JPH0948922A - 透明熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
透明熱可塑性樹脂組成物Info
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- JPH0948922A JPH0948922A JP21957595A JP21957595A JPH0948922A JP H0948922 A JPH0948922 A JP H0948922A JP 21957595 A JP21957595 A JP 21957595A JP 21957595 A JP21957595 A JP 21957595A JP H0948922 A JPH0948922 A JP H0948922A
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Abstract
が0℃以下のゴム相を有するコア−シェル型多層構造粒
子が分散された透明熱可塑性樹脂組成物であって、それ
ぞれ単独で測定したときの23℃におけるゴム相の屈折
率と樹脂相の屈折率との差が特定の範囲にあり、かつそ
れぞれ単独で測定したときの23〜70℃におけるゴム
相の屈折率の温度変化量と樹脂相の屈折率の温度変化量
との差が特定の範囲にあることを特徴とする透明熱可塑
性樹脂組成物。 【効果】 本発明によれば、従来のゴム変性透明熱可塑
性樹脂の持つ耐衝撃性や成形加工性を維持し、かつ加熱
によるヘイズの増加や透明性の減少等の欠点が改良され
た透明熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
Description
組成物に関するものであって、さらに詳しくは、透明
性、耐衝撃性に優れ、温度変化によるヘイズ値の温度変
化が低減された透明熱可塑性樹脂組成物に関するもので
ある。
として、弾性を有するゴム相を硬質樹脂中に不連続的に
分散させることが一般的に行われている。その際、ジエ
ン系エラストマーの導入が一般的であるが、耐侯性の観
点からアクリル系エラストマーの導入についても種々検
討されている。アクリル系エラストマーを用いた改質樹
脂としては、コア−シェル構造を基本とする、軟質層と
硬質層を組み合わせた多層構造重合体が種々検討されて
いる(特公昭54−18298号公報、特公昭55−2
7576号公報、特公昭62−41241号公報等)。
これらは耐衝撃性の改善効果は優れているものの、加熱
等の温度変化によるヘイズの増加が大きく、耐衝撃性透
明アクリル樹脂に代表されるゴム変性透明熱可塑性樹脂
の応用範囲が限定される問題点があった。
方法も幾つか検討されている(特開昭63−19925
8号公報等)。この方法は樹脂層とゴム層とのグラフト
率を高めることにより加熱によるヘイズの増加を低減さ
せるというものであるが、実用に供するには十分満足で
きる物性を有していない。
目的は、透明熱可塑性樹脂の優れた透明性に加え、耐衝
撃性に優れ、加熱等の温度変化によるヘイズの増加の低
減された透明熱可塑性樹脂組成物を提供することにあ
る。
現状に鑑み鋭意検討した結果、ゴム相と樹脂相が特定の
温度において特定の屈折率の差を有し、さらにゴム相と
樹脂相との屈折率の温度変化量の差を限定することによ
り上記問題点が解決されることを見出し、本発明を完成
するに至った。
に、ガラス転移温度が0℃以下のゴム相を有するコア−
シェル型多層構造粒子が分散された透明熱可塑性樹脂組
成物であって、それぞれ単独で測定したときの23℃に
おけるゴム相の屈折率(nR23)と樹脂相の屈折率
(nP23)が下記の式(I)の関係にあり、かつそれ
ぞれ単独で測定したときの23〜70℃におけるゴム相
の屈折率の温度変化量(dnR/dT)と樹脂相の屈折
率の温度変化量(dnP/dT)とが下記の式(II)の
関係を有することを特徴とする透明熱可塑性樹脂組成物
である。
それぞれ単独で測定したときの23℃におけるゴム層の
屈折率(nR23)と樹脂層の屈折率(nP23)が上
記の式(I)の関係にあることが必要である。
性透明熱可塑性樹脂は、加熱によるヘイズの増加が大き
いため応用範囲が限定される問題点があったが、この現
象は、高いガラス転移温度(以下Tgと記する場合があ
る)を有し一般的な使用温度においてガラス状態である
アクリル樹脂等の樹脂相と、低いTgを有し一般的な使
用温度においてはゴム状態であるゴム相が混在すること
に起因する。
