JPH10170721A - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法

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JPH10170721A
JPH10170721A JP8346648A JP34664896A JPH10170721A JP H10170721 A JPH10170721 A JP H10170721A JP 8346648 A JP8346648 A JP 8346648A JP 34664896 A JP34664896 A JP 34664896A JP H10170721 A JPH10170721 A JP H10170721A
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polarizing film
boric acid
concentration
tank
potassium iodide
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JP8346648A
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Ayumi Ikemoto
歩 池本
Hideki Takasu
秀樹 高須
Shingo Hibino
真吾 日比野
Hideki Shinohara
英樹 篠原
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定化処理におけるホウ酸−ヨウ化カリウム
(KI)水溶液の液濃度を管理することにより偏光フィ
ルムの光学特性を維持する。 【解決手段】 ポリビニルアルコール(PVA)樹脂に
よる偏光フィルム基材を膨潤させる膨潤工程と、この膨
潤工程を経た偏光フィルム基材をヨウ素染色する工程
と、このヨウ素染色工程を経た偏光フィルム基材を延伸
する工程と、この染色工程を経た偏光フィルム基材にヨ
ウ素染色剤を定着させる固定化工程と、この固定化工程
を経た偏光フィルム基材を水洗する工程と、この水洗工
程を経た偏光フィルム基材を乾燥する工程とからなり、
前記固定化工程において前記偏光フィルム基材をホウ酸
濃度/ヨウ化カリウム(KI)濃度の液組成比が10〜
30(ホウ酸濃度3〜5重量%、KI濃度0.1〜0.4
重量%)の範囲にあるホウ酸・ヨウ化カリウム(KI)
水溶液により固定化処理している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイ
等に適用される偏光フィルムの製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶ディスプレイ等においてパネ
ル面が見易いようにその液晶パネル面に偏光フィルムが
設けられている。この偏光フィルムは、図4にその断面
構造を示したように、透明なポリビニアルコール(PV
A)樹脂材料による偏光機能フィルム(以下、これを
「偏光子」と称する)30の両面に、同じく透明なトリ
アセチルセルロース(TAC)樹脂材料による保護フィ
ルム層(以下、これを「TAC層」と称する)32a、
32bが設けられ、表面側のTAC層32aには、さら
にアクリル系、あるいはシリコン系のハードコート層3
4が設けられる。
【0003】そしてそのハードコート層34の上に必要
に応じて金属酸化物やフッ素化合物による透明な反射防
止膜36が形成され、さらに運搬や取扱い時の最表面の
疵防止のため保護(プロテクト)フィルム38が貼着さ
れる。また裏面側のTAC層32bにはアクリル系材料
による粘着剤40を介してポリエチレンテレフタレート
(PET)樹脂材料等を基材とする離型フィルム42が
貼着される。
【0004】そしてこの偏光フィルムFa を液晶ディス
プレイ等に使用するに際しては、同じく図4に示したよ
うに、離型フィルム442とプロテクトフィルム38を
剥がし、液晶44が一対のガラス基板46a、46bの
間に挟まれた液晶パネル48の表面に貼着される。また
液晶パネル48の裏面側にもこの偏光フィルムFb は貼
着されるが、この裏面側の偏光フィルムFb には反射防
止膜36やハードコート層34は設けられていない。
【0005】しかしてこの偏光フィルムFa、Fbの製造
方法としては、前述の偏光子30の基材料であるポリビ
ニルアルコール(PVA)樹脂フィルムの下地処理とし
てPVA樹脂フィルムに水を含浸膨潤させる膨潤工程、
この膨潤した樹脂フィルムをヨウ素溶液で染色する工
程、染色した樹脂フィルムを延伸する工程、前述のヨウ
素染色剤を樹脂フィルムの表面に固定化する工程、樹脂
