JPH10159579A - エンジン補機用転がり軸受 - Google Patents

エンジン補機用転がり軸受

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JPH10159579A
JPH10159579A JP32173296A JP32173296A JPH10159579A JP H10159579 A JPH10159579 A JP H10159579A JP 32173296 A JP32173296 A JP 32173296A JP 32173296 A JP32173296 A JP 32173296A JP H10159579 A JPH10159579 A JP H10159579A
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JP
Japan
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rolling
raceway
rolling bearing
bearing
outer ring
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JP32173296A
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English (en)
Inventor
Hiromichi Takemura
浩道 武村
Etsuo Maeda
悦生 前田
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダンパ性能が劣るEグリースを使用した場合
でも、十分な耐久性を得られる構造を実現する。 【解決手段】 各転動体12の直径をDa とし、転がり
軸受4aのラジアル方向の有効隙間をδとした場合に、
−0.5×10-3>δ/Da >−4×10-3を満足させ
る。この結果、上記各転動体12と外輪9及び内輪11
の軸方向に亙る変位の位相が一致する。そして、上記各
転動体12の転動面と外輪軌道8及び内輪軌道10とが
衝突する際に発生する振動を低下させる。この結果、条
件の厳しい固定軌道に、早期剥離が発生しにくくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は転がり軸受の改良
に関し、特に、オルタネータ、コンプレッサ用の電磁ク
ラッチ、ウォータポンプ、中間プーリ、オートテンショ
ナ等のエンジン補機用転がり軸受の長寿命化を図るもの
である。
【0002】
【従来の技術】エンジン用補機の1種であるオルタネー
タの構造が、例えば特開平7−139550号公報に記
載されている。図3は、この公報に記載されたオルタネ
ータ1を、図4は、やはりこの公報に記載された、この
オルタネータ1の回転軸2をハウジング3に支持する為
の転がり軸受4を示している。上記回転軸2は、中間部
にロータ5と整流子6とを設けており、軸方向に亙って
互いに間隔をあけて配置した1対の転がり軸受4、4に
より、上記ハウジング3の内側に回転自在に支持してい
る。又、上記回転軸2の一端部(図3の右端部)で上記
ハウジング3外に突出した部分には、プーリ7を固定し
ている。エンジンへの組み付け状態では、このプーリ7
にベルトを掛け渡し、エンジンのクランクシャフトによ
り、上記回転軸2を回転駆動自在とする。
【0003】上述の様に構成するオルタネータ1に組み
込む上記転がり軸受4として一般的には、図4に示す様
な、単列深溝型の玉軸受を使用している。この転がり軸
受4は、内周面に深溝型の外輪軌道8を有する外輪9
と、外周面にやはり深溝型の内輪軌道10を有する内輪
11と、上記外輪軌道8と内輪軌道10との間に転動自
在に設けた複数の転動体12(玉)とを備える。又、こ
れら複数の転動体12は、円環状に形成した保持器13
により、円周方向に間隔をあけた状態で、転動自在に保
持している。更に、上記外輪9の両端部開口周縁部に
は、それぞれ円輪状に形成したシール板14、14の外
