JPH0967732A - ゴム補強用ポリエステルモノフィラメント及びそれを用いた空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

ゴム補強用ポリエステルモノフィラメント及びそれを用いた空気入りラジアルタイヤ

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JPH0967732A
JPH0967732A JP7224999A JP22499995A JPH0967732A JP H0967732 A JPH0967732 A JP H0967732A JP 7224999 A JP7224999 A JP 7224999A JP 22499995 A JP22499995 A JP 22499995A JP H0967732 A JPH0967732 A JP H0967732A
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cord
monofilament
rubber
polyester
tire
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JP7224999A
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English (en)
Inventor
Keishi Morinaga
啓詩 森永
Kazuo Oshima
一男 大島
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴム中における耐疲労性に優れた接着剤
処理されたポリエステルモノフィラメントコード及びそ
れを用いたビード部周辺の耐久性と操縦安定性に優れた
空気入りラジアルタイヤを提供する。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレートまたはこれ
を主成分とするポリエステルからなるモノフィラメント
コードであって、下記の特性を同時に満足することを特
徴とする、接着剤処理されたゴム補強用ポリエステルモ
ノフィラメント。 (a)固有粘度(IV):0.90以上、(b)複屈折
△n:0.185以上、(c)結晶配向度:0.90以
上、(d)非晶配向度:0.42以下、(e)密度(g
/cm3 ):1.400以上、(f)繊度(デニー
ル):2000〜5000、(g)強度:6g/d以
上、(h)初期弾性率:70g/d以上。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強力高弾性であ
りながらゴム中における耐疲労性に優れる接着剤処理さ
れたゴム補強用ポリエステルモノフィラメントコード及
び、該コードをプライコードとして使用した、ビード部
周辺の耐久性と操縦安定性に優れた空気入りラジアルタ
イヤに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、タイヤやコンベアベルト等のゴム
補強コードとしては、ポリエステル、ポリアミド、レー
ヨン等の非常に小さいデニールのフィラメントが多数束
ねられ、さらに下撚、上撚からなる撚糸が行われ、糸の
集束性、耐疲労性を向上せしめた撚りコードが使用され
ている。
【0003】一方、集束性における加撚工程を省略しよ
うという意図の下で、1本のフィラメントからなるコー
ド、いわゆるモノフィラメントコードをタイヤ等のゴム
補強材に適用しようという試みもなされている。物性面
においてもこのモノフィラメントコードは、同じ材質で
あれば従来の撚りコードに比べ高弾性、低収縮率とな
り、ゴム補強体の性能面における改良も期待できるのみ
ならず、撚りコードのように内部まで接着剤が含浸する
ことがなく、接着剤使用量も大きく減少させることがで
き、実用化時のメリットは大きい。
【0004】例えば、1970年代の特開昭52−11
0918号公報にはナイロンのモノフィラメントコード
の製造方法が提示され、米国特許第4,360,050
号公報にはポリエステルの太デニールモノフィラメント
コードをタイヤに適用することが開示されている。さら
に前記公報には、長円形断面または矩形断面を有するモ
ノフィラメントコードについての記載が見られ、このこ
とからモノフィラメントコードの耐疲労性が考慮されて
いたと考えられる。すなわち、モノフィラメントコード
