JPH0931124A - ポリビニルアセタールの製造方法、ポリビニルアセタール、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

ポリビニルアセタールの製造方法、ポリビニルアセタール、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス

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JPH0931124A
JPH0931124A JP7278869A JP27886995A JPH0931124A JP H0931124 A JPH0931124 A JP H0931124A JP 7278869 A JP7278869 A JP 7278869A JP 27886995 A JP27886995 A JP 27886995A JP H0931124 A JPH0931124 A JP H0931124A
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稔 中嶋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造時間を短縮し得るポリビニルアセタール
の製造方法を提供する。また、この製造方法で得られる
ポリビニルブチラールを用いて合わせガラス用中間膜及
び合わせガラスを得る。 【解決手段】 ポリビニルアルコールとアルデヒド化合
物とを縮合せしめてポリビニルアセタールを製造する方
法において、1,2−グリコール結合量が1.70モル
%以下のポリビニルアルコールを用いる。この製造方法
で得られるポリビニルアセタールのうちポリビニルブチ
ラールを用い、従来と同様な方法で合わせガラス用中間
膜及び合わせガラスを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリビニルアセ
タールの製造方法に関し、詳しくは製造時間を短縮でき
るポリビニルアセタールの製造方法及び粒度が比較的大
きいポリビニルアセタールの製造方法に関する。
【0002】さらに、この発明は、上記ポリビニルアセ
タールの製造方法により得られたポリビニルアセター
ル、このポリビニルアセタールのうちポリビニルブチラ
ールを用いた合わせガラス用中間膜及びこの合わせガラ
ス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【0003】
【従来の技術】ポリビニルブチラール等のポリビニルア
セタールは、安全ガラスの中間膜、塗料、接着剤等の原
料樹脂として広く使用されている。この種のポリビニル
アセタールは、主に沈殿法及び溶液法により製造されて
いる。
【0004】ポリビニルブチラールの製造を例にとる
と、沈殿法では、酸触媒の存在下でポリビニルアルコー
ルの水溶液にブチルアルデヒドを加え、一般に20℃以
下の比較的低温で縮合反応を行ってポリビニルブチラー
ルを沈澱析出させ、その後昇温して熟成反応を行う(例
えば、特開昭56−82806号公報参照)。
【0005】溶液法では、イソプロピルアルコール等の
有機溶媒中にポリビニルアルコールと酸触媒とブチルア
ルデヒドとを加え、比較的高温で縮合反応及び熟成反応
を行ってポリビニルブチラールの溶液を得て、この溶液
に水等の非溶媒を加えてポリビニルブチラールを沈澱析
出させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の沈殿
法によるポリビニルアセタールの製造にあっては、縮合
反応のあと熟成反応を行ってポリビニルアセタールを安
定化させるが、この場合、良好な品質を得るためには、
長時間にわたり沈殿物を水中で撹拌して熟成反応を行わ
ねばならず、このため製造時間が長くなるという問題が
ある。
【0007】また、溶液法では、酸性下でポリビニルア
ルコールのケン化が起こりやすくなり、塩酸濃度を沈殿
法より低くせねばならず、そのため縮合反応及び熟成反
応に長時間を要し、この場合も製造時間が長くなるとい
う問題がある。
【0008】さらに、沈殿法では、ケン化度の高いポリ
ビニルアルコールが用いられ、このようなポリビニルア
ルコールの水溶液を短時間で得るためには、ポリビニル
アルコールを投入する水の温度を高くすることが有利で
あるが、水温を高く(約50℃以上)すると、ポリビニ
ルアルコールが塊状(ままこ)になりやすく、逆に溶解
しにくくなる。
【0009】そのため、ポリビニルアルコールを投入す
る水の温度は低め(約40℃以下)にして塊状物の発生
を防止し、その後90℃以上への昇温して完全に溶解す
る方法が採用されているが、この場合、90℃以上への
昇温に長時間を要し、そのため製造時間が長くなるとい
う問題がある。
【0010】さらに、沈殿法では、ポリビニルアセター
ルの粒子が粗大化したり凝集したりしないように沈澱析
出させるため及び均一な品質の製品を得るために、一般
に20℃以下の比較的低温で縮合反応を行っているが、
この場合、得られるポリビニルアセタールの粒子が微細
になり、取扱い作業の際に微粉が舞い上がったり、押出
成形の際にスクリューへの食い込みが悪くなったりする
という問題がある。
【0011】この発明は、上記の問題を解決するもの
で、第1の目的は、主に沈澱法及び溶液法において、熟
成反応の時間を短縮できるポリビニルアセタールの製造
方法を提供することにある。
【0012】第2の目的は、沈澱法において、ポリビニ
ルアルコール水溶液の調製時間を短縮できるポリビニル
アセタールの製造方法を提供することにある。
【0013】第3の目的は、沈澱法において、粒度が比
較的大きく、好ましくは平均粒径が80μm 以上である
ポリビニルアセタールの製造方法を提供することにあ
る。
【0014】第4の目的は、上記ポリビニルアセタール
の製造方法のいずれかの製造方法により得られたポリビ
ニルアセタールを提供することにある。
【0015】第5の目的は、上記ポリビニルアセタール
のうちポリビニルブチラールを用いた合わせガラス用中
間膜及びこの合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラ
スを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、ポリ
ビニルアルコールとアルデヒド化合物とを縮合せしめて
ポリビニルアセタールを製造する方法において、1,2
−グリコール結合量が1.70モル%以下のポリビニル
アルコールを用いることによって達成することができる
(請求項1の発明)。
【0017】上記第2の目的は、ポリビニルアルコール
水溶液とアルデヒド化合物とを縮合せしめてポリビニル
アセタールを製造する方法(沈澱法)において、1,2
−グリコール結合量が1.70モル%以下のポリビニル
アルコールを用い、このポリビニルアルコールを45〜
65℃の温水中に投入した後90℃以上で溶解して、上
記ポリビニルアルコール水溶液を得ることによって達成
することができる(請求項2の発明)。
【0018】上記第3の目的は、ポリビニルアルコール
水溶液とアルデヒド化合物とを縮合せしめてポリビニル
アセタールを製造する方法(沈澱法)において、1,2
−グリコール結合量が1.70モル%以下のポリビニル
アルコールを用い、20℃以下で縮合反応を行ってポリ
ビニルアセタールを沈澱析出させ、その後30℃以上で
