JPH0977624A - 歯科用コンポジットレジン - Google Patents

歯科用コンポジットレジン

Info

Publication number
JPH0977624A
JPH0977624A JP7237281A JP23728195A JPH0977624A JP H0977624 A JPH0977624 A JP H0977624A JP 7237281 A JP7237281 A JP 7237281A JP 23728195 A JP23728195 A JP 23728195A JP H0977624 A JPH0977624 A JP H0977624A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filler
refractive index
organic
polymerizable monomer
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7237281A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiko Abe
吉彦 阿部
Toru Kawashima
徹 川島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP7237281A priority Critical patent/JPH0977624A/ja
Publication of JPH0977624A publication Critical patent/JPH0977624A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】重合硬化前のペースト状重合性組成物が歯科臨
床医の取扱い易い優れた操作性を有し、それよりなる重
合硬化物の機械的強度が高く、表面の仕上げ研磨が容易
で、審美性、表面滑沢性に優れ、低熱膨張係数であり、
透明性に優れ、重合硬化前後の色調変化(透明性の変
化)が小さい歯科用コンポジットレジンを提供するこ
と。 【解決手段】バポライズド・メタル・コンバーション
(Vaporized MetalCombustion)法により合成された合
成石英真球フィラー及び有機充填材からなる有機−無機
複合フィラーと、ベースフィラーとで構成される配合フ
ィラーの該有機充填材の屈折率を1.520以上とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は歯科用コンポジット
レジンに関し、特に歯科用のか洞修復用材料だけに限定
されるわけではなく、歯冠用材料、人工歯等に使用可能
な歯科用コンポジットレジンに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、歯牙欠損部の修復治療のために、
重合性単量体に無機充填材を配合したコンポジットレジ
ンが使用されている。無機充填材としては粒径数十μm
の石英粉砕物や粒径10nm〜40nmのマイクロフィ
ラー等が使用されている。しかしながら粒径数十μmの
石英粉砕物を使用した場合、重合硬化前のペースト状重
合組成物の適度な操作性を得るのにその配合量を70重
量部以上にするため、重合硬化後のコンポジットレジン
は十分な機械的強度、表面硬度や低熱膨張係数は得られ
るが、表面滑沢性や耐摩耗性等の審美性は得られない。
また粒径10nm〜40nmのマイクロフィラーを使用
したものは、重合硬化後のコンポジットレジンの審美性
は得られるが、重合硬化前のペースト状重合性組成物の
適度な操作性を得るのにその配合量を60重量%以下に
するため、重合硬化後のコンポジットレジンの機械的強
度が劣り、熱膨張係数が高くなってしまう。
【0003】前記問題点を改善するために本発明者らは
すでに、バポライズド・メタル・コンバーション(Vapo
rized Metal Combustion)法(以下、V.M.C.法と
称す)により合成された合成石英真球フィラーを使用し
た歯科用コンポジットレジンを提案している(特開平6
−87719、特願平6−255867)。この合成石
英真球フィラーを使用した重合硬化後のコンポジットレ
ジンは、機械的強度が高く、低熱膨張係数であり、表面
の仕上げ研磨が容易で、審美性・表面滑沢性に優れ、重
合硬化前のペースト状重合性組成物が歯科臨床医の取り
扱い易い優れた操作性を有しているものの、光学的特性
