JPH0982459A - 加熱用積層構造体 - Google Patents

加熱用積層構造体

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JPH0982459A
JPH0982459A JP26216395A JP26216395A JPH0982459A JP H0982459 A JPH0982459 A JP H0982459A JP 26216395 A JP26216395 A JP 26216395A JP 26216395 A JP26216395 A JP 26216395A JP H0982459 A JPH0982459 A JP H0982459A
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JP
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layer
heating
liquid crystal
laminated structure
acid
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JP26216395A
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Inventor
Hiroyoshi Yoneda
弘義 米田
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Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サーモトロピック液晶ポリマーからなる成形
体の変形を少なくするために、特定の保護膜材料を用い
た加熱用積層構造体を提供する。 【解決手段】 液晶ポリマーからなる成形物層(a)、
通電により下記の保護被膜層(c)の温度を30〜40
0℃に加熱するための導電層(b)およびポリベンゾイ
ミダゾール樹脂からなる保護被膜層(c)を、(a)、
(b)、(c)の順に積層してなる加熱用積層構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複写機等の加熱板や
加熱ロール等に使用される積層構造体に関し、詳しく
は、液晶ポリマーの成形物層、導電層およびポリベンゾ
イミダゾール樹脂からなる保護被膜層を積層してなる加
熱用積層構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複写機等の加熱板や加熱ロール等に用い
る加熱用積層構造体は、加熱体として高い耐熱性が要求
されるのみでなく、寸法精度や表面の平滑性が要求され
るため、従来はセラミックなどのように耐熱性が高く寸
法精度のよい基体の表面に金属の抵抗体を積層したもの
が用いられている。基体としての成形体、例えば板状や
ロール状の成形体を得るためには、材料としていわゆる
サーモトロピック液晶樹脂を用い、これを射出成形によ
り製造する方法が、得られた成形体の寸法精度が良好で
ある点等から有利である。また、基体の上には保護膜材
料を焼き付けることにより保護被膜層を形成することが
多い。保護膜材料の種類としては、テフロン等のフッ素
樹脂系統のものが耐熱性のほか耐摩耗性等にも優れてい
るため好ましい。しかしながら、テフロン等のフッ素樹
脂を保護膜材料とする場合には、焼き付け温度が高すぎ
るために、耐熱性の良好なサーモトロピック液晶ポリマ
ーであっても変形することがある。この場合に、焼き付
け温度を低くすれば密着強度が不足する懸念があり、テ
フロン等のフッ素樹脂を使う限り、満足すべき結果は得
られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、加熱用積層
構造体の上記のような問題点を解決し、サーモトロピッ
ク液晶ポリマーからなる成形体の寸法変化等による変形
を少なくするために、サーモトロピック液晶ポリマーに
適した焼き付け温度を採用することができる保護膜材料
を見出すことを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、液晶ポ
リマーからなる成形物層(a)、通電により下記の保護
被覆層(c)の温度を30〜400℃に加熱するための
導電層(b)およびポリベンゾイミダゾール系樹脂から
なる保護被覆層(c)を、(a)、(b)、(c)の順
に積層してなる加熱用積層構造体に関する。本発明の第
2は、上記液晶ポリマーからなる成形物層(a)が、サ
ーモトロピック液晶ポリエステルからなるものである加
熱用積層構造体に関する。本発明の第3は、上記積層構
造体の形状が、円筒状または板状である加熱用積層構造
体に関する。
【0005】本発明の加熱用積層構造体は、上記
(a)、(b)および(c)の3種の層からなることを
必須とし、この構成を有する積層構造体である限りその
製法は特に限定されない。例えば、液晶ポリマーにより
柱状体あるいは板状体などの成形体を成形し、これに上
記(b)層および(c)層を積層して被覆することによ
り本発明の構成を有する積層構造体を製造することがで
きる。
【0006】以下、本発明を更に詳しく説明する。本発