熟成反応を行うことによって達成することができる(請
求項3の発明)。
【0019】第4の目的は、上記ポリビニルアセタール
の製造方法のいずれかの製造方法により得られたポリビ
ニルアセタールによって達成される(請求項4の発
明)。
【0020】第5の目的は、上記ポリビニルアセタール
のうちポリビニルブチラールを用いた合わせガラス用中
間膜及び合わせガラスによって達成される(請求項5及
び6の発明)。
【0021】請求項1〜3の発明に用いるポリビニルア
ルコールの平均重合度及びケン化度は、従来の製造方法
と同様に、製造するポリビニルアセタールの用途によっ
て選ばれる。例えば、合わせガラス用中間膜に用いるポ
リビニルブチラールを製造する場合は、平均重合度が8
00〜3000のものが好ましい。また、ケン化度は、
透明性のよいポリビニルブチラールを得るために、95
モル%以上、特に98モル%以上のものが好ましい。
【0022】そして、請求項1〜3の発明では、1,2
−グリコール結合量が1.70モル%以下のポリビニル
アルコールを用いることが必要で、この点が従来の製造
方法と著しく異なる。ここで、1,2−グリコール結合
量は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)によって測
定される。このような特定のポリビニルアルコールを用
いる理由は、次の通りである。
【0023】すなわち、従来の製造方法のように、1,
2−グリコール結合量が1.70モル%を越えるポリビ
ニルアルコールを用いると、請求項1の発明において、
熟成反応の時間を短縮する効果が小さくなるからであ
る。
【0024】また、従来の製造方法のように、1,2−
グリコール結合量が1.70モル%を越えるポリビニル
アルコールを用いると、請求項2の発明において、ポリ
ビニルアルコール水溶液の調製時間を短縮する効果が小
さくなるからである。
【0025】また、従来の製造方法のように、1,2−
グリコール結合量が1.70モル%を越えるポリビニル
アルコールを用いると、請求項3の発明において、粒度
が比較的大きく平均粒径で80μm 以上とするのが難し
くなるからである。
【0026】請求項1〜3の発明に用いるアルデヒド化
合物は、従来の製造方法と同様に、製造するポリビニル
アセタールの用途によって選ばれる。例えば、合わせガ
ラス用中間膜に用いるポリビニルブチラールを製造する
場合は、アルデヒド化合物としてブチルアルデヒドが用
いられる。
【0027】その他、用途に応じて、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンア
ルデヒド、グリオキサゾールアルデヒド、p−ヒドロキ
シベンズアルデヒド、ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチルヘキシルアルデヒド、プロピオンアルデヒ
ド、フェニルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、フル
フラールアルデヒド、アクロレインアルデヒド、クロラ
ールアルデヒド、p−アジドベンズアルデヒド、シクロ
ヘキシルアルデヒド、クロルベンズアルデヒド等のアル
デヒド化合物が用いられる。
【0028】請求項1〜3の発明において、上記ポリビ
ニルアルコールとアルデヒド化合物とを縮合せしめる触
媒としては、一般に酸触媒が用いられ、具体的には、硫
酸、硝酸、塩酸等の無機酸やp−トルエンスルホン酸等
の有機酸が用いられる。これ等の酸触媒の使用量は、縮
合反応の終了時における濃度(酸触媒濃度)が0.5〜
5重量%となるような量が好ましい。
【0029】これ等の酸触媒は所定量を一度に添加して
もよいが、沈殿法の場合、微細なポリビニルアセタール
粒子を沈殿析出せしめるためには、適当な回数に分割添
加するのが好ましい。例えば、酸触媒として塩酸を用い
る場合は、沈殿物の析出前に全所要量の1/20〜1/
3を添加し、残りを沈殿物の析出後に添加するのが好ま
しい。また、溶液法の場合は、全所定量を反応のはじめ
に一括投入するのが効率上好ましい。
【0030】請求項1〜3の発明において、沈澱法で
は、上記ポリビニルアルコールを温水に溶解して水溶液
が調製され、特に上記ポリビニルアルコールを45〜6
5℃の温水中に投入した後90℃以上、好ましくは93
℃以上に昇温し、この温度で1時間以上溶解するのが好
ましい。ポリビニルアルコールを投入する温水の温度が
45℃未満では溶解時間の短縮効果が小さくなり、逆に
温水の温度が65℃を越えるとポリビニルアルコールが
塊状となり溶解時間が長くなる。
【0031】請求項1の発明において、溶液法では、上
記のポリビニルアルコールをイソプロピルアルコール等
の有機溶媒又は水との混合溶媒に溶解して溶剤溶液とさ
れる。
【0032】請求項1〜3の発明において、ポリビニル
アルコール水溶液(沈澱法)又は溶剤溶液(溶液法)の
濃度は、縮合反応によりアセタール化を行うことができ
る濃度であれば特に限定されないが、通常、3〜15重
量%である。
【0033】また、上記アルデヒド化合物の使用量は、
沈澱法、溶液法のいずれの場合においても、製造するポ
リビニルアセタールのアセタール化度に応じて適宜決定
されるが、合わせガラス用中間膜に用いる場合は、アセ
タール化度(ブチラール化度)が60〜75モル%とな
るようにブチルアルデヒドを使用するのが好ましく、そ
のためにはポリビニルアルコール100重量部に対し、
49〜74重量部のブチルアルデヒドを加えるのが望ま
しい。
【0034】請求項1の発明により、例えばポリビニル
ブチラールを製造するには、沈殿法では、上記特定のポ
リビニルアルコール水溶液に酸触媒を添加し、次いで反
応系を20℃以下に冷却し、これにブチルアルデヒドを
加えて縮合反応させてポリビニルブチラールの沈殿を析
出させる方法が好適に採用される。
【0035】このように反応系の温度を低く保つのは、
沈殿物を微小な粒子状または粉状で沈殿析出させるため
及び均一な品質の製品を得るためであり、温度の下限は
反応系が凍結しないような温度であればよく、特に限定
されるものではないが、通常、−6℃以上の温度が採用
される。
【0036】その後、ポリビニルブチラールの縮合反応
が終了したあと、ポリビニルブチラールを安定化させる
ために熟成反応を行うが、この場合、反応系を昇温し3
0℃以上の温度に数時間保って熟成反応を行うのが好ま
しい。
【0037】このように反応系の温度を30℃以上の温
度に保って熟成反応を行うのは、粒子径を比較的大きく
(平均粒径で80μm 以上)するため及び熟成反応を十
分に進めるためであり、温度の上限は水が沸騰しないよ
うな温度であればよく、特に限定されるものではない
が、通常、90℃以下の温度が採用される。
【0038】その後、酸触媒をアルカリで中和し濾過し
てポリビニルブチラールを取り出し、常法により洗浄、
精製、乾燥を行って、粉末状のポリビニルブチラールを
製造する。
【0039】一方、請求項1の発明において、溶液法で
は、イソプロピルアルコール等の有機溶媒又は水との混
合溶媒中に、上記特定のポリビニルアルコールと酸触媒
とブチルアルデヒドとを加え、次いで反応系を40〜9
0℃に昇温して縮合反応及び熟成反応を数時間行う方法
が好適に採用される。そして、その後、反応溶液に水等
の非溶媒を加えてポリビニルブチラールを析出させ、常
法により洗浄、精製、乾燥を行って粉末状のポリビニル