の一つ、透明性の点で不十分であった。
【0004】前記問題点を改善するために本発明者ら
は、V.M.C.法により合成された平均粒径0.1μ
m〜0.4μmの合成石英真球フィラーを用いた、重合
硬化前後の透明度が0.4〜0.7である透明性に優れ
た歯科用コンポジットレジンを提案している(特願平7
−26425)。このコンポジットレジンの重合硬化前
後の透明性は高いものの、重合硬化前後での透明性の変
化が大きいので色調変化が顕著に起こる。歯科用コンポ
ジットレジンに求められる光学的特性として透明性の他
に、重合硬化前後で透明性の変化(色調変化)が小さい
ことが挙げられる。歯科臨床医がコンポジットレジンを
用いて、患者の歯牙欠損部のか洞内、欠損部等をより天
然歯に近い色調で修復する審美修復を可能とするため
に、予め用意された多種の色調を有するペースト状重合
性組成物の中から、天然歯の色調に適合するものを選択
して使用している。ペースト状重合性組成物に含まれる
重合性単量体の屈折率は重合硬化に伴い変化して、それ
が重合硬化した硬化物の屈折率は相対的に高くなる。配
合フィラーの屈折率は一定であるから、重合硬化前後で
コンポジットレジンの透明性(色調)が変化する。よっ
て歯科臨床医の目視により患者の天然歯に適合する色調
のコンポジットレジンペーストを選択したとしても、そ
の重合硬化した硬化物が天然歯に適合する色調とはなり
得ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的は
前記問題点を解決した、重合硬化前のペースト状重合性
組成物が歯科臨床医の取扱い易い優れた操作性を有し、
それよりなる重合硬化物の機械的強度が高く、表面の仕
上げ研磨が容易で、審美性、表面滑沢性に優れ、低熱膨
張係数であり、透明性に優れ、重合硬化前後の色調変化
(透明性の変化)が小さい歯科用コンポジットレジンを
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の問題
点を鑑み、鋭意研究を重ねた結果、本発明は以下によっ
て達成される。
【0007】(1)本発明は、重合開始剤を含む重合性
単量体と配合フィラーとからなり、該配合フィラーが、
ベースフィラーと有機−無機複合フィラーとからなる歯
科用コンポジットレジンにおいて、前記ベースフィラー
及び前記有機−無機複合フィラーの無機充填材がバポラ
イズド・メタル・コンバーション(Vaporized MetalCom
bustion)法により合成された合成石英真球フィラーで
あり、該有機−無機複合フィラーの有機充填材の屈折率
が1.520以上とした歯科用コンポジットレジンであ
る。
【0008】(2)また、本発明は、該重合性単量体の
屈折率が1.450〜1.530、該重合性単量体の重
合硬化後の屈折率が1.490〜1.550であり、か
つ該有機−無機複合フィラーの有機充填材の屈折率が
1.520〜1.590とした(1)に記載の歯科用コ
ンポジットレジンである。
【0009】(3)また、本発明は、該重合性単量体の
屈折率が1.460〜1.520、該重合性単量体の重
合硬化後の屈折率が1.500〜1.530であり、か
つ該有機−無機複合フィラーの有機充填材の屈折率が
1.520〜1.570とした(1)に記載の歯科用コ
ンポジットレジンである。
【0010】(4)また、本発明は、前記重合性単量体
が10〜40重量部、前記配合フィラーが90〜60重
量部であり、かつ前記配合フィラーの前記ベースフィラ
ーと前記有機−無機複合フィラーとの重量比率が80:
20〜20:80とした(1)〜(3)に記載の歯科用
コンポジットレジンである。
【0011】(5)また、本発明は、前記配合フィラー
の該合成石英真球フィラーと、前記有機−無機複合フィ
ラーの無機充填材である合成石英真球フィラーの少なく
とも一方が、平均粒径0.1μm〜0.4μmと平均粒
径0.5μm〜2μmの合成石英真球フィラーの混合フ
ィラーであり、その重量比率が100:0〜20:80
とした(1)〜(4)に記載の歯科用コンポジットレジ
ンである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の歯科用コンポジッ
トレジンについて詳細に説明する。
【0013】本発明に使用する重合開始剤としては、一
般に歯科用材料に使用されている公知のものが使用可能
である。重合開始剤として、例えば過酸化ベンゾイル
(以下、BPOと称す)等の有機過酸化物、BPO等の