フィルムを水洗する工程、そして乾燥工程の各工程によ
り処理するものが一般的に行われている。
【0006】これらの各工程の中で膨潤工程、染色工
程、延伸工程を経た後の偏光フィルム基材の表面にヨウ
素染色剤を固定化する固定化工程は、PVA樹脂フィル
ムにヨウ素染色工程により染着したヨウ素染色剤を固定
化することにより偏光フィルムの耐久性を向上させるも
ので、この固定化工程は、偏光フィルム基材に偏光性能
等の光学的特性が恒久的に維持されるようにする上で必
須の工程として欠かすことのできないものである。
【0007】そしてこの固定化工程における液組成とし
ては、通常ホウ酸(H3BO3)とヨウ化カリウム(K
I)との混合液が用いられ、その液組成濃度としてはホ
ウ酸濃度3重量%、KI濃度0.5 重量%の条件が一般
に採用されている。また液温はおよそ35℃で、PVA
樹脂フィルムの浸せき時間はおよそ40秒間とされてい
る。
【0008】この液組成においてホウ酸は延伸されたP
VA樹脂フィルムを架橋させ膨潤を抑制するように機能
し、ヨウ化カリウム(KI)はPVA樹脂フィルムに染
着されたヨウ素染色剤のポリヨウ素錯体を保持するよう
に機能する。したがってこの固定化工程では、PVA樹
脂フィルムの架橋により膨潤を抑制しつつヨウ素染色剤
であるポリヨウ素錯体をフィルムに定着させるものであ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな条件のもとで固定化処理が行われた偏光フィルムに
ついては、その偏光性能等の光学特性が長時間にわたっ
て良好に維持されることが要求されることから偏光フィ
ルムについて各種の耐久性試験が行われる。
【0010】その耐久性試験としては、例えば偏光フィ
ルムの上下面に前述のトリアセチルセルロース(TA
C)フィルムを貼り合わせ、これを80℃×90%RH
の雰囲気に24時間保持する。そして取り出した試料に
ついて偏光度、単体透過率等の光学特性を測定し、これ
らの光学特性値がある一定の品質レベル以上になければ
ならないとするものである。
【0011】その耐久性(湿熱)試験を行ったところ、
前述のような従来の固定化処理条件のもとで固定化処理
した偏光フィルムには偏光性能等の光学特性に劣化が認
められた。これは、偏光フィルムがもともと水分の影響
を受け易いために湿熱処理による水分と熱によってPV
A樹脂フィルム中のポリヨウ素錯体が崩れたか、抜け落
ちたためであると考えられる。
【0012】本発明の解決しようとする課題は、偏光フ
ィルム基材の固定化処理におけるホウ酸濃度とヨウ化カ
リウム(KI)濃度との液組成比を管理することにより
偏光フィルムとしての耐久性を向上させることのできる
偏光フィルムの製造方法を提供することにある。これに
より偏光フィルムとしての偏光性能等の光学的特性の恒
久的安定性を達成しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、偏光フィルム
基材を膨潤させる膨潤工程と、該膨潤工程を経た偏光フ
ィルム基材を染色する工程と、該染色工程を経た偏光フ
ィルム基材を延伸する工程と、該延伸工程を経た偏光フ
ィルム基材に前記染色剤を定着させる固定化工程と、該
固定化工程を経た偏光フィルム基材を水洗する工程と、
該水洗工程を経た偏光フィルム基材を乾燥する工程とか
らなり、前記固定化工程において前記偏光フィルム基材
をホウ酸濃度/ヨウ化カリウム濃度の液組成比が10〜
30の範囲にあるホウ酸・ヨウ化カリウム水溶液により
固定化処理するようにしたことを要旨とするものであ
る。
【0014】そしてこのように膨潤工程、染色工程、延
伸工程を経た偏光フィルム基材を固定化工程においてホ
ウ酸/ヨウ化カリウムの濃度管理されたホウ酸−ヨウ化
カリウム水溶液で固定化処理することにより偏光フィル
ム基材の膨潤は抑制されるし、ヨウ素染色剤であるポリ
ヨウ素錯体は偏光フィルム基材に保持され固定化され
る。したがって偏光フィルム基材の配向性は維持され、
偏光フィルムとしての耐久性は向上し、偏光性能等の光
学的特性も維持される。
【0015】この場合に前記固定化工程において、ホウ
酸・ヨウ化カリウム水溶液に配合されるホウ酸濃度は3
〜5重量%、ヨウ化カリウム濃度は、0.1〜0.4重量
%であることが望ましい。ホウ酸濃度が3重量%以下に
なると偏光フィルム基材の膨潤を抑制する効果が薄れて
フィルム基材の配向性が崩れ、耐久性が損なわれる。そ
の結果偏光フィルムとしての光学特性が悪くなる。また
ホウ酸濃度は5重量%以上には仲々溶け難い。したがっ
てホウ酸濃度は3〜5重量%とされるものである。
【0016】これに対してヨウ化カリウム(KI)濃度
は0.1〜0.4重量%とされるが、そのKI濃度が0.
