JPH09302500A - アニオン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法 - Google Patents

アニオン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法

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JPH09302500A
JPH09302500A JP8114993A JP11499396A JPH09302500A JP H09302500 A JPH09302500 A JP H09302500A JP 8114993 A JP8114993 A JP 8114993A JP 11499396 A JP11499396 A JP 11499396A JP H09302500 A JPH09302500 A JP H09302500A
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color filter
electrodeposition
anionic
anionic electrodeposition
electrodeposition coating
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Kenko Rin
顯光 林
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Industrial Technology Research Institute ITRI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い光透過率を確保し、塗料利用率を向上さ
せ、ブラックマトリックスの形状を自由にデザインでき
るカラーフィルタの製造方法を提供する。 【解決手段】 (1)透明導電基板上にポジ型フォトレ
ジストを全面コーティングしたのち、露光および現像プ
ロセスを介して、透明導電基板を部分的に露出するステ
ップと、(2)アニオン性電着法により、前記導電基板
の前記露光および現像プロセスで露出した部分に色相の
ある電着樹脂層を選択的にコーティングするステップ
と、(3)残されたポジ型フォトレジストに対して全面
的な露光を行うステップと、(4)前記透明電極基板を
加熱乾燥して前記電着樹脂層の硬化を行うステップと、
(5)アルカリ性現像液で残されたポジ型フォトレジス
トを剥離するステップと、(6)前記ステップ(1)〜
(5)を繰り返して残りの異なる色相の電着樹脂層を作
製するステップとを具備したアニオン性電着塗料による
カラーフィルタ製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイ
のカラーフィルタの製造方法に関し、特に、アニオン性
電着法を採用したアニオン性電着塗料によるカラーフィ
ルタ製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーフィルタは、液晶ディスプレイの
構成部品において高価なものに属するものとなってお
り、その主な原因としては、製造工程が複雑で、しかも
原料コストが高く、さらに原料利用率が低いことがあげ
られる。これが、現在、広く採用されている顔料分散法
によるカラーフィルタ膜製造方法の難問となっている。
【0003】周知のように、電着法は、製造コストが比
較的低い方法であるが、従来技術における電着法には、
その材料が配合不良となる現象が広く見られて、顔料分
散法に取って替わることができなかった。例えば、アニ
オン性電着塗料とポジ型フォトレジストとを用い、全面
ITO(Indium−Tin Oxide=インジウ
ム錫オキシド)ガラスにアニオン性電着塗料を堆積させ
るばあい、従来技術による製造方法ではアニオン性電着
塗料が現像液によって変質されるという現象が見られ
た。また、カチオン性電着塗料とポジ型フォトレジスト
とを組み合わせると、ITOガラスが黒化する現象が見
られた。
【0004】また、ITOを事前にエッチングしてスト
ライプ状とし、さらに電極を直列接続する方式で電着を
行うばあい、ブラックマトリックスにおいて格子パター
ンの作製が容易ではなかった。
【0005】従来技術におけるカラーフィルタ膜の製造
方法としては、染色法、印刷法、顔料分散法、電着法な
どが一般的なものであった。
【0006】前記染色法としては、例えば、米国特許第
4,820,619号(東芝)があり、この方法は染料
を利用して樹脂を染色することによってカラーフィルタ
が製作されるものであったが、染料の耐熱性が不十分で
あったので、カラーフィルタ膜の色収差が比較的大き
く、液晶ディスプレイメーカーが採用しなくなってしま
った。
【0007】また、前記印刷法は、その多くが顔料を色
素として採用しているので、染料の耐熱性不足という問
題は存在しなかったが、一般に印刷機の印刷精度が不十
分で、100μmの解像度を達成することが困難であっ
たから、メーカーのニーズに適合するものではなかっ
た。
【0008】また、前記顔料分散法は、エッチング法と
フォトソリグラフィ法との2方式に分けられ、エッチン
グ法の着色塗料の耐熱性は良好であるが、製造工程が複
雑で、しかも必要とする材料が多いために、最近は使用
される機会が少なくなっている。また、フォトソリグラ
フィ法は、現在、比較的多く使用されている方法であ
り、例えば、米国特許第5,085,973号(松下電
器産業)、特開平2−208602号公報(凸版印刷)
に開示された方法がそうであり、フォトソリグラフィ技
術の利用により解像度において10μm以下を達成する
とともに、カラーフィルタ膜の耐熱性も良好であったか
ら、多くのメーカーが採用するものとなったが、スピン
コーティング法を使用するために、90%以上のカラー
コーティング材が廃棄されるものとなるので、他の方法
と比べてコストが極めて高いものとなっていた。また、
スピンコーティング法をローラコーティングなど精密コ
ーティング技術を用いる方法に置き換えて高価なカラー
コーティング材を節約することが試みられてきたが、そ
のばあい平坦性が十分ではないので、実用例がまだ見ら
れない。