有機過酸化物とN,N−ジメチル−p−トルイジン等の
第三級アミン、カンファーキノン(以下、CQと称す)
等の光増感剤とp−トリルジエタノールアミン、p−ジ
メチルアミノベンズアルデヒドやメタクリル酸2−ジメ
チルアミノエチル(以下、DMAEMAと称す)等の第
三級アミンが挙げられる。また必要に応じその他の添加
物を加える事もできる。これらの添加物としてはラジカ
ル重合禁止剤、着色用顔料、紫外線吸収剤等がある。
【0014】本発明に使用される重合性単量体として
は、一般に歯科用複合材料に使用されている公知なもの
が使用可能である。重合性単量体として最も代表的なも
のはアクリル基および、またはメタクリル基を有する重
合性単量体である。具体的に例示すると、ビスフェノー
ルA−グルシジルメタクリレート付加物(Bis−GM
A)、2,2−ビス(4−(メタクリロキシエトキシ)
フェニル)プロパン(D2.6E)、2,2−ビス(4
−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン
(D4E)、エチレングリコールジメタクリレート(1
G)、トリエチレングリコールジメタクリレート(3
G)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、4官能
性ウレタンメタクリレート(SH560)、6官能性ウ
レタンメタクリレート(U6H)、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート(TMPT)、メチルメタクリ
レート(MMA)、ラウリルメタクリレート(LMA)
等が挙げられる。これらの重合性単量体は歯科用材料と
して公知であるから単独あるいは複数を混合したものを
使用することができる。機械的強度の点より特に好まし
くは、前記の屈折率の条件を満たすウレタンジメタクリ
レート(UDMA)とトリエチレングリコールジメタク
リレート(3G)の混合物が挙げられる。また本発明に
おいては、アッベ屈折計で25℃において測定した屈折
率が、重合性単量体で1.450〜1.530、かつそ
の重合性単量体の重合硬化後の重合硬化物で1.490
〜1.550になる割合で混合したものが好ましく、特
に好ましくは重合性単量体で1.460〜1.520、
かつその重合性単量体の重合硬化後の硬化 で1.50
0〜1.530になる割合で混合したものである。
【0015】本発明に使用する合成石英真球フィラー
は、金属珪素粉末を原料とする気相反応であるV.M.
C.法によって合成されたものである。フィラー表面は
一般的にγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン(以下、γ−MPSと称す)、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリイソシアナート等の有機珪素化合物を用いた
表面処理が施されている(カップリング剤最適利用技術
[化学技術総合研究所発行]参照)。表面処理の条件
・方法は限定されず、公知の条件・方法が利用できる。
特に好適な表面処理の条件・方法として本発明者らが提
案しているもの(特開平6−88039)が挙げられ
る。
【0016】本発明に使用する有機充填材及び無機充填
材よりなる有機−無機複合フィラー(以下、複合フィラ
ーと称す)は、重合開始剤を溶解させた重合性単量体と
好適な条件・方法で表面処理を施した無機充填材を混合
して得たペースト状組成物を光、加熱または化学重合等
により重合硬化させ、その硬化物をボールミル、振動ミ
ル、振動ボールミルやジェット粉砕機等により粉砕し、
篩いやエアー分級機等により分級することにより得る。
複合フィラーの粒径は10μm〜100μm特に20μ
m〜50μmである事が好適であり、粒径が10μm以
下であるとフィラーの充填率が低くなり、曲げ強度等の
機械的強度が低くなってしまう。また粒径が100μm
以上になるとフィラーの充填率は高くなるが、外力の応
力集中を受け易くなるため曲げ強度等の機械的強度が低
下し、また硬化前のペーストも均一性のある性状のもの
が得られない。また、ここで用いる重合開始剤、重合性
単量体としては、前記の様なものを使用することができ
るが、本発明においては重合性単量体を重合硬化させ
た、複合フィラーの有機充填材のアッベ屈折計で25℃
において測定した屈折率が、1.520〜1.590で
あることが好ましく、特に好ましくは1.520〜1.