周縁部を係止して、上記複数の転動体12を設置した空
間15の両端開口部を塞ぎ、この空間15内に充填した
グリースの漏洩防止と、この空間15内への異物の進入
防止とを図っている。
【0004】上述の様に構成される転がり軸受4の使用
時には、正又は負の隙間を設ける。正の隙間とは、上記
転動体12の直径を上記外輪軌道8と内輪軌道10との
距離よりも僅かに小さくして、これら各転動体12の転
動面と上記外輪軌道8の間に、実際の隙間を介在させた
ものを言う。これに対して、負の隙間とは、上記転動体
12の直径を上記外輪軌道8と内輪軌道10との距離よ
りも僅かに大きくして、これら各転動体12の転動面と
上記外輪軌道8及び内輪軌道10との間には、実際の隙
間を介在させないものを言う。この様な負の隙間を設け
た場合には、転がり軸受4の構成各部材の弾性変形に基
づき、上記各転動体12の転動面と上記外輪軌道8及び
内輪軌道10とが、弾性的に当接したままの状態にな
る。
【0005】従来は、前記オルタネータ1等のエンジン
用補機の回転軸を支持する為の転がり軸受4には、上記
正の隙間を設けていた。この理由は、(株)養賢堂が出
版している「転がり軸受工学」に記載されている様に、
負の隙間を設けた場合には、各転動体12の転動面と上
記外輪軌道8及び内輪軌道10との接触部に摩擦摩耗が
生じ易くなり、転がり軸受4の発熱も大きくなって、こ
の転がり軸受4の寿命が低下すると考えられていた為で
ある。この為、エンジン用補機の回転軸を支持する為に
一般的な、内径が10〜18mm程度の転がり軸受4の場
合には、JISB 1520に規定されている様に、3
〜18μm程度の正の隙間を設ける事が好ましいと考え
られ、実際に広く実施している。尚、理論的には、有効
隙間を僅かに負にすると、軸受寿命が1.1倍程度長く
なるとされている。但し、この理論は、負荷率から軸受
内部の面圧の低下を考慮した結果、導かれたものであ
り、エンジン用補機の回転軸を支持する様な、振動の影
響を強く受ける転がり軸受にそのまま当てはまるもので
はない。
【0006】一方、近年に於ける自動車の小型・軽量化
の流れにより、オルタネータ等のエンジンの補機類に就
いても、小型・軽量化を図りつつ、性能を向上させる事
が求められている。この為、オルタネータ1の回転軸2
の端部に固定したプーリ7に掛け渡すベルトの張力を高
くし、しかも上記回転軸2をより高速で回転させる要求
が増えている。この様な条件で上記回転軸2を回転させ
ると、この回転軸2を支承している転がり軸受4、4に
は、エンジンの熱の影響に伴う高温下で、高振動・高荷
重が作用する。特に、上記プーリ7に近い側でこの回転
軸2をハウジング3に支承している、所謂フロント側の
転がり軸受4を構成する外輪9の内周面に設けた外輪軌
道8に、早期剥離等の損傷を発生し易い事が知られてい
る。
【0007】この様な早期剥離を防止する為の対策とし
て従来から知られているものの第1例として、SAEテ
クニカルペーパー:SAE950944(開催日=19
95年2月27日〜3月2日)に記載されたものがあ
る。この第1例は、前記空間15内に封入するグリース
として、ダンパ効果の高いMグリースを使用するもので
ある。この様にダンパ効果の高いMグリースを使用する
事により、転動体5から外輪軌道8に加わる衝撃荷重を
緩和し、この外輪軌道8に早期剥離が発生する事を防止
できるものと考えられている。
【0008】又、早期剥離防止対策の第2例として、特
開平7−139550号公報に記載されたものがある。
この第2例は、複数の転動体12として窒化珪素製のも
のを使用し、外輪9として、200〜380℃で焼き戻
し処理を行なった鋼製のものを使用する。この第2例の
場合には、上記転動体12及び外輪9が熱的に安定する
為、転がり軸受4に加わる振動や衝撃の影響を緩和し
て、外輪軌道8に早期剥離が発生する事を防止できると
されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した様
な従来のエンジン補機用転がり軸受の場合には、高性能
でしかも優れた耐久性を有するエンジン用補機の実現が
