JPH09502671A - 多層遮断フィルム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 塩化ビニリデンのホモポリマーまたは塩化ビニリデンと塩化ビニルまたはメチルメタクリレートとのコポリマーを含む遮断層（１２）を含む酸素および水分不透過性多層遮断フィルム（１０）。熱可塑性ポリウレタン、エチレンとα−オレフィンとの実質的に線状のコポリマー、または均一に枝分かれした線状ポリオレフィン樹脂を含む少なくとも１つのヒートシール可能なスキン層１４と共に遮断層を同時押出しするか、あるいは前記スキン層に対して遮断層を積層して、遮断フィルムを作る。多層フィルムは、再利用可能な造痩術用バッグ（２４）、薬剤を経皮的に送出するためのシステム、および包装で用いられるヒートシール可能なバッグにおいて用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 多層遮断フィルム 本発明は、酸素および水分不透過性多層遮断フィルムに関するものであり、ま た造痩術用バッグ（ostomy bags）、薬剤を経皮的に送出するための積層品、お よびヒートシール可能なバッグを含む前記多層遮断フィルムから製造される製品 に関するものである。 酸素および水蒸気に対する遮断性を有するプラスチックフィルム積層品は、現 在の包装に要求されている条件にとって、ならびに例えば造痩術用バッグまたは 経皮的薬剤送出システムのような医療用途における使用にとって望ましい。前記 フィルムは、層の少なくとも１つが酸素および水蒸気に対して不透過性である多 層フィルム積層品を用いることによって提供されて来た。典型的には、前記フィ ルムは、塩素化ポリエチレンフィルムまたは可塑化ポリ塩化ビニルフィルム、ポ リ塩化ビニリデンコポリマーフィルム、または例えばエチレンビニルアセテート ・ポリ塩化ビニリデンとエチレンビニルアセテートとを組み合わせたフィルムの ような多層構造を含む。 遮断フィルムを製造するためのいくつもの他の方法が提案されて来た。例えば 、Manne ら による米国特許第３，７５３，８２８号には、二層積層品の一層に 適用して硬化させる接着剤含有サラン樹脂を用いて、酸素不透過性フィルム包装 材料を調製する方法が記載されている。しかしながら、前記の方法は、接着剤の 添加が必要であり、印刷機または貼合せ機の使用を要する硬化工程を含む。 Lustig ら による米国特許第４，３４８，４３７号は、エチレンビニルアセテ ートコポリマーの第一層、ポリ塩化ビニリデンコポリマーまたはエチレンビニル アルコールコポリマーを含む第二層、およびポリウレタンポリマーとエチレンビ ニルアセテートコポリマーとの配合物を含む第三層を含む同時押出多層食品包装 フィルムに関するものである。しかしながら、前記フィルムは、他の望ましい物 理的性質、例えば造痩術用途で要求される柔軟性および低ノイズ性を提供するも のではない。 したがって、簡便で安価な従来の方法で製造することができ、水分と酸素に対 して不透過性であり、臭気遮断性、柔軟性および低ノイズ性であり、またバッグ を成形するためのヒートシール可能な表面を有する多層遮断フィルムに関するニ ードが依然として存在している。 本発明は、同時押出技術または積層技術によって製造することができる酸素お よび水分不透過性多層遮断フィルムを提供することによって上記ニードを満たす ものである。本発明のフィルムは、層間の接着性、臭気遮断性および柔軟性に優 れており、またバッグの二次加工のためのヒートシール可能表面を提供する。 本発明の１つの態様にしたがって、フィルム幅１インチ当たり少なくとも１． ０lb、好ましくは１．５lbを超えるヒートシール強度を有する酸素および水分不 透過性多層遮断フィルムが提供される。「酸素不透過性」とは、フィルムが９０ cc/m²/H・atm 以下の酸素透過度を有していることを意味している。「水分不透過 性」とは、フィルムが５gm/m²/H 以下の水蒸気透過度を有していることを意味し ている。 １つの態様では、フィルムは、その上に少なくとも１つのヒートシール可能な スキン層を有する遮断層を含む。