JPH0994055A - 乳酸及び/又は乳酸塩の微生物増殖抑制効果の増強方法 - Google Patents

乳酸及び/又は乳酸塩の微生物増殖抑制効果の増強方法

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JPH0994055A
JPH0994055A JP7276903A JP27690395A JPH0994055A JP H0994055 A JPH0994055 A JP H0994055A JP 7276903 A JP7276903 A JP 7276903A JP 27690395 A JP27690395 A JP 27690395A JP H0994055 A JPH0994055 A JP H0994055A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乳酸や乳酸塩の抗菌作用を利用して、これら
を飲食品に添加して飲食品の保存性を高める試みが行わ
れている。しかしながら、乳酸や乳酸塩は一般細菌に対
する抗菌性は有するものの、カビや酵母等の真菌類に対
する抗菌性は低く、しかも乳酸や乳酸塩を飲食品に添加
する際には水溶液として添加せざるを得ないために、飲
食品中の遊離水によってかえってカビ等の増殖を促進す
る等の問題があった。また十分な抗菌作用を発現し得る
量の乳酸や乳酸塩を添加すると、飲食品の味覚や風味を
損なう虞れもあった。 【解決手段】 本発明方法は、飲食品中に乳酸及び/又
は乳酸塩とトレハロースとを含有させることを特徴とす
るものであり、飲食品中に1.0重量%以上の塩化ナト
リウム及び/又は塩化カリウムを共存していると、より
優れた微生物増殖抑制効果が発現される。本発明方法に
おいて、飲食品中には乳酸及び/又は乳酸塩が1.0〜
4.0重量%、トレハロースが0.3〜10.0重量%
含有されていることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲食品類の食中毒
細菌や腐敗を起こす微生物の発育を制御ないし遅延さ
せ、飲食品類の安全な保存、流通、供給および腐敗等に
伴う損失を防止することのできる、乳酸及び/又は乳酸
塩の微生物増殖抑制効果の増強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の飲食品は、ますます多様化
し、日本固有の飲食品に加えて、中華料理、ヨーロッパ
風の各種の調理された飲食品、更には各種のエスニック
料理と、それに伴う加工飲食品類等の登場によって、そ
れらの飲食品類に関連する微生物も非常に多様化し、従
来の概念では制御しきれないような微生物によって問題
が発生する可能性が出てきている。
【0003】更に近年は、消費者の飲食品に対する健康
指向及び自然指向が非常に高まり、薄味や甘塩等と称す
る製品が多く製造され、その結果飲食品中に使用される
食塩濃度は著しく低下し、昭和50年代以前に使用され
ていた濃度の半分ないし、極端な場合には1/4程度に
まで低められるに到っている。この傾向は、漬物、佃煮
等の惣菜類、各種の塩蔵の魚介類、食肉、イカやタコの
塩辛、魚介類の干物等の和風食品のみならず、ハム、ソ
ーセージ、ベーコン、サラダ等の洋風食品にいたる、広
い範囲の食品に対して見られる傾向である。しかしなが
ら、この結果、これらの飲食品類は、食塩によって得ら
れていた浸透圧が低下し、水分活性が高い状態に保た
れ、食中毒菌をはじめとする微生物にとっては、発育に
都合の良い状況を作り出している。
【0004】更に最近は女性の社会進出等が進む結果、
次第に家庭内における調理が省略される傾向が進み、多
くの食品が調理済食品となってスーパーマーケットやコ
ンビニエンスストアーに並べられ、これらの食品もまた
低い食塩濃度で調理されているので、微生物にとって
は、発育に都合の良い環境がここでも提供されるように
なってきている。
【0005】これらの飲食品類の問題を解決するために
は、例えば保存料や殺菌剤のような微生物の発育を抑制
するような化学物質を使用することは簡単な解決方法の
一つであるが、これらは飲食品に化学合成品という異物
を添加することであり、飲食品の安全性からみても、あ
るいは飲食品に対する自然指向からしても、好ましい方