とはよく知られているが、屈折率の温度変化に伴う変化
量もTg以上とTg以下では大きく異なる。Tgより高
温側ではミクロブラウン運動が解放され、分子の各部分
は相当大きな範囲に熱振動することができるため、線膨
張係数は大きく、Tg以下ではミクロブラウン運動が凍
結されているため、線膨張係数は相対的に小さい。屈折
率の温度変化量は、分子屈折の温度変化と線膨張係数か
ら近似的に見積もることができるが、分子屈折の温度変
化は線膨張係数による影響と比較してほとんど無視でき
ることから、屈折率の温度変化は単純に線膨張係数から
算出される。よってTg以上では屈折率の温度変化量は
大きく、Tg以下では小さいこととなる。以上から、あ
る温度において樹脂相とゴム相の屈折率が等しくても、
温度変化によりそれらの屈折率に差異が生じ、温度変化
によるヘイズの増加が生ずることとなる。しかしながら
驚くべきことに、ある一定の屈折率範囲では室温におけ
るヘイズの増加を最低限としながら、加熱によるヘイズ
の増加を大きく抑制させることが可能であることが判明
した。すなわち、加熱によるヘイズ増加を抑制できるの
は、nR23−nP23(以下、nR23−nP23を
Δn23と記す)が0.01>Δn23>0の場合であ
り、より好ましくは0.008>Δn23>0の場合で
ある。Δn23が0.01以上になると、室温でのヘイ
ズが急激に増大し、透明性樹脂としての実用性が大きく
損なわれるため好ましくなく、Δn23が0以下の場
合、加熱時に樹脂相とゴム相の屈折率差が大きくなり、
ヘイズが増大し実用性を損なうため好ましくない。
あると同時に、上記の式(II)の関係も満たすことが必
要である。
(dnR/dT)と樹脂相の屈折率の温度変化量(dn
P/dT)の差が0.00025/Kより小さいこと、
好ましくは0.0002/Kより小さいことが室温及び
加熱時も透明性を良好に保つ方法として必要である。
温度変化量は、ほとんどが1〜2×10-4/Kであるの
に対し、Tg以上のそれが3〜5×10-4/Kと増加す
ることが知られている。ゴム変性熱可塑性樹脂は、室温
においてTg以下である樹脂相中に、室温においてTg
以上であるゴム相を分散させた構造であるため、屈折率
の温度変化量が異なる成分が混在していることになる。
室温における透明性と、加熱時における透明性を兼備す
るためには、樹脂相とゴム相の屈折率の温度変化量の差
が小さいこと、すなわち、その値が0.00025/K
より小さいことが必要となる。
は、例えばメチルメタクリレートを主成分とするメタク
リル樹脂、スチレンを主成分とするスチロール樹脂、メ
チルメタクリレート及びスチレンを主成分とするメチル
メタクリレート−スチレン樹脂、アクリロニトリル及び
スチレンを主成分とするアクリロニトリル−スチレン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げら
れる。この透明熱可塑性樹脂は懸濁重合、溶液重合、乳
化重合、塊状重合等の公知の方法により得られる。
転移温度は、耐熱性の点から50℃以上であることが好
ましい。
の透明熱可塑性樹脂中に、コア−シェル型多層構造粒子
が分散されたものである。このコア−シェル型多層構造
粒子は2層以上の構造粒子であれば良いが、本発明にお
いては3層の構造粒子であることが好ましい。従って以
下、3層のコア−シェル型構造粒子について説明する。
子の第1層(コア)を構成する単量体としては、例えば
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロ
ヘキシル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、ア
クリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル、スチレン、
ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル
化合物、N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−クロ
ロフェニルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミ
ド等のN−置換マレイミド化合物、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物が挙げら
れ、それらは単独または2種以上が用いられる。また、
