JPH0991630A - 磁気抵抗効果素子並びにそれを用いた磁気ヘッド及び磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子並びにそれを用いた磁気ヘッド及び磁気記録再生装置

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JPH0991630A
JPH0991630A JP7244214A JP24421495A JPH0991630A JP H0991630 A JPH0991630 A JP H0991630A JP 7244214 A JP7244214 A JP 7244214A JP 24421495 A JP24421495 A JP 24421495A JP H0991630 A JPH0991630 A JP H0991630A
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JP
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film
magnetic field
magnetic
magnetoresistive
magnetoresistive effect
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JP7244214A
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English (en)
Inventor
Kazuhisa Fujimoto
和久 藤本
Yasutaro Kamisaka
保太郎 上坂
Chiaki Ishikawa
千明 石川
Ko Totsuka
香 戸塚
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気抵抗効果型再生ヘッドのバルクハウゼン
ノイズの発生を抑える。 【解決手段】 基板上に積層して設けられた横バイアス
印加用の軟磁性膜30、非磁性導電膜40、磁気抵抗効
果膜50、これら3種類の膜の両端に設けられた縦バイ
アス印加用の一対の永久磁石膜60、及び永久磁石膜上
に設けられた一対の電極70とを備えた磁気抵抗効果型
再生ヘッドの永久磁石膜内の磁化をトラック幅方向に向
ける着磁操作において、一様磁界をトラック幅方向から
前記磁気抵抗効果型再生ヘッドのバイアス状態における
MR膜内の磁化の方向に5°以上20°以下の範囲で傾
けて印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体から
情報信号を読み取るための再生ヘッドに係り、特に、改
良された磁気抵抗効果型再生ヘッドならびにそれを用い
た磁気記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気抵抗効果型(MR)センサ又
はMRヘッドと呼ばれる磁気読み取り変換器が知られて
いる。このMRセンサは、磁気抵抗効果材料から作った
読み取り素子の抵抗変化を利用して、磁気信号を素子が
感知する磁束の量及び方向の関数として検出するもの
で、従来のインダクティブヘッドを用いた場合に比べ
て、より大きな再生出力を得ることができる。そのた
め、径の小さな磁気記録媒体ディスク上に大きな線記録
密度で記録されたデータを読み取ることが可能である。
【0003】磁気抵抗効果素子の動作を最適化するため
には、2種類のバイアス磁界を印加する必要がある。第
1のバイアス磁界は、外部磁界に対する磁気抵抗効果素
子の応答を線形にするためのもので、横バイアス磁界と
呼ばれ、磁気記録媒体の表面に垂直な方向であり、かつ
平坦な磁気抵抗効果素子の表面に平行な方向に印加され
る。
【0004】この横バイアス磁界印加法には、磁気抵抗
効果膜(MR膜)上に絶縁膜を介して導体膜を積層し、
この導体膜を流れるバイアス用電流によって発生する磁
界によりMR膜にバイアスを印加する電流バイアス法、
MR膜上に直接導体膜を積層し、導体膜に分流するセン
ス電流によって発生する磁界によりバイアスを印加する
シャントバイアス法、MR膜上に絶縁膜を介して軟磁性
膜を積層し、センス電流によって発生する磁界により軟
磁性膜を磁化し、その漏洩磁界によりバイアスを印加す
るソフトバイアス法、MR膜上に非磁性導電膜を介して
軟磁性膜を積層することによって前記ソフトバイアスの
