JPH1012072A

JPH1012072A - グロメット

Info

Publication number: JPH1012072A
Application number: JP8167095A
Authority: JP
Inventors: Takashi Suzuki; 隆史鈴木
Original assignee: Sumitomo Wiring Systems Ltd
Current assignee: Sumitomo Wiring Systems Ltd
Priority date: 1996-06-27
Filing date: 1996-06-27
Publication date: 1998-01-16
Anticipated expiration: 2016-06-27
Also published as: JP3298414B2

Abstract

(57)【要約】【課題】車両パネルの開口部への取付け作業に際し、
挿入力を低減して容易に係止することができるととも
に、係止後には外れにくく、また金型製作時の加工方法
および加工時間を簡略化して製造コストを低減すること
ができるグロメットを提供することを課題とする。【解決手段】グロメット１は、所定の開口部に係止す
る係止部２と、ワイヤーハーネスを密着、保持するＷ／
Ｈ保持部３と、係止部２とＷ／Ｈ保持部３との間に傾斜
を有して形成された傾斜部４と、グロメット１上方の傾
斜部４表面に、Ｗ／Ｈ保持部３側から係止部２方向に延
設された複数条の線状凸部５とを具備して構成されてい
る。ここで、延設された線状凸部５の突出高さは、係止
部２方向に連続的に高くなるように形成され、また線状
凸部５は、グロメット１の本体を構成する材質、たとえ
ば一体成形ゴムにより一体的に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、線状体保持用のグ
ロメットに関し、特に車両パネル等の開口部を通過する
配設経路を有するワイヤーハーネスを保持するグロメッ
トに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、車両用のワイヤーハーネスの配設
経路は、車両への電気、電子機器等の登載が進むに従っ
て、複雑かつ多岐に亘っており、周辺部品との干渉回避
のためのハーネスプロテクタや、車両パネルを貫通配索
する場合に用いられるグロメット等のワイヤーハーネス
保護用、あるいは保持用パーツが多用されている。

【０００３】特に、車両パネルに開口された開口部を介
して、たとえばエンジンルームから運転席等への経路や
車両本体からドア部への経路を有するワイヤーハーネス
には、配設経路の保持と、車両パネルとの接触防止のた
めに一体成形ゴム等により形成されたグロメットが一般
的に用いられている。たとえば、ワイヤーハーネスをＬ
字配索する従来のグロメットの形状は、図４に示すよう
に、車両パネル等に形成された所定の開口部に係止され
る係止部２が設けられ、グロメット１の紙面下方先端部
には、ワイヤーハーネスをテープ材等により密着、保持
するワイヤーハーネス保持部（以下、Ｗ／Ｈ保持部と略
記する）３が設けられている。このような従来のグロメ
ット１は、図５に示すように、Ｗ／Ｈ保持部３において
ワイヤーハーネス６をテープ巻固定し、また係止部２に
おいて車両パネル７の開口部８に係止される。ここで、
４は係止部２とＷ／Ｈ保持部３との間に形成された傾斜
部である。

