JPH10169706A - 制振器 - Google Patents

制振器

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JPH10169706A
JPH10169706A JP32851196A JP32851196A JPH10169706A JP H10169706 A JPH10169706 A JP H10169706A JP 32851196 A JP32851196 A JP 32851196A JP 32851196 A JP32851196 A JP 32851196A JP H10169706 A JPH10169706 A JP H10169706A
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JP
Japan
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vibration
mass member
vibration damper
pressure
air
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Application number
JP32851196A
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English (en)
Inventor
Atsushi Muramatsu
篤 村松
Masahiko Nagasawa
正彦 長澤
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数方向の入力振動に対して能動的な制振効
果を発揮し得る制振器を、簡単な構造をもって実現する
こと。 【解決手段】 制振対象14に取り付けられる取付部材
16a,16b,16cに対して、単一のマス部材12
を、弾性連結体18a,18b,18cによって弾性的
に連結支持せしめる一方、それらマス部材12と取付部
材16a,16b,16cの間に、内部の圧力変化に基
づきマス部材12に対して互いに異なる方向の変位力を
それぞれ及ぼす複数の作用室38a,38b,38cを
設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、制振対象に装着されて制振対象
における振動を低減せしめる制振器に関するものであ
り、特に複数方向の振動に対して、何れも、能動的な振
動低減効果を発揮し得る制振器に関するものである。
【0002】
【背景技術】自動車の車体等のように振動が問題となる
部材である制振対象において、その振動を低減するため
の手段としては、従来から、動的吸振器(ダイナミック
ダンパ)が広く知られている。また、近年では、より高
度な制振効果を得るために、制振対象に加振力を及ぼす
ことにより、制振対象の振動を抑制乃至は制御するよう
にした能動型の制振装置も提案されており、その一種と
して、特開平3−292219号公報や特開平6−23
5438号公報等には、制振対象に取り付けられる取付
部材に対し、ばね部材を介してマス部材を支持せしめて
一振動系を構成すると共に、この振動系のマス部材に加
振力を及ぼす電磁駆動機構を設けて、振動系の振動作用
を利用することにより、制振対象に加振力を及ぼすよう
にした制振器が、開示されている。
【0003】ところが、このような従来の制振器では、
電磁駆動機構を組み込まなければならないために、サイ
ズや重量の増大が避けられないという不具合があった。
【0004】しかも、電磁駆動機構は、コイルやマグネ
ット等が必要であることに加えて、目的とする駆動力を
安定して得るためには、それらコイルやマグネットを高
い寸法精度で組み込まなければならないことから、構造
が複雑で製作が難しく、しかも高価であるという問題が
あった。
【0005】また、電磁駆動機構を用いた従来の制振器
では、構造が複雑であるために信頼性や耐久性が問題と
なる場合もあり、不具合が発生した場合の対処も難しい
という問題があった。
【0006】さらに、電磁駆動機構を用いた従来の制振
器においては、その構造上、振動系を構成するマス部材
の振動方向が一方向に限定されるために、単一方向の入
力振動に対してしか有効な制振効果を得ることが出来
ず、制振対象において防振すべき振動が互いに異なる方
向性をもって複数存在する場合には、各振動方向に別個
の制振器を独立して装着する必要があり、コスト的およ
び配設スペース的に大きな問題があったのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、請求項1乃至7に記載の発