明でいうサーモトロピック液晶樹脂とは、溶融時に光学
的異方性を示し、かつ熱可塑性を有するポリマーであ
る。このように溶融時に光学的異方性を示すポリマー
は、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をと
る性質を示す。光学的異方性溶融相の性質は、直交偏光
子を利用した通常の偏光検査法によって確認することが
できる。上記液晶樹脂としては、例えば、液晶性ポリエ
ステル、液晶性ポリカーボネート、液晶性ポリエステル
イミド等、具体的には、(全)芳香族ポリエステル、ポ
リエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルカ
ーボネート、ポリアゾメチン等が挙げられる。サーモト
ロピック液晶樹脂は、一般的に細長く、偏平な分子構造
からなり、分子の長鎖に沿って剛性が高い。本発明にお
いて用いるサーモトロピック液晶樹脂には、一つの高分
子鎖の一部が異方性溶融相を形成するポリマーのセグメ
ントから構成されるポリマーも含まれる。また、複数の
サーモトロピック液晶樹脂を複合したものも含まれる。
【0007】サーモトロピック液晶樹脂を構成するモノ
マーの代表例としては(1)芳香族ジカルボン酸(A)
の少なくとも一種、(2)芳香族ヒドロキシカルボン酸
系化合物(B)の少なくとも1種、(3)芳香族ジオー
ル系化合物(C)の少なくとも1種、(4)芳香族ジチ
オール(D1)、芳香族チオフェノール(D2)および芳
香族チオールカルボン酸化合物(D3)の少なくとも1
種、(5)芳香族ヒドロキシルアミンまたは芳香族ジア
ミン系化合物(E)の少なくとも1種等の芳香族化合物
が挙げられる。これらは単独で用いられる場合もある
が、多くは(A)と(C);(A)と(D);(A)、
(B)と(C);(A)、(B)と(E);あるいは
(A)、(B)、(C)と(E)等のように組み合わせ
て構成される。
【0008】上記芳香族ジカルボン酸系化合物(A)と
しては、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン
酸、4,4'−テルフェニルジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエー
テル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4'−
ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4'−ジカルボン
酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカ
ルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3'−ジカルボン
酸、ジフェニルエタン−3,3'−ジカルボン酸、1,6
−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ま
たはクロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロ
モテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフ
タル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、
エトキシテレフタル酸などで代表される上記芳香族カル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0009】芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物
(B)としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロ
キシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−
ヒドロキシ−1−ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香
酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6
−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−
4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−
ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフ
トエ酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ク
ロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4
−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息
香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒド
ロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ
−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,
7−ジクロロ−2−ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシ
カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体が挙げられる。
【0010】芳香族ジオール(C)として、4,4'−ジ
ヒドロキシビフェニル、3,3'−ジヒドロキシビフェニ
ル、4,4'−ジヒドロキシテルフェニル、ハイドロキノ
ン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,4'
−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロ
キシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2'−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、または
クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−
ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メト
キシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−
クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジ
オールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0011】芳香族ジチオール(D1)としては、ベン
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオー
ル、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレ
ン−ジチオール等が挙げられる。芳香族チオフェノール
(D2)としては、4−メルトカプトフェノール、3−
メルトカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等
が挙げられる。芳香族チオールカルボン酸(D3)とし
ては、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香
酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト
−2−ナフトエ酸などが挙げられる。
【0012】芳香族ヒドロキシルアミンまたは芳香族ジ
アミン系化合物(E)としては、4−アミノフェノー
ル、N−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェ
ニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジア
ミン、N,N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミ
ン、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフ
ェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−ア
ミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシ
ビフェニル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニル
エーテル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメ
タン、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4 ,4'−ジアミノジフェニルスルフィド(チオ
ジアニリン)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、
2,5−ジアミノトルエン、4,4'−エチレンジアニリ
ン、4,4'−ジアミノジフェノキシエタン、4,4'−ジ
アミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,
4'−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリ
ン)等が挙げられる。
【0013】本発明で用いるサーモトロピック液晶樹脂
は、上記モノマーから溶融アシドリス法やスラリー重合
法等の多様なエステル形成法などにより製造することが
できる。これらのモノマーから得られるサーモトロピッ
ク液晶樹脂のうち、一般式〔I〕で表されるモノマー単
位を含む(共)重合体である全芳香族ポリエステルが好
ましい。
【0014】
【化1】
【0015】本発明の好ましい全芳香族ポリエステル