【０００４】次に、従来のグロメット１を開口部８へ挿
入、係止する取付け作業について、図６に示す。図６
（ａ）に示すように、まずワイヤーハーネス６を密着、
保持したグロメット１の保持部３側、すなわち紙面下方
の係止部２を開口部８の縁端部に引っ掛け、矢印Ｆ₂方
向に力を加え、グロメット１の紙面上方の傾斜部４を開
口部８に摺接させながら係止部２の全周が係止するまで
引き込む。しかしながらグロメット１の保持部３方向へ
の引き込み力Ｆ₂のみではグロメット１上方の係止部２
が開口部８に容易に係止しないため、図６（ｂ）に示す
ように、グロメット１上方の傾斜部４を作業者が指で摘
み、矢印Ｆ₃方向への引き込み力を加えることにより、
係止部２全周が開口部８に係止されるように補助する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の
グロメット１の構造においては、開口部８への取付け作
業の際に、開口部８の縁端部に傾斜部４表面が摺接する
ため、摩擦抵抗が大きくなり、係止部２を容易に開口部
８に挿入、係止することができない問題があった。この
ような問題点を解決するための構成として、たとえば図
６（ｂ）において補助的な引き込み力Ｆ₃を加え易いよ
うに、傾斜部４に予め引き込み用の舌状摘みを設けたグ
ロメットが知られている。しかしながらこのような構成
のグロメットを用いた取付け作業の際には、舌状摘みが
逆に開口部８縁端部に引っ掛かり効率的な挿入、係止を
行なうことができなかった。また、別のグロメットの構
成として、特開平７−１１５２８６号公報等に示される
ように、傾斜部表面に多数の凹凸、いわゆるしぼ加工を
施し、開口部への取付け時に縁端部との接触面積を小さ
くして摩擦抵抗を削減することが知られている。ここ
で、傾斜部表面に多数の凹凸を形成する製造方法として
は、放電加工により金型表面に予め対応する凹凸面を加
工することが一般的に行なわれているが、放電加工は、
通常のＮＣ加工（切削工具による機械加工）に比べ、極
めて加工速度が遅く、また加工コストがかさむ問題があ
った。

【０００６】なお、このようなグロメットの開口部への
挿入、係止作業における問題は、図４から６に示したよ
うなＬ字型等の特殊形状のグロメットに限られるもので
はなく、特開平７−１１５２８６号公報等に示したよう
な一般的な略円錐形状のものにおいても同様に作業困難
性を生じている。本発明の目的は、車両パネルの開口部
への取付け作業に際し、挿入力を低減して容易に係止す
ることができるとともに、係止後には外れにくく、また
金型製作時の加工方法および加工時間を簡略化して製造
コストを低減することができるグロメットを提供するこ
とにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１記載の発明では、所定の配索経路を有す
る線状体を密着、保持する保持部と、前記線状体が貫通
する開口部に係止する係止部とを有するグロメットにお
いて、前記保持部と前記係止部間に形成された傾斜部表
面に、前記保持部側から前記係止部側に延設された複数
条の線状凸部を有することを特徴としている。

【０００８】また、請求項２記載の発明では、上記請求
項１のグロメットにおいて、前記傾斜部表面に延設され
た線状凸部が、前記保持部側から前記係止部方向に向か
って突出高さが連続的に高くなるように形成されている
ことを特徴としている。このような構成によれば、グロ
メットを所定の開口部に挿入、係止する取付け作業の際
に、延設された線状凸部のみが開口部に接触するため、
接触面積が小さくなり、摩擦抵抗を削減することができ
る。

【０００９】また、延設された線状凸部の突出高さを係
止部方向、すなわちグロメット外周方向に高くなるよう
に傾斜させているため、開口部への係止後、線状凸部の
係止部側の外方端が開口部周辺の車両パネル上に張り出
すこととなり、車両走行時の振動等によるグロメットの
係止外れを良好に防止することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例を示して詳
しく説明する。図１は、本発明の請求項１または２に係
るグロメットの一実施例を示す図である。図１におい
て、１はグロメットであり、グロメット１は、所定の開
口部に係止する係止部２と、ワイヤーハーネスを密着、
保持するＷ／Ｈ保持部３と、係止部２とＷ／Ｈ保持部３
との間に傾斜を有して形成された傾斜部４と、グロメッ
ト１の紙面上方の傾斜部４表面に、Ｗ／Ｈ保持部３側か
ら係止部２方向に延設された複数条の線状凸部５から構
成されている。ここで、延設された線状凸部５の突出高
さは、係止部２方向に連続的に高くなるように形成され
ている。また線状凸部５は、グロメット１の本体を構成
する材質、たとえば一体成形ゴムにより一体的に形成さ
れている。

【００１１】そのため、グロメット１の傾斜部４に延設
された線状凸部５に該当する金型面に機械加工により数
条の溝を形成するのみで、容易かつ安価に本発明のグロ
メットを成形することができる。このようなグロメット
１の開口部への取付け作業について図２を参照して説明
する。