1 重量%以下であると、結果的にホウ酸濃度が高くな
り過ぎてポリヨウ素錯体を充分保持できなくなるので、
耐久性試験後の光学特性が損なわれる。またヨウ化カリ
ウム(KI)濃度が0.4 重量%を越えると、結果的に
ホウ酸濃度が低くなり過ぎて偏光フィルム基材が吸湿性
を帯びることにより配向性が崩れ、やはり耐久性試験後
の光学特性が損なわれる。
【0017】尚、本発明では固定化工程に続く水洗工程
の洗浄液にヨウ化カリウム(KI)水溶液を用いるよう
にするとよい。固定化工程ではホウ酸/ヨウ化カリウム
の濃度管理によってヨウ化カリウムの濃度が抑制され
る。したがって偏光フィルム基材に染着されるポリヨウ
素(染色剤)の保持力が弱く、水によって洗い流される
ことが懸念されるが、その分ヨウ化カリウム(KI)洗
浄液を用いることにより偏光フィルム基材にポリヨウ素
(染色剤)の錯体が保持され、偏光性能等の光学特性が
維持されるものである。最後に、偏光フィルム基材とし
ては一般にポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィル
ムが用いられ、そのフィルム厚さは乾燥工程を経た状態
でおよそ20〜35μmとされている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施例を詳
細に説明する。まず初めに本発明を実現する製造ライン
並びに工程図を図1に示して説明する。図示されるよう
にこの製造ラインは、膨潤槽10、染色槽12、延伸槽
14、固定槽16、水洗槽18、及び乾燥炉20とから
構成される。
【0019】本発明の偏光フィルム基材である20〜1
00μm厚の透明なポリビニルアルコール(PVA)樹
脂フィルムFは、巻出コイル22から巻き出されて膨潤
槽10、染色槽12、延伸槽14、固定槽16、水洗槽
18、及び乾燥炉20を順次経た後巻取コイル24に巻
き取られる。
【0020】膨潤槽10ではPVA樹脂フィルムFは水
に浸せきされて膨潤される。フィルムFは、通常液温3
5℃の湯におよそ5分間弱浸せきされることにより湿潤
し膨潤されるものである。これにより次のヨウ素染色工
程でPVA樹脂フィルムFにヨウ素染色剤が染着され易
くなる。
【0021】次の染色槽12では、膨潤したPVA樹脂
フィルムFがヨウ素溶液により染色される。この染色槽
12には通常、3重量%濃度のヨウ化カリウム(K
I)、1重量%濃度のホウ酸、及び0.023重量%濃
度のヨウ素(I2)が配合されている。この染色槽12
の液温は35℃で、フィルムの浸せき時間はおよそ80
秒間である。
【0022】次の延伸槽14では、ヨウ素染色されたP
VA樹脂フィルムFが製造ライン方向に延伸される。延
伸槽14の入側のニップローラ15a、15bと出側の
ニップローラ15c、15dとのスピード差によりフィ
ルムに張力が掛かるようにしている。この延伸槽14の
液組成は、通常ホウ酸濃度3重量%、ヨウ化カリウム
(KI)濃度3重量%としている。そして液温は50℃
でフィルムの浸せき時間はおよそ50秒間、延伸工程で
の延伸倍率は1.3 倍としている。
【0023】次の固定槽16では、染色延伸されたPV
A樹脂フィルムF内のポリヨウ素が定着される。本発明
ではこの固定槽16の液組成をホウ酸濃度/ヨウ化カリ
ウム(KI)濃度の比率が10〜30の範囲に納まるよ
う管理するものである。実際にはホウ酸濃度およそ3重
量%に対してKI濃度は、0.1〜0.4重量%としてい
る。そして液温は35℃でフィルムの浸せき時間がおよ
そ40秒間としている。
【0024】次の水洗槽18では、実際にはおよそ20
℃のシャワー水がフィルム面に噴霧され、フィルム面に
付着しているホウ酸等の薬品が洗い流される。この水洗