遮断層は、例えば、ヒートシール可能なスキン 層（単層または複層）と適合する、所望の酸素および水分不透過性を提供する任 意の適当な遮断層材料を含む。好ましい遮断材料は、塩化ビニリデンと塩化ビニ ルまたはメチルメタクリレートとのコポリマーである。遮断層が塩化ビニリデン と塩化ビニルまたはメチルメタクリレートとのコポリマーを含む場合、遮断層は 、任意に、エチレンとビニルアセテートとのコポリマーを０−６重量％、さらに 好ましくは加工助剤として４−６％含むこともできる。 本発明の１つの態様では、遮断層は、少なくとも１つのヒートシール可能なス キン層と共に同時押出しされる。所望の柔軟性を提供するために、ヒートシール 可能なスキン層は、好ましくは、機械方向（ＭＤ）および横方向（ＴＤ）の双方 において、１５，０００psi未満の２％割線モジュラスを有する。ヒートシール 可能なスキン層は、好ましくは、熱可塑性ポリウレタン、０．８７−０．９２の 密度を有する、エチレンとα−オレフィンとの実質的に線状のコポリマーか、ま たは均一に枝分かれした線状ポリオレフィン樹脂を含む。フィルムの加工を助 けるために、スキン層（単層または複層）は、エチレンとビニルアセテートとの コポリマーを０−１０重量％、さらに好ましくは加工助剤としてコポリマーを０ ．５−５％含むことができる。さらに、スキン層は、任意に、スリップ剤／粘着 防止剤を含むことができる。スキン層がエチレンとα−オレフィンとの実質的に 線状のコポリマーである場合、スキン層と遮断層との間に、エチレンとビニルア セテートとのコポリマーの接着結合層（adhesive tie layer）を同時押出しして 、それらの層の接着を向上させることが望ましいかもしれない。 本発明の好ましい態様では、２つのヒートシール可能なスキン層の間に、遮断 層を同時押出しする。その場合、スキン層はフィルムの７０容量％（厚さ）であ り、遮断層はフィルムの３０容量％（厚さ）である。この構造を用いて、再使用 可能な造痩術用バッグまたはポーチを作ることができる。遮断層およびスキン層 （単層または複層）を別々に作り、次に適当な接着剤ポリマー、液状接着剤、ま たはホットメルト接着剤を用いて、それらを共に積層することもできる。本発明 の多層遮断フィルムは、０．４５Hzにおいて６５°の角度で屈曲させると８５dB 未満のノイズを示し、好ましくは０．４５Hzにおいて６５°の角度で屈曲させる と８３dB未満のノイズを示し、最も好ましくは０．４５Hzにおいて６５°の角度 で屈曲させると８１dB未満のノイズを示す。 本発明の別の態様では、追加の層を遮断層に対して追加して、薬剤を経皮的に 送出するためのシステムを作ることができる。好ましくは、前記システムは、薬 剤システムに対して関門として機能する遮断フィルムの裏当て層（backing laye r）を含む。活性薬剤を含む接着剤は、好ましくは、フィルムの１つの表面に付 着させる。接着剤に隣接しているのは、患者の皮膚に接触するように、また調節 しながら薬剤を放出するように適合させてある調節放出膜である。 この態様の別の形態では、裏当て層は、患者の皮膚中への薬剤の拡散を調節す るための、溜めの開口部を隠蔽している調節放出膜を有する、活性薬剤を含む溜 めを作ることができる。周辺のまたはすべての接着剤を用いて、患者の皮膚に対 して経皮的送出システムを接着させることができる。好ましくは、剥離ライナー を接着剤および膜の上にかぶせて、使用前に構造を保護する。 したがって、同時押出法または積層法を用いて製造することができる酸素およ び水分不透過性多層遮断フィルムを提供することは本発明の特徴である。さらに 、本発明の特徴としては、臭気遮断性、柔軟性、および低ノイズ性が挙げられる 。さらに、バッグおよびパウチを作るときに用いるためのヒートシール可能表面 が提供される。本発明のこれらのおよび他の特徴と利点は、以下の詳細な説明、 添付の図面、および添付の請求の範囲を参照すれば明らかとなる。 