JPH0953678A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

Info

Publication number
JPH0953678A
JPH0953678A JP20713995A JP20713995A JPH0953678A JP H0953678 A JPH0953678 A JP H0953678A JP 20713995 A JP20713995 A JP 20713995A JP 20713995 A JP20713995 A JP 20713995A JP H0953678 A JPH0953678 A JP H0953678A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure chamber
vibration
fluid
pressure
mounting member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20713995A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiro Goto
勝博 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP20713995A priority Critical patent/JPH0953678A/ja
Publication of JPH0953678A publication Critical patent/JPH0953678A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)
  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オリフィス通路を利用して主液室の内圧制御
を行うことにより防振効果を得るようにした流体封入式
防振装置において、高周波数域の防振性能の向上を図る
こと。 【解決手段】 第一の取付部材10と第二の取付部材1
2を弾性的に連結する本体ゴム14によって、仕切部材
48を弾性的に支持せしめて流体室46に配設すること
により、該流体室46を、何れも壁部の一部が本体ゴム
14にて構成された、第一の取付部材10側の第一の圧
力室52と第二の取付部材12側の第二の圧力室54に
仕切ると共に、それら第一の圧力室52と第二の圧力室
54を相互に連通する第一のオリフィス通路56を設け
る一方、該第二の圧力室54の壁部の一部を、加振駆動
される振動板42にて構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、内部に流体が封入された圧力室
の内圧を制御することにより防振効果を得るようにした
流体封入式防振装置に係り、特に流体の共振作用を利用
することによって防振効果をより有効に得ることの出来
る、新規な構造の流体封入式防振装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、
特開昭59−1829号公報や特開昭61−2939号
公報等に開示されているように、弾性支持体としての本
体ゴムにより壁部の一部が構成された流体室における壁
部の別の一部を振動板にて構成し、該振動板を適当な加
振手段で加振駆動せしめて流体室の内圧を制御すること
によって、目的とする防振効果を得るようにした流体封
入式防振装置が提案されており、自動車用エンジンマウ
ントやサスペンションブッシュ,ボデーマウント等への
適用が検討されている。
【0003】しかしながら、このような流体封入式防振
装置においても、未だ、要求される防振効果を充分に得
ることが難しいという問題があり、特に近年における自
動車の高級化指向やエンジン機関の高性能化等に伴っ
て、より一層の防振効果の向上が要求されており、更な
る改良が望まれていた。
【0004】このような要求に対処するために、例え
ば、振動板の加振による内圧変動を、オリフィス通路を
通じて流体室に及ぼすことが考えられる。かかる構造の
ものにおいては、オリフィス通路を通じて流動せしめら
れる流体の共振作用を利用することにより、振動板の加
振による内圧変動を流体室に対して効率的に及ぼすこと
が可能であり、それによって、流体室の内圧制御による
防振効果の向上が図られ得るのである。
【0005】ところが、このように流体の共振作用を利
用した場合には、流体の共振作用が有効に発揮されるオ
リフィス通路のチューニング周波数よりも高い周波数域
でオリフィス通路の流通抵抗が著しく増大して実質的に
閉塞化してしまうために、オリフィス通路のチューニン
グ周波数よりも高い周波数域では流体室の内圧制御が実
質的に不可能となって防振性能が著しく低下してしまう
という不具合があった。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決すべき課
題とするところは、流体室の内圧制御による防振特性を
充分に確保しつつ、高周波数域の入力振動に対する防振
性能の著しい低下が回避されて、広い周波数域の入力振
動に対して有効な防振効果を得ることの出来る、改良さ
れた構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
【0007】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の特徴とするところは、(a)互いに所定距離を隔
てて配された第一の取付部材および第二の取付部材と、
(b)それら第一の取付部材と第二の取付部材を連結す
る本体ゴムと、(c)該本体ゴムによって壁部の一部が
構成されて振動入力時に内圧変動が生ぜしめられる、内
部に非圧縮性流体が封入された流体室と、(d)前記本
体ゴムによって弾性的に支持されて該流体室内に配設さ
れることにより、該流体室を前記第一の取付部材側の第
一の圧力室と前記第二の取付部材側の第二の圧力室とに
仕切る仕切部材と、(e)前記第二の取付部材により変
位可能に支持されて前記第二の圧力室の壁部の一部を構
成する振動板と、(f)該振動板を加振することによ
り、前記第二の圧力室に内圧変動を生ぜしめる加振手段
と、(g)前記第一の圧力室と前記第二の圧力室の間に
跨がって形成されて、それら両室間での流体流動を許容
する、内部を通じて流動せしめられる流体の共振周波数
が防振を目的とする第一の振動周波数域に応じてチュー
ニングされた第一のオリフィス通路とを、有する流体封
入式防振装置にある。
【0008】また、本発明の好ましい第一の態様におい
ては、(h)前記第一の圧力室および前記第二の圧力室
から独立して設けられ、壁部の一部が変形容易な可撓性
膜で構成されて、内部に非圧縮性性流体が封入された静
圧室と、(i)前記第一の圧力室および前記第二の圧力
室の少なくとも一方の圧力室と前記静圧室の間に跨がっ
て形成されて、それら圧力室と静圧室の間での流体流動