槽18では通常普通水が用いられるが、この実施例では
特にヨウ化カリウム(KI)濃度3重量%のヨウ化カリ
ウム(KI)水溶液が用いられる。
【0025】そして最終工程の乾燥炉20では、ホウ酸
等の薬品が洗い流されたフィルム面に熱風(およそ90
℃)が吹き付けられ、フィルムが乾燥される。熱風の吹
き付け時間はおよそ70秒間である。この乾燥工程を経
た状態でPVA樹脂フィルムの厚さは、およそ20〜3
5μmとされる。
【0026】次に各種の試験を行ったのでその試験結果
を説明する。初めに図2及び図3は、偏光フィルムの光
透過率を偏光プリズム法による分光スペクトルの測定に
より得られたグラフを示したものである。図2は偏光フ
ィルム素子単体の場合であり、図3は耐久性試験として
その偏光フィルム素子にTACフィルムを貼り湿熱処理
した後の結果である。
【0027】固定槽16の液組成としては、ホウ酸濃度
を3重量%で一定とし、ヨウ化カリウム(KI)濃度
を、(1)0%(無添加)、(2)0.1重量%、
(3)0.5重量%、及び(4)1.5 重量%の4段階
で変えた水溶液を用いている。測定波長領域としては3
80〜780nmの可視光領域とし、横軸に波長を、ま
た縦軸に偏光フィルムの直交透過率(%)を採ってい
る。
【0028】測定器は大塚電子社の“MCPD−100
0 28C”を用いた。偏光フィルム素子単体の直交透
過率(%)は、次の数1により算出される。また偏光フ
ィルム素子にTACフィルムを貼り合わせて湿熱処理を
行った後の偏光フィルムの単体透過率は数2により算出
される。
【0029】
【数1】
【0030】
【数2】
【0031】また偏光フィルム素子にTACフィルムを
貼り合わせ湿熱処理により耐久性試験を行う方法として
は、染色延伸されたポリビニルアルコール(PVA)偏
光子の上下面に保護フィルムとしてトリアセチルセルロ
ール(TAC)フィルムを貼り合わせたものを80℃×
90%RHの雰囲気に24時間保持し、取り出した試料
について偏光度、単体透過率等の光学測定を行うもので
ある。
【0032】その結果、図2の偏光フィルム素子単体の
場合には固定槽16のヨウ化カリウム(KI)濃度0重
量%〜1.5 重量%のものまでいずれの供試試料にも直
交透過率(%)に有意差は認められない。これが図3に
示したように、偏光フィルム素子にTACフィルムを貼
り湿熱処理を施した場合には単体透過率の測定に明らか
な差異が認められた。
【0033】すなわち偏光フィルム素子にTACフィル
ムを貼り合わせた試料については、固定槽16のヨウ化
カリウム(KI)が無添加(0重量%)のものと、過量
の1.5重量%のものとが、湿熱処理によって単体透過
率が増大し、偏光フィルムとしての偏光特性が悪くなる
ことがわかる。これに対して、ヨウ化カリウム(KI)
濃度が0.1重量%のものと0.5重量%のものとは、湿
熱処理によっても単体透過率の増大はそれ程認められ
ず、偏光フィルムとしての偏光特性が維持されることが
確認された。
【0034】次の表1は、さらに細かく試験条件を選択
し、各種の供試試料について試験結果をまとめたもので
ある。その試験条件としては、固定槽16のホウ酸濃度
は3重量%で一定とし、ヨウ化カリウム(KI)濃度を
(1)無添加(0重量%)、(2)0.1重量%、
(3)0.2重量%、(4)0.3重量%、(5)0.5
重量%、及び(6)1.5 重量%の、全部で6種類の試
験条件を採用した。そしてその固定槽16のホウ酸濃度
とKI濃度との液組成比率によって耐久性試験後の偏光
フィルムの光学特性がどのように影響を受けるかの測定
評価を行ったものである。
【0035】
【表1】
【0036】表1において「初期特性」というのは、偏
光フィルム素子単体の光学特性であって、各供試試料に