図１は、本発明の多層遮断フィルムの１つの態様に関する概略断面図であり； 図２は、本発明の多層遮断フィルムの別の態様に関する概略断面図であり； 図３は、本発明にしたがう経皮的薬剤送出システムの１つの態様に関する概略 断面図であり； 図４は、本発明にしたがう経皮的薬剤送出システムの別の態様に関する概略断 面図であり；および 図５は、本発明の図１または図２の多層遮断フィルムから作られた造痩術用バ ッグまたはパウチに関する正面図である。 １つの態様では、本発明の多層遮断フィルムは、例えばフィードブロック同時 押出（feedblock coextrusion）、マルチマニホールドダイ同時押出、または前 記２つの組み合わせのような標準押出技術を用いて製造することができる。各独 立層の容積（厚さ）は、押出しするときに調節することができる。したがって、 多層構造の全厚を調節することができる。別法として、独立層を別々に作ること ができ、適当な接着結合層を用いて共に積層することができる。 フィルム中にあるポリマーは、それらの低ノイズ性を保護するために、それら の製造の自然な結果として生じた以外には意図的に伸長または延伸されない。例 えば、吹込法（blown process）によって製造されたフィルムは、機械方向（Ｍ Ｄ）および横方向（ＴＤ）の双方においていくらかの配向を本質的に有しており 、キャストフィルムは横方向に未延伸のままである。一般的に、フィルム中に導 入される配向が小さければ小さいほど、ノイズはますます小さくなる。本発明の 多層遮断フィルムは、０．４５Hzにおいて６５°の角度で屈曲させると８５dB未 満のノイズを示し、好ましくは０．４５Hzにおいて６５°の角度で屈曲させると ８３dB未満のノイズを示し、また最も好ましくは０．４５Hzにおいて６５°の角 度で屈曲させると８１dB未満のノイズを示す。 さらに、所望の柔軟性を提供するために、ヒートシール可能なスキン層は、好 ましくは、機械方向（ＭＤ）および横方向（ＴＤ）の双方において１５，０００ psi未満の２％割線モジュラスを有する。２％割線モジュラスは、フィルムの剛 性または柔軟性の尺度である。我々は、ヒートシール可能なスキン層に関する２ ％割線モジュラスの値が低ければ低いほど、得られるフィルムはますます軟らか くなることを発見した。一般的に、フィルムの２％割線モジュラスは、可能な限 り低く、また従来の装置によって依然として加工可能であることが望ましい。多 層フィルム全体に関しては、２％割線モジュラスは３０，０００psi以下である ことが好ましい。得られる多層フィルムは、低い酸素および蒸気透過度を有し、 また造痩術用途において必要とされる臭気遮断性、柔軟性、および低ノイズ性も 有する。 図１参照、酸素および水分不透過性多層遮断フィルム１０である。フィルム１ ０は、塩化ビニル（１５−２０重量％）と塩化ビニリデン（８０−８５重量％） とのコポリマーまたは塩化ビニリデン（９３−９４重量％）とメチルメタクリレ ート（６−７重量％）とのコポリマーから成ることができる遮断層１２を含む。 適当な遮断材料としては、例えばDow Chemical Companyから市販されているサラ ン（登録商標）４６９およびサランＭＡが挙げられる。サラン遮断層材料を用い る場合、遮断層は、加工助剤として、エチレンとビニルアセテートとのコポリマ ーを０−６重量％、さらに好ましくは４−６重量％含むこともできる。エチレン ／ビニルアセテートコポリマー組成物の適当な組は、E.I du Pont de Nemours & Co.，Inc.から、エルバックス（Elvax（登録商標））という商標で市販されて いるコポリマーである。 図示してあるように、好ましくは、遮断層は、熱可塑性ポリウレタン、０．８ ７−０．９２gm/ccの密度を有する、エチレンとα−オレフィンとの実質的に線 状のコポリマーか、または均一に枝分かれした線状ポリオレフィン樹脂を含む２ つのヒートシール可能なスキン層１４と共に同時押出しするか、または前記２つ の層の間に積層する。適当な熱可塑性ポリウレタンとしては、ポリイソシアネー ト（芳香族または脂肪族）とポリエステル、ポリエーテル、またはポリカプロラ クトンポリオールとの反応に基づく熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。