【００１２】図２（ａ）に示すように、従来の取り付け
作業同様、ワイヤーハーネス６を密着、保持したグロメ
ット１の保持部３側、すなわち紙面下方の係止部２を開
口部８の縁端部に引っ掛け、矢印Ｆ₁方向に力を加え、
傾斜部４に延設された線状凸部５を開口部８に摺接させ
ながら係止部２を引き込む。ここで、本発明の特徴であ
る線状凸部５は、図２（ｂ）に示すように、グロメット
１の傾斜部４の表面から突出して延設されているため、
車両パネル７の開口部８への取付けに際し、縁端部８´
に直接接触するのは線状凸部５の頂面のみとなり、接触
面積を大幅に小さくでき、摩擦抵抗を削減することがで
きる。また従来技術において図６（ｂ）に示したよう
に、補助的に傾斜部４を摘み、引き込む際にも線状凸部
５が、良好に作業者の指に接触するため、引き込み力Ｆ
₃を容易に加えることができる。

【００１３】さらに、請求項２記載のグロメットの構成
によれば、傾斜部４に延設された線状凸部５の突出高さ
が、図３（ｂ）のように係止部２方向、すなわちグロメ
ット１外周方向に高くなるように傾斜させて形成されて
いるので、図３（ａ）に示すように、車両パネル７の開
口部８に取り付けると、線状凸部５の係止部２側の外方
端５´が開口部８周辺の車両パネル７上に張り出すよう
に係止されるため、車両の走行振動時にワイヤーハーネ
スのたわみ等により生じる係止外れを良好に防止するこ
とができる。

【００１４】なお、上述した実施例中ではグロメット１
として、ワイヤーハーネス１をＬ字状に配索保持する形
状を有するものについて説明したが、本発明はこれに限
定されるものではなく、通常の略円錐状のグロメットに
適用することができることはいうまでもない。その場
合、傾斜部４に延設された線状凸部５の配置は、傾斜部
の全周に形成すれば良い。すなわち、グロメット１の開
口部８への挿入、係止に際し、開口部８の縁端部８´と
摺接し、大きな摩擦抵抗を生じる傾斜部４表面に線状凸
部５を形成すれば、本発明の作用効果を良好に得ること
ができる。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のグロメッ
トの構成によれば、車両パネルの所定の開口部への取付
け作業に際し、線状凸部のみが開口部に接触するため、
摩擦抵抗を削減することができ、挿入力を低減し、極め
て容易に取り付けることができる。

【００１６】また、線状凸部の突出高さをグロメット外
周方向に高くなるように傾斜させることにより、開口部
への係止後、線状凸部の外方端が開口部周辺の車両パネ
ル上に張り出すため、車両走行時の振動等によるグロメ
ットの係止外れを良好に防止することができる。さら
に、本発明のグロメットの成形に際し、傾斜部表面の線
状凸部に対応する金型面に機械加工により数条の溝を形
成するのみで実現することができるため、金型の製作を
極めて容易かつ安価に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るグロメットの一実施例を示す図で
ある。

【図２】本発明に係るグロメットの取付け状態を示す図
である。

【図３】本発明に係るグロメットの開口部への係止状態
を示す図である。

【図４】従来技術におけるグロメットを示す図である。

【図５】従来技術におけるグロメットの係止状態を示す
図である。

【図６】従来技術におけるグロメットの取付け状態を示
す図である。

【符号の説明】

１グロメット２係止部３Ｗ／Ｈ保持部４傾斜部５線状凸部５´ 外方端６ワイヤーハーネス７車両パネル８開口部８´ 縁端部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】所定の配索経路を有する線状体を密着、保
持する保持部と、前記線状体が貫通する開口部に係止す
る係止部とを有するグロメットにおいて、前記保持部と前記係止部間に形成された傾斜部表面に、
前記保持部側から前記係止部側に延設された複数条の線
状凸部を有することを特徴とするグロメット。
【請求項２】前記傾斜部表面に延設された線状凸部が、
前記保持部側から前記係止部方向に向かって突出高さが
連続的に高くなるように形成されていることを特徴とす
る請求項１記載のグロメット。