【0009】また、前記電着法は、基板となる透明導電
層(ITO=インジウム錫オキシド)の形状によってパ
ターン付き導電層(ITO with patter
n)タイプおよび全面(パターン無し)導電層(ITO
without pattern)タイプの2種類に
分けられる。パターン付き導電層タイプの電着法は、初
期の技術に属し、例えば、米国特許第4,812,38
7号(神東塗料)と、同第5,206,750号(スタ
ンレー電気)と、同第4,617,094号および同第
4,781,444号ならびに同第4,999,094
号(セイコー電子工業)とに開示されたものがあって、
先ずITO導電層をフォトソリグラフィ法でストライプ
状のパターンにエッチングしてから、各色相が必要とす
る位置において同一色相の導電層を直列接続し、電着法
によって異なる色相の塗料を導電層上にコーティングす
るものであった。このような方法は、色素が顔料である
ために、耐熱性が良好であり、しかもITO導電層をフ
ォトソリグラフィ法で作製するものであったから、解像
度も10μm以下のレベルを達成していたと同時に、電
着法の塗料利用率を98%以上とすることができ、コス
ト的には顔料分散法より優位なものであった。しかしな
がら、パターン付き導電層タイプの電着法は、同一色相
画素の導電層を直列接続する必要があり、画素の配列が
多くは直線状となって、他の方法のように画素の位置を
自由に配列することができなかった。しかも、画素の多
くは直線状であったために、ブラックフレームを備えた
格子パターンを作製するためには、製造ステップを所定
回数以上に増加させなければならなかった。例えば、特
開昭61−203403号公報(旭硝子)では多回数の
フォトソリグラフィ工程を増加させているので、製造コ
ストが増大していた。
【0010】全面(パターン無し)導電層タイプの電着
法は、あらかじめITOパターンをエッチングする必要
がなく、この方法によってITO導電層の全面にフォト
レジストをコーティングし、フォトソリグラフィ法で同
一色相に相当する画素導電層を現像し、残留フォトレジ
ストを絶縁層としてから、電着法によりカラー塗料を露
出された導電層上にコーティングするもので、このステ
ップを繰り返すことで赤・緑・青3種類の画素を導電ガ
ラス上にコーティングするものであった。このような方
法によって作製された画素は、電着法の塗料利用率が高
いという利点を保持しながら、画素のパターンならびに
配列が自由にデザインできたから、パターン付き導電層
タイプの電着法の欠点を解消できるものであった。しか
しながら、全面(パターン無し)導電層タイプの電着法
にも解決困難な問題が存在していた。それは、全面(パ
ターン無し)導電層ITOがフォトレジストを絶縁層と
するものであったから、アニオン性電着塗料を利用して
コーティングを行うときに、フォトレジストの現像液が
着色塗膜層を変質させやすく、着色塗膜層が変質される
のを回避するために、着色塗膜層の硬化温度を120℃
以上にまで高めることにより、その耐アルカリ性を向上
させていた。しかし、一般にポジ型フォトレジスト(キ
ノンジアジド・タイプ)は、120℃に達したときに熱
架橋(Thermal crosslinking)反
応が発生して除去が困難なものとなるので、この問題を
解決するために、米国特許第5,439,582号およ
び特開平5−93807号公報(日本ペイント)では、
低温反応型の電着塗料を採用したり、高価な他のポジ型
フォトレジストに置き換えたりしたが、低温反応型の電
着塗料は、浴槽液の常温使用寿命が短く、他のポジ型フ
ォトレジストは商品化されたものが少なくて入手が容易
ではないので、このようなアニオン性電着法を採用する
メーカーは極めて少なかった。
【0011】アニオン性電着塗料がフォトレジスト現像
液によって変質させられるという問題を回避するため
に、各種の電着法に転写技術を組み合わせた方法が提示
されており、例えば、特開平5−164913号公報
(大日本印刷)および米国特許第4,853,092号
(大日本印刷)、同第5,314,770号および同第
5,385,795号(日本石油)、同第4,902,
592号(日本ペイント)、ヨーロッパ広域特許第02
99508号(日本ペイント)などがあるが、転写法に
は、やはり精度不足の問題が存在しており、歩留まりを
上げることが困難であった。他のフォトレジスト現像液
による変性の問題を解決する方法としては、カチオン性
電着塗料を使用することがあるけれども、カチオンが導
電層(ITO)を還元する黒化反応が発生するので、光
線透過率が大幅に低下して、色彩が薄暗くなってしまう
のであって、このような方法を用いる方法である例え
ば、米国特許第5,214,542号、特開平4−32
4801号公報、ヨーロッパ広域特許第0587033
号などには、いずれも光線透過率が不足するという問題
が存在していた。
【0012】この他にも、米国特許第5,186,80
1号(日本ペイント)に開示された電着塗料に光硬化性
を備えさせるものがあるが、ポジ型フォトレジストの現
像液による変質という問題は回避できるものの、顔料含
有量が多い電着塗料を感光性を備えたものとするので、
技術的にいって十分な解像度を達成しにくいという難題
を抱えるものであった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来技術
を踏まえて、塗料利用率を向上させるために、光線透過
率の高いアニオン性電着塗料を使用しながら、しかもフ
ォトレジストの現像液によるアニオン性電着樹脂層の薄
膜の変質という問題を解消し、着色画素を自由に配列す
ることが困難であったという問題を解決することが、本
発明の課題である。
【0014】すなわち、本発明は、好適な露光およびポ
ストベークという条件を組み合わせることで、ポジ型フ
ォトレジストの除去が可能であり、しかもアニオン性電
着薄膜を損なわずに、アニオン性電着薄膜の高透光率を
保持しながら画素を自由に配列するとともに、着色塗料
の利用率が高いアニオン性電着塗料によるカラーフィル
タ製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)透明導
電基板上にポジ型フォトレジストを全面コーティングし
たのち、露光および現像プロセスを介して、透明導電基