ついて前述の偏光プリズム法により偏光度Vと単体透過
率Yの測定結果を示している。偏光度Vは次の数3に示
した式により算出される。また単体透過率Yは前述の数
2に示した式により算出される。
【0037】
【数3】
【0038】また「耐久性試験後の特性」というのは、
前述のように染色延伸されたポリビニルアルコール(P
VA)偏光子の上下面にTACフィルムを貼り合わせた
ものを80℃×90%RHの雰囲気に24時間保持した
試料についての光学特性である。同じく偏光度Vと単体
透過率Yの測定結果を示している。
【0039】この表1に示したデータより、試料(1)
ホウ酸濃度3重量%でKI濃度0重量%(無添加)のも
のは、耐久性試験後の光学特性が偏光度V、単体透過率
Yともに大きく損なわれ、不良(×印)と判定された。
これに対して試料(2)ホウ酸濃度3重量%でKI濃度
0.1重量%、(3)0 .2重量%、(4)0.3重量%
のものは、いずれも耐久性試験後の光学特性は偏光度
V、単体透過率Yともにほとんど悪くならず、良好(○
印)と判定された。
【0040】KI濃度をさらに増した試料(5)ホウ酸
濃度3重量%でKI濃度0.5重量のものは、耐久性試
験によって偏光度V、単体透過率Yがともに若干損なわ
れ、やや不良(△印)と評価された。さらにKI濃度が
最も高い試料(6)ホウ酸濃度3重量%でKI濃度1.
5 重量%のものは、耐久性試験によって偏光度V、単
体透過率Yともに不良(×印)となった。
【0041】これらの結果をまとめると、上述の表1に
耐久性総合評価を○印、△印、×印等で示したように、
固定槽16のKI濃度が無添加(0重量%)である場合
と、KI濃度が高過ぎる(1.5 重量%)場合には耐久
性総合評価が不良(×印)と判定された。
【0042】そしてこの試験条件(つまりホウ酸濃度3
重量%)の場合には、固定槽16のKI濃度は、0.1
重量%以上〜0.5重量%以下の範囲にあることが望ま
しく、さらに0.1〜0.3重量%の範囲にあれば良いこ
とが確認された。これをホウ酸濃度とKI濃度との液組
成比率でみると、ホウ酸濃度/KI濃度=10〜30の
範囲にあることが耐久性試験後の偏光フィルムの光学特
性を維持する上で最も望ましいということが言えるもの
である。
【0043】以上実施例について詳述したが本発明は上
記した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の
趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例え
ば、固定化工程に用いられるホウ酸−ヨウ化カリウム
(KI)水溶液に他の固定化処理助剤を添加したり、他
の膨潤槽、染色槽、固定槽等の液組成が本実施例と異な
るものであっても本発明が適用され得るものである。ま
た、偏光フィルムの基材もポリビニルアルコール(PV
A)樹脂フィルムの改良品、あるいはそれ以外の樹脂フ
ィルム素材にも適用されることは勿論である。
【0044】
【発明の効果】本発明は、膨潤工程、ヨウ素染色工程、
延伸工程、固定化工程、水洗工程、乾燥工程等により偏
光フィルムを製造するに際して、固定化工程において偏
光フィルム基材をホウ酸濃度ヨウ化カリウム(KI)濃
度の液組成比が10〜30の範囲にあるホウ酸・ヨウ化
カリウム(KI)水溶液により固定化処理するようにし
たものである。
【0045】これにより染色延伸された偏光フィルム基
材のポリヨウ素染色剤の定着が適度になされ、耐久性が
向上することにより偏光フィルムの偏光性能等の光学特
性が恒久的に維持される。そしてその場合に固定化工程
におけるホウ酸−ヨウ化カリウム(KI)水溶液中のホ
ウ酸濃度は3〜5重量%の、またKI濃度は0.1〜0.