を許容するが、振動入力時には実質的に閉塞状態となる
微細孔とが、採用される。
【0009】また、本発明の好ましい第二の態様におい
ては、(j)前記第一の圧力室と前記第二の圧力室の間
に跨がって形成されて、それら両室間での流体流動を許
容する、内部を通じて流動せしめられる流体の共振周波
数が前記第一の振動周波数域よりも高い領域における防
振を目的とする第二の振動周波数域に応じてチューニン
グされた第二のオリフィス通路と、(k)該第二のオリ
フィス通路に所定量だけ変位乃至は変形可能に配設され
て、該第二のオリフィス通路を通じての流体流動量を制
限する流量制限手段とが、採用される。
【0010】また、本発明の好ましい第三の態様におい
ては、(l)前記第一の圧力室または前記第二の圧力室
と前記静圧室の間に跨がって形成されて、前記第一の振
動周波数域よりも高い領域における防振を目的とする第
三の振動周波数域の振動入力時にも、それら圧力室と静
圧室の間での流体流動を許容する圧力吸収流路と、
(m)該圧力吸収流路に所定量だけ変位乃至は変形可能
に配設されて、該圧力吸収流路を通じての流体流動量を
制限する流量制限手段とが、採用される。
【0011】また、本発明の好ましい第四の態様におい
ては、前記静圧室が、前記第一の取付部材の内部に形成
される。
【0012】また、本発明の好ましい第五の態様におい
ては、前記振動板が、前記第二の取付部材に対して、支
持ゴムを介して支持せしめられて、該支持ゴムの弾性変
形に基づいて該振動板の変位が許容されるようにされ
る。
【0013】また、本発明の好ましい第六の態様におい
ては、ロッド状の支軸部材によって前記第一の取付部材
が構成される一方、該支軸部材の周りを所定距離を隔て
て取り囲むように配設された筒状部材にて前記第二の取
付部材が構成される。
【0014】このような本発明に従う構造とされた流体
封入式防振装置においては、振動板の加振によって第二
の圧力室に惹起される圧力が、第一のオリフィス通路を
通じて流動せしめられる流体を介して、第一の圧力室に
及ぼされるのであり、その際、第一のオリフィス通路を
通じて流動せしめられる流体の共振周波数が防振を目的
とする第一の振動周波数域に応じてチューニングされて
いることから、かかる第一の振動周波数域の振動入力時
に対応する周波数で振動板を加振した際、第二の圧力室
に惹起される圧力の第一の圧力室への伝達が、流体マス
の共振現象によって、極めて効率的に為され得ることと
なる。
【0015】従って、第一の振動周波数域の振動入力時
には、加振手段によって振動板に小さな駆動力を与える
だけで、第一の圧力室に大きな内圧変動を生ぜしめるこ
とが可能となるのであり、それによって、第一の圧力室
の内圧を有効に制御せしめて、マウント防振特性を調節
し、優れた防振効果を得ることが出来るのである。
【0016】しかも、本発明に従う構造とされた流体封
入式防振装置においては、第一の振動周波数域よりも高
周波の振動入力時に、第一のオリフィス通路が実質的に
閉塞状態となった場合でも、振動板の加振によって第二
の圧力室の内圧を制御することが可能であり、該第二の
圧力室の内圧制御に基づいてマウント防振特性を調節す
ることが出来ることから、第一の振動周波数域よりも高
周波側の広い周波数域の入力振動に対して良好な防振効
果を得ることが出来るのである。
【0017】また、本発明の好ましい第一の態様に係る
流体封入式防振装置においては、防振装置の装着状態下
に及ぼされる被支持体重量等の静的な初期荷重によって
流体室(第一の圧力室および第二の圧力室)に内圧が生
ぜしめられる際にも、流体室から静圧室への微細孔を通
じての流体の移動によって、流体室の内圧が解消される
のであり、それ故、かかる内圧による防振特性や耐久性
等に対する悪影響が回避され得て、防振特性の安定化や
耐久性の向上が図られ得る。
【0018】また、本発明の好ましい第二の態様に係る
流体封入式防振装置においては、防振を目的とする第二
の振動周波数域の振動入力時に対応する周波数で振動板
を加振した際、第二のオリフィス通路を通じて流動せし
められる流体の共振現象によって第二の圧力室から第一
の圧力室への圧力伝達が効率的に為され得て、第一の圧
力室の内圧制御によるマウント防振特性の調節を有効に
行うことが出来ることから、かかる第二の振動周波数域
の入力振動に対しても、有効な防振効果を得ることが出
来るのである。
【0019】それ故、第一のオリフィス通路が、そのチ
ューニング周波数よりも高周波数域の振動入力時に流通
抵抗が増大して実質的に閉塞状態となった場合でも、か
かる第二のオリフィス通路を通じての流体流動により、
防振性能の低下が軽減乃至は解消され得るのであり、そ
の結果、より広い周波数域の入力振動に対して有効な防
振効果が発揮されるのである。
【0020】なお、防振を目的とする第二の振動周波数
域は第一の振動周波数域よりも高く、一般に、第一の振
動周波数域の振動よりも第二の振動周波数域の振動の方
が小振幅であることから、第二の振動周波数域の振動入
力時には、第一のオリフィス通路が流通抵抗増大により
実質的に閉塞状態となって、第二のオリフィス通路を通
じての流体流動が有利に生ぜしめられる一方、第一の振
動周波数域の振動入力時には、第二のオリフィス通路を
通じての流体流動が流量制限手段によって制限されて略
閉塞状態とされることにより、第一のオリフィス通路を
通じての流体流動が有利に生ぜしめられるのであり、以
て、入力される振動周波数に応じて、第一のオリフィス
通路と第二のオリフィス通路とが選択的に機能せしめら
れることとなる。
【0021】更にまた、本発明の好ましい第三の態様に
係る流体封入式防振装置においては、第一の振動周波数
よりも高い第三の振動周波数域の振動入力時に、第一の
オリフィス通路が実質的に閉塞状態となった場合でも、
圧力室に惹起される内圧変動が、圧力吸収流路を通じ
て、静圧室に逃がされることにより、圧力室の内圧上昇
等による防振性能の低下が軽減乃至は解消され得るので
あり、その結果、より広い周波数域の入力振動に対して
有効な防振効果が発揮されるのである。
【0022】また、本発明の好ましい第四の態様に係る
流体封入式防振装置においては、スペースの有効利用が
図られて、静圧室を設けるに際しての防振装置の大型化
が抑えられる。
【0023】更にまた、本発明の好ましい第五の態様に
係る流体封入式防振装置においては、振動板を第二の取
付部材に対して変位可能に支持せしめる支持機構が、簡
単な構造をもって有利に実現され得る。
【0024】また、本発明の好ましい第六の態様に係る
流体封入式防振装置においては、FF型自動車用エンジ
ンマウントやサスペンションブッシュ等に用いられる円
筒型の防振装置に対しても、本発明を有利に適用するこ
とが可能となる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳
細に説明する。
【0026】図1には、本発明の一実施例としての自動