例え ばジオールおよびジアミンのような連鎖延長剤を前記反応において用いることも できる。前記の熱可塑性ポリウレタンは、エスタン（Estane、登録商標）という 商標でB.F.Goodrich Co.から市販されており、またペラタン（Pellathane、登録 商標）という商標でDow Chemical Companyから市販されている。好ましい熱可塑 性ポリウレタン組成物はペラタン２３５５−９５ＡＥである。 熱可塑性ポリウレタンスキン層の加工を助けるために、スキン層は、エチレン とビニルアセテートとのコポリマーを０−１０重量％、さらに好ましくは０．５ −５重量％含むことができる。さらに、スキン層は、スリップ剤および／または 粘着防止剤、例えばAkzo Chemicals Inc.から市販されているアクゾ（Akzo）１ ６ＬＢ１５を０．５−６重量％含むことができる。典型的に、本発明で用いられ る熱可塑性ポリウレタンスキン層は、フィルム幅１インチ当たり９lb（ＡＳＴＭ Ｄ ９０３ にしたがって測定）のヒートシール強度を提供する。 エチレンとα−オレフィンとの適当な実質的に線状のコポリマー樹脂は、１９ ９３年４月２７日に公表された、普通に譲渡され公表されたＰＣＴ出願ＰＣＴ／ ＵＳ９２／０８８１２に記載されている。前記ＰＣＴ出願の開示は、本明細書中 で参照され、その一部とされている。これらのコポリマー樹脂は、インサイト（ Insite、商標）束縛形状寸法触媒技術（constrained geometry catalyst techno logy）（ＣＧＣＴ）を用いて作られたポリマー樹脂として、Dow Chemical Compa nyから市販されている。束縛形状寸法触媒は、１９９０年７月３日に出願された 、普通に譲渡された同時継続の米国特許出願第５４５．４０３号；１９９１年９ 月１２日に出願された第７５８，６５４号；１９９１年９月１２日に出願された 第７５８，６６０号；および１９９１年６月２４日に出願された第７２０，０４ １号に記載されている。前記触媒の一般的な特徴は、３−１０族金属の金属配位 錯体または元素周期律表のランタノイド系列と、束縛誘導基（constrain induci ng moiety）で置換された非局在化α−結合基とを含むことかもしれない。 上記の実質的に線状のコポリマーは、線状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ） の強度および靭性を有するが、高度に枝分かれした低密度ポリエチレン（ＬＤＰ Ｅ）と同様な加工性を有する。したがって、同じＩ₂およびＭw／Ｍ_nにおいて、 前記ポリマーは、比較可能な線状オレフィンポリマーの加工指数の７０％以下の 加工指数（PI's）と、従来の線状オレフィンポリマーの表面溶融破壊の開始時に おける臨界剪断速度に比べて少なくとも５０％を超える表面溶融破壊の開始時に おける臨界剪断速度とを有する。Ｉ₂とは１９０℃／２．１６kgの条件（「条件 Ｅ」として公知である）下でＡＳＴＭＤ−１２３８にしたがって測定したメルト インデックスであり、Ｍ_wはポリマーの重量平均分子量であり、Ｍ_nはポリマーの 数平均分子量である。実質的に線状のコポリマーは、ポリマー主鎖に沿って１０ ００個の炭素原子当たり０．０１−３の長鎖枝分かれを有している。長鎖とは、 少なくとも６個の炭素原子から成る鎖長と定義する。また、実質的に線状のコポ リマーは均一な枝分かれ分布も有する。均一な枝分かれ分布を有するコポリマー はコモノマーが任意の分子内においてランダムに分布しているコポリマーであり 、その場合、すべてのコポリマー分子は、本明細書中で参照され、その一部とさ れている Elston による米国特許第３，６４５，９９２号で説明されているのと 同じエチレン／コモノマー比を有する。 さらに、これらの実質的に線状のコポリマーは、造痩術用途で用いるのに望ま しい静穏性を有する。典型的に、前記の実質的に線状のエチレン／α−オレフィ ンコポリマーによって、フィルム幅１インチ当たり２−３lbのヒートシール強度 （ＡＳＴＭ Ｄ ９０３）が提供される。