ブチラールを製造する。
【0040】上述のように、ポリビニルアルコールとア
ルデヒド化合物とを縮合せしめてポリビニルアセタール
を製造する方法(主に沈澱法及び溶液法)において、
1,2−グリコール結合量が1.70モル%以下のポリ
ビニルアルコールを用いると、主に熟成反応の時間が短
縮される。その作用機構は解明されたわけではないが、
次のように推察される。
【0041】先ず、アルデヒド化合物がポリビニルアル
コールの水酸基と縮合反応してアセタール環が形成され
るが、この縮合反応は平衡反応であり、反応がある程度
進行した平衡状態ではアセタール化度はほぼ一定にな
る。
【0042】このとき、比較的高温で熟成反応を行う
と、アセタール環の付け変わりが起こり、立体配置が主
鎖に沿って互いに逆であるラセミ型のアセタール環が、
主鎖に沿って互いに同じである安定なメソ型のアセター
ル環に付け変わり、一方、水酸基はアイソタクティック
から安定なシンジオタクティック立体構造へ変化し、そ
の連鎖長が長くなる。その結果、得られるポリビニルア
セタールがより安定で、剛性を有する樹脂に変化する。
このように、アセタール環の構造のメソ型の割合は、熟
成反応の程度を表す尺度とすることができる。
【0043】ここで、ポリビニルアルコールに1,2−
グリコール結合が存在すれば、この1,2−グリコール
結合中の水酸基はアルデヒド化合物と反応はするがアセ
タール環を形成することができないため、いったん反応
したアルデヒド化合物は解離し、アセタール環を形成し
得る1,3−グリコール結合と再反応する。
【0044】それゆえ、1,2−グリコール結合の存在
はアセタール化反応を阻害する原因となる。また、1,
2−グリコール結合はポリビニルアルコールの構造を不
規則のものとし、また物性的に軟らかい折れ曲がり点と
して機能するため、上記水酸基の連鎖長の成長やアセタ
ール環の付け変わりを阻害し、その結果、アセタール化
反応及び熟成反応の時間が長くなる。
【0045】したがって、ポリビニルアルコールの1,
2−グリコール結合量を1.70モル%以下に減らす
と、アセタール化反応が早くなり、しかもアセタール環
及び水酸基の構造変化が早く行われ、その結果、主に熟
成反応の時間が短縮されるものと考えられる。
【0046】また、請求項2の発明のように、ポリビニ
ルアルコールの水溶液とアルデヒド化合物とを縮合せし
めてポリビニルアセタールを製造する方法(沈澱法)に
おいて、1,2−グリコール結合量が1.70モル%以
下のポリビニルアルコールを用い、このポリビニルアル
コールを45〜65℃の水中に投入した後90℃以上で
溶解することにより水溶液を得ると、ポリビニルアルコ
ール水溶液の調製時間が短縮される。その作用機構は解
明されたわけではないが、次のように推察される。
【0047】ポリビニルアルコールが水に溶解する際に
は、先ず非晶構造部分が溶解し、次に結晶構造部分が溶
解する。ここで、ポリビニルアルコールを高温の温水に
投入すると、非晶構造部分が急速に膨潤、軟化するため
塊状物が形成される。
【0048】しかし、1,2−グリコール結合量が少な
いポリビニルアルコールは、分子構造が1,3−グリコ
ール結合からなる規則的な構造を有しているため、結晶
化した際に強い結晶構造部分を多く生成する。この強い
結晶構造部分が非晶構造内に存在すると、非晶構造部分
の膨潤、軟化の程度が抑制され、より高温で塊状物形成
に至らないものと考えられる。
【0049】そして、さらに昇温すると非晶構造部分は
緩やかに溶解し、しだいに結晶構造部分の溶解が始ま
る。この結晶のサイズが大きいと溶解時間が長くなる
が、1,2−グリコール結合量が少ないポリビニルアル
コールは、1,2−グリコール結合量が多いポリビニル
アルコールと結晶のサイズは同じ程度であり、その数が
多くなり、結晶溶解に至る時間が早くなるものと考えら
れる。
【0050】また、請求項3の発明のように、ポリビニ
ルアルコールの水溶液とアルデヒド化合物とを縮合せし
めてポリビニルアセタールを製造する方法(沈澱法)に
おいて、1,2−グリコール結合量が1.70モル%以
下のポリビニルアルコールを用い、20℃以下で縮合反
応を行ってポリビニルアセタールを沈澱析出させ、その
後30℃以上で熟成反応を行うと、粒度が比較的大きい
(平均粒径で80μm以上)ポリビニルアセタールが得
られる。その作用機構は解明されたわけではないが、次
のように推察される。
【0051】ポリビニルアルコールの水溶液とアルデヒ
ド化合物との縮合反応で沈澱析出した直後のポリビニル
アセタールの粒子(一次粒子)の大きさは、ポリビニル
アルコールの1,2−グリコール結合量が少なくても多
くても大きな差はない。
【0052】しかし、1,2−グリコール結合量が少な
いポリビニルアルコールは1,3−グリコール結合量か
らなる規則的な繰り返し単位を有するため、分子間の相
互作用が大きく、一次粒子同士が接触(衝突)したとき
に合着しようとする力が大きい。そのため、沈澱析出し
た一次粒子は他の粒子と接触し大きな粒子に成長しやす
くなるものと考えられる。
【0053】また、このようにして大きな粒子に成長し
たポリビニルアセタールの粒子は内部がポーラスなた
め、その内部に取り込まれたアルデヒド化合物などの残
存物は洗浄により容易に除去されるものと考えられる。
【0054】上述の製造方法(請求項1〜3)で得られ
るポリビニルアセタールのうち、ポリビニルブチラール
は合わせガラス用中間膜の製造に好適に用いられる。こ
の場合、ブチラール化度60〜70モル%、平均重合度
800〜3000、ブチラール環のメソ型構造75〜8
5モル%のポリビニルブチラールを用いるのが好まし
い。ここで、ブチラール化度及び平均重合度はJIS
K6728に基づいて測定され、ブチラール環のメソ型
構造はプロトン核磁気共鳴スぺクトル法により測定する
ことができる。
【0055】ブチラール化度が60モル%未満では後述
の可塑剤との相溶性が悪くなり、可塑剤が中間膜の表面
にブリードするようになり、逆に70モル%を越えると
中間膜の耐熱性や強度が低下する。また、平均重合度が
800未満では中間膜の強度が低下し、逆に3000を
越えると押出成形性が低下する。
【0056】また、ブチラール環のメソ型構造の割合と
中間膜のクリープ伸び率(80℃)と関係があり、上記
ポリビニルブチラールのメソ型構造が75モル%未満で
は中間膜のクリープ伸び率(80℃)が140%を上回
り、中間膜が柔らかくなって合わせガラスの製造過程で
中間膜が変形しやすくなり、取扱い作業性が低下する
る。逆に、メソ型構造が85モル%を越えると中間膜の
クリープ伸び率(80℃)が40%を下回り、中間膜が
硬くなって合わせガラスの製造過程で中間膜とガラスと
の界面に気泡が残りやすくなる。
【0057】ここで、中間膜のクリープ伸び率(80
℃)は、長さ40mm、幅20mm、厚さ0.76mmの中間
膜に20gの重りにより荷重を与え、80℃で30分経
過後の伸び率(%)を意味する。
【0058】この発明の合わせガラス用中間膜(請求項
5)は、例えば、次のような溶融混練押出法により製造
することができるが、溶融混練押出法に限定されない。
【0059】溶融混練押出法により合わせガラス用中間
膜を製造するには、上記ポリビニルブチラールに可塑剤
及び必要に応じてその他の添加剤を適量配合し、これを
押出機により溶融混練し、これを膜状に押出成形する。
【0060】可塑剤としては、上記ポリビニルブチラー