法ではない。従って、最近は、自然に食品中に生成した
り、古くから食品に使用されてきた天然物を利用して、
飲食品中の微生物を制御しようとしている。
【0006】更に、これらの問題を抱えた飲食品類の微
生物の生育を制御ないし軽減するために、飲食品の包装
に当たっては、クリーンルームやクリーンブースの中で
行うことにより、飲食品への取扱中の微生物の汚染を著
しく低下させたり、真空包装によって、包装内部の酸素
を低下させて微生物の発育を制御したり、あるいは包装
内部のガスを空気から酸素濃度んを低下させ窒素や炭酸
ガスで置換することにより制御しようとしてきている。
【0007】また、飲食品を低温、例えば10℃以下の
温度で保存ないし流通させるとか、冷凍するとかの手段
によって、飲食品の微生物を制御したりしているが、飲
食品の中には、冷凍困難なものが少なからずあり、例え
ば、豆腐や蒲鉾のようなゲル状の食品や、調理済の飲食
品類等は、冷凍によってその特徴が失われてしまうし、
また低温で冷蔵する食品では、次第に低温を好む微生物
が生育し、この中には食中毒細菌も幾種類も含まれるた
め、逆に飲食品を低温で保存したことによって発生する
食中毒などが出てきている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この問題を解決するた
めに、より安全で自然な方法が探索されてきていたが、
人工合成によらず醸造法で作った乳酸や乳酸塩類を使用
して飲食品の微生物を抑制しようとする試みがなされて
きており、特に欧米諸国では、乳製品、食肉、牛、豚、
家禽などの屠体の微生物の制御、ローストビーフ、ソー
セージ、生ハム、真空調理食品、更にはリバーソーセー
ジ、幾つかの魚の切り身、エビ類、アメリカザリガニ等
々における微生物の制御に利用され始めている。しかも
乳酸や乳酸塩の抗菌作用は、微生物が発育を始める前の
誘導期を延長させ、低温では特にその作用が著しいこと
も明らかにされてきているのである。
【0009】しかしながら、乳酸や乳酸塩を使用して、
飲食品の微生物を制御しようとする場合、幾つかの問題
があり、これが天然の成分として飲食品の保存に最も適
当であると認められているにもかかわらず、十分利用さ
れる範囲が広がらないという結果を招いていた。これら
の問題とは、乳酸や乳酸塩類の抗菌力の強さがあまり強
いものではないため、使用量が多くなり、そのため飲食
品の味や風味に影響を与える虞れがあった。また、通常
乳酸や乳酸塩は、多くの場合非常に水溶性が高く、吸湿
性も高いため、水溶液の形でしか扱うことができず、乳
酸あるいは乳酸塩を使用するに当たっては、乳酸あるい
は乳酸塩とともに水を飲食品に添加してしまうことが起
こる。乳酸や乳酸塩は細菌類に対する抗菌作用は有して
いても、酢酸やプロピオン酸等とは異なり、カビや酵母
のような真菌類に対する抗菌作用は弱いと共に、上記し
たように乳酸や乳酸塩を添加する際に、必然的に遊離水
も飲食品中に添加されることとなり、かえってカビ等の
増殖を促してしまう虞れもあった。
【0010】本発明は上記問題を解決するためになされ
たもので、本発明者等は乳酸や乳酸塩とともに、トレハ
ロースを併用することにより、一般細菌類の増殖ととも
に、カビ等の真菌類の増殖も効果的に抑制できること、
飲食品中に1.0重量%以上の塩化ナトリウム及び/又
は塩化カリウムが存在していると、抗菌作用が更に増強
されることを見出し本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の飲食品中の
微生物増殖抑制乳酸及び/又は乳酸塩の微生物増殖抑制
効果の増強方法は、飲食品中に乳酸及び/又は乳酸塩と
トレハロースとを含有させることを特徴とする。本発明
方法において、飲食品中に1.0重量%以上の塩化ナト
リウム及び/又は塩化カリウムが共存しているとより優
れた抗菌作用が発現されるため好ましい。また飲食品中
における乳酸及び/又は乳酸塩の含有量を1.0〜4.
0重量%、トレハロースの含有量を0.3〜10.0重
量%とすることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において用いる乳酸や乳酸
塩には、L−型とD−型の2種類の異性体がある。通
常、人や動物あるいは魚類等の筋肉中には0.7〜1.