板を部分的に露出するステップと、(2)アニオン性電
着法により、前記導電基板の前記露光および現像プロセ
スで露出した部分に色相のある電着樹脂層を選択的にコ
ーティングするステップと、(3)残されたポジ型フォ
トレジストに対して全面的な露光を行うステップと、
(4)前記透明電極基板を加熱乾燥して前記電着樹脂層
の硬化を行う(ポストベーク)ステップと、(5)アル
カリ性現像液で残されたポジ型フォトレジストを剥離す
るステップと、(6)前記ステップ(1)〜(5)を繰
り返して残りの異なる色相の電着樹脂層を作製するステ
ップとを具備したアニオン性電着塗料によるカラーフィ
ルタ製造方法に関する。
【0016】また、本発明は、前記ステップ(1)が、
黒色感光性塗料のコーティング、露光、現像というプロ
セスを経て前記透明導電基板上にブラックマトリックス
を作製したのちに行なわれるアニオン性電着塗料による
カラーフィルタ製造方法に関する。
【0017】前記ポジ型フォトレジストが、クレゾール
ノボラック樹脂およびキノンジアジド化合物から組成さ
れたフォトレジスト系であることが好ましい。
【0018】また、前記電着樹脂層が、カルボキシル基
を有するアニオン性樹脂のエマルジョンを用い、電着に
よる堆積を経て作製されるものであることが好ましい。
【0019】また、前記アニオン性電着法が、電圧を1
5〜80V、電着時間を10〜120秒間とするもので
あることが好ましい。
【0020】また、前記ステップ(3)の全面露光が露
光量を20mJ/cm2以上とするものであることが好
ましい。
【0021】また、前記ステップ(3)の全面露光が露
光量を40mJ/cm2以上とするものであることが好
ましい。
【0022】また、前記ステップ(4)の加熱乾燥温度
を120〜220℃とするものであることが好ましい。
【0023】また、前記ステップ(4)の加熱乾燥温度
を130〜160℃とするものであることが好ましい。
【0024】また、前記ステップ(4)の加熱乾燥時間
を5〜60分間とするものであることが好ましい。
【0025】また、前記ステップ(5)に用いるアルカ
リ性現像液を水酸化ナトリウムウ、メタケイ酸ナトリウ
ム、水酸化カリウムまたは水酸化テトラメチルアンモニ
ウムの水溶液とするものであることが好ましい。
【0026】また、本発明は、前記電着樹脂層が、3種
類の色相を有し、該3種類の色相が赤、緑および青の色
相であるアニオン性電着塗料によるカラーフィルタ製造
方法に関する。
【0027】また、本発明は、前記赤、緑および青の3
種類の色相の電着樹脂層の形状が、微細な格子状(本明
細書において、「格子状」とは、その重複単位が三角
形、モザイク形、ストライプ形を含む概念である)であ
り、その重複した配列方式が三角形またはモザイク形あ
るいはストライプ形を配列させたものであり、各色相間
の間にブラックマトリックスを有するものであるアニオ
ン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法に関する。
【0028】また、本発明は、前記透明導電基板が、I
TO(インジウム錫オキシド)をコーティングしたガラ
スであるアニオン性電着塗料によるカラーフィルタ製造
方法に関する。
【0029】また、本発明は、前記ステップ(3)が、
前記ステップ(2)の前に完了できるものである、つま
り全面露光して初めてアニオン性電着を行うものである
アニオン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法に関
する。
【0030】また、本発明は、前記ステップ(1)〜
(6)の後、残されたポジ型フォトレジストを剥離した
部分に最後の1つの色相の電着樹脂層を直接コーティン
グするものであるアニオン性電着塗料によるカラーフィ
ルタ製造方法に関する。
【0031】
【発明の実施の形態】
(1)透明導電基板上にポジ型フォトレジストを全面コ
ーティングしたのち、露光および現像プロセスを介し
て、透明導電基板を部分的に露出するステップと、
(2)アニオン性電着法により、前記導電基板の前記露
光および現像プロセスで露出した部分に色相のある電着
樹脂層を選択的にコーティングするステップと、(3)
残されたポジ型フォトレジストに対して全面的な露光を
行うステップと、(4)前記透明電極基板を加熱乾燥し
て前記電着樹脂層の硬化を行うステップと、(5)アル
カリ性現像液で残されたポジ型フォトレジストを剥離す
るステップと、(6)前記ステップ(1)〜(5)を繰
り返して残りの異なる色相の電着樹脂層を作製するステ
ップとを具備し、前記ステップ(1)が、黒色感光性塗
料のコーティング、露光、現像というプロセスを経て前
記透明導電基板上にブラックマトリックスを作製したの
ちに行なわれるアニオン性電着塗料によるカラーフィル
タ製造方法を、図1を用いてつぎに説明する。
【0032】図1において、(A)〜(J)はアニオン
性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法における工程
を示し、1はITO、2はガラス板、3はITOガラ
ス、4は黒色感光性塗料のコーティング層、5は光の照
射を表わす矢印、6はネガフォトマスク、7はブラック
マトリックス、8はポジ型フォトレジスト、9は光の照
射を表わす矢印、10はネガフォトマスク、11は色相
のある電着樹脂層、12はほかの色相のある電着樹脂
層、13はさらにほかの色相のある電着樹脂層である。
【0033】ブラックマトリックス7が必要なばあい、
図1に示すように、(A)ITO1とガラス板2とから
なるITOガラス(透明導電基板)3を用意し、(B)
ITOガラス3のITO表面に黒色感光性塗料のコーテ
ィング層4を塗布し、(C)ネガフォトマスク6を介し
て、光(光の照射を表わす矢印5により表わされてい
る)により黒色感光性塗料のコーティング層4の所望の
部分を露光し、(D)これを現像することによりブラッ
クマトリックス7を作製し、(E)ITOガラスのIT
O表面にブラックマトリックスの上からポジ型フォトレ
ジストを全面コーティングし、(F)ネガフォトマスク
10を介して、光(光の照射を表わす矢印9により表わ
されている)により前記ポジ型フォトレジストの所望の
部分を露光し、(G)これを現像することにより、IT