は、外力に対して、撚りコードの如く力の分散を行うこ
とができないため、撚りコードに対し耐疲労性が悪いと
いう欠点を有している。マルチフィラメント撚りコード
の場合は、圧縮歪応力が作用しても、撚り角度を持つ1
本ごとの極細フィラメントが湾曲変形するので、圧縮歪
入力を緩和、吸収する方向に動く結果、耐疲労性に優れ
た性能を発揮するが、モノフィラメントコードの場合に
は、圧縮歪入力を直接受けることになる。
【0005】また、特開平2−99610号公報及び特
開平2−127507号公報の開示にみられるように、
スチームによりコード表面改質を施したナイロンモノフ
ィラメントコードの各種タイヤへの適用が試みられてい
たことが判る。スチーム加熱法によるモノフィラメント
コードの製造に関しては前記特開昭52−110918
号公報にも開示されており、さらに、ナイロンモノフィ
ラメントコードは、現在多用されているポリエステルマ
ルチフィラメント撚りコードに比し、弾性率及び熱収縮
率共に優れたものとはいえず、耐疲労性においては実用
化レベルにあるものの、タイヤコードとしては実用化に
至っていない。即ち、ナイロンは、ポリエステルに比し
タイヤ内での疲労性の点では優れているものの、より一
層低弾性率、より一層高熱収縮性の基本的特性を持ち、
これらの特性はいずれもタイヤの操縦安定性に対し不利
に作用するのである。ナイロンはモノフィラメントコー
ドとしても、各特性がポリエステルマルチフィラメント
撚りコードに及ばない。
【0006】ナイロンモノフィラメントコードを使用す
る限り、近来の高度に優れた操縦安定性が求められるタ
イヤを実現する上で不可欠なカーカスプライコードとし
ての高弾性率及び低熱収縮率性を満たすことができない
が現状である。
【0007】この点を改善するためポリエステルモノフ
ィラメントコードをタイヤに使用することが提案されて
いる。例えば、特開平3−185111号公報には低カ
ルボキシル基ポリエステル繊維材を適用したモノフィラ
メントコードをタイヤカーカスに用いる旨が開示されて
いる。この低カルボキシル化したポリエステルは、ゴム
組成物から移行するアミンによる劣化に対する改善は期
待されるが、タイヤ内における物理的疲労に対する耐疲
労性については不十分であり、走行途中のコード部分に
故障が発生する虞があり実用上問題となる。
【0008】また特開平4−232102号公報にはス
チーム加熱により得たポリエステルモノフィラメントコ
ードをタイヤ適用する旨の開示が見られる。スチーム加
熱により糸断面外層部の複屈折を内層対比低下させる技
術や、断面形状を楕円にすることにより、曲げに対する
柔軟性を高め、疲労性を向上せしめる工夫がなされてい
るが、実際のタイヤ適用に際しては、高荷重によりタイ
ヤの歪が増大した際に、ビード部周辺のコード破壊が比
較的早い段階で発生するという問題があり、未だ実用に
は到っていない。
【0009】また、前記従来の技術はいずれも原糸製造
工程及び原糸特性を規定したものであるが、周知のよう
にゴム補強用コードは使用前にRFL樹脂等を用いた接
着剤ディップ処理が必ず行われる。この処理は高温下
で、かつ、長時間の熱処理が高張力下で行われる。従っ
て、コードの微細構造変化は非常に大きく、原糸特性を
改良するのみでは、ゴム中の耐疲労性改良に必ずしも結
びつかない。
【0010】上述したように、ナイロン糸を主体とする
モノフィラメントコードはその高弾性率化に限界があ
り、従来のポリエステル系撚りコード以上の弾性率は発
現できないという欠点があった。一方ポリエステル系を
主体とするモノフィラメントコードは従来のポリエステ
ル系撚りコード以上の高弾性率を発現できるというメリ
ットはあるものの、耐疲労性に難があり、この耐疲労性
を如何に改善するかが大きな障害である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の問題点を解消するために創作されたもので
あり、その目的とするところは、ゴム中における耐疲労
性に優れた、接着剤処理されたポリエステルモノフィラ
メントコード及びそれを用いたビード部周辺の耐久性と
操縦安定性に優れた空気入りラジアルタイヤを提供する
ことである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、接着剤処理された後
のポリエステルモノフィラメントに特定の特性を持たせ
ることにより、上記目的を達成することができることを