570である。また前記屈折率範囲内の有機充填材を有
する複合フィラーを、複数混合して用いて配合しても良
い。
【0017】本発明に使用する無機充填材としては、前
記のV.M.C.法により合成された合成石英真球フィ
ラーである。また複合フィラーの表面は機械的強度や耐
水性等の向上を目的として、前記の様な好適な表面処理
を施してある。
【0018】本発明においては、前記の重合開始剤を含
む重合性単量体と、前記の合成石英真球フィラー及び複
合フィラーで構成される配合フィラーとの配合割合とし
ては、重合性単量体が10〜40重量部、配合フィラー
が90〜60重量部であり、なおかつ前記合成石英真球
フィラーと前記複合フィラーの重量比率が80:20〜
20:80、特に60:40〜40:60であることが
好ましい。例えばこの比率の範囲外で合成石英真球フィ
ラーを多く配合したペーストは、粘り付く性状となるた
め操作性の点で不十分であり、また複合フィラーを多く
配合したペースト状重合性組成物を重合硬化させた硬化
物は、フィラー充填率が下がるため機械的強度が劣り、
熱膨張係数が高くなってしまう。
【0019】本発明においては、透明性、機械的強度の
点よりベースフィラー、複合フィラーの無機充填材に使
用する合成石英真球フィラーは、平均粒径0.1μm〜
0.4μmの合成石英真球フィラーと平均粒径0.5μ
m〜2μmの合成石英真球フィラーの重量比率が10
0:0〜20:80、特に100:0〜40:60であ
ることが好ましい。例えばこの比率の範囲外で、平均粒
径が0.1μmより小さい合成石英真球フィラーのみを
使用したペースト状重合性組成物は、粘り付く性状とな
るため操作性が悪くなってしまう。また平均粒径が0.
5μm〜2μmである合成石英真球フィラーのみを使用
したペースト状重合性組成物及びそれが重合硬化した硬
化物の機械的強度は高いが、透明性が低くなってしま
う。
【0020】本発明においては、重合性単量体の屈折
率、その重合性単量体が重合硬化した硬化物の屈折率、
複合フィラーの有機充填部の屈折率が重要な要因であ
る。重合前後の透明性の変化(色調変化)を小さくする
ために、重合性単量体の屈折率が1.450〜1.53
0、その重合性単量体が重合硬化した硬化物の屈折率が
1.490〜1.550、かつ複合フィラーの有機充填
部の屈折率が1.520〜1.590であることが好ま
しい。特に好ましくは、重合性単量体の屈折率が1.4
60〜1.520、その重合性単量体が重合硬化した硬
化物の屈折率が1.500〜1.530、かつ複合フィ
ラーの有機充填部の屈折率が1.520〜1.570で
あるペースト状重合性組成物中に含有されている重合性
単量体の屈折率は重合硬化に伴い変化して、それが重合
硬化した硬化物の屈折率は相対的に高くなる。よってベ
ースフィラー、複合フィラーの無機充填材に使用する、
屈折率約1.450のアモルファスシリカである合成石
英真球フィラーとの屈折率の差は大きくなり透明性が低
下してしまうかの様であるが、同時に複合フィラーの有
機充填材との屈折率の差は小さくなるので、全体として
は重合前後の透明性の変化は少なくなるのである。
【0021】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げ、本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明はこれら限定されるもので
はない。以下に実施例と比較例に示した、有機−無機複
合フィラー、コンポジットレジンペースト及びその重合
硬化物の作製方法、煮沸劣化加速試験前後の曲げ強さの
測定、フィラー充填率の測定、屈折率の測定、重合硬化
前後の透明度、重合硬化前後の透明度の変化測定による
評価は、以下の方法に従った。
【0022】(1)有機−無機複合フィラーの作製方法 重合開始剤としてBPOを重合性単量体に対し0.5重
量%溶解させ、所定の屈折率である有機充填材となる様
に調製した重合性単量体を、フィラーに対し所定の重量
濃度のγ−MPSで表面処理を施した合成石英真球フィ
ラーを十分に混合した後、真空脱泡してペースト状重合