車用エンジンマウントが示されている。本実施例のエン
ジンマウントは、互いに所定距離を隔てて配された第一
の取付部材としての第一の取付金具10と第二の取付部
材としての第二の取付金具12を有していると共に、そ
れら第一の取付金具10と第二の取付金具12が本体ゴ
ム14によって弾性的に連結されており、第一の取付金
具10および第二の取付金具12の各一方が、パワーユ
ニット側およびボデー側に取り付けられることにより、
パワーユニットをボデーに防振支持せしめるようになっ
ている。なお、本実施例のエンジンマウントにおいて
は、自動車への装着時にパワーユニット荷重が初期荷重
として図1中の略上下方向に及ぼされることにより、本
体ゴム14が所定量だけ圧縮変形せしめられると共に、
そのような装着状態下、防振すべき主たる振動が、図1
中の略上下方向に入力されることとなる。なお、以下の
説明中、上方および下方とは、原則として、図1中の上
方および下方をいうものとする。
【0027】より詳細には、第一の取付金具10は、そ
れぞれ略有底円筒形状を有する上金具20と下金具22
が、各開口側で互いに軸方向に重ね合わされてボルト連
結されることにより、中空構造をもって形成されてい
る。なお、上金具20の底壁部には、該上金具20をパ
ワーユニット側またはボデー側に取り付けるためのボル
ト穴24が設けられている。
【0028】また、第一の取付金具10の中空内部に
は、略薄肉円板形状のゴム膜からなる可撓性膜26が配
設されており、外周縁部を上下金具20,22間で挟持
されている。それによって、第一の取付金具10の内部
が、可撓性膜26を挟んで、上金具20側と下金具22
側とに、流体密に二分されており、以て、下金具22の
内部には、可撓性膜26の変形に基づいて容積変化が容
易に許容される静圧室18が形成されている。なお、上
金具20の内部空間は、周壁部に穿孔された通孔28を
通じて外部空間に連通されており、可撓性膜26の変形
を充分に許容し得るようになっている。また一方、下金
具22の底壁部には、微小な口径の微細孔30が内外に
貫通して設けられており、静圧室18に連通せしめられ
ている。
【0029】さらに、下金具22には、本体ゴム14が
加硫接着されている。この本体ゴム14は、テーパ付き
の略円筒形状を有しており、その小径側の開口端面に下
金具22の筒壁部外周面が加硫接着されている。それに
よって、本体ゴム14の小径側開口部が第一の取付金具
10により流体密に閉塞されて、本体ゴム14の内部
に、下方(大径側)に向かって開口する凹所34が形成
されている。
【0030】また、本体ゴム14には、その大径側の開
口端面に対して円環形状の連結金具38が加硫接着され
ている。そして、この連結金具38に対して、第二の取
付金具12が、軸方向に重ね合わされてボルト固定され
ている。
【0031】第二の取付金具12は円環形状を有してお
り、その中心穴40内には、該中心穴40の内径よりも
所定寸法小さな外径を有する円板形状の振動板42が配
設されていると共に、この振動板42の外周縁部と第二
の取付金具12の内周縁部との間に、略円環板形状を有
する支持ゴム44が介装されている。これによって、振
動板42が、支持ゴム44を介して、第二の取付金具1
2により支持せしめられ、支持ゴム44の弾性変形に基
づいて振動板42の変位が許容されるようになっている
と共に、これら振動板42と支持ゴム44によって第二
の取付金具12の中心穴40が流体密に閉塞されている
のであり、以て、本体ゴム14の内部に形成された凹所
34の開口部(本体ゴム14の大径側開口部)が、流体
密に閉塞されて、該本体ゴム14の内部に流体室46が
形成されている。
【0032】そして、この流体室46には、水やアルキ
レングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコー
ン油等の非圧縮性流体が封入されている。なお、かかる
封入流体としては、流体の共振作用に基づく防振効果を
有利に得るために、0.1Pa・s以下の粘度を有する
低粘性流体を用いることが望ましい。また、流体の封入
操作は、例えば、本体ゴム14の一体加硫成形品に対す
る第二の取付金具12の組付けを流体中で行うこと等に
よって、有利に為され得る。
【0033】また、流体室46の内部には、全体として
略円板形状を有する硬質の仕切部材48が収容配置され
ており、本体ゴム14の軸方向中間部分に加硫接着され
た環状の支持金具50にボルト固定されることによっ
て、第一の取付金具10と第二の取付金具12の対向面
間の略中央部分において、第一の取付金具10と第二の
取付金具12の対向方向に略直交する方向に広がる状態
で、第一の取付金具10および第二の取付金具12に対
して本体ゴム14を介して弾性的に支持されて配設され
ている。そして、この仕切部材48によって、流体室4
6が流体密に二分せしめられ、以て、それぞれ外周壁部
が本体ゴム14にて構成された、第一の取付金具10側
に位置する第一の圧力室52と第二の取付金具12側に
位置する第二の圧力室54とが、形成されている。
【0034】また、仕切部材48は、上下仕切板金具5
8,60が互いに重ね合わされて構成されており、それ
ら上下仕切板金具58,60の重ね合わせ面間には、外
周縁部を周方向に所定長さで延び、周方向両端部におい
て第一の圧力室52と第二の圧力室54の各一方に連通
された第一のオリフィス通路56が形成されている。
【0035】また一方、第一の圧力室52は、第一の取
付金具10の内部に形成された静圧室18に対して、微
細孔30を通じて連通されていると共に、この静圧室1
8には第一の圧力室52と同様な非圧縮性流体が封入さ
れており、以て、第一の圧力室52と静圧室18との間
で、微細孔30を通じての封入流体の緩慢な移動が許容
されるようになっている。即ち、この微細孔30は、流
速の大きな流体流動に対しては大きな流通抵抗を発揮す
るものであって、第一の圧力室52に動的な圧力変動が
惹起された場合には、微細孔30が実質的に閉塞状態と
なり、微細孔30を通じての流体流動は実質的に生ぜし
められず、第一の圧力室52に静的荷重による圧力変化
が惹起された場合にだけ、微細孔30を通じての流体の
移動によって第一の圧力室52の静圧が解消されるよう
に、微細孔30の口径が充分に小さく設定されているの
である。
【0036】要するに、本実施例のエンジンマウントに
おいては、自動車への装着時にパワーユニット荷重が静
的荷重として及ぼされることにより、本体ゴム14が弾
性変形して第一及び第二の圧力室52,54の内圧が増
大するが、第一の圧力室52と静圧室18との圧力差に
基づいて、封入流体が微細孔30を通じて第一の圧力室
52から静圧室18に徐々に移行することにより、自動
車への装着状態下における第一の圧力室52の内圧が解
消されるようになっているのである。なお、第二の圧力
室54は、第一のオリフィス通路56を通じて第一の圧
力室52に連通されていることから、第一の圧力室52