OガラスのITO表面の所望の部分を露出させ、(H)
前記(G)の工程でITO表面の露出した部分にアニオ
ン性電着塗装により選択的に色相のある電着樹脂層をコ
ーティングし、そののち残されたポジ型フォトレジスト
に対して全面的な露光を行ない、さらに前記ITOガラ
ス板をポストベーク(加熱乾燥)し、(I)アルカリ性
現像液で残されたポジ型フォトレジストを剥離する。さ
らに前記(E)〜(I)と同様の工程(ただし、このと
きの(F)および(G)と同様の工程でITO表面にお
ける露出させる部分は前述の露出させた部分と異なる)
により、ITO表面の所望の部分に、ほかの色相(異な
る色相)のある電着樹脂層12をコーティングする。さ
らに、前記(E)〜(I)と同様の工程(ただし、この
ときの(F)および(G)と同様の工程でITO表面に
おける露光させる部分は前述の露出させた部分と異な
る)により、ITO表面の所望の部分に、さらにほかの
色相(さらに異なる色相)のある電着樹脂層13をコー
ティングする。このようにして所望の色相を有するカラ
ーフィルタを製造することができる。図1中(J)は、
ITO表面にブラックマトリックス7、色相のある電着
樹脂層11、ほかの色相のある電着樹脂層12、さらに
ほかの色相のある電着樹脂層13を有するカラーフィル
タを示す。なお、色相のある電着樹脂層11、ほかの色
相のある電着樹脂層12およびさらにほかの色相のある
電着樹脂層13の色相をそれぞれ赤色、緑色および青色
の色相とすることにより、赤・緑・青の色相を有するカ
ラーフィルタを製造しうる。
【0034】また、ブラックマトリックス7が不要なば
あいは、(B)〜(D)の工程を省いて、(A)および
(E)〜(J)の工程によりカラーフィルタを製造すれ
ばよい。
【0035】本発明においては、アニオン性電着法を採
用してポジ型フォトレジストと組み合わせるとともに、
従来技術の製造工程条件を改良(後焼付(ポストベー
ク)以前に全面露光ステップを追加)して、後焼付(ポ
ストベーク)温度を120℃以上にまで高めることによ
って、ポジ型フォトレジストが硬化して除去しにくくな
らないようにし、また、アニオン性電着膜を十分に硬化
させて現像液による変質に耐えることができるものとす
る。このようにしてアニオン性電着法の高い透過率を保
持しながら、カチオン性電着法のITOガラスを黒化さ
せるという問題を回避するとともに、ブラックマトリッ
クスの形状を自由にデザインできるので、本発明は豊か
な潜在力を備えた技術であるといえる。
【0036】本発明にかかわるアニオン性電着膜は、透
明導電基板の導電層上に塗布されるもので、この透明導
電層が透光度に優れ、しかも導電性に優れたものであ
る。液晶ディスプレイは、精密度に対する要求が極めて
高い電子部品であるから、寸法安定性および2層ガラス
のセルギャップの安定性を考慮すれば、該透明導電基板
の基板をガラスとすることが望ましい。導電層について
は、通常採用されるのは、ITO薄膜であり、透光率が
最低でも80%以上のものである。また、電着時の導電
層抵抗の均一性への影響を抑制するために、ITOの導
電率を15Ω/□以下とするが好ましい。また前記導電
率が低く過ぎるのも不可であって、そのばあいITOが
厚くなりすぎて透光率が低下してしまう。
【0037】液晶ディスプレイのカラーフィルタ膜は、
通常、赤・緑・青3種類の電着塗膜から構成され、多く
はストライプ状または格子状に配列され、赤・緑・青3
種類のカラーが交互に配列されるものであるが、カラー
フィルタ膜の各カラー間にはコントラストを向上させる
ために、ブラックストライプ(ブラックマトリックス)
を形成して各カラーが直接隣接しないようにする。この
ブラックストライプ(ブラックマトリックス)は、カラ
ーフィルタ膜の形状に合わせてストライプ状または格子
状に形成するものであり、材質としてはクロムまたはニ
ッケルを含む金属、またはカーボンブラックあるいは多
くの顔料を混合した黒色有機材料とすることができる。
もし金属材料とする場合には、スパッタリング法による
コーティングまたは鍍金法による成膜が利用できる。も
し有機材料とする場合には、一般に黒色顔料を分散させ
た有機溶液とし、コーティング方法としては、スピンコ
ーティングあるいは電着法が使用できる。一般的にいっ
て、金属材料は反射率が高いので、色彩の色度に影響を
与えるが、遮光性が良好で、バックライトを有効に遮断
するから、解析度を向上させるものである。有機材料
は、反射率が低いが、遮光性が十分ではないので、材質
改善が求められている。本発明においては、製造に便利
なように、黒色顔料を分散せた感光性樹脂層を選択し
た。
【0038】本発明では、ポジ型フォトレジストをアニ
オン性電着法による電着時の絶縁膜、つまり透明導電層
の電着を必要としない部分を保護する薄膜とし、電着し
たい部分は露出させておくことにより、所望の部分のみ
を電着させることを可能とするものである。ポジ型フォ
トレジストの主要成分は、クレゾールノボラック樹脂お
よび感光性キノンジアジド化合物から組成されるもの
で、フォトレジストの露光された部分においてはキノン
ジアジド化合物の分解反応が進行するとともに、カルボ
キシル基が生成されるので、フォトレジストをアルカリ
性の現像液中で溶解させることができる。露光してない
部分は、疎水性であるのでアルカリ性の現像液では溶解
しない。このポジ型フォトレジストの露光してない部分
は、高温によって熱架橋反応を発生させやすいと同時
に、感光分解性を失ってしまうので、通常はプリベーク
の乾燥温度リミット値を約100℃としている。100
℃以上になると熱架橋現象が発生して、除去が困難にな
るか、あるいはスカムを残留させるものとなる。すでに
露光した部分については、キノンジアジド基が分解して
カルボキシル基を生成するが、このカルボキシル基とク
レゾールノボラック樹脂のヒドロキシル基との反応は、
200℃以上にならないと発生しにくいので、熱架橋の
問題は考慮しなくてもよい。
【0039】一般に、ポジ型フォトレジストのプリベー
ク温度は80〜100℃である。また、膜厚は粘性率お
よびスピンコーティングの回転速度によって調整する
が、好適な粘性率を5〜60cps、好適な回転速度を
1200〜4000rpmとする。膜厚は絶縁性および
現像性に影響を与えるので、多くは1.0μmから3.