作用とシャントバイアスの作用を併用するソフトアジェ
イセントレーヤ(SAL)バイアス法等、種々の方法が
ある。これらの横バイアス磁界は磁気抵抗効果素子をR
−H特性曲線の最も直線的な範囲にバイアスさせるのに
十分なレベルで発生される。
【0005】磁気抵抗効果素子の動作を最適化するため
の第2のバイアス磁界は、当技術分野で縦バイアス磁界
と呼ばれるもので、磁気媒体の表面に平行、かつ、磁気
抵抗効果素子の長手方向に平行に印加される。縦バイア
ス磁界の機能は、磁気抵抗効果素子内の多磁区構造から
生じるバルクハウゼンノイズを抑えることである。縦バ
イアス磁界の印加方法には、特開昭62−40610号
公報、特開昭63−117309号公報、特願平5−3
3036に示されている反強磁性膜を用いる方法や、特
開平2−220213号公報、特開平3−29105号
公報に示されている永久磁石膜を用いる方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】横バイアス磁界及び縦
バイアス磁界印加手段を有する磁気抵抗効果素子の特性
は、永久磁石膜や反強磁性膜からなる縦バイアス磁界印
加手段の磁化状態に大きく影響される。また、MR膜や
SALの磁化状態が、永久磁石膜や反強磁性膜と接して
いる面近傍において乱れる可能性があり、その乱れによ
りバルクハウゼンノイズが発生する可能性がある。本発
明は、横バイアス磁界及び縦バイアス磁界印加手段を有
する磁気抵抗効果素子のバルクハウゼンノイズを抑える
ことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】図1に部分破断斜視図
を、図2に断面構造を示すような、横バイアス磁界印加
用SAL及び縦バイアス磁界印加用永久磁石膜を備える
磁気抵抗効果素子について、永久磁石膜着磁後及びバイ
アス状態におけるMR膜及びSAL内の磁化の状態を計
算機シミュレーションによって調べた。ここで、バイア
ス状態とは磁気抵抗効果素子又はヘッドに、横バイアス
磁界を発生する電流を流し、かつ外部磁界が印加されて
いない状態を意味する。
【0008】図示した磁気抵抗効果素子は、基板5上に
下部磁気シールド膜10、磁気ギャップ形成用絶縁膜2
0、SAL30、非磁性導電膜40及びMR膜50を積
層し、その両脇に縦バイアス磁界印加用の永久磁石膜6
0を介して一対の電極70を設けたものである。図中の
80は磁気ギャップ形成用絶縁膜、90は磁気シールド
膜である。本明細書では、図1に矢印aで示した方向を
トラック幅方向と呼び、それと直交する矢印bで示され
る方向を磁気抵抗効果素子の高さ方向と呼ぶ。
【0009】シミュレーションの条件は次の通りであ
る。磁気抵抗効果素子の大きさは、高さ方向の寸法が
2.0μm、トラック幅方向の寸法は、MR膜が2.0μ
m、SALが2.1μmとした。MR膜50、SAL3
0及び非磁性導電膜40の膜厚は、それぞれ20nm、
20nm、10nmとした。縦バイアス磁界印加用の永
久磁石膜60は、残留磁束密度Brと膜厚tmag との積
(Br・tmag )が280G・μmであるとし、MR膜
及びSALと接している面に、前記の磁束密度と膜厚の
積から算出される量の磁荷が一様に分布していると仮定
して永久磁石が作る縦バイアス磁界を計算した。飽和磁
束密度Bsは、MR膜が1.0T、SALが0.8Tであ
るとし、異方性磁界はトラック幅方向にMR膜が5O
e、SALが10Oeであるとした。比抵抗は、MR膜
が24μΩ・cm、非磁性導電膜が180μΩ・cm、
SALが70μΩ・cmであるとした。また、MR膜に
おける電流密度は2×107 A/cm2 とした。
【0010】永久磁石膜内の磁化をトラック幅方向に向
ける操作(着磁操作)を模擬するため、まず、MR膜、
SAL内の磁化をすべてトラック幅方向に向けた状態を
初期状態として、5000Oeの大きさの一様磁界をト
ラック幅方向に印加し、一様磁界の大きさを500Oe
ずつ減らして0にしたときのMR膜、SAL内の磁化分
布を計算した。次に、その磁化分布から横バイアス発生
用電流を印加してバイアス状態の磁化分布を計算した。
【0011】図3に、バイアス状態におけるMR膜及び
SAL内の磁化分布の計算結果を示す。図3(a)はM
R膜内の磁化分布、図3(b)はSAL内の磁化分布で
あり、図中の小さな矢印はそれぞれ、その位置での磁化
の向きを表す。計算の結果、MR膜50の右端部に磁化