性組成物を調製した。このペースト状重合性組成物をガ
ラス板間に挟み、130℃で1時間加熱処理することで
重合硬化させ硬化物を作製した。その硬化物をボールミ
ル(フリッチュ社製)で粉砕し、篩い分けにより20μ
m〜50μmの粒子を分級採取した。さらに、フィラー
に対し2重量%のγ−MPSで表面処理を施し、所定の
屈折率である有機充填材及び合成石英真球フィラーであ
る無機充填材よりなる複合フィラーを作製した。
【0023】(2)コンポジットレジンペーストの調製
方法 重合開始剤としてCQ(光増感剤)とDMAEMA(還
元剤)を重合性単量体に対し各々1重量%溶解させ調製
した所定の屈折率である重合性単量体と、フィラーに対
し所定の重量濃度のγ−MPSで表面処理を施した合成
石英真球フィラー及び(1)で作製した複合フィラーか
ら構成される配合フィラーを十分に混合した後、真空脱
泡してペースト状重合性組成物を調製した。
【0024】(3)煮沸劣化加速試験前後の曲げ強さの
測定 (2)で調製したペースト状重合性組成物をガラス管中
に固定した内径3mmの中空チューブ中に注入し、市販
の歯科用可視光線照射器(ジーシー社製)で5分間光照
射し重合硬化させ、チューブから取り出した断面の直径
3mmの円柱状の硬化物を曲げ試験片とした。それを3
7℃水中に24時間保持後、オートグラフAGS−10
0(島津製作所社製)を測定装置として用いて、支点間
距離20mm、クロスヘッドスピード2mm/minに
て3点曲げ試験を行い曲げ強さを測定した。さらに、こ
の試験片を24時間沸騰水中に浸漬させた(煮沸劣化加
速試験)ものについても曲げ強さを測定した。
【0025】(4)フィラー充填率の測定 (2)で調製したペースト状重合性組成物を市販の歯科
用可視光線照射器(ジーシー社製)で重合硬化させた硬
化物約0.5gを600℃で30分間電気炉中で保持す
ることにより灰化させ、その残留物を秤量することによ
り下記式を用いてフィラー充填率(wt%)を算出し
た。 フィラー充填率[wt%]=(残留物[g]/硬化物
[g])×100 (5)屈折率の測定 アッベ屈折計(アタゴ社製)を用いて、25℃における
屈折率を、重合性単量体、その重合性単量体を重合硬化
させた硬化物、及び複合フィラーの有機充填材に用いる
重合性単量体を重合硬化させた硬化物について測定し
た。
【0026】(6)重合硬化前後の各透明度(ΔL)及
び透明度の変化(Δ(ΔL))の測定(2)で調製した
ペースト状重合性組成物を厚さ0.8mm、内径20m
mの円形スペーサー中に充填し、上下をガラス板により
挟み試料とした。この試料を標準白板、標準黒板上に載
せ色彩色差計(ミノルタ社製)により色彩値(Lab、
明度:L値)を測定した。次に、この試料を市販の歯科
用可視光線照射器(ジーシー社製)で5分間光照射し重
合硬化させた後、同様の測定を行った。各サンプルの背
後に標準白板、標準黒板を置いた時のLw値、Lb値を
測定し、それぞれの明度の差ΔLを求め透明度とした
(ΔL=Lw−Lb)。なお、この値が大きいほど試料
の透明度は高いことを示している。またペースト状重合
組成物の透明度ΔLp、その重合硬化した硬化物の透明
度ΔLcの差|Δ(ΔL)|を求め重合硬化前後の透明
度の変化とした。なお、この値が小さいほど重合硬化前
後の透明度の変化が小さいことを示している。
【0027】(実施例1)複合フィラーについては前記
(1)の方法に従い、フィラーに対し6重量%のγ−M
PSで表面処理を施した合成石英真球フィラーSO−C
1(アドマファイン、0.2μm、アドマテックス社
製)を78重量部、重合開始剤のBPOを含む重合性単
量体D2.6E(新中村化学社製)22重量部で混合し
て、屈折率が1.568である有機充填材及び合成石英
真球フィラーSO−C1の無機充填材よりなる複合フィ
ラーを作製した。次に前記(2)の方法に従い、フィラ
ーに対し6重量%のγ−MPSで表面処理を施した合成
石英真球フィラーSO−C1と、前記複合フィラーを6
0:40の重量比で混合した配合フィラーを86.5重
量部、重合開始剤のCQとDMAEMAを含む、屈折率
が1.478であり、かつその重合硬化後の硬化物の屈