0μmの範囲に調整される。露光量は製品によって異な
るが、約40〜200mJ/cm2であり、露光量が大
きすぎるとラインエッジが変質により縮小してしまうの
で好ましくない。現像液は、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチル
アンモニウムなどの水溶液とし、濃度を0.5〜3%の
範囲とする。
【0040】ポジ型フォトレジストの現像後において、
透明導電層における露出した部分には電着法によって電
着塗膜をコーティングする。本発明では、電着にアニオ
ン性電着塗料を採用するものであり、アクリル樹脂、メ
ラミン樹脂、顔料、中和剤、溶媒、水を主要成分とす
る。
【0041】本発明のアクリル樹脂は、アニオン性であ
り、樹脂がカルボキシル基を有している。それは、共重
合物であって、多種類のアクリル単量体により合成され
るが、好適な単量体は、つぎの通りである。 (1)カルボキシル基を有する単量体:例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸。 (2)ヒドロキシル基を有する単量体:例えば、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート。 (3)アリール基を有する単量体:例えば、スチレン、
ベンゾールアクリレート、ベンゾールメタクリレート、
2−フェノキシメチルアクリレート。 (4)アルキル基を有する単量体:例えば、メチルメタ
クリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、ブチルメタクリレート。
【0042】前記単量体から好適なものを選択して、溶
媒重合法により重合するが、通常使用される熱重合開始
剤としてはアゾビスイソブチロニトリルおよび過酸化ベ
ンゾイルなどがある。
【0043】通常使用される熱硬化性樹脂としてはメラ
ミン樹脂があり、常温で安定しており、高温での反応が
速く、しかも本発明に用いるアクリル樹脂のヒドロキシ
ル基およびカルボキシル基と反応して、良好な架橋密度
を有するとともに、透過率が高いものになりうる。前記
熱硬化性樹脂の使用量は、前記アクリル樹脂の10〜4
0重量%とする。
【0044】本発明に適合する顔料は、耐熱性および耐
光性が良好で、透過率が高く、しかも分散しやすいもの
でなければならない。適合する顔料はつぎの通りであ
る。レッド−177、レッド−209、レッド−14
9、グリーン−36、ブルー−15:3、ブルー−1
5:4、ブルー−15:6、イエロー−109、イエロ
ー−139、イエロー−83、バイオレット−23等。
【0045】顔料供給メーカーには、チバガイギー、B
ASF、ICI、Hoecst社などがある。
【0046】顔料購入時に多くは粘着状態であるので、
透過率を向上させるために、顔料を研磨して微細粒子と
する必要があるが、好適な研磨設備としてはサンドミ
ル、ボールミル、アトライター、三本ロールミルなどが
ある。また、顔料の流動特性を保持するために、分散助
剤、レベリング剤、カップリング剤を混入することがで
きる。好適な顔料混合量は前記アクリル樹脂の15〜3
0重量%とする。多すぎれば沈殿が発生し、少なすぎれ
ば色彩飽和度が不足する。
【0047】樹脂を電荷を有するエマルジョンとするた
めに、前記アクリル樹脂のカルボキシル基を中和剤で中
和して荷電性樹脂とするが、好適な中和剤としてはアン
モニア類がある。例えば、アンモニア水、トリエチルア
ミン、トリエタノールアミンなどがある。中和剤の使用
量は、前記アクリル樹脂のカルボキシル基当量の40〜
100重量%とする。
【0048】また、適当な溶媒としては、安定したエマ
ルジョンとして沈殿を発生させず、膜厚などを調整でき
るものがよく、つぎの溶媒などが使用できる。
【0049】メチルエチルケトン、イソプロピルアルコ
ール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールエーテルなどである。
【0050】一般に、アニオン性電着塗料の製造方法
は、先ず顔料を研磨して微細粒子とした後で、アクリル
樹脂、メラミン樹脂、溶媒と混合して十分に攪拌し、さ
らに中和剤を加えて十分に攪拌した後、脱イオン水を滴
下方式でゆっくりと注入しながら十分に攪拌するもので
ある。もし脱イオン水の滴下速度が速すぎれば、大きな
粒子が密集した樹脂が生成され、濾過する時に詰まりが
発生する。
【0051】フォトレジストの現像後の透明導電基板
は、電着浴中のプラス極につりさげ、マイナス極をステ
ンレススチールとし、2極間の距離を10cm以上とっ
てショートしないようにする。同一カラーのカラーフィ
ルタ膜画素は、一般に四角形のものが多く、縦横が80
〜150μmの範囲とする。通電後にはアニオン性電着
塗料が、これらの露出した導電層上に堆積されるが、印
化する電圧は膜厚および配合内容に応じて一般に20〜
80Vとする。電圧が高すぎると膜厚が厚くなり過ぎる
し、電圧が低すぎると顔料が樹脂と一緒に堆積しにくく
なり、色合いが薄すぎるという問題が発生する。電着時
間は一般に10〜60秒の範囲とし、電着時間が短すぎ
ると膜厚にむらが生じるし、長すぎると厚くなりすぎ
て、歩留まりに影響を与える。膜厚は、電圧および配合
内容により調整可能であるが、一般的には1.0〜2.