したがって、これらの実質的に線状のコ ポリマーは、加工性、静穏性、およびヒートシール強度のユニークな組み合わせ を有するので、本発明における使用にとって好ましい。 適当な均一に枝分かれした線状ポリオレフィン樹脂は、イグザクト（Exact、 登録商標）という商標で Exxon Corporation から市販されており、またはタフ マー（Tafmer、登録商標）という商標でMitsui Chemical Co.から市販されてい る。また、これらの樹脂は申し分のないヒートシール強度を提供し、望ましい静 穏性を有する。 遮断フィルム１０は、フィルムを折り重ね、次に熱可塑性ポリウレタン、実質 的に線状のエチレン／α−オレフィンコポリマーか、または均一に枝分かれした 線状ポリオレフィン樹脂スキン層を互いにヒートシールすることによって再利用 可能な造痩術バッグまたはパウチを作るために用いることができる。好ましくは 、前記バッグは、９０cc/m²/H・atm（１．８cc/100in²/H・atm）未満の酸素透過度 を 有する。遮断フィルム１０は、全厚３５−１００マイクロメートルであり、遮断 層１２はフィルムの全厚の１０−３０％を構成している。スキン層（および必要 である場合には、接着剤層）は、典型的には、フィルムの全厚の７０−９０％を 構成している。 本発明の多層遮断フィルムは、適当な接着剤を用いる積層技術によって作るこ ともできる。例えば、遮断層およびスキン層（単層または複層）を別々に作り、 次に接着剤ポリマー、液状接着剤、またはホットメルト接着剤を用いて、共に積 層することができる。遮断層とスキン層とを結合させるための適当な接着剤ポリ マーとしては、限定するものではないが、ビニルアセテートと、エチルアクリレ ートと、エチルメタクリレートと、メチルアクリル酸と、アクリル酸と、一酸化 炭素とのエチレン性不飽和コポリマーが挙げられる。他の酸としては、エチレン とメチルアクリル酸またはアクリル酸とのイオノマー、およびグラフト無水コポ リマーが挙げられる。適当な液状接着剤またはホットメルト接着剤としては、限 定するものではないが、ウレタン、コポリエステル、およびアミドアクリレート のコポリマーに基づくものが挙げられる。 図２では、五層の酸素および水分不透過性遮断フィルム１０を概略説明してい る。フィルム１０は、既に議論したような適当な遮断材料から成る遮断層１２を 含む。好ましくは、遮断層は、２つの外側のヒートシール可能なスキン層１４の 間に接着剤層１３をサンドイッチしながら、２つの外側のヒートシール可能なス キン層１４と共に同時押出しする。この五層態様におけるヒートシール可能なス キン層は、公表されたＰＣＴ出願ＮＯ．ＰＣＴ／ＵＳ９２／０８８１２に記載さ れているエチレンとα−オレフィンとの実質的に線状のコポリマー、または例え ばイグザクト樹脂およびタフマー樹脂のような均一に枝分かれした線状ポリオレ フィン樹脂を含むことができる。層１３のための適当な接着剤としては、遮断層 とスキン層の相互の接着性を向上させるエチレンとビニルアセテートとのコポリ マーが挙げられる。 図３は、薬剤を経皮的に送出するシステム１６を作るために、遮断フィルムと 共に追加の層が含まれている本発明の別の態様を説明している。その最も単純な 形態では、フィルムの遮断層１２およびスキン層１４は、薬剤システムに対する バリヤーである裏当てフィルムとして働く。遮断フィルムは、さらに、前記フィ ルムの一面に接着されたマトリックス中に配合された活性薬剤を含む接着剤層１ ８を含む。選択される接着剤は、活性薬剤と相溶性で、かつ活性薬剤に対して透 過性であるべきである。例えばエストロゲン、ニトログリセリン、ニコチン、お よびスコポラミンを含む多くの活性薬剤を、この様式で患者に投与することがで きる。理論的には、ほとんどどのような薬剤でもこの様式で投与することができ る 患者の皮膚に接触し、薬剤を調節しながら放出するように適合させた調節放出 膜２０が接着剤層１８上にある。