見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
のコードはポリエチレンテレフタレートまたはこれを主
成分とするポリエステルからなり、予め接着剤処理され
たゴム補強用ポリエステルモノフィラメントコードであ
り、下記の特性を同時に満足していることを特徴とす
る。
【0013】(a)固有粘度(IV):0.90以上 (b)複屈折△n:0.185以上 (c)結晶配向度:0.93以上 (d)非結晶配向度:0.38以下 (e)密度(g/cm3 ):1.400以上 (f)繊度(デニール):2000〜5000 (g)強度:6g/d以上 (h)初期弾性率:70g/d以上
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明を構成する各要素内
容とその作用効果について詳述する。
【0015】本発明者らが検討した結果では、例えばポ
リエステルモノフィラメントをラジアルタイヤのプライ
材として使用し、高荷重ドラム試験を行うと、ビード折
り返し部に非常に大きな圧縮応力がかかり、比較的早い
段階でコード破断に起因する故障が発生する問題点があ
ることが判明した。破壊形態を観察してみるとモノフィ
ラメントコードには応力集中による屈曲点が発生してお
り、破断前には著しい径の増大が起こっている。ゴム、
接着剤を除去すると、コードが白化していることが観察
される。これらから推察すると、モノフィラメントコー
ドは繰り返しの圧縮応力により、フィラメント内部の界
面破壊、一般に言われるフィブリル化が起こって、内部
から全体への破壊に至ると考えられる。
【0016】この様な圧縮応力に対する疲労性を実用化
レベルまで向上させるには、接着剤処理後のモノフィラ
メントの固有粘度を0.90以上、好ましくは0.93
以上、さらに好ましくは0.96以上とすることが必要
である。ここで、接着剤処理とは、モノフィラメントを
形成後、ゴムとの接着性を向上させるために接着剤にフ
ィラメントを浸漬し、熱処理を行う通常の接着剤ディッ
プ処理(以下、単にディップ処理と称する)をさし、処
理方法に特に制限はないが、例えば、レゾシル/ホルマ
リン/ラテックス(RFL)液でのディップ処理が一般
に行われる。
【0017】モノフィラメントの固有粘度について詳述
するに、高い固有粘度を有しているモノフィラメントほ
ど、高い耐フィブリル剥離性とゴム接着性を有してお
り、機械疲労性を向上させることになる。固有粘度の上
限に特に制限は無いが、強度発現のためには実用上1.
2以下であることが好ましい。
【0018】ディップ処理を行ったポリエステルモノフ
ィラメントをゴム中に埋め込み、加硫を行い、その後、
引張試験機でコードをゴムから引き抜くという一般的な
接着試験を行うと、0.90未満の低固有粘度のモノフ
ィラメントは外層部が剥離しゴム中に残ることが観察さ
れる。さらにひどい場合はこの剥離が内部まで進行し、
コード破断を引き起こす。しかしながら、固有粘度が本
発明の範囲であるサンプルは剥離量が明らかに少なくな
ったり、あるいは全く剥離が起こらなくなり、さらにゴ
ム接着力が高くなる。これは分子の交絡数の増加によ
り、内部の耐フィブリル剥離性に優れていることと、接
着層とコード表面の結合力が向上したためと考えられ
る。モノフィラメントの固有粘度とは、モノフィラメン
トを、p−クロロフェノール/テトラクロロエタン(重
量比3:1)混合溶媒に0.5重量%となるように溶解
させ、30℃RHにてスコット社製自動IV測定装置A
VS500(商品名)を使い測定した値をさす。モノフ
ィラメントの固有粘度は、例えば、紡糸前の固相重合条
件、紡糸時の溶融条件等により調整しうる。
【0019】また本発明のモノフィラメントコードにお
いては非晶配向度が0.38以下、好ましくは0.35
以下、さらに好ましくは0.20〜0.32とすること
が重要である。本発明者らが検討したところ、同じ固有
粘度を有するディップコードでも、この非晶配向度の違
いにより疲労性が大きく異なってくる。これは、繰り返
し歪がコードに与えられたときの変形は可動部である非
晶領域に集中することに対し、ディップコードとして低
非晶配向となるような処理を行うことにより非晶分子の
配向分布が均一化し、より柔軟にフィブリル化の起点と
なる内部クラックの発生確率を低くせしめるためである
と推察される。しかしながら、高い強度を維持するため
にモノフィラメント複屈折は0.185以上、好ましく
は0.187以上、さらに好ましくは0.190以上と