多官能性単量体として、例えばメタクリル酸アリル、ア
クリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、桂皮酸アリ
ル、ソルビン酸アリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸
ジアリル、フマル酸ジアリル、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼ
ン等の多官能性単量体が挙げられ、それらは単独または
2種以上が用いられる。
上の樹脂層であることが好ましい。ガラス転移温度が5
0℃以下であると、透明熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が
不十分になるほか、透明熱可塑性樹脂組成物のヘイズの
温度依存性が大きくなり、加熱時のヘイズが増大する傾
向がある。また、第1層は耐衝撃性及びヘイズの温度依
存性のために架橋構造体であることが好ましい。第1層
を構成する多官能性単量体としては、メタクリル酸アリ
ルが特に好ましく、その添加量としては第1層の0.0
1〜1重量%用いるのが好ましい。また第1層の屈折率
は、透明熱可塑性樹脂の屈折率に出来る限り近いことが
好ましい。
子の第2層(中間層)を構成する単量体としては、例え
ばアクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル
等のアクリル酸アルキルエステルと、スチレン、ビニル
トルエン等の芳香族ビニル化合物、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビ
ニル化合物が挙げられ、それらは単独または2種以上が
用いられる。また、多官能性単量体として、例えばメタ
クリル酸アリル、アクリル酸アリル、シアヌル酸トリア
リル、桂皮酸アリル、ソルビン酸アリル、マレイン酸ジ
アリル、フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリル、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、
1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジビニルベンゼン等の多官能性単量体が挙げられ、それ
らは単独または2種以上が用いられる。
の架橋ゴム層であることが好ましい。ガラス転移温度が
0℃を超えると、透明熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が
不十分になり、また、第2層が非架橋構造であると、衝
撃強度が低くなる上、透明熱可塑性樹脂組成物の透明性
が悪化し、更に透明熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が悪化
する傾向がある。第2層を構成する単量体としては、ア
クリル酸アルキルエステルとしてアクリル酸ブチル、ア
クリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル、
他の単量体としてスチレン、メタクリル酸ベンジルを適
宜選択し併用して用いる方法が特に好ましい。第2層を
構成する多官能性単量体としては、メタクリル酸アリル
が特に好ましく、第2層の0.01〜1重量%用いるの
が好ましい。
いる成分として、1,3−ブタジエン、イソプレン等の
共役ジエン、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル等のアクリル酸エステル等が主成分として
用いられている。しかるに、1,3−ブタジエン、イソ
プレン等の共役ジエンは優れたゴムとしての機能を有す
る一方、熱膨張率がアクリル酸エステル等と比較して大
きいため、屈折率の温度変化量も大きい。ゴム相または
樹脂層の組成が不適当でdnR/dTとdnP/dTの
差が0.00025/K以上の場合、室温と加熱時での
ゴム相と樹脂層の屈折率の差が大きくなりすぎ、従っ
て、室温におけるヘイズが少ないときは加熱時のヘイズ
が高くなり、逆に加熱時のヘイズが少ないときは室温に
おけるヘイズが高くなる。そのため透明性を有する樹脂
としての価値が喪失される傾向がある。よって本発明に
おいては、ゴム相に用いる成分としてアルキル基の炭素
数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル59.9