膜２０の周辺にまたは膜２０の全表面上に適用 することができる追加の接着剤層２２を、患者の皮膚に対して経皮的送出システ ム１６を固定するために存在させることもできる。本発明のこの態様の実施で用 いられる接着剤は、医療用の接着剤、例えばシリコン接着剤、アクリル酸接着剤 またはビニルアセテート接着剤であるべきである。一般的に、この態様では、シ ステム１６は、包装の中にシールされるかまたは第二遮断フィルムに対して固定 され、使用前にそれらは取り除かれる。 図４は、本発明にしたがう経皮的薬剤送出システム１６の別の形態を説明して いる。遮断層１２およびスキン層１４は、その中に活性薬剤１７を含むための溜 めへと成形される遮断フィルムを形成する。溜めへの開口部は調節放出膜２０で 隠蔽されている。膜２０の周辺にか、または膜２０の全領域上に適用することが できる接着剤１８は、患者のスキン層に対してシステム１６を固定するように働 く。また、選択される接着剤は、活性薬剤と相溶性であるべきであり、そして前 記薬剤に関して透過性であるべきである。好ましくは、剥離ライナー２３などは 、使用前に、接着剤１８及び膜２０を隠蔽し保護する。 図５は、図１かまたは図２の多層遮断フィルムから作られる開口部２６を含む 典型的な再使用可能な造痩術用バッグ２４を説明している。前記バッグは、多層 フィルム１０の縁を折り重ねて、その縁をヒートシールすることによって作るこ とができる。好ましくは、１つのヒートシール可能なスキン層によってバッグま たはパウチ２４の内面が提供されるように、フィルムは折り重ねられてシールさ れる。本発明の遮断フィルムによって、造痩術用途にとって望ましい柔軟性およ び静穏性、ならびに防水性および臭気遮断性と酸素遮断性が提供される。当業者 によって評価されるように、本発明の遮断フィルムは、水分および酸素に対する 遮断性が要求される他の包装用途においても、その利用を見出すことができる。 本発明がさらに容易に理解されるように、以下に実施例を掲げる。下記実施例 は本発明の例証であり、発明の範囲を限定することを意図していない。 実施例１ 本発明にしたがって、心層遮断層、２つの外スキン層、および心層と外スキン 層とを共に接合させている２つの中間結合層を含む五層遮断フィルムを製造した 。前記の層は、従来の技術を用いて同時押出しした。心遮断層は、Dow Chemical Companyから市販されているサラン４６９であり、加工助剤（E.I du Pont de N emours & Co.,Inc.から市販されているエルバックス）を４重量％含んでいた。 ２つの外スキン層は、スリップ剤（Akzo Chemicals Inc.から市販されているア クゾ１６ＬＢ１５）を５重量％含む熱可塑性ポリウレタン（Dow Chemical Compa nyから市販されているペラタン２３５５−９５ＡＥ）を含んでいた。２つの中間 結合層もまた熱可塑性ポリウレタン（ペラタン２３５５−９５ＡＥ）であった。 得られた多層遮断フィルムは、厚さ約２．０ミルであり、極限引張強さ（ＡＳ ＴＭＤ−８８２）はそれぞれ１２,３３０（ＭＤ）psiおよび７,４９２（ＴＤ）p siであった。前記フィルムは、酸素透過度（ＡＳＴＭＤ−３９８５）０．３９cc /100in²/H・atmおよび水蒸気透過度（Permatran W）０．１８１ gm/100in²/H を 有していた。また、前記フィルムは、２％割線モジュラス（インストロン（Inst ron）引張試験機を用いるＡＳＴＭ法Ｄ−８８２）１８,４５０psi（ＭＤ）およ び２１，１８０psi（ＴＤ）を有していた。 実施例２ 本発明にしたがって、３つの異なる五層遮断フィルムを製造した。前記の各フ ィルムは、心遮断層、２つの外スキン層、および心層と外スキン層とを共に接合 させている２つの中間結合層を含んでいた。層は従来の技術を用いて同時押出し した。各場合における心遮断層は、Dow Chemical Company から市販されている サラン４６９であり、加工助剤（E.I du Pont de Nemours & Co.,Inc.から市販 されているエルバックス３１８０樹脂（ビニルアセテート２８％、メルトインデ ッ クス２５））を４重量％含んでいた。