すべきで、また、結晶配向は0.93以上好ましくは
0.935以上、さらに好ましくは0.94以上とし、
モノフィラメント密度を1.400g/cm3 以上、好
ましくは1.401g/cm 3 以上、さらに好ましくは
1.402g/cm3 〜1.410g/cm3 とした方
が良い。すなわち、結晶領域の分子配向はより高め、非
晶領域の分子配向はより低くするという、2極化した配
向状態を作り出すことが高強度で耐疲労性に優れたディ
ップコードとするために重要である。
【0020】この様なモノフィラメントの微細構造は、
原糸の延伸条件あるいはディップ条件の適正化によって
発現される。すなわち、原糸製造工程においては、弛緩
処理を行う前の高張力下で、高配向分子領域が充分結晶
化できるように高温(例えば、フィラメントの表面温度
が220〜260℃となるような非接触加熱を行う)で
比較的長時間のヒートセットを行い、この段階で密度を
1.390g/cm3以上となるようにすべきである。
これは結晶配向、結晶化度を高めるだけでなく、糸断面
の構造分布を少なくするという意味でも重要である。糸
の微細構造形成は、ディップ工程では限られた範囲しか
行えないので、この原糸製造工程の構造形成は非常に重
要である。
【0021】ディップ工程においては、一般的に接着剤
ディップ(含浸)処理後の乾燥工程には、1つの乾燥ゾ
ーンと2つのキュアリングゾーンがあるが、キュアリン
グゾーンの高温化(例えば、250℃)や、第1のキュ
アリングゾーンの低張力(例えば、第1のキュアリング
ゾーンの張力:第2のキュアリングゾーンの張力が1:
1.5〜1:3)が良い方向である。高温化は結晶部分
の発達を促進し、結晶配向も高くなり、相対的に非晶配
向が低くなる。第1のキュアリングゾーンの低張力化は
該ゾーンのリラックス率を高め、非晶領域の配向緩和が
進むので、配向の2極化を促進することになる。最終ゾ
ーンについては、ディップコードの最終的な弾性率(中
間伸度)や切断伸度を決定する部分であるため、タイヤ
適用条件に合わせて張力条件が設定されるべきである。
【0022】本発明の意図するところは、実使用時にお
いてポリエステルモノフィラメントの物性面のメリット
を確保しつつ、耐疲労性を改良しようということであ
り、得られるポリエステルモノフィラメントは上記の微
細構造の特徴を有し、かつ強度6.0g/d以上、初期
弾性率70g/d以上、好ましくは強度6.5g/d以
上、初期弾性率75g/d以上、さらに好ましくは強度
70g/d以上、初期弾性率80g/d以上を満たすよ
うにするべきである。例えば、いかに疲労性が良くと
も、初期強度が低ければ、結局のところ、コード破壊の
確立が高くなり好ましくない。初期弾性率に特に上限は
無いが、実用上70g/d〜120g/d程度である。
【0023】モノフィラメントの繊度はタイヤなどに使
用する上で、通常の撚りコードと同じく2000〜50
00のデニールが好ましい。
【0024】ポリエステルモノフィラメントの断面形状
は、本発明においては特に限定されるものではない。本
発明者が試験したところ、より圧縮応力が大きい環境下
では円形断面の方が疲労性が良く、圧縮応力が小さくむ
しろ単純屈曲に近い環境下では楕円形の方が疲労性が良
かった。これは前述したような応力集中点の存在が関係
しており、高い圧縮応力下では楕円形状の方が屈曲点が
1点に集中しやすくかつ歪が大きくなる傾向にあるから
である。応力集中点が発生しないような環境下において
は、屈曲方向への径が小さい楕円形状の方が疲労性が良
くなる。よって、モノフィラメントコードが使用される
環境を考慮して、この断面形状は決められるべきであ
る。
【0025】本発明に用いられるポリエステルモノフィ
ラメントの原料としては、ポリエチレンテレフタレート
又はポリエチレンテレフタレートを主成分、即ち、80
重量%以上含有する、ポリエステルが好ましい。ポリエ
チレンテレフタレート以外のポリエステル成分としては
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト等が挙げられ、これらを所望によりブレンドして用い
る。あるいは、10重量%以下の共重合成分、例えば、
アジピン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
ジフェニルジカルボン酸等のジカルボン酸やプロピレン
グリコール、プチレングリコール、ジエチレングリコー