折率が1.510であるUDMAとTEGDMAの混合
物(重量比でUDMA:TEGDMA=80:20、全
て新中村化学社製)を13.5重量部で混合してペース
ト状重合性組成物を調製した。得られたペーストの操作
性は良好であり、その重合硬化物の煮沸劣化加速試験前
後の曲げ強さ、フィラー充填率、重合硬化前後の透明度
及び重合硬化前後の透明度の変化の測定を行った。その
結果を表に示す。
【0028】(実施例2)前記(1)の方法に従い、フ
ィラーに対し6重量%のγ−MPSで表面処理を施した
合成石英真球フィラーSO−C1を78重量部、重合開
始材のBPOを含む、SH560、TMPT、U6H及
び1Gの混合物(重量比でSH560:TMPT:U6
H:1G=15:40:30:15、全て新中村化学社
製)を22重量部で混合して、屈折率が1.515であ
る有機充填材及び合成石英真球フィラーSO−C1の無
機充填材よりなる複合フィラーを作製した。複合フィラ
ーとして、実施例1で作製した複合フィラーと、本実施
例で作製した複合フィラーを50:50の重量比で混合
した複合フィラーを使用した以外は実施例1と同様にペ
ースト状重合性組成物を調製した。得られたペーストの
操作性は良好であり、その重合硬化物の煮沸劣化加速試
験前後の曲げ強さ、フィラー充填率、重合硬化前後の透
明度及び重合硬化前後の透明度の変化の測定を行った。
その結果を表に示す。
【0029】(実施例3)フィラーに対し6重量%のγ
−MPSで表面処理を施した合成石英真球フィラーSO
−C1と、フィラーに対し3重量%のγ−MPSで表面
処理を施した合成石英真球フィラーSO−C2(アドマ
ファイン、0.5μm、アドマテックス社製)を67:
33の重量比で混合した合成石英真球フィラーと、実施
例2で使用した複合フィラーを60:40の重量比で混
合した配合フィラーを89重量部、重合開始剤のCQと
DMAEMAを含む、屈折率が1.478であり、かつ
その重合硬化後の硬化物の屈折率が1.510であるU
DMAとTEGDMAの混合物(重量比でUDMA:T
EGDMA=80:20、全て新中村化学社製)を11
重量部で混合してペースト状重合性組成物を調製した。
得られたペーストの操作性は良好であり、その重合硬化
物の煮沸劣化加速試験前後の曲げ強さ、フィラー充填
率、重合硬化前後の透明度及び重合硬化前後の透明度の
変化の測定を行った。その結果を表に示す。
【0030】(実施例4)実施例1と同様の配合フィラ
ー86重量部と、重合開始剤のCQとDMAEMAを含
む、屈折率が1.512であり、かつその重合硬化後の
硬化物の屈折率が1.533であるD2.6EとTEG
DMAの混合物(重量比でD2.6E:TEGDMA=
75:25、全て新中村化学社製)14重量部を混合し
てペースト状重合性組成物を調製した。得られたペース
トの操作性は良好であり、その重合硬化物の煮沸劣化加
速試験前後の曲げ強さ、フィラー充填率、重合硬化前後
の透明度及び重合硬化前後の透明度の変化の測定を行っ
た。その結果を表に示す。
【0031】(比較例1)前記(1)の方法に従い、フ
ィラーに対し6重量%のγ−MPSで表面処理を施した
合成石英真球フィラーSO−C1を78重量部、重合開
始剤のBPOを含む、TMPTと1Gの混合物(重量比
でTMPT:1G=50:50、全て新中村化学社製)
を22重量部で混合して、屈折率が1.509である有
機充填材及び合成石英真球フィラーSO−C1の無機充
填材よりなる複合フィラーを作製した。複合フィラーと
して本複合フィラーを用いた以外は、実施例1と同様に
行い、ぺースト状重合性組成物を調製した。得られたペ
ーストの操作性は良好であり、その重合硬化物の煮沸劣
化加速試験前後の曲げ強さ、フィラー充填率、重合硬化
前後の透明度及び重合硬化前後の透明度の変化の測定を
行った。その結果を表に示す。
【0032】(比較例2)実施例1と同様の配合フィラ
ー86重量部と、重合開始剤のCQとDMAEMAを含
む、屈折率が1.541であり、かつその重合硬化後の
硬化物の屈折率が1.568であるD2.6E(新中村
化学社製)14重量部を混合してペースト状重合性組成