3重量%程度含まれている乳酸はL−型であり、D−型
異性体は人体に摂取吸収され難く、WHOの評価によれ
ば乳幼児には与えないことになっているため、人体に摂
取吸収され易いL−型異性体を用いることが好ましい。
しかしながら、微生物による醗酵によって生産される乳
酸はL−型、D−型及び両者の混合物があり、微生物に
対する抗菌作用は、L−型、D−型、両者の混合物で変
わりがないことが判っているので、本発明の所期の目的
を達成する上からは、L−型異性体、D−型異性体、或
いはこれらの混合物のいずれを用いても良い。
【0013】本発明において乳酸塩としては、例えばナ
トリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム
塩、アンモニウム塩等が挙げられるが、人体に対して無
害で、飲食品の味や風味、テクスチャー等に影響を与え
ないものであれば良い。乳酸塩の種類は、食品の品質や
市場、栄養学的な見地等から選択しても良い。例えば、
ナトリウム塩を低塩化した魚肉練り製品は食肉製品に添
加すると、低塩濃度のために失われている製品の弾力や
水和性を回復させる効果を上げることができる。またカ
リウム塩は、食塩の摂取を抑制するために低い食塩濃度
に調整された水産製品や食肉製品に対し、食塩の代わり
に利用することができる。更にカルシウム塩は水溶性が
高く、トランスグルタミナーゼが働く時の必須因子とし
て要求されるカルシウムイオンの供給源となり、水産練
り製品や食肉製品等の弾力を改善するためにも有効であ
る。乳酸や乳酸塩は適宜混合して用いることができ、乳
酸カルシウム以外の乳酸塩や乳酸を使用する場合であっ
ても、0.1重量%程度の乳酸カルシウムを併用するこ
とは、前記した理由から好ましい態様と言える。
【0014】本発明においてトレハロースとしては、天
然に存在するα,α−トレハロースが好ましいが、α,
β−トレハロース、β,β−トレハロースも用いること
ができる。トレハロースは蒲鉾等の水産練り製品、生ハ
ム等の畜肉製品、餅菓子等の和菓子類等に添加しても、
これらの製品を褐変させることがないため、褐変を嫌う
飲食品に対する添加しも可能となる。
【0015】本発明において乳酸及び/又は乳酸塩は、
飲食品中において1.0〜4.0重量%含有させること
が好ましく、特に1.2〜1.8重量%含有させること
が好ましい。またトレハロースは飲食品中において0.
3〜10.0重量%含有させることが好ましく、特に
1.0〜5.0重量%含有させることが好ましい。乳酸
及び/又は乳酸塩の添加量が1.0重量%未満である
と、トレハロースと併用したとしても十分な抗菌作用が
発現されない虞れがあり、また4.0重量%を超えると
飲食品の風味等に影響を及ぼす虞れがある。一方、トレ
ハロースの添加量が0.3重量%未満であると、カビ等
の真菌類の増殖抑制が不充分となる虞れがあり、10.
0重量%を超える量のトレハロースの添加は、カビ等の
真菌類の増殖を抑制する上では有効であるが、飲食品の
風味等に影響を与えるとともに、経済的に引き合わなく
なる。
【0016】尚、本発明の所期の効果を阻害しない範囲
内において、トレハロースの一部を、例えばラフィノー
ス、ラクチトール、ソルビトール、キシリトール、砂
糖、マルチトール、或いは単糖類、オリゴ糖そのものな
いしはその混合物及びそれらの還元糖等の一種又は二種
以上の混合と置き換えることができる。これらの糖類、
還元糖は、トレハロース程ではないものの、トレハロー
スと同様の作用を有し、また味覚調整のために飲食品の
製造時や、飲食品原料中にこれらの糖類、還元糖等が既
に添加されている場合もある。このような場合には添加
されている糖類、還元糖の量に応じてトレハロースの添
加量を少な目にしても良い。
【0017】本発明方法において、飲食品中に1.0重
量%以上の塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムが存
在していると、乳酸及び/又は乳酸塩とトレハロースと
を併用したことによる、微生物増殖抑制効果が更に向上
せしめられる。従って、食塩の含有量が1.0重量%未
満である飲食品の場合には、含有量が1.0重量%以上
となるように塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムを
添加することが好ましい。塩化ナトリウム及び/又は塩
化カリウムの飲食品中における含有量の上限は、飲食品
の種類によっても異なり、一概に定められないが、飲食
品中における塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムの
含有量が多すぎると飲食品の風味を損なうばかりか、特
に塩化ナトリウムの場合には食塩摂取過多の問題を生じ
る。このため、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウム
を添加する場合には、飲食品の味、風味等を阻害した
り、食塩摂取過多の問題を生じないような範囲で、1.