は、4−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびジヒドロ
キシビフェニルの3種の化合物からそれぞれ誘導される
繰り返し単位を有する式〔II〕で表されるポリエステ
ル、または4−ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナ
フトエ酸の2種の化合物からそれぞれ誘導される繰り返
し単位を有する式〔III〕で表されるポリエステルであ
る。
【0016】
【化2】
【化3】
【0017】サーモトロピック液晶樹脂は、単独で用い
てもよいが、好ましくは無機または有機充填剤を含むも
のを用いる。通常、無機または有機充填剤の配合量は、
サーモトロピック液晶樹脂と充填剤の合計に対して0〜
90重量%、好ましくは10〜80重量%、より好まし
くは20〜60重量%の範囲である。充填剤の配合は、
従来公知の方法に従って行うことができる。無機および
有機充填剤のうち、特に無機充填剤が重要であって、サ
ーモトロピック液晶樹脂の加工性や成形品の物性などを
改良するためにしばしば用いられる。無機充填剤として
は、従来公知の二硫化モリブテン、タルク、マイカ、ク
レー、セリサイト、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、
シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、黒鉛、非晶質
炭素、チタン酸カリウム、ガラス繊維、炭素繊維、各種
ウィスカー等が挙げられる。
【0018】本発明においては、実用上の物性を改良す
るために、サーモトロピック液晶樹脂に無機または有機
充填剤の他に各種の添加剤を配合することができる。こ
のような添加剤としては、従来公知の安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、改質剤などが挙げられ
る。
【0019】なお本発明の効果を奏する限りにおいて、
サーモトロピック液晶樹脂に他の熱可塑性樹脂、例えば
ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、PA6、PA66、PA46等の脂肪族ポリアミ
ド、ポリフタル酸アミド、PET、PBT等のポリエス
テル、ポリアリレート(PAR)、ポリケトン(PE
K)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ
エーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、
ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(P
EI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリ
サルフォン(PSF)等、更には天然ゴム、合成ゴム等
のエラストマー等を配合することができる。これらの樹
脂類は本発明において必須の成分ではないが、目的に応
じて、その種類および量を適宜選択することができる。
【0020】本発明の成形物層(a)を構成する構造体
は、例えば押出成形、射出成形、圧縮成形等の熱可塑性
合成樹脂に適用される通常の方法により成形することが
できる。これらの中でも生産性が高く、寸法精度がよい
点で射出成形が望ましい。サーモトロピック液晶樹脂の
射出成形条件は、例えば樹脂温200〜420℃、金型
温度60〜170℃、より好ましくは60〜130℃、
射出圧力100〜3000kg/cm2および射出速度5〜1
000mm/secの範囲から適宜に選択することができる。
【0021】また成形物層(a)を構成する構造体の形
状は特に限定されず、円筒状、円柱状、角柱状、板状等
各種のものが用いられるが、複写機に用いる加熱体等と
しては円筒状や板状が好ましい。円筒状の場合に、肉
厚、長さ等は特に限定されないが、例えば肉厚は1〜5
0mmの範囲、長さは10〜1000cmの範囲が適当
である。また板状体の場合にも、厚み、面積等は特に限
定されないが、通常、厚みは1〜50mmの範囲、また
1辺の長さは10〜1000cmの範囲が適当である。
【0022】導電層(b)は特に限定されないが、導電
性樹脂をスクリーン印刷法により成形物層(a)の外周
面に塗布して形成したり、導電性を持つNiCr、TaN
等の金属薄膜材料を真空蒸着やスパッタリング等の真空
薄膜形成法により構造体の外周面に付着させて形成する
等の方法が用いられる。
【0023】導電性樹脂は、耐熱性に優れたポリイミド
もしくは変性エポキシ等に、導電性を持つ銀粉やカーボ
ン粉と、印刷性を調整するための溶剤とを加え、混練し
て製造する。導電性樹脂の比抵抗は、樹脂と導電性の粉
体との混合比率や、導電性粉体の粒径および形状を変え
ることによって所望の値に調整することができる。比抵
抗の好ましい範囲は、5×10-5〜5×10-3Ω・cm 程
度である。上記導電性樹脂は、成形物層(a)が板状や
角柱状の場合には、通常のスクリーン印刷により表面に
塗布する。円筒状や円柱状の場合には、スクリーン印刷
の一種である回転印刷機によって印刷塗布する等の方法
が用いられる。印刷された導電性樹脂は、通常100〜
150℃の温度で予備加熱を行った後、250〜300