ルと相溶性の良好な可塑剤、例えば、トリエチレングリ
コール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリ
コール−ジ−2−エチルヘプタノエート、テトラエチレ
ングリコール−ジ−2−エチルブチレート、テトラエチ
レングリコール−ジ−2−エチルヘプタノエート等が好
適に用いられるが、これに限定されない。
【0061】これ等の可塑剤は単独で用いてもよく、2
種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。これ等の可塑
剤は、上記ポリビニルブチラール100重量部に対し
て、30〜50重量部の範囲で含有される。可塑剤の含
有率が30重量部未満では可塑化効果が不充分となって
成形が難しくなり、また柔軟性が低下し、逆に50重量
部を越えると中間膜からブリードして透明性や接着性が
低下する。
【0062】その他の添加剤としては、例えば、酢酸カ
リウム、酢酸マグネシウム等のカルボン酸のアルカリ金
属塩又はアルカリ土類金属塩からなる接着力調整剤、エ
ポキシ変性シリコンオイル、エステル変性シリコンオイ
ル等の変性シリコンオイルからなる接着力調整剤、紫外
線吸収剤、酸化防止剤、着色剤など、従来より慣用され
ている各種の添加剤が用いられる。
【0063】特に、上記接着力調整剤は、ガラスと中間
膜との接着力を適度に調節して、合わせガラスの耐貫通
性とガラスの飛散防止性とのバランスをとるのに有効で
あり、車両や航空機の窓ガラスとして用いられる合わせ
ガラスの中間膜には、上記接着力調整剤が含有されるこ
とが多い。
【0064】こうして、この発明の合わせガラス用中間
膜が得られる。この発明の合わせガラス用中間膜を用い
て合わせガラス(請求項6)を製造するには、例えば、
次のような公知の方法が採用される。なお、この中間膜
には、合わせ加工時の脱気性を良好にするために、上記
製膜工程においてエンボスロールによりその表面にエン
ボスが施されていてもよい。
【0065】先ず、上記合わせガラス用中間膜の含水量
を調整する。この中間膜の含水量は、一般に0.4〜
0.5重量%程度に調整するのが望ましい。次に、二枚
の透明なガラス板の間に上記中間膜を挟んでサンドイッ
チ体とし、これを真空ゴムバックに入れ減圧吸引しなが
ら約70〜110℃で予備接着し、次いで、オートクレ
ーブを用い、約120〜150℃で、約10〜15 kg
/cm2 の圧力で本接着を行うことにより製造される。
【0066】上記ガラス板としては、フロートガラス等
の無機ガラス板のみならず、ポリカーボネート、メチル
メタクリレート等の透明な合成樹脂からなる有機ガラス
板も使用することができる。
【0067】また、二枚の上記中間膜を用い、この中間
膜の間に各種の模様を印刷したポリエステルフィルム、
和紙、パンチングメタルシート、熱線反射性の金属薄膜
等のフィルム又はシートを介在させて装飾性中間膜や熱
線反射性中間膜とし、このような複層構造の中間膜を用
いて合わせガラスを製造することもできる。
【0068】また、ガラス破片の飛散を確実に防止する
観点から、上記サンドイッチ体において、窓ガラスの内
側となる方の透明無機ガラス板或いは透明有機ガラス
を、ポリエステルフィルム又はシートに替えたり、窓ガ
ラスの内側となる方の透明無機ガラス板或いは透明有機
ガラスの表面に、さらにポリエステルフィルム又はシー
トを積層して、合わせガラスを製造することもできる。
【0069】この発明で得られたポリビニルブチラール
を用いた合わせガラス用中間膜は、従来の製造方法で得
られたポリビニルブチラールを用いた合わせガラス用中
間膜に比べて、ブチラール環のメソ型構造の割合が同じ
であっても、中間膜のクリープ伸び率(80℃)が比較
的小さいという特徴を有する。その理由は、十分に解明
されたわけではないが、次のように推察される。
【0070】すなわち、ポリビニルアルコールとブチル
アルデヒドとを縮合反応させてポリビニルブチラールを
製造する場合、ポリビニルアルコールは鎖状のポリマー
で、1,3−グリコール結合とともに少量の1,2−グ
リコール結合を有する。この1,2−グリコール結合
は、ブチラール化反応に関与しないため、得られるポリ
ビニルブチラール中にも1,2−グリコール結合部位が
存在し、この量が少ないほどポリビニルブチラール中の
水酸基構造が規則的配列をとるため、分子間力が大きく
なり、その結果、中間膜のクリープ伸び率(80℃)が
比較的小さくなるものと考えられる。
【0071】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例及び比較
例を示す。請求項1の発明に関する実施例及び比較例 実施例1 撹拌機及び滴下漏斗を備えたセパラブルフラスコに、重
合度1700、ケン化度99.2モル%、1,2−グリ
コール結合量1.59モル%のポリビニルアルコール2
80重量部、水2850重量部を投入し、ポリビニルア
ルコールを溶解した。
【0072】その後、温度を30℃に保ち、塩酸(35
重量%水溶液)21重量部を添加し、さらに撹拌しなが
ら溶液温度を15℃に冷却し、これにブチルアルデヒド
157重量部を投入し、ポリビニルブチラールの沈殿析
出を確認してから塩酸(35重量%水溶液)179重量
部を滴下投入した。
【0073】次いで、溶液温度を50℃に上昇し2.5
時間撹拌を行って熟成反応を終了した。得られた沈殿物
を十分に水洗し、残留塩酸を除去後、50℃の熱風乾燥
機で48時間乾燥した。
【0074】熟成の程度を確認するために、ブチラール
環の構造のラセミ型とメソ型との比を、500MHzの
プロトン核磁気共鳴スぺクトル法( 1H−NMR法)で
測定したところ、メソ型が82モル%、ラセミ型が18
モル%であり、ラセミ型から安定なメソ型への構造変化
が進んでいることがわかる。得られた白色粉末のポリビ
ニルブチラールのブチラール化度は65モル%であっ
た。
【0075】実施例2 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.40
モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実
施例1と同様に行った。
【0076】ただし、熟成の程度を確認するために、5
0℃の熟成反応の際に、適宜ポリビニルブチラールを抜
き取り、これ等のポリビニルブチラールについて、メソ
型とラセミ型との比を測定したところ、メソ型82モル
%、ラセミ型18モル%になるまでの熟成反応の時間は
2時間であった。得られた白色粉末のポリビニルブチラ
ールのブチラール化度は65モル%であった。
【0077】実施例3 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.30
モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実
施例1と同様に行った。
【0078】ただし、熟成の程度を確認するために、5
0℃の熟成反応の際に、適宜ポリビニルブチラールを抜
き取り、これ等のポリビニルブチラールについて、メソ
型とラセミ型との比を測定したところ、メソ型82モル
%、ラセミ型18モル%になるまでの熟成反応の時間は
1.5時間であった。得られた白色粉末のポリビニルブ
チラールのブチラール化度は65モル%であった。