〜99.9重量%と、他の共重合性単量体0〜40重量
%及び多官能性単量体0.05〜5重量%からなり、た
だし他の共重合性単量体に上記ジエン系化合物を含まな
いものであることが望ましい。
子の第3層を構成する単量体としては、例えばメタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エ
チルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸
ベンジル等のアクリル酸エステル、スチレン、ビニルト
ルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、
N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−クロロフェニ
ルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド等のN
−置換マレイミド化合物、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等のシアン化ビニル化合物が挙げられ、それ
らは単独または2種以上で用いられる。また、必要に応
じて連鎖移動剤を用いることができるが、その際連鎖移
動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシ
ルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、s
ec−ブチルメルカプタン等を第3層の0.01〜1重
量%用いるのが好ましい。
ましく、第3層が架橋構造であると、透明熱可塑性樹脂
への分散性が不十分となり、衝撃強度が低下する傾向が
ある。さらに第3層の屈折率は、透明熱可塑性樹脂の屈
折率に出来る限り近いことが好ましく、第3層は、透明
熱可塑性樹脂と相溶性のあることが望ましい。
公知の乳化重合法により製造することができる。製造方
法としては、まず所望の単量体混合物を乳化重合させて
芯粒子を作った後、他の単量体混合物をその芯粒子の存
在下において乳化重合させて周りに殻を作る。更に該粒
子の存在下において他の単量体混合物を乳化重合させて
別の殻を作る。このような反応を繰り返して所望のゴム
層含有多層構造粒子を得る。各層の重合体又は共重合体
を形成させるための適切な重合温度は、各層とも0〜1
20℃、好ましくは5〜90℃の範囲である。
層構造粒子を乳化重合により製造する際、重合系の液相
全体の溶存酸素濃度が0.2〜10mg/リットルの時
に第一層の重合を開始することが好ましい。この方法に
より、加熱によるヘイズが低下する上に、重合系の窒素
置換を厳密に行う必要がなく、重合操作が簡便になり生
産性が大幅に向上するという予期せぬ効果も得られる。
溶存酸素濃度が0.2mg/リットル未満の場合、加熱
によるヘイズの低下効果が少なくなり、10mg/リッ
トルを超える場合、重合速度の低下や、樹脂の着色が生
じる場合がある。
は、重合系の安定性、目的とする粒子の粒子径等によっ
て選択されるが、アニオン界面活性剤、カチオン界面活
性剤、ノニオン界面活性剤等の公知の乳化剤を単独で又
は2種以上で使用されるが、特にアニオン界面活性剤が
好ましく用いられる。アニオン界面活性剤としては、例
えばステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウ
ム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム等のカルボ
ン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ラ
ウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、モノ−n−
ブチルフェニルペンタオキシエチレンリン酸ナトリウム
等のリン酸エステル塩等が挙げられる。上記乳化剤は樹
脂に対して0.01〜15重量%を用いることができ
る。
に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム等の無機過酸化物、過酸化水素−第一鉄塩系、過硫酸
カリウム−酸性亜硫酸ナトリウム系、過硫酸アンモニウ
ム−酸性亜硫酸ナトリウム系等の水溶性レドックス系開
始剤、クメンハイドロパーオキシド−ナトリウムホルム
アルデヒドスルホキシレート系、tert−ブチルハイ
ドロパーオキシド−ナトリウムホルムアルデヒドスルホ