0重量%以上の量を添加することが好ましい。
【0018】本発明方法を適用し得る飲食品としては、
竹輪、蒲鉾、ハンペン、揚げ蒲鉾等の水産練り製品;魚
の切り身、魚介類の干物、魚介類の揚げ物;ハム、ソー
セージ、ベーコン、ローストビーフ、焼き豚、カツ類、
ハンバーグ等の食肉製品;カレー、惣菜、おじや、粥等
のレトルト食品;うどんやソバ等の茹で麺や半生麺、エ
ルエル麺、生中華麺、蒸し中華麺等の麺類;各種の漬物
類、半生菓子、佃煮や惣菜の類;卵焼き等の卵加工食
品;イカやタコの塩辛やサキイカ等の珍味類;餃子、シ
ュウマイ、春巻き、豆腐、米飯類やおにぎり、餅、団
子;練りウニ、練り梅、ワサビ、芥子、生姜、ニンニク
等の練り調味料;パン、ケーキ、シュークリームや小麦
粉フラワーペースト類;サンドイッチ等のスプレッド類
やペースト類;セミモイスト型の各種ペットフードの
類;オレンジ、グレープ、グレープフルーツ、パイナッ
プル、リンゴ等の生ジュース類;各種乳酸飲料や乳酸菌
飲料;ヨーグルトやチーズ等の乳製品;ワインやビール
等の蒸留していない醗酵酒等が挙げられる。
【0019】乳酸及び/又は乳酸塩とトレハロースの飲
食品への添加方法、添加時期等は、飲食品の製造形態、
包装形態、飲食品原料の取扱方法、製造時の加熱温度や
加熱方法、製品の保存や流通形態やその時の温度等に応
じて異なる。例えば水産練り製品の場合、原料とする冷
凍すり身を解凍して練り製品を製造する際に、乳酸及び
/又は乳酸塩とトレハロースとを添加する。食肉製品、
例えば生ハムの場合、ピックル液の中に乳酸及び/又は
乳酸塩と(生ハムの場合には、通常食塩の半分程度の濃
度の乳酸ナトリウムを添加する。)、同程度の量のトレ
ハロースを添加溶解し、これを原料の豚肉に注入する。
【0020】また麺類の場合には、原料小麦粉に添加す
る食塩水中に、乳酸及び/又は乳酸塩とトレハロースと
を添加しておく。各種漬物では、大部分の場合、漬物調
味液に乳酸及び/又は乳酸塩とトレハロースとを添加す
れば良い。またイカやタコの珍味類では多くの場合、二
次調味の段階で調味液に乳酸及び/又は乳酸塩とトレハ
ロースを添加するのが好ましい方法である。更に卵焼き
等の卵加工食品では、調味料、食塩とともに乳酸及び/
又は乳酸塩とトレハロースとを添加して焼き上げて製品
とする方法が採用される。
【0021】
【作用】飲食品中に、乳酸及び/又は乳酸塩とトレハロ
ースとが共存する場合、或いはこれらとともに更に1重
量%以上の塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムが共
存する場合に、乳酸及び/又は乳酸塩の微生物抑制効果
が増強される理由は明らかではないが、おそらくトレハ
ロースの存在により、単に水分活性の低下効果のみなら
ず、トレハロースに固定される水の量が増し、自由水中
の乳酸や乳酸塩の濃度が局部的に増大し、その結果、自
由水を利用することによって増殖できる微生物は著しく
殺菌、静菌、発育抑制あるいは誘導期の延長を招くこと
になるのであろうと推測される。またトレハロースは飲
食品の性状向上作用、例えば冷凍耐性向上作用等がある
ことが知られているが、トレハロース単独で添加した場
合には、期待通りの効果が得られない場合が多々ある。
しかしながら乳酸及び/又は乳酸塩と併用すると、トレ
ハロースの食品組織内への浸透性が向上され、トレハロ
ースの食品性状向上作用が十分に発揮される効果もあ
る。
【0022】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。尚、実施例、比較例において、%は重量%を意
味する。
【0023】実施例1〜5、比較例1 SA級のスケソウダラの冷凍すり身を、一夜室温にて解
凍し、これを5kgずつ7等分し、表1に示すように添