ル等のジオール成分等を加えて、ポリエステルと共重合
体を形成させたものを用いることができる。
【0026】さらに、このポリエステル成分に対して、
本発明の効果を損なわない範囲、例えば、10重量%以
下で、柔軟剤、安定剤等の公知の添加物を加えることが
できる。
【0027】本発明モノフィラメントに使用する接着剤
についても特に限定されるものでなく、例えばポリエス
テル糸の接着処理に一般に使われるレゾシル/ホルマリ
ン/ラテックス(RFL)液に接着剤を混ぜたもの、あ
るいは、モノフィラメントにエポキシ系化合物等で前処
理した上でRFL液を付与しても良い。
【0028】以上詳述したように、本発明の接着剤処理
されたポリエステルモノフィラメントは、固有粘度(I
V):0.90以上、複屈折△n:0.185以上、結
晶配向度:0.93以上、非晶配向度:0.38以下、
密度:1.400g/cm3以上、繊度:2000d〜
5000d、強度:6g/d以上、初期弾性率:70g
/d以上という特定の特性を持つことにより、コード内
部のフィブリル剥離性が改善され、従来のポリエステル
モノフィラメントの高強度高弾性メリットを維持しなが
ら、ゴム中の耐疲労性を著しく向上せしめることができ
る。ここの効果により、例えば最もシビアな疲労性、安
全性が要求されるタイヤプライコードに使用しても、後
述する高荷重ドラム耐久試験においても、実用上問題無
いレベルの耐疲労性を示した。
【0029】勿論、本発明におけるモノフィラメントコ
ードは、プライコードのみならず、ベルトコードをはじ
め、タイヤ各部の補強材としても有用である。
【0030】
【実施例】次に本発明を実施例、比較例により具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例1〜4、比較例1〜6)下記表1に接着剤処理
されたポリエステルモノフィラメントの微細構造、物
性、耐フィブリル性、タイヤ疲労試験結果を表す。尚、
実験に使用したコードの素材は100%ポリエチレンテ
レフタレートであり、断面形状は円形、処理前のフィラ
メント繊度約3000デニールのものを使用した。
【0031】モノフィラメントのPET原料チップは、
固有粘度0.6のもので、これを240℃、真空下で固
相重合を行い、目標をするチップ固有粘度まで重合度を
上げて準備した。このチップを窒素雰囲気のホッパーか
らスクリュー式の溶融押出機に入れ、305℃の紡糸温
度で溶融させた後、ギヤポンプで一定量に保ちながら円
形のノズルより押し出し、空気ギャップを通過せしめ、
ノズルより70cm下方にある水冷浴で急冷固化させ、
さらに水分を除去させてから、一旦ボビンに未延伸糸と
して巻き取る。この未延伸糸を、別ラインの延伸機で、
サンプルにより延伸倍率を変えて全延伸倍率5.4〜
6.8倍の2段延伸を行った。加熱ヒーターとしては,
非接触式の電気ヒーターを1、2段延伸とも用い、サン
プルにより温度条件を変えて作った。
【0032】接着剤処理は、同一のディップ液を用い、
リッツラー社製コード処理機を用いて行った。かかるデ
ィップ液の成分組成は下記の通りである。
【0033】 レゾルシン 14.9(重量部) ホルムアルデヒド37%水溶液 19.0 水酸化ナトリウム10%水溶液 18.2 ビニルビリジンラテックス*1 190.5 スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス*2 195.4 軟水 562.0 1000.0 *1:日本合成ゴム(株)製ラテックス JSR0680 *2:日本合成ゴム(株)製ラテックス JSR2108 このディップ液の調整法としては,まず軟水372.5
gにレゾルシンを溶解させた後、水酸化ナトリウム10
%水溶液を攪拌しながら添加し、さらにホルムアルデヒ
ド37%水溶液を添加し、25℃で6時間熟成させ、こ
れをA液とした。一方,残りの軟水189.5gにラテ
ックスを添加し、混合した液をB液とし、このB液に上
記A液を加え、さらに25℃で24時間熟成させて、従
来のRFLディップ液を調整した。このディップ液のR
F/Lは16重量%、固形分含量18重量%、またVP
/(VP+SBR)は7.5重量%であった。
【0034】この液にフィラメントをディップ浴中で浸
漬させ、乾燥ゾーン130℃、第1、第2キュアリング
ゾーン各220〜250℃温度下で、各120、40、
40秒の露出時間の処理を行った。2.25g/d時の
中間伸度は4%を目標として、最終ゾーンの張力を0.