物を調製した。得られたペーストの操作性は良好であ
り、その重合硬化物の煮沸劣化加速試験前後の曲げ強
さ、フィラー充填率、重合硬化前後の透明度及び重合硬
化前後の透明度の変化の測定を行った。その結果を表に
示す。
【0033】
【表】
【0034】
【発明の効果】以上述べたとおり、有機−無機複合フィ
ラーの有機充填材の屈折率を1.520以上にすること
により、さらに、重合性単量体の屈折率を1.450〜
1.530、該重合性単量体の重合硬化後の屈折率を
1.490〜1.550とすることにより、優れた操作
性を有し、機械的強度が高く、表面の仕上げ研磨が容易
で、審美性、表面滑沢性に優れ、低熱膨張係数であり、
透明性に優れ、重合硬化前後の色調変化(透明性の変
化)が小さい歯科用コンポジットレジンを得ることがで
きる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合開始剤を含む重合性単量体と配合フィ
    ラーとからなり、該配合フィラーが、ベースフィラーと
    有機−無機複合フィラーとからなる歯科用コンポジット
    レジンにおいて、前記ベースフィラー及び前記有機−無
    機複合フィラーの無機充填材がバポライズド・メタル・
    コンバーション(Vaporized Metal Combustion)法によ
    り合成された合成石英真球フィラーであり、該有機−無
    機複合フィラーの有機充填材の屈折率が1.520以上
    であることを特徴とする歯科用コンポジットレジン。
  2. 【請求項2】該重合性単量体の屈折率が1.450〜
    1.530、該重合性単量体の重合硬化後の屈折率が
    1.490〜1.550であり、かつ該有機−無機複合
    フィラーの有機充填材の屈折率が1.520〜1.59
    0であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用コン
    ポジットレジン。
  3. 【請求項3】該重合性単量体の屈折率が1.460〜
    1.520、該重合性単量体の重合硬化後の屈折率が
    1.500〜1.530であり、かつ該有機−無機複合
    フィラーの有機充填材の屈折率が1.520〜1.57
    0であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用コン
    ポジットレジン。
  4. 【請求項4】前記重合性単量体が10〜40重量部、前
    記配合フィラーが90〜60重量部であり、かつ前記配
    合フィラーの前記ベースフィラーと前記有機−無機複合
    フィラーとの重量比率が80:20〜20:80である
    ことを特徴とする請求項1〜3に記載の歯科用コンポジ
    ットレジン。
  5. 【請求項5】前記配合フィラーの該合成石英真球フィラ
    ーと、前記有機−無機複合フィラーの無機充填材である
    合成石英真球フィラーの少なくとも一方が、平均粒径
    0.1μm〜0.4μmと平均粒径0.5μm〜2μm
    の合成石英真球フィラーの混合フィラーであり、その重
    量比率が100:0〜20:80であることを特徴とす
    る請求項1〜4に記載の歯科用コンポジットレジン。
JP7237281A 1995-09-14 1995-09-14 歯科用コンポジットレジン Pending JPH0977624A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7237281A JPH0977624A (ja) 1995-09-14 1995-09-14 歯科用コンポジットレジン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7237281A JPH0977624A (ja) 1995-09-14 1995-09-14 歯科用コンポジットレジン

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0977624A true JPH0977624A (ja) 1997-03-25