【0079】実施例4 滴下投入する塩酸(35重量%水溶液)179重量部を
157重量部に変更したこと以外は、実施例2と同様に
行った。この場合、メソ型82モル%、ラセミ型18モ
ル%になるまでの熟成反応の時間は2.5時間であっ
た。得られた白色粉末のポリビニルブチラールのブチラ
ール化度は65モル%であった。であった。
【0080】実施例5 熟成反応の温度50℃を40℃に変更したこと以外は、
実施例2と同様に行った。この場合、メソ型82モル
%、ラセミ型18モル%になるまでの熟成反応の時間は
2.5時間であった。得られた白色粉末のポリビニルブ
チラールのブチラール化度は65モル%であった。
【0081】実施例6 撹拌機、還流冷却器をつけた反応器内にイソプロピルア
ルコール2850重量部、塩酸(35重量%水溶液)9
7重量部を仕込み撹拌しながら、重合度1700、ケン
化度98.0モル%、1,2−グリコール結合量1.5
9モル%のポリビニルアルコール280重量部を投入
し、さらにブチルアルデヒド157重量部を投入した。
【0082】次いで、溶液温度を60℃に上昇し3時間
撹拌を行って縮合反応と熟成反応とを行った。得られた
ポリビニルブチラールの溶液に水を加えてポリビニルブ
チラールを析出させ、これを温水で洗浄し、残留塩酸を
除去後、50℃の熱風乾燥機で48時間乾燥した。
【0083】熟成の程度を確認するために、ブチラール
環の構造のラセミ型とメソ型との比を、500MHzの
プロトン核磁気共鳴スクトル法( 1H−NMR法)で測
定したところ、メソ型が83モル%、ラセミ型が17モ
ル%であり、ラセミ型から安定なメソ型への構造変化が
進んでいることがわかる。得られた白色粉末のポリビニ
ルブチラールのブチラール化度は65モル%であった。
【0084】実施例7 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度98.0モル%、1,2−グリコール結合量1.40
モル%のポリビニルアルコールを用い、縮合反応と熟成
反応の温度60℃を50℃に変更したこと以外は、実施
例6と同様に行った。
【0085】ただし、熟成の程度を確認するために、5
0℃の熟成反応の際に、適宜ポリビニルブチラールを抜
き取り、これ等のポリビニルブチラールについて、メソ
型とラセミ型との比を測定したところ、メソ型83モル
%、ラセミ型17%モルになるまでの熟成反応の時間は
3時間であった。得られた白色粉末のポリビニルブチラ
ールのブチラール化度は65モル%であった。
【0086】実施例8 塩酸(35重量%水溶液)の仕込み量21重量部を67
重量部に変更したこと以外は、実施例6と同様に行っ
た。
【0087】ただし、熟成の程度を確認するために、6
0℃の熟成反応の際に、適宜ポリビニルブチラールを抜
き取り、これ等のポリビニルブチラールについて、メソ
型とラセミ型との比を測定したところ、メソ型83モル
%、ラセミ型17モル%になるまでの熟成反応の時間は
3時間であった。得られた白色粉末のポリビニルブチラ
ールのブチラール化度は65モル%であった。
【0088】比較例1 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実
施例1と同様に行った。
【0089】ただし、熟成の程度を確認するために、5
0℃の熟成反応の際に、適宜ポリビニルブチラールを抜
き取り、これ等のポリビニルブチラールについて、メソ
型とラセミ型との比を測定したところ、メソ型82モル
%、ラセミ型18モル%になるまでの熟成反応の時間は
4時間で、実施例1に比べて長時間を要した。得られた
白色粉末のポリビニルブチラールのブチラール化度は6
5モル%であった。
【0090】比較例2 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度98.0モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実
施例6と同様に行った。
【0091】ただし、熟成の程度を確認するために、6
0℃の熟成反応の際に、適宜ポリビニルブチラールを抜
き取り、これ等のポリビニルブチラールについて、メソ
型とラセミ型との比を測定したところ、メソ型83モル
%、ラセミ型17モル%になるまでの熟成反応の時間は
6時間で、実施例6に比べて長時間を要した。得られた
白色粉末のポリビニルブチラールのブチラール化度は6
5モル%であった。上記実施例1〜8及び比較例1及び
2の結果をまとめて表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】請求項2の発明に関する実施例及び比較例 実施例9 撹拌機及び滴下漏斗を備えたセパラブルフラスコに、重
合度1700、ケン化度99.2モル%、1,2−グリ
コール結合量1.59モル%のポリビニルアルコール2
80重量部を、50℃の温水2850重量部に投入し
た。この時、ポリビニルアルコールの塊状物は発生しな
かった。
【0094】その後、0.5℃/分の割合で95℃まで
昇温し、95℃で1時間攪拌を行ってポリビニルアルコ
ールを溶解した。この時点で、水溶液の全部を20メッ
シュの金網で濾過したところ、金網上に不溶物は残ら
ず、ポリビニルアルコールが完全に溶解していることが
確認された。
【0095】その後、温度を30℃に保ち、塩酸(35
重量%水溶液)21重量部を添加し、さらに撹拌しなが
ら溶液温度を15℃に冷却し、これにブチルアルデヒド
157重量部を投入し、ポリビニルブチラールの沈殿析
出を確認してから塩酸(35重量%水溶液)179重量
部を滴下投入した。
【0096】次いで、溶液温度を50℃に上昇し2時間
半撹拌を行って熟成反応を終了した。得られた沈殿物を
十分に水洗し、残留塩酸を除去後、50℃の熱風乾燥機
で48時間乾燥した。
【0097】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。また、上記方
法において、50℃から95℃への昇温所要時間は90
分である。
【0098】実施例10 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.40
モル%のポリビニルアルコールを用い、ポリビニルアル
コール投入時の水温50℃を55℃に変更したこと以外
は、実施例9と同様に行った。
【0099】上記の方法において、ポリビニルブチラー
ル投入時にポリビニルアルコールの塊状物は発生しなっ
た。また、ポリビニルアルコール水溶液の濾過により、
ポリビニルアルコールが完全に溶解していることが確認
された。55℃から95℃への昇温所要時間は80分で
あった。得られた白色粉末のポリビニルブチラールのブ
チラール化度は65モル%であった。
【0100】実施例11 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.30
モル%のポリビニルアルコールを用い、ポリビニルアル
コール投入時の水温50℃を60℃に変更したこと以外
は、実施例9と同様に行った。得られた白色粉末のポリ
ビニルブチラールのブチラール化度は65モル%であっ
た。
【0101】上記の方法において、ポリビニルブチラー
ル投入時にポリビニルアルコールの塊状物は発生しなっ
た。また、ポリビニルアルコール水溶液の濾過により、
ポリビニルアルコールが完全に溶解していることが確認
された。60℃から95℃への昇温所要時間は70分で