キシレート系等の水溶−油溶レドックス系の開始剤が用
いられる。この中でも、無機過酸化物系開始剤、水溶−
油溶レドックス系の開始剤が好ましく用いられる。
始剤、連鎖移動剤等を、一括添加法、分割添加法、連続
添加法等公知の任意の方法で添加してよいが、ゴム層の
粒子径が所定の範囲内となるよう、乳化剤、開始剤の種
類や量、重合温度等の重合条件を厳密に定めることが望
ましい。
層の重量比率(N)(第2層重量/(第1層重量+第2
層重量))とが N≦0.1/r−0.1 (IV) の関係を有することが好ましい。
と、加熱時のヘイズは非常に低くなるが衝撃強度が低下
するし、0.30μmを越えると加熱時のヘイズが増大
するようになる。またN値が加熱時のヘイズに影響する
理由は次の通りである。すなわち、コア−シェル型多層
構造粒子は、透明熱可塑性樹脂中に分散されているとき
は、第3層は透明熱可塑性樹脂と相溶化し一体となって
いるため、実質的に透明熱可塑性樹脂組成物中では第1
層と第2層のみでコア−シェル型多層構造粒子を形成す
ることとなる。そこで本発明者らはそれら第1層と第2
層のみでの相互作用を考察した上で、加熱時のヘイズが
生ずる原因である第2層は第1層と比較して少ない重量
比率になるほど加熱時のヘイズが低下することを認め
た。そこでそれらの重量比率で表した場合、上記の式(I
V)に該当する場合、特にヘイズの温度依存性が抑えられ
ることが判明した。
必要に応じて他の樹脂ラテックス、安定剤等を加えた
後、噴霧乾燥法、酸添加法、塩添加法、凍結凝固法など
公知の方法により重合体等の取り出しを行うことができ
る。この中でも、光学物性が最も優れる凍結凝固法によ
り凝固させることが好ましい。凝固された重合体等は水
又は温水で洗浄した後、乾燥することが好ましい。この
ようにして得られた重合体等の粉体は、乾燥後透明熱可
塑性樹脂及び必要に応じ安定剤、滑剤、可塑剤、充てん
剤、染料、顔料等の公知の添加剤を加え、ヘンシェルミ
キサー等で混合後、押出機を用いて熔融混練する等の公
知の方法で透明熱可塑性樹脂中にゴム相を分散させた透
明熱可塑性樹脂組成物を製造することができる。かくし
て得られた組成物は、押出成形法、射出成形法等の公知
の方法により賦形することができる。
る。実施例に示した諸特性の測定は下記の方法に従って
実施した。なお、部は重量部、%は重量%をそれぞれ表
す。 (1)アイゾット衝撃強度;ASTM−D256 (2)全光線透過率,ヘイズ;ASTM−D1003 また、実施例中、以下のとおり()内の略称を用いた。 ・メタクリル酸メチル(MMA) ・アクリル酸メチル(MA) ・アクリル酸ブチル(BA) ・スチレン(ST) ・メタクリル酸アリル(ALMA) ・メタクリル酸ベンジル(BZMA) ・アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA) ・1,3−ブタジエン(BD) ・n−オクチルメルカプタン(n−OM) ・ステアリン酸ナトリウム(SS) ・N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム(LSS) ・過硫酸カリウム(KPS)
換水300部、SS1.0部、LSS0.1部を投入
し、撹拌しながら空気雰囲気中70℃に昇温し、30分
間撹拌して乳化剤を溶解させた。その後、窒素雰囲気と
した後、すぐに5%KPS水溶液1.2部を投入し、M
MA50部、MA2部、ALMA0.15部からなる単
量体混合物(1)を続けて投入した。開始剤を投入する
直前の水系及びモノマー系をサンプリングし、溶存酸素
濃度を溶存ガス発生装置(ガスクロ工業社製 DGA−
MU型)を使用して測定したところ、水系の溶存酸素濃
度は2.4mg/リットルであり、またモノマー系の溶
存酸素濃度は32mg/リットルであった。よって、重
合を開始する直前の反応系全体の溶存酸素濃度は約6.
5mg/リットルであった。モノマー系投入後、発熱ピ
ークを過ぎてから80℃に昇温し60分保持した。 (第2層の重合)次いでこのラテックスの存在下に、5
%KPS水溶液0.6部を投入し、BA55.部、ST
12.6部、ALMA1.6部からなる単量体混合物
(2)を60分かけて連続的に添加し、添加終了後30
分間保持した。このラテックスを希釈し、電子顕微鏡で
観察して粒子径を測定したところ、0.14μmであ
り、また粒子径のばらつきはほとんど無かった。仕込み
組成から第2層までのゴム層の重量比を計算すると0.