２つの外スキン層は、以下の表１に示した ポリオレフィン樹脂を含んでいた。２つの中間結合層は、Exxon Corp．からExxo n LD 740.16（ビニルアセテート２３％、メルトインデックス５）という名称で 市販されているエチレンとビニルアセテートとのコポリマーであった。 得られた多層遮断フィルムは、呼称厚約３．０ミルであり、心層および結合層 はフィルムの厚さの約１０％、外スキン層は約９０％を構成している。また、前 記フィルムは、以下に示したように、２％割線モジュラス（インストロン引張試 験機を用いるＡＳＴＭ法Ｄ−８８２）を有していた。 これらのフィルムの４インチｘ４インチの小片を円筒形にし、それを、周波数 ０．４５Hzで６５°の角度で屈曲させて、デシベル（dB）単位で音のレベルを測 定することによって、フィルムの静かさに関して試験した。そのデータは以下の 表１に示してある。ノイズレベルから、本発明の実質的に線状のα−オレフィン ポリマー（サンプル２および３）の静かさは、従来の低密度ポリエチレン（サン プル１）に比べて向上している、ことが分かる。 実施例３ 本発明にしたがって、四層遮断フィルムの３つのサンプルを製造した。前記の 各フィルムは、心遮断層、結合層、シール層、および外スキン層を含んでいた。 層は従来の技術を用いて同時押出しした。各場合における心遮断層は、Dow Chem ical Companyから市販されているサラン４６９であり、加工助剤（E.I du Pont de Nemours & Co.,Inc.から市販されているエルバックス３１８０樹脂（ビニル アセテート２８％、メルトインデックス２５））を４重量％含んでいた。外スキ ン層は、以下の表２に示したポリオレフィン樹脂を含んでいた。中間結合層およ びシール層は、Exxon Corp．からExxon LD 740.16（ビニルアセテート２３％、 メルトインデックス５）という名称で市販されているエチレンとビニルアセテー トとのコポリマーであった。得られた多層遮断フィルムは、呼称厚約４．０ミル であり、心層および結合層はフィルム厚の約１０％を構成していた。シール層は フィルム厚の約２０％を構成していて、一方、外スキン層はフイルム構造の残り の部分を構成していた。 これらのフィルムの４インチｘ４インチの小片を円笥形にし、それを、周波数 ０．４５Hzで６５°の角度で屈曲させて、デシベル（dB）単位で音のレベルを測 定することによって、フィルムの静かさに関して試験した。そのデータは以下の 表２に示してある。ノイズレベルから、本発明の実質的に線状のα−オレフィン ポリマー（サンプル２）の静かさは、従来の低密度ポリエチレン（サンプル１） に比べて向上している、ことが分かる。塩素化ポリエチレン樹脂を有する市販の フィルム（サンプル３）と比べた比較可能なノイズレベルを示してある。 実施例４ 本発明の多層遮断フィルムで用いられるスキン層の静かさを証明するために、 キャストフィルム法を用いて多くの単層フィルムを調製した。熱可塑性ポリウレ タンの単層フィルム、および本発明の実質的に線状のエチレン／α−オレフィン コポリマーの単層フィルムをキャストし、従来技術の塩素化ポリエチレンフィル ムおよび均一に枝分かれしたポリエチレンフィルムと比較するために試験した。 厚さ２．０ミルを有する単層フィルムの４インチｘ４インチの小片を円筒形に し、それを、周波数０．４５Hzにおいて６５°の角度で屈曲させて、音のレベル をデシベル（dB）単位で測定することによって、単層フィルムの静かさを試験し た。そのデータは以下の表３に示してある。データから、本発明の実質的に線状 のα−オレフィンポリマー（サンプル２）の静かさは、熱可塑性ポリウレタン（ サンプル６および７）および本発明の束縛形状寸法触媒技術（ＣＧＣＴ）による 線状エチレン／α−オレフィンコポリマー（サンプル３−５）を用いているフィ ルムは、静かさにおいて、塩素化ポリエチレン（サンプル８）に少なくとも匹敵 し、市販されている他の従来の低密度ポリエチレンフィルム（サンプル１および ２）に比べて一層良かった。