ある。得られた白色粉末のポリビニルブチラールのブチ
ラール化度は65モル%であった。
【0102】比較例3 撹拌機及び滴下漏斗を備えたセパラブルフラスコに、ポ
リビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化度
99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74モ
ル%のポリビニルアルコール280重量部を、60℃の
温水2850重量部に投入した。この時、瞬時にポリビ
ニルアルコールの塊状物が発生した。
【0103】その後、0.5℃/分の割合で95℃まで
昇温し、95℃で1時間攪拌を行ってポリビニルアルコ
ールを溶解した。この時点で、水溶液の全部を20メッ
シュの金網で濾過したところ、金網上に70重量部の不
溶物が残ったため、その後の合成操作を中止した。な
お、60℃から95℃への昇温所要時間は70分であ
る。
【0104】比較例4 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実
施例9と同様に行った。
【0105】この場合、ポリビニルアルコールを50℃
の温水に投入した時に、瞬時にポリビニルアルコールの
塊状物が発生した。しかし、0.5℃/分の割合で95
℃まで昇温し、95℃で1時間攪拌を行ってポリビニル
アルコールを溶解した後で水溶液の全部を20メッシュ
の金網で濾過したところ、金網上に不溶物が残らなかっ
たため、その後の合成操作を続行した。
【0106】上記の方法において、50℃から95℃へ
の昇温所要時間は、実施例9と同様に90分である。し
かし、得られた白色粉末のポリビニルブチラールのブチ
ラール化度は62モル%であり、実施例9に比べてブチ
ラール化度が低下した。
【0107】比較例5 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用い、ポリビニルアル
コール投入時の水温50℃を40℃に変更したこと以外
は、実施例9と同様に行った。
【0108】この場合、ポリビニルアルコールを40℃
の温水に投入した時に、ポリビニルアルコールの塊状物
は発生しなかった。また、0.5℃/分の割合で95℃
まで昇温し、95℃で1時間攪拌を行ってポリビニルア
ルコールを溶解した後で水溶液の全部を20メッシュの
金網で濾過したところ、金網上に不溶物は残らず、ポリ
ビニルアルコールが完全に溶解していることが確認され
た。
【0109】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。しかし、40
℃から95℃までの昇温時間は110分で実施例9に比
べて長くなった。
【0110】比較例6 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量2.10
モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実
施例9と同様に行った。
【0111】この場合、ポリビニルアルコールを50℃
の温水に投入した時に、瞬時にポリビニルアルコールの
塊状物が発生した。しかし、0.5℃/分の割合で95
℃まで昇温し、95℃で1時間攪拌を行ってポリビニル
アルコールを溶解した後で水溶液の全部を20メッシュ
の金網で濾過したところ、金網上に不溶物が残らなかっ
たため、その後の合成操作を続行した。
【0112】40℃から95℃までの昇温時間は、実施
例9と同様に90分である。しかし、得られた白色粉末
のポリビニルブチラールのブチラール化度は60モル%
であり、実施例9に比べてブチラール化度が低下した。
上記実施例9〜11及び比較例3〜6の結果をまとめて
表2に示す。
【0113】
【表2】
【0114】請求項3の発明に関する実施例及び比較例 実施例12 撹拌機及び滴下漏斗を備えたセパラブルフラスコに、重
合度1700、ケン化度99.2モル%、1,2−グリ
コール結合量1.59モル%のポリビニルアルコール2
80重量部、水2850重量部を投入し、ポリビニルア
ルコールを溶解した。
【0115】その後、温度を30℃に保ち、塩酸(35
重量%水溶液)21重量部を添加し、さらに撹拌しなが
ら溶液温度を15℃に冷却し、これにブチルアルデヒド
157重量部を投入し、ポリビニルブチラールの沈殿析
出を確認してから塩酸(35重量%水溶液)179重量
部を滴下投入した。
【0116】次いで、溶液温度を50℃に上昇し2.5
時間撹拌を行って熟成反応を終了した。得られた沈殿物
を十分に水洗し、残留塩酸を除去後、50℃の熱風乾燥
機で48時間乾燥した。
【0117】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。また、このポ
リビニルブチラールの粒子径を粒度測定器(スワンヤト
ランステック社製のツブテック粒度測定器)で測定した
ところ、その平均粒子径は110μm であった。
【0118】また、このポリビニルブチラール粒子をジ
メチルホルムアミドに溶解し、ガスクロマトグラフによ
り、ポリビニルブチラール粒子中の残存ブチルアルデヒ
ド量を測定したところ、残存ブチルアルデヒドは検出さ
れなかった。
【0119】実施例13 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.40
モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実
施例12と同様に行った。
【0120】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。また、このポ
リビニルブチラール粒子の平均粒子径は125μm であ
った。また、ポリビニルブチラール粒子中の残存ブチル
アルデヒドは検出されなかった。
【0121】実施例14 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.30
モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実
施例12と同様に行った。
【0122】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。また、このポ
リビニルブチラール粒子の平均粒子径は125μm であ
った。また、ポリビニルブチラール粒子中の残存ブチル
アルデヒドは検出されなかった。
【0123】比較例7 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実
施例12と同様に行った。
【0124】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。また、ポリビ
ニルブチラール粒子中の残存ブチルアルデヒドは検出さ
れなかった。しかし、このポリビニルブチラール粒子の
平均粒子径は70μm で、実施例12と比べて粒子径が
小さかった。
【0125】比較例8 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用い、熟成反応温度5
0を60℃に変更したこと以外は、実施例12と同様に
行った。
【0126】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。また、ポリビ
ニルブチラール粒子中の残存ブチルアルデヒドは検出さ