℃程度で熱硬化させる。印刷膜の厚みは5〜30μmが
望ましい。
【0024】NiCr の薄膜は、真空蒸着やスパッタリ
ング等の方法で成形物層(a)の外周面に付着させる。
比抵抗は通常2.5×10-4〜1×10-4Ω・cm 程度で
ある。 TaNの場合には、Ar にN2を混合した低真
空ガス中で、Ta をターゲットとしてグロー放電を起こ
させる反応性スパッタリングによって膜形成を行う。比
抵抗は通常1.5×10-4〜3×10-4Ω・cm 程度であ
る。角柱状や円筒状の場合には、膜形成中に成形物層
(a)を回転させて均一に膜を付着させる。膜厚はいず
れの方法においても0.03〜1μm程度である。
【0025】本発明における導電層(b)は、必ずしも
成形物層(a)に接着している必要はないが、使用時に
剥離や脱落等を起こさないために接着していることが好
ましい。そのため導電性樹脂としては、成形物層(a)
に対する接着性が良好なものを選択することが望まし
い。接着が弱い場合には、成形物層(a)の表面に紫外
線照射などを行って接着性を改善することが有効であ
る。更に、成形物層(a)をプラズマに曝したり、強酸
やアルカリの溶液もしくは有機溶剤により表面をエッチ
ングしたり、または接着性の良いCr 膜を0.005〜
0.5μmの厚みで表面に形成する等の方法が有効であ
る。
【0026】本発明における導電層(b)については、
加熱用積層構造体の表面温度すなわち保護被膜層(c)
の温度が30〜400℃になるように電気抵抗値を調整
する。30℃未満の温度では加熱体としての機能を発揮
せず、400℃を越える温度では成形物層(a)が熱変
形して使用に耐えない。このような温度範囲で所望の温
度に調節するには、導電層(b)の電気抵抗値のほか断
面積や長さ、および印加する電圧等も変えて制御を行
う。通常は、サーミスタ等の温度検出素子を、加熱積層
構造体の表面に接触させ、あるいは成形物層(a)に埋
没させて設置し、加熱用積層構造体の表面温度を測定し
ながら印加電圧により温度制御する。
【0027】本発明における導電層(b)は、成形物層
(a)の全面にわたり積層してもよいが、加熱の程度な
どに応じて適宜に縞状、格子目状等に部分的に積層して
もよい。この場合、導電層(b)が積層されていない部
分では保護被膜層(c)は直接成形物層(a)と接触す
る。
【0028】本発明における保護被膜層(c)は、加熱
積層構造体をロール等の用途に使用する際に、積層体の
表面が他の物質や部品等と接触して汚染損傷等を受ける
ことがあるので、導電層(b)あるいは成形物層(a)
を保護する目的で積層するものである。従ってこの層の
材質としては、耐摩耗性、摺動性、潤滑性等に優れてい
ることが要求され、ポリベンゾイミダゾール樹脂はこの
要求を満たすものである。
【0029】本発明に用いる保護被膜層(C)を形成す
るポリベンゾイミダゾール系樹脂は安定な複素環式ポリ
マーであり、その製造方法は、例えば米国再発行特許2
6,065号、米国特許3,313,783号、同3,50
9,108号、同3,518,234号、同3,555,3
89号、同3,433,772号、同3,408,336
号、同3,578,644号、同3,549,603号、同
3,708,439号、同4,154,919号、同4,3
12,976号、同4,377,546号、同4,549,
388号等に記載されている。好ましいポリベンゾイミ
ダゾールは、次式〔IV〕で示されるポリ−2,2'−(m
−フェニレン)−5,5'−ビベンゾイミダゾールであ
る。
【0030】
【化4】 本発明に用いるポリベンゾイミダゾールの分子量は、一
般に数平均分子量で2,000〜100,000、好まし
くは、2,000〜30,000である。
【0031】ポリベンゾイミダゾールのワニスは、ポリ
ベンゾイミダゾールを適宜の溶媒、例えばN,N−ジメ
チルアセトアミド等に溶解して得られる溶液である。こ
の溶液を、ディッピング、静電塗装等の適宜の手段によ
り成形体に塗布した後、170℃を超える温度、好まし
くは190℃以上、400℃以下で強制加熱して乾燥す
ることにより強固な樹脂皮膜が形成される。加熱時間
は、1〜20時間の範囲が適当である。溶媒は、N,N
−ジメチルアセトアミドのほか、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシドおよびN−メチル−2
−ピロリドンをはじめとして、ポリベンゾイミダゾール
の乾式紡糸液の調製において一般に用いられる溶剤から
選択することができる。特に、N,N−ジメチルアセト
アミドおよびN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
ワニスを塗布した後、一旦上記温度よりも低い温度、例
えば100℃で溶剤を蒸発させた後、上記条件下で加熱
焼き付けを行うことが望ましい。
【0032】これらの保護皮膜用の材料には、必要に応
じ前記の各種無機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外
線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、可塑剤、滑剤、造核