5μmである。
【0052】本発明において使用するアニオン性電着塗
料は、透過率が高く、黄化現象がないという利点を備え
ている。カチオン性電着塗料では、カチオン性樹脂自体
がアミノ基を含んでいるために、酸素によって黄化する
という欠点を有している。しかも、カチオン性電着塗料
はマイナス極に堆積するのでITOの還元黒化現象が発
生して透過率が低下してしまう。
【0053】一般に、電着塗料は堆積した後でも緩やか
なゲル状態となっており、溶媒中に溶解してしまいやす
いので、ポストベークによって硬化されて初めて強い化
学的耐性を備えることができる。もし電着塗料が堆積し
た後で熱硬化を直接進行させると、導電層上にあるポジ
型フォトレジストも同時に熱架橋反応を進行させるの
で、ポジ型フォトレジストの除去が困難なものとなる
か、あるいはスカムとして残留し、他の色相の堆積に影
響を与えてしまう。この問題を解決するために、本発明
ではポストベークする前にポジ型フォトレジストの全面
を露光して、キノンジアジド基をヒドロキシル基に分解
することで、ポジ型フォトレジストの熱架橋反応を抑制
すると同時に、生成されたヒドロキシル基がフォトレジ
ストの剥離ステップにおいて除去クリーニングの手助け
をするものとなる。好適な全面露光量はフォトレジスト
により異なるが、一般的には40mJ/cm2以上でフ
ォトレジスト膜が除去クリーニングできる。ポジ型フォ
トレジストの剥離剤としては、水酸化ナトリウム水溶
液、水酸化カリウム水溶液、水酸化テトラメチルアンモ
ニウム水溶液などが使用でき、濃度は2〜5重量%が好
ましい。
【0054】前述のようにポジ型フォトレジストのコー
ティング、露光、現像、電着塗膜のコーティング、全面
露光およびポストベークの後に、フォトレジストを剥離
すると、第1色相の着色樹脂膜の作製が完了するが、一
般に、カラーフィルタプレートには赤・緑・青3種類の
カラーフィルタを備えるので、上記した工程を繰り返す
ことにより3色のカラーフィルタの作製を完了する(図
2参照)。もしカラーフィルタプレートの外周を無色ま
たは透明被膜により絶縁する必要がなければ、図3およ
び図4に示した方法によって、第2色相の着色樹脂膜の
硬化ならびにフォトレジストを除去した後に、露出した
透明導電層上に直接第3色相の着色樹脂を造膜すること
で、フォトレジストの回数を1回分簡略化することがで
きる。
【0055】
【実施例】以下、本発明を合成例および実施例ならびに
比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0056】合成例1 アクリル樹脂の合成 4口反応フラスコにそれぞれ凝縮管と温度計とフィーダ
ー管と攪拌棒とを挿入して、油浴加熱により温度を10
0℃に制御した。反応フラスコに338.0gのポリエ
チレングリコールモノメチルエーテルを投入し、窒素ガ
スを注入した。390.0gのメタクリル酸と、17
7.0gの2−ハイドロキシエチルアクリレートと、1
735.0gの2−フェノキシエチルアクリレートと、
1152.0gのブチルアクリレートと、600.0g
のメチルメタクリレートと、30.0gのアゾビスイソ
ブチロニトリルと、1738.0gのプロピレングリコ
ールモノメチルエーテルとによって溶液を調整した後
に、この溶液を前記反応フラスコに、滴下方式により2
00分で滴下した。滴下終了後に同一温度を3時間維持
してから冷却し、透明なアクリル樹脂を得た。平均分子
量は31000であった。
【0057】合成例2 アニオン性電着塗料の調製 表1に示すアクリル樹脂とメラミン樹脂と顔料とプロピ
レングリコールモノメチルエーテルとを混合して十分に
攪拌してから、サンドミルに入れて顔料を10時間継続
して研磨した。この着色樹脂混合物を攪拌槽に入れて表
1に示すアンモニア(水溶液)を加えて十分に攪拌し、
表1に示す脱イオン水を攪拌槽中にゆっくりと約1時間
で滴下した後、2時間以上継続して攪拌してから濾過す
ることで赤、緑および青の3種類のアニオン性電着塗料
を得た。
【0058】
【表1】
【0059】実施例1 1枚の市販ITOガラス(メルク社製 1.1mm 1
0Ω/□)のITO上にスピンコーティング法によりポ
ジ型フォトレジスト(クレゾールノボラック樹脂+キノ
ンジアジド化合物)を全面コーティングした。このとき
の回転速度は2500rpmであった。これをオーブン
に入れて90℃で10分間乾燥させてから冷却した。重
複した細線および寸法が5〜150μmの正方形の点状
パターンを有するネガフォトマスクをフォトレジスト膜
上に置いて中圧水銀灯により120mJ/cm2の露光
量を照射した後で2重量%のメタケイ酸ナトリウム(水
溶液)中で現像して露光したフォトレジストの部分を溶
解除去した。露光時間は約60秒であった。このような
工程を通したITOガラス基板を合成例1および合成例
2により作製した赤色のアニオン性電着塗料を入れた電
着浴中に浸し、45Vで電着塗装した。電着時間は15
秒であった。赤色のアニオン性電着塗料が、ITOガラ
スのITOが露出した部分に堆積した。その膜厚は約
2.0μmであったが、ITOガラスのそのほかの部分
はポジ型フォトレジストに保護されて電着膜を生成させ
なかった。その後ITOガラス基板を取り出して水洗し
てから、90℃で乾燥させた。乾燥時間は10分間であ
った。これを冷却した後、中圧水銀灯によりネガフォト
マスクを被せない状態で全面露光を行った。このときの
露光量は40mJ/cm2であった。このときにポジ型
フォトレジストは照射されて感光性キノンジアジド基が
分解し、カルボキシル基を生成させた。続いて、ITO
ガラス基板を120℃のオーブンに入れてアニオン性電
着塗膜を硬化させた。硬化時間は5分間であった。この
とき、フォトレジスト中にはキノンジアジド基がごく少
量しか残留していないので、フォトレジストの高温によ
る熱架橋反応は発生しなかった。電着塗膜が硬化してか
らガラス基板を5重量%の水酸ナトリウム(水溶液)に
2分間浸すと、フォトレジストが溶解除去され、しかも
アニオン性電着塗膜を損なうことがなかった。
【0060】赤色フィルタ膜をコーティングしたITO
ガラス基板のITOの全面に第2回目のポジ型フォトレ
ジストのコーティングを行い、同じ工程によりネガフォ
トマスクを介して露光、現像、合成例1および合成例2
により作製した緑色のアニオン性電着塗料のコーティン
グ、乾燥、全面露光、電着塗膜の加熱硬化ならびにフォ
トレジストの剥離を行って、赤色および緑色のフィルタ
膜をコーティングしたITOガラス基板を得た。さら
に、同じ方法で青色のエリアを作製すると、赤・緑・青