明は、何れも、上述の如き事情を背景として為されたも
のであって、その解決課題とするところは、簡単な構造
と少ない部品点数をもって構成されて、制振器の小型化
や軽量化も有利に図られ得る、新規な加振機構を備えた
制振器を提供することにある。
【0008】また、請求項1乃至7に記載の発明は、単
一のマス部材によって、互いに異なる各種方向に入力さ
れる振動に対して、何れも有効な振動抑制乃至は振動制
御効果を発揮し得る振動系が、簡単な構造をもってコン
パクトに構成され得る、新規な構造の制振器を提供する
ことも、目的とする。
【0009】
【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明の特徴とするところは、単一
のマス部材を、制振対象に取り付けられる取付部材に対
して、弾性連結体により相対変位可能に連結する一方、
それらマス部材と取付部材の間に、内部の圧力変化に基
づき該マス部材に対して互いに異なる方向の変位力をそ
れぞれ及ぼす複数の作用室を設けると共に、それら各作
用室に対して互いに独立的に空気圧を及ぼして圧力変化
を生ぜしめるための複数のエア給排路を設けた制振器に
ある。
【0010】かかる請求項1に記載の発明に従う構造と
された制振器においては、制振対象に対してマス部材が
弾性連結体にて弾性支持されることにより、振動系が構
成されているのであり、そこにおいて、この振動系は、
複数の作用室の何れかに空気圧変動を及ぼすことによっ
て、各種の方向に加振せしめられることとなる。即ち、
かかる制振器においては、単一のマス部材を用いて、複
数の方向で有効な振動系が構成されているのであり、各
空気室における圧力変化を制御することによって、振動
系の振動方向を制御せしめて加振することが出来るので
ある。
【0011】従って、かかる制振器においては、各空気
室における圧力変化を制御することによって、各種方向
の加振力を制振対象に及ぼすことが出来るのであり、互
いに異なる方向性をもった複数種の振動に対しても、単
一のマス部材からなる振動系によって、極めて有効な制
振効果が発揮され得るのである。
【0012】また、かかる制振器においては、単に内部
に作用室を形成するだけで良く、マス部材の加振用に特
別な駆動力発生機構を組み込む必要がないことから、異
なる方向性をもった複数種の振動に対して能動的な振動
低減効果を発揮し得る制振器が、極めて簡単な構造と少
ない部品点数をもってコンパクトなサイズで有利に実現
され得るのである。
【0013】しかも、かかる制振器は、電磁駆動機構等
を備えた従来構造のものに比して、部品点数が少なく、
高い寸法精度が要求されることもないから、製作性に優
れ、コスト的にも安価である。
【0014】なお、請求項1に記載の発明において、弾
性連結体としては、例えばゴム弾性体が好適に採用され
る。また、作用室に及ぼされる空気圧としては、負圧,
正圧および大気圧の何れも採用可能であり、それらを組
み合わせて採用しても良い。更にまた、エア給排路は、
制振対象に固定的に配設される部材に設けることが望ま
しく、例えば各取付部材に対して有利に形成される。
【0015】また、各作用室に及ぼされる空気圧の大き
さや周波数等は、制振対象における防振すべき振動に応
じて適宜に設定されるべきであり、一部の作用室だけに
空気圧変化を及ぼしめたり、複数の作用室に対して互い
に異なる空気圧変化を及ぼしめたりすることも可能であ
る。更にまた、一部の作用室に一定の空気圧を及ぼすこ
とにより、或いは作用室に及ぼす空気圧変化の中心圧力
を適当に設定することによって、振動系のばね定数ひい
ては振動系の固有振動周波数を調節することも可能であ
る。なお、作用室に及ぼされる空気圧は、防振すべき振
動の波形に対応して、例えばサイン波形等をもって制御
される。
【0016】更にまた、請求項1に記載の発明に従う構
造とされた制振器において、より好適には、例えば、各
取付部材をマス部材に連結する各弾性連結体が、それら
取付部材とマス部材の間に形成された作用室の圧力変化
に基づくマス部材の変位によって、主として剪断変形せ
しめられる形状で形成される。このような弾性連結体を
採用すれば、作用室への空気圧の作用によって、マス部
材が目的とする方向に有利に変位せしめられて、より有
効な加振力を得ることが出来るのである。
【0017】また、請求項1に記載の発明に従う構造と
された制振器において、マス部材に対する変位力ひいて
は加振力を一層有利に得るためには、例えば、互いに異