57であるが、この粒子径から計算した重量比の上限値
は0.61であり、範囲内であった。なお、この単量体
混合物(2)を用いてゴム層の重合のみを行い、23℃
における屈折率を測定したところ、nd=1.4905
であり、70℃における屈折率を測定したところ、nd
=1.4783であった。よって23〜70℃でのゴム
相の屈折率の温度変化量はdnR/dT=(1.490
5−1.4783)/(70−23)〓0.00026
であった。 (第3層の重合)次いでこのラテックスの存在下に、5
%KPS水溶液0.6部を投入し、MMA29部、MA
1部、n−OM0.06部からなる単量体混合物(3)
を30分かけて連続的に添加し、添加終了後60分間保
持して三層構造重合体ラテックスを得た。
ンレス製容器に入れ、凍結し、70℃で融解させた後、
瀘別して重合体を分離した。さらに70℃温水で水洗脱
水を3回繰り返した後、80℃で10時間乾燥した。得
られたアクリル系多層構造重合体(B)の粉体とアクリ
ル樹脂(A)ビーズ(パラペットHR−L;(株)クラ
レ製品;Tg=102℃)を2対3の割合で混合し、ペ
レット押出機(VSK型40m/mベント式押出機:中
央機械製作所製)で250℃でペレット化後、射出成形
機(N70A型射出成形機:日本製鋼所製)を用いて成
形温度250℃、金型温度50℃の条件で所定の試験片
を製作し、物性測定を行った。なお、第1層を重合後、
第2層を重合せずに第3層を重合して得た重合体と、ア
クリル樹脂ビーズを1.09対3の割合(試験片のゴム
層を除いた成分に相当する)で混合して同様にゴム層不
含試験片を作成後、23℃における屈折率を測定したと
ころ、nd=1.4896であり、70℃における屈折
率を測定したところ、nd=1.4856であった。よ
って23から70℃での樹脂相の屈折率の温度変化量は
dnP/dT=(1.4896−1.4856)/(7
0−23)〓0.00009となり、dnR/dT−d
nP/dTは0.00017であった。結果を表1に示
す。
4部、ST13.6部、ALMA1.6部を用いた以外
は、全て実施例1と同様に操作して重合し物性測定を行
った。得られた試験片の評価結果を表1に示す。なお、
この単量体混合物を用いてゴム層の重合のみを行い、2
3℃における屈折率を測定したところ、nd=1.49
26であり、70℃における屈折率を測定したところ、
nd=1.4804であった。
3部、ST14.6部、ALMA1.6部を用いた以外
は、全て実施例1と同様に操作して重合し物性測定を行
った。得られた試験片の評価結果を表1に示す。なお、
この単量体混合物を用いてゴム層の重合のみを行い、2
3℃における屈折率を測定したところ、nd=1.49
47であり、70℃における屈折率を測定したところ、
nd=1.4825であった。
S1部、LSS0.1部を投入し、250rpmの回転
数で撹拌しながら窒素雰囲気中70℃に昇温し、5%K
PS水溶液3部を投入した。次いでMMA144部、M
A6部、n−OM0.3部からなる単量体混合物を投入
し、80℃に昇温し90分保持してアクリル樹脂ラテッ
クスを得た。ラテックスに含まれるアクリル樹脂のTg
は102℃であった。得られたアクリル樹脂ラテックス
と、実施例1で得られた三層構造重合体ラテックスを3
対2の割合で混合し、実施例1と同様に凍結、融解、瀘
別、洗浄、乾燥を行った。なお、このアクリル樹脂ラテ
ックスと実施例1に示した第1層を重合後、第2層を重
合せずに第3層を重合して得た重合体とを1.09対3
の割合(試験片のゴム層を除いた成分に相当する)で混
合し、23℃における屈折率を測定したところ、nd=
1.4893であり、70℃における屈折率を測定した
ところ、nd=1.4852であった。得られた粉体を
そのまま実施例1と同条件にてペレット化・射出成形に
より試験片を作成し、物性測定を行った。得られた試験
片の評価結果を表1に示す。
HA54部、BZMA13.6部、ALMA1.6部を