と共に、静的荷重による内圧が解消されることとなる。
【0037】さらに、第二の取付金具12には、有底円
筒形状のコイルケース62が軸方向に重ね合わされ、開
口周縁部に形成されたフランジ状部64において第二の
取付金具12の下面に重ね合わされてボルト固定されて
いる。なお、本実施例では、このコイルケース62を介
して、第二の取付金具12が、ボデー側またはパワーユ
ニット側に取り付けられるようになっている。
【0038】また、コイルケース62には、ボビン66
に巻回されたソレノイドコイル68が収容されていると
共に、全体としてリール形状を有する内側ヨーク部材7
0,72が、ソレノイドコイル68の内孔を通って軸方
向両側を覆うようにして、該ソレノイドコイル68に対
して固定的に組み付けられている。そして、内側ヨーク
部材70がコイルケース62の底壁部にボルト固定され
ることにより、ソレノイドコイル68および内側ヨーク
部材70,72が、コイルケース62内の中央部分にお
いて、それぞれ中心軸が上下方向に延びる状態で配設さ
れている。なお、図中、74は、ソレノイドコイル68
への給電用リード線である。
【0039】さらに、コイルケース62の内部には、逆
カップ形状を有する外側ヨーク部材76が配設されてお
り、該外側ヨーク部材76の上底部が振動板42の下面
に重ね合わされてボルト固定されることにより、振動板
42と外側ヨーク部材76が一体的に変位せしめられる
ようになっている。そして、この外側ヨーク部材76
は、内側ヨーク部材70,72およびソレノイドコイル
68に対して上方から被せられ、それら内側ヨーク部材
70,72およびソレノイドコイル68の外周面を僅か
な隙間を隔てて覆うようにして、内側ヨーク部材70,
72およびソレノイドコイル68に対して軸方向に相対
変位可能に外挿、配置されている。
【0040】また、内側ヨーク部材70,72と外側ヨ
ーク部材76は、何れも、鉄等の強磁性材にて形成され
ており、それによって、内側ヨーク部材70,72と外
側ヨーク部材76にて、ソレノイドコイル68の周囲に
磁路が形成されるようになっている。そして、外側ヨー
ク部材76の筒壁部が、ソレノイドコイル68の軸方向
下側端面を覆う内側ヨーク部材72までは僅かに至らな
い長さとされることにより、ソレノイドコイル68への
通電時に、外側ヨーク部材76に対して、軸方向下方に
向かう吸引力が及ぼされるようになっているのであり、
以て、この磁気吸引力に基づく外側ヨーク部材76の変
位に伴い、振動板42が支持ゴム44の弾性力に抗して
下方に変位せしめられるようになっている。なお、外側
ヨーク部材76の上底部には空気抜き孔78が設けられ
ており、内側ヨーク部材70と外側ヨーク部材76の間
の空間に空気が給排されることによって、外側ヨーク部
材76の変位時における空気ばね作用が回避されるよう
になっている。また、コイルケース62は、磁束の拡散
を抑えるために非磁性材にて形成することが望ましい。
【0041】さらに、内側ヨーク部材70の中心孔80
には、適当な合成樹脂材料等によって形成された低摩擦
性の摺動スリーブ82が挿入されて嵌着固定されてい
る。また、外側ヨーク部材76を振動板42に固定する
ボルトの頭部は、軸方向に延長されて下方に延びる円形
断面のロッド84とされており、このロッド84が、内
側ヨーク部材70の中心孔80に挿入されて、摺動スリ
ーブ82に摺動可能に挿通されている。そして、摺動ス
リーブ82によってロッド84が軸方向に案内され、該
ロッド84の軸直角方向への変位が阻止されることによ
り、振動板42における傾き等の不規則な変位が防止さ
れて振動板42が上下方向に安定して変位せしめられる
と共に、外側ヨーク部材76の内側ヨーク部材70,7
2への接触や吸着が防止されて安定した磁気吸引力が生
ぜしめられるようになっている。なお、本実施例では、
ロッド84が非磁性材で形成されているが、このロッド
84を強磁性材で形成しても良く、また、その場合に
は、該ロッド84を外側ヨーク部材76と略同一の軸方
向長さで内側ヨーク部材70の中心孔80に挿入せしめ
ることにより、ロッド84にもソレノイドコイル68に
よる磁気吸引力が及ぼされるようにすることが可能であ
る。
【0042】これにより、ソレノイドコイル68に対し
て脈動電流や交番電流等を給電すると、通電電流が増加
する際には、外側ヨーク部材76に及ぼされる磁気吸引
力が増大して振動板42が支持ゴム44の弾性力に抗し
て下方に変位せしめられる一方、通電電流が減少する際
には、外側ヨーク部材76に及ぼされる磁気吸引力が減
少して振動板42が支持ゴム44に蓄えられたエネルギ
に基づく弾性力によって上方に変位せしめられるように
なっているのであり、その結果、振動板42が、ソレノ
イドコイル68への給電に応じて、上下に往復変位(振
動)させられるようになっているのである。なお、本実
施例では、ソレノイドコイル68における磁極の方向に
拘わらず外側ヨーク部材76に対して磁気吸引力が及ぼ
されることから、ソレノイドコイル68への給電周波数
の2倍の周波数で振動板42の加振力が及ぼされること
となる。また、振動板42の振幅および振動周波数は、
ソレノイドコイル68に給電する電流の大きさや周波数
を調節すること等によって変更され得る。
【0043】そして、このように振動板42が加振され
ることによって、第二の圧力室54の内圧が変化せしめ
られるのであり、それによって第二の圧力室54と第一
の圧力室52の間に内圧差が生ぜしめられると、それら
第二の圧力室54と第一の圧力室52の間で第一のオリ
フィス通路56を通じての流体流動が生ぜしめられるこ
ととなる。その結果、第二の圧力室54だけでなく第一
の圧力室52にも内圧変化が生ぜしめられてマウント防
振特性が調節されることとなるのであり、マウントへの
入力振動との位相差を考慮して振動板を加振することに
よって、減衰効果を向上せしめたり、或いは低動ばね化
による振動絶縁効果を向上せしめたりすることが可能と
なる。
【0044】ここにおいて、本実施例では、第一のオリ
フィス通路56を通じて流動する流体マスの共振現象
が、アイドリング振動等に相当する中周波数域(例え
ば、30Hz程度)において生ぜしめられるように、該第
一のオリフィス通路56の長さや断面積等が設定されて
いる。これにより、第一及び第二の圧力室52,54の
内圧変化に基づく低動ばね化による振動絶縁効果を得る
べく、アイドリング振動に相当する周波数で振動板42
を加振せしめて第二の圧力室54に内圧変化を生ぜしめ
ると、第一のオリフィス通路56を通じての流動流体に
共振現象が発生し、以て該流体の共振現象によってより
大きなパワーが第一の圧力室52と第二の圧力室54に
及ぼされて、それら第一及び第二の圧力室52,54に
有効な内圧変化が生ぜしめられることとなる。
【0045】それ故、ソレノイドコイル68やヨーク部
材70,72,76等からなる加振手段を比較的小さな
エネルギーで駆動して振動板42を加振した場合でも、