なる方向の変位力をマス部材に及ぼす作用室の少なくと
も一つに対して、マス部材を挟んで反対側に位置して、
空気圧の作用に基づく圧力変化によりマス部材に同一方
向で反対向きの変位力を及ぼす副作用室を形成すること
等も、有効である。このような副作用室を設ければ、空
気圧として負圧乃至は正圧の何れか一方だけを用いた場
合でも、作用室と副作用室に対して180度の位相差で
空気圧を及ぼすことにより、マス部材に対して、加振方
向で両向きの変位力を及ぼすことが可能となり、一層優
れた変位制御性が確保されるといった利点もある。
【0018】さらに、請求項2に記載の発明は、請求項
1に記載の発明に従う構造とされた制振器において、前
記複数の作用室のうちの少なくとも一つが、前記弾性連
結体によって壁部の一部が構成された空気室からなり、
該空気室に前記エア給排路が接続されていることを、特
徴とする。
【0019】このような請求項2に記載の発明に従う構
造とされた制振器においては、圧力変化によってマス部
材に変位力を有利に及ぼし得る作用室が、極めて簡単な
構造をもって容易に形成され得るのであり、更なる構造
の簡略化と製作性の向上が達成され得る。
【0020】さらに、請求項3に記載の発明は、請求項
1又は2に記載の発明に従う構造とされた制振器におい
て、前記複数の作用室のうちの少なくとも一つが、前記
弾性連結体によって壁部の一部が構成されていると共
に、可撓性膜によって流体密に二分されており、該可撓
性膜を挟んだ一方の側に、非圧縮性流体が充填された液
室が形成されている一方、該可撓性膜を挟んだ他方の側
に、前記エア給排路が接続された空気室が形成されてい
ることを、特徴とする。
【0021】このような請求項3に記載の発明に従う構
造とされた制振器においては、液室と空気室により構成
された作用室において、該空気室の容積を小さく設定す
ることが可能であるから、空気圧の制御による加振力の
応答性の向上が図られ得る。
【0022】また、請求項4に記載の発明は、請求項3
に記載の発明に従う構造とされた制振器において、前記
可撓性膜における圧力作用面積と、前記マス部材側にお
ける圧力作用面積とが、互いに異なる大きさとされてい
ることを、特徴とする。
【0023】このような請求項4に記載の発明に従う構
造とされた制振器においては、液室への入力側である可
撓性膜側の圧力作用面積と、液室からの出力側であるマ
ス部材側の圧力作用面積との大きさの違いを適当に調節
することによって、空気室に及ぼされるエア圧力が液室
の液圧を介してマス部材に伝達される際における変位力
や変位量等の伝達率を調節することが出来るのであり、
それによって、目的とするマス部材の変位ひいては発生
加振力を一層有利に得ることが可能となるのである。
【0024】なお、液室の壁部において、可撓性膜側の
圧力作用面積よりもマス部材側の圧力作用面積を小さく
設定すれば、マス部材の変位量を一層有利に得ることが
可能となる一方、可撓性膜側の圧力作用面積よりもマス
部材側の圧力作用面積を大きく設定すれば、マス部材の
全体に及ぼされる駆動力を一層有利に得ることが可能と
なる。
【0025】また、請求項5に記載の発明は、請求項1
乃至4の何れかに記載の発明に従う構造とされた制振器
において、前記複数の作用室における圧力変化により、
前記マス部材に対して、互いに直交する方向の変位力が
及ぼされるようになっていることを、特徴とする。
【0026】このような請求項5に記載の発明に従う構
造とされた制振器においては、互いに直交する方向の変
位力をマス部材に及ぼす各作用室における空気圧を適当
に調節することによって、各種方向の加振力を容易且つ
有利に生ぜしめることが出来るのであり、それ故、作用
室の数をおさえて構造の簡略化を図りつつ、異なる方向
の振動に対する能動的な振動低減効果を効率的に得るこ
とが可能となるのである。
【0027】さらに、請求項6に記載の発明は、請求項
1乃至5の何れかに記載の制振器において、前記エア給
排路を通じて前記作用室に及ぼされる空気圧を、防振す
べき振動の周波数に同期して変動せしめる空気圧制御装
置を設けたことを、特徴とする。
【0028】このような請求項6に記載の発明に従う構
造とされた制振器においては、振動の能動的な低減が有
利に実現され得る。
【0029】また、請求項7に記載の発明は、請求項1
乃至6の何れかに記載の制振器において、前記取付部材
が、前記マス部材に対してそれぞれ異なる方向に離隔配
置されて複数設けられていると共に、それらの取付部材
が、単一のブラケットに固定されており、該ブラケット
を介して、前記制振対象に取り付けられるようになって