の乱れ(磁壁)が発生することを見出した。この磁壁
は、永久磁石膜60のBr・tmag が120G・μm以
上で発生した。この磁化分布に生じた磁化の乱れ(磁
壁)は小さな磁界で変化する可能性があり、バルクハウ
ゼンノイズ発生原因の一つと考えられる。
【0012】図4は、着磁操作後のMR膜及びSAL内
の磁化分布の計算結果を示している。図4(a)はMR
膜内の磁化分布、図4(b)はSAL内の磁化分布であ
り、図中の小さな矢印はそれぞれ、その位置での磁化の
向きを表す。図から、MR膜50、SAL30のどちら
の膜も端部付近の磁化の向きは左右で異なっていること
がわかる。これは、永久磁石膜60から発生する磁界が
MR膜50、SAL30の端部においてMR膜高さ方向
の成分をもつためである。SAL30内の磁化と永久磁
石膜60内の磁化の間には強い交換結合が働いているた
め、SAL30の左右端部近傍の磁化は永久磁石膜60
内の磁化と同じほぼ真横を向く。
【0013】理想的なバイアス状態では横バイアス磁界
により、例えばMR膜には上向きの磁界が加わりMR膜
内の磁化が右上を向き、SALには逆の下向きの磁界が
加わりSAL内の磁化は右下を向く。ところが、実際の
デバイスでは、着磁操作後の磁化分布は図4に示すよう
な同一磁性膜内の左右端部付近で上向きと下向きという
分布になっているため、横バイアス磁界が印加されると
横バイアス磁界方向と同方向を向いた磁化はその方向に
回転し、反対方向を向いた磁化はそのままである。これ
は、MR膜50、SAL30の端部において永久磁石膜
60から発生する磁界が横バイアス磁界よりも2桁以上
大きいためである。このため、図3に示すように、MR
膜50内では横バイアス磁界の方向と反対の方向を向く
磁化領域(右端部)に磁壁が生じる。SAL30内では
左右端部の磁化が永久磁石膜60との強い交換結合によ
りほぼ真横を向いているので、磁壁は生じず、磁化はほ
ぼ同一方向を向く。
【0014】本発明者らは、従来の着磁方法では上記の
理由からMR膜内に磁化の乱れが生じることを見出し、
上記の磁化の乱れが生じる原因から改善方法を検討し
た。そして、着磁操作時に印加する一様磁界Hの方向
を、図5に示すように、トラック幅方向aからバイアス
状態におけるMR膜内の磁化の方向に傾き角θだけ傾け
ることにより、図6に示すように、MR膜50及びSA
L30内に磁化の乱れが発生しないことを見出した。
【0015】すなわち、計算機シミュレーションの結
果、着磁操作時に印加する一様磁界の方向を、トラック
幅方向から、バイアス状態におけるMR膜内の磁化の方
向に5°以上20°以下の範囲で傾けると磁化の乱れが
発生せず、バルクハウゼンノイズが抑制されることが明
らかとなった。傾き角θを20°以上にすると、永久磁
石膜内のトラック幅方向の磁化成分が小さくなるため縦
バイアス磁界が小さくなり、再びバルクハウゼンノイズ
が発生し始める。
【0016】以上のような検討に基づき、本発明では、
基板上に積層して設けられた横バイアス磁界印加用の軟
磁性膜(SAL)、非磁性導電膜、MR膜、これら3種
類の膜の両端に設けられた縦バイアス磁界印加用の一対
の永久磁石膜、及び永久磁石膜上に設けられた一対の電
極とを備えた磁気抵抗効果素子の製造方法において、永
久磁石膜内の磁化をトラック幅方向に向ける着磁工程
で、一様磁界をトラック幅方向からバイアス状態におけ
るMR膜内の磁化の方向に傾けて印加することにより前
記目的を達成する。
【0017】また、縦バイアス磁界印加手段を一対の永
久磁石膜に代えて反強磁性膜と軟磁性膜からなる一対の
積層膜とした磁気抵抗効果素子の製造方法において、反
強磁性膜内の磁化をトラック幅方向に向ける着磁工程
で、一様磁界をトラック幅方向からバイアス状態におけ
るMR膜内の磁化の方向に傾けて印加することによって
も前記目的を達成することができる。
【0018】縦バイアス磁界印加手段が永久磁石膜であ
っても、反強磁性膜と軟磁性膜の積層膜であっても、着
磁工程で一様磁界をトラック幅方向からバイアス状態に
おけるMR膜内の磁化方向に傾ける角度は、5°以上2
0°以内であることが望ましい。着磁工程における一様
磁界の印加は、横バイアス磁界発生用電流を流した状態
で行ってもよい。
【0019】前記着磁工程を経て製造された本発明の磁
気抵抗効果素子は、センス電流を流した状態において、
MR膜内のすべての磁化がトラック幅方向からほぼ同一