第一のオリフィス通路56を通じて流動せしめられる流
体マスの共振作用によってパワーが増幅されて、第一及
び第二の圧力室52の内圧、延いてはマウント防振特性
の調節が有効に為され得るのであり、以て、目的とする
振動絶縁効果を極めて有効に得ることが出来るのであ
る。
【0046】なお、静的荷重による第一及び第二の圧力
室52,54の内圧は、微細孔30を通じて第一の圧力
室52に連通された静圧室18によって吸収されること
から、パワーユニット荷重等に起因して生ぜしめられる
第一及び第二の圧力室52,54の内圧によってマウン
ト防振特性が阻害されるようなこともない。また、微細
孔30は、振動によって第一の圧力室52に生ぜしめら
れる内圧に対して著しく大きな流動抵抗を示し、実質的
に閉塞状態となることから、該微細孔30を通じての第
一の圧力室52からの流体の流出に起因して、第一の圧
力室52の内圧変動が吸収されてマウント防振特性が阻
害されるようなこともない。
【0047】また、かかるエンジンマウントにおいて
は、比較的小さなエネルギーで有効な防振効果を得るこ
とが出来ることから、電力消費量が抑えられると共に、
加振手段を構成するソレノイドコイル68等の小型,軽
量化が可能であり、製造コストが安価となるという利点
もある。
【0048】しかも、上述の如き構造とされたエンジン
マウントにおいては、こもり音等の高周波振動が入力さ
れた際に、こもり音等に相当する高周波数で振動板42
を加振すると、第一のオリフィス通路56は流通抵抗が
著しく増大して実質的に閉塞してしまい、第一の圧力室
52への内圧伝達は有効に為され難くなるが、振動板4
2の加振によって第二の圧力室54には有効な内圧変化
が生ぜしめられることから、該第二の圧力室54の内圧
を制御せしめてマウント防振特性を調節することが出来
る。それ故、第一のオリフィス通路56がチューニング
された第一の振動周波数域よりも高周波数域の振動入力
時にも、防振性能の著しい低下が回避されて、広い周波
数域の入力振動に対して有効な防振効果を得ることが出
来るのである。
【0049】なお、上述の如き構造とされたエンジンマ
ウントにおいては、ソレノイドコイル68への通電によ
って加振される可動部分(振動板42,外側ヨーク部材
76,ロッド84等を含む)や、或いは本体ゴム14に
よって弾性支持された仕切部材48(支持金具50を含
む)の共振周波数を、防振を目的とする周波数域となる
ようにチューニングすることも可能であり、それによっ
て、防振効果をより一層効率的に得ることが可能とな
る。
【0050】次に、図2には、本発明の第二の実施例と
してのエンジンマウントが示されている。なお、本実施
例は、前記第一の実施例のエンジンマウントに対して、
高周波振動に対する防振特性の更なる向上を図るべく、
高周波振動に対する防振機構を付与せしめたものの一具
体例を示すものであり、第一の実施例と同様な構造とさ
れた部材および部位については、それぞれ、図面中に、
第一の実施例と同一の符号を付することにより、それら
の詳細な説明を省略する。
【0051】すなわち、本実施例のエンジンマウントに
おいては、第一の圧力室52と第二の圧力室54を仕切
る仕切部材48の構造が、第一の実施例とは異なってお
り、この仕切部材48に対して、高周波振動に対する防
振機構が付与されている。
【0052】より詳細には、本実施例では、仕切部材4
8の中央部分に、軸方向(上下仕切板金具58,60の
重ね合わせ方向)に貫通して延びる透孔が形成されてお
り、この透孔によって、第一の圧力室52と第二の圧力
室54を相互に連通する第二のオリフィス通路86が構
成されている。そして、この第二のオリフィス通路86
は、流路断面積:Aと流路長さ:Lの比:A/Lの値
が、第一のオリフィス通路56よりも大きく設定される
ことにより、こもり音等に相当する高周波数域にチュー
ニングされている。
【0053】さらに、第二のオリフィス通路86には、
硬質ゴムや合成樹脂,金属等の硬質材料からなる円板形
状の可動板88が配設されており、この可動板88の外
周縁部が、第二のオリフィス通路86の内周面に形成さ
れた周方向に延びる凹溝90に差し込まれることによ
り、かかる可動板88が、第二のオリフィス通路86を
仕切るようにして、凹溝90内で所定量だけ変位可能に
配設されている。要するに、可動板88の外周縁部の肉
厚寸法よりも、凹溝90の内法寸法の方が僅かに大きく
されていることにより、それらの寸法差分だけのガタ
が、可動板88の変位として許容されるようになってい
るのであり、以て、この可動板88の変位に基づいて、
第二のオリフィス通路86を通じての第一の圧力室52
と第二の圧力室54の間における流体流動が許容される
ようになっているのである。
【0054】これにより、こもり音等の高周波振動が入
力された際に、入力振動に相当する高周波数で振動板4
2を加振すると、第一のオリフィス通路56は流通抵抗
が著しく増大して実質的に閉塞化してしまうが、第二の
オリフィス通路86を通じて流動する流体に共振現象が
発生し、該流体の共振現象によってより大きなパワーが
第二の圧力室54から第一の圧力室52に及ぼされて、
第一の圧力室52にも有効な内圧変化が及ぼされること
となり、以て、第一のオリフィス通路56がチューニン
グされた周波数域の入力振動に対する防振効果と同様な
防振効果が、高周波振動に対しても有効に発揮され得る
のであり、前記第一の実施例より一層優れた高周波振動
に対する防振性能が発揮されるのである。
【0055】なお、第二のオリフィス通路86は、第一
のオリフィス通路56よりもA/Lの比が大きく流通抵
抗が小さいが、一般に、アイドリング振動等の中周波振
動はこもり音等の高周波振動に比して振幅が大きく、中
周波振動の入力時には第二のオリフィス通路86を通じ
て流動する流体流量が可動板88にて制限されることか
ら、第一のオリフィス通路56を通じての流体流動量が
確保されて、第一のオリフィス通路56を通じて流動す
る流体の共振作用に基づく防振性能の向上効果が有効に
発揮され得る。
【0056】従って、本実施例のエンジンマウントにお
いては、中周波数域の振動入力時には、第二の圧力室5
4から第一の圧力室52への圧力伝達が、第一のオリフ
ィス通路56を流動する流体の共振作用に基づいて効率
的に為され得ると共に、高周波数域の振動入力時には、
第二の圧力室54から第一の圧力室52への圧力伝達
が、第二のオリフィス通路86を通じて流動する流体の
共振作用に基づいて効率的に為され得ることから、中周
波および高周波の何れの周波数域の入力振動に対して
も、第一の圧力室52および第二の圧力室54の圧力制
御に基づく防振効果を有利に得ることが出来るのであ
り、前記第一の実施例のエンジンマウントよりも、広い
周波数域の入力振動に対して一層優れた防振効果を発揮
し得ることとなる。
【0057】なお、本実施例では、硬質の可動板88の
変位量を制限することによって、第二のオリフィス通路