85kgとしたが、他のゾーンは0.4〜1.7kgの
範囲でサンプルにより調整した。
【0035】微細構造解析、物性試験、耐フィブリル
性、タイヤ疲労試験の試験法は下記の方法で行った。た
だし、繊度測定、微細構造解析には、接着剤の代わりに
水を使用したディップコードを使用した。
【0036】これらの特性及び性能評価の結果を下記表
1及び表2に示す。 (1)コード引張試験 JIS L 1017に準じ、島津製作所社製オートグ
ラフにより、25℃±2℃の室温条件下で一定速の引張
を行い、コード切断時の荷重を求め、後述する測定法に
よるコード繊度で除すことにより、コード強度を求め
る。また、初期のSSカーブの立ち上がりの傾きから初
期弾性率を求める。 (2)繊度 長さ9mのコード(接着剤無し)を測りとり、125℃
環境下で30分間乾燥後の重量を測定し、これを100
0倍することで9000mあたりのコード重量(g)、
すなわちデニールとする。 (3)固有粘度測定 溶媒にp−クロロフェノール/テトラクロロエタン
(3:1)混合溶媒を使い、30℃にてスコット社製自
動IV測定装置を使い測定する。 (4)複屈折測定 カールツァイス社製の干渉顕微鏡を用いて、日本地科学
社製の屈折率調製液に漬したサンプルの繊維軸方向屈折
率と垂直方向屈折率を測定し、減算することで求める。
なお、室温における浸漬液の屈折率はアタゴ社製4T型
アッベ屈折計を用いて測定する。 (5)結晶領域配向度測定 理学電機社製の広角X線回析装置及びソフトを用いて測
定する。(010)面についてβ角0〜360度までス
キャンして得られるピークの積分幅を算出し、下記式に
て結晶配向度を求める。
【0037】結晶配向度=1−Σ(積分幅)/360 (6)非晶領域配向度 下記式より求める。
【0038】
【数1】 ただし、fa :非晶領域配向度 △n :複屈折 X :結晶化度 fc :結晶領域配向度 △nc:結晶の固有複屈折(=0.290) △na:非晶の固有複屈折(=0.204) ここで、結晶化度Xは密度(ρ:g/cm3 )を用いた
下記式より求めている。
【0039】
【数2】 ただし、ρc :結晶密度(=1.455g/cm3 ) ρa :非晶密度(=1.335g/cm3 ) (7)密度測定 25℃に保たれた四塩化炭素/n−ヘプタン混合溶媒系
の密度匂配管を使用し、サンプルと密度既知のガラスフ
ロートとを投入後24時間静置し、測定する。 (8)コード耐剥離性試験 接着剤処理コードを未加硫状態の配合ゴム組成物に埋め
込み、170℃×30分、20kg/cm2 の加圧下で
加硫し、得られた加硫物からコードを一定速度で引き抜
き、その際、加硫ゴム中に残ったコードの剥離物の量
を、目視により以下のように評価した。
【0040】○:無し もしくは ほとんど無し △:少し有り ×:有り もしくは 剥離により破断 (9)試作タイヤの高荷重ドラム耐久性 (試作タイヤの作製)試作タイヤ10は、図1に示すよ
うにトレッド部12と、該トレッド部12の両側で連な
る一対のサイド部14と、該サイド部14の内側にそれ
ぞれ形成されたビード部16とを備え、タイヤの半径方
向にカーカスプライコード18Aを配列してなるカーカ
スプライ18と該カーカスプライ18を取り巻き、トレ
ッド部12の内側に埋没されたベルト層20とで補強さ
れた空気入りラジアルタイヤ10であって、そのサイズ
は全て165/70R13である。接着剤処理されたポ
リエステルモノフィラメントをカーカスコードとして使
用し、カーカスコードの打込数及びタイヤ構造において
は、各実施例、比較例において全て同一とした。
【0041】(高荷重ドラム耐久性評価)試作タイヤを
25℃±2℃の室内中でJIS規格の最大空気圧に調製
した後、24時間放置後、空気圧の再調製を行い、JI