方向に傾いており、かつ軟磁性膜内のすべての磁化がト
ラック幅方向からMR膜内の磁化と逆方向に傾いてい
る。換言すると、センス電流を流した状態において、M
R膜及び軟磁性膜内に磁壁が存在しない。
【0020】理想的には、センス電流を印加した状態に
おいて、MR膜内の磁化のトラック幅方向からの傾き角
のバラツキが、その平均値から±30°以内であり、か
つ軟磁性膜内の磁化のトラック幅方向からの傾き角のバ
ラツキが、その平均値から±30°以内である。また、
バイアス状態においてこのような磁化状態を呈する磁気
抵抗効果素子のバイアス状態における出力は、一様磁界
をトラック幅方向に印加することにより着磁を行った場
合のバイアス状態における出力と異なる。
【0021】MR膜とSALの間には非磁性導電膜に代
えて非磁性絶縁膜を設けてもよい。また、横バイアス印
加用の軟磁性膜の代わりにMR膜を用いてもよい。前記
磁気抵抗効果素子は磁気抵抗効果型再生ヘッドの構成要
素として好適であり、磁気抵抗効果素子は一対の磁気シ
ールド膜の間に設けることができる。磁気抵抗効果型再
生ヘッドは、磁気記録用誘導型薄膜ヘッドと組み合わせ
て記録再生分離型磁気ヘッドを構成するのが望ましく、
2000Oe以上の高い保持力の記録媒体の信号を再生
する際に特に有効である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。ここでは説明を簡単にするため、S
ALバイアス法によって横バイアス磁界を印加する場合
を例にとって説明するが、他の横バイアス磁界印加法に
対しても本発明は同様に適用可能である。
【0023】〔実施の形態1〕図1に部分破断斜視図
を、図2に断面構造を示すような、横バイアス磁界印加
用SAL及び縦バイアス磁界印加用永久磁石膜を備える
ハードバイアス構造の磁気抵抗効果素子を作製した。基
板5上に、厚さ2μmの下部磁気シールド膜(NiFe
膜)10、厚さ0.15μmの磁気ギャップ形成用絶縁
膜(Al23 膜)20を積層し、所望の形状に加工し
た。次に、飽和磁束密度Bsが0.8T、厚さ20nm
の軟磁性膜(NiFe膜)30、厚さ10nmの非磁性
導電膜(Ta膜)40、飽和磁束密度Bsが1.0T、
厚さ20nmの磁気抵抗効果膜(NiFe膜)50を積
層した後、所望の形状に加工した。次に、厚さ30nm
の永久磁石膜(CoCrPt膜)60を積層し所望の形
状に加工した。その後、電極70となるNb/Au/N
bを積層し、所望の形状に加工した。さらに、厚さ0.
2μmの磁気ギャップ形成用絶縁膜(Al23 膜)8
0、厚さ2μmの上部磁気シールド膜(NiFe膜)9
0を積層し所望の形状に加工して磁気抵抗効果素子とし
た。
【0024】以上の工程を経て作製した磁気抵抗効果素
子の縦バイアス磁界発生用の永久磁石膜内の磁化方向を
トラック幅方向に揃える(これを着磁と呼ぶ)ため、外
部からトラック幅方向に一様な磁界5000Oeを印加
し、徐々に減少させてゼロに戻した。この着磁の際、一
様磁界の方向をトラック幅方向からバイアス状態におけ
るMR膜内の磁化の方向に5°傾けた。その後、横バイ
アス磁界発生用の電流を印加した。以上のようにして作
製した磁気抵抗効果素子では、バルクハウゼンノイズの
発生率が従来の10%以上から、約1%以下に低減でき
た。ここで、バルクハウゼンノイズの発生率とは、複数
回のデータの書き込み/読み出し操作において、再生出
力波形にバルクハウゼンノイズが発生する割合である。
【0025】以上のようにして作製した磁気抵抗効果素
子のバイアス状態における出力は1.19mVで、一様
磁界をトラック幅方向(傾き角θ=0°)に印加するこ
とにより永久磁石膜の着磁を行った場合の磁気抵抗効果
素子のバイアス状態における出力1.26mVより低く
なっていた。このとき用いた磁気抵抗効果素子の寸法
は、トラック幅2μm、MR高さ2μmであり、出力の
測定時に素子に流したセンス電流は、MR膜に流れる電
流密度に換算して20MA/cm2 であった。ここでは
永久磁石を着磁するときの一様磁界の傾き角を5°とし
たが、下記の表1に示すように、トラック幅方向に対す
る一様磁界の傾き角(着磁方向)が5°以上20°以下
の範囲にあれば、MR膜、SALのどちらにも磁壁が発
生しないため、バルクハウゼンノイズの発生率は約1%
以下となった。
【0026】
【0027】磁気抵抗効果素子にセンス電流を印加した