86を通じての流体流動量を制限する流量制限手段が採
用されていたが、かかる流量制限手段としては、第一の
オリフィス通路56がチューニングされた周波数域の振
動入力時に、第二のオリフィス通路86を通じての流体
流動量を制限して、第一のオリフィス通路56を通じて
の流体流動量を有効に確保し得るものであれば良く、前
記実施例のものに限定されるものではない。例えば、図
3に示されているように、上下仕切板金具58,60の
重ね合わせ面間に配設空間を形成すると共に、それら上
下仕切板金具58,60の各中央部分に複数の通孔96
を設けて、該配設空間を第一の圧力室52と第二の圧力
室54の各一方に連通せしめることにより、かかる配設
空間によって第二のオリフィス通路86を構成する一
方、複数の弾性突起92が両面に設けられた可動板94
を、該第二のオリフィス通路86に収容配置して、上下
仕切板金具58,60間で弾性突起92を介して可動板
94を挟み込むことによって、弾性突起92の弾性変形
に基づいて可動板94の所定量の変位が許容されるよう
にした流量制限手段を採用することも可能である。な
お、図3においては、理解を容易とするために、第二の
実施例と同様な構造とされた部材および部位に対して、
それぞれ、同一の符号を付しておく。
【0058】さらに、図4には、本発明の第三の実施例
としての自動車用エンジンマウントが示されている。な
お、本実施例は、前記第一の実施例のエンジンマウント
に対して、高周波振動に対する防振特性の更なる向上を
図るべく、高周波振動に対する防振機構を付与せしめた
ものの一具体例を示すものであり、第一の実施例と同様
な構造とされた部材および部位については、それぞれ、
図面中に、第一の実施例と同一の符号を付することによ
り、それらの詳細な説明を省略する。
【0059】すなわち、本実施例のエンジンマウントに
おいては、第一の圧力室52と静圧室18を仕切る隔壁
部分の構造が、第一の実施例とは異なっており、この隔
壁部分に対して、高周波振動に対する防振機構が付与さ
れている。
【0060】より詳細には、第一の取付金具10を構成
する下金具22の底壁部中央に対して、大口径の穴が設
けられており、この中央穴によって、第一の圧力室52
と静圧室18を連通する圧力吸収流路98が構成されて
いる。
【0061】また、下金具22の底壁部下面には、リン
グ金具100がボルト固定されており、下金具22の底
壁部とリング金具100の間に、圧力吸収流路98の内
周面を周方向に連続して延びる凹溝102が形成されて
いる。さらに、圧力吸収流路98には、硬質材料からな
る円板形状の可動板104が配設されており、この可動
板104の外周縁部が凹溝102に差し込まれることに
より、かかる可動板104が、圧力吸収流路98を仕切
るようにして、凹溝102内で所定量だけ変位可能に配
設されている。要するに、可動板104の外周縁部の肉
厚寸法よりも、凹溝102の内法寸法の方が僅かに大き
くされていることにより、それらの寸法差分だけのガタ
が、可動板104の変位として許容されるようになって
いるのであり、以て、この可動板104の変位に基づい
て、圧力吸収流路98を通じての第一の圧力室52と静
圧室18との間での流体流動が許容されるようになって
いるのである。
【0062】これにより、こもり音等の高周波振動が入
力された際には、第一のオリフィス通路56の流通抵抗
が著しく増大して実質的に閉塞化してしまい、第二の圧
力室54における内圧制御が第一の圧力室52に及ぼさ
れずに、第一の圧力室52に大きな内圧が生ぜしめられ
ることとなるが、かかる第一の圧力室52の内圧変動
が、圧力吸収流路98を通じての第一の圧力室52と静
圧室18との間における流体流動によって軽減乃至は吸
収されるのであり、それによって、第一の圧力室52の
内圧増大に伴う高動ばね化に起因する防振性能の著しい
低下が解消されて、高周波振動に対してより有効な防振
効果が発揮され得るのである。
【0063】なお、圧力吸収流路98を通じての流体流
動量は可動板104で制限されることから、かかる圧力
吸収流路98を通じての流体流動によって、振幅の大き
い中周波振動の入力時に第一の圧力室52内の圧力変動
が吸収されてしまうことはなく、第一のオリフィス通路
56を通じて流動する流体の共振作用に基づく防振性能
の向上効果は有効に発揮され得る。
【0064】従って、本実施例のエンジンマウントにお
いては、中周波数域の振動入力時には、第一及び第二の
圧力室52,54の圧力制御に基づく防振効果が発揮さ
れる一方、高周波数域の振動入力時には、振動板42の
加振による第二の圧力室54の内圧制御に基づく防振効
果が発揮されると共に、圧力吸収流路98を通じての流
体流動により第一の圧力室52の内圧上昇が軽減され
て、第一の圧力室52の内圧上昇に起因する著しい防振
性能の低下が回避されるのであり、それによって、前記
第一の実施例のエンジンマウントよりも高周波振動に対
する防振性能の向上が図られ得、広い周波数域の入力振
動に対してより一層優れた防振効果が発揮されることと
なる。
【0065】なお、本実施例では、圧力吸収流路98
が、静圧室18と第一の圧力室52をつなぐ微細孔をも
兼ねており、凹溝102と可動板104の間の隙間を通
じての流体流動によって、パワーユニット重量等の静的
荷重による第一及び第二の圧力室52,54の内圧上昇
が解消されるようになっている。
【0066】また、本実施例では、硬質の可動板104
の変位量を制限することによって、圧力吸収流路98を
通じての流体流動量を制限する流量制限手段が採用され
ていたが、かかる流量制限手段としては、第一のオリフ
ィス通路56がチューニングされた周波数域の振動入力
時に、圧力吸収流路98を通じての流体流動を制限し
て、第一のオリフィス通路56を通じての流体流動量を
有効に確保し得るものであれば良く、前記実施例のもの
に限定されるものではない。具体的には、例えば、図3
に示された第二のオリフィス通路用の流量制限手段と同
様な構造のものを、圧力吸収流路用の流量制限手段とし
て用いることも可能である。
【0067】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これらは文字通りの例示であって、本発明は、こ
れらの具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0068】例えば、第一のオリフィス通路や第二のオ
リフィス通路は、何れも、流路断面積や長さ等を適当に
調節することによって、防振を目的とする各種の周波数
域の振動に対してチューニングすることが可能である。
そして、シェイク等の低周波振動にチューニングするこ
とも、勿論、可能であり、その場合には、例えば、入力
振動に対する振動板の加振振動の位相を調節することに
より、有効な減衰効果を得ることも可能である。
【0069】また、オリフィス通路の構造は、必要な長
さや断面積を確保するために、マウント構造を考慮し