Family

ID=17013071

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7237281A Pending JPH0977624A (ja) 1995-09-14 1995-09-14 歯科用コンポジットレジン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0977624A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007119684A (ja) * 2005-10-31 2007-05-17 Kyoritsu Kagaku Sangyo Kk 遮光性を有する光硬化性樹脂組成物及びその硬化物
JP2007302631A (ja) * 2006-05-12 2007-11-22 Tokuyama Corp 歯科用硬化性組成物
JP2012229448A (ja) * 2012-08-27 2012-11-22 Kyoritsu Kagaku Sangyo Kk 遮光性を有する光硬化性樹脂組成物及びその硬化物
JP2013531019A (ja) * 2010-07-14 2013-08-01 グラーツヴェルケ ゲーエムベーハー 歯科複合材料用充填材

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007119684A (ja) * 2005-10-31 2007-05-17 Kyoritsu Kagaku Sangyo Kk 遮光性を有する光硬化性樹脂組成物及びその硬化物
JP2007302631A (ja) * 2006-05-12 2007-11-22 Tokuyama Corp 歯科用硬化性組成物
JP2013531019A (ja) * 2010-07-14 2013-08-01 グラーツヴェルケ ゲーエムベーハー 歯科複合材料用充填材
JP2012229448A (ja) * 2012-08-27 2012-11-22 Kyoritsu Kagaku Sangyo Kk 遮光性を有する光硬化性樹脂組成物及びその硬化物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4267097A (en) Material for dental purposes
US6787629B2 (en) Dental resin materials, method of manufacture, and uses thereof
US9320684B2 (en) Dental restorative material
US6933327B2 (en) Dental curable composition
JP5762405B2 (ja) 歯科用複合修復材料
JP5026954B2 (ja) 調節可能な半透明性を有する硬化性歯科材料
JP2012153640A (ja) 歯科用複合修復材料
JPH09255516A (ja) 歯科用複合材料
JPS5936602B2 (ja) 歯牙用加工材料
JP4895443B2 (ja) 歯科用硬化性組成物
JPH09169613A (ja) 歯科用複合修復材料
JPS6388110A (ja) 歯科用複合材料
JP5331697B2 (ja) 歯科用重合性組成物およびそのキット
JP4308729B2 (ja) 高い摩耗強度を有する歯科材料及び該歯科材料から成る人工歯
JP5804517B2 (ja) 歯科用組成物及び人工歯
JPS63303906A (ja) 人工歯材料
JPH0977624A (ja) 歯科用コンポジットレジン
JP4798680B2 (ja) 歯科用硬化性組成物
JPH01186807A (ja) 歯科用複合材料
JPH08217615A (ja) 歯科用コンポジットレジン
JP3421072B2 (ja) 歯科用充填組成物
JPH0461003B2 (ja)
JPS608214A (ja) 歯科用材料
JP3520694B2 (ja) 硬化性組成物
JP2000336011A (ja) 歯科用組成物