状態における、MR膜及びSAL内の磁化のトラック幅
方向からの傾き角の平均値からのバラツキを調べたとこ
ろ、次の表2に示すような結果が得られた。
【0028】 表 2 着磁方向 磁化の傾き角のバラツキ MR膜 SAL −5° ±41° ±30° 0° ±43° ±45° 5° ±28° ±29° 10° ±25° ±28° 20° ±30° ±30° 25° ±37° ±30° 30° ±41° ±30°
【0029】表1及び表2から、センス電流を印加した
状態において、MR膜内の磁化のトラック幅方向からの
傾き角のバラツキが、その平均値から±30°以内であ
り、SAL内の磁化のトラック幅方向からの傾き角のバ
ラツキが、その平均値から±30°以内であると、MR
膜及びSALのいずれにも磁壁が発生せず、バルクハウ
ゼンノイズを低減することができることが分かる。上記
の方法では、永久磁石を着磁した後、横バイアス磁界発
生用の電流を印加したが、横バイアス磁界発生用の電流
を印加しながら上記の着磁操作を行うことによっても、
バルクハウゼンノイズの発生率を約1%以下にすること
が可能であった。
【0030】また、縦バイアス磁界印加用に永久磁石膜
(CoCrPt膜)に代えて厚さ10nmの反強磁性膜
(FeMn膜)と厚さ20nmの軟磁性膜(FeNi
膜)からなる2層膜を用い、反強磁性膜を着磁する一様
磁界の方向を種々に変えた磁気抵抗効果素子を作製した
ところ、永久磁石膜を用いた場合と同様の結果が得ら
れ、トラック幅方向に対する一様磁界の傾き角を5°以
上20°以下の範囲とすることでバルクハウゼンノイズ
の発生率を約1%以下とすることができた。2層膜の積
層順序は、基板側を反強磁性膜としても軟磁性膜として
も効果は同じであった。本発明によれば、バルクハウゼ
ンノイズの発生を抑制した磁気抵抗効果素子を得ること
が可能となる。
【0031】〔実施の形態2〕再生用ヘッドとして前記
実施の形態1で説明した磁気抵抗効果素子を組み込み、
記録用ヘッドとして従来公知の誘導型薄膜ヘッドを用い
る記録再生分離型磁気ヘッドを作製した。図7に、記録
再生分離型ヘッドの一部分を切断した斜視図を示す。
【0032】Al23・TiCを主成分とする焼結体を
スライダ用の基板5とした。まず、基板5の上に下部磁
気シールド膜10を形成し、その上に磁気ギャップ形成
用絶縁膜(Al23 膜)を積層した後、最上部のAl2
3 膜を所望の形状に加工した。次に、厚さ20nmの
軟磁性膜(NiFe膜)30、厚さ10nmの非磁性導
電膜(Ta膜)40、厚さ20nmの磁気抵抗効果膜
(NiFe膜)50を積層した後、所望の形状に加工し
た。次に、厚さ30nmの永久磁石膜(CoCrPt
膜)60を積層し所望の形状に加工した。その後、電極
70となるNb/Au/Nbを積層し、所望の形状に加
工した。次に、厚さ0.2μmの磁気ギャップ形成膜
(Al23 膜)、厚さ2μmの磁気シールド膜(Ni
Fe膜)90を形成した。以上の部分が再生ヘッドとし
て働く。
【0033】続いて、磁気記録用ヘッドとして、厚さ3
μmのAl23 からなる絶縁膜を形成した後、下部磁
極130、上部磁極140及びコイル150からなる誘
導型薄膜ヘッドを形成した。下部磁極130、上部磁極
140には、スパッタリング法で形成した膜厚3.0μ
mのNi−20at%Fe合金を用いた。下部磁極13
0及び上部磁極140の間のギャップ層には、スパッタ
リング法で形成した膜厚0.2μmのAl23 を用い
た。コイル150には、膜厚3.0μmのCuを使用し
た。下部磁極130と上部磁極140は磁気的に結合さ
れて磁気回路を構成し、コイル150はその磁気回路に
鎖交している。以上述べた構造の磁気ヘッドを用い、磁
気抵抗効果型再生ヘッドに流すセンス電流を2×107
A/cm2 として記録再生実験をおこなったところ、バ
ルクハウゼンノイズの発生率が約1%以下となった。
【0034】〔実施の形態3〕前記実施の形態2で述べ
た磁気ヘッドを用い、磁気ディスク装置を作製した。図
8に磁気ディスク装置の構造の概略を示す。図8(a)
は装置の略平面図、図8(b)はそのA−A’断面図で
ある。
【0035】磁気記録媒体160には、残留磁束密度
0.75TのCo−Ni−Pt−Ta系合金からなる材
料を用いた。磁気記録媒体160は駆動部170によっ
て回転駆動される。磁気ヘッド180の記録ヘッドのト
ラック幅は2μm、再生ヘッドのトラック幅は1.5μ