いることを、特徴とする。
【0030】このような請求項7に記載の発明に従う構
造とされた制振器においては、製作性や制振対象への装
着性が良好となる。また、各取付部材をマス部材に連結
せしめる弾性連結体も、相互に独立形成することが可能
であり、それによって、振動系のばね特性のチューニン
グ自由度が拡張され得る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0032】先ず、図1及び図2には、本発明の一実施
形態としての制振器10が、示されている。この制振器
10は、単一のマス部材12が、制振対象としての振動
体14に取り付けられる取付部材としての取付金具16
a,16b,16cに対して、弾性連結体としてのゴム
弾性体18a,18b,18cを介して、それぞれ弾性
的に連結されており、それによって、マス部材12をマ
ス系としゴム弾性体18a,18b,18cをバネ系と
する一つの振動系が構成されている。そして、この振動
系における振動現象乃至は振動作用を利用して、振動体
14における振動を能動的に抑えるようになっている。
【0033】より詳細には、マス部材12は、中実の矩
形ブロック形状を有しており、鉄系金属等の比重の大き
な材質で形成されている。また、このマス部材12で
は、互いに隣接位置する3つの矩形表面が取付面20
a,20b,20cとされており、それら取付面20
a,20b,20cにおいて、中央部分で開口する浅底
円形状の取付凹所22a,22b,22cが、それぞれ
形成されている。即ち、これら3つの取付凹所22a,
22b,22cは、マス部材12の略中心点を通って互
いに直交する3軸方向に開口して形成されているのであ
る。
【0034】また一方、取付金具16a,16b,16
cは、何れも、小径ロッド形状を有しており、軸方向一
方の端部(外側端部)がボルト24とされている。ま
た、各取付金具16の内部には、軸方向に貫通して延び
るエア給排路26が設けられている。なお、各取付金具
16には、エア給排路26に対して、図示しないエア管
路を接続するために、ボルト20の軸方向端部から軸方
向外方に突出するポート28が一体形成されている。
【0035】そして、これらの取付金具16a,16
b,16cは、マス部材12の各取付面20a,20
b,20c上において、取付凹所22a,22b,22
c内に軸方向一方の端部(内側端部)が所定量だけ入り
込んだ状態で、離隔配置されている。換言すれば、取付
金具16a,16b,16cは、取付凹所22a,22
b,22cと同軸的に、且つ軸方向外方に所定距離だけ
離れた位置に配設されているのである。
【0036】さらに、これら取付金具16a,16b,
16cとマス部材12の間には、ゴム弾性体18a,1
8b,18cが介装されており、かかるゴム弾性体18
a,18b,18cを介して、取付金具16a,16
b,16cがマス部材12に対して弾性的に連結されて
いる。
【0037】すなわち、ゴム弾性体18a,18b,1
8cは、何れも略円環板形状を有しており、その内周面
に対して、取付金具16a,16b,16cにおける軸
方向一方の端部(内側端部)の外周面が加硫接着されて
いる一方、外周面に対して、略円筒形状の連結金具30
a,30b,30cが埋設されて加硫接着されており、
この連結金具30a,30b,30cが、マス部材12
の取付凹所22a,22b,22cにそれぞれ嵌め込ま
れて固着されることによって、取付金具16a,16
b,16cとマス部材12の間にゴム弾性体18a,1
8b,18cが介装されているのである。なお、各連結
金具30には、軸方向一方の端部において、ゴム弾性体
18の外周面から突出して広がる外フランジ部32が一
体形成されており、この外フランジ部32を、マス部材
12の取付凹所22に圧入された固定リング34で押圧
固定されることによって、連結金具30がマス部材12
に固着されている。
【0038】これにより、ゴム弾性体18a,18b,
18cの弾性変形に基づいて、取付金具16a,16
b,16cに対するマス部材12の相対変位が許容され
るようになっている。なお、各取付凹所22a,22
b,22cの底面は、取付金具16a,16b,16c
の軸方向端部と対向位置する底面中央部分36が僅かに
深底とされており、取付金具16a,16b,16cの
マス部材12への当接が回避されるようになっている。
【0039】また、このようにマス部材12に対して、
取付金具16と連結金具30を有するゴム弾性体18
a,18b,18cの一体加硫成形品が組み付けられる
ことにより、各取付凹所22a,22b,22cの開口