剤、帯電防止剤、難燃剤等を配合することができる。
【0033】保護皮膜層(c)は、加熱体の全面にわた
り積層してもよく、また特に保護が必要な部分のみに積
層してもよい。 本発明の保護皮膜層の厚みは特に限定
されないが、保護膜としての機能を満足するためには、
焼き付け前の乾燥膜厚として1μm以上が好ましく、3
μm以上が更に好ましい。保護被膜層は厚すぎると不経
済であるため、通常100μm以下とする。
【0034】上記のようにして製造した加熱用積層構造
体は、たとえば静電式複写機やレーザービームプリンタ
ー、液晶プリンター等のPPC(普通紙用複写機)用の
プリンター等の加熱板や加熱ロール、自動現像機の乾燥
ロール等に最適である。
【0035】
【発明の実施の形態】液晶ポリマーからなる成形物層
(a)、導電層(b)およびポリベンゾイミダゾール樹
脂からなる保護被膜層(c)をこの順に積層することに
より、成形体層の変形が少ない加熱用積層構造体が得ら
れる。
【0036】
【実施例】
<実施例1>サーモトロピツク液晶樹脂として、フタル
酸/イソフタル酸/4−ヒドロキシ安息香酸/4,4'−
ジヒドロキシビフェニルからそれぞれ誘導される繰り返
し単位を有するサーモトロピツク液晶コポリエステルを
用いた。それぞれのモル比は、0.75/0.25/3/
1である。この樹脂について、ホットステージを装着し
た偏光顕微鏡を用いて光学的異方性を観察したところ、
340℃以上の溶融状態で光学的異方性を示した。上記
の液晶樹脂にガラス繊維を30重量%配合して、常法に
従い射出成形により、外径10mm、肉厚1mm、長さ
300mmの円筒を成形した。この表面上に、ポリイミ
ド樹脂に銀粉を分散して比抵抗を2.5×10-3Ω・cm
に調整した導電性樹脂を、回転印刷機を用いてスクリー
ン印刷法により10μmの厚みに塗布した。これを10
0℃に予熱した後、300℃×1.5時間の条件で加熱
硬化を行った。抵抗値を円筒の両端で測定したところ約
20Ωであった。更に、両端の電極取り出し部をマスキ
ングし、ポリ−2,2'−(m−フェニレン)−5,5'−ビ
ベンゾイミダゾールの10%ジメチルアセトアミド溶液
を上記成型品に回転塗布した後、乾燥し(乾燥膜厚:5
μm)、その後200℃に昇温したたエアーオーブン中
で10時間、回転させながら乾燥して保護被膜層を形成
した。保護皮膜層の焼き付け形成後、円筒形状の寸法を
測定したが、ほとんど寸法変化等は認められなかった。
この積層構造体の両端部の電極に400Wの電力を印加
したところ、180℃に到達するのに要する時間はわず
か8秒にすぎなかった。また35Wの電力を印加し、5
分後の定常温度分布を測定したところ、中央部の長さ2
20mmの範囲においては190℃〜200℃の範囲内
にあった。これは、例えばコピー機の加熱ロールとして
使用する場合に十分な性能である。
【0037】<実施例2>液晶ポリマーとして実施例1
と同じ樹脂を用い、常法に従い射出成形により幅10m
m、肉厚1mm、長さ300mmの板状体を成形した。
この表面に、マグネトロンスパッタリング装置を用いて
NiCr(Ni:Cr=80:20)薄膜を形成した。スパ
ッタリングの条件は、Ar ガス中において圧力0.2P
a、投入電力1.5kW、時間10分であり、これにより
0.15μmの薄膜を形成した。この表面上に、実施例
1と同じ方法でポリ−2,2'−(m−フェニレン)−5,
5'−ビベンゾイミダゾールの保護被膜層を焼き付け
(乾燥膜厚:5μm)、積層構造体を得た。保護被膜層
の焼き付け後、円筒形状の寸法を測定したが、ほとんど
寸法変化等は認められなかった。この積層構造体につい
て実施例1と同じ方法で通電テストを行い同様の結果を
得た。
【0038】
【発明の効果】本発明の加熱用積層構造体は基体(成形
物層)が液晶ポリマーにより形成されているので、耐熱
性、機械的強度、寸法安定性等が優れておりかつ安価で
ある。また熱伝導度が比較的小さいので消費電力が少な
く、平衡到達時間も短い。また、最上層の保護被膜層と
してポリベンゾイミダゾール系樹脂を焼き付けるため、
前記サーモトロピック液晶ポリマーからなる基体(成形
物層)の変形等が少ない。従って本発明の加熱用積層構
造体は、コピー機のトナーの定着機、自動現像機の乾燥
ロール等に好適に用いられる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶ポリマーからなる成形物層(a)、
    通電により下記の保護被膜層(c)の温度を30〜40
    0℃に加熱するための導電層(b)およびポリベンゾイ
    ミダゾール樹脂からなる保護被膜層(c)を、(a)、
    (b)、(c)の順に積層してなる加熱用積層構造体。
  2. 【請求項2】 前記液晶ポリマーがサーモトロピック液
    晶ポリエステル樹脂である請求項1に記載の加熱用積層
    構造体。
  3. 【請求項3】 積層構造体の形状が円筒状である請求項
    1に記載の加熱用積層構造体。
  4. 【請求項4】 積層構造体の形状が板状である請求項1
    に記載の加熱用積層構造体。
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