mとした。磁気ヘッド180は、駆動部190によって
回転駆動されて磁気記録媒体160上のトラックを選択
できる。磁気ヘッド180による記録再生信号は記録再
生信号処理系200で処理される。磁気ヘッド180に
用いた磁気抵抗効果型再生ヘッドは、バルクハウゼンノ
イズの発生率が、従来の磁気抵抗効果型再生ヘッドの1
0%以上から約1%以下に低減されているため、非常に
安定な記録再生特性を示した。
【0036】
【発明の効果】本発明によると、磁気抵抗効果型再生ヘ
ッドにおけるバルクハウゼンノイズの発生を抑制するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気抵抗効果素子の部分破断斜視図。
【図2】磁気抵抗効果素子の断面図。
【図3】従来の磁気抵抗効果素子のバイアス状態におけ
るMR膜、SAL内の磁化分布の計算結果を示す図。
【図4】従来の磁気抵抗効果素子の永久磁石膜着磁後の
MR膜、SAL内の磁化分布の計算結果を示す図。
【図5】着磁操作時に印加する一様磁界Hの方向とトラ
ック幅方向aの関係を示す図。
【図6】本発明による磁気抵抗効果素子のバイアス状態
におけるMR膜、SAL内の磁化分布の計算結果を示す
図。
【図7】記録再生分離型磁気ヘッドの構造を示す説明
図。
【図8】記録再生装置の概略図。
【符号の説明】
5…基板、10…下部磁気シールド膜、20…下部磁気
ギャップ形成用絶縁膜、30…軟磁性膜、40…非磁性
導電膜、50…磁気抵抗効果膜、60…永久磁石膜、7
0…電極、80…上部磁気ギャップ形成用絶縁膜、90
…上部磁気シールド膜、130…記録ヘッド用下部磁
極、140…記録ヘッド用上部磁極、150…コイル、
160…磁気記録媒体、170…磁気記録媒体駆動部、
180…磁気ヘッド、190…磁気ヘッド駆動部、20
0…記録再生信号処理系、a…トラック幅方向、b…高
さ方向
フロントページの続き (72)発明者 戸塚 香 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜
    にセンス電流を流すための一対の電極と、前記磁気抵抗
    効果膜に横バイアス磁界を印加するための軟磁性膜と、
    前記磁気抵抗効果膜に縦バイアス磁界を印加するための
    手段とを含み、センス電流を流した状態において、前記
    磁気抵抗効果膜内のすべての磁化がトラック幅方向から
    ほぼ同一方向に傾いており、かつ前記軟磁性膜内のすべ
    ての磁化がトラック幅方向から前記磁気抵抗効果膜内の
    磁化と逆方向に傾いていることを特徴とする磁気抵抗効
    果素子。
  2. 【請求項2】 センス電流を印加した状態において、前
    記磁気抵抗効果膜内の磁化のトラック幅方向からの傾き
    角のバラツキが、その平均値から±30°以内であり、
    かつ前記軟磁性膜内の磁化のトラック幅方向からの傾き
    角のバラツキが、その平均値から±30°以内であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜
    にセンス電流を流すための一対の電極と、前記磁気抵抗
    効果膜に横バイアス磁界を印加するための軟磁性膜と、
    前記磁気抵抗効果膜に縦バイアス磁界を印加するための
    手段とを含み、センス電流を流した状態において、前記
    磁気抵抗効果膜及び前記軟磁性膜内に磁壁が存在しない
    ことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 前記磁気抵抗効果膜と前記軟磁性膜の間
    に非磁性導電膜が設けられていることを特徴とする請求
    項1、2又は3記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 前記磁気抵抗効果膜に縦バイアス磁界を
    印加するための手段は、前記磁気抵抗効果膜及び前記軟
    磁性膜のトラック幅方向両端部に接して設けられた一対
    の永久磁石膜であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1項記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 前記磁気抵抗効果膜に縦バイアス磁界を
    印加するための手段は、前記磁気抵抗効果膜及び前記軟