加剤無添加の対照品を除いて同表に示す添加剤を添加し
た。次いで、各すり身をサイレントカッター中で5分間
攪拌し、次いで食塩2.0%、澱粉3.0%及び氷水
5.0%を添加して、4分間サイレントカッターで混合
した。これらの各すり身を160℃の大豆油で14分間
揚げて揚げ蒲鉾とした。得られた揚げ蒲鉾は、硬さを評
価するとともに、一般生菌数、乳酸菌数を測定した。こ
の後、各揚げ蒲鉾を無菌的にプラスチック製の包装材で
包装して10℃で保存した。保存期間中の所定日数経過
後に、揚げ蒲鉾の硬さの評価及び一般生菌数と乳酸菌数
を測定した。結果を表2に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】実施例6〜9、比較例2 SA級のスケソウダラの冷凍すり身20kgを解凍した
後、サイレントカッターで粗すりし、4kgずつ5等分
した各区に表3に示す添加剤を添加し、更にそれぞれ食
塩2.5%、味醂2.0%、液状卵白3.0%、氷水
6.0%を添加して5分間サイレントカッターで混合し
た後、塩化ビニリデン製ケーシングの折り径48mmの
ものに充填し、90℃の温湯中で35分間加熱して包装
蒲鉾とした。これを冷水中に浸漬して常温の戻した後、
15℃の保温器中で保存した。製造直後及び保存期間中
の所定日数経過後に、蒲鉾の状態の評価及び一般生菌数
の測定を行った。結果を表4に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】実施例10、比較例3 豚のあばら肉中に、ピックル液をインジェクターによ
り、豚肉に対して10.0%となる量注入した。ピック
ル液は、食塩22.0%、砂糖3.0%、亜硝酸ナトリ
ウム0.2%、重合リン酸ナトリウム2.0%、アスコ
ルビン酸ナトリウム0.5%の標準処方で配合し、これ
に対照品を除いて表5に示す添加剤を更に配合したもの
を用いた。各ピックル液の注入は、十分ピックル液が肉
中に均一に浸透するように、ゆっくり時間をかけて行
い、次いで常法通り約5時間スモークして、速成のベー
コンとした。冷却後、一夜静置したベーコンを、十分清
浄したスライサーでスライスし、無菌的に真空包装した
後、10℃の保温器中で保存した。保存期間中に所定日
数経過後のベーコン中の生菌数を測定した結果を表6に
示した。
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】実施例11〜13、比較例4 豚肉100kg、牛肉30kg、豚脂10kgの原料
を、28kgづつに5等分し、以下に示す第一区〜第五
区の如く調整して試験した。
【0033】第一区(対照品):豚肉、牛肉及び豚脂を
それぞれミンチし、食塩2.0%、氷水4.0%、重合
リン酸0.3%、亜硝酸ナトリウム0.015%、アス
コルビン酸ナトリウム0.1%、砂糖3.0%、澱粉
3.0%を添加してサイレントカッター中で約4分間混
合した。これを羊腸中に充填し、燻煙室で45℃で表面
を乾燥させた後、60℃で1時間燻煙し、次いで72℃
の温水中で35分間ボイルして、ウインナーソーセージ
とし、冷却して製品とした。このウインナーソーセージ
を5本づつプラスチックの包装材で包装し、包装内部の
ガスを二酸化炭素ガスで置換し、10℃の恒温器中で保
存してソーセージ中の生菌数の増加を測定した。
【0034】第二区(比較例4):第一区の組成に、乳
酸ナトリウムを2.0%添加し、食塩を1.2%に減少
させた他は、第一区と同様に調整し、同様にして試験し
た。
【0035】第三区(実施例11):第一区の組成に、
乳酸ナトリウム2.0%、トレハロース2.0%を添加
し、食塩を1.2%に減少させた他は、第一区と同様に
調整し、同様にして試験した。