難しい。この理由は次の通りである。先ず、第1例の様
に、ダンパ効果の高いMグリースを使用すると、グリー
スによる転動体12の転動に対する抵抗が増大し、回転
軸2に外嵌固定した内輪11の回転に要するトルクが増
大する。この結果、オルタネータ1等、転がり軸受4を
組み込んだエンジン用補機の高性能化が難しくなる。
又、第2例の様に、転動体12として窒化珪素製のもの
を、外輪9として200〜380℃で焼き戻し処理を行
なった鋼製のものを、それぞれ使用したものは、コスト
が嵩む上、上記外輪9の剥離防止効果が小さい。即ち、
窒化珪素製の転動体は、鋼製の転動体に比べて遥かに高
価である為、この転動体を組み込んだ転がり軸受4のコ
ストも嵩んでしまう。又、高振動・高荷重が作用する様
な使用条件下では、正の隙間の存在に基づいて、転動体
12が外輪軌道8に繰り返し衝突する為、やはり、この
外輪軌道8に早期剥離が発生し易いものと考えられる。
本発明のエンジン補機用転がり軸受は、この様な事情に
鑑みて、高性能でしかも優れた耐久性を有するエンジン
用補機の実現を可能にすべく、考えたものである。尚、
前述した様に、有効隙間を僅かに負にすると、軸受寿命
が1.1倍程度長くなるとされているが、本発明は、よ
り大幅な軸受寿命の延長を実現すべく、考えたものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のエンジン補機用
転がり軸受は、前述した従来のエンジン補機用転がり軸
受と同様に、内周面に外輪軌道を設けた外輪と、外周面
に内輪軌道を設けた内輪と、上記外輪軌道と内輪軌道と
の間に転動自在に設けた複数の転動体とを備える。そし
て、上記外輪と内輪との一方である固定輪を、エンジン
のクランクシャフトによりベルトを介して回転駆動され
るエンジン用補機のケーシング或は軸に支持し、上記外
輪と内輪との他方である回転輪を、端部に上記ベルトを
掛け渡す為のプーリを設けてこのエンジン用補機を構成
する軸或はケーシングに固定した状態で使用する。特
に、本発明のエンジン補機用転がり軸受に於いては、上
記各転動体の直径をDa とし、転がり軸受のラジアル方
向の有効隙間をδとした場合に、−0.5×10-3>δ
/Da >−4×10-3を満足する。
【0011】尚、上記有効隙間δとは、例えば、内輪を
回転軸に外嵌固定すると共に外輪をハウジングに内嵌固
定する事により、上記転がり軸受を所定部位に固定し、
所定の条件で回転した場合に達する温度状態にあって、
嵌合固定時の荷重以外の荷重による構成各部材(外輪及
び内輪と複数の転動体)の弾性変形を全く考えない状態
を考えた場合の軸受隙間で、次式により表される。 δ=△f−δt この式中、△fは残留隙間を、δtは構成部材間の温度
差に伴う隙間の変化量を、それぞれ表している。尚、後
述する実施例の項に記載した実験では、外輪と内輪との
温度はほぼ同一であった為、δt=0とした。
【0012】
【作用】上述の様に構成される本発明のエンジン補機用
転がり軸受の場合には、高振動・高荷重が作用する様な
使用条件下でも、転動体が外輪軌道と内輪軌道とのうち
の一方である固定輪軌道に繰り返し衝突する事がなく、
この固定輪軌道を含む接触部分に、早期剥離が発生しに
くくなる。即ち、本発明のエンジン補機用転がり軸受の
場合には、有効隙間を負にする事により、複数の転動体
に予圧を付与した状態で使用する為、上記複数の転動体
と外輪(及び内輪)とが、ラジアル方向に亙って同位相
で変位する。この結果、上記各転動体の転動面と固定輪
軌道とが勢い良く衝突する事がなくなって、早期剥離の
発生防止を図れる。
【0013】又、上記複数の転動体に予圧を付与する事
に伴って、転がり軸受自体の剛性(外輪と内輪との変位
しにくさ)が高くなり、外輪を内嵌固定したハウジング
の変形に拘らず、この外輪に発生する曲げ応力を低下さ
せる事ができる。この為、この外輪の内周面に形成した
外輪軌道に加わる応力を緩和して、やはり早期剥離の発
生を防止できる。
【0014】しかも、本発明のエンジン補機用転がり軸
受の場合には、上記有効隙間を適正値に規制している