が覆蓋されており、以て、各取付金具16a,16b,
16cとマス部材12の対向面間において、壁部の一部
がゴム弾性体18a,18b,18cで構成されて外部
空間に対して密閉された空気室38a,38b,38c
が、それぞれ形成されている。なお、各連結金具30の
外フランジ部32と取付凹所22の底面との間では、シ
ールゴム層40が挟圧されており、各空気室38の気密
性が確保されるようになっている。
【0040】さらに、これらの空気室38a,38b,
38cには、取付金具16a,16b,16cに設けら
れたエア給排路26が、それぞれ開口,連通せしめられ
ている。なお、本実施形態では、これらの空気室38
a,38b,38cによって、作用室が構成されてい
る。
【0041】そして、上述の如き構造とされた制振器1
0は、図1に示されているように、取付金具16a,1
6b,16cが、ブラケット42を介して、それぞれ振
動体14に対して固定的に取り付けられることによって
装着されることとなる。
【0042】かかるブラケット42は、互いに直交する
方向に広がる3つの平板形状の支持板部44a,44
b,44cを一体的に有している。そして、それら支持
板部44a,44b,44cに貫設された各取付孔46
に対して、取付金具16a,16b,16cの各ボルト
24が挿通され、ナット48で固着されることによっ
て、3つの取付金具16a,16b,16cが一体的に
連結固定されている。そして、ブラケット42が、一つ
の平板部44aにおいて、振動体14の装着面に重ね合
わされて、該平板部44aの取付孔46に挿通された取
付金具16aのボルト24により、ブラケット42が振
動体12に対して固着されるようになっている。また、
その際、好ましくは、各取付金具16a,16b,16
cの軸方向、即ち各取付金具16a,16b,16cと
マス部材12の対向方向が、それぞれ、振動体14にお
いて防振しようとする振動の方向となるようにセットせ
しめられる。
【0043】さらに、図面上に明示はされていないが、
各取付金具16a,16b,16cのポート28に対し
て、それぞれ、エア管路が接続せしめられ、空気室38
a,38b,38cが、それぞれ、切換バルブを介し
て、負圧源と大気中とに択一的に連通せしめられるよう
にされる。なお、負圧源としては、負圧ポンプや内燃機
関の吸気系、或いは負圧タンク等が何れも採用され得、
切換バルブとしては、応答性および制御性に優れた電磁
式のものが好適に採用される。また、各空気室38a,
38b,38cにおける負圧源と大気中への接続は、相
互に独立して制御可能とされている。
【0044】すなわち、このような制振器10において
は、切換バルブを切換作動させて、何れかの空気室38
に負圧と大気圧を交互に及ぼすようにすれば、該空気室
38の圧力変化に伴って、マス部材12に対し、取付金
具16との対向方向で、該取付金具16に対して接近/
離隔する変位力が及ぼされることとなる。要するに、各
取付金具16a,16b,16cは、それぞれ、マス部
材12に対して、空気室38a,38b,38cを挟ん
で軸方向に対向位置せしめられていると共に、ゴム弾性
体18a,18b,18cの弾性変形に基づいて相対変
位が許容されていることから、何れか一つの空気室38
に負圧を及ぼすことによって、マス部材16が、該空気
室38を挟んで対向位置せしめられた取付金具16に対
して軸方向に接近変位せしめられるのである。
【0045】そこにおいて、マス部材12は、切換バル
ブの切換周期に対応した周期で、取付金具16に対して
変位せしめられるのであり、切換バルブの切換周期を調
節することによって、マス部材12とゴム弾性体18
a,18b,18cからなる振動系を、任意の周波数で
加振することが出来ると共に、空気室48に及ぼされる
負圧の大きさを調節することによって、かかる振動系に
おける加振力乃至は振幅を制御することも出来るのであ
る。
【0046】また、3つの空気室38a,38b,38
cのうちの何れに対して、負圧と大気圧を及ぼすかによ
って、マス部材12の変位方向を制御することが可能で
あり、特に、本実施形態では、3つの空気室38a,3
8b,38cの圧力制御に基づくマス部材12の変位方
向が、互いに直交する3方向とされることから、3つの
空気室38a,38b,38cにおける空気圧制御を独
立的に行うことによって、振動体14に対して、3方向
或いはそれらの合力としての各種方向の加振力を有効に
及ぼすことが出来るのである。
【0047】従って、防振しようとする振動体14の振
動の周波数や振幅等に応じて、切換バルブを切換制御し
て、各空気室38a,38b,38cの圧力制御を行う
ことにより、振動体14に対して有効な加振力を及ぼし
めて、有効な振動抑制効果乃至は振動制御効果を得るこ
とが出来るのである。
【0048】また、特に、マス部材12とゴム弾性体1
8a,18b,18cからなる振動系の共振周波数域で
は、その共振作用によってより大きな加振力が効率的に
生ぜしめられて、一層優れた振動抑制効果乃至は振動制
御効果が発揮され得る。なお、マス部材12とゴム弾性
体18a,18b,18cからなる振動系のばね定数
が、空気室38a,38b,38cの圧力の影響を受け
ることを積極的に利用し、何れか一つ又は二つの空気室
38に一体の圧力を及ぼすことにより、他の空気室38
に圧力変化を生ぜしめてマス部材12を加振する際の、
該振動系における共振周波数を適当に調節設定すること
も可能である。
【0049】しかも、かかる制振器10においては、そ
れ自体に電磁駆動手段等のアクチュエータ部材を組み込
む必要がないことから、構造が極めて簡単で製作が容易
であり、軽量でコンパクト且つ安価であるといった大き
な利点がある。しかも、構造か簡単であることから、耐
久性や信頼性にも優れており、故障した場合でも対処が
容易であるといった利点もある。また、特に本実施形態
では、マス部材12に取り付けられる3つのゴム弾性体
18a,18b,18cの一体加硫成形品として、何れ
も同一の部材を採用することが可能であり、それによっ
て、製作性等の更なる向上が図られ得る。
【0050】要するに、上述の如き制振器10において
は、複数の方向の振動に対して有効な制振効果を発揮し
得る制振器が、コンパクトなサイズと簡単な構造をもっ
て、有利に実現され得るのである。
【0051】また、かかる制振器10では、負圧力を利
用してマス部材16の変位力を得ることが出来ることか
ら、特に内燃機関を利用した自動車等においては、吸気
系等に生ずる負圧を有効に活用することが出来るのであ
り、特別な駆動エネルギ発生手段が必要ないといった利
点もある。なお、圧縮エアが容易に得られる場合には、
負圧力に代えて正圧力を利用してマス部材16を変位さ
せることも、勿論可能である。
【0052】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらは文字通りの例示であって、本発明は、
これらの実施形態によって何等限定的に解釈されるもの
ではない。
【0053】例えば、前記実施形態では、何れも、空気
室38に変動空気圧を及ぼしてマス部材12を変位させ
ることにより加振力を発生させて能動的制振効果を得る
ようになっていたが、その他、本発明に従う構造とされ
た制振器を、ダイナミックダンパとして用いて、有効な
受動的制振効果を得ることも可能である。そして、その
場合には、例えば空気室38に一定の負圧や正圧を及ぼ
すことにより、マス部材12の取付金具16に対する支
持ばね定数を変化させて、振動系における共振周波数を
適当に変更制御することが出来るのであり、それ故、防
振すべき入力振動の周波数変化等に対応して最適の吸振
効果を発揮し得る副振動系を実現することが可能となる
のである。
【0054】また、空気室38の容積や壁ばね剛性等を
適当に設定することにより、空気の圧縮ばね作用による
共振現象も利用することが可能であり、それによって、
より大きな加振力を一層効率的に得ることが出来る。
【0055】さらに、前記実施形態においては、マス部
材12の変位方向が互いに直交するようにして三つの空
気室38a,38b,38cが形成されていたが、防振
すべき振動の入力方向に応じて、空気室38からマス部
材12に及ぼされる変位力の方向が設定されるべきであ
り、二つ或いは四つ以上の空気器を取り付けることも可
能である。
【0056】また、本発明に従う構造とされた制振器に
おいては、入力振動の状況等に応じて、特定方向の入力
振動に対して能動的な防振効果を得ると共に、他の方向
の入力振動に対してはダイナミックダンパとして受動的
な防振効果を得るようにすることも可能である。
【0057】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもないところである。
【0058】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、請求項
1乃至7に記載の発明に従う構造とされた制振器におい
ては、何れも、外部から及ぼされる空気圧に基づいてマ
ス部材が変位せしめられて、制振対象に対する加振力が
生ぜしめられるのであり、特に、単一のマス部材を用い
て、しかも加振用のアクチュエータ手段を組み込むこと
なく、複数方向の加振力を生ぜしめることが出来る。
【0059】それ故、複数方向の入力振動に対して有効
な制振効果を発揮し得る制振器が、極めて軽量で且つコ
ンパクトな構造をもって有利に実現され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての制振器を示す縦断
面説明図であって、図2におけるI−I断面に相当する
図である。
【図2】図1に示された制振器の平面図である。
【符号の説明】
10 制振器 12 マス部材 14 振動体 16 取付金具 18 ゴム弾性体 26 エア給排路 38 空気室 42 ブラケット

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一のマス部材を、制振対象に取り付け
    られる取付部材に対して、弾性連結体により相対変位可
    能に連結する一方、それらマス部材と取付部材の間に、
    内部の圧力変化に基づき該マス部材に対して互いに異な
    る方向の変位力をそれぞれ及ぼす複数の作用室を設ける
    と共に、それら各作用室に対して互いに独立的に空気圧
    を及ぼして圧力変化を生ぜしめるための複数のエア給排
    路を設けたことを特徴とする制振器。
  2. 【請求項2】 前記複数の作用室のうちの少なくとも一
    つが、前記弾性連結体によって壁部の一部が構成された
    空気室からなり、該空気室に前記エア給排路が接続され
    ている請求項1に記載の制振器。
  3. 【請求項3】 前記複数の作用室のうちの少なくとも一
    つが、前記弾性連結体によって壁部の一部が構成されて
    いると共に、可撓性膜によって流体密に二分されてお
    り、該可撓性膜を挟んだ一方の側に、非圧縮性流体が充
    填された液室が形成されている一方、該可撓性膜を挟ん
    だ他方の側に、前記エア給排路が接続された空気室が形
    成されている請求項1又は2に記載の制振器。
  4. 【請求項4】 前記可撓性膜における圧力作用面積と、
    前記マス部材側における圧力作用面積とが、互いに異な
    る大きさとされている請求項3に記載の制振器。
  5. 【請求項5】 前記複数の作用室における圧力変化によ
    り、前記マス部材に対して、互いに直交する方向の変位
    力が及ぼされるようになっている請求項1乃至4の何れ
    かに記載の制振器。
  6. 【請求項6】 前記エア給排路を通じて前記作用室に及
    ぼされる空気圧を、防振すべき振動の周波数に同期して
    変動せしめる空気圧制御装置を設けた請求項1乃至5の
    何れかに記載の制振器。
  7. 【請求項7】 前記取付部材が、前記マス部材に対して
    それぞれ異なる方向に離隔配置されて複数設けられてい
    ると共に、それらの取付部材が、単一のブラケットに固
    定されており、該ブラケットを介して、前記制振対象に
    取り付けられるようになっている請求項1乃至6の何れ
    かに記載の制振器。
JP32851196A 1996-12-09 1996-12-09 制振器 Pending JPH10169706A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001020998A (ja) * 1999-07-08 2001-01-23 Bridgestone Corp 能動型吸振装置
EP0936376A3 (en) * 1998-02-10 2001-03-14 Tokai Rubber Industries, Ltd. Active vibration damping device having pneumatically oscillated mass member whose oscillation amplitude as well as frequency and phase are controllable
JP2013148125A (ja) * 2012-01-17 2013-08-01 Mitsubishi Electric Corp 制動装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001020998A (ja) * 1999-07-08 2001-01-23 Bridgestone Corp 能動型吸振装置
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