用いた以外は、全て実施例1と同様に操作して重合し物
性測定を行った。得られた試験片の評価結果を表2に示
す。なお、この単量体混合物を用いてゴム層の重合のみ
を行い、23℃における屈折率を測定したところ、nd
=1.4915であり、70℃における屈折率を測定し
たところ、nd=1.4793であった。よってdnR
/dT−dnP/dTは0.00017であった。
46.8部、St5.2部、ALMA0.15部を用
い、第2層の重合の際に用いる単量体混合物として、B
A49.5部、ST18.1部、ALMA1.6部を用
い、第3層の重合の際に用いる単量体混合物として、M
MA27部、St3部、n−OM0.09部を用いて、
実施例1と同様に操作して耐衝撃改質樹脂を得た。第2
層まで重合を行ったラテックスを希釈し、電子顕微鏡で
観察して粒子径を測定したところ、0.15μmであ
り、また粒子径のばらつきはほとんど無かった。なお、
第1層の重合を開始するときの反応系全体の溶存酸素濃
度は約3.3mg/lであった。また、第2層単量体混
合物を用いてゴム層の重合のみを行い、ラテックス中の
固形分を取り出し、23℃における屈折率を測定したと
ころ、nd=1.5002であり、70℃における屈折
率を測定したところ、nd=1.4880であった。得
られた粉体とメチルメタクリレート−スチレン共重合体
(MMA:ST=90:10;23℃でのnd=1.4
998,70℃でのnd=1.4955;Tg=105
℃)を1対3の割合で混合し、ペレット押出機(VSK
型40m/mベント式押出機:中央機械製作所製)で2
40℃でペレット化後、射出成形機(N70A型射出成
形機:日本製鋼所製)を用いて成形温度240℃、金型
温度50℃の条件で所定の試験片を製作し、物性測定を
行った。なお、実施例1に示した方法と同様に第1層を
重合後、第2層を重合せずに第3層を重合して得た重合
体とメチルメタクリレート−スチレン共重合体を1.0
9対3の割合(試験片のゴム層を除いた成分に相当す
る)で混合し、23℃における屈折率を測定したとこ
ろ、nd=1.4993であり、70℃における屈折率
を測定したところ、nd=1.4949であった。よっ
てdnR/dT−dnP/dT=0.00017であっ
た。得られた試験片の評価結果を表2に示す。
系も3分間窒素バブリングを行ったものを用いた。この
ときの水系の溶存酸素濃度は0.1mg/リットルであ
り、またモノマー系の溶存酸素濃度は1.4mg/リッ
トルであった。よって、重合を開始する直前の反応系全
体の溶存酸素濃度は0.3mg/リットルであった。こ
れ以外は全て実施例1と同様に操作して重合し物性測定
を行った。得られた試験片の評価結果を表2に示す。
系も窒素バブリングを行い十分窒素置換を行った。この
ときの水系の溶存酸素濃度は0.1mg/リットルであ
り、モノマー系の溶存酸素濃度は0.1mg/リットル
であった。よって、重合を開始する直前の反応系全体の
溶存酸素濃度は0.1mg/リットルであった。これ以
外は全て実施例1と同様に操作して重合し物性測定を行
った。得られた試験片の評価結果を表2に示す。
7部、ST10.6部、ALMA1.6部を用いた以外
は、全て実施例1と同様に操作して重合し物性測定を行
った。得られた試験片の評価結果を表3に示す。なお、
この単量体混合物を用いてゴム層の重合のみを行い、2
3℃における屈折率を測定したところ、nd=1.48
79であり、70℃における屈折率を測定したところ、
nd=1.4757であった。
8.0部、ST9.6部、ALMA1.6部を用いた以
外は、全て実施例1と同様に操作して重合し物性測定を
行った。得られた試験片の評価結果を表3に示す。な
お、この単量体混合物を用いてゴム層の重合のみを行
い、23℃における屈折率を測定したところ、nd=
1.4859であり、70℃における屈折率を測定した
ところ、nd=1.4738であった。
9.5部、ST18.1部、ALMA1.6部を用いた