て、各種の構造が採用され得るものであり、前記実施例
のものに限定されることはない。
【0070】更にまた、振動板を加振する加振手段とし
ても、例示のものに限定されることはなく、電歪素子や
磁歪素子を利用したものや油圧式乃至は空圧式のアクチ
ュエータ,リニアアクチュエータ等を採用することも可
能である。
【0071】さらに、第一のオリフィス通路56および
第二のオリフィス通路86が設けられた、前記第二の実
施例において、前記第三の実施例に示されているような
圧力吸収流路98を採用することも可能である。その
際、例えば、第二のオリフィス通路86がチューニング
された第二の振動周波数域よりも更に高周波数域の振動
入力時に流体流動が許容されるように圧力吸収流路98
を設定し、且つ、第二の振動周波数域の振動入力時に圧
力吸収流路98を通じての流体流動が制限されて第二の
オリフィス通路86を通じての流体流動量が確保される
ように、該圧力吸収流路98に配設される可動板104
を調節することにより、第一及び第二のオリフィス通路
56,86を通じて流動する流体の共振作用を利用して
第一及び第二の圧力室52,54の圧力制御に基づく防
振効果を有効に得ることが出来ると共に、第二のオリフ
ィス通路86も実質的に閉塞化してしまう程のより高周
波数域の振動入力時におけるマウントの高動ばね化が、
第二の圧力室54の内圧制御に加えて、圧力吸収流路9
8を通じての流体流動による第一の圧力室52の内圧吸
収作用によっても軽減乃至は回避され得ることとなり、
極めて広い周波数域の入力振動に対して優れた防振効果
を得ることが可能となるのである。
【0072】また、静的荷重による流体室の内圧を吸収
する静圧室による静圧吸収機構は、必ずしも必要でな
く、特に、装着時に初期荷重が及ぼされないロールマウ
ント等においては、設ける必要がない。
【0073】加えて、本発明は、米国特許第46903
89号明細書に開示されているような、支軸部材とその
周りに配設された筒状部材によって第一の取付部材と第
二の取付部材が構成された、FF型自動車用エンジンマ
ウント等に好適に用いられる筒型構造の防振装置に対し
ても適用され得る。
【0074】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもない。
【0075】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、第
一の振動周波数域の入力振動に対して第一の圧力室の内
圧制御に基づく防振効果を得ることが出来ると共に、よ
り高周波域の入力振動に対して第二の圧力室の内圧制御
に基づく防振効果を得ることが出来ることから、広い周
波数域の入力振動に対して優れた防振効果が発揮され得
るのである。
【0076】また、請求項2に記載の本発明に従う構造
とされた流体封入式防振装置においては、初期荷重等の
静的荷重の作用により流体室に生ぜしめられる内圧も解
消されて、第一及び第二の圧力室の内圧制御等に基づく
防振効果が有効に且つ安定して発揮されるのである。
【0077】また、請求項3に記載の本発明に従う構造
とされた流体封入式防振装置においては、第一の振動周
波数域とは異なる第二の振動周波数域の入力振動に対し
ても、振動板の加振による第一の圧力室の内圧制御に基
づく防振効果が有効に発揮され得て、複数の又は広い周
波数域の入力振動に対して優れた防振効果が発揮される
のである。
【0078】また、請求項4に記載の本発明に従う構造
とされた流体封入式防振装置においては、第一の振動周
波数域とは異なる第三の振動周波数域の振動入力時にお
ける圧力室の内圧上昇等による防振性能の低下が回避さ
れることから、広い周波数域の入力振動に対して優れた
防振効果が発揮されるのである。
【0079】また、請求項5に記載の本発明に従う構造
とされた流体封入式防振装置においては、静圧室の設置
スペースの効率化が有利に図られ得る。
【0080】また、請求項6に記載の本発明に従う構造
とされた流体封入式防振装置においては、振動板の第二
の取付部材に対して変位可能に支持せしめる支持機構
が、簡単な構造をもって有利に実現され得る。
【0081】また、請求項7に記載の本発明に従う構造
とされた流体封入式防振装置においては、FF型自動車
用エンジンマウントやサスペンションブッシュ等に用い
られる円筒型の防振装置に対して、本発明を有利に適用
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例としてのエンジンマウン
トを示す縦断面説明図である。
【図2】本発明の第二の実施例としてのエンジンマウン
トを示す縦断面説明図である。
【図3】図2に示されたエンジンマウントにおいて採用
され得る、流量制限手段の別の具体例を示す要部説明図
である。
【図4】本発明の第三の実施例としてのエンジンマウン
トを示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
10 第一の取付金具 12 第二の取付金具 14 本体ゴム 18 静圧室 26 可撓性膜 30 微細孔 42 振動板 44 支持ゴム 46 流体室 48 仕切部材 52 第一の圧力室 54 第二の圧力室 56 第一のオリフィス通路 68 ソレノイドコイル 70,72 内側ヨーク部材 76 外側ヨーク部材 86 第二のオリフィス通路 88,94,104 可動板 98 圧力吸収流路

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに所定距離を隔てて配された第一の
    取付部材および第二の取付部材と、 それら第一の取付部材と第二の取付部材を連結する本体
    ゴムと、 該本体ゴムによって壁部の一部が構成されて振動入力時
    に内圧変動が生ぜしめられる、内部に非圧縮性流体が封
    入された流体室と、 前記本体ゴムによって弾性的に支持されて該流体室内に
    配設されることにより、該流体室を前記第一の取付部材
    側の第一の圧力室と前記第二の取付部材側の第二の圧力
    室とに仕切る仕切部材と、 前記第二の取付部材により変位可能に支持されて前記第
    二の圧力室の壁部の一部を構成する振動板と、 該振動板を加振することにより、前記第二の圧力室に内
    圧変動を生ぜしめる加振手段と、 前記第一の圧力室と前記第二の圧力室の間に跨がって形
    成されて、それら両室間での流体流動を許容する、内部
    を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が防振を目
    的とする第一の振動周波数域に応じてチューニングされ
    た第一のオリフィス通路とを、有することを特徴とする
    流体封入式防振装置。
  2. 【請求項2】前記第一の圧力室および前記第二の圧力室
    から独立して設けられ、壁部の一部が変形容易な可撓性
    膜で構成されて、内部に非圧縮性性流体が封入された静