S規格の最大荷重の2倍荷重をタイヤに負荷し、直径約
1.7mのドラム上で速度60km/時で、目標である
2万kmまで走行せしめる。その後、試験終了タイヤか
ら傷つけないようにコードを取り出し、ビード折り返し
部のプライコード強力(一般にいう残強力)を測定し、
ディップコード強力に対する保持率(強力保持率%)を
求める。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】表1及び表2から以下のことが確認され
た。比較例1、2は固有粘度が低いためにコード耐剥離
性が悪く、高荷重ドラム試験においてもコードがほとん
ど破断していた。比較例3、4、5は固有粘度は高い
が、非晶配向が高いために、高荷重ドラム終了時には多
数のコードが破断していたり、あるいは残強力が低い問
題がある。比較例6は複屈折が低いためにディップコー
ド強力が低くなっており好ましくない。
【0045】実施例1、2、3、4は、本発明の条件を
満たすものである。固有粘度が高いほど、耐剥離性が向
上し、また高荷重ドラム走行後の残強力が高いことがわ
かる。また同一分子量では、非晶配向が低いものが疲労
性に優れている。そして、その結果、各実施例とも高荷
重ドラム終了後においても、残強力がディップコードの
半分以上あり、充分実使用に耐え得るものと判断され
る。
【0046】
【発明の効果】本発明の接着剤処理されたポリエステル
モノフィラメントは、以上説明したように構成されてい
るので、従来のポリエステルモノフィラメントの高強度
高弾性メリットを維持しながら、ゴム中の耐疲労性を著
しく向上せしめるという優れた効果を示した。また、こ
のポリエステルモノフィラメントをカーカスプライコー
ドとして使用した本発明の空気入りラジアルタイヤは、
耐久性と操縦安定性に優れるという効果を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した試作タイヤを示す部分断面図
である。
【符号の説明】 10 試作タイヤ(空気入りラジアルタイヤ) 12 トレッド部 18 カーカスプライ 18A カーカスプライコード

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレートまたはこれ
    を主成分とするポリエステルからなり、予め接着剤処理
    されたモノフィラメントコードであって、下記の特性を
    同時に満足することを特徴とする、ゴム補強用ポリエス
    テルモノフィラメント。 (a)固有粘度(IV):0.90以上 (b)複屈折△n:0.185以上 (c)結晶配向度:0.93以上 (d)非晶配向度:0.38以下 (e)密度(g/cm3 ):1.400以上 (f)繊度(デニール):2000〜5000 (g)強度:6g/d以上 (h)初期弾性率:70g/d以上
  2. 【請求項2】 トレッド部と、該トレッド部の両側で連
    なる一対のサイド部と、該サイド部の内側にそれぞれ形
    成された一対のビード部とを具え、タイヤの半径方向に
    カーカスプライコードを配列してなるカーカスプライと
    該カーカスプライを取り巻き、トレッド部の内側に埋没
    されたベルト層とで補強されたラジアルタイヤにおい
    て、 前記カーカスプライコードが、前記請求項1記載のゴム
    補強用ポリエステルモノフィラメントからなることを特
    徴とする空気入りラジアルタイヤ。
JP7224999A 1995-09-01 1995-09-01 ゴム補強用ポリエステルモノフィラメント及びそれを用いた空気入りラジアルタイヤ Pending JPH0967732A (ja)

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