れなかった。しかし、このポリビニルブチラール粒子の
平均粒子径は75μm で、実施例12と比べて粒子径が
小さかった。
【0127】比較例9 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用い、熟成反応時間
2.5時間を3.5時間に変更したこと以外は、実施例
12と同様に行った。
【0128】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。また、ポリビ
ニルブチラール粒子中の残存ブチルアルデヒドは検出さ
れなかった。しかし、このポリビニルブチラール粒子の
平均粒子径は75μm で、実施例12と比べて粒子径が
小さかった。
【0129】比較例10 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用い、沈澱析出温度1
5℃を25℃に変更したこと以外は、実施例12と同様
に行った。
【0130】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。また、このポ
リビニルブチラール粒子の平均粒子径は100μm で、
比較的大きかった。しかし、ポリビニルブチラール粒子
中の残存ブチルアルデヒドが検出され、その量は100
ppmであった。
【0131】比較例11 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量2.10
モル%のポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実
施例12と同様に行った。
【0132】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。また、ポリビ
ニルブチラール粒子中の残存ブチルアルデヒドは検出さ
れなかった。しかし、このポリビニルブチラール粒子の
平均粒子径は55μm で、実施例12と比べて粒子径が
小さかった。
【0133】比較例12 熟成反応温度50℃を20℃に変更し、熟成反応時間
2.5時間を6.0時間としたこと以外は、実施例12
と同様に行った。
【0134】得られた白色粉末のポリビニルブチラール
のブチラール化度は65モル%であった。また、ポリビ
ニルブチラール粒子中の残存ブチルアルデヒドは検出さ
れなかった。しかし、このポリビニルブチラール粒子の
平均粒子径は50μm で、実施例12と比べて粒子径が
小さかった。上記実施例12〜14及び比較例7〜12
の結果をまとめて表3に示す。
【0135】
【表3】
【0136】請求項5及び6の発明に関する実施例及び
比較例 実施例15 合わせガラス中間膜の製造 実施例1で得られたポリビニルブチラール100重量部
とトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート
40重量部と酢酸マグネシウム0.05重量部と変性シ
リコンオイル(信越化学社製のF328S)0.05重
量部を、らいかい機で混合し、この混合物を押出成形機
を用いて180〜220℃でシート状に押出成形して、
厚さ0.76mmの合わせガラス用中間膜を製造した。
【0137】この中間膜のクリープ伸び率(80℃)を
測定するために、長さ80mm、幅20mmの短冊状に裁断
して試験片を作製し、両端から20mmの位置にそれぞれ
標線を付け、これを80℃の熱風乾燥機中に長さ方向に
吊るし、その下端部に20gの重りを吊り下げ、30分
経過後の両標線間のクリープ伸び率を測定したところ、
クリープ伸び率は100%であった。なお、このクリー
プ伸び率は、(30分経過後の両標線間の長さ−40m
m)/40mm×100(%)で示される。
【0138】合わせガラスの製造 上記合わせガラス用中間膜を恒温恒湿室で含水率が0.
4〜0.5重量%になるように調節し、これを二枚の透
明フロートガラス板(縦300mm×横300mm×3mm)
の間に挟んでサンドイッチ体とし、これを真空ゴムバッ
クに入れ、10torrの真空度で20分間減圧吸引し
ながら100℃で予備接着し、次いでオートクレーブに
入れ、145℃の温度、13 kg/cm2 の圧力で本接着
を行って透明な合わせガラスを製造した。
【0139】実施例16 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.40
モル%のポリビニルアルコールを用い、50℃で2.5
時間の熟成反応を2時間としこと以外は、実施例1と同
様に行って、ブチラール化度65モル%、ブチラール環
のメソ型82モル%、ラセモ型18モル%の白色粉末の
ポリビニルブチラールを得た。
【0140】このポリビニルブチラールを用いること以
外は、実施例15と同様に行って、合わせガラス用中間
膜及び合わせガラスを製造した。この合わせガラス用中
間膜クリープ伸び率(80℃)は90%であった。
【0141】実施例17 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.30
モル%のポリビニルアルコールを用い、50℃で2.5
時間の熟成反応を1.5時間としこと以外は、実施例1
と同様に行って、ブチラール化度65モル%、ブチラー
ル環のメソ型82モル%、ラセモ型18モル%の白色粉
末のポリビニルブチラールを得た。
【0142】このポリビニルブチラールを用いること以
外は、実施例15と同様に行って、合わせガラス用中間
膜及び合わせガラスを製造した。この合わせガラス用中
間膜クリープ伸び率(80℃)は80%であった。
【0143】実施例18 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.59
モル%のポリビニルアルコールを用い、50℃で2.5
時間の熟成反応を3時間としこと以外は、実施例1と同
様に行って、ブチラール化度65モル%、ブチラール環
のメソ型83モル%、ラセモ型17モル%の白色粉末の
ポリビニルブチラールを得た。
【0144】このポリビニルブチラールを用いること以
外は、実施例15と同様に行って、合わせガラス用中間
膜及び合わせガラスを製造した。この合わせガラス用中
間膜クリープ伸び率(80℃)は90%であった。
【0145】実施例19 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.59
モル%のポリビニルアルコールを用い、50℃で2.5
時間の熟成反応を1.5時間としこと以外は、実施例1
と同様に行って、ブチラール化度65モル%、ブチラー
ル環のメソ型80モル%、ラセモ型20モル%の白色粉
末のポリビニルブチラールを得た。
【0146】このポリビニルブチラールを用いること以
外は、実施例15と同様に行って、合わせガラス用中間
膜及び合わせガラスを製造した。この合わせガラス用中
間膜クリープ伸び率(80℃)は110%であった。
【0147】実施例20 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.59
モル%のポリビニルアルコールを用い、50℃で2.5
時間の熟成反応を1時間としこと以外は、実施例1と同
様に行って、ブチラール化度65モル%、ブチラール環
のメソ型77モル%、ラセモ型23モル%の白色粉末の
ポリビニルブチラールを得た。
【0148】このポリビニルブチラールを用いること以
外は、実施例15と同様に行って、合わせガラス用中間