3種類のパターンを備えたカラーフィルタプレートを得
ることができた。
【0061】実施例2〜9 製造ステップは実施例1と同じであるが、工程条件が異
なっているもので、ポジ型フォトレジストの種類、全面
露光量、ポストベーク温度およびポストベーク時間を表
2に記載のとおりに変更したほかは実施例1と同様にし
てカラーフィルタプレートを得た。
【0062】各実施例のカラーフィルタ膜の最小解像ラ
イン幅は表2に示した通りであり、いずれも解像度20
μm以下のレベルを達成していた。
【0063】
【表2】
【0064】比較例1〜3 製造ステップは実施例1と同じであるが、工程条件が異
なっているもので、ポジ型フォトレジストの種類、ポス
トベーク温度およびポストベーグ時間を表2に記載のと
おりに変更し、ポストベークの前に全面露光を実施しな
かったほかは実施例1と同様にしてカラーフィルタプレ
ートを得た。各比較例のフォトレジストは有効な除去ク
リーニングが不可能であり、スカムが残留していた。ポ
ストベークの後に全面露光を実施しても、フォトレジス
トの溶解性を向上させることはできなかった。
【0065】比較例4 製造ステップは実施例1と同じであるが、工程条件が異
なっているもので、ポジ型フォトレジストが熱架橋反応
することを回避するために、ポストベーク温度を100
℃に下げ、ポストベーク時間を2分間にし、全面露光を
実施しなかったほかは実施例1と同様にしてカラーフィ
ルタプレートを得た。その結果、フォトレジストは熱架
橋反応しなかったものの、ポストベーク温度が低温のた
めに電着塗膜の硬化が不足しており、フォトレジスト剥
離時に電着塗膜も現像液により変質されて溶解してしま
った。
【0066】実施例10 1枚の市販ITOガラス(メルク社製 1.1mm 1
0Ω/□)のITO上にスピンコーティング法により感
光性黒色塗料(フジ・ハント社製 商品名「CK−20
00」)を全面コーティングした。このときのスピンコ
ーティングの回転速度は1200rpmであった。IT
Oガラス基板をオーブンに入れて80℃で10分間乾燥
させた。黒色塗膜上にネガフォトマスクを被せて中圧水
銀灯で露光した。このときの露光量は200mJ/cm
2であった。このとき、露光したエリアにおいては光硬
化反応を進行させ、硬化しなかった部分を1重量%の水
酸化カリウム水溶液で現像除去した。このとき、ITO
ガラス基板上に黒色格子状のパターン(ブラックマトリ
ックス)が形成された。ITOガラス基板を200℃の
オーブンに入れて30分間硬化させると、ブラックマト
リックスが完全に硬化した。冷却後に、ITOガラス基
板のITOおよびブラックマトリックス上に、スピンコ
ーティング法によりポジ型フォトレジスト(クレゾール
ノボラック樹脂+キノンジアジド化合物)を全面コーテ
ィングした。このときのスピンコーティングの回転速度
は2500rpmであった。このような工程を通したI
TOガラス基板をオーブンに入れて90℃で10分間乾
燥した後で冷却させた。赤色カラーフィルタ膜を形成さ
せる位置に対応するパターンを有するネガフォトマスク
をフォトレジスト膜上に置いて中圧水銀灯により120
mJ/cm2の露光量を照射した後で2重量%のメタケ
イ酸ナトリウム(水溶液)中で現像して露光したフォト
レジストを溶解除去した。このときの露光時間は約60
秒であった。このような工程を通したITOガラス基板
を合成例1および合成例2により作製した赤色のアニオ
ン性電着塗料を入れた電着浴中に浸し、45Vで電着塗
装した。電着時間は15秒であった。赤色のアニオン性
電着塗料がITOガラスのITOが露出した部分に堆積
した。その膜厚は約2.0μmであったが、ITOガラ
スのそのほかの部分はポジ型フォトレジストに保護され
て電着膜を生成させなかった。その後ITOガラス基板
を取り出して水洗してから、90℃で乾燥させた。乾燥
時間は10分間であった。これを冷却した後に中圧水銀
灯によりネガフォトマスクを被せない状態で全面露光を
行った。このときの露光量は100mJ/cm2であっ
た。このときにポジ型フォトレジストは照射されて感光
性キノンジアジド基が分解し、カルボキシル基を生成さ
せた。続いて、ITOガラス基板を135℃のオーブン
に入れてアニオン性電着塗膜を硬化させた。硬化時間は
15分間であった。このとき、フォトレジスト中にはキ
ノンジアジド基がごく少量しか残留していないので、フ
ォトレジストの高温による熱架橋反応は発生しなかっ
た。アニオン性電着塗膜が硬化してからガラス基板を5
重量%の水酸ナトリウム(水溶液)に2分間浸すと、フ
ォトレジストが溶解除去され、しかもアニオン性電着塗
膜を損なうことがなかった。
【0067】前記したブラックマトリックスおよび赤色
塗膜をコーティングしたITOガラス基板を同じ工程に
より、ネガフォトマスクを介して露光、現像、合成例1
および合成例2により作製した緑色のアニオン性電着塗
料または青色のアニオン性電着塗料のコーティング、乾
燥、全面露光、アニオン性電着塗膜の加熱硬化ならびに
フォトレジストの剥離を繰り返し行って緑色および青色
の電着塗膜を作製すると、ブラックマトリックスおよび
赤・緑・青の3色の電着塗膜を有するガラス基板を得
た。これを200℃で1時間加温することにより、カラ
ーフィルタプレートを完成した。
【0068】図5は、このカラーフィルタプレートの赤
・緑・青3色の分光特性図である。
【0069】
【発明の効果】前述したように、本発明にかかわるアニ
オン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法によれ
ば、以下のような効果をあげることができる。
【0070】(1)アニオン性電着塗料を使用できるの
で、透過率が高く、ポストベーク温度を下げる必要がな
く、しかも一般に市販されているポジ型フォトレジスト
が使用できる。
【0071】(2)顔料分散法と比べて塗料利用率に優
れるので、塗料コストが削減できる。 (3)カチオンがITOを還元黒化するという問題が発
生しない。
【0072】(4)ブラックマトリックスの形状を自由
にデザインできる。
【0073】従って、STNタイプに応用できることは
もちろんのこと、より複雑なTFTタイプにも応用がで
き、かつ優れた塗料利用率を備えるので、極めて有用な
技術といえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわるアニオン性電着塗料によるカ
ラーフィルタ製造方法(ITOパターンなし)を示す工
程図であり、(A)〜(J)は各プロセスをITOガラ
ス、コーティング層などの断面図を用いて説明するもの