4重量%の適正な範囲に管理されることにより偏光フィ
ルム基材へのポリヨウ素の固定化処理が安定的に行われ
ることになる。
【0046】尚、本発明において固定化処理后の水洗工
程でヨウ化カリウム(KI)水溶液を用いるようにすれ
ば、偏光フィルム基材のポリヨウ素染色剤の錯体の保持
性がさらに良くなり、偏光性能等の光学特性のさらに良
好な品質が維持されるものである。かくして本発明によ
り製造された偏光フィルムは良好な光学特性を有するも
のであるから、これを液晶ディスプレイ等に適用するこ
とは産業上極めて有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実現するための製造ライン及び工程を
示した図である。
【図2】偏光フィルム基材を各種の条件で固定化処理し
た場合の分光スペクトル測定結果を示したグラフであ
る。
【図3】偏光フィルム基材を各種の条件で固定化処理し
た後、これにTACフィルムを貼り合わせたものについ
て耐久性試験を行った場合の分光スペクトル測定結果を
示したグラフである。
【図4】本発明の偏光フィルムを液晶ディスプレイに適
用した例の断面構成図である。
【符号の説明】
10 膨潤槽 12 染色槽 14 延伸槽 16 固定槽 18 水洗槽 20 乾燥炉 F 偏光フィルム基材(ポリビニルアルコール樹脂フ
ィルム)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 29:00 (72)発明者 篠原 英樹 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偏光フィルム基材を膨潤させる膨潤工程
    と、該膨潤工程を経た偏光フィルム基材を染色する工程
    と、該染色工程を経た偏光フィルム基材を延伸する工程
    と、該延伸工程を経た偏光フィルム基材に前記染色剤を
    定着させる固定化工程と、該固定化工程を経た偏光フィ
    ルム基材を水洗する工程と、該水洗工程を経た偏光フィ
    ルム基材を乾燥する工程とからなり、前記固定化工程に
    おいて前記偏光フィルム基材をホウ酸濃度/ヨウ化カリ
    ウム濃度の液組成比が10〜30の範囲にあるホウ酸・
    ヨウ化カリウム水溶液により固定化処理するようにした
    ことを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記固定化工程において、ホウ酸・ヨウ
    化カリウム水溶液に配合されるホウ酸濃度は3〜5重量
    %、ヨウ化カリウム濃度は0.1〜0.4重量%であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載される偏光フィルムの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記水洗工程ではヨウ化カリウム濃度3
    重量%のヨウ化カリウム水溶液が用いられることを特徴
    とする請求項1又は2に記載される偏光フィルムの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記偏光フィルム基材が乾燥工程を経た
    状態で20〜35μm厚のポリビニルアルコール樹脂フ
    ィルムであることを特徴とする請求項1ないし3に記載
    される偏光フィルムの製造方法。
JP8346648A 1996-12-09 1996-12-09 偏光フィルムの製造方法 Pending JPH10170721A (ja)

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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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