また本発明フィルムは、以下に示したように、２％ 割線モジュラス（インストロン引張試験機を用いるＡＳＴＭ法Ｄ−８８２） も有していた。 ある種の代表的な態様および説明によって本発明を説明して来たが、添付の請 求の範囲で規定されている発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示し た方法および装置に関して様々な変更を加えることができることは当業者には明 らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＡＵ，ＣＡ，ＪＰ，ＫＲ (72)発明者 タン，ハーヴェイ アメリカ合衆国オハイオ州43055，ニュー アーク，キャリッジ・コート 684

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．遮断層と少なくとも１つのヒートシール可能なスキン層とを含み、且つ前 記スキン層が機械方向および横方向の双方において１５，０００psi未満の２％ 割線モジュラスを有する熱可塑性ポリマーを含み、前記遮断フィルムが０．４５ Hzにおいて６５°の角度で屈曲させると８５dB未満のノイズを示す、フィルムの 幅１インチ当たり少なくとも１．０lbのヒートシール強度を有する酸素および水 分不透過性多層遮断フィルム。 ２．該スキン層が、熱可塑性ポリウレタン、密度０．８７−０．９２gm/ccお よびポリマー主鎖に沿って炭素原子１０００個当たり０．０１−３の長鎖枝分か れを有する、エチレンとα−オレフィン樹脂との実質的に線状のコポリマーか、 または均一に枝分かれした線状オレフィン樹脂を含む請求項１記載の多層遮断フ ィルム。 ３．該ヒートシール可能なスキン層が熱可塑性ポリウレタンを含み、且つ該ス キン層がエチレンとビニルアセテートとのコポリマーを０−１０重量％含む請求 項１記載の多層遮断フィルム。 ４．該遮断層が、塩化ビニリデンのホモポリマー、塩化ビニリデンと塩化ビニ ルまたはメチルメタクリレートとのコポリマーから成る群より選択される請求項 １記載の多層遮断フィルム。 ５．該フィルムが、９０cc/m²/H・atm未満の酸素透過度を有する請求項１記載 の多層遮断フィルム。 ６．該遮断層が２つのヒートシール可能なスキン層の間に配置されている請求 項１記載の多層遮断フィルム。 ７．該スキン層が該フィルムの７０重量％であり、該水分遮断層が該フィルム の３０重量％である請求項６記載の多層遮断フィルム。 ８．該スキン層が、スリップ剤／粘着防止剤のパッケージを０．５−５重量％ 含む請求項１記載の多層遮断フィルム。 ９．該スキン層が、エチレンとビニルアセテートとのコポリマーを１−１０重 量％含む請求項３記載の多層遮断フィルム。 １０．該スキン層が、密度０．８７−０．９２gm/ccおよびポリマー主鎖に沿 って炭素原子１０００個当たり０．０１−３の長鎖枝分かれを有する、エチレン とα−オレフィン樹脂との実質的に線状のコポリマーである請求項１記載の多層 遮断フィルム。 １１．該遮断層と該スキン層との間にエチレンとビニルアセテートとのコポリ マーから成る中間結合層を含む請求項１０記載の多層遮断フィルム。 １２．該遮断層が、塩化ビニリデンのホモポリマー、あるいは塩化ビニリデン と塩化ビニルまたはメチルメタクリレートとのコポリマーを含み、且つエチレン とビニルアセテートとのコポリマーを１−６％含む請求項１記載の多層遮断フィ ルム。 １３．該遮断フィルムが、さらに： ａ）該遮断フィルムの１つの表面に接着された、活性薬剤を含む接着剤；および ｂ）該接着剤に隣接していて、患者の皮膚に対して該薬剤を調節しながら放出す るように適合させた調節放出膜 を含む請求項１記載の多層遮断フィルム。 １４．該調節放出膜の少なくとも一部分に接着された接着剤、および該接着剤 と薬剤を経皮的に送出するためのシステムを作るための放出膜との上に重なって いる剥離ライナーをさらに含む請求項１３記載の多層遮断フィルム。 １５．該少なくとも１つのスキン層が、その縁に沿ってヒートシールされて、 バッグまたはパウチを形成する請求項１３記載の多層遮断フィルム。