    圧室と、 前記第一の圧力室および前記第二の圧力室の少なくとも
    一方の圧力室と前記静圧室の間に跨がって形成されて、
    それら圧力室と静圧室の間での流体流動を許容するが、
    振動入力時には実質的に閉塞状態となる微細孔とを、設
    けた請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 【請求項3】 前記第一の圧力室と前記第二の圧力室の
    間に跨がって形成されて、それら両室間での流体流動を
    許容する、内部を通じて流動せしめられる流体の共振周
    波数が前記第一の振動周波数域よりも高い領域における
    防振を目的とする第二の振動周波数域に応じてチューニ
    ングされた第二のオリフィス通路と、 該第二のオリフィス通路に所定量だけ変位乃至は変形可
    能に配設されて、該第二のオリフィス通路を通じての流
    体流動量を制限する流量制限手段とを、設けた請求項1
    又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 【請求項4】 前記第一の圧力室または前記第二の圧力
    室と前記静圧室の間に跨がって形成されて、前記第一の
    振動周波数域よりも高い領域における防振を目的とする
    第三の振動周波数域の振動入力時にも、それら圧力室と
    静圧室の間での流体流動を許容する圧力吸収流路と、 該圧力吸収流路に所定量だけ変位乃至は変形可能に配設
    されて、該圧力吸収流路を通じての流体流動量を制限す
    る流量制限手段とを、設けたことを特徴とする請求項1
    乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  5. 【請求項5】 前記静圧室が、前記第一の取付部材の内
    部に形成されている請求項1乃至4の何れかに記載の流
    体封入式防振装置。
  6. 【請求項6】 前記振動板が、前記第二の取付部材に対
    して、支持ゴムを介して支持せしめられて、該支持ゴム
    の弾性変形に基づいて該振動板の変位が許容されるよう
    になっている請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入
    式防振装置。
  7. 【請求項7】 ロッド状の支軸部材によって前記第一の
    取付部材が構成される一方、該支軸部材の周りを所定距
    離を隔てて取り囲むように配設された筒状部材にて前記
    第二の取付部材が構成されている請求項1乃至6の何れ
    かに記載の流体封入式防振装置。
JP20713995A 1995-08-14 1995-08-14 流体封入式防振装置 Pending JPH0953678A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20713995A JPH0953678A (ja) 1995-08-14 1995-08-14 流体封入式防振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20713995A JPH0953678A (ja) 1995-08-14 1995-08-14 流体封入式防振装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0953678A true JPH0953678A (ja) 1997-02-25

Family

ID=16534853

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20713995A Pending JPH0953678A (ja) 1995-08-14 1995-08-14 流体封入式防振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0953678A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100857882B1 (ko) * 2007-05-03 2008-09-10 주식회사 대흥알앤티 이중 오리피스 유체봉입식 능동형 엔진마운트

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100857882B1 (ko) * 2007-05-03 2008-09-10 주식회사 대흥알앤티 이중 오리피스 유체봉입식 능동형 엔진마운트

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3692815B2 (ja) 流体封入式能動型防振装置
US6527262B2 (en) Fluid-filled active elastic engine mount
WO2010070850A1 (ja) 流体封入式防振装置
JP2002106633A (ja) 防振用アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置
JPH0459495B2 (ja)
JPH11247919A (ja) 流体封入式能動型防振装置
JP3620368B2 (ja) 流体封入式能動的マウント
JPH10184771A (ja) 流体封入式防振装置
JP3551673B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2000283214A (ja) 防振装置用加振器およびそれを用いた能動型防振装置
JP3658874B2 (ja) 制振器
JP3503288B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2510915B2 (ja) 流体封入式筒型防振装置
JP3518095B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH10169705A (ja) 制振器
JP3724237B2 (ja) 流体封入式能動型防振装置
JP3778013B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH11125305A (ja) 防振ブッシュ付きアーム部材
JP3384021B2 (ja) 流体封入式マウント装置の制御方法
JPH0953678A (ja) 流体封入式防振装置
JP2002206591A (ja) 液体封入式防振装置
JPH1047426A (ja) 流体封入式マウント装置
JP2006266425A (ja) 能動型流体封入式防振装置
JPH02240430A (ja) 流体封入式筒型マウント装置
JP3116558B2 (ja) 位相変換型流体封入式防振装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040316