である。
【図2】本発明にかかわるアニオン性電着塗料によるカ
ラーフィルタ製造方法(ITOパターンなし)を示す工
程図である。
【図3】図2の工程を一部簡略化した一例を示す工程図
である。
【図4】図2の工程を一部簡略化したほかの一例を示す
工程図である。
【図5】赤・緑・青3色のアニオン性電着塗膜の分光特
性を示す分光特性図である。
【符号の説明】
1 ITO 2 ガラス板 3 ITOガラス 4 黒色感光性塗料のコーティング層 5 光(光の照射を表わす矢印) 6 ネガフォトマスク 7 ブラックマトリックス 8 ポジ型フォトレジスト 9 光(光の照射を表わす矢印) 10 ネガフォトマスク 11 色相のある電着樹脂層 12 ほかの色相のある電着樹脂層 13 さらにほかの色相のある電着樹脂層

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)透明導電基板上にポジ型フォトレ
    ジストを全面コーティングしたのち、露光および現像プ
    ロセスを介して、透明導電基板を部分的に露出するステ
    ップと、(2)アニオン性電着法により、前記導電基板
    の前記露光および現像プロセスで露出した部分に色相の
    ある電着樹脂層を選択的にコーティングするステップ
    と、(3)残されたポジ型フォトレジストに対して全面
    的な露光を行うステップと、(4)前記透明電極基板を
    加熱乾燥して前記電着樹脂層の硬化を行うステップと、
    (5)アルカリ性現像液で残されたポジ型フォトレジス
    トを剥離するステップと、(6)前記ステップ(1)〜
    (5)を繰り返して残りの異なる色相の電着樹脂層を作
    製するステップとを具備したアニオン性電着塗料による
    カラーフィルタ製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ステップ(1)が、黒色感光性塗料
    のコーティング、露光、現像というプロセスを経て前記
    透明導電基板上にブラックマトリックスを作製したのち
    に行なわれる請求項1記載のアニオン性電着塗料による
    カラーフィルタ製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ポジ型フォトレジストが、クレゾー
    ルノボラック樹脂およびキノンジアジド化合物から組成
    されたフォトレジスト系である請求項1記載のアニオン
    性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法。
  4. 【請求項4】 前記電着樹脂層が、カルボキシル基を有
    するアニオン性樹脂のエマルジョンを用い、電着による
    堆積を経て作製されるものである請求項1記載のアニオ
    ン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法。
  5. 【請求項5】 前記アニオン性電着法が、電圧を15〜
    80V、電着時間を10〜120秒間とするものである
    請求項1記載のアニオン性電着塗料によるカラーフィル
    タ製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ステップ(3)の全面露光が露光量
    を20mJ/cm2以上とするものである請求項1記載
    のアニオン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ステップ(3)の全面露光が露光量
    を40mJ/cm2以上とするものである請求項1記載
    のアニオン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ステップ(4)の加熱乾燥温度を1
    20〜220℃とするものである請求項1記載のアニオ
    ン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ステップ(4)の加熱乾燥温度を1
    30〜160℃とするものである請求項1記載のアニオ
    ン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法。
  10. 【請求項10】 前記ステップ(4)の加熱乾燥時間を
    5〜60分間とするものである請求項1記載のアニオン
    性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法。
  11. 【請求項11】 前記ステップ(5)に用いるアルカリ
    性現像液を水酸化ナトリウムウ、メタケイ酸ナトリウ
    ム、水酸化カリウムまたは水酸化テトラメチルアンモニ
    ウムの水溶液とするものである請求項1記載のアニオン
    性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法。
  12. 【請求項12】 前記電着樹脂層が、3種類の色相を有
    し、該3種類の色相が赤、緑および青の色相である請求
    項1記載のアニオン性電着塗料によるカラーフィルタ製
    造方法。
  13. 【請求項13】 前記赤、緑および青の3種類の色相の
    電着樹脂層の形状が、微細な格子状であり、その重複し
    た配列方式が三角形またはモザイク形あるいはストライ
    プ形を配列させたものであり、各色相間の間にブラック
    マトリックスを有するものである請求項2または12記
    載のアニオン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方
    法。
  14. 【請求項14】 前記透明導電基板が、ITO(インジ
    ウム錫オキシド)をコーティングしたガラスである請求
    項1記載のアニオン性電着塗料によるカラーフィルタ製
    造方法。
  15. 【請求項15】 前記ステップ(3)が、前記ステップ
    (2)の前に完了できるものである請求項1記載のアニ
    オン性電着塗料によるカラーフィルタ製造方法。
  16. 【請求項16】 前記ステップ(1)〜(6)の後、残
    されたポジ型フォトレジストを剥離した部分に最後の1
    つの色相の電着樹脂層を直接コーティングするものであ
    る請求項1記載のアニオン性電着塗料によるカラーフィ
    ルタ製造方法。
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