。このよう
にして得た加工鋼板について下記の試験を行った。
【0043】1)鋼板密着性試験 各加工鋼板について、碁盤目テープ法(JIS K 54
00 8.5.2)に準じ塗工面の上からセロハンテープ
を貼り付け、180゜方向に速やかに引き 剥がした後
の塗膜残存率を測った。 〇:残存率100% △:残存率99〜80% ×:残存率79%以下 2)塗料密着性試験 亜鉛メッキ鋼板の加工鋼板上に、(塗料イ)ポリエステ
ル系樹脂塗料、(塗料ロ)アルキッド系樹脂塗料及び
(塗料ハ)エポキシ系樹脂塗料を塗膜厚9〜10μに塗
装し130℃で20分間焼き付け、この塗装鋼板を沸騰
水に2時間浸漬し、碁盤目テープ法(JIS K 540
0 8.5.2)に準じ、塗装面の上からセロハンテープを
貼り付け、180゜方向に速やかに引き剥がした後の塗
膜残存率を測った。
【0044】 〇:残存率100% △:残存率99〜80% ×:残存率79%以下 3)耐アルカリ試験 各加工鋼板ついて、60℃の1%水酸化ナトリウム水溶
液に3分間浸漬し、水洗、ドライヤー乾燥後碁盤目テー
プ法(JIS K 5400 8.5.2)に準じ、塗装面
の上からセロハンテープを貼り付け、180゜方向に速
やかに引 き剥がした後の塗膜残存率を測った。
【0045】 〇:残存率100% △:残存率99〜80% ×:残存率79%以下 4)耐食性試験 冷延鋼板の加工鋼板を、温度40℃・湿度90%の雰囲
気中に5日間放置し、発錆状況を目視にて判定した。
【0046】 〇:発錆面積0% △:発錆面積1〜19% ×:発錆面積20%以上
【0047】
【表3】
【0048】表3の結果から明らかなように、実施例1
・2においては金属表面処理剤として要求されるべき性
能を全て満たしていた。それに対して本発明の金属表面
処理剤組成物の条件から外れる比較例1〜9においては
十分な性能が得られなかった。
【0049】
【発明の効果】上記説明から明らかなように、本発明で
得られる金属表面処理剤は無公害であり、しかも金属と
の密着性、塗料との密着性、および耐食性に優れた皮膜
を形成することができ、実用上優れた効果を奏する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)平均分子量4000〜30000
    の水性ポリエステル樹脂および(B)エチレン・エチレ
    ン性不飽和カルボン酸共重合体アルカリ金属中和物(ア
    イオノマー)の水分散液中において(C)エチレン性不
    飽和単量体を重合して得られる金属表面処理剤。
  2. 【請求項2】 請求項1において(A)水性ポリエステ
    ル樹脂および(B)エチレン・エチレン性不飽和カルボ
    ン酸共重合体アルカリ金属中和物の水分散液と(C)エ
    チレン性不飽和単量体の割合が固形分重量比で(A)+
    (B):(C)=95:5〜20:80となるように重
    合して得られる金属表面処理剤。
  3. 【請求項3】 請求項1において、(A)水性ポリエス
    テル樹脂と(B)エチレン・エチレン性不飽和カルボン
    酸共重合体アルカリ金属中和物の混合割合は固形分重量
    比で(A):(B)=10:90〜90:10となるよ
    うに混合した水分散液中でエチレン性不飽和単量体を重
    合して得られる金属表面処理剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7476445B2 (en) * 2006-10-02 2009-01-13 Nippon Steel Corporation Surface-treated metal sheet
JP2009534540A (ja) * 2006-04-26 2009-09-24 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 金属表面に耐食性の層を形成する方法

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