【0036】第四区(実施例12):第一区の組成に、
乳酸ナトリウム1.3%、乳酸カルシウム0.5%、ト
レハロース3.0%を添加し、食塩を1.5%に減少さ
せた他は、第一区と同様に調整し、同様にして試験し
た。
【0037】第五区(実施例13):第一区の組成に、
乳酸ナトリウム1.0%、乳酸カリウム1.0%、トレ
ハロース3.0%を添加し、食塩を1.0%に減少させ
た他は、第一区と同様に調整し、同様にして試験した。
第一区〜第五区の保存期間中の生菌数の測定結果を表7
に示す。
【0038】
【表7】
【0039】実施例14、比較例5 小麦粉100重量部当たりに対し、水35重量部、食塩
2.5重量部を加えてミキサーで10分間混合し、複合
機で練り合わせた後、圧延機で麺帯を形成させ、切刃で
線状に切って生麺とした。この生麺を熱湯中で5分間茹
で上げ、茹で麺とした後、一定の大きさに切りそろえ、
プラスチック製の袋に包装した。このものを、8℃の保
存庫に静置し、肉眼で腐敗の進行を観察した結果を表8
に示した。尚、試料の茹で麺は以下の第一区〜第三区の
配合とした。
【0040】第一区(対照品):上記配合のままで、他
の添加剤は無添加。 第二区(比較例5):第一区の配合から、水を33重量
部に減じ、乳酸ナトリウムの50%溶液を4重量部配合
したもの。 第三区(実施例14):第一区の配合から、水を33重
量部に減じ、乳酸ナトリウムの50%溶液を4重量部、
トレハロース3重量部を添加したもの。
【0041】
【表8】
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明方法は、飲食
品に乳酸及び/又は乳酸塩とトレハロースとを配合した
ことにより、一般細菌類のみならず、乳酸や乳酸塩の添
加では増殖を抑制することが困難であったカビや酵母等
の真菌類の増殖も抑制することができ、乳酸及び/又は
乳酸塩が1.0〜4.0重量%、トレハロースが0.3
〜10.0重量%含有されていると優れた効果が発現さ
れる。しかも本発明方法によれば、乳酸や乳酸塩の添加
量が少なくても優れた微生物抑制効果が得られるため、
乳酸や乳酸塩の添加量は飲食品の味覚や風味に影響を及
ぼすことのない程度の少量とすることができ、飲食品の
味覚や風味を損なうことなく飲食品中の微生物の増殖を
効果的に抑制することができる。更に本発明において、
乳酸及び/又は乳酸塩とトレハロースと共に、1.0重
量%以上の塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムが共
存していると、飲食品中における微生物増殖抑制効果が
更に高められる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 3/3562 A23B 4/14 Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 飲食品中に乳酸及び/又は乳酸塩とトレ
    ハロースとを含有させることを特徴とする、乳酸及び/
    又は乳酸塩の微生物増殖抑制効果の増強方法。
  2. 【請求項2】 乳酸及び/又は乳酸塩とトレハロースと
    共に、飲食品中に1.0重量%以上の塩化ナトリウム及
    び/又は塩化カリウムを共存させることを特徴とする請
    求項1記載の乳酸及び/又は乳酸塩の微生物増殖抑制効
    果の増強方法。
  3. 【請求項3】 乳酸及び/又は乳酸塩を1.0〜4.0
    重量%、トレハロースを0.3〜10.0重量%含有さ
    せること特徴とする請求項1又は2記載の乳酸及び/又
    は乳酸塩の微生物増殖抑制効果の増強方法。
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