    磁性膜のトラック幅方向両端部に接して設けられた反強
    磁性膜と軟磁性膜からなる一対の積層膜であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の磁気抵抗効
    果素子。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載された磁気抵抗効果素子
    の製造方法において、一様磁界を印加して前記永久磁石
    膜を着磁する工程における一様磁界の印加方向を、トラ
    ック幅方向から、横バイアス発生用電流が印加され、か
    つ外部からの磁界が印加されていない状態における磁気
    抵抗効果膜内の磁化の方向に傾けて印加することを特徴
    とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載された磁気抵抗効果素子
    の製造方法において、一様磁界を印加して前記反強磁性
    膜を着磁する工程における一様磁界の印加方向を、トラ
    ック幅方向から、横バイアス発生用電流が印加され、か
    つ外部からの磁界が印加されていない状態における磁気
    抵抗効果膜内の磁化の方向に傾けて印加することを特徴
    とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記一様磁界の印加は横バイアス発生用
    電流を印加した状態で行うことを特徴とする請求項7又
    は8記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 一様磁界をトラック幅方向から、横バ
    イアス発生用電流が印加され、かつ外部からの磁界が印
    加されていない状態における磁気抵抗効果膜内の磁化の
    方向に傾ける角度は、5°以上20°以内であることを
    特徴とする請求項7、8又は9記載の磁気抵抗効果素子
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6のいずれか1項に記載さ
    れた磁気抵抗効果素子を備える磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 請求項1〜6のいずれか1項に記載さ
    れた磁気抵抗効果膜が、積層方向に離間して設けられた
    一対の磁気シールド膜の間に設けられていることを特徴
    とする磁気抵抗効果型再生ヘッド。
  13. 【請求項13】 請求項1〜6のいずれか1項に記載さ
    れた磁気抵抗効果膜を備える磁気抵抗効果型再生ヘッド
    であって、該ヘッドにトラック幅方向の一様磁界を印加
    して前記縦バイアス磁界印加手段内の磁化をトラック幅
    方向に向ける操作を施した場合に、該ヘッドに横バイア
    ス磁界発生用電流が流され、かつ外部からの磁界が印加
    されていない時の出力が、前記操作を施す前の該ヘッド
    の前記横バイアス発生用電流が印加され、かつ外部から
    の磁界が印加されていない状態における出力と異なるこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果型再生ヘッド。
  14. 【請求項14】 一対の磁極、前記一対の磁極を磁気的
    に結合する磁気回路及び前記磁気回路に鎖交するコイル
    を含む磁気記録用誘導型薄膜ヘッドと、請求項11、1
    2又は13に記載された磁気抵抗効果型再生ヘッドとを
    備えることを特徴とする記録再生分離型磁気ヘッド。
  15. 【請求項15】 磁気記録媒体と、請求項11〜14の
    いずれか1項に記載のヘッドと、前記磁気記録媒体と前
    記ヘッドとを相対的に駆動する駆動手段と、前記ヘッド
    に接続された記録再生信号処理系とを含むことを特徴と
    する磁気記録再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011249812A (ja) * 2010-05-28 2011-12-08 Headway Technologies Inc マイクロ波アシスト磁気記録構造、磁気ランダムアクセスメモリ構造、ハードバイアス構造、垂直磁気媒体および磁気デバイスの製造方法

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