膜及び合わせガラスを製造した。この合わせガラス用中
間膜クリープ伸び率(80℃)は130%であった。
【0149】比較例13 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用い、50℃で2.5
時間の熟成反応を4時間としこと以外は、実施例1と同
様に行って、ブチラール化度65モル%、ブチラール環
のメソ型82モル%、ラセモ型18モル%の白色粉末の
ポリビニルブチラールを得た。
【0150】このポリビニルブチラールを用いること以
外は、実施例15と同様に行って、合わせガラス用中間
膜及び合わせガラスを製造した。この合わせガラス用中
間膜クリープ伸び率(80℃)は110%であった。
【0151】比較例14 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用い、50℃で2.5
時間の熟成反応を6時間としこと以外は、実施例1と同
様に行って、ブチラール化度65モル%、ブチラール環
のメソ型83モル%、ラセモ型17モル%の白色粉末の
ポリビニルブチラールを得た。
【0152】このポリビニルブチラールを用いること以
外は、実施例15と同様に行って、合わせガラス用中間
膜及び合わせガラスを製造した。この合わせガラス用中
間膜クリープ伸び率(80℃)は100%であった。
【0153】比較例15 ポリビニルアルコールとして、重合度1700、ケン化
度99.2モル%、1,2−グリコール結合量1.74
モル%のポリビニルアルコールを用い、50℃で2.5
時間の熟成反応を8時間としこと以外は、実施例1と同
様に行って、ブチラール化度65モル%、ブチラール環
のメソ型85モル%、ラセモ型15モル%の白色粉末の
ポリビニルブチラールを得た。
【0154】このポリビニルブチラールを用いること以
外は、実施例15と同様に行って、合わせガラス用中間
膜及び合わせガラスを製造した。この合わせガラス用中
間膜クリープ伸び率(80℃)は80%であった。上記
実施例15〜20及び比較例13〜15の結果をまとめ
て表4に示す。
【0155】
【表4】
【0156】
【発明の効果】上述の通り、請求項1の発明は、ポリビ
ニルアルコールとアルデヒド化合物とを縮合せしめてポ
リビニルアセタールを製造する方法において、1,2−
グリコール結合量が1.70モル%以下のポリビニルア
ルコールを用いるもので、それにより熟成反応の時間を
短くすることができ、ポリビニルアセタールの製造時間
を短縮できる。
【0157】また、請求項2の発明は、ポリビニルアル
コール水溶液とアルデヒド化合物とを縮合せしめてポリ
ビニルアセタールを製造する方法(沈澱法)において、
1,2−グリコール結合量が1.70モル%以下のポリ
ビニルアルコールを用い、このポリビニルアルコールを
45〜65℃の温水中に投入した後90℃以上で溶解す
ることにより、上記ポリビニルアルコール水溶液を得る
もので、それによりポリビニルアルコール水溶液の調製
時間を短くすることができ、ポリビニルアセタールの製
造時間を短縮できる。
【0158】また、請求項3の発明は、ポリビニルアル
コール水溶液とアルデヒド化合物とを縮合せしめてポリ
ビニルアセタールを製造する方法(沈澱法)において、
1,2−グリコール結合量が1.70モル%以下のポリ
ビニルアルコールを用い、20℃以上で熟成反応を行う
もので、それにより粒度が比較的大きく平均粒径で好ま
しくは80μm 以上のポリビニルアセタールを製造する
ことができる。
【0159】このように、粒度が比較的大きく平均粒径
で好ましくは80μm 以上のポリビニルアセタールは、
取扱い作業の際に微粉が舞い上がったり、押出成形の際
にスクリューへの食い込みが悪くなったりしないので、
特に押出成形により合わせガラス用中間膜等のシートを
製造するための原料として好適である。
【0160】なお、請求項2及び3の発明においては、
請求項1の発明と同じく、上記特定のポリビニルアルコ
ールを用いるものであるから、請求項1の発明と同様に
熟成反応の時間を短縮できるという効果を奏することは
いうまでもない。
【0161】また、請求項3の発明において、請求項2
の発明と同じく、上記特定のポリビニルアルコールを4
5〜65℃の温水中に投入した後90℃以上で溶解する
ことによりポリビニルアルコール水溶液を得るようにす
れば、請求項2の発明と同様にポリビニルアルコール水
溶液の調製時間を短縮できるという効果を奏することは
いうまでもない。
【0162】また、請求項4の発明のポリビニルアセタ
ールは、上記請求項1〜3のいずれかの製造方法で得ら
れるので、従来のポリビニルアセタールより低コストと
なる。
【0163】さらに、請求項5の発明の合わせガラス用
中間膜は、使用するポリビニルブチラールのブチラール
環のメソ型構造の割合(熟成の同程度)が従来のポリビ
ニルブチラールと同じであっても、クリープ伸び率(8
0℃)が比較的小さく、それだけ合わせガラスの製造過
程での中間膜の取扱い作業性に優れるという利点があ
り、しかも従来の中間膜より低コストとなる。
【0164】さらに、請求項6の発明の合わせガラス
は、上記の中間膜を用いるので、従来の中間膜より低コ
ストとなる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコールとアルデヒド化合
    物とを縮合せしめてポリビニルアセタールを製造する方
    法において、1,2−グリコール結合量が1.70モル
    %以下のポリビニルアルコールを用いることを特徴とす
    るポリビニルアセタールの製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒ
    ド化合物とを縮合せしめてポリビニルアセタールを製造
    する方法(沈澱法)において、1,2−グリコール結合
    量が1.70モル%以下のポリビニルアルコールを用
    い、このポリビニルアルコールを45〜65℃の温水中
    に投入した後90℃以上で溶解して、上記ポリビニルア
    ルコール水溶液を得ることを特徴とするポリビニルアセ
    タールの製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコール水溶液とアルデヒ
    ド化合物とを縮合せしめてポリビニルアセタールを製造
    する方法(沈澱法)において、1,2−グリコール結合
    量が1.70モル%以下のポリビニルアルコールを用
    い、20℃以下で縮合反応を行ってポリビニルアセター
    ルを沈澱析出させ、その後30℃以上で熟成反応を行う
    ことを特徴とするポリビニルアセタールの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製
    造方法により得られたポリビニルアセタール。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のポリビニルアセタール
    のうちポリビニルブチラールを用いた合わせガラス用中
    間膜。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の合わせガラス用中間膜
    を用いた合わせガラス。
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