以外は、全て実施例1と同様に操作して重合し物性測定
を行った。得られた試験片の評価結果を表3に示す。な
お、この単量体混合物を用いてゴム層の重合のみを行
い、23℃における屈折率を測定したところ、nd=
1.4999であり、70℃における屈折率を測定した
ところ、nd=1.4877であった。
0.6部、BD27.0部を用い、ゴム層の開始剤系と
してクメンハイドロパーオキシド0.07部、ロンガリ
ット0.5部、硫酸第一鉄0.01部を用い、オートク
レーブ中で55℃で6時間重合を行った以外は、全て実
施例1と同様に操作して重合し物性測定を行った。得ら
れた試験片の評価結果を表4に示す。なお、この単量体
混合物を用いてゴム層の重合のみを行った後、ラテック
ス中の固形分を取り出し、23℃における屈折率を測定
したところ、nd=1.4908であり、70℃におけ
る屈折率を測定したところ、nd=1.4612であっ
た。よってdnR/dT−dnP/dTは0.0005
4であった。
ば、従来のゴム変性透明熱可塑性樹脂の持つ耐衝撃性や
成形加工性を維持し、かつ加熱によるヘイズの増加や透
明性の減少等の欠点が改良された透明熱可塑性樹脂組成
物を提供することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 透明熱可塑性樹脂中に、ガラス転移温度
が0℃以下のゴム相を有するコア−シェル型多層構造粒
子が分散された透明熱可塑性樹脂組成物であって、それ
ぞれ単独で測定したときの23℃におけるゴム相の屈折
率(nR23)と樹脂相の屈折率(nP23)が下記の
式(I)の関係にあり、かつそれぞれ単独で測定したと
きの23〜70℃におけるゴム相の屈折率の温度変化量
(dnR/dT)と樹脂相の屈折率の温度変化量(dn
P/dT)とが下記の式(II)の関係を有することを特
徴とする透明熱可塑性樹脂組成物。 0.01>nR23−nP23>0 (I) 0.00025>|dnR/dT−dnP/dT| (II) - 【請求項2】 ゴム相が、アルキル基の炭素数が1〜8
であるアクリル酸アルキルエステル59.9〜99.9
重量%、他の共重合性単量体0〜40重量%及び多官能
性単量体0.05〜5重量%からなり、他の共重合性単
量体に共役ジエン系化合物を含まないものであることを
特徴とする、請求項1に記載の透明熱可塑性樹脂組成
物。 - 【請求項3】 コア−シェル型多層構造粒子が、乳化重
合法に際し、重合系の液相全体の溶存酸素濃度が0.2
〜10mg/リットルの時に第1層の重合を開始して得
られたものであることを特徴とする、請求項1または2
に記載の透明熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項4】 透明熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度が
50℃以上の透明熱可塑性樹脂であり、コア−シェル型
多層構造粒子が、第1層がそのガラス転移温度が50℃
以上の樹脂層、第2層が架橋ゴム層、第3層が透明熱可
塑性樹脂と相溶性のある非架橋樹脂層の三層からなり、
かつ第2層の粒子径(r)が下記の式(III)の範囲であ
って、rと第1層と第2層における第2層の重量比率
(N)(第2層重量/(第1層重量+第2層重量))と
が下記の式(IV)の関係を有することを特徴とする請求
項1〜3のいずれか1項に記載の透明熱可塑性樹脂組成
物。 r(μm)=0.05〜0.30 (III) N≦0.1/r−0.1 (IV)
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- 1995-08-04 JP JP21957595A patent/JP3563166B2/ja not_active Expired - Fee Related
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