為、上記早期剥離の発生防止効果が非常に優れたものに
なる。即ち、有効隙間δを、−0.5×10-3>δ/D
a >−4×10-3の範囲に収める事により、転動面と外
輪軌道及び内輪軌道との接触部の面圧を過大にする事な
く、これら転動面と外輪軌道及び内輪軌道との接触部に
加わる衝撃荷重を緩和して、上述した早期剥離の発生を
有効に防止する。尚、上記有効隙間δと転動体直径との
比δ/Da が、−4×10-3以下になる(負の隙間の絶
対値が大きくなる)と、転動面と外輪軌道及び内輪軌道
との接触部の摩擦及び摩耗が大きくなって、早期剥離を
生じてしまう。反対に、有効隙間δと転動体直径との比
δ/Da が、−0.5×10-3以上になる(負の隙間の
絶対値が小さくなり、更には正の隙間になる)と、複数
の転動体と外輪(及び内輪)とが、ラジアル方向に亙っ
て異なる位相で変位し易くなる。この結果、これら転動
面と外輪軌道及び内輪軌道との接触部に加わる衝撃荷重
を十分に小さくできず、やはり早期剥離を防止できなく
なる。
【0015】
【実施例】次に、本発明の効果を確認すると共に、本発
明を完成させる過程で行った実験に就いて説明する。実
験には、特願平7−241214号で開示した、転がり
軸受の寿命試験機を使用した。この試験機は、回転軸の
軸方向2個所位置を、サポート軸受(単に回転軸を支持
するだけで、加わるラジアル荷重が小さい転がり軸受)
と試験軸受(耐久性を測定する為、大きなラジアル荷重
を加える転がり軸受)とにより回転自在に支持してい
る。そして、上記回転軸の端部で試験軸受から上記サポ
ート軸受と反対側に突出した部分に設けたプーリに無端
ベルトを掛け渡して、この回転軸を回転駆動自在として
いる。又、試験軸受に付与するラジアル荷重は、上記無
端ベルトの張力を変える事により調整自在とし、上記ラ
ジアル荷重は、上記試験軸受の支持部材に添設した歪み
ゲージにより測定自在としている。
【0016】上述の様な試験機を使用して、図1(A)
に示す様に、負の隙間を設けた転がり軸受4aと、同図
(B)に示す様に正の隙間を設けた転がり軸受4bとの
それぞれに就いて、隙間以外の条件を同じにして、それ
ぞれの寿命を測定した。即ち、各転がり軸受4a、4b
を構成する内輪11を回転軸2aに隙間嵌により外嵌固
定し、同じく外輪9をハウジング3aに締まり嵌めによ
り内嵌固定した状態で、上記回転軸3aを、ラジアル荷
重を付与しつつ回転駆動した。尚、後述する有効隙間δ
の値は、この様に内輪11及び外輪9を、回転軸2a又
はハウジング3aに嵌合固定した状態での値である。
【0017】又、試験軸受としては、呼び番号が630
1(内径=12mm、外径=37mm、幅=12mm、Da
7.938mm)、同6303(内径=17mm、外径=4
7mm、幅=14mm、Da =8.731mm)、同6201
(内径=12mm、外径=32mm、幅=10mm、Da
5.953mm)、同6203(内径=17mm、外径=4
0mm、幅=12mm、Da =6.747mm)の4種類を使
用した。そして、これら4種類の転がり軸受4a、4b
に就いて、それぞれ次の表1に示す様に、有効隙間δを
+20μm〜−40μmの間で9種類に変化させ、この
有効隙間δと転動体直径との比δ/Da を互いに異なら
せた、合計36種類の転がり軸受4a、4bを使用し
た。更に、各種類毎に10個ずつ、合計360個の試験
軸受を使用し、これら360個の試験軸受毎に、耐久性
を測定した。又、転動体12を設けた空間15内には、
Mグリースに比べて、ダンパ性能は劣るが抵抗が小さな
Eグリースを封入した。又、外輪9、内輪11、転動体
12は、それぞれ軸受鋼乙種に通常熱処理を施し、表面
固さをHRC60〜63としたものを使用した。
【0018】
【表1】
【0019】尚、荷重条件はP/C=0.10とし、回
転軸2aの回転速度に就いては、5000rpm と100
00rpm との間で昇降させる、加減速試験を行った。
又、試験温度は50℃とした。更に、この条件での計算
寿命は、各呼び番号の試験軸受で2222時間である
為、試験打ち切り時間を2000時間とした。そして、
2000時間経過した時点で寿命に達しなかったもの
は、十分な耐久性を得られるものと判定した。又、当該
転がり軸受4a、4bが寿命に達したか否かの判定は、
上記ハウジング3aに添設した加速度ピックアップ16
の検出値により判定した。即ち、この加速度ピックアッ
プ16が上記ハウジング3aを介して検出する上記転が
り軸受4a、4bの振動が急激に上昇した時点で、当該
転がり軸受4a、4bはその寿命に達したと判定した。
この様にして行った実験の結果を次の表2及び図3に示
す。
【0020】
【表2】
【0021】尚、この表2及び図2に示した寿命時間
は、L10で表している。即ち、36種類毎に10個ずつ
用意した試験軸受の10%が寿命に達した場合の寿命
を、当該諸元の転がり軸受4a、4bの寿命とした。例
えば、今回の場合には、各種類毎に10個ずつ用意した
転がり軸受4a、4bのうち、最初の1個が寿命に達し
た時点を、当該諸元の転がり軸受4a、4bに関する寿
命と考える。
【0022】この様な寿命試験の結果を示す表2及び図
2の記載から明らかな通り、有効隙間δが正(δ/Da
>0)である転がり軸受4bの軸受寿命は、100〜4
00時間程度と短かった。この理由は、複数の転動体1
2と外輪9及び内輪11とが、ラジアル方向に亙って異
なる位相で変位し易くなる結果、各転動体12の転動面
と外輪軌道8及び内輪軌道10との接触部に衝撃荷重が
加わり、特に条件が厳しい外輪軌道8に早期剥離が発生
し易くなる為と考えられる。尚、寿命に達した転がり軸
受4bを分解して、接触部(転動体12の転動面、外輪
軌道8、内輪軌道10)の表面を観察したところ、総て
外輪軌道8に剥離が発生していた。
【0023】これに対して、上記有効隙間δが零の転が
り軸受の寿命は、800〜900時間程度と、正の有効
隙間を持たせた場合よりも長くはなるが、依然として計
算寿命の半分以下であった。この理由は、有効隙間δが
零であっても、実験中に発生する僅かな摩耗により上記
有効隙間が発生し、有効隙間δが正(δ/Da >0)で
ある転がり軸受4bの場合と同様に、衝突型の振動モー
ドが発生し、衝撃荷重に基づく早期剥離が発生する為と
考えられる。この様な理論を裏付けるべく、有効隙間δ
が零の状態で実験を開始し、2000時間経過前に寿命
に達した転がり軸受の有効隙間δを測定したところ、正
の値であった。
【0024】これに対して、−0.5×10-3>δ/D
a >−4×10-3を満足する転がり軸受4aの場合に
は、140個の総てが、2000時間経過するまで寿命
に達する事がなく、十分な耐久性を得られる事が確認さ
れた。この様に、有効隙間δと転動体の直径Da との比
δ/Da を所定範囲に収めた本発明のエンジン補機用転
がり軸受に早期剥離が発生しにくくなる理由は、上記有
効隙間δを負にし、複数の転動体12に予圧を付与した
状態で使用する為、これら各転動体12と外輪9及び内
輪11とが、ラジアル方向に亙って同位相で変位し、上
記各転動体12の転動面と外輪軌道8及び内輪軌道10
とが勢い良く衝突する事がなくなる為と考えられる。
【0025】又、上記複数の転動体12に予圧を付与す
る事に伴って、転がり軸受4a自体の剛性、即ち、外輪
9と内輪11との変位しにくさが高くなり、この外輪9
を内嵌固定したハウジング3aの変形に拘らず、この外
輪に発生する曲げ応力を低下させる事ができる。この
為、この外輪9の内周面に形成した外輪軌道8に加わる
応力を緩和して、やはり早期剥離の発生を防止できる。
尚、上述した実験の場合とは逆に、内輪11を固定し、
外輪9を回転させる状態で使用する転がり軸受に限れ
ば、アキシャル方向の振れを抑制できる為、アキシャル
方向に衝撃的に加わる振動を低下させて、早期剥離の発
生を防止できる。
【0026】更に、上記有効隙間δを負にした場合で
も、この有効隙間δと転動体12の直径Da との比δ/
a が、−4×10-3以下になる(負の隙間の絶対値が
大きくなる)と、やはり十分な軸受寿命を確保できない
事が分った。この様に、負の有効隙間δの絶対値が大き
く、早期に寿命に達した転がり軸受4aを分解して接触
部を観察したところ、剥離部は、潤滑不足になり易い、
内輪軌道10と玉12の転動面とに集中していた。この
事から、負の隙間の絶対値が大きくなった場合に耐久性
が低下する理由は、上記各転動体12の転動面と、外輪
軌道8及び内輪軌道10との接触部で金属接触が発生
し、過大な摩擦並びに摩耗が発生する為である事が分っ
た。
【0027】これらから、本発明の様に、各転動体の直
径をDa とし、転がり軸受の有効隙間をδとした場合
に、−0.5×10-3>δ/Da >−4×10-3を満足
するエンジン補機用転がり軸受は、この条件を満たさな
いものに比べて、遥かに優れた耐久性を有する事を確認
できた。尚、上述の実験は、外輪9、内輪11、転動体
12を、何れも軸受鋼乙種により造った場合であるが、
これら各部材9、11、12を、浸炭鋼等、他の硬質金
属材料により造った場合でも、同様の条件の下で同様の
効果を得られる事は明らかである。又、寸法安定化処理
を施した材料により構成各部材を造れば、使用条件(特
に温度)変化に拘らず、上記有効隙間δを上記範囲に収
めて、上記耐久性向上効果がより優れたものになる事は
明らかである。更には、外輪を固定して内輪を回転させ
る状態で使用する転がり軸受に限らず、内輪を固定して
外輪を回転させる状態で使用する転がり軸受に就いて
も、同様の範囲で同様の効果を得られるものと考えられ
る。
【0028】尚、上述の実験は、外輪9と内輪11との
温度差が0となる状態で行なった。但し、使用状態での
これら外輪9と内輪11との温度差が既知(例えば10
℃)の場合には、上記有効隙間δは、この温度差を考慮
して前記式(δ=△f−δt)による補正を加えた値と
する。更には、ハウジング3aと外輪9との材質の違い
に基づく熱膨張量の差、内輪11と回転軸2aとの材質
の違いに基づく熱膨張量の差に違いがある場合には、上
記有効隙間δは、使用時の温度状態でのこれら熱膨張
(或は熱収縮)の差に基づく補正を加えた値とする。そ
して、何れの場合でも、補正を加えた有効隙間δの値
が、特許請求の範囲に記載した範囲に収まる様にする。
【0029】
【発明の効果】本発明のエンジン補機用転がり軸受は、
以上に述べた通り構成され作用するので、低トルクでし
かも外輪に早期剥離が発生する事を防止し、高性能でし
かも優れた耐久性を有するエンジン用補機の実現に寄与
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の効果を確認する為に行なった実験の実
施状態を示しており、(A)は本発明に属する転がり軸
受に就いて実験を行なっている状態を、(B)は従来の
転がり軸受に就いて実験を行なっている状態を、それぞ
れ示す部分略断面図。
【図2】図1に示した状態で行なった実験の結果を示す
グラフ。
【図3】本発明の対象となる転がり軸受を組み込んだオ
ルタネータの断面図。
【図4】同じく転がり軸受の拡大断面図。
【符号の説明】
1 オルタネータ 2、2a 回転軸 3、3a ハウジング 4、4a、4b 転がり軸受 5 ロータ 6 整流子 7 プーリ 8 外輪軌道 9 外輪 10 内輪軌道 11 内輪 12 転動体 13 保持器 14 シール板 15 空間 16 加速度ピックアップ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に外輪軌道を設けた外輪と、外周
    面に内輪軌道を設けた内輪と、上記外輪軌道と内輪軌道
    との間に転動自在に設けた複数の転動体とを備えたエン
    ジン補機用転がり軸受に於いて、上記各転動体の直径を
    a とし、転がり軸受のラジアル方向の有効隙間をδと
    した場合に、−0.5×10-3>δ/Da >−4×10
    -3を満足する事を特徴とするエンジン補機用転がり軸
    受。
JP32173296A 1996-12-02 1996-12-02 エンジン補機用転がり軸